「中国」と一致するもの

あのときの王子くん

■星の王子さまミュージアム閉園
 2023年3月31日、箱根の「星の王子さまミュージアム」が惜しまれつつ閉園となった。

IMG_20230331_171019610_S.jpg

 サン・テグジュペリ生誕100年の記念事業の一環として、1999年6月29日に開園。当時世界で唯一の、「星の王子さま」とサン・テグジュペリをテーマにしたミュージアムだった。観光地の単なる客寄せ施設に終わらず、「星の王子さま」の背景を深く理解する上で必要な、サン・テグジュペリの生い立ちからその最後までの、人生への理解を深めることが出来る、とてもよくできたミュージアムだった。
 昨年10月、コロナ禍による来園者減少や建物の老朽化を理由に閉園が発表されて以降、連日多くのファンがやってきて賑わっていたとのことだけれど、残念ながら覆ることはなかった。自分も、ここが箱根で一番好きな観光施設だったので、最終日含め3月に2度行き、その世界を堪能し、記憶に刻んだ。膨大な数の貴重な展示資料が、今後どう処分されてしまうのか、非常に気になるところ。

■「星の王子さま」新訳ブーム
 ところで、行く前に読み直そうと、青空文庫で検索した。最初、「星の王子さま」で見つからず、「サン・テグジュペリ」で探したら「あのときの王子くん」というのだけあった。知らなかったので、関連作品かと思ってしまったけれど、正に同じ「Le Petit Prince」の新訳だった。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001265/files/46817_24670.html
 サン・テグジュペリ作品は、国によっては著作権が残ってるけれど、日本では敗戦による戦時加算を考慮しても2005年には権利失効しているので、誰が新訳で出版しても良いし、サン・テグジュペリ自筆のあのイラストも使える。(商標権の問題はあるけれど)
 権利失効した当時は新訳ラッシュがあって、十冊以上の新訳が出版されたとか。正に、パブリックドメイン万歳というか、著作権が切れることで文化の発展が促された好例になっている。「あのときの王子くん」も、こうして生まれた新訳の一つだった。

■「星の王子さま」って合ってるの?
 何故、「星の王子さま」ではなく「あのときの王子くん」なのか。その理由が「青空文庫版『あのときの王子くん』あとがき」に詳細に書かれていて、翻訳した大久保ゆうさんの本気さに感銘を受けてしまった。「この作品がファンタジーであるとは思いませんし、また『星の王子さま』という題名を冠されるような作品であるとは考えていません。」というのだ。

 言われてみると確かに、物語に出てくる例え等が生々しくて、ファンタジーとは違うように思えて来た。例えば以下。

「そのときは、わかんなかった! ことばよりも、してくれたことを、見なくちゃいけなかった。あの子は、いいにおいをさせて、ぼくをはれやかにしてくれた。ぼくはぜったいに、にげちゃいけなかった! へたなけいさんのうらにも、やさしさがあったのに。あの花は、あまのじゃくなだけなんだ! でもぼくはわかすぎたから、あいすることってなんなのか、わかんなかった。」

 自分の星(郷里)のバラの花(女性)との別れについて、こんなことを言う小さな王子って...精神年齢おいくつ?

 それに、たまたまどこかの星(B612)から来たけれど、星から来たことが重要という感じは無いので、「星」は特筆すべきポイントではないかもしれないとも思う。

 「王子」にしても、あくまで語り手である「ぼく」の主観からみた「小さな王子」であって、他の登場人物は、この子供を王子扱いしていない。王様には、家来扱いされている。客観的には、単に星々を旅する子供。「さま」付けすることに違和感があると言われると、確かに...と。

 では何故、原題に無いのに、わざわざ「星の」と邦題が付けられたのか。これまで考えたことも無かったが、要は、最初に翻訳した内藤氏のオリジナリティ溢れる二次創作だったということなのだろう。権利失効後の新訳ブームの時、内藤氏のご子息が、「せっかく新訳されるのですから、新しいタイトルを工夫してほしい。「新しき葡萄酒は新しき革袋へ」です。」と、各出版社に「星の王子さま」というタイトルを使わないでほしいと主張されたとか。それを知ってしまうと、もう安易に「星の王子さま」と呼べない。
 しかし、この邦題が余りにも定着しているせいで、機械翻訳ですら「Le Petit Prince」が「星の王子さま」と翻訳されてしまう。作品から離れて、純粋に言語として「Le Petit Prince」が正しく翻訳されないのは、ちょっと問題な気もする。(世界中で翻訳されているうち、「星の」的な題名で出版されている国は無いのではないか。英語圏では「The Little Prince」、中国では「小王子」。独特の題名なのは、ペルーの「kamachikuq Inkacha」で、意味は「インカの司令官」?...なんじゃそりゃ。)

■小さな王子のニュアンス
 そもそも最初は、しつこくうるさいガキんちょなのだ。「小さな王子」は、中国で一人っ子家庭で育ったわがままな子供を「小皇帝」と呼ぶのと、似たニュアンスかもしれない。少なくとも、童話的なキラキラ「王子さま」ではない。それが、会話を続けるうちに「ぼく」との間に絆が生まれ、かけがえのない友となる。その経緯を考慮すれば、「王子くん」は納得できる。
 更に、死にそうだった自分を救い上げてくれた、6年前のあのかけがえのない出会いの話だから、定冠詞「Le」を無視すべきじゃなくて、「小さな王子」では足りず、「あのときの王子くん」とした大久保訳に納得する。この呼び名、もっと広まれば良いのにと思う。

■蛇足
 児童書の体裁を意識しつつも、サン・テグジュペリは、当時ドイツ占領下のフランスで苦労していたユダヤ系の友人を励ますために、このガキんちょとの6年前の不思議な出会いを捧げた。子供のように自由な想像力を忘れて欲しくない大人に向けて。
 目に見えることが全てではなく、肝心なことは目に見えないということが物語の重要なポイントであることからすれば、王子くんが子供の姿だからというだけで、子供と決めつけるのも間違いだろう。
 砂漠に墜落する描写は、かなり比喩がある。大人社会で孤立し、孤独で心(エンジン)が壊れた「ぼく」が、サハラ砂漠のような誰の助けも得られない場所で、一人で立ち直らなければならないと言ってるようにも読める。その、「ぼく」の心の中の葛藤と、そこからの生還の物語が、目に見えないように描かれているとするなら、王子は「ぼく」自身でもある。
 「星の王子さま」と呼ぶのは、そういう解釈を妨げる気もして、モヤモヤしてしまうのだった。

 ま、自由に読めば良いので、「星の王子さま」と呼び続けたい人は全然構わないけど。

■ミュージアム公式Twitterで紹介されていた3Dデータ
展示ホール
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-IHHn93a23e
園内
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=SS-tIQYvzaLf8
エントランス
https://l-prince.4dkankan.jp/smg/?m=SS-7Ue3p6Ywd5
チケット売り場
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-7XPs9391ab
ショップ
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-gyYg939446
レストラン
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-esOB939cfb
カフェ
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-pu0c9396ec
サン=テグジュペリ教会
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-4uWZ939987

■その他ミュージアム写真
IMG_20230327_180344277_S.jpg
IMG_20230327_163244809_S.jpg
IMG_20230327_164534528_S.jpg
IMG_20230327_165006868_S.jpg
IMG_20230331_133028369_S.jpg
IMG_20230327_175120271_S.jpg
IMG_20230331_143538620_S.jpg
IMG_20230331_162451240_S.jpg
IMG_20230331_134442055_S.jpg
IMG_20230327_145026492_S.jpg
IMG_20230327_112922625_S.jpg
IMG_20230331_183245660_S.jpg

謹賀新年

2021年賀状.jpg
あけましておめでとうございます。
今年の年賀状は、GoTo先の屋久島は宮之浦岳山頂での360度写真です。

昨年は、横浜からバンクーバーへ太平洋横断片道クルーズをしようと、一昨年末から散々検討していたのですが、COVID-19のためにクルーズがキャンセルされてしまいました。途中でロシアを経由し、2週間でバンクーバーへ到着するこのクルーズ、プレミアム客船で当然に食事もショーも込みで、安い内側船室なら一人400ドル程度にまで値下がりします。ずっと値動きを追っていましたが、全て徒労に終わりました。

カジノツーリズムは諦め、仕事も無いので、ほぼ箱根に引き籠るようになりました。ヤフオクで安いプロジェクターを落札すると、延々とFallout76オープンワールドを大画面で旅する毎日。その合間、たまに最寄りのスーパーまで食料補給で片道7・8km歩けば、鹿と猪に遭遇。感染症より猪が怖いという生活でした。

■オンラインとか映画祭とか
そういった中でも、様々なイベントがオンライン開催となったお陰で、通常なら参加が困難な映画祭やイベントにオンラインで参加出来たというのは、とても有難かった。アヌシー国際アニメーション映画祭も、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭も、そして何よりバーニングマンも、オンラインで堪能しました。特に、VRを活用するバーニングマンは凄かった。通常なら、現地に行かなければ参加できなかったし、そもそもバーニングマンなどチケット入手すら大変なわけで、COVID-19のお陰でローコストにこれらへ参加出来たというのは、リアルとはまた違った価値ある体験となりました。

対照的に残念だったのは、広島国際アニメーションフェスティバルです。
https://hiroanim.org/
なんと、その存在価値を理解できない広島市の方針転換で、昨年が最後の開催でした。他の映画祭のようなオンライン対応がほとんど出来ず、世界中から寄せられた作品を審査員がオンライン会議で検討し、受賞作品名等がホームページに公表されるだけでした。歴史も重みもある映画祭が、こんな終わり方になるとは、本当に残念でした。
以前は理解があり、広島市長も舞台に上がって流暢な英語でながーい挨拶されてたのに感銘を受けたこともあったので、この方針転換は本当に驚きです。)
https://cgworld.jp/interview/202010-hranm18th.html

自分は学生の頃から行きはじめ、CG制作会社に入社してからは会社の部活動として、同僚と共に参加させてもらっていました。フレームインという、事前審査も何もなく持込上映させてもらえる枠があり、そこにまだプロ・アマの垣根もなかった頃、自社の仕事をVHSで持参し上映させてもらい、その場で批評を受けたり、叱られたり、全ては良い思い出です。行きの飛行機で、当時審査委員だった海外の著名なアニメーション作家と親しくなり、会場でその人の特集プログラムに参加し、自社のデモリールを手渡ししたことも。映画祭は色々行きますが、そんなことが容易に実現する権威ある映画祭、他に国内に無いですよ。

国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)公認で、アヌシー、オタワ、ザグレブと並ぶ世界4大アニメーションフェスティバルの1つだった訳ですが、それがどうやって成立してきたのか現在の広島市は理解していないのではないでしょうか。博報堂や中国新聞と組んで、名声を掠め取るような後続イベントを計画しているとか。米国アカデミー賞公認でもあり、広島のグランプリ作品はアカデミー賞ノミネート候補にもなっていたわけですが、ASIFAを足蹴にしてそんな真似は不可能。そういった意味で、価値のない後続の商業主義イベントを、さも歴史も権威もある以前の映画祭と関係があるかと世界に誤解させて作品を集めるような恥ずべき行為だけは、やめてもらいたいものです。
https://www.cartoonbrew.com/events/hiroshima-city-says-it-plans-to-hold-animation-festival-in-2022-asifa-protests-198499.html

ASIFAは、まだ広島市に再考を促そうとしています。
http://asifa.net/news/petition-to-save-hiroshima-festival

Change.orgで署名も集めています。
https://www.change.org/p/mayor-of-hiroshima-keep-the-hiroshima-international-animation-festival-going

一度決めたことは、どんなに間違いでも殆ど変更できないこの国ですから、それが恥ずべき行為でも、広島市が再考することは無いだろうとは思います。が、自分も一応署名しました。長年広島に通ってきたのに、もう広島に行く理由が無くなってしまったのは、非常に残念です。とうか、こんな不義理をやらかす広島市には、行きたくなくなってしまいました。

昨年は、GoToと併用できる各地方自治体の助成制度が色々とあり、それらを活用して旅しましたが、広島も大変安く旅行できる制度がありました。しかし、全く広島には興味が湧きませんでした。商業主義に踊らされる広島市の今後は、期待しないで生暖かく見守ります。

■その他GoToとか
世間では、GoToで豪華な宿をお得に、みたいなのばかりが話題でしたが、自分の場合は3泊で1万円くらいの格安ゲストハウスに使ったり、せいぜい1泊1万円程度のホテルでよく利用しました。じゃらん等の予約サイトでは、各地方自治体が助成する観光促進のための割引きクーポンが多数配布され、GoToとこれを併用するというのがお得でした。10,000円以上の宿泊費に対し5,000円助成される地域だと、GoToで3,500円引かれ、支払い1,500円に対して地域共通クーポンが2,000円もらえるというケースもザラ。こんなことに税金ばらまくなんて酷い国だと思いながら、活用しました(苦笑)
鹿児島県の屋久島や種子島、山梨県の富士吉田、静岡県は下田や熱海、東京だと伊豆大島等を長めに回りました。カジノの無い国内旅行は久々。種子島なんて、筑波宇宙センターに勤務していた頃だって行ってないのですが、南種子町の助成金が素晴らしく、初めて種子島宇宙センターも見学できました。屋久島は、感染症対策で山小屋(避難小屋)での宿泊はなるべく避けるようアナウンスがされてたので、テント持参で山中泊(ここにGoToは関係無いですが)。3泊4日かけて宮之浦岳等縦走しました。
様々な地域を回ると、感染症対策の温度差のようなものも実感でき、非常に興味深かったです。例えば箱根では、温泉にサウナが併設されていても、感染症対策を理由に使用中止が当たり前。これが、鹿児島の某砂風呂施設の温泉にあるサウナでは、入れる人数を減らしただけで、かなり密で使用させていて驚きました。狭いサウナ内は向かい合う席の配置で、流石に正面は空席にされてますが、ひな壇でその1段上がった位置は使用しており、そこのおじさんの荒い鼻息が丁度自分に当たってるんじゃねーかと気付いた時は、サウナなのに寒気が(苦笑)
また別のサウナでは、敷いてあるタオルがそのままなのに、そこに直に座らせるというのはどうかと思いました。誰かが座ったタオルの上にそのまま裸で座るとか、以前はそれほど気にしなかったと覆いますが、今となっては軽くホラーです。(サウナの温度でウィルス死ぬんだよと笑い話にする人もいましたが、もちろんそうとは限りません。)
マシな施設だと、一人一人入口で消毒したシートを持ってサウナに入り、座布団のように敷いて座り、出る時に持って出て消毒して返却とかさせていて、利用する側としても安心でした。(そういえば、以前ドイツのバーデンバーデンのスパに行った時は、サウナは自分用のシーツみたいのを敷いて座るのがマナーで、気付かずに直に座ったら、他のお客から静かに指摘されました。感染症対策云々じゃなくても、それがサウナの正解な気はしますね。)
その他、宿のチェックイン時の検温と身分証の確認とかは、もう本当にバラバラ。ちゃんとやっている施設が多いですが、感染症対策と称して無人チェックインを実施してますなんて宿もあり、宿泊中一度もスタッフに会わずにチェックアウトしたこともありました。そんなところは、検温やってないわけです。チェックイン時、書類に健康状態を自己申告で書いて、レセプションのポストに投函するだけ。そこに体温計があるわけでもなく、測りもせずに「37.5度以上はありません」とチェックするだけ。こんなの、いくらでも嘘ついて泊まれます。この宿は都内でしたが、年末に東京に久々に戻って実感したのは、東京は感染症対策杜撰なところ多いなということ。新宿のそれなりの商業施設でもエレベーターの人数制限をしておらず、人が沢山乗ってたりする光景、GoToで行った他所の県では見なかったので、ゾッとしました。ここに戻ってしまった以上、安易に他所の県には行けないと思いました。まあ、この年明け早々、某ワクチンの治験に参加予定で、しばらく待機せざるを得ないとうのもあります。初回健診で対象外と言われたら終わりですが、1年後まで通院予定が決まってたり、色々面倒ですし、プラセボだったりするかもしれません...が、どんな1年になるのやら。

謹賀新年

2018ranpou_blog.jpg
明けましておめでとうございます。
何と、前回の投稿が一昨年の年賀状という酷い状況で、久々の更新です。

昨年は、カジノスクールに通いはじめたのをきっかけに、久々にカジノ通いも復活しました。
最初は、マニラにできた日本資本のカジノ、オカダ・マニラを見てみたいというのがスタート。次は、仁川にできたセガサミー出資のカジノを見てみたいということで、パラダイス・シティへ。
夏は、当初スーパースター・ヴァーゴという船で、横浜から上海へ行って帰ってくるクルーズの予定でしたが、厄介な台風の影響で船会社からクルーズをキャンセルされてんやわんや。急きょ乗れたのが、香港から沖縄へやってくる中国人向けのクルーズで、ゲンティン・ドリームという最新鋭の15万トンの船。船上でのボルダリング、初めて体験しました。
その後、サイパンで仮オープンしてたカジノが、やっと工事が進んで新しい場所で営業開始したというのを知り、何十年ぶりかでサイパンへ。インペリアル・パシフィック・リゾートの宮殿のようなカジノでしたが、まだホテル部分は工事中。ホテルがオープンしたらまた行ってみたい感じでした。
そして、どうせなら、最近の済州島はどうなっているのかと調べてみたら、これまたリニューアルオープンしたカジノを発見。ラマダプラザのカジノが興味深かったので、情報不足でしたが色々回ってみるつもりで久々に済州島へ。最後、カジノからお土産もらってしまいました。
ここまでくると、アジアで行ったことのないカジノを体験してみたいという感じになり、セブ島へ。久々に場末感溢れるカジノに辟易。
この辺で、昨年は打ち止めの予定でしたが、カジノスクールの休みをついて、週末にまた仁川だのマニラだの行ってました。
マニラは、オカダ・マニラ以外にも巨大カジノが3つあり、近場では結構オススメです。
特にそのうちの一つ、リゾート・ワールド・マニラには、フリーベットブラックジャックという面白いテーブルがありました。なんと、9・10・11からのダブルダウンと、20からを除いたスプリットが無料というブラックジャック。高額ベットしてる時にスプリット、スプリット、ダブルとかチャンスが来ると、同時に大ピンチでもあるわけですが、それがノーリスクでできちゃうわけです。こんな素晴らしいルールのブラックジャック、他所のカジノで見たことがありません。ただし、ディーラーが22になっても、バーストではなく引き分け扱いというのが時々痛いのですが(苦笑)

そんな感じで、カジノ法案の行方を横目に、日本にできるはずの統合型リゾートの未来、そこで必要とされるコンテンツとはどんなものか等々、また考え始めました。

年末、古巣のVSLという、今はない会社の忘年会で、デジタル・ハリウッドの杉山校長とか懐かしい人々に会いましたが、思えばラスベガスに通いはじめたのも、デジタル・ハリウッドでSIGGRAPHついでにラスベガスに連れていかれたのがきっかけ。あの時、カジノリゾートとコンテンツの関係を初めて意識しました。
VSL時代の最後、それを引き継いだダイナモピクチャーズ時代と、会社の忘年会でプレゼント交換会をやってましたが、自分はいつも、ラスベガス旅行を誰かにプレゼントしてました。いつか仕事に役立つだろうと。

今年は、カジノスクールの友達とカジノへ行ってみたいです。
そろそろ、筑波宇宙センターでの知財の仕事は終わりにして、カジノとエンタメとコンテンツ分野に軌道修正したいところ。どんな年になるのやら...

エネルギー・環境の選択

2030年のエネルギーの3択(古川大臣が取りまとめたやつ)について、
http://www.sentakushi.go.jp/
今日から、さいたま市を皮切りに国民からの意見聴取会が始まる。
http://kokumingiron.jp/

2030年に、原発をゼロにするか、15%にするか、20~25%にするかの3択。8月12日のパブリックコメント締め切りまでの約1ヶ月が、国民が未来を選択するための意見表明期間という感じだ。

もっとも、パブコメだけなら、今までだって様々な場面で国民の声は無視されてきたわけで、期待できないかもしれない。しかし、今回はちょっと違う。当初、7月末で締め切りだったのが、8月の討論型世論調査の終わった後に延長された。

討論型世論調査って何?という人は、以下を参考に。
http://keiodp.sfc.keio.ac.jp/?page_id=22


討論型世論調査が実施されるというだけでも面白いけれど、パブコメもその後に延長するというのは、政府が国民の声をマジメに聞こうとしている様子が一応うかがえる。自民党時代に、バレて大事件になった、やらせタウンミーティングとは大違いだ。討論型世論調査を考案したスタンフォード大学の教授が、監修委員会委員長として参加し、中立性も担保する。

http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120705/20120705.pdf
マジだ。

思うに、毎週金曜の首相官邸前のフラッシュモブ型抗議運動が、ちゃんと価値があった証拠ではないか。あの抗議運動がなかったら、ここまでマジメに国民の意見を聞こうとはしなかったかもしれない。というか、これは凄いことだ。討論型世論調査とかパブコメが本当に機能したら、日本の民主主義1.0始まった(2.0じゃないよ。今まではβ版だったからw)って感じ。

もっとも、事業仕分けよろしく、いつの間にか骨抜きにされるかもしれないし、討論型世論調査の結果をどの程度政策に反映させるかも、政府は明言を避けている。呑気に喜んでばかりもいられない。しかし、前進は前進だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012070202000118.html
東京新聞は、いい記事書くね。

それを産経が記事にすると、こうなっちゃうけど。
「原発で討論型世論調査 国民に丸投げ、政策ゆがめる懸念」
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120707/mca1207070501003-n1.htm
いつも思うのだけど、産経の考える理想国家像って、中国なんじゃないか?(苦笑)


で、今夜21時からのNHKスペシャルに、古川大臣が出演し、エネルギー問題について語るそうな。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0714_2/

その前に、「エネルギー・環境に関する選択肢」のPDFに目を通しておきたい。
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120629/20120629_1.pdf

2030年の日本の姿が決まるかもしれない、重要な約1ヶ月が始まる。
さぁ、みんなで考えよう!

■蛇足
ところで、昨日初めて、首相官邸前のフラッシュモブに参加してみた。
理由はフォーサイトのフォーラムにコメントとして書いた。
http://www.fsight.jp/forum/11544
コメント13です。

野田政権の外交

「米議員、イラン原油18%削減を 輸入国の制裁回避へ基準 2012/01/20 10:57」47NEWS
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012001001430.html
「日本や韓国、欧州諸国などイラン産原油輸入国を対象とした米国独自の制裁法をめぐり、法案起草の中心となったカーク上院議員(共和党)とメネンデス上院議員(民主党)は19日、ガイトナー財務長官に書簡を送り、制裁実施を回避する条件として、イラン産原油の輸入を価格ベース年間18%以上削減することを基準とするよう提案した。」

18%の根拠が不明だし、妥当なのか分からないけれど、アメリカが妥協し始めている感じがする。

しかし、価格ベースで年18%で良いなら、もっと有効な経済制裁手段がある。
原油価格相場を下落させれば良い(オイw

「世界経済のネタ帳」から、グラフを拝借してみる。
http://ecodb.net/
[世] 原油価格(WTI)の推移(年次:1980~2011年)

イランの原油輸出額は、当然に原油価格と連動している。

[世] イランの原油輸出額の推移(1980~2011年)

アメリカのお陰で、イランの原油輸出額が上昇したとも言える。
2003年:アメリカがイラクに侵攻
2007年:アメリカでサブプライムローン問題
2008年の終わりから一時的に下落したのは、リーマンショックによるものだけど、世界が不安定になればなるほど、結果的には資源に金が集まる。

日本は今まで、過去5年でイランからの輸入量を4割削減したのに、全くの焼け石に水だったわけだ。誰のせいとは言わないけど。
(つまり今回、「価格ベース」ということは、今後更に原油価格が高騰すると、輸入としては日本が何割削減しても追いつかない可能性がある。)

今回だって、結果としてイランの原油輸出額が上昇する可能性はある。輸出量が減っても、価格が上昇するのだから、産油国にはむしろ有り難いか(苦笑)

アメリカは、イランに利する投機マネーによる原油価格高騰こそ、規制すべきだ。
それなら、世界が歓迎するかもよ(笑)
(価格が年18%以上下落すれば、どの国も輸入量を減らす必要はないw)


ところで、一連のアメリカからの圧力に対して、昨年末からの野田政権の対応は、ちょっと面白いと感じている。

「イラン制裁、例外要請=玄葉外相「経済に打撃」-米に懸念伝達」(時事ドットコム:2011/12/20-10:23)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011122000224
玄葉外相は、「クリントン米国務長官との会談で、対イラン制裁を強めるためイラン中央銀行と取引がある外国金融機関に制裁を科す法律が近く米国で成立することに関し、「イランからの原油輸入が停止すれば、日本経済、世界経済全体に打撃となる恐れがある」と懸念を伝え、日本の原油調達に悪影響が出ないよう邦銀への適用除外を要請した。」

イランは、日本がアメリカの政策に反発したことを喜んだ。
「日本、対イラン制裁について米に警告」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23706%3A2011-12-17-09-37-04&catid=17%3A2010-09-21-04-36-53&Itemid=116#.Tu8aTwDOeDM.facebook
「日本、イラン産原油の輸入を継続」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23814:2011-12-20-13-13-57&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「なぜ日本はイラン産原油への制裁を実施出来ないのか? 」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23919:2011-12-23-12-31-47&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

しかも、日本だけじゃない。
「韓国、イランからの石油輸入増加」2012年 1月 04日(水曜日) 18:11
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=24258:2012-01-04-13-49-42&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「韓国の政府筋が、「わが国の精油所は、原油購買契約の延長により、今年は、2011年よりも日量1万バレル多い原油を、イランから輸入することになる」と表明しました。」

増やすのは流石にウソ~ンって感じだけど、韓国もアメリカに抵抗しているのは事実だ。
日本と韓国は、多少は足並みをそろえて抵抗しているのかもしれない。

以前は、アメリカがノーと言えばアザデガン油田の権益放棄して終わりだったのだから、ちょっと感慨深い。
http://maruko.to/2009/08/post-61.html


そして、時期を同じくして、ロシアとの関係が急速に親密になってる。
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/02/61374173.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/06/61644216.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62301545.html

鈴木宗男が仮釈放で出てきたのは、ただの偶然か?w

この流れの中で、「プーチン首相 日本との間で大規模鉄道プロジェクトを検討中」
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62302901.html
こんな話も出てきた。ロシア、前のめり過ぎww

更に、対中貿易で、米ドルを経由しない、元と円の直接決済の話も年末に出た。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0104&f=column_0104_002.shtml

アメリカの顔色うかがってたら、こんなの中国から提案されたって、すんなり前向きに検討なんて難しい。まあ、本気かどうか関係なくて、アメリカ外しの動きを見せることが面白い。(ちなみに、イランとの原油取引は、2007年にイランからの要請で米ドルから円建て決済に各社移行しており、イランは円高の恩恵も受けている。)

で、今年に入っても、ロシアは積極的。
「マトヴィエンコ議長の日本訪問 議連発展に向けて 12.01.2012, 13:31」
http://japanese.ruvr.ru/2012/01/12/63714248.html

そこで、ラブロフ外相の来日を目前に、あえてとった玄葉外相の行動がこれ。

玄葉外相 北方領土を洋上視察(01/14 15:25)北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/343415.html
「玄葉光一郎外相は14日午前、根室管内羅臼町の羅臼港から海上保安庁の巡視船「かりば」に乗り、北方領土の国後島などを洋上視察した。」

急接近しつつ、簡単に妥協しない姿勢を示し、ロシアにも揺さぶりをかけているわけだ。
その結果か知らんけど

http://japanese.ruvr.ru/2012/01/18/64119657.html
ロシアは日本のパートナーとなることを望んでおり、地域問題や軍事政治問題などの国際問題に共通のアプローチをとっていくことを期待している。」

こんなのが「ロシアの声」で読めるとは面白いw
是非、イラン問題では行動を共にしたいですな。


アメリカも流石に、日本が抵抗していることが分かってるので、ガイトナー財務長官を送り込んできた。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXNY3K0YHQ0X01.html
「安住淳財務相とガイトナー米財務長官は12日午前、財務省内で会談し、日本の原油輸入の10%を占めるイラン産原油についてシェアを削減することで一致した。日本側が米側の要請を踏まえ、計画的削減に応じる考えを表明した。」

これを聞いたとき、ありゃりゃと思ったのだけど、官房長官が即効で否定(笑)

「イラン原油対応 引き続き検討 1月12日 20時47分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120112/t10015228101000.html(魚拓にリンク)
「藤村官房長官は記者会見で、核開発を進めるイランに対し原油などの輸出入を事実上できなくするアメリカの制裁措置に関連して、安住財務大臣が表明した日本への原油輸入量を段階的に減らしていく方針は意見の1つであり、引き続き政府内で対応を検討していく考えを示しました。」

更に加えて首相も否定(爆笑)

「イラン制裁:野田首相「原油輸入減は財務相の個人的表明」 2012年1月13日 20時7分 更新:1月14日 1時6分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120114k0000m010050000c.html
「野田佳彦首相は13日の記者会見で、核開発を続けるイランへの制裁を巡り、安住淳財務相が12日のガイトナー米財務長官との会談で「(原油輸入量を)早い段階で計画的に減らす」と表明したことについて「これまでの経緯と見通しを個人的に話されたと思う」と述べた。」

そもそも、ガイトナーが来るのに枝野経産相が不在で、安住財務相に代役で対応させるとか、そんな扱いをアメリカ様にするなんて、のっけから面白い。
「安住氏「イラン原油輸入を削減」 日米財務相会談 2012/1/12 10:57 (2012/1/12 13:57更新) 」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E0E2E2958DE3E0E2E3E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
「今回のガイトナー長官の訪日にあたっては、枝野幸男経済産業相らが不在であるため、経済閣僚を代表して安住財務相が会談に臨んだ。会談内容を共同声明として文章化することは見送った。」

日本の国益を考えるなら、これを閣内不一致とか攻撃してはいけない。
 代役対応 -> 共同声明の文書化を見送り -> 直後に訂正
仮に政権が素人だからだろうとKYだからだろうと、この場合、究極の先延ばし外交は結果オーライだ。

なかなか世界が積極的に賛同しないので、イスラエルは、業を煮やしている。
「イスラエル首相 一層の制裁強化を 1月17日 9時36分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120117/k10015320401000.html(魚拓にリンク)
「核開発を進めるイランに対して欧米諸国が制裁を強めようとするなかで、イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は、今の制裁措置でも十分ではないとして一層の強化を国際社会に求めました。」


で、本当に驚いたのがこれ。

「イラン制裁の日米実務者協議、邦銀の制裁回避条件は結論持ち越し 2012年 01月 19日 18:04 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE80I04P20120119
「グレーザー次官補は協議終了後、記者団に対し「今後も協議は継続する」と答えたのみで、協議内容についてのコメントを控えた。邦銀への制裁を回避するために必要な原油輸入の削減幅などの詳細については、来週以降に引き続き協議する見通し。」
「外務省によると18日と19日の2日にわたりのべ4時間弱協議。日本側は原発稼働停止で火力発電への依存度が高まっており原油調達を簡単に削減しにくい日本の状況や、イラン産原油の輸入量を過去5年間で4割削減した実績などを説明。イラン中央銀行と取引を持つ金融機関に対して米金融機関とのドル取引を禁じる米国のイラン制裁法で、邦銀に対して例外規定を適用するよう要請した。」

「親日国・イラン制裁で官民異論百出、日米協議は結論持ち越しへ 2012年 01月 19日 21:20 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTJE80I00020120119
「18、19日の2日間にわたり都内で開かれていたイラン制裁をめぐる日米政府の実務者協議は、焦点となっていた日本の原油輸入削減幅や邦銀制裁の回避の是非について具体的な結論を出さず持ち越した形となった。」
「イラン制裁については中国、ロシアのみならずトルコも反発を表明。米制裁法の発動でイランが対抗措置としてホルムズ海峡を封鎖すれば、原油価格が急騰しかねず、米国が強硬措置を取りにくい可能性もあるなかで、日本として微妙なかじ取りを迫られそうだ。」


圧力に屈せず結論を出さなかったのは、正直吃驚。
中国が制裁に反対している以上、日本がイランから原油輸入を大幅に減らせば、その分を中国が安値で買い叩けるようになるだけで、アザデガン油田の屈辱を繰り返すことになる。どう考えても、結論先延ばしが正解なんで、本当にこの粘り腰は評価されるべきだ。

そして、この流れで、冒頭のアメリカの18%という数字が出てくる。
野田政権は、内政は最悪な感じがするが、外交はなかなか興味深い。

そういや、こんな話もあったしね。
「資源輸入:国を特定、集中交渉する新戦略...政府指針案 2012年1月5日 15時0分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120105k0000e020164000c.html
「政府が今後5年間の資源、エネルギーの安定調達の指針として4月に初めてまとめる「資源獲得戦略」の原案が明らかになった。産業ごとに必要な資源の種類や量を精査した上で、集中的に働きかける国を特定。首脳や閣僚の交流と、民間の技術協力との連動で、権益確保を図る。自動車など資源を使う側の民間企業が、積極的に権益確保に関与する必要性も明記した。ただ、戦略実現には世界の資源争奪戦を勝ち抜く交渉力が必要で、日本外交の実力が問われることになる。」

単なる偶然ではなさそうだ。
(でも、支持するかどうかはまた別の話だけど(自爆))

■蛇足
ところが、産経が書くとこうなる。
「イラン制裁、戦略なき日本 外務省、対話重視で米と溝」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120119-00000085-san-pol
「米側は対日不信をさらに深めたに違いない。」
「日本側から色よい返事は得られなかったとみられ、グレーザー氏は記者団に「日本が適切な措置を取ると確信している」と不満そうな表情を浮かべた。」
「これで米側が納得するはずもない。」
「米国はイラン制裁の足並みがそろわないことにいら立ちを募らせる。」

アメリカ様の顔色うかがい過ぎwww
どこの国の国益を考えると、こういう記事が書けるのかね?

ブータン的幸福

国王帰った今更だけど、一応書いておく。

GNHってのは、確かに良いと思うよ。

だけど、民族の伝統を重んじているとか、日本人に似てるとか、統治が優れているとか、ブータンをヨイショばっかする風潮には、疑問を感じる。そりゃ、発展に貢献した日本人がいて、感謝されてるとか、耳障りの良い美談だろうけどね。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol79/index.html
米中露と外交関係がない国連加盟国で、日本の常任理事国入りを支持してくれる国なんて、超貴重なのも分かる。

でも、そんなに素晴らしい国なら、なんで国民の1/5もが、難民として流出したのかね?
http://www.ne.jp/asahi/jun/icons/bhutan/
あんな多民族混在地域で、どうやって特定の民族の伝統を重んじる国を実現したのか、その手段も知るべきだ。GNHの判断要素には、文化の多様性も含まれるのだから、どうして文化の押し付けで大量の国民を難民化させてしまったのか、矛盾を感じるのが自然だ。

経緯を知った上で、97%が幸せと答えたという国勢調査の結果を見ると、怖くもある。


え?酷かったのは、過去のことだって?

どうかね(苦笑)
http://www.unhcr.or.jp/html/2011/08/ws110817.html
http://www.japanforunhcr.org/jessica/nanmin/
もしもそんなに褒めたいなら、まず先に、まだ何万人もネパールにいるブータン難民のために、日本も第三国定住先として名乗り出て、ブータンの尻拭いを世界各国と共に手伝ってあげたらどうだ?
ついでに、難民に、幸せか聞いてみたら良い。


もちろん、以前と比べれば、劇的に状況が改善しているし、今の国王はカッコイイよね。東日本大震災にも、義捐金を100万ドルくれたし、本当に有り難い。でも、今の国王が素晴らしいからと、現状だけ強調して賞賛するなんて、不合理にも程がある。

非難されるべきブータンの姿も知り、それでもGNHという思想自体は素晴らしいというなら理解できる。そうすれば、GNHを高めるために、何故か多様性を排除してしまうような矛盾した手法は、当然に否定されるだろう。

だから、ネガティブ情報は、ほんの少し触れるだけでも良い。でも、いくらなんでも、ネガティブ情報が皆無ってのはキモイ。(まあ自分には、今もブータン難民が何万人もネパールにいることを思えば、現状を美化すること自体理解が難しいけどね。)

親日的に思える国なら、何でも美化するという日本の風潮は、トルコへの対応と同じかもしれない(苦笑)


で、更に理解できないのは、ブータンを無批判に賞賛するTVなんかの情報を鵜呑みした上、小国で中国の侵略を受けたとか、一方的に同情のネタにする輩だ。国王が来日したのは、日本が核武装して中国を抑えてくれることを望んでいるからだとかいう寝言も、ネットにはある。

世の中の全ての事象を、中国や民主党政権への批判ネタに直結できる、ある種の妄想壁を持つ人々がいるのは分かるが、ブータンもそのネタに取り込まれてしまっている。そういうことができる人は、さぞかし頭の中で幸せなのかもしれないが、そんなGNHはお断りします。


ところで、97%が幸福と答えたという数字自体、実は単純ではない。
先代の国王は、人は知れば知るほど不幸に感じるとか言っていたそうで、つまり、情報を与えないことが幸せに資する、大海を知らない井の中の蛙は幸せ、という側面がある。
それが読み取れるのが、以下の調査だ。
http://www.sri.or.jp/sri_database/backnumber_kiji/documents/99/99report2_2.pdf
--
ブータンの集計結果を都市部と農村部に分類してみると、満足度の傾向に大きな違いが見られた。純粋に「満足している」と回答した人の割合を見てみると農村部では94.3%であったのに対し、都市部では44.1%と低くなっている
--

1999年にTVとインターネットを解禁し、都市部で情報に接することができるようになったブータン人の満足度は、所詮こんなもんなわけだ。(もちろん、「まあ満足している」まで含めたら都市部だって凄いけど、それなら日本だって...というか、「満足」と「幸福」はそもそも別なので、日本人の多くも、かなり幸せな気がする。)


そもそも、SFネタじゃあるまいし、完璧なユートビアなんて存在しない。
これ、常識だよね?

誰もが幸せだと思っている社会なんて、むしろ非人間的であって、実はその意味の方がユートピア本来の意味に近いかもしれない。異なる文化を排除することで成立した今のブータンは、その本来の意味でのユートピアかもしれないと言ったら、ブラック過ぎかな。

■蛇足
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111128-OYT1T00999.htm
--
政府は28日、ブータンに2億円の無償資金協力を行うことを決め、ブータン政府と交換公文を締結した。
--

こういうあからさまな事は、止めたほうが良い。昭和天皇が崩御した時、大喪の礼に参列した先代のブータン国王は、弔問外交はしなかったというのが美談なんでしょ。普通に、JICA経由の支援を強化すりゃーいいじゃないか。

え?今回はハネムーンだからご祝儀か(笑)


●参考
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bhutan/kankei.html
--
ブータンにおける外交上の主要な懸案事項は,ネパール系ブータン難民問題である。1980年代,ブータン政府は,ゾンカ語の普及やブータン式の服 (「ゴ」,「キラ」とよばれる)の公式の場での着用義務付け等国家のアイデンティティー強化のための施策を進めた。これに反発して,1990年秋,南部 ブータンにおいて一部ネパール系住民による反政府デモが展開され,反政府活動グループと警官隊との衝突で死傷者が出る事件も発生した。1991年に入り事 態は一応沈静化したものの,ネパール系ブータン難民がネパール国内に流入した。2007年11月より第三国定住プロセスが開始され,2011年8月まで に,約5万人の移住が完了した(内訳:米約4万2千人,カナダ約2400人,豪約2千人等)。難民の第三国定住プログラムとしては世界最大規模となってい る。キャンプ内には,約6万2千人の難民が残っており,このうち約4万7千人が第三国定住を希望している。2011年4月にティンレイ首相がネパールを訪 問し,2003年から中断していた両国政府による難民帰還に関する協議再開に合意した。
--
 ブータンは国防政策の柱として,国境保全,空港警備,治安維持以外にインドとの防衛協力関係維持を掲げており,ブータンの全国防予算をインドが負担してい る他,インドから資金・装備・訓練の支援を受ける等インドとは特殊な関係にある。また,ブータンには1個大隊規模(約700名)のインド陸軍将兵が常駐し ており,主要なインド陸軍部隊として,インド軍事訓練チーム(IMTRAT)がティンプーに,軍事訓練学校と陸軍病院がハに所在している。また,パロにも インド軍駐屯地が存在し,夏季にはインド本国から派遣された部隊が山岳地訓練を行っている。将校の教育は全てインドで行われており,下士官・兵の教育 も,IMTRATが管理運営するブータン内の軍学校で行われている。この他,部隊訓練もIMTRATの指導を受けている。さらに,ブータン軍は,年に 3~4回,インド陸軍部隊と共同訓練を行っている。
 山岳地形のブータンは意図的に部隊を中隊毎に分屯させており,そのほとんどは,ブータン・中国国境沿い及び重要防護施設の哨所に配置されている。各哨所には,インド陸軍兵士も5~6名ずつ配置されており,ブータン軍を指導している。
--

Fly to Japan

「外国人1万人、旅費無料で日本招待...観光庁方針」(2011年10月10日03時00分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111009-OYT1T00814.htm
「観光庁は、東日本大震災後に激減している外国人観光客の回復を狙い、2012年度に全世界から、旅費無料で1万人の一般観光客を日本に招待する方針を固めた。」

ふむふむ。

「事業費として、観光庁は12年度予算の概算要求に11億円を盛り込んだ。」

げ!?と思った。

この記事に関するmixi日記だの、Twitter上の反応は、案の定だった。無駄使いだのバラマキだのと。

正直、この記事は酷い。まるで、11億単純に増やしたとしか読めない。他の情報を削って、読者に誤解を生じさせる、クソな記事だと思う。こういう場合は、業界紙に限る。
週刊観光経済新聞(第2628号《2011年10月8日(土)発行》)
http://www.kankoukeizai-shinbun.co.jp/backnumber/11/backnumber/kanko_gyosei.html#01
「12年度の概算要求は、政策的経費を今年度当初予算比で1割削減することが要件で厳しい編成となった。ただ、成長分野や地域活性化分野に充てる重点化枠は、削減額の1.5倍を上限に要求できる措置がとられた。
 観光庁の概算要求は、通常枠と重点化枠を合わせた要求額が今年度当初予算比5%増の106億5700万円。このほかに別枠として要求できる震災の復旧・復興枠で3億3400万円を計上。
 インバウンド関係の予算にあたる「訪日外国人3千万人プログラム」の要求額は2%増の88億900万円。内訳は、訪日旅行促進(ビジット・ジャパン)事業が16%減の50億8800万円重点化枠を活用したフライ・トゥ・ジャパン事業に11億8600万円、日中国交正常化40周年記念青少年招請事業に1億円など。」

つまり、通常枠(ビジット・ジャパン)と重点化枠(フライ・トゥ・ジャパン)とで、予算にメリハリをつけたというところだ。
つっこむならここだろう?

「それは、単なる予算の付け替えじゃねーの?」と。

つまり、このニュースに価値を持たせるには、本当にフライ・トゥ・ジャパン事業への重点化は、既存のビジット・ジャパン事業よりも、インバウンド(海外から日本へ来る観光客)回復の手段として適切なのか?という、議論喚起の切っ掛けになるような情報を読者に与えるべきなわけだ。それが欠けるなら、単なる政権批判の材料にしかならない。

旅行業界の現状に興味を持っている人間としては、これは単なる付け替えではなく、かなり面白い試みだと評価できるのではないかなと思っているが、是非とも業界関係者の感想も聞いてみたいところだ。

現在、震災で減少したインバウンドの回復は急務であり、観光地を抱える地方自治体は苦労している。
「京都府、外国人団体旅行に助成金 10月末まで受付」
http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1109060948.html

個人的にも、観光地の外国人観光客の減少は実感しているが、出国日本人ばかり増加しているのは、なんとも皮肉だ。
http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1109161607.html

観光立国を目指す日本としては、外国人が日本に金を落としてくれなければ意味がない。

この手の助成金というのは、実は各観光地で多種多様なものがあるのだけど、普通は旅行会社に対するものだったり、特定の旅行商品(パッケージツアーとか)から割引きするような形式をとっている。ところが、今回のフライ・トゥ・ジャパン事業は、一般観光客を招待するというダイレクトな手法である点が面白い。しかも、ブロガーに期待している。

「世界からの震災復興への支援に感謝を伝え、震災で傷ついた訪日観光のイメージ回復を促す。希望者を募集し1万人に往復航空券を提供する。ブログを開設するなどクチコミの発信力が高い応募者を重点的に招待。「自国民の発信する情報への信頼度が高いことから、クチコミで早期に需要を回復させる」(国際交流推進課)。」

もちろん、ブロガーに宣伝してもらうといっても、招待すること自体も感謝の一環として宣伝するのだから、ステルスマーケティングではないだろう。(まあ、同じことを隣の国がやれば、ステルスマーケティングだと騒ぐオッチョコチョイはいるだろうが(苦笑))

先日の旅博でのJATAのシンポジウムでは、こんな議論があったそうだ。
http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1110031600.html

FIT(Free Individual Travel=個人手配旅行)は回復しつつあるが、団体旅行やMICEが遅れていると。

団体旅行やMICEの誘致は、ビジット・ジャパン事業の対象なわけで、これの回復が遅れているのに、フライ・トゥ・ジャパンでFITを対象に予算の重点化策をとったというのは、ちょっと面白いと思う。FITな1万人のブロガー等を招待して、口コミで各国に宣伝してもらうことが、最終的には団体旅行やMICE誘致につながると考えているのかもしれない。

まあ、ネットの口コミを宣伝に使うというのは、これが私企業であれば当たり前っちゃー当たり前な話だけど、それを観光庁がやるというのは画期的なわけだ(笑)
(俺ってカッコイイでしょ?的な自称クール・ジャパンの経産省も、少しはこういう手法を身に付けるべきだ(苦笑))

シンポジウムでも指摘されてるが、旧態依然としてインバウンド対策が後手後手な国内の旅行業界の現実もあり、業界への直接的なバラマキ支援で効果を期待するより、遥かに合理的な発想に思える。(なお、往復航空券を提供するということは、日本の航空会社が使われるような配慮は必要だろうが、いずれにしても直接金銭を受け取るのは航空会社であり、招待される外国人へのバラマキであるかの批判は完全に間違っている。)

フライ・トゥ・ジャパン事業が成立した暁には、是非とも、最終的な効果をキッチリと評価して欲しい。そして、各メディアは、ちゃんと結果まで報道して欲しい。無理かねぇ...

■追記10/14
観光庁は、3ヵ月単位で訪日外国人消費動向調査というのを発表しており、これが結構面白い。現在、6月分まで公開されている。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

・訪日外国人の旅行中支出額(日本までの往復運賃やパッケージツアー代を除く)の平均が、11万円を超えている
・FITは、ツアー客より旅行中支出額の平均がほぼ倍も高く、13万円を超えている
・国籍別では、ロシア人やフランス人の旅行中支出額が高く、特にロシア人は20万円をよく超えている(彼等は、滞在日数が2・3週間というのも珍しくなく、1週間未満が大半のツアー客とは、消費行動が異なる)

さて、Fly to Japan事業は、その仕組みから恐らくFITが対象となるのだろう。すると、長期滞在で旅行中支出が高額な人々が招待されるのではないか。(というか、そういうプランこそ選ばれるべきだ。)

1万人に対する予算が11億円ということは、1人平均は11万円のコストをかけて招待するわけだが、訪日外国人全体の平均でも彼らは国内で純粋に11万円以お金を落としていく。そこから、旅行中支出の更に高額なFITを招待するということは...

最終的な口コミ効果を別にしても、面白い事業じゃないか?

韓流とクール・ジャパン

■クールXXX
テレビ等の韓流過多を嫌うのは、自分も同じ。
だけど、嫌いなら見なけりゃ良いだけと思っていた。ネットと同じ。
なんせ、嫌いな番組なんて、韓流以外にも沢山あって、やらせだってなんだって沢山ある。
しかも、やらせだからと悪いわけじゃないしね。
川口浩探検隊とか、昔は大好きだった。子供心を、何度裏切られたことか(自爆)

なので、最近のフジテレビへのデモとか、みんな、どんだけTV大好きっ子なんだよ?と驚きつつニュースに接した。


遡れば、クール・ブリタニアなわけだ。
ブレア政権当時、来日してクラブシーンを盛り上げていた英国のDJなんか、実は英国の国家ブランド戦略の一環だったりした。
そんな国家戦略とは知らずに、若者は英国に慣れ親しんだ。
そしてもちろん、興味のない人は、保守による反対運動だの嫌英とか言わなかった。

もっと遡れば、ハリウッドへの憧れ、アメリカへの憧れは、反米と直結しなかった。
日本のTVじゃ、韓流に負けないくらい、アメリカのドラマも流されてきたと思うのだけど、アメリカの陰謀とか工作とは言わない。
ハリウッドの俳優をどんなにヨイショしたって、それも当たり前と、既に刷り込まれてる。
「全米が泣いた」と宣伝され、何度騙されても、それを「デマだ」とは騒がない(笑)
宣伝に見えないような番組で、ハリウッド映画を絶賛されたって、違和感を感じない。

だって、それがテレビだからね。
そんなの、みんな知ってることだ。

何故、欧米は許されて、韓国のソレは許せないのか。単にやり過ぎという問題ではない気がする。自分も、上に韓流過多を嫌うと書いた通り、受け入れられないという感情がどこかにあるので、自分自身にどう説明できるか考えてみたりしたのだけど、そういうことを考えるのはちょっと面白い。

ステルスマーケティングが酷いとか言う話もあるけれど、それなら消費者庁の出番かもしれない。しかし、どっかの消費者団体が問題視してるという話も聞かない。
まあ、民放からステルスマーケティングを完全排除できるなんて到底思えないけれど、それは「韓流に限らない問題」として、十分に議論すべき課題だと思う。

個人的には、フジテレビはノイタミナ流してくれてるだけで、十分ですけど(自爆)


しかし、忘れてはならないのは、我が国は、クール・ジャパンを国家戦略にしてることだ。そして、韓流のアレも、「COOL KOREA」な国家戦略なわけ。
http://www.apalog.com/kurita/archive/937
日本の場合、ステルスし忘れて自分からクールですからと言っちゃって支持されると思ってるのが、むしろマヌケだろというのは、過去にも書いてきた。同じく英国を手本にした国家戦略を遂行する国同士として、むしろ韓国の手法は、参考にすべきと思っていたくらいの話だ。


■コンテンツ規制
ところが、韓国では日本の番組が規制されてきたし、中国だって国産アニメ振興で外国番組比率を決めており、かつてのように日本のアニメが中国で大量に放映されていた時代は終わった。中国が日本の影響を排除しようと、国産番組比率を定めた時は、少なくとも自分は彼らを非難した側だった。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20060830/108901/
http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj200608.html

そして日本は現在、韓国や中国に対し、コンテンツ規制の緩和・撤廃を要請している立場。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai2/gijisidai.html
【資料3】参照
ここで韓流を安易に排斥してしまったら、我が国がクール・ジャパンを海外に押し売りする戦略自体の正当性が失われてしまう(苦笑)

台湾が、国産番組比率を20%から40%に引き上げることになって、それを韓流排除だと喜んでる日本人に至っては、正気を疑う。
http://hamusoku.com/archives/5459259.html
今は日本の番組が少ないから被害が少ない?
永遠に負けてる前提かよ(^^;

パイが縮小すれば、韓流番組が減るのと同様、将来日本の番組が放送される可能性も確実に減る。コンテンツや文化の海外輸出拡大を国策としている以上、我が国にとって、大きいパイのままの方が良いに決まっている。これに逆行する動きに賛同するとは、それこそどこの国の回し者だ(苦笑)

韓流過多なテレビ局やそのスポンサーを、反日、非国民のように非難している人々は、クール・ジャパンをどう見ているのだろう。今、シェアで押されているからと、相手を排斥できるようなルール変更を喜んでいては、将来逆転を狙う手段が奪われる。

韓流排除のために、日本も他国のように外国番組規制をすべきなんて聞くと、何でそっち方面だけ中国や韓国の真似をしたがるのか、本当に不思議に感じる。


かつてフランスは、日本のアニメを「文化侵略を行う敵」と定義した。
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/anime1.htm
韓流に反発してデモする人々は、この頃に日本が言われていたことを知っているのだろうか。

フィリピンでボルテスVが放送禁止された経緯も、忘れてはいけない。
http://www.nx.sakura.ne.jp/~haituu/nhktv.htm

日本のアニメは、国内で利益回収した後、安価に輸出され、粗悪なコンテンツとされていた。ディズニーのフルアニメが本物で、日本のリミテッドアニメは偽物と。安価だからと、粗悪なコンテンツによって文化侵略を許すな、と言われてきたわけだ。

しかしこれが、クール・ジャパンの源流にあることは、誰も否定できない。
今のフランスのアニヲタを見るに、少しは侵略成功という気もしないではない(笑)
日本のコンテンツも、もっと海外で排斥されるべきだったのかね?

(ちなみに、日本のアニメは残虐で、教育上相応しくないと海外で言われだした頃、子供に相応しいと言われたディズニーのアニメも、日本で作ってたりしたんだけどね(爆)
目に見える部分を排除しても、ハッピーにならんのよね。まあ、日本で外国のコンテンツを制限するような法律を作ろうとしたら、アメリカ様が黙っておるまいが。)


今回の騒動をよく理解できないのは、例えばこういう声。
http://www.j-cast.com/2011/08/07103785.html?p=all
>行列に加わっていた女性は、フジの韓流偏重に「不快感」を感じていたと話し、
>「SNSを通じて巻き起こった、エジプトの革命のようなことが日本でも起これば面白いなって」

エジプト人に謝れ(苦笑)

まあ、色んな意見の参加者がいるとは思うけど、一見右翼的主張を左翼的行動原理で実現しようとする、自称保守な、その実は排外主義者にも見えるのだけど、なんとなくファシストと呼ぶのが適当かもしれない。

彼らをネトウヨと呼ぶ人もいるみたいだけど、右翼というよりファシストな気がする。
しかも、革命が起これば面白いって、外山恒一か(笑)

まあ、大した根拠はないけど、外山恒一は嫌いじゃないけどね。
デルクイは面白かったw)


面白いのは、職を奪われるとか生命を脅かされるとか、生存に直結する訴えではなく、テレビが自分の好みでないという、世界にも稀な恵まれた欲求でデモをしている点にある。

自分は、右翼も左翼も、それぞれ一定の正しさを認める部分があると思っているし、ファシストにも一定の理解が可能とは思っているが、どうも今回のはダメだ。

そりゃ、昼間TVつけたら、テレ東以外の民放が全部、韓流かショップチャンネルしか流してなかったりすると、心底ゲンナリする。フジテレビだけじゃないだろう。

でも、TV消すだけで十分なんだよな。(悪態くらいつくけどねw)

ネットで、ファビョッてるサイト見るのと、感想は同じ。公共性云々言う人は、まだテレビを過大評価してるのだろうけど、もうテレビなんてどうでも良いじゃん。
NHKとテレ東とMXテレビがあれば(ry


もちろん、彼らのような(相対的な意味での)第三者ではなく、実際に自らの仕事が侵されていると感じた当事者たる俳優などが抗議するのは、ある程度理解できる。しかしそれも、文句があるならハリウッドみたいに、自分らの職を守るための協定を結ぶように、労働組合運動すべきでしょ。

古今東西資本主義国家では、資本家に対抗するための手段なんて、限られてるわけ。ハリウッドなら全米映画俳優協会。だけど、今の日本人て、そういうのサヨクっぽくてかっこ悪いとか、偏見で自己防衛手段を放棄してないかい?
日本俳優協会なんかは、この一連の問題に対して、何かアクションしてるとは聞かない。


かつて我々がエコノミックアニマルと呼ばれ、経済摩擦の厳しかった頃、アメリカなどで日本製品のボイコットや破壊が行われ、その過激な映像がTVを賑わせていた。過激に日本製品の排斥運動をする外国人の映像をニュースで見る都度、子供心に「そんなにうちらの製品が優秀なのが羨ましいか」と内心ニヤニヤ、「あいつら馬鹿だなぁ」と思っていた。もちろん、日本製品が叩かれたのは、決してステルスマーケティングだからじゃなかったけどね。

ま、アメリカ人が日本車を破壊して、自国メーカーの車に乗ろうと気勢を上げていた頃、そのパーツの多くは日本製だったというオチはともかく、日本人なら、絶対にあんな馬鹿げた方法で抗議しないと思っていた。が、今起こっていることは、なんかそれを思い起こさせる。違いは、対象が無体物ってこと。破壊が難しい(^^;

通常、海外製品が安価に日本に売られることで、日本の事業者が損害を被るなら、ダンピングとしてWTO提訴するとか、公正取引委員会の出番ではないか。

しかし、不勉強で分からんけど、コンテンツに対してダンピングて概念あるのかね?
同等製品が存在しない前提というか、同じものなら著作権侵害の問題かな。
だけど、同等の市場を争う同種のコンテンツは、確実に存在するわけ。
しかも、著作物って、無限にコピーできる概念だから、安価に複製することは非難対象じゃないんだよね。

そういう意味で考えると、構造的には、ネットで違法に映画を無料配信されちゃって著作権者自らが怒るのと、安価な韓流ドラマに押されて市場を荒らされたと感じて俳優とかが怒るのと、ちょっと似てるかもしれない。

非常に難しいとは思うけど、仮にダンピングと定義できたとしても、やはり国内の同業者が声を上げなければ意味がない。国内の番組製作会社とか周辺は、韓流ドラマをどう考えているのか。市場を荒らされていると感じているのかね。

まあ、TPPに反対する農家みたいになったら、そもそもその業界はヤバイと思うけどね。
コンテンツ分野は、元来輸入過多だけど、だからこそ、輸出を伸ばすべき成長分野と目されているわけで、保護対象になんてされたら、もう自称クールなんて恥ずかしくて二度と言えないと思うのだが。

だからこそ、自国ではコンテンツ保護してるような韓流も、クールには見えない。
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011022401000298.html
韓国での日本大衆文化の流入制限とか、いい加減にしてくれ。

早く完全に同じ土俵に立たせろやゴラァ!(笑)
話はそれからだ。

一昨日、信用できると書いた、日本ユニバ震災対策チームが、情報発信を続けている。
http://maruko.to/2011/03/post-108.html

Facebookが、活動報告の場になっている。
http://www.facebook.com/nucct

その情報公開担当&ボランティア採用担当がこの方。
http://twitter.com/kemori63

Facebookでは、以下のボランティア説明会情報が掲載されていたが、もう時間が近いので、勝手に転載しておく。
-->
明日ボランティアの方向けの説明会を開催します。
日時:明日3月19日(土)13時~14時
そのまま作業をお手伝い頂く方もいらっしゃるかも知れません。
場所:東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォーム 2F
地図:http://bit.ly/eeh1Yg

主な作業
1. 被災地向けのドライバー
2. 荷物を受け取り、仕分ける係
3. 電話対応 (秘書および電話業務経験者が望ましい)
4. メールの回答
5. 翻訳(Webサイトの翻訳、英語・中国語およびその他の言語)
6. 写真の撮影 あるいはWebサイトの制作
<--


その他、支援物資を送りたい人は、以下もよくチェックを。
http://www.ud-web.com/oshirase3.htm
http://www.npo-uniken.org/shinsai_busshi.html
衣類等は、一時受付けを中止しているようだ。

昨日の様子が、動画で公開されていた。


なお自分は、面識もない日本ユニバ震災対策チームについての情報の錯綜を整理して、少しでも助けになればと勝手連的にここに書いているだけなので、ご注意を。一応都民なのだけど、諸事情でずっと箱根の山中におり、この一週間歯痒い思いをしている。

東京と連絡を取れば取るほど、食糧の無駄な買いだめや、誰々が関西・九州方面へ避難したという話に、少々ウンザリする。食糧などを大量に買い占め、もしも反省している人は、今からでも遅くないので、日本ユニバのようなNPOに届けることをオススメする。

レストランとか営業してるでしょう?
知り合いも、東京の杉並で、店内の照明など節電しつつ、蕎麦と地酒の店の営業を続けている。みんな、買いだめせずに、外食しなよ。


なお、東京都などの自治体も、救援物資の受付を開始したが、少なくとも東京都は、現地が必要としている食糧等は受付けていない。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/03/20l3hd00.htm

自治体とNPOのできることの違いを理解して、それぞれを生かせる支援を、できる範囲で、心がけよう。

政治献金経験ある?

今まで、外務大臣としての前原氏は、全く支持してこなかった。
このブログでも、丁度一つ前で、中東への対応で批判したばかりだ。

あの性格は、柔軟性の求められる外交には、向かないと思ってきた。だから、前原氏が辞任したこと自体は、その「理由」や、それが「今」である点を除き、許容できなくもない。

しかし、政治資金規制法が想定して排除した献金が、今回のようなケースなのか甚だ疑問。
潔く辞めるのは、氏の性格として、気分としては楽だろうが、それが本当に国益に適うのかね。


それに、政治献金したことがある人間なら、「え?今まで、国籍なんてチェックされたことないんだけど。」って思ってる人が少なくないだろう。

多分、今回の辞任を当然と思ってる人は、政治献金の経験がない人が多いのではないかね?


そりゃ、外国人からの献金が禁じられていることは、どの党だってホームページに書いている。献金する側に、注意が促されている。だけど、あの手の説明は、読まない人間は読まない。

では、献金を受ける側は、どうやって外国人からの献金を排除すべきかね。
ただでさえ、個人献金の文化が一般化していないのに、献金前に戸籍謄本送れとか言われたら、普通は面倒で、献金なんて集まらなくなってしまう。

まさか、振込みした口座や、クレジットカード会社から、名義以外の個人情報が勝手に伝えられているわけではあるまいに。

だから、献金受けた側も、故意かどうかが重用なんだよね。
(というか、献金受けた側が認識していなければ、影響受けないのだから、禁じなきゃいけない理由がない。)


前原氏は、献金者が在日外国人の知人であることは認めたけど、その知人が自分に献金していたことを自覚してなかったと言っているわけだ。

もちろん、それを知らなかったと言っても、アンチ民主な人は「言い訳」と思うだろう。しかし、公民権が停止されるべき法律要件を満たしていたかどうかの事実認定は、裁判所が判断すべき事柄。にもかかわらず、司法の判断もなしに、辞任しちまった。(まあ、わが国が、司法判断を待たずに素人が法的評価をして責任追及するトンデモ国家であることは、今に始まったことではないが。)

つまり、今回の辞任は、政治資金規正法違反によるものではなく、自分が許せない過失を犯したから、続けることが国益に適わないという自己判断の結果でしかない。国会審議を停滞させないためとか言ってるけど、そこは首相の判断に従うべきで、自分で決めることじゃないl。

そんなこと言い出したら、CIAから資金援助を受けてきたことが明らかになっている自民党は、今まで、誰か責任を取ったという話を聞かないのだけど、立つ瀬がないではないか。エジプトのムバラクと、大して違わないのだ。それともまさか、焼肉屋はCIAより影響力が(ry

もちろん、この先、別の責任追及が控えていて、それを避けるために辞任したという話もあるが、それにしたって、本来あるべき司法判断を待つならば、責任を負わされるのは、少なくとも現政権が崩壊するよりは先の話だ(苦笑)

いくら沈み行く船でも、最後まで職責を全うしなさいな。

そんな融通の利かない性格だから、尚更、外務大臣に不向きな性格だとも思うわけだが、民主&前原支持者でない自分でも、今このタイミングで外務大臣が辞任することで損ねる国益は、続けることで損ねる国益より大きいことは、認める。

中国やロシアが、前原辞任を喜ぶ様子が目に浮かぶ。
自民党は、どうやってこの問題点に気付いて、今この大事な時期に、政争のネタにしようと決めたのかね?


あーあ、また自民不支持な理由が増えてしまった。あの党は、どんどんダメになっていく。
国破れて山河あり...では困るんだけどなぁー...

外務省って...

外務大臣は、エジプトに関する前回の発言がコレで
http://www.asahi.com/international/update/0204/TKY201102040404.html
(アサヒ・コム:2011年2月4日20時12分)
「欧米はムバラク大統領の即時の退陣を求めているが、もっと現実的に物事を考えるべきだ。新たな元首を選ぶにも、国民が納得する選挙のあり方も検証されないといけない」

当時の時点で、民主主義国家で唯一と言っても良いと思うけど、明確にムバラク即時辞任に反対というKYっぷりに驚かされたのだけど、今度は辞任後の談話がコレって...
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2011021200088
(時事ドットコム:2011/02/12-09:07)

KYにも程があろうにぃ。

「今後の事態の展開を高い関心を持って注視していくとともに、速やかに民主的政府の樹立に向けての具体的な道程が示され、憲法からの逸脱状態が回復されることを期待する」

憲法が酷いから改正せにゃならんのに、革命の成功が違憲状態で悪いみたいじゃないか。
この期に及んで、ムバラク辞任を喜んでない唯一の民主主義国家なんて称号、いらないんだけど。

今日くらい、リップサービスでも良いからエジプトにエールを送るべきだよー
(追記:リンク先の記事が、アドレスそのままで内容が追加されて、首相のまともな発言が出た。遅すぎるとは思うけど、外務大臣より全然良い。)

「エジプトが早期に民主的政府の下で安定することを願う。エジプトが穏健安定勢力として地域の平和と安定のため今後も建設的な役割を果たしていくことを期待する」

しかも上から目線だし。
今日は、エジプト人の平和的革命を素晴らしいと、敬意を示している国だらけなのに。

前の発言も、今回の発言も、それが中国政府の談話だったら、えらく納得できるような内容に聞こえるのは自分だけか?(^^;;

でもって、外務省幹部は「円滑な政権移行が進まずに政情不安が続けば、エジプトや周辺地域で過激なイスラム主義が台頭しかねない」と指摘(苦笑)

誰だか知らんが、そんな分かりきった、何の足しにもならない指摘は、今イランだろうに。まるで、外務省全体が、ムバラク辞任を迷惑に思ってるのが、伝わってくるようだ...orz

(今まで、どんな投資をし、権益を確保してきたのか知らないが、欧米がムバラク即時辞任を求めた時が損切りのタイミングだったのに、一人逆張りを続け、気が付いたら民事再生手続開始決定で、悪態ついてるだけ、みたいな(苦笑)
反ムバラク運動の始まりを予測できなかったのは仕方ないとしても、その後の情報収集分析能力の欠如は、反省しなさいな。)


ちなみに自分は、心からこう思っているぞ。

エジプトの人々、おめでとう!

なんか、超うらやましい!
こんな平和的に成し遂げたなんて、超カッコいい!

エジプト市民革命の日は、日本の建国記念日と同じになったし、この感動は忘れないぜぇ!

今後、軍部とスレイマンの動向が気になるし、これからが大変だけど、とにかく今は、おめでとう!!!

リーダー不在

相変わらずカイロは凄いね。アルジャジーラの、ちょっと扇動的とも言えるライブ放送に流されないように注意しつつ眺めていても、一連の騒動が、極めて平和的に進行している新しいタイプの革命であることに気が付く。(もちろん、既に100人以上亡くなっているけれど。)

http://salamuna.exblog.jp/15855798/
こういう現地にいた人のブログというのは、大変興味深い。
>*携帯電話ネットワークをまる一日止めたこと
>*インターネットを現在まで四日間以上止めていること
>*四日間続いている夜間外出禁止令
これが、今回のデモ拡大の要因というのは、思わず頷いてしまう。

既に発達したネットワークが存在していたのに、突然禁止されたものだから、逆に国民に、事態の重大性を気付かせてしまったのではないか。
http://asert.arbornetworks.com/2011/01/egypt-loses-the-internet/
いくらなんでも極端過ぎた(苦笑)


それにしても、エジプト女性は勇ましいね。
http://ow.ly/i/7JT4

飛び火したヨルダン女性も、勇ましい。
http://english.aljazeera.net/news/middleeast/2011/02/20112113957115258.html

どこまで行くのか分からんけど、中東における女性の地位が、ちょっと変わったりする切っ掛けになったりして。

でも、チュニジアにしてもエジプトにしても、多分ヨルダンも、既存の政治体制に対する不満はあっても、その先が見えない。反体制のリーダーが不在なのが、共通する特徴だろう。長期独裁政権を倒しても、新政権が結果を出せなければ、日本のように、「前の方が良かった」とか言い出すことは、容易に想像できる。特に、民主主義が未成熟な国では。

しかし、反体制のリーダーが不在だからこそ、既存政権側も、効果的に叩く相手を見つけられない。これが、市民に有利に事が進んでいる最大の理由ではないだろうか。誰かに扇動されずに、宗教や政治的野心なしに、本当に自発的に市民が立ち上がっている。まるでだ。

もちろん、軍隊が国民を攻撃しないというのも、特筆すべきポイントだが、それも、自発的に市民が立ち上がっていることと、無関係ではないのではないか。祭の警備員に徹している?

今までムバラクは、ムスリム同胞団(エジプト最大野党)を攻撃してきたけれど、今回のデモは、ムスリム同胞団が指揮してるわけではない。エジプトの市民が、アメリカのメディアのインタビューに対し、自分たちはイランのようにはならないと訴えていた(だからアメリカも、自分たちを危険視しないでくれと)のも印象的。帰国したエルバラダイも、国内で政治力があるわけじゃないらしい。

それを心配してるのが、トルコだ。
イスラム原理主義勢力の付け入る隙を与えないように、ムバラクはとっとと決着つけろと。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE0E0E4E4EAE4E2E2E2E3E2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2


そろそろ日本も、ムバラク後を見越して、積極的に発言すべきではないだろうか。
何しろ今、一連の動向に対し、自国への影響を恐れる中国は、超腰が引けているように見える。もちろん、中国は軍隊が国民に味方することなんてないので、同様のことが直ぐに起こったりはしないのだけど、とにかく、我が国が中東でプレゼンスを向上させるチャンスだ(苦笑)

え?我が国もリーダー不在だから、将来の国益を見越した行動なんて、無理?
外務大臣は、アメリカの顔色をうかがうのに必死で、中東なんて見えない?
まあ、「前の方が良かった」とは全然思わないけど、もう少しなんとかして(ry

せめてTVも、韓流ドラマばっか放送してないで、アルジャジーラのライブを中継でもすりゃいいのに。
http://english.aljazeera.net/watch_now/

相撲協会も、どうでもいいよ。
今、相撲協会の記者会見を、NHKも、テレ東除いた全民放も、横並びで生中継してるのだけど、バカなの?


>追記1
突然、ムバラク支持派というのが現れて、今、タハリール広場は修羅場と化している。
非常に残念だ。アルジャジーラのライブから、目が離せない。

しかし、ムバラク支持派とは、ムバラクの放った刺客とも、傭兵とも言われている。いわゆる工作員だ。銃やナイフで武装しており、アルジャジーラも欧米メディアも、記者が襲撃を受けて逃げている。

エジプト人には、もちろん純粋にムバラク支持の人も存在するだろうが、少なくとも今言えるのは、支持派は暴力で反ムバラク派を潰そうという意図が明確であり、とても民主主義的観点から、擁護に値しないということ。

http://ameblo.jp/fifi2121/entry-10787594709.html

これを読んで、尚更、流血の事態が作り出されてしまったことを、残念に思う。

>追記2
今夜は、アルジャジーラをニコ生で中継する人や、Ustで同時通訳する人など、リアルタイムで進行中の殺戮劇を伝えようと、個人が頑張っている。対してTVは、何やってんの?

BBCの真似しろとは言わないけどさ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-12307698

高齢化の進んだムスリム同胞団は、ネットとか使えているのか知らんけど、主導権も何も握ってないくせに、KYなこと言って足を引っ張るなって感じ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011020200547

>追記3
http://www.asahi.com/international/update/0204/TKY201102040404.html
-->
前原氏は「欧米はムバラク大統領の即時の退陣を求めているが、もっと現実的に物事を考えるべきだ。新たな元首を選ぶにも、国民が納得する選挙のあり方も検証されないといけない」と述べ、公正な選挙制度の整備といった政権移行準備が整わないままムバラク大統領が即時辞任すれば混乱が拡大しかねないとの見方を示した。
<--

我らが外務大臣は、独裁者と同じ主張をすることに、何の躊躇もないらしい(苦笑)
それ、丸々、ムバラクが言っていることと同じではないか。
そんなことなら、口を開かない方が良かった。国益を損ねる。

恐らく、現地の状況が把握できておらず、把握できている欧米の言う現実的な主張が、非現実的に見えてしまっているのだろう。即時退陣を求めている欧米は、最早、その段階になってしまったことを、把握しているだけだ。前原氏のような、悠長なことを言っている段階ではないと。

本当に、中東が見えていないらしい。

現実的というのは、こういうことだろう。
「ムバラクが辞任する前にすべきこと」
http://www.twitlonger.com/show/8krdi2

箍(たが)が外れる

「海上保安官の逮捕見送り 任意で捜査継続 尖閣映像事件」(asahi.com 2010年11月16日3時15分)
http://www.asahi.com/special/senkaku/TKY201011150198.html
捜査当局は、漁船衝突事件を起こしたとして逮捕した中国人船長を処分保留で釈放し、起訴しない見通しであることも考慮。一方で保安官を逮捕し、起訴に向けて調べるのはバランスを欠くという判断も働いたとみられる。

最初に断っておくが、自分は民主党支持者でも、自民党支持者でもない。
特定の支持政党のない、無党派だ。つまり、日本最大の母集団に属する。

支持政党がないのは、論理的思考の結果であって、政治に興味がないわけではない。
当たり前だが、無数の政策において、自分と完全に意見が一致する政党が存在するわけはなく、優先順位をつけて、意見の合わない政策があっても妥協して支持する、なんて器用な真似もできない。(大まかな方向性で、みんなの党に近く、過去に支持したこともあるが。)

しかし、政党政治自体を否定する立場ではない。
立憲民主主義というものが大好きで、その結果、独裁主義というものが大嫌いだ。

恐らく、ここまで書いたことに、同意してくれる人は多いだろう。ところが、最近の世論報道なんぞを見ていると、その理由においても意見が一致する人は、どうやら少ないのではないかと、少し心配になる。

端的に、「民主主義と独裁主義の、正義の質の違いを説明してください」と質問すれば、わかりやすいだろう。

それでも分からない人には、「独裁主義国家では英雄が正義だが、民主主義国家は適正手続が正義だ」と言えば、多少は伝わるだろうか。

実質的正義 v.s. 形式的正義
実体的真実 v.s. 手続的真実


言い方は様々あろうが、この葛藤は、社会制度の様々な場面に埋め込まれており、意識的に認識しないと、人は民主主義的正義を見失う。

例えば刑事訴訟なら、真犯人逮捕のためであっても、捜査機関が違法に収集した証拠が排除されたりする理由も、根源はここにある。手続を踏まない権力は、民主主義社会においては正義ではない。

最近の分かりやすい例なら、事業仕分けもそうだ。
官僚が、どんなに事業の目的の正当性を主張したところで、「で、その実現手段、おかしいですよね?」というわけだ。(事業仕分けそのものの評価は別にして)

目的が正しくても、その実現手段が不正なら、クロ。


なんでかって?
それが民主主義だから。
結果が全てだと思ってる人は、本当は、独裁国家で英雄でも崇拝していれば、きっと幸せなんだろう。


え、まだ分からない?
ローエングラム朝銀河帝国はカッチョいいーけど、腐っても自由惑星同盟だよね!
ファンタジーの世界で、ラインハルトに憧れるのは構わないのだけど、リアルでは困るのだ。


と、話がそれた...

何が言いたいかと言うと、優秀な独裁者より、凡庸でも手続に則って国民から選出された指導者に正当性があり、その指導者や政党が自分の支持しないものであっても、一定期間は受け入れるのが、民主主義国家ってものだということ。ましてや公務員は。

だから、ヤン・ウェンリーは苦悩するのだ(あれ?)


ところがだ...

泣いて馬謖を斬らねばならぬ場面で、それができないなら、そこで民主主義の正義は否定されたことになる。シビリアンコントロールが利かない暴力装置は、民主主義には不要。

義憤
ナニそれ、ウマイの?魚粉の仲間?
愛国無罪?(失笑)

いくら隣の独裁国家が脅威で、民主主義が心もとないからって、独裁国家と同じ論理で武装したら、その時点で敗北だと思うのだが...

え?中国人船長が釈放されたんだから、海上保安官も罪が問われるべきではない?
じゃあ、海上保安官の罪が問われないなら、中国人船長も釈放されて良かったってことか...って、アホか。


権力は腐敗するから、民主主義は権力の交代を制度として担保する。
しかし、政権交代に慣れてない国での初の政権交代は、民主主義の国家としての弱点ともなる。旧政権の悪行の数々が公にされれば、それまで安定していた社会に、激震が走る。

政権交代以降、驚くような秘密の暴露が続き、妄想(信頼)と現実のギャップに、社会の箍が外れたように見える。そして、それが民主主義に内包される、乗り越えなければならない欠点であることを忘れている人が多い。逆に中国は、民主主義の欠点をよく理解しているから、「それみたことか、民主主義ってのはあんなもんだ。政権交代だなんて馬鹿げてる。」と笑っているに違いない。

そんな中、組織改革の脅威にさらされた検察も、今、正に笑っているだろう。
証拠改ざん問題なんざ、どこかに吹き飛んだ。

それも、船長&海上保安官の処遇という、どちらも検察マターで、見事に吹き飛ばした。

保安官関連の捜査情報のマスコミへのリークの仕方など、世論への燃料投下に慣れていて、流石だと感嘆したくなるほどだ。

異論はあろうが、自分は、船長&海上保安官の処遇に、政治介入があったとは思っていない。否、正確には、意向を伝える程度はしたかもしれない。しかし、それに従うかどうかは、結局は検察の胸三寸だろうと思っている。検察は、以前から普通に、勝手に政治判断をする権力ではあったけど、自民党政権時代はボロが出なかっただけの話だ。ある意味、政権と相性が良かった(苦笑)


民主主義国家において、交代可能性なしの最高権力者=検察は、今後も独裁主義的正義に邁進するのだろうか...と思いつつ、このニュースを見ている。


>追記:11/18
なんだか急に、「暴力装置」が話題だそうで(苦笑)
このブログでも、普通に使ってる単語なんだけど、そんなに珍しいか?
国会議員レベルで通じない人が大勢いるらしいことに、逆に驚いた。仕方ない...あえて言うか。

暴力装置の何が悪い!

自民党は、まるで昔の民主党ではないか。
まさか、丸山議員だって、本当は意味くらい理解してたのだろう?
そんな揚げ足とってないで、他にやることあるだろうに。

つか、官房長官も、言った後に取り消したのが、ヘタレだ。
その場で、別に失礼な言葉ではないと、説明すりゃ良かったのだ。
あれで、変な意味になってしまった。

自衛隊にしても、警察にしても、海上保安庁にしても、自らが暴力装置であることを自覚してこそ、初めて尊敬できるんじゃないか。自衛隊を暴力装置と呼んで、それに謝罪しなければならないなんて、とっくに自覚しているであろう自衛官らに対する侮辱だ。自覚なき暴力装置なんぞ、真っ平ゴメンだ。

もちろん、彼らが本当にウェーバー的な暴力装置なのかどうかは、議論する余地はあるだろうが、それはそれ、別の話だ。

それより、発言が問題になった後、wikiの「暴力」のページから、ウェーバーの「暴力装置」という言葉が「暴力の独占」に書き換えられた

書き換えた人は、「暴力装置」って言葉を消し去れば、仙谷オリジナルとして攻撃できるとでも思ったのだろうか?

別に、「暴力の独占」のページが新規に作られたのは良いけれど、「暴力」のページでの「暴力装置」→「暴力の独占」への書き換えは、日本語としておかしなことになった。そして今は、また別の人が書き換え、やっとまともな文章に直った。これで落ち着くと良いけど。

色々と妄想

さて、中国人船長の釈放について、妄想が止まらない(自爆)

前回のエントリーは、検察の行動を純粋に司法的観点から見たつっこみであった。
http://maruko.to/2010/09/post-93.html

そこで今回は、政治的観点から、止まらない妄想を記録しておくことにする。
なお、ほぼ同じことをForesight Forumにもコメントしている。
「尖閣沖衝突事件について」の、15番のコメント。
http://www.fsight.jp/forum/5769?page=1


そもそも、逮捕せずに国外退去させてれば良かったという話がありますが、少なくとも当時の世論は、公務執行妨害での逮捕に批判的ではなかった。

その逮捕も、現行犯でなく、時間をかけて令状をとっての通常逮捕だったようなので、海上保安庁を所管する当時の前原国交相が考慮の上、逮捕というゲームのキックオフをしたものと思われます。(もちろん令状は、裁判官が発するが。)

そこで、キーマンは前原氏と当たりをつけて、9/8の逮捕後の出来事を関連付けできると、興味深いかもしれない。


9/13:船員ら帰国、漁船返還
外務省はまだ、穏便・迅速な問題解決を目指していた。

9/16:国交相としての前原氏の最後の仕事として、石垣海上保安部訪問
「国民に誇りを与える」云々の発言含め、自らキックオフしたゲームの正当性を確かめるかのような、見事なパフォーマンス。

9/17:前原外相誕生
中国猛反発 & アメリカ露骨に賞賛
分かりやすい両国の反応の差が面白かった。
これによって、外務省も対中強硬路線へ。
(直前の13日、シュワルツェネッガー知事来日に合わせたかのように、「バターン死の行進」について岡田外相が何故か公式謝罪していたが、カリフォルニアの高速鉄道計画受注のため、前原国交相が外務省に謝罪を要請した可能性を妄想していた。同州では先月、同計画の入札参加企業に、戦時中の捕虜収容所などへの捕虜輸送に関する情報を明示するよう求める法案が可決しており、JRは入札に参加できない可能性があった模様。そんな、親米・現実派の前原氏の外相誕生は、アメリカにとって願ったり叶ったり。)

9/19:勾留延長
これが、今回のゲームの勝敗の分かれ目だった。
思うに、公務執行妨害などという分かりやすい罪で、証拠のビデオがあるなら、勾留延長する必要がどこにあったのか疑問。普通に、もしも日本人の事件なら、公務執行妨害程度で勾留延長されたら、違法な別件逮捕に違いないと弁護人が怒る場面。
まあ、普段から検察は、日本人に対しても、適法とは言い難い勾留延長はお手の物なので、いつものノリで、故意との自白を引き出そうとしていたのかもしれないが、外交問題は迅速処理が常識と思っていたので、かなり不思議な対応に見えた。同時に、証拠のビデオって、起訴するには説得力に欠けるような内容で、自白頼りだったのかと妄想。
(この部分が前回のエントリー
 →中国大猛反発。本格的な反撃開始。

同日、前原外相は、米軍普天間飛行場の移設問題について、11月のオバマ大統領来日までの解決をなぜか否定。

9/21:北沢防衛相、上記前原発言に不快感
前原外相スタンドプレーが発覚。

9/23:日米外相会談
なんと、反発されてもおかしくない19日の前原発言と同趣旨の話に、アメリカも賛同。加えてクリントン氏から「尖閣は日米安保条約第5条が適用される」発言ゲット。
19日の発言は、アメリカの了承を得ているか、得られるとの確証があってのスタンドプレーだった可能性を妄想。

9/24:船長の釈放決定
前原外相曰く、「夜中、寝てるのを起こされて初めて釈放を知らされた」とか。
ゲーム前半戦完敗で強制終了。しかし、とにもかくにも、キックオフの目標は達成されたのか、釈放には前原外相もアメリカも納得の模様。
事態は収束するか...と思いきや

9/25:中国、謝罪と賠償を要求
前半戦終了のホイッスルが聞こえないらしいKY中国は、謝罪と賠償を求めてプレー継続中。後は、中国が休憩無しで後半戦に突入するか、世界中の観客が様子見。←イマココ

キックオフの成果:
やっぱ中国と張り合うにはアメリカが重要だだから、普天間問題も、沖縄に我慢してもらうしかないよねー的な世論の種まき完了。

妄想1:
そもそも、逮捕せずに国外退去させときゃ良かった問題を、前原キックオフで試合開始してしまい、ゲーム進行につれてアメリカの存在意義が重要視されていく状況と、アメリカとツーカーな前原氏に疑問符を抱く人々が、ゲーム終了のタイミングを計っていた。

妄想2:
検察は、起訴に至るには証拠に乏しく、自白が得られずに落しどころに困っていた。かと言って、公務執行妨害でなく、外国人漁業規制法違反で起訴なんぞしたら、本当に別件逮捕になってしまう。国際問題でそれはマズイ。勾留延長せずに迅速処理していれば妥当と言えた結論が、時機を逸して妥当でなくなってしまった。しかし、勾留期限ギリギリまで頑張っても同じ結論だったら、もっと妥当でなくなると焦っていた。


ま、こんな妄想は、政府がビデオを公開してくれれば、すんなりと解決するのですが...

ちなみに、日中関係への配慮は、「証拠」に当たるそうです by.法務省
http://twitter.com/kawauchihiroshi/status/25482006841
司法試験受験生の皆さん、刑訴法の論文試験で、是非書いてみてください(自爆)


蛇足:
今回、胡錦濤の名前がメディアに全く出てこない気がして、不思議に感じている。外交能力に難有りと言われる次期主席候補に問題処理を担当させて、外交能力を試してるのかなと妄想。あちらの国では、そういう試金石は珍しくない。なんというか、習近平っぽい横柄な対応だなと思っているところ。


>追記:9/28:参院外交防衛委員会
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100924-728653/news/20100928-OYT1T00431.htm
-->
『前原氏は「尖閣諸島は日本の領土で、主権をしっかり守っていく」としたうえで、衝突の様子を撮影した海上保安庁のビデオの内容を踏まえ、「中国漁船がかじをきって体当たりしてきた。故意ではなくミスなら、エンジンを逆回転して離れる措置をとるはずだが、そうした形跡はまったくない。公務執行妨害での逮捕は当然だ」と語った。』
<--

う、うーん、あなたの自己正当化は分かったから、とっととビデオを公開して、国民を安心させてくださいな。シー・シェパードの時は、すぐにビデオが公開されたわけで、今回なかなか見せられない理由って何なの?

まさか、公開すると国益を害する?


>追記:9/29
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100929-OYT1T00180.htm
なんか、この記事が疑問に答えてくれてるようで、全然答えてないのでつっこみ。

>ビデオは刑事訴訟法47条で「非公開」と定めた「公判の開廷前の訴訟に関する書類」にあたるとしている。

確かに、不起訴記録中の書類ですら、「訴訟に関する書類」に該当するので、47条本文該当というのは理解できる。しかし、同条には但書きがある。

-->
刑事訴訟法47条:訴訟書類の非公開
訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

<--

「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる」ってことで、公開よろしく。

47条本文の守秘義務が解除されるか否かの判断は、47条の立法趣旨(訴訟に関する書類が公判開廷前に公開されることによって、訴訟関係人の名誉を毀損し、公序良俗を害し、または裁判に対する不当な影響を引き起すことを防止する趣旨)と、公益上の必要性、相当性とを比較検討する。

既に事件の内容は報道されていて、先方も公開しろと言ってるし、公益上の必要性・相当性は言うに及ばず...では?

拘置期限?

新聞て奴は、ありもしない法律用語を勝手に作るから不思議だ。
毎日に限らず、読売とかもそう。

尖閣諸島近くでの中国漁船による公務執行妨害事件で、先日、中国人の船長の勾留が延長された件も、勾留期限のことを拘置期限とか勝手に呼んでる。どうしてそうなったの?

http://mainichi.jp/select/world/news/20100920k0000m010115000c.html

ところで、起訴前勾留の延長には、裁判官が「やむを得ない事情がある」と認める必要がある(刑訴法208条2項)。

>同幹部は「『日本は法律の枠内で適切に処理する国』ということを中国に知らせる必要がある」と語り、中国側に粘り強く理解を求める考えを強調した。

と言うからには、勾留延長が違法であってはならない。
つまり、勾留延長の理由が、本当に「やむを得ない」のか、とても問題。

なんせ今回、公務執行妨害である。

本来は、とても単純な話であって、勾留を延長せにゃならんほど複雑な逮捕理由ではない。それが今更になって、何か時間がかかる理由があるのなら、逆に心配だ。証拠のビデオとかも、当然あるわけでしょう?

報道されている通りなら、勾留延長なぞせずに、とっとと起訴すりゃ良いのだ。


これ、仮に中国とか関係なくて、普通に日本人が逮捕されたケースで置き換えるなら、公務執行妨害程度で勾留延長された日には、勾留理由以外に何か目的とする「本件」があって、その証拠が足りないことを隠して取調べをする、いわゆる違法な別件逮捕ではないか?と疑われても仕方ない。

実務の別件基準説では、別件について逮捕の要件をみたすのであれば、別件での逮捕は適法だ。しかし、何か他の「本件」の取調べをするために、それを理由として示さずに勾留延長してたら、『日本は法律の枠内で適切に処理する国』とは言い切れなくなってしまう危険がある。

そしたら案の定、こんな報道もされているわけだ。

http://mainichi.jp/select/today/news/20100920k0000m010076000c.html
>保安部は、漁船が不法操業していたとして、外国人漁業規制法違反容疑でも捜査している。

こういう情報がリークされるということは、検察はいつもの調子で、別件の公務執行妨害を切っ掛けに、本件の外国人漁業規制法違反の取調べをやってるのではなかろうか。

令状主義を潜脱し過ぎないでおくれよ(苦笑)


一応、勾留事実と同時期に敢行された同一・類似の手口の余罪は、「牽連する他の事件」として相当の限度で考慮はできるけど、勾留事実よりも余罪の方が重要そうというのは、ちょっとね...せっかくの、公務執行妨害という機転を利かせた判断が、無駄になる。

まあ、別件でなくとも、普段から日本人に対して検察は、理由らしい理由のない勾留延長を平気でやってるから、ここは平等に違法に外人も取り扱うつもりかもしれないが...そうでないことを祈るよ。


ということで、公務執行妨害なら公務執行妨害らしく、チャチャっと起訴なり結論出してくれないと、物凄く心配。

重要な証拠のはずの船や船員達は、既に返してしまったのだし、外国人漁業規制法違反なんて、今更無理に自白頼りに立件しようとしなくて良い。

後から船長に、自白を強制されたとか文句言われたら、目もあてられない。

取調べの録画(可視化)はしてるかい?
くれぐれも、つっこみどころ満載な調書を、検察官が作文しないでおくれよ。

無駄に時間をかけると、妥当な結論だったものが、妥当でなくなってしまうかもしれない。


>追記9/24
このタイミングで釈放とは意外。

これが、単に故意の自白を強制するための勾留延長だったなら、珍しいけれど釈放は妥当とも言えるかもしれない。しかし、この理由はない。

「わが国の国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上被疑者を拘束して捜査を継続することは相当でないと判断した」by.那覇地検次席検事

検察が、政治的判断で法を曲げると公言するとはね。
まあ、公然の秘密ではあったが...ブッちゃけ過ぎ。

しかし、妥当な結論が妥当でなくなった場面に至ってから、ビビって言い訳のつもりで、さも政治的判断をせざるを得なかったとして、自らの判断ミスの責任を他になすりつけているようにも見える。公然とはいえ、一応は秘密だったことを、次席検事は忘れてしまったのでは?(苦笑)

報道では、政治が介入した可能性も論じられているが、本当に介入があったなら、むしろ絶対に秘密にされるはずであって、記者会見で疑念を抱かれるようなブッちゃけはしないだろう。

「衝突された巡視船の損傷の程度が航行ができなくなるほどではなく、けが人も出ていない。船長は一船員であり、衝突に計画性が認められない」by.那覇地検次席検事

結局、起訴に至る証拠が乏しい、と言っているのだろう。勾留延長後の報道では、証拠ビデオは、故意を認めることができるとは言いきれない内容とも言われていたことからすると、所詮は、勾留延長に無理があったということに尽きる。

これが普通の日本人の事件なら、違法でも気にせずに勾留し続けるのだろう。しかし、地検が問題の大きさにビビって、ある意味、適法な判断をせざるを得なくなったのだとしたら、皮肉だ。

思うに、勾留延長せずに、状況が悪化する前に迅速に処理していれば、まだ起訴できた可能性が高かったのではないか。カードを切る順番を、完全に間違えたように見える。

駄々をこねれば法が曲がると、一人っ子国家に学習させてしまった。

微笑ましいとは言えないが

以前、中国(上海)に帰国できずに成田で篭城生活して話題になった、馮正虎氏のツイートは、時々日本語に訳されていて面白い。

http://twitter.com/fzhenghu/status/21126110686
http://twitter.com/fzhenghu/status/21126135718
http://twitter.com/fzhenghu/status/21126147827
http://twitter.com/fzhenghu/status/21126176477

今なんか、自宅に軟禁状態なんだけど、この物腰の柔らかいツイートときたら(^^;

http://twitter.com/fzhenghu/status/21075144163
http://twitter.com/fzhenghu/status/21075172980

暑い日には、自分を軟禁してる警察官らに、ウーロン茶配ってねぎらいまでw

馮正虎氏曰く、中央政府はまともなのに、法を無視して馬鹿をやってるのは上海のトップで、警察の下っ端は上司の命令に従わざるを得ない、馮正虎氏同様の被害者、という流れ。

ある意味、上海閥v.s.共青団(江沢民v.s.胡錦濤)という分かりやすい構図。

パソコン買っては上海警察に押収されてる馮正虎氏は、PayPal経由で支援を得ているのだけど
http://twitter.com/fzhenghu/status/21075075345
http://twitter.com/fzhenghu/status/21045248984
変な感じ(^^;

http://twitter.com/fzhenghu/status/21045191128

この調子で頑張ってくださいw
もう、ある種の人徳です。

TVや新聞は取り上げないだろうけど、ネットが使える自分としては、馮正虎氏の日々のつぶやきに興味を持ち続けたい。


蛇足:全く関係ないけどおもしろ動画

本名が山田太郎って

さて、後藤弁護士擁立問題で、みんなの党の支持はやめた(前のエントリー参照)のだけど、後藤氏と真逆の主張をする、同じみんなの党の参院選比例の候補者がいて、その人が面白いもんで、個人を応援することにした。その名も、「山田太郎」である(悪いが、つっこまざるをえまいw)

参院選の比例は全国区だから、投票する側としても、非常に都合が良い。全国どこに住んでいようと住所に関係なく、比例の投票用紙に候補者名を書けば良い。すると、非拘束名簿式だから、同じ党で落としたい、あの比例候補者は、党内での順位が下がって落選する可能性も増したり増さなかったり?w


山田氏は、連日夜になると、ニコ生とUstで、ダダ漏れ会議を始める。
そして、毎日最後に、その日までの累積した選挙費用と、体重を発表している。
つい数日前、ついに出費が一千万円を超え、イタイイタイと嘆いていた。
テーマは、政治と金と体重だそうだ(笑)

合計額は、HPのトップにも掲載し、毎日更新している。
http://www.yamadataro.jp/

献金は一切受け付けていない(素人には公選法がややこしくて、献金のもらい方を間違えて公選法違反になるくらいなら、もらわない方が良いとか)そうで、党からの支援金もなく、丸々自腹出費とのこと。公認と言っても、かなり放任されてるようだ。

http://www.yamadataro.jp/profile/career
経歴を見れば、当初は外資系ばかりに勤めている。アメリカのCADの会社で副社長までなったが、モノ作りサポートと言いつつ、何で外資をこんなに儲けさせるんだと、外人に心を売ってるような気がしたそうだ...俺は日本人だ、と。

で、自ら会社設立に至る。

出費が一千万超えの驚きの瞬間:01:17:00

この日は、政策ではなく、幼馴染が山田氏の人柄を引き出そうというダダ漏れらしいが、こんな内容で良いのか心配になるほど、ぶっちゃけトークをする。しかし、そういうのを生で流して、修正がきかない状況を、意識的に作っているそうだ。

そもそも、自分が山田氏に興味を持ったのは、創作物表現規制に反対の立場を明確にしたからだ。
http://www.yamadataro.jp/blog/534

しかしまだ、↓この辺までは、内職っぷりに大丈夫だろうか?という思いもあった。

ダダ漏れ戦略会議6月18日 :ラベル貼りしながらダダ漏れ


印象が変わったのは19日のダダ漏れ。再度児童ポルノと表現の自由規制問題を取り上げた(13分あたりから)のだけど、加えてこの日は、知財、コンテンツ、ギャンブル、電子マネーの話と、自分的に、どストライクであった(^^;
当たり前の感覚で、当たり前のことを言ってくれる。後藤氏と議論しても良いともw

とにかくこの日は、面白すぎた(自爆)

ダダ漏れ戦略会議スペシャル6月19日


山田氏は、表現の自由問題に詳しいわけではないが、まともな人権のバランス感覚がある、製造業やロジスティックスに軸足を置いた経済人なのだ。しかも、とにかく自らの意見をはっきり述べる。しゃべりすぎというくらい、時々止まらないw

加えて重要なことに、語ることが、とても分かりやすい。

昨日も、↓12分あたりからの、公務員改革と道州制、クラスタの見直しの話とか、なんというか、話が具体的で政治家っぽくないのが良い。

ダダ漏れ戦略会議6月20日

ニコ生ユーザーからの、厄介な問いかけにも、タブー無く答える。
経済政策が売りなのだから、南京問題なんて質問はスルーしても良さそうだが、躊躇なく答える。
実は、守備範囲が広いのだ。

世界50カ国、地球3周回って、紛争、虐殺、飢餓地域を見てきて、意見がいっぱいあるけれど、今の日本にとっては経済が最大の問題だから、経済問題をメインにしているのだそうだ。ろくな経済政策を語らずに、外国人参政権問題などを情緒的に訴えてばかりの他の候補者とは、雲泥の差かもしれない。


面白かったので、過去のダダ漏れも少し見てみた。
環境問題を、リサイクルとロジスティックスで論じるのも面白かった。

時間があったら、他の過去動画もチェックしたい。


さて、比例の投票用紙は、「ドカベン」て書けば良いのかな?(チゲー)


山田太郎公認発表記者会見:5分くらいから


>追記

製造業と品質管理:8分~
江戸時代の藩主による産業育成から、クラスター、中国進出まで、話が熱いw
製造業はもうダメかと思ってたけど、山田氏の話を聞いていると、何がネックで、どうすると良いのか、具体的に分かってくる。精密機械工学科出身でありながら、製造業には進まなかった自分には面白い。こういう話をする政治家は、見たことない。

経済5レンジャー記者会見:14分くらいから、山田太郎オンステージ(笑)

しかし、オヤジギャグなネーミングセンスはどうにかならんのか...


>追記6/23
HP更新可能最終日になって、ダダ漏れ内容を題名にして、過去動画が見やすく並べかえられた。なんかね、毎週楽しみなラジオ番組みたいだ。
http://www.yamadataro.jp/schedule

Foresight休刊かよ!

フォーサイトが、20周年の節目となる来年4月号で、休刊が決まった。
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/
編集長が語る今月のフォーサイト
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/201001/monthly.html

とてもショックだ。


(1)厳しい出版状況に直面する中で、全社的な事業の再編、特に雑誌部門の見直しが避けられなくなったこと
(2)二十年間の健闘はあったものの、今後の収支改善の見通しが立たないこと
(3)インターネットの普及で、国際政治経済情報を扱う月刊誌の役割が大きく変化したこと

この3点が、休刊理由だそうだ。
http://www.shinchosha.co.jp/info/emergency/foresight.html

かつて、「ウェブ進化論」の梅田望夫が「シリコンバレーからの手紙」を連載していた雑誌であることを思い起こしても、ひとつの時代が終わるかのように、感慨深い。進化に追いつけなかったわけだ。

我が家では、母親が創刊号からの読者だった。
その影響で、自分も読者になった。

社会人になってから、他に定期購読していた雑誌といえば、「エイビーロード」しかなかった(オイ!)自分にとって、フォーサイトによってもたらされる情報は、常に貴重だった。

一人暮らしを始めてからは、たまに実家に帰った時に目を通す感じだったが、今年は公式の読者ブロガーとなり、毎月献本してもらって、記事をブログで取り上げてきた。しかし、結局読者増加には貢献できなかったわけだ。


どうやら、現在の読者数は約2万2千人程度だとか、某所で目にした。

値上げしてでも存続してほしかった読者も、少なくないだろう。
存続のために必要であったなら、一冊千円が二千円になったって、自分は買っただろう。
店頭販売のない雑誌を定期購読する読者なのだから、普通の雑誌の読者とは思い入れが違ったのではないだろうか。

印刷と配本にコストがかかるなら、PDFでダウンロード販売でも良かった。同じ編集部で、有料でWeb化してくれれば良かったのに...
(ちなみにエイビーロードも、インターネットの普及によって情報の即時性が求められるようになり、月刊誌の存在意義が問われ、無料でWeb化した。)

冗談みたいだが、今月号に「米既存メディアに吹きすさぶ寒風」という記事があった。この2年で、米メディア界では4万7千人が職を失ったという話だ。ここに書かれている、メディアが経営を悪化させた3つの理由は、恐らくフォーサイトの休刊理由の(1)と(3)にも関係する。自戒の念を込めての掲載だろうか?(苦笑)

1、不況による広告収入の激減
2、収入源になっていた求人広告や不動産情報が無料のネットサイトに奪われた
 (既存メディアよりも、広告効果が分かりやすいため重用される)
3、読者の生活習慣の変化

特に「3」が重要だ。
携帯電話などで短いニュースを「見る」ことに慣れた人々は、新聞で深く「読む」ことをしなくなったというのだ。

記事は、その結果として、地方紙の衰退で記者の減った各地の州都で、既に州政府の腐敗が目立つようになったという。そして、権力の監視という、民主主義の存立に必須の伝統的メディアの役割をどう守るか、様々な事例が紹介されていた。


しかし思うに、日本での「3」の変化は、ちょっと違うのではないか?
例えば、政治的なニュースに興味すら示さなかった層が、短くとも、ネットでニュースに「触れる」ようになったとも見える。mixiなど利用していると、興味がなくともニュースが目に入るようにサイトが作られているから、言葉足らずのニュースを鵜呑みしたり誤解したりして日記を書いている人々を多々見かける。そして、2ちゃんであれ、まとめサイトであれ、興味を持った個別の事案について、日本のネット利用者は、「読む」ことを嫌っていない気がする。少なくとも、twitterで政治家と直接つぶやける現在、一方通行の伝統的情報メディアのみの時代より、民主主義が進歩してる気がする。mixiも2ちゃんもtwitterも利用しない人は、既存メディアに依存したままだろうから、「3」は該当しないかもしれない。

問題は、「チラシの裏の落書き」と、「価値ある情報」の違いを、見分けられない人が少なくないだけだ。世の中には、買うべきニュースソースがあることを知らない層が、増えたかもしれない。そういう意味で、日本にも「3」が該当すると思うし、そういう意味で、フォーサイト休刊理由の(3)も正しいとは思うが、解釈は逆だ。インターネットの普及で、国際政治経済情報を扱う月刊誌の役割が大きく変化したが、だからこそ「重要度が増した」と思っている。

インターネットの普及で、有象無象の情報が氾濫している今こそ、フォーサイトの視点で、月刊誌ペースで深みのある情報を提供するメディアが必要だと感じる。しかしそれが、紙媒体である必要は無い。


ちなみに今月号では、アフガニスタン、イラン、イラク、アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮といったいつもの記事もさることながら、以下の記事を集めた『「王室」の研究』という特集が良かった。
-->
女性が担う欧州王室の未来 三井美奈
二つの民族間で揺れるベルギー王室の挑戦 大野ゆり子
「王制論議」が示すタイ社会の地殻変動 樋泉克夫
ハシム家とサウド家「二人のアブドラ」 三井美奈
両陛下カナダご訪問に見る「皇室外交」の意味 西川恵
-->

加えて、歴史作家が連載する「国際人のための日本古代史」では、『遷都1300年「平城京」で起きた聖武天皇と藤原氏の暗闘』だ。

こうして、現代における各国の王室の状況と、皇室外交のあり方を特集しつつ、はるか昔の政治の道具そのものだった天皇に関する史実も読んだ上で、小沢の問題発言についての記事も読める。

いやはや面白すぎる。こんな雑誌が休刊とは、本当に残念だ。

世の中、即時性を要する情報と、そうでない、短絡的では困る情報があるのであって、インターネット時代であろうと、月刊誌のペースで情報発信する媒体の存在意義は、十分にあると思う。ネットは、読者の情報収集能力に依存した情報を得るには適しているが、自ら日常的な興味の範囲外について、多重的かつ多様な情報を吸収するには、信頼できる編集部の視点に一定程度依存できる雑誌は、大変有り難い。Googleの検索結果とは違う。

また、そういう情報は、毎日大量に得られることは望まない。一ヶ月に一度、フォーサイトが届くのは楽しみだったし、届くと興味の有無に関係なく、一気に読破した。ネットでは、毎日情報が氾濫していて、そこから取捨選択し、無駄な情報を排除するのに必死だが、月刊誌に接する場合、情報への自分の接し方は、180度異なる。

民主主義には、両者が必要なんじゃないか?


ところで、フォーサイトの場合がどうだか知らないが、大半の出版社には、「紙」の流通に関する異常なピンハネ構造があって、出版コスト削減を阻んでいる。もしかすると、ピンハネだけではなく、Web化で「紙」が無用となること自体に抵抗してたり...と想像したくなる。

旧態依然とした二重三重の「卸」が、仕入れや納入の実態なくして、利益だけ取っている場合が多いそうだ。出版社は、印刷会社から紙を購入すれば、効率的で安価にできる。ところが、そうしている出版社はごく少数派。大半は、製紙会社から二次三次卸を経由させた紙を、印刷会社に納入して使う。そして卸は、実は出版社自らが設立していたり、何故か出版社毎に特定の「卸」が独占していたりして、そこには出版社の創業者一族が名を連ねていたりする。営業努力なしに常に黒字の、優良企業だ。

どこの世界にも、かつては存在意義があったのに、今は無用な長物と化してしまった既得権益団体のようなものがあるものだ。そういう仕組みの効率化こそ、先に着手されるべきだ。しかし現実は、淘汰されてはならない情報誌から、インターネットの影響を言い訳に、淘汰されてしまう。インターネットは悪くないのに...


さて問題は、今後だ。
読者数の多い雑誌は、買う価値を感じない。
学生時代、サブカル雑誌と化したガロをレジに持っていった時の心理に似ているw

あ...だから、自分の買う雑誌は、軒並み消えていくのか?(自爆)


フォーサイトと多少近い雑誌に、「選択」がある。上記の紙流通の問題は、実家になぜか届けられた、「選択」の試供本に掲載されていた。興味深い雑誌だ。しかし、フォーサイトと違って、各記事の執筆者が無記名なのが気持ち悪い。


困ったな...

アルカイダとかタリバンとか

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2666395/4942097
-->
【11月21日 AFP】イエメンの首都サヌア(Sanaa)北東のアルハブ(Arhab)で日本人男性技術者(63)が地元部族民に拉致された事件で、解放交渉にあたっている部族関係者は21日、男性が20日深夜から21日未明にかけて、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員に身柄を拘束されたと語った。
<--
http://www.asahi.com/international/update/1122/TKY200911210395.html
-->
イエメンで日本人技師が地元部族民らに拉致・拘束された事件で、AFP通信は21日、部族関係者の話として、技師の身柄が国際テロ組織アルカイダ系武装組織の手に渡ったと報じた。イエメン当局者や在イエメン日本大使館は否定しており、真偽は不明だ。
<--

色々と情報が錯綜している。

そもそも、どうしてイエメンでアルカイダ(アル・カエダと表記した方が良いみたいだけど、アルカイダの方が日本じゃ浸透してるので、ここではアルカイダと表記する)が関係するのか、分からない人も少なくないだろう。

実際は異なる可能性もあるが、しかしながら、アルカイダに身柄を拘束されている可能性が、十分にありえる話であることは事実だ。

フォーサイト12月号が、タリバンやアルカイダ関連の記事が多く、かつそれぞれの記事が異なる視点からのもので、相変わらず面白かった(『次なる火薬庫「イエメン」の現在』、『アフガニスタンに移り始めた外国人テロリスト』、『タリバンとアル・カエダ "主敵"を見極められない米国』等)ので、その辺の浅知恵も交えて書いてみよう。
(今月のフォーサイトは、民主党関係や中国関係、JAL関係...どの記事も外れは無かったのだけど、実は外交・安保を誤った白村江の戦い  なぜ中大兄皇子は猪突したのかがオススメ。外交は難しいw)

・なぜイエメンでアルカイダ?
そもそも、イエメンとはどんな国か。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2378883/2837848
単なるロリコン国家...ではないw
アラビア半島で、唯一共和制をとる立憲国家であり、女性にも参政権が認められ、言論の自由もある(大統領個人への批判を除き(苦笑))。しかし、国民の半数近くが貧困に喘いでおり、豊かではない。だからこそ、JICAの委託で、日本人が教育支援事業に従事していた。そして、テロとの戦いでは、アメリカの同盟国だ。

ところがイエメン政府は、北部のイスラム教シーア派武装組織フーシ派とのサアダ戦争にかかりっきりで、もう5年になり、経済は大打撃を被っている。そんな状況で、政府の管理が及ばない地域で、アルカイダが勢力を拡大しているのだ。(フーシ派とアルカイダは、関係ない。)
昨年9月には、首都サヌアでアメリカ大使館が爆破されたが、今年1月にサウジアラビアとイエメンの組織が合流し、「アラビア半島のアルカイダ」を設立。8月には、サウジ王族の副内相の暗殺未遂事件を起こしている。イエメンが安定しないと、アルカイダが活気付き、アラビア半島全体を不安定にするため、今後の注目地域だ。

そんなところなので、日本人が誘拐されれば、アルカイダが関係している可能性も否定できないわけだ。

・アルカイダってアフガニスタンでは?
でも、アルカイダってのは、アフガニスタンで米軍が戦ってる相手なんじゃないの?という疑問を持つかもしれない。

実は、パキスタン・タリバン運動(TTP)が、アルカイダ系の外国人戦闘員約5千人を抱えており、これを最近もアフガニスタンに送り込み、NATO軍の補給路封鎖に動いていた。そして今、パキスタン軍が、TTPを攻撃している。
http://mainichi.jp/select/world/news/20091119ddm007030069000c.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009111702000079.html
パキスタンとアフガニスタンのタリバンは、一見兄弟関係だが、現状は全然違う。アフガニスタンのタリバンは、パキスタン政府の支援を受けて育ち、決別したとはいえ、今も対立していない。しかしTTPは、パキスタン軍から攻撃されているわけだ。以前は、パキスタン軍もTTPとの対立を避けていたが、最近TTPの過激化が酷く、アメリカの圧力もあったが、ついには掃討作戦に出ることになった。つまり、反米で共通していても、タリバンとて一枚岩ではない。

そして、アルカイダは、タリバンがアフガニスタンの政権を握っていた当時は、その支援を受けていたわけだが、今は特に連携が見られないという。これもTTPとの違いだろう。アフガニスタンでは、タリバンがケシ栽培で資金が豊富なのに対し、アルカイダは資金難で、活動範囲を縮小している。

短絡的に考えるべきではないけれど、アルカイダは、アフガニスタンからイエメンに、活動の場を移しているのかもしれない。まあ、そもそもアルカイダは、組織として明確な団体ではないので、移ったというよりも、アフガニスタンでは廃れ、イエメンで流行しだした、ということかもしれない。だからこそ、TTPの支援で、アフガニスタンに5千人を送り込もうと...
この辺は、想像するしかない。

・アメリカはアフガンで誰と戦ってるの?
すると、テロとの戦いをアフガニスタンで展開する米軍は、誰と戦っているかといえば、アルカイダはメインではない。かつてのアフガニスタン政権を担っていたタリバンが、反政府武装勢力として活発化しているのであり、これを潰すにはゲリラ戦に勝利しなければならない。

ここに、アメリカ政府内でも迷いがあり、アルカイダとの対テロ戦に集中するか、タリバンとの対ゲリラ戦に集中するか、一本化できてない。オバマ大統領は、テロとの戦いと言うが、アフガニスタン駐留米軍司令官が4万人の米軍増派を提案しているのは、ゲリラ戦マニュアルに従った計算だそうだ。テロとゲリラの違いは...(ry

・まとめ
まあ、日本人からすれば、アルカイダだろうがタリバンだろうが、テロリストだろうがゲリラだろうが、そんなの関係ねー!かもしれない。

しかし、イエメンで日本人を拘束しているのが、アルカイダなのか、現地部族民に過ぎないのかは、その結果に大きな差が出そうだ。

仮に、当初は接点が無かったとしても、アルカイダがこれを利用しようとする可能性も否定できない。

犯人側が釈放を求める男は、イラクで対米ゲリラ戦に参加し、イエメンで4年前から裁判を経ずに拘束されている22歳ってことで、何歳で戦闘に参加してたのか興味深い。

日本政府は、テロを根絶する気があるなら、アフガニスタン支援だけではなく、イエメン支援の強化も検討した方が良い。そうじゃなきゃ、単なるモグラ叩きになってしまう。まあ、気がついてないだろうけど(苦笑)

JALの赤字と論点のすり替え

前原大臣は、国交省の役人から、どんな説明を受けているのだろうか?
どうも、自分が矛盾したことを言わされていることに、気付いてないようだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090927/fnc0909272327003-n1.htm

一県一空港政策のカラクリに気付いた点は、素晴らしいのだが、解決策の方向性がおかしい。

-->
日本航空が地方空港を拠点にした不採算路線の運航を強いられ、それが深刻な業績悪化につながったことを考慮し、空港整備のあり方を改革する。
<--
-->
日本航空も地方空港路線の赤字が経営の足を引っ張る構図となっている。前原国交相はこうした旧空整特会を見直すことで、採算の合わない地方空港の整備を中止する。空港使用料や着陸料の引き下げなどにもつながりそうだ。
<--

なんか、まるで地方空港が悪者みたいな、怪しい風向きの情報操作を感じる。確かに無駄に空港が作られた。だが、地方空港の立場を代弁するとこうだ。
JALじゃなくてもいいんだよ!

飛んでくれそうな航空会社だってあるのに、カボタージュ規制を緩和しようとしないのは、国交省じゃんか!

TVや新聞等の旧メディアの連中は、カボタージュ問題を何故取り上げない?
相変わらず、役人のリークする情報操作をそのまま垂れ流しか?

確かに、JALを基準に考えたら、黒字路線なんてほとんど成立しないだろう。
だけど、LCCが一般化し、バス運賃みたいな航空運賃も珍しくない世界の常識じゃ、JALが赤字という路線でも、黒字にできる可能性大の航空会社はある。LCCで運賃が安くなれば、当然、利用者も増える。

「新幹線や高速道路網の整備などに伴い、国内航空路線の利用者は伸び悩んでいる」とか、平気でそういう無知な記事を書くメディアは、信じてはいけない。伸び悩んでいるのは、JALやANAが高いからだ。そして、世界の航空業界を無視して、高コストな国内の空を守ってきたのが国交省だろ。

東京など、交通機関がHUBのように集中するポイントに生活していると、確かに新幹線や高速道路で、どこにでも行きやすいイメージを持つ。しかし、地方から地方へ移動する場合、一々東京を経由させることを、当たり前だと思ってはいけない。地方分権なんでしょ?

航空路線は、point to pointで地方から地方に移動する時、十分に効率的な交通手段なのだ。少なくとも国交相は、JALの肩を持って、地方空港を赤字の根本のように言うのは、「私は航空政策に無知です」と言ってるようなものだ。そして見事に、JALを守るというのだから、洒落になってない。JALを守るなら、地方にも自由に航空会社を選ばせろ。

7月の記事で、カボタージュの件は触れた。
「JALの件の補足」

その後、
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090202/plc0902021110003-n1.htm
-->
路線の廃止や減便が相次ぐ関西空港を支援するため、国土交通省が海外航空会社に対し、関空発着便に限って国内線の運航を認める方向で検討していることが2日、明らかになった。すでに海外航空各社に打診を開始しており、前向きな姿勢を示す会社もあるという。
具体的には、関空発着の海外航空会社に同じ機材で国内の他の地方へ向かう路線を新設することを認め、国内部分だけ利用することを可能にする。

<--
↑この報道自体が、誤報だったことも、8月の記事に書いた。
「焼け石に水なJALの経営再建方針」

地方の赤字空港を抱える自治体は、国内路線を撤退するJALらの代わりに、海外の航空会社に、国内を経由してもらいたいのだ。例えばこんな感じ。

国内のどこかの空港 → 関空 → 海外

しかし、これをカボタージュ規制が阻む。守るべき日本の航空会社が撤退した路線も、無意味に規制を維持して、海外の航空会社に頼みたい地方の声を無視する。

もちろん、この問題は、国交省だけの問題ではない。以下のブログにも書かれているように、問題は複雑。(上で書いてきたカボタージュとは、正確には以下のブログの「タグエンド・カボタージュ」(シカゴ条約では第8の自由)のこと。)
http://ishikawasanzou.iza.ne.jp/blog/entry/855530/

しかし、JALを守って、日本に本当のLCCが育たないのなら、この先はどうなる?

地方空港は、韓国、中国からの国際線が圧倒的に多い。JALの国内線が撤退した後、例えばその県からアメリカに行こうとしたら、韓国の仁川経由で旅行するのがベストかもしれない。前原大臣は、上海や仁川に、日本の地方空港のHUBになってもらうつもりか?


さて我が国は、小泉政権時代から観光立国を目指すようになり、観光庁を作った。外務省は、ポップカルチャー外交を展開し、海外で日本関連のイベントを展開し、外国人観光客を増やそうと頑張ってきた。2010年に外国人観光客を1000万人、2020年に2000万人に増やそうという目標を掲げてきた。

地方空港が活用され、外国人観光客が地方の観光資源に安価にアクセスできるようになることは、観光立国という政策の観点からも、大大大重要。短期間で高額な金を消費する外国人観光客が地方を訪れることは、地方経済の活性化にダイレクトにつながる。

カボタージュの件で触れた
「JALの件の補足」
にも、その辺のことは書いたけれど、LCCと地方空港がセットになれば、安価な国内旅行の選択肢も増え、安い海外旅行で海外にばかり金をばら撒いてくる日本人の行動様式も変わるかもしれない。小泉政権が、どこまで考えてたのか知らないが、無駄に作られた地方空港は、観光立国では生きてくる。

で、前原大臣は?

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091002k0000m020086000c.html
-->
前原誠司国交相は会見で、2020年に訪日外国人旅行者数2000万人を目指す観光庁の目標について「あまりにもぬるい」と述べ、観光を成長産業の核とするために、旅行者数を上乗せする新たな目標を立てる考えを表明した。
<--

えーとですね、この目標を阻んでることの一因は、JALとかの高コストな航空運賃にあると思いますよ。JALを潰して、日本がLCCの適切な価格競争にさらされる国になれば、海外から安く来られる国になって、きっと観光客増えますよ。高速道路無料にしても、外国人観光客には無意味なの、分かりますよね?

だから、大臣がJALを守ると発表した結果、目標達成は遠のいたのです。
全然、ぬるくない(失笑)

-->
前原国交相は「パリやローマは年に6000万~7000万人が訪れている。日本には観光地が多いのに寂しい限りだ」と指摘。現在ある観光に関する審議会を改組して今月中にも初会合を開き、他省庁と連携して観光政策をさまざまな角度から再検討する意向を示した。
<--

外国人観光客受入れ世界最大のフランスを例えに出すなら、LCCと地方空港のセットで地方経済を活性化させた、その国の政策も、勉強して欲しい。フランスは、150空港があって、何割かをLCCに解放している。

また、観光資源を増やすべきという議論の中に、地方のカジノ合法化の議論も存在する。
日本は、外人に魅力的な観光資源が少ないから、目標達成するには、観光資源作って増やさないと!というのが今までの流れ。
あんまり、不勉強のボロが出るような発言は、繰り返さない方が良い。

外人が、どういう場所に魅力を感じるのかから、事実を教えてくれる側近を増やした方が良い。
http://www.tripadvisor.jp/HotSpotsJapan

大臣の想像する観光地は、ランキング上位ですか?

何でもかんでも前政権の政策を批判すれば良いかの姿勢は、野党のクセが抜けてないように見える。公約に掲げてないことまで、よく調べる前に結論を出す必要無いですよ!

http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=42454

マジで、縦割りや過去の常識を崩さないと観光立国無理なんで、小泉政権が嫌いだったろうと関係なく、良い政策は引き継いで伸ばして欲しい。

1  
写真素材のピクスタ

アーカイブ

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.23-ja