インターネットの最近のブログ記事

各地域の犯罪発生情報や防犯情報等を、警視庁がメールで教えてくれる「メールけいしちょう」というサービスがある。
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/.../mail_info.html

子供への声かけや公然わいせつ、詐欺や侵入窃盗から、強盗、殺人、不審者情報等、毎日起こっている様々な事案についての個別具体的な案内が届く。自分は2008年から登録しているが、最近多いのは「アポ電入電中」とか。

で先月末、15年利用してきて初めて「出入国管理及び難民認定法違反被疑者逃走事件の発生について(重要)」というメールが届いて、正直違和感を覚えた。衆議院での入管法改悪の議論が話題になっていた時期であり、タイムリー過ぎたからだ。

15年も利用していると、初めて見る事案というのはもう殆ど無いというレア度に加え、過去5400件以上受け取っているうち件名に「(重要)」が付いた事件は20件程度しか無いという意味でも超レア。それまで、緊縛強盗、殺人未遂容疑者の逃走、無差別傷害事件の犯人逃走中、不審者情報(包丁を所持した男が徘徊)等、被害拡大防止のため注意を促す必要がある事案で「(重要)」が使われているのだなと思っていたこともあり、全然そういう被害者が出る事案ではない入管法違反被疑者逃走に「(重要)」が使われたという点も異質だった。

「逃走中の者:アジア系外国人、身長175センチメートルくらい、黒色シャツ、中肉、黒髪長め、20歳くらいの男」「防犯のため、戸締りをしましょう。」という本文の記述もそうだ。過去、戸締りを促す内容が含まれていた具体的事案は、強盗や傷害事件くらいだ。そういう事案と全く傾向が異なるのであって、不必要に不安を煽る必要は無い。
なんというか、そこまで(忖度?)して、入管法改悪に賛成する世論作りに必死なのかと、姑息だなと思ってしまった。が、あんまバズってないので、ご愁傷様というところ(苦笑)

堀潤が、とある呼びかけ動画を公開したのを見て、ちょっと書いてみることにする。まずは以下の動画必見。

「【呼びかけ】8bitNews+堀潤のYouTubeチャンネルではメンバーのみなさんを募集中です!想いを込めて9分間お話しました!」

メンバー増えて欲しい。
けど、「市民と一緒に発信する双方向のメディア」と言われても、8bitNewsを今まで知らなかった人にはちょっと補足が必要かなと思った。

10年位前のことから知らないと、お金払ってメンバー登録しようという気にならないのではないかと。(メンバー登録した後に見られる動画では、ちょっと説明されているのだけどw)

■そもそも
NHK入った経緯とか知らない人は、まずは上の動画にちょっと驚くかもしれない。けれど、そういう人なんで、10年前に堀潤がNHKを辞めた時は、結構な話題になったのだ。

「NHK堀潤アナ「脱原発」で退職 上司と「最後の談判」つぶやいていた」
J-CASTニュース:2013年03月21日
https://www.j-cast.com/2013/03/21170563.html?p=all

当時このブログでも取り上げた。
「NHKのジレンマが退職してしまった件」
http://maruko.to/2013/03/post-140.html

ブログの中のリンクは色々と切れているけれど、今もう一度見たらやっぱり面白かった以下の動画はオススメ。まだNHK在籍中の2012年4月、とあるシンポジウムにて、1:26:40あたりからの爆弾発言。

●2011年夏に一度辞表を出していて、慰留され、留学することになった。
●アメリカからパブリックアクセスやSNSのノウハウを持ち帰れば、電波解放やる根拠が生まれる。
●NHKにパブリックアクセスを導入させるのに3年で勝負をかける。できなかったら辞める。
●ダメだったら別の方法でNHKを動かせばいい。

ところが1年後、留学先で原発事故を追ったドキュメンタリー映画を作り、上映しようとしたらNHKに中止を指示される。復帰後にアサインされた番組は、何故か「きょうの料理」だった...というのが、上記J-CASTニュースの話。

3年を待たずに、勝負が見えてしまった訳だ。辞めたの納得でしょ。

■応援したくなる
東日本大震災後、NHK職員としては正直で踏み込み過ぎとも見えるツイートは、当たり前だけれど話題になった。ここでフォロワーが増えたことが、堀潤の背中を後押しした部分もあっただろう。しかし、政治家からはTwitterをやめさせろと圧力がかかり、上司ともめる。当時坂本龍一に心配されたという話も、納得できる。

「追悼・坂本龍一。NHKを辞めた堀潤に託した「大切な言葉」」
Forbes JAPAN:2023年4月10日
https://forbesjapan.com/articles/detail/62313
「負けるな、声をあげよう、諦めるなといった、勇ましい言葉は一つもなかった。ただただ、僕の心と身体を想い「いつでもSOSを出すんだよ、隣にいるから」という優しい言葉が並んでいました。」

これは、色々と頑張った人間でないと、他人にかけられない言葉だ。絶妙なタイミングで、なんと適切な言葉を必要としている人にかけたものだと、坂本龍一に感心してしまう。スゲー。
(対照的に、翌年2012年の上の動画のシンポジウム会場で、堀潤に何年後に電波を解放するのか目標を答えさせた客席の人、ギリギリ頑張ってる人間をよくも追い込みやがって...と思う(苦笑))

そして2013年にNHKを辞めると、フリーになった堀潤を支援しなきゃ的な動きがあり、ブロマガが立ち上がる。この時、ドワンゴに電話してブロマガ開設を手配したのは宇野常寛で、「僕の役割は、堀さんがちゃんと生活して取材もできるようにすることだ」と言ったとか。なんという人徳。
自分も当時早速、これに登録した(遠い目)
https://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar177214
この時の堀潤は、何も仕事が決まっておらず、ニコ生で生活費を稼ぐというところからのスタートだったわけだ。

NHKを辞めた経緯が原発絡みということもあり、使ってくれるメディアなんて無いのだろうと思っていたけれど、約半年後にはTOKYO MXでまさかのレギュラー番組MCに抜擢。更にその半年後には「モーニングCROSS」が始まり、現在の「モーニングFLAG」へとつながる。あっという間に同局の朝の顔となった。(流石「再生工場」MX(笑))

しかも、番組はTwitterとか活用しまくっていて、パブリックアクセス的な堀潤の過去の発言を知っている視聴者からすれば、それが単なる流行りを取り入れただけではないということがよく分かった。
その後の八面六臂の活躍は、本当に敬服する。

もうブロマガ会員で支援しなくても大丈夫と思った頃、自分はブロマガ解約してしまったのだが(^^;;

■さて8bitNewsとは
https://8bitnews.org/?page_id=320
「誰もが一次情報発信者になれる時代。既存のマスメディアによって濾過された情報とは対局にある発信がそこにある。8bitNewsは ニュースルームに革命を起こす。「パブリックアクセス」の実現を掲げ「市民の発信力強化」に貢献する。電波を解放し、だれもが自由にマスメディアを使って 発信できる権利をこの国に根付かせる。」

パブリックアクセスが良く分からない人は、wiki読んで。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9

日本では、一部のケーブルテレビやコミュニティFMで実現している部分もあるけれど、他国と違って法整備されていないことが問題の一つ。だから、NHKではパブリックアクセスが実現していない。堀潤がNHK時代に言っていた電波の解放というのは、NHK内部からパブリックアクセスを実現するという話だったけれど、今はそれを外部から実現するために8bitNewsがある。

他国では、市民がパブリックアクセス出来る能力を学ぶためのアクセスセンターがあったりもするけれど、日本にはそれが無いので、
「一方で市民が発信力を高めるために、演習の場を提供する。取材力、撮影技術、編集能力、制作力、そして発信力。 8bitNewsのグループがこれらを身につけた市民の育成を支援する。」
というのも8bitNewsの使命になっている。

パブリックアクセスの必要性自体が分からない人は、昔書いた以下の投稿をご参照下さい。
http://maruko.to/2013/04/post-141.html

民間の運営会社の不透明な判断基準でいつアカウントを凍結されるか分からない、Twitterでつぶやくのと一緒ではないです。

特に大事なのは、有事の時。
堀潤には、東日本大震災当時の、公共放送としての役割りを果たさなかったNHKへの苦い思いが、今もきっとある。

チャンネルのメンバー登録しても良いけど、胡散臭いなぁ~という人。
東京都で公開されているNPO法人としての情報はこちら。定款、役員名簿、事業報告書も読める。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/list/ledger/0010080.html

正式名称は「特定非営利活動法人8bitNews」
定款第3条に記された目的は以下。
「この法人は、居住地域を特定しない人々(以下市民)に対して、各個人が取材する映像および記事を自ら情報を発信する仕組みを提供し、市民が社会により積極的に関わることができる環境整備を促進させる事業を行い、市民が情報を自由に発信し、かつその情報を取捨選択することができる社会の実現に寄与することを目的とする。」

あと、出来た当時の紹介記事があった。

朝日新聞デジタル:2012年8月10日
「NHK・堀潤アナウンサーが参加 新たな市民ジャーナリズム「8ビット」」
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY201208070168.html

当時と今では変わっている部分もあるだろうけど、これをNHK在職中に立ち上げたということ自体、驚くべきことだ。

■10年経って
先月末、10年前にブログで書いたことを当時Facebookに投稿していたのが、「思い出」としてリマインドされ、堀潤NHK辞めて10年と気付いた。

もう、MX以降の堀潤しか知らない人も多いだろうから、上に書いた経緯のようなことを改めて書いておきたかった。

坂本龍一とか色んな方が亡くなって途方に暮れたくなるのは分かるけど、そういう堀潤自身だって、きっと誰かの希望に違いない。

今後も応援し続けたいので、ご自愛下さい。不摂生で健康害したりしたら、勝手連はきっと許さんです...とか言ってみるテスト(死語)

ということで、早速YouTubeチャンネルのメンバー登録したので、今後も「したたかに、しなやかに。」を是非是非。

Paper.liが終わる

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https://blog.paper.li/2023/03/16/saying-goodbye/
4/20でPaper.liのサービス終了がアナウンスされた。

どんなサービスか知らない人は、以下をどうぞ。
https://www.lifehacker.jp/article/110227paperli/

自分は2011年から利用してきて、2015年からはProにアップグレードしていた。
自分の選んだTwitterアカウントやサイトから毎日自動で話題を集めて自分だけの新聞を作り、効率的に自分好みの情報収集をしてきた。RSSも登録できたから、気になるブログとか更新されるとピックアップされる。最初の頃は、引用されたツイ主にいちいち連絡が行ったりして、嫌がる人もいたかもしれないけれど、便利なサービスだった。

キュレーションメディアのような、誰かにニュースを与えてもらうのではなく、自分が選んだ複数ソースから網羅的にチョイスさせるという、少しでも能動的な情報の取り方が出来るのが好きだった。ニュースサイトでは話題になっていない、バズってもいないような出来事も、Twitterに張り付かずともフォロー出来た。

自分の「デイリーなんちゃら」で残っているうち、一番古い紙面は2014/10/01のようだ。
https://paper.li/ranpou/1318937022?edition_id=60b25b90-48f0-11e4-beb5-0025907212f5#/art_entertainment

最初の頃は、収集された記事を精査し、自分の好みでない記事を外したり、ちゃんと編集していた。けれど、別に読者がいるわけでもないだろうから、時間をかけるのが馬鹿らしくなり、いつからか自動収集された記事のまま放置するようになった。要は、興味のある記事を読めれば良いのだ。

去年の地球一周中、忙しくてニュースをチェックしなくなり、帰国してもペースが戻らず、ここ半年ほどは閲覧頻度が減っていた。
最近どうやら、Twtterの仕様変更の影響もあったようで、Paper.liにツイートをピックアップできなくなったりもしていた。もう、そのままサービス終了となる。明らかに、Twitter API有料化の影響だろ。イーロンめ...タヒね。

変なものを見つけてしまった。
ジョイカジノと三宅村が提携
魚拓

自然が豊かで真っ青な海に三宅村で、仕事もプライベートも充実させてみませんか?
魚拓

三宅村役場がオンラインカジノに協力するとは思えないので、調べてみた。

こちらが現在の三宅村の公式ホームページ
https://www.vill.miyake.tokyo.jp/
やっぱチゲー

でも
https://www.miyakemura.com/
これが完全にニセモノかと言うと、ちょっとヤヤコシイ。

2017-3-24
この頃まではホンモノだった。新着情報も更新されてる。
http://web.archive.org/web/20170324103954/www.miyakemura.com/

2017-5-25
抹消され、リニューアルされた現在のURLへ転送されるように。
http://web.archive.org/web/20170525214145/www.miyakemura.com/
2018-10-17
までは残っていたが、その後恐らくドメインが期限切れ。

2018-12-19
miyakemura.comはドロップキャッチされ、第三者の手に。
(三宅村に更新する気があったのかどうかは知らんけど。)

2019-1-12
この時点で、リダイレクトされるように。
http://web.archive.org/web/20190112222546/www.miyakemura.com/
どうやら、オンラインカジノ事業者に、ゲームのプログラムを提供する会社の模様。

2019-3-3
消えた。
http://web.archive.org/web/20190303000902/www.miyakemura.com/

2019-5-6
なんと、2017年に抹消されたはずの旧ホームページが復活ww
http://web.archive.org/web/20190506153809/www.miyakemura.com/
以後、時々404 Not Foundになったりしながらも、現在に至る。
サーバはイギリスにある様子。すげーな三宅村...じゃなくて。

この、謎に復活した三宅村旧ホームページに、最初に紹介した、オンラインカジノ業者と三宅村が提携したという記事や、三宅村にオフィスを作るというオンラインカジノ業者のライター募集の求人情報とかが、掲載されているわけ。

三宅村役場の人、知ってましたか?
そちらの旧ホームページ、丸ごとコピられた上に、旧ドメインで中身追加されて悪用されてませんか?

提携の記事の中身も吃驚。
「オンラインカジノ上ではこの三宅村を舞台にオンラインカジノのスロットゲームやブラックジャック などが組み込まれています。さらにオンライン宝くじやビンゴゲームもあり、買った場合には勝ち金として出金できることはもちろん、三宅村からの栄養満点な食材が選べる豪華なチョイスなども存在します。某有名ECサイトが行っているふるさと納税をオンラインカジノで行い、三宅村をモデルに使わせていただくかわりに、そのよう形で村に貢献をしたいと思いました。」

ふるさと納税をオンラインカジノで?
どこのECサイト??ww

求人情報の「どうしてIT企業のカジ旅が三宅村に注目をしたのか?」という段落に、「tabicasi casino mix(旅カジカジノミックス)は2020年に創立された日本人向けのオンラインカジノサイトです。」ってあるから、完全に本家が運用停止した後に追加された記事と分かる。

ちなみにジョイカジノ、既に運営終了とか。

こういうことやってる業者が、オンラインカジノは違法じゃないとか言うわけで、へそで茶が沸きますな!

■3/29追記
その後、三宅村役場に確認したところ、
「旧三宅村役場のHPについては、当村と提携等は一切なく無関係となります。既に警察等に連絡し相談はしておりますが、削除されないのが現状ではあります。」
とのご返答を頂いた。そりゃ、警察に相談しても削除されないだろうと思ったのだけど、これは明らかな著作権侵害でもあるので、Google先生に検索結果からの削除を申請すれば、第三者が偶然辿り着いてしまう機会をグッと減らせ、騙されて違法な業者を信じる被害者を発生させない一助になる旨申し上げた。
それに対し、「申請等行っていこうと思います」とのご返答を頂いたけれど、一カ月以上過ぎた今でも、まだ検索結果に出てくる。申請しても削除されなかったのか、まだ申請してないのかは、分かりません。

ご無沙汰

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気がついたら、半年以上も更新してませんでした。

最後の司法試験を三振し、これから何にチャレンジしようかな...という今日この頃。
というか、早く社会復帰せねば(^^;

お勉強のために仕事を辞め、長らく引きこもり生活をしていたので、我慢していたやりたいことというのが色々とあり、第二次モラトリアムというか人生の岐路のようなこのタイミングで、それをやってから次の路へ...とか思っていたけれど、無職のくせになかなか自由にならないものです。

血迷って、山形まで合宿免許取りに行って、40歳の終わりに初自動車免許を取得。
合宿で一緒になった女子大生とFacebookでお友達になってニヤニヤしたとかしないとか。

久々に広島国際アニメーションフェスティバル行って、働いていた会社の特殊映像研究会の部員の面々と飲んだとか。

芦ノ湖でインフレータブルカヤック初挑戦して、そのまま箱根から自転車で杉並の自宅まで帰ってみたとか。(帰宅途中でスマホのバッテリー切れて、トラックデータは自由が丘で終わってます

高校時代の野球部の監督が退職したので、お疲れさま会に参加したら、酔ってヘベレケな監督と抱き合ってしまったり、厳しかった先輩が僕が司法試験チャレンジしてたの知ってて気にしてくれてたのを知ってちょっと嬉しかったとか。

本場のバーニングマン行きたいと思って色々準備したけど行けず、グランドキャニオンの谷底のPhantom Ranchに泊まりたいとか色々調べたりしてたら、何故か母と叔母の70代姉妹のラスベガス旅行のツアコンとなり、久しぶりにラスベガスへ2週間行ってきたとか。

そんなこんなの近況です。

高齢者の旅のお供は、本当に大変で...というのはどうでもいいのですが、元々ラスベガス好きなギャンブラーなので、この2週間の旅の紹介で、ブログ再開してみようと思います。これからラスベガス行きたい人には、少しは役立つかと。まずは、旅の準備段階のSIMのお話を。

■旅の準備:スマホのSIMをどうするか
久々の海外旅行ということで、旅行事情の浦島太郎状態から情報収集せにゃならなかったわけですが、同行者を迷子にするわけにいかないので、まずはメンバー間の通信手段を安価に確保するところから調べてみた。

とはいっても、高城剛氏をこよなく尊敬する身としては、国際ローミングで高額請求されるに任せるなどあり得ない。海外じゃ、スマホのSIMを差し替えるのが当たり前、くらいのことは遠い記憶に残っていた。
幸い、以前からSIMロックフリーなイーモバイルのスマホばかり使って3台目なので、同行者二人には使わなくなった古いスマホを貸せば、端末は足りる。

問題は、どこでアメリカのSIMを入手するか...

●HanaCell
で、SIMだけなら安く入手できるとは思っていたけれど、こんな安さは想定外。
http://www.hanacell.com/jp/tariff/simonly.php

送料込みで1ドル?
は?
こんな会社知らないけど、何か裏があるんじゃないか?

というのが、最初の感想。
-->2015/1/4追記
いつの間にか9ドルに値上げされてた(^^;
<--

月額基本料金のかからない「プリペイドX」の場合
米国内の通話料金:$0.27 /分
データ通信:$0.50 /MB

まあ、データ通信が割高だけど、ラスベガスはホテルでWiFi使えるので、余程のことがなければスマホでデータ通信はしない前提(タブレットにデータ通信専用のSIMを買う予定だった。)で、短期の旅行なら十分安心して使える通話料金。

しかも、「プリペイドX」なんて商品名なのに、チャージする必要なしの「使った分だけ後からお支払い」って、どこがプリペイドなんじゃい!(^^;
と思わずつっこみたくなる明朗会計。次にいつ渡米するか分からない旅行者としては、使わない間は一切費用がかからないのに電話番号が維持できるなんて、本当に助かる。
どうやら、mobellの子会社らしい。

$1ならダメもとで...ということで、とりあえず自分一人契約。
アメリカからじゃなくて、日本に発送元があり、注文からほんの数日で本当にSIMが届いた。

DSC_5177.jpg

IMG_20140817_052626.jpg

これと並行してメールで、SIMに割り当てられる電話番号の案内も届いた。(アメリカでしか使えないSIMは、アメリカで使える状況になるまでスマホに電話番号は表示されないので、出発前に日本で番号を教えてくれると知人に教えたりできるので助かる。)

悪い噂も見当たらないので、これなら大丈夫だろということで、同行者二人それぞれにもHanaCellと契約してもらった。その際、先に契約した自分の電話番号を伝えることで、お友達紹介キャンペーンで$10の無料通話ももらえてしまった。

結果、最初の渡米地ポートランドでスマホの電源を入れ5・6分後、スマホに電話番号が表示され、無事に通話できるようになった。その後、ラスベガスでもちゃんと使えた。ただ、グランドキャニオンでは、Maswik Lodge周辺で一度だけ通話しようとしたが、アンテナが立たず使えなかった。

カバーエリアはAT&Tの基地局により、以下から確認できるが、グランドキャニオンは「Partner」の地域となっていた。
http://support.hanacell.com/jp/myService/documents.php
Partnerでも使えることになっているが、自分が使えなかった時の状況を詳しく調べなかったので、どうして使えなかったのかは分からないが、目的地がカバーエリアかどうかは契約前に確認すべきだろう。

いずれにしても、現地での通話はHanaCellで格安に確保でき、非常に助かった。


ちなみに、GSM方式で850MHzと1900MHzに対応していることが「ケータイ持込み」プランの条件であり、古いS31HWS51SEがそのまま使えた。ただ、事前にHanaCellに問い合わせた際、イーモバイルがSIMロックフリーであることや、S31HWがIDEOSであることをサポート担当が知らなかったりしたので、日本のスマホ事情を詳細に理解されているわけではないかもしれず、自分のスマホが対応しているかどうかは、自分でよく確認した方が良いだろう。SIMロックフリーのスマホだからと、周波数が対応しているとは限らない。

また、アメリカの携帯の電話番号は、日本と違って市外局番が割り振られるので、ケータイ持ちこみプランで申し込むにしても、とりあえずの訪問先のZIPコードが必要になる。ラスベガス旅行なら、宿泊するホテルの住所に「89109」とか5ケタの数字が書いてあれば、それを伝えることでラスベガスの市外局番でSIMに電話番号が割り当てられる。申し込み時、どうして滞在先の郵便番号が必要なのか不思議に思うだろうが、とりあえずそういう仕組みなので、その市外局番で電話番号が割り振られたからと、他の地域で使えないわけではないので、一番滞在時間の長そうな地域の郵便番号を申請すると良いだろう。

●READY SIM
スマホと別に、タブレットのNexus7にデータ通信オンリーのプリペイドSIMを探していて、データ通信はタブレットだけにしようと思っていた。そこで見つけたのがこれ。
http://www.readysim.com/shop/data-only.html

http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=20954
http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=16626
ここで、単発渡米の旅行者にREADY SIMがすすめられていたのがきっかけ。
この商品購入代行で、Dataオンリー14日間500MBのREADY SIMが、送料込みで$19.50で売られていたので、旅行の期日が迫っていたがギリギリ間に合いそうなので申し込んでみた。ところが、READY SIMの入荷がいつもより遅れてしまい、結局旅行に間に合わないので、先方が注文をキャンセルしてくれた。

それでも諦めたわけではなく、現地で買えば良いと思っていた。
http://www.readysim.com/where-to-buy
ここでラスベガスのZIPコードを入れて検索すれば、ディーラーがいくつも表示されたから、不安はあったが買えないことはないと思っていた。

ところが、Tropicanaの「Essentials」や、Excaliburの「Welcome to Las Vegas」に行っても、売ってるのはスマホ用のPhone/Text/DataのSIMばかり。タブレットのDataオンリーのSIMは皆無。たった2軒で諦めるなと言われそうだけど、Excaliburの「Welcome to Las Vegas」はショップを見つけるだけで精根尽き果ててしまった。

最初、ホテル内でちょっと探して見つからなかったので、ホテルの人に聞いたら、「Welcome to Las Vegasはラスベガスブルーバードは南に行って...」とか道順説明が始まった。

待て待て、それはあの有名な看板の話だろ?
http://en.wikipedia.org/wiki/Welcome_to_Fabulous_Las_Vegas_sign
聞きたいのは、観光名所になってる看板のことじゃなくて、このホテル内のショップのことなんだよ。Welcome to Las Vegasってショップ名なの。

すると、知らないからコンシエルジュに聞いてみろと。

仕方ないので、運悪く行列のできてるコンシエルジュのカウンターに並んで待つこと十数分。やっとコンシエルジュに質問した回答が、
「Welcome to Las Vegasはラスベガスブルーバードは南に行って...」
待て待て。おまえもか。

Welcome to Las Vegasはこのホテルのテナントで入ってるショップの名前なんだよ。
何?知らない?
いやいや、だから、READY SIMってSIM業者のホームページで、地図入りでこのホテルのショップがディーラーとして紹介されてんだよ。こういう名前の店が、このホテルにあるはずなの。
知らない?マジですか...

段々こちらも、READY SIM側の情報が間違ってたんじゃないかと不安になったところで、ちょっと待てと。日本人かと聞かれ、待たされた結果、なんと日本語通訳が電話で登場。

えーー
たかが店の場所質問してるだけなのに、通訳さまの登場?
確かに自分の英語は酷かったけど、意思疎通はできてたと思うのだけど...

申し訳ない気分いっぱいで、通訳に状況を説明。コンシエルジュはないと言ってるけど、そういう店を探してるだけなんだと。

ところが、この会話の最中に、コンシエルジュが何か思い出した。
通訳から、2Fにそういう看板を出してる店があるとコンシエルジュが言ってると伝えられる。

だろーーー
あるだろーーー
ないのに理解できないで駄々こねてる日本人じゃなかったろーーー

その後、コンシエルジュ自身がショップまで連れて行ってくれることになったのだけど、店が多すぎて把握できなくて...みたいな言い訳を、恥ずかしそうにしていた。

そうして、ショップに到着するまでに、新たな悩みが生じた。
このコンシエルジュは、自分のホテルのテナントの名前も覚えてないなんて使えないけど、英語の不自由な日本人にわざわざ通訳を呼んでくれたし、お店まで直接案内してくれるとか、親切ではある。この一件だけで、もう30分以上は費やしてる。一応誠実にここまでしてくれてるけど、チップを払うべきか...

いや待て。そもそも、コンシエルジュがテナントの名前を覚えてれば、ものの数分で解決できた問題じゃないか。場所だけ教えてもらえれば、わざわざ店まで連れて行ってもらうほどの問題ではない。通訳だって、いらなかった。親切だけど、時間を浪費された自分は、本当は怒っても良い状況のような...だって、探してるのはたった$15.00の品だぞ。

とかグルグル考えているうちに、店に到着。
確かにその店は実在した。

コンシエルジュには、日本式に頭を下げて、礼を告げた。
チップを待ってる感じで直ぐに立ち去らないコンシエルジュに、にこやかに二度目の頭も下げた。コンシエルジュは、後ずさりしながら二度見して帰っていった。

まあ、そもそもコンシエルジュのサービスにチップが必要かは分からないが、有能なら即答できるレベルの、明らかにチップ不要な容易な要求しかしてないのに、たまたま能力不足な故に時間をかけて親切丁寧にサービスを受けてしまった場合にチップを払うというのも変なので、これで良かったと思う。

で、苦労してたどり着いたそのショップでREADY SIMを探した結果、Dataオンリーはなかったわけだ。これで、能動的にディーラーを探すのは諦めた。旅先の貴重な時間を無駄にできない。

後は、他の買い物でSIMを扱ってる店に入るごとに、READY SIMに限らず適当な商品がないか探していたが、他社製品は割高で、結局買わなかった。

旅先でのデータ通信の必要性は人それぞれだろうが、自分の場合、WiFiの使えるホテルにいる間にほとんど用事が済ませられた。旅先の屋外で一番使うアプリはGoogleマップだと思うが、事前に地図は保存できるので、現地で通信できずとも使える。ホテルの部屋のWiFiで地図を保存し、次の移動先までのルートを検索すれば、初めてのバス停に迷わずたどり着いて、バスに乗って目的地に到着するまで、Data通信は必要なかった。

困ったのは、WiFiのなかったグランドキャニオンの宿くらいだった。事前に読み込んでいた地図より、詳細な拡大地図が見たくなったが、できなかったので夜中に迷った(苦笑)
(その辺の話はまた後で)

まあ必要はなくても、使えれば便利なわけで、次の機会があれば、またREADY SIMを注文したくなるだろうけれど、現地のホテルに届けてもらうという方法を紹介されているのを見つけた。
http://blog.livedoor.jp/rakutk2010/archives/4732560.html
まあ、今回の場合はホテルに届けてもらうにも日程に不安があったので、どうしようもなかったとは思うが、現地のホテルに届けてもらうなら送料かからないとなると、それが一番安い買い方なのだろう。ホテルでチップを払うかどうかは知らないが。

ということで、次回はポートランドについて。
ラスベガスにポートランド経由で行くと、結構楽しいよ、というお話。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140218/k10015326171000.html
「菅官房長官は「安倍総理大臣の指示の下、古屋防災担当大臣がしっかり対応しており、内閣全体として取り組んでいる」と述べ、安倍総理大臣の指示の下、政府全体で対応していると強調しました。」
え...政府が頑張って対応してこの結果だと言ってるの?
反省すべき点ないの?
これじゃあ、危機管理能力がないと、自ら認めているようなもんじゃん。

「先週金曜日の14日の午後12時半に関係省庁による災害警戒会議、16日と17日に関係省庁による災害対策会議を開くとともに、古屋防災担当大臣が山梨県側とテレビ会議を行ったこと、さらに自衛隊が15日には活動を始めた」
こうやって、形式的な会議の存在で自己正当化できてると思ってるのかな?
実質的には動いてなかったから、みんなの党からまで批判されてんじゃん。

http://t.co/qbfpbjfqyJ
「雪の被害は14日夜半から大きなものになっていました。みんなの党の山梨県選出の議員から現地の詳細情報が入り始め、孤立無援地域の救出を党は菅官房長官にも電話で直接お願いしました。しかし、政府は、関係各所の連絡会議を招集したのは、15日の午後1時、それまでは、災害対策の事務局は、2から3人の当直職員しかいなかったようです。」
月曜になっても、「午後5時の時点でも連絡がつかない孤立無援地域がどれくらいあるか詳細には分からないとの回答でした。災害から24時間以上立ってもこのような状態、政府には真面目にやって欲しいと申し入れました。未だに政府には災害対策本部は設置されていません。」

官房長官は、15日に自衛隊が活動始めたと言ってるけど、規模が小さすぎたわけじゃん。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1801F_Y4A210C1EB1000/
18日になってやっと、1000人規模に増やしたわけでしょう?
18日になってやっと、災害対策本部を設置したわけでしょう?
http://www.asahi.com/articles/ASG2L3SM2G2LULFA00G.html
「課長級による災害対策会議を閣僚がトップの同本部に格上げした。」
18日になってやっと、官僚任せだったのが失敗だったと気付いたんじゃないの?

死者が出てるのだから、もっと早期に本格的に活動開始する判断ができたんじゃないかっつー反省くらい、謙虚にしようよ。そりゃネットにゃ、今回の政府対応を支持する書き込みを何故かよく目にするけど、そんなの「裸の王様」と同じだから。

長野県に遅れて、17日に山梨県が災害対策本部設置したのは、擁護する意見なんて皆無なのに、18日に災害対策本部設置した政府は擁護されるとか、意味不明だから。

■蛇足
ところで、当選直後に災害対策としての大雪のこと質問されて、「こういうのは大した事は無い。一日で終わる話ですから」と答えた新都知事は、少しは反省してるだろうか?
東京は、地方から物を届けてもらうことで食いつなぐ脆い都市だというのは、311の時にみんな思い知らされた。今回東京都は、どういう対応をとれたのだろう?と、防災ページにある発災時の緊急ニュースのページを見てみると...酷すぎ。
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/datasheet/index_em.html

一連の大雪に関連した東京都の情報は、奥多摩町と桧原村に自衛隊派遣要請したというPDF1枚だけ。このサイトは、311の時も、夜まで災害情報が掲載されなかった。その辺の問題は、都政モニターやってた時にアンケートに答える形で東京都に指摘したし、その後猪瀬さんも、震災時に東京都がネットの情報発信を上手くできなかったことを認めていたわけだ。(だからといって、twitterでの情報発信ばかり強化したのはアホかと思ったけど。)
都知事が新しくなって、また災害を甘く見るように戻るなんてね...

NHKを堀潤アナが退職ということで、にわかに「パブリックアクセス」が注目を集めている気がする。

UCLA留学中に作った、原発事故に関するドキュメンタリー映画が話題となり、
http://www.47news.jp/47topics/e/239167.php
NHK局内で大問題になり、ロスで米国市民が企画した上映会が中止に追い込まれまれたとツイートしたのが11日。
http://twilog.org/8bit_HORIJUN/date-130311/allasc

そして16日のツイートで、
http://twilog.org/8bit_HORIJUN/date-130316/allasc
どうなるのかと注目されていた。

18日に退職の第一報が流れ、
http://twitter.com/tsuda/status/313550924415119360
色々な憶測が語られていた。

16日に「パブリックアクセスの受け皿になれることは公共放送の役割の一つだと信じています。」というのがあっので、辞めた原因はパブリックアクセスについての上層部との見解の相違でもはっきりしてしまったのではないかと、想像していたけれど。

19日のツイートも、パブリックアクセスとの関わりに溢れていて、とても納得した。
http://twilog.org/8bit_HORIJUN/date-130319/allasc

何しろ、1年前のシンポジウムでも、NHKにパブリックアクセスを導入させるのに3年で勝負をかけると語っていた。できなかったら辞めると。ダメだったら別の方法でNHKを動かせばいいとも。

「ポスト311時代のメディアとは~公共的なメディアを取り戻す作戦会議」
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1348

このシンポジウムの動画は、長いのに非常にぶっちゃけていて面白いので必見だ。パブリックアクセスについても理解が深まる。

どれくらいぶっちゃけているかと言うと、彼の卒論テーマは、「ナチスドイツのプロパガンダと大日本帝国下の日本放送協会」だったとか言い出す。大本営発表していたことを「避けられない事態だった」として、ろくに検証してない放送は、まだ戦後が終わってないという思いがあって、NHKに入って中から変えようとしたと。就職の最終面接で、一所懸命説明して地道にやればNHKも変わると、その思いを理事らに語って、笑われながらも「君は随分性善説だな。巨大な組織に入って苦労するかもしれないけど、その性善説を貫きたいと思うなら一緒に働こう。」と言われたと。
だから、当時の理事らとの契約を最後まで履行させてもらいますよ、嫌なら首を切ってください、というスタンスだと語っている。

つまり、その入局からして、彼はNHKのジレンマそのものだったわけだ。
入局させた理事らは、ある意味偉かった。今のと違って。

そういう思いで入局した人が、本当に辞めてしまったことの意義というのは、決して軽くない。単に、左遷や冷遇に挫けたわけじゃない。

更には、一昨年の夏にも、一度辞表を出したという話も飛び出す。UCLA行きは、辞めないでくれと慰留された交渉の中で出てきた話だと。あっちには、パブリックアクセスのTV局があるのと、SNS等々の最先端があるから、そのノウハウを持って帰ってくれば、自分が電波を開放するのに色々やる根拠が生まれる、と考えての選択だったわけだ。

そういう経緯を理解すればするほど、今回の退職もとてもよく理解できる気がするし、今後に期待できるし、そして何より、自分もいつかパブリックアクセスしてみたいと思えてくる。

そもそも、8bitNewsがパブリックアクセスを実現させるための仕掛けの一つだったということも、今こそ再認識したい。
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY201208070168.html
http://8bitnews.asia/wp/?page_id=78#at_pco=cfd-1.0

「堀潤アナが語る「ニッポンのメディアのジレンマ」 」
http://www.tokyopressclub.com/2012/06/blog-post_07.html

ネットと震災

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■ついに1年
この1年、何度涙腺が緩んだことか。
同時に、復興の遅さや、東電の対応など、何度怒りを感じたことか。
原発関連のムーブメントなど、とにかく激動の1年だった。まあ、激動だった割に大して進んでいないのだけどね。

最近よく考えることがある。

もしまた今、同じような震災が起こったら、僕らは1年前よりもマシな対応をできるだろうか?

次は多くの人が政府や電力会社の発表に聞く耳を持たず、パニックになるような気もする。それを避ける唯一の手段は、ネットを活用できるかどうかだろう。

ネット界隈は、震災の教訓をどう消化したのだろうか。

まあ、Twitterが役に立つというのは、今さら言うまでもない。
と言うか、もしも無かったらどうなっていたかと思うと、ゾッとする。
Googleの貢献も、無視できない。パーソンファインダーの立ち上げもそうだが、そもそもGoogleマップが無かったら、帰宅困難者はもっと困難だったろうし、被災地への支援活動も滞っただろう。

思えば、阪神・淡路大震災の時、インターネットにはそれらが無かった。Googleどころか、Yahoo!すら法人設立前だ。当然、Facebookもmixiもなければ、2chもブログもなかった。想像できるだろうか?

■社会的常識
「インターネットと情報ボランティア ―これまでとこれから ―」
http://www.heri.or.jp/hyokei/9601mzno.htm
を偶然目にしたので、ちょっと思いをはせてみる。

阪神・淡路大震災当時、大学生だった自分は、結局寄付しかできなかったように思う。ボランティアに行くべきか考えた記憶はあるのだけど、実行に移せなかった。
東日本大震災では陸前高田に行き、多くの大学生と共に活動し、昔の自分より全然偉いなと思ったり思わなかったり(苦笑)

もちろん、被害の性質や規模の違いはあるけれど、17年前の自分が能動的に支援に動かなかった理由は何だろうとか、ちょっと考えてしまった。まあ、結論は単純で、インターネットの違いなんだけど。

当時は、マルチメディアという言葉が世間を賑わせていたけれど、個人でインターネットを使えている人は極少数。それまで、月額何万円もしたインターネット接続料金をベッコアメ・インターネットが価格破壊し、やっと学生の自分でもプロバイダ契約が現実的になったばかりだった頃。

WWWなんて、大学の演算室のUNIXでNCSA Mosaic使う程度。
個人じゃ、パソコン通信のニフティサーブ経由でtelnetするのがやっと。
まだテレホーダイも始まっていなかった。

結局、TVや新聞で伝えられる情報がメインであって、少なくとも自分はネットを活用できなかった。


ところが、そんな時代の阪神・淡路大震災でも、インターネットが有効活用されたと当時話題になったりした。安否情報の提供なども、Googleすらないのに当時の人も頑張った。

その辺のことは、今はなき「インターネットマガジン」がバックナンバーアーカイブとして公開しているので、今見てみると興味深い。(読者だったけど、完全に忘れていた。)

『大規模災害とインターネット―阪神大震災にインターネットはどう対応したのか(1995年4月号)』
http://i.impressrd.jp/e/2008/01/17/343
PDF
http://archives.impressrd.jp/im/previewer.php?url=http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im199504-064-jisin.pdf

『大規模災害とインターネット第2回―残された課題と今後のインターネット活動(1995年6月号)』
http://i.impressrd.jp/e/2008/01/17/344
PDF
http://archives.impressrd.jp/im/previewer.php?url=http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im199506-076-jisin.pdf

東日本大震災でのインターネットの活用具合とは、全然レベルが違うはずなのだけど、そこに求められた役割や課題というものは、何かデジャブが...

震災後、インターネット防災訓練なんてものも始まった。

『[REPORT] 「第1回インターネット防災訓練」の裏側 (1996年4月号) 』
http://archives.impressrd.jp/im/previewer.php?url=http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im199604-210-bousai.pdf
『[REPORT] 第2回インターネット災害訓練レポート (1997年4月号) 』
http://archives.impressrd.jp/im/previewer.php?url=http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im199704-330-saigai.pdf

そして10年後

『ライフラインとしてのインターネット(2005年4月号)』
http://i.impressrd.jp/e/2008/01/17/346
PDF
http://archives.impressrd.jp/im/previewer.php?url=http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im200504-112-letter.pdf
「最も重要な課題は、「いざというときはこれを使えばいい」という社会的常識を広く浸透させることである」

ということで、IAA Allinaceみたいのを定着させるのかと思いきや、2007年3月31日をもって解散してしまった。
http://www.iaa-alliance.net/

niftyもネットの防災訓練をやってたが、この年が最後?
http://rescuenow.nifty.com/tokusetsu2007/kunren/

なんだろね。結局、震災から時間が経つと、防災意識が低下してしまうのだろうか。
これらの反省や訓練の経験が、東日本大震災でどう生かされたのか興味があるけれど...

『第1回「iSPP 情報支援連携会議 in 仙台」で語られた被災地の話』
http://i.impressrd.jp/e/2011/05/23/1134
「グーグルのパーソンファインダーのようなウェブを見ること自体、発想にない」

『阪神淡路と東日本大震災に見るインターネット共通の課題』
http://i.impressrd.jp/e/2011/08/11/1149
「96年版と2011年版には、まったく同じ1つの視点が寄せられている。それは、「被災者には直接あまり役に立たなかった」という関係者の言葉である。」

なんとも残念。
震災時のインターネットの利用方法が、またしても社会的常識となっていなかったわけだ。

パーソンファインダーが立ち上がったのが、震災の2時間後なのだから当たり前だけど、そもそもGoogle先生に責任はないのだから仕方ない。IAA Allinaceの後も、本当の意味で役に立つ安否情報サービスが整備されなかったのは、国内問題なのだから。

しかし...
「Googleが新しい災害対応の取り組みを発表 - パーソンファインダーの機能拡充など」
http://news.mynavi.jp/articles/2012/03/07/google/
「東日本大震災と情報、インターネット、Google」
http://www.google.org/crisisresponse/kiroku311/

ここまでGoogleが本気を見せている以上、どういう枠組みであろうと、Google抜きには有り得ないことだけは確かだ。Google抜きには有り得ないけれど、Google任せで良いのか不安という、なんとも歯がゆい感じもある。
facebookの災害用伝言板よりは、遥かに頼もしいのだけど(^^;

とりあえず、いざとなったら
http://www.google.co.jp/saigai
これを確認するというのは、社会的常識にできずとも、家族や親戚の間では常識にしたい。

まあ、安否情報に限らず、社会的常識にするには国民的なインターネット防災訓練が必要なのは間違いないけれど、簡単じゃないからね。


■そもそも最初に生き残るためには
ところで、どんなにGoogle先生が素晴らしいとしても、それを生かせるのは、地震や津波をとりあえず生き延びた人だけだ。まずは、最初に死なないことこそが重要であり、この点でインターネットは役立つのか。やはり、リアルタイムなアナウンスという意味では、緊急地震速報やTVがベストなのだろうか。

実は、東日本大震災の際、最も迅速に適切な避難誘導をアナウンスしていたのは、既存のTVではなかった。weathernewsの24時間生放送の気象情報番組、SOLiVE24だ。


http://weathernews.jp/solive24/

ここでも見られるが、うちではソラマドという無料の専用ソフトをPCにインストールし、スマートフォンにはウェザーニュースタッチというアプリをインストールし、いつも見ている。地震があると、生放送でリアルタイムに適切な情報が確実に得られるので、直ぐに見る癖がついてしまった。

以下は、東日本大震災当時の、地震発生直前からの放送の様子だが、見たことがない人は、騙されたと思ってじっくり動画を見ることをお勧めしたい。あの時、こんな的確な放送が存在したことは、もっと評価されるべきだ。


00:43 緊急地震速報 発令
03:00 揺れが強くなってくる
04:11 大津波警報
22:00 余震発生
30:11 大きな余震発生

津波が川を遡って奥地まで被害が出るとか、車で避難すると危険だから降りろとか、そんなことを既に予測してアナウンスしていることに感服する。また、震災直後から、視聴者からのウェザーリポートが届いているのも注目すべきだ。普段は、日本各地の天候に関する情報提供インフラなウェザーリポートが、震災情報インフラとしても機能するわけだ。


今、weathernewsは、「Join&Share(参加と共有)」をキーワードに、自助・共助、減災を目指している。防災ではない。減災だ。そのために、日常的に機能しているウェザーリポートという仕組みを生かそうとしている。
一部の自治体とは、既に減災プロジェクトをスタートさせている。
http://weathernews.com/ja/nc/press/2011/110801.html
http://weathernews.com/ja/nc/press/2011/110905.html

更に、TSUNAMIレーダーの配備もしている。(津波は、船舶に搭載されているようなレーダーに映るのだ)
http://weathernews.com/ja/nc/press/2012/120305_2.html
これで、津波が到達する15分前には分かるそうだ。

減災訓練も繰り返している。
http://weathernews.com/ja/nc/press/2012/120116_2.html

weathernewsの本気っぷりは、プロフェッショナルの責任感を感じる。
トップダウンの気象庁の情報と異なり、Join&Shareなのがweathernewsだ。インターネットに親和的なのは、後者であることは明らかだ。

インターネットにつながってSOLiVE24さえ見られれば、逃げるチャンスを無駄にせずに済むかもしれないと、本気で思う。こんな会社が日本にあるというだけで、安心してしまう(ってそれじゃダメだけどw)。

いずれ必ずやってくる次の震災は、前よりもマシな対応、したいよね!


個人的に唯一の弊害は、普段のSOLiVE24の放送が面白すぎて、流星群とか今まで余り興味の無かった天体ショーが楽しみになって、夜中外に出たくなってしまう点だろうか?(自爆)

週刊ポストが「NHKの「人肉食った日本兵」表現に捏造疑惑」という記事を掲載した。
http://www.news-postseven.com/archives/20110905_30277.html

ニューギニアで飢えをしのぐため、日本兵が友軍同士で共食いした事実があったことは有名だが、これを扱った証言番組で、ネズミを食べた話を人肉を食べた証言になるように編集して捏造放送したのではないかというのが、週刊ポストの記事。

で、NHK嫌いな人たちが、ろくに自分で調べもせずにこの記事に釣られて、NHKが捏造したとする動画とか作ってネットにアップしてる。まあ、全然盛り上がってないけど。

週刊ポストが問題視した番組の動画は、NHKの戦争証言アーカイブスにアップされてるので、誰でも自由に見られるので確認してみた。
問題部分は、以下の動画の23:50からだ。
http://cgi2.nhk.or.jp/shogenarchives/bangumi/movie.cgi?das_id=D0001210027_00000

この内容は、確かに週刊ポストの記事通りの内容で、友軍の死体を食べる話の後に、一度編集が入ってから、「すごい、抵抗感とかもあったんじゃないですか?」という女性の問いかけがあって、生きるためにはしょうがないという話が続いている。

戦争証言アーカイブスでは、番組に関連した証言について、番組で使用されなかった部分も含めて、個人単位でインタビュー動画を公開しているが、週刊ポストの記者はこの証言動画を見て、番組でカットされた部分はネズミを食べた話だと思ったわけだ。

証言インタビューなんてものは、それこそ一人毎に何時間もあるだろうから、それを全て無編集で公開なんぞされては、見る方はたまらない。確かに、番組で取り上げなかった証言も聞きたいけれど、それでも無駄に長いのでは見る気が失せてしまう。なんせ、既に公開されてる証言動画だけで、もう500件を軽く超えている。証言を可能な限り公開することの意義は大きいだろうが、膨大な数の中に貴重な証言が埋もれてしまっては意味がない。だから、証言を歪曲しない範囲で、証言動画も編集されるべきであることは疑いないだろう。

しかし、週刊ポストは、証言動画も編集されていることを認識しながら、そこは軽く流し、こう書いたわけだ。

>アーカイブスを見る限り、一連の証言が「腹が減った兵士たちはネズミを生で食べて飢えをしのいだ」という内容であることは疑いの余地がない。

そして、証言動画に対する上記解釈を前提に、これと異なる編集がされた番組は捏造ではないかと論じた。もちろん、何の証拠もないもんだから、「NHKのドキュメンタリー番組に携わっていた元番組制作スタッフ」の発言という形で。

他人の発言を伝聞形式で紹介するなら、どんな証拠のない話でも許されると思ってるのだろうか?

更に、それでも心もとないのか、仮に番組が捏造じゃないなら、ネズミを食べた話に見える証言動画が捏造になると論じて、言い逃れも忘れていない(苦笑)

そんなに自信がないなら、記事にしなきゃいいのにと思うけどね。
それじゃ、ネットの掲示板とレベルが変わらんではないか。
それを信じて、更にネットに転載するマヌケが出るのだから、どうにもこうにも...


で、流石にNHKが反撃した。
現在、戦争証言アーカイブスのトップページに、「おことわり」という欄を設けて、週刊ポストへの抗議文を公開している。
http://www.nhk.or.jp/shogenarchives/

同時に、当該証言部分のノーカット版を、静かに公開した。
http://cgi2.nhk.or.jp/shogenarchives/shogen/movie.cgi?das_id=D0001100674_00000&seg_number=004

静かにというのは、ノーカット版を公開したこと自体について、NHKは特に告知していないからだ。週刊ポスト同様、証言者に配慮しつつ、自らの正当性を証明する最低限の手段を講じたのだろう。戦争証言プロジェクトのメールマガジン購読者に対しても、週刊ポストへの抗議文の公開の件だけ伝えられた。(自分はこのメールマガジンで知った。)

そして、当該動画の再生テキストの中に、「誤解が生じる可能性があると判断したため、ノーカットで公開します。」とだけ書かれている。お陰で、該当部分が分かった。

見たら分かるが、NHKの週刊ポストへの回答書に、嘘は全くなかった。
番組でカットされていた、証言と「すごい、抵抗感とかもあったんじゃないですか?」という女性の問いかけとの間も、人肉の食べ方の話だった。ネズミの話は、番組で使った証言より前の部分と、女性の問いかけに答えた証言の更に後の部分に出てくる。番組は、完全に証言に従った編集であったわけだ。

週刊ポストからすれば、当初編集されて公開されていたアーカイブスの証言動画が、「最も衝撃的で貴重な人肉食の話を割愛し、ネズミ食の話だけ残すような編集をしたというのも不自然な話だ。」と思って番組を捏造と思ったわけだが、衝撃的であるからこそ、公開に配慮があった可能性に、思いは至らなかったのだろうか。

週刊ポストのように、衝撃的なら記事にして良いとは、NHKは思ってないだけでしょ。

まあ、そもそも、証言動画のページから、クリック一つで番組の動画が見られるわけで、当初の証言動画でカットされていた部分がその番組でしっかり使われているのだから、両方ちゃんと見れば全てが伝わる。

おまけに、元々公開されてた証言動画だけでも、日本兵が友軍を撃ち殺して食べていた事が語られているわけで、殺してないけど死体は食べたという証言者の話より、十分に衝撃的な話が公開されていたわけだ。(まあ、そういう事実があったこと自体は有名なので、新事実でもなんでもないのだけど。)

もちろん、ネズミを食べた話も事実であって、捏造ではない。この方は、人肉を食べたこととネズミを食べたことをシームレスに語っており、両者に対し、最初は抵抗があったという話が掛かっているのだ。(ネズミと人肉が同等に語られていることは、ある意味衝撃かもしれない。)

このレベルを捏造と言い出したら、週刊ポストのこの記事はどういうレベルになるのかね?


まあ、ここまで書いて今更だけど、週刊ポストがどうだとか、NHKがどうだというのは、実はどうでも良いとも思っている。

重用なのは、この戦争証言アーカイブスの存在が、もっと知られるべきなんじゃないかということだ。この番組で取り上げられた連隊の方々の証言は、どれも貴重だ。辛い証言を、実名で番組にしたり公開することを承知してくれた方々の思いを、無駄にしてはいけない。日本人なら、見るべきだとも思う。

以前からそう思っていたのだけど、今回の記事をきっかけに、その思いを強くしたので、今回ブログで取り上げてみた。

もちろん、実名で証言して下さった方々に対し、これを責めるようなことがあってはならないし、週刊ポストの記事にもあったように、そっとしておいてあげるべきだ。週刊ポストは、とっとと謝罪しちゃいなよ。この問題が訴訟にでも発展したら、それこそ証言者に申し訳ない。

そうすれば、こんな記事がきっかけでも、戦争証言アーカイブスの存在が広く知られることになれば、意味があったと思う。

衝撃的な証言も沢山あるのだけど、それだけではない。面白いと言うと語弊があるけれど、興味深い話も埋もれている。暇な時間があれば、色々検索して見ることをオススメしたい。

一昨日、信用できると書いた、日本ユニバ震災対策チームが、情報発信を続けている。
http://maruko.to/2011/03/post-108.html

Facebookが、活動報告の場になっている。
http://www.facebook.com/nucct

その情報公開担当&ボランティア採用担当がこの方。
http://twitter.com/kemori63

Facebookでは、以下のボランティア説明会情報が掲載されていたが、もう時間が近いので、勝手に転載しておく。
-->
明日ボランティアの方向けの説明会を開催します。
日時:明日3月19日(土)13時~14時
そのまま作業をお手伝い頂く方もいらっしゃるかも知れません。
場所:東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォーム 2F
地図:http://bit.ly/eeh1Yg

主な作業
1. 被災地向けのドライバー
2. 荷物を受け取り、仕分ける係
3. 電話対応 (秘書および電話業務経験者が望ましい)
4. メールの回答
5. 翻訳(Webサイトの翻訳、英語・中国語およびその他の言語)
6. 写真の撮影 あるいはWebサイトの制作
<--


その他、支援物資を送りたい人は、以下もよくチェックを。
http://www.ud-web.com/oshirase3.htm
http://www.npo-uniken.org/shinsai_busshi.html
衣類等は、一時受付けを中止しているようだ。

昨日の様子が、動画で公開されていた。


なお自分は、面識もない日本ユニバ震災対策チームについての情報の錯綜を整理して、少しでも助けになればと勝手連的にここに書いているだけなので、ご注意を。一応都民なのだけど、諸事情でずっと箱根の山中におり、この一週間歯痒い思いをしている。

東京と連絡を取れば取るほど、食糧の無駄な買いだめや、誰々が関西・九州方面へ避難したという話に、少々ウンザリする。食糧などを大量に買い占め、もしも反省している人は、今からでも遅くないので、日本ユニバのようなNPOに届けることをオススメする。

レストランとか営業してるでしょう?
知り合いも、東京の杉並で、店内の照明など節電しつつ、蕎麦と地酒の店の営業を続けている。みんな、買いだめせずに、外食しなよ。


なお、東京都などの自治体も、救援物資の受付を開始したが、少なくとも東京都は、現地が必要としている食糧等は受付けていない。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/03/20l3hd00.htm

自治体とNPOのできることの違いを理解して、それぞれを生かせる支援を、できる範囲で、心がけよう。

ユニバ震災対策本部というのが、阪神淡路の経験が、被災地の支援を阻害しているという重要な指摘をしており、Twitter等でちょっと話題になっている。

http://anond.hatelabo.jp/20110317015611
(ソース http://npo-uniken.posterous.com/46132557

しかしこれが、実は詐欺ではないかとか、いまいち信用できないとか、結構疑われている。

http://www.ud-web.com/oshirase3.htm
このサイトも、一見信用に足る情報を見つけるのが困難なせいだろう。

ユニバ震災対策チーム支援HPを別に立ち上げたようだが、
http://trythis.jp/
急ごしらえ過ぎて、そもそも地震の日すら間違っており、本当は11日なのに、10日と表記している。ドメインも、ユニバーサルコーディネーターな個人が以前から取得しているもので、使いまわしなのだ。
-->
>追記
どうやら既に、上記リンク先は正式HPへの転送のみとなっているようです。
本日午後11時には削除すると表記されてます。
<--

要は、何故かいまいち信用できない認定資格についてのサイトに、ユニバ震災対策本部の呼びかけを掲載しているせいで、運営団体との一体性が疑われてしまっているのに加え、支援HPも怪しいとしか見えないのだ。

しかし、自分は信用したので、その根拠を提示しておく。

まず、当該NPOは内閣府のデータベースにちゃんと存在する。
「日本ユニバーサルデザイン研究機構」で検索してみよう。
https://www.npo-homepage.go.jp/portalsite.html
住所も整合性がある。
http://www.yamori.jp/list.php?i_id=%A4%CA
同NPOのサイト自体は、まあ信用できる。
http://www.npo-uniken.org/
また、同団体の運営する認定資格の取得講座も実在する。
http://www.anabuki.gr.jp/~hiroshima/ud/

同団体と直接連絡を取り、賛同して救援物資送り先を掲載しているブログも結構ある。

静岡県議会議員
http://nakada-tugisiro.blogspot.com/2011/03/blog-post_14.html
http://nakada-tugisiro.blogspot.com/2011/03/blog-post_8188.html

その、物資の東京での送付先も、ちゃんと実体がある福祉施設だ。
http://www.camellia-kai.com/

http://mobile.niwablo.jp/hanamakedo/kiji/87334.html?display_image=true
この人が連絡を取ったユニバ地震対策本部本部長も、名前で検索すれば活動実績はある。

http://www.pref.yamanashi.jp/news/200808/1219804858155.html
http://www.dh.aist.go.jp/jp/general/hcdws2011.php

旦那が同機構で勉強しているという人も。
http://ameblo.jp/yumegococi/entry-10829505001.html
http://ameblo.jp/yumegococi/entry-10831139846.html
書いてあることは、物的支援のみで、金を降り込めというような詐欺的な要因は全くない。

上記の方の友人という方のブログも、疑わしい点はない。
http://blog.goo.ne.jp/arigato-adachi/e/cfc6797c0dcf7c2d35bcab69e439723f

地方の賛同者には、地方の代表が受付をしている。
http://blogs.yahoo.co.jp/mamateresita2495/60425356.html
賛同者も地方代表も、詐欺的な要素は見当たらない。


結局、別サイトに飛ばしてしまったり、何の信用性もないJPドメインを支援サイトにすることが、どれだけ信用性を失うのか、ユニバ震災対策本部の人々が理解していないのだろう。もしくは、時間的余裕のない中、限られた人員でなんとか支援を広く呼びかけようと頑張って、これが限界だったのかもしれない。

少なくとも、金銭的な詐欺を目的とした活動としては、説明がつかないことは、上記を見れば誰でも理解できるだろう。

ユニバ震災対策本部は、疑われないために、ちゃんと活動の証拠になるような写真や情報提供を、もっと心がけるべきだ。重用なことを言っているのに、信用されないのでは勿体無い。

>追記
これが、公式な情報だそうだ。
http://www.npo-uniken.org/shinsai_busshi.html
物資を送ろうと考えている人は、上記をよく読もう。

>追記
こんなのもありました。
http://pressa.jugem.jp/?eid=213
とりあえず、今は公式ページにリストアップされている物資の支援に限定した支援を注意すべきだろう。
実際に届けに行った方も。
http://twitpic.com/4a8y4o

>追記3/18
facebookにアカウントが。
http://www.facebook.com/nucct
これまた届けに行った人の報告。
http://twitter.com/jucchan/status/48600706663452672

アルジャジーラは、以前からCCライセンスで番組を提供している。
http://creativecommons.jp/features/2009/10/701/

CC BY3.0なので、アルジャジーラの名前をクレジットすれば、複製・頒布、二次的著作物を作ってもOK。

大した不利益もないのに著作権を主張すれば、報道機関として、世界の人々の知る権利に資することができないと、自らの存在意義を理解しているのだろう。見てもらってナンボだ。

ライブでストリーミングもしており、最近のエジプト情勢など、見始めると目が離せなくなるから困る。
http://english.aljazeera.net/watch_now/

恐らく今、世界中のエジプト人は、アルジャジーラのライブストリーミングに釘付けだろう。

日本の放送事業者のように、在外邦人がネット経由で番組を見ることを裁判で訴えるような、無益な権利濫用は、彼らからしたら馬鹿に見えるかもしれない。(娯楽番組も含まれるから、日本の場合をアルジャジーラと一緒にするなと言いたい人もいるだろうが、上記ライブを見ていれば分かるが、アルジャジーラも報道番組ばかりではない。)

「番組のネット配信にルールを 」(日本経済新聞 電子版 2011/1/31付)
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E0E7E4E5EAEBE2E1E3E2E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
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日本は地域ごとに放送局があり、広告の入った番組がどこでも見られるようになれば営業にも支障を来す。
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いやいや、それ、もっともらしい説明だけど、訴えた放送事業者には、NHKが含まれてますから(笑)

NHKに受信料払う側の意思としては、NHKがこの訴えを提起したこと自体、受け入れ難い。


ところが、
http://wiredvision.jp/news/201101/2011013121.html
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収益の多くを海外メディアからの「映像使用料」が占め、特にNHKが払う金額が一番大きく、同局の大きな助けとなっているとされる(NHK-BSが世界のニュースのひとつとして枠を設けて日本語同時翻訳放送を行なっている)。
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回りまわって、NHKがアルジャジーラの最大の援助者というのが、なんとも皮肉だ。
BS1が連日伝える、アルジャジーラの翻訳報道は、確かに価値がある。このこと自体は、NHKナイス!

しかし、公共放送たるNHKの中の人は、CCライセンスやライブストリーミングと、ビジネスをどう線引きすべきなのか、アルジャジーラから学ぶべき点が大きいのではないか?

http://english.aljazeera.net/

「1対1通信のロケフリは「自動公衆送信装置」になりうるか 「まねきTV」最高裁判決の内容」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/19/news076.html

「録画番組の海外転送、レコーダーが業者管理下なら著作権侵害に 最高裁、審理差し戻し」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/20/news088.html

最高裁が、残念な差戻し判決を立て続けに出してしまった。
著作権法の世界では有名な、まねきTVとロクラク事件だ。

このブログでも、かつて取り上げた。
http://maruko.to/2009/02/post-6.html最後のところに
>最高裁...ひっくり返さないでね(^^;;
と書いてるが、虚しい。
まさか、訂正せねばならない事態が訪れるとは(涙)

しかし、まねきTVなんて、まだ続いてたのかというのがそもそも驚き。
仮処分で完敗したのに、本案で逆転て、それ自体興味深い。
5年かかって、しかもまだこれから差戻しの原審が待っている。
スピードを求められるインターネットビジネスの世界で、我が国の著作権法がどれほど機能不全を起こしているのか、よくよく再確認できたというところか。

前置きはこれくらいにして、では2つ続けて、長いつっこみを入れようと思う。
ただし、基本的に批判的に。


■■最判平成23年1月18日 まねきTV■■
http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=6708

送信可能化権侵害の判決理由
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5 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 送信可能化権侵害について
ア 送信可能化とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力するなど,著作権法2条1項9号の5イ又はロ所定の方法により自動公衆送信し得るようにする行為をいい,自動公衆送信装置とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう(著作権法2条1項9号の5)。
自動公衆送信は,公衆送信の一態様であり(同項9号の4),公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。

イ そして,自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。

ウ これを本件についてみるに,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被上告人は,ベースステーションを分配機を介するなどして自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理しているというのであるから,利用者がベースステーションを所有しているとしても,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被上告人であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被上告人であるとみるのが相当である。そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。そうすると,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能化に当たるというべきである。
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送信の主体
今回の判決で最大のポイントは、以下の2点だ。
 ・5(1)ア:「公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)」
 ・5(1)イ:「当該装置に情報を入力する者が送信の主体
以下、それぞれについて論ずる。

■「公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信」か
実は、公衆送信を定義する2条1項7号の2には、「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいう。」としか規定されておらず、「送信の主体からみて」という視点の追加は存在しない。一見当たり前なので、思わずスルーしてしまいそうだ。

ところが、その視点からしたら、「あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるとき」があると、最高裁が考えてしまった。

自動公衆送信装置とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう(著作権法2条1項9号の5)」と言っておきながら、単体で自動公衆送信する機能を有しなくても、自動公衆送信装置に当たる「べき」となったというのだ。

斬新な「べき論」の登場だ。
(「あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない」装置で自動公衆送信を成立させるために、「送信の主体」という視点を追加したのだから、斬新なのは当たり前なんだが(苦笑))

そして、斬新な「べき論」を成立させるため、「送信の主体」を画期的に導くのが、続く5(1)イだ。

■「当該装置に情報を入力する者が送信の主体」か
送信の主体」が、送信した者ではなく、入力した者だというユニークな解釈は、とても「相当」とは是認したくないので、5(1)イを修正してみるとこうだ。

自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みたところで、その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当ではなく、当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者はせいぜい送信可能化の主体であって、送信の主体であると解することは、相当ではない。

さて、どういうことか。

5(1)イで示された自動公衆送信の行為主体についての規範は、まるで送信可能化の行為主体の要件なのだ。自動公衆送信は、送信可能化の上位概念か何かなのだろうか?

送信可能化は、「著作権法2条1項9号の5イ又はロ所定の方法により自動公衆送信し得るようにする」ことなのだから、その行為主体が自動公衆送信の行為主体と異なる場面を、法が当然に予定していると言って良い。そして、入力した者が送信可能化の主体に含まれることは、2条1項9号の5イが「当該自動公衆送信装置に情報を入力すること」と規定していることからも、明らかである。

しかし、公衆送信権に関する23条1項が、「著作者は、その著作物について、公衆送信自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」と規定していることが、多少の混乱を生むかもしれない。自動公衆送信送信可能化が含まれるのごとき、本判決のように。

まあ、少し考えれば、公衆送信送信可能化が含まれないことからすれば、その下位概念である自動公衆送信送信可能化が含まれることもないとは気付く。これは単に、自動公衆送信の場面では、送信可能化権も認められる、というだけだと。

更に言えば、本件上告人らは、放送事業者としての送信可能化権(99条の2)の侵害を争っている。放送事業者は、自らが著作権を有しない番組は、公衆送信権も自動公衆送信権も有しないが、著作隣接権としての送信可能化権が認められている。

公衆送信権を認められていない放送事業者の送信可能化権を論ずるなら、その送信可能化の行為主体に該当する行為が、同時に自動公衆送信の行為主体に該当してはマズイ。
 →「X君にの権利はありますが、の権利はありません。でも、すると、もしちゃいます。」というのは困る。

行為主体がたまたま同一になることはあるだろうが、著作権法は刑事罰があることから、誤解を恐れずに刑法的な例えをするなら、送信可能化自動公衆送信は牽連犯たり得ても、観念的競合ではない。

23条1項括弧書の場合とは、準備行為である送信可能化権が認められずに自動公衆送信権が認められても絵に描いた餅だから、自動公衆送信権を有する者は、当然にその準備行為の権利も認めますよ、ということだろう。それぞれの行為を別々の主体に行わせることは、十分に可能だ。

例えば、著作物の権利者が、どこぞのハウジング業者にホームページ用のサーバ(自動公衆送信装置)を預けて自ら運用しているが、自らの著作物を公開するためのホームページの制作・ファイルのアップロードは外部業者に委託している場合、送信可能化したのはホームページ制作業者で、自動公衆送信しているのは著作権者自身ということになろう。入力(アップロード)する者が送信の主体になるなら、ホームページ制作業者に、自動公衆送信権まで与えなければ、仕事を委託できないことになってしまう。

これが、権利侵害を前提とするプロバイダ責任制限法の話なら、入力した者が発信者とされるのだけど、文化の発展に寄与することを目的とする著作権法は、権利の活用を想定して解釈する必要がある。

よって、「入力する者が送信の主体」という、自動公衆送信送信可能化の行為主体が一致する5(1)イのような規範を立てるのは、画期的過ぎて理解を超える。

送信可能化権侵害のあてはめ部分
こんなにつっこみどころ満載な規範は、とても論理的に導かれたとは考えられない。どうにかして、自動公衆送信する機能を有しないベースステーションを、自動公衆送信装置に仕立てようと、結論ありきで頑張ったのだろう。5(1)アの「べき論」で飛躍させた理論に合わせて、5(1)イもぶっ飛ばしたのだ。恐らく意識的に。そして、5(1)ウであてはめ完了だ。

ザックリ書くと
・5(1)イへのあてはめ
 ベースステーションに入力している被上告人は送信の主体
・5(1)アへのあてはめ
 送信の主体である被上告人からみて自動公衆送信なのでベースステーションは自動公衆送信装置
∴インターネットに接続しているベースステーションに放送を入力する行為は送信可能化権侵害


うーむ。
入力しても送信の主体じゃなければ、送信の主体でない被上告人から見ても自動公衆送信は見当たらず...というはずなんだけど(^^;;

公衆送信権侵害の判決理由
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(2) 公衆送信権侵害について
本件サービスにおいて,テレビアンテナからベースステーションまでの送信の主体が被上告人であることは明らかである上,上記(1)ウのとおり,ベースステーションから利用者の端末機器までの送信の主体についても被上告人であるというべきであるから,テレビアンテナから利用者の端末機器に本件番組を送信することは,本件番組の公衆送信に当たるというべきである。

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あれ?放送事業者に公衆送信権は認められていないんじゃなかったの?
と思うかもしれない。

しかしこれは、上告人らが制作した番組について、著作者として著作権を有する立場から主張した公衆送信権侵害だ。よって、5(1)と混同してはならない。別物だ。

ポイントはやはり、「送信の主体
・テレビアンテナからベースステーションまでの送信の主体が被上告人
・ベースステーションから利用者の端末機器までの送信の主体も被上告人
∴テレビアンテナから利用者の端末機器に本件番組を送信することは,本件番組の公衆送信権侵害

アンテナからベースステーションまでの送信て、少なくとも、公衆送信から除外されてる同一構内だと思うが、それは別にしても、やはりここでも「(1)ウのとおり」だから、入力したからと送信の主体にされて、公衆送信権侵害...残念!

■IPマルチキャスト:蛇足
IPマルチキャストは自動公衆送信に該当するので、放送と同時に送信可能化(同時再送信)する場合、放送の複製権(98条)を侵害せず、かつて放送事業者に、これを制限する権利はなかった。そこで与えられたのが、平成14年改正による放送事業者の送信可能化権(99条の2)だ。

つまり、放送事業者の送信可能化権とは、IPマルチキャストによる同時再送信を制限する権利を認めたものだった。「単一の機器宛てに送信する機能しか有しない」装置なんぞ、当時の議論で念頭にあったと思えない。むしろ、IPマルチキャストと言われないために工夫したのが、まねきTVだったのだろう。

ところが今回最高裁は、「べき論」を導くために、放送事業者の送信可能化権の平成14年改正に触れることなく、著作者の送信可能化権の平成9年改正の状況だけ説明した。

実は上告人らは、一審(東京地裁判決平成20年6月20日)から「IPマルチキャストは,チャンネルを選択することにより利用者が求める番組を視聴することができるサービスであって,利用者が選局したデータをIP局内装置に送信したことに応じて,受信者の選択したチャンネルの番組のみ最寄りのIP局内装置から送信するものであり,本件サービスと同様のサービスである(IP局内装置がベースステーションに相当する。)。特に,利用者が自動的にテレビ番組を送信する機器に対して遠隔操作によりデータ送信をさせるための指令(チャンネル選択)を行っている点で全く同一である。かかるIPマルチキャストについては,利用者のチャンネル選択は「公衆からの求め」にすぎないと当然に判断されている。よって,本件サービスにおける利用者によるチャンネル選択も「公衆からの求め」にすぎないことが明らかである。」と主張していた。

つまり、まねきTVが、IPマルチキャスト放送してるという主張だ。個人が所有するベースステーションをハウジング業者に預けたら、ハウジング業者がIPマルチキャスト放送していることになってしまうのだ。ワォ!アメージング!(苦笑)

と思っていたら、最高裁はIPマルチキャストかどうか一顧だにせず、更に斜め上を行ってしまった。

なんせ、アンテナつなげば「入力送信な~のだ。」(バカボンのパパ風に)

★なお、平成18年改正で、同時再送信のIPマルチキャストを有線放送に準じる扱いにする改正がされたが、「専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的」とする場合に限定された話なので、今回は関係ない。

では続けて、ロクラク最判へ


■■最判平成23年1月20日:ロクラク■■
http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=6713

複製権侵害の判決理由
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4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者(以下「サービス提供者」という。)が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器(以下「複製機器」という。)に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合には,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,サービス提供者はその複製の主体であると解するのが相当である。すなわち,複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であるところ,上記の場合,サービス提供者は,単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず,その管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという,複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており,複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ,当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであり,サービス提供者を複製の主体というに十分であるからである。

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■カラオケ法理と言われるのを意識的に避けた?
「その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,サービス提供者はその複製の主体」になってしまうというのは、基本的に行為主体の転換という結果ではカラオケ法理と同じだが、そもそも転換どころではなく、当然にサービス提供者が行為主体と考えているのだろう。

何しろ、図利性を考慮していない。管理・支配だけでカラオケ法理と言うかは議論の余地があると思うが、金築裁判官の補足意見を読む限り、まんまカラオケ法理と言われないように意識したのかもしれない。というか、カラオケ法理的な規範そのものを肯定した上で、要件の固定化を避けた結果、実質はカラオケ法理の強化とも言える。

何しろ、「複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮」するというのは、行為規範にならないから困る。まあ、諸般の事情を総合考慮するみたいな言い回しは判決理由では一般的だが、著作権法のように日常的に誰もが権利侵害し得るのにとんでもなく重い刑事罰が規定されてる法律では、もう少しなんとか予測可能な基準を示していただきたい。

それとも、「複製の実現における枢要な行為をして」、それがなければ「当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能」であれば、「サービス提供者を複製の主体というに十分」という前例が、今後一人歩きするのだろうか?

■それでもやはり「入力」がポイント?
「放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力する」ことは、「複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為」というのが、少々引っかかる。

今回は、入力環境を提供した者が複製の主体とされたわけだが、先の「まねきTV」判決によれば、入力することは送信することで、送信可能化権侵害と公衆送信権侵害だったわけだ。あの規範は、ロクラクのような複製してから子機に送信する場合でも、入力することが複製になるなら、そっくり当てはまる。今回は、たまたま、上告人側が複製権侵害しか主張していなかっただけだ。

すると、本件のように入力環境を提供すると、複製の主体になると同時に送信の主体になって、複製権侵害+送信可能化権侵害+公衆送信権侵害のスリーコンボだ。KO。

アンテナつなげば「入力複製送信な~のだ。」(バカボ(ry)

諸要素を考慮すると言いながら、「放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力する」という、まるで、まねきTV判決に引っ張られたような形式的な行為を理由にしてしまったのが、不可解に感じる。

入力が問題なら、今後はブースターにつないだワンセグ中継アンテナを室内に設置するとかして、各複製機器は自身のアンテナで独自に受信するサービスにしたら、入力が観念できなそうですが、いかがでしょう(笑)

え?受信感度の良い場所で、窓辺に並べて、ダイレクトに受信させた方が完璧?
ハウジングとしてどうかとは思うが(苦笑)

そしたらきっと、入力複製に不可欠な行為ではなくなって、電源供給が複製に不可欠だ!とか言い出しそうだ。すると、電源供給が複製になって、複製したなら送信可能化で、公衆送信権侵害までやっぱりスリーコンボ...

■日本デジタル家電はそれでも元気
ということで、原審に差し戻して、ロクラクの管理状況等をきっちり認定しろ、という結論なのですが、被上告人の日本デジタル家電は、強気のコメントを発表。
http://www.tv.rokuraku.com/index_110120.html

管理状況等の認定次第で、再度ひっくり返る可能性がゼロではない。
つまり、管理状況等を認定したら、複製の主体と言えなくなるロジックが新たに見つかるかどうか...首の皮一枚といったところか。


■金築裁判官の補足意見
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1 上記判断基準に関しては,最高裁昭和63年3月15日第三小法廷判決(民集42巻3号199頁)以来のいわゆる「カラオケ法理」が援用されることが多く,本件の第1審判決を含め,この法理に基づいて,複製等の主体であることを認めた裁判例は少なくないとされている。「カラオケ法理」は,物理的,自然的には行為の主体といえない者について,規範的な観点から行為の主体性を認めるものであって,行為に対する管理,支配と利益の帰属という二つの要素を中心に総合判断
するものとされているところ,同法理については,その法的根拠が明らかでなく,要件が曖昧で適用範囲が不明確であるなどとする批判があるようである。しかし,著作権法21条以下に規定された「複製」,「上演」,「展示」,「頒布」等の行為の主体を判断するに当たっては,もちろん法律の文言の通常の意味からかけ離れた解釈は避けるべきであるが,単に物理的,自然的に観察するだけで足りるものではなく,社会的,経済的側面をも含め総合的に観察すべきものであって,このことは,著作物の利用が社会的,経済的側面を持つ行為であることからすれば,法的判断として当然のことであると思う。
このように,「カラオケ法理」は,法概念の規範的解釈として,一般的な法解釈の手法の一つにすぎないのであり,これを何か特殊な法理論であるかのようにみなすのは適当ではないと思われる。したがって,考慮されるべき要素も,行為類型によって変わり得るのであり,行為に対する管理,支配と利益の帰属という二要素を固定的なものと考えるべきではない。この二要素は,社会的,経済的な観点から行為の主体を検討する際に,多くの場合,重要な要素であるというにとどまる。にもかかわらず,固定的な要件を持つ独自の法理であるかのように一人歩きしているとすれば,その点にこそ,「カラオケ法理」について反省すべきところがあるのではないかと思う。

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カラオケ法理の考慮要素は、その二要素だけじゃないと思いますが、カラオケ法理の一人歩きを反省すべきというのは、素晴らしいと思います。

しかし、法律の規定によらずに行為類型によって考慮要素が変わるというなら、行為規範としては最悪ですね。判例の死屍累々が蓄積されるまで、予測不能です。

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2 原判決は,本件録画の主体を被上告人ではなく利用者であると認定するに際し,番組の選択を含む録画の実行指示を利用者が自由に行っている点を重視したものと解される。これは,複製行為を,録画機器の操作という,利用者の物理的,自然的行為の側面に焦点を当てて観察したものといえよう。そして,原判決は,親機を利用者が自己管理している場合は私的使用として適法であるところ,被上告人の提供するサービスは,親機を被上告人が管理している場合であっても,親機の機能を滞りなく発揮させるための技術的前提となる環境,条件等を,利用者に代わって整備するものにすぎず,適法な私的使用を違法なものに転化させるものではないとしている。しかし,こうした見方には,いくつかの疑問がある。
法廷意見が指摘するように,放送を受信して複製機器に放送番組等に係る情報を入力する行為がなければ,利用者が録画の指示をしても放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであるから,放送の受信,入力の過程を誰が管理,支配しているかという点は,録画の主体の認定に関して極めて重要な意義を有するというべきである。したがって,本件録画の過程を物理的,自然的に観察する限りでも,原判決のように,録画の指示が利用者によってなされるという点にのみに重点を置くことは,相当ではないと思われる。
また,ロクラクⅡの機能からすると,これを利用して提供されるサービスは,わが国のテレビ放送を自宅等において直接受信できない海外居住者にとって利用価値が高いものであることは明らかであるが,そのような者にとって,受信可能地域に親機を設置し自己管理することは,手間や費用の点で必ずしも容易ではない場合が多いと考えられる。そうであるからこそ,この種の業態が成り立つのであって,親機の管理が持つ独自の社会的,経済的意義を軽視するのは相当ではない。本件システムを,単なる私的使用の集積とみることは,実態に沿わないものといわざるを得ない。

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ここに、考え方の一端を垣間見る部分がある。

「親機の管理が持つ独自の社会的,経済的意義を軽視するのは相当ではない」

確かに、管理の意義というのは重要だが、その社会的、経済的意義というのは、ロクラク独特なものではない。恐らく金築裁判官は、ハウジングというサービスが、インターネットでは極一般的に定着した、当たり前の存在であることを、ご存知ないのだろう。だから、ロクラクのような管理形態が、放送事業者の利益を害する独特なサービスに見えたのではないか。

「本件システムを,単なる私的使用の集積とみることは,実態に沿わないものといわざるを得ない。」

一度、どこかのiDCにお連れしたいくらいだ。インターネットに接続するサーバというのは、誰もが自宅で管理しているのではない。室温管理、安定的な電源供給、回線の帯域保証など、機材の設置場所を提供する専門の業種が、長年確立している。セキュリティが厳重で、正に管理・支配が強固であることが求められるこれらの業務形態を、様々な利用者が信頼し、自らの所有する機材を預けている。

高速な回線を引くことも、サーバの安定的な運用環境を構築することも、とてもコストを要する上にノウハウが必要なので、その部分だけ専門の業者に任せることで、安価に、簡易に、インターネットを利用できるようにするものであって、その社会的、経済的意義は、広く認知されている。

その前提知識があれば、ロクラクの管理形態が、それほど特別なものでないと分かるだろう。
更に、ホスティングがもっと一般的だと知ったら、どう思うだろうか。

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さらに,被上告人が提供するサービスは,環境,条件等の整備にとどまり,利用者の支払う料金はこれに対するものにすぎないとみることにも,疑問がある。本件で提供されているのは,テレビ放送の受信,録画に特化したサービスであって,被上告人の事業は放送されたテレビ番組なくしては成立し得ないものであり,利用者もテレビ番組を録画,視聴できるというサービスに対して料金を支払っていると評価するのが自然だからである。その意味で,著作権ないし著作隣接権利用による経済的利益の帰属も肯定できるように思う。もっとも,本件は,親機に対する管理,支配が認められれば,被上告人を本件録画の主体であると認定することができるから,上記利益の帰属に関する評価が,結論を左右するわけではない。
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物理的、自然的に観察するだけでは足りないと言いながら、やはり今回は、物理的、自然的な「放送の受信,入力の過程を誰が管理,支配しているか」という観点だけで判断したのですね。しかも、結論を左右しないというなら、社会的、経済的観点は、考えるだけ無駄ということではないでしょうか。

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3 原判決は,本件は前掲判例と事案を異にするとしている。そのこと自体は当然であるが,同判例は,著作権侵害者の認定に当たっては,単に物理的,自然的に観察するのではなく,社会的,経済的側面をも含めた総合的観察を行うことが相当であるとの考え方を根底に置いているものと解される。原判断は,こうした総合的視点を欠くものであって,著作権法の合理的解釈とはいえないと考える。
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「原判断は,こうした総合的視点を欠く」って、原判決ほど、社会的、経済的側面を総合的に観察した判決は、過去にないくらい画期的だったと思うのですが。

原判決の時にもブログに引用したけれど、原判決は、こう説示していた。
http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=4093
「かつて,デジタル技術は今日のように発達しておらず,インターネットが普及していない環境下においては,テレビ放送をビデオ等の媒体に録画した後,これを海外にいる利用者が入手して初めて我が国で放送されたテレビ番組の視聴が可能になったものであるが,当然のことながら上記方法に由来する時間的遅延や媒体の授受に伴う相当額の経済的出費が避けられないものであった。
しかしながら,我が国と海外との交流が飛躍的に拡大し,国内で放送されたテレビ番組の視聴に対する需要が急増する中,デジタル技術の飛躍的進展とインターネット環境の急速な整備により従来技術の上記のような制約を克服して,海外にいながら我が国で放送されるテレビ番組の視聴が時間的にも経済的にも著しく容易になったものである。そして,技術の飛躍的進展に伴い,新たな商品開発やサービスが創生され,より利便性の高い製品が需用者の間に普及し,家電製品としての地位を確立していく過程を辿ることは技術革新の歴史を振り返れば明らかなところである。本件サービスにおいても,利用者における適法な私的利用のための環境条件等の提供を図るものであるから,かかるサービスを利用する者が増大・累積したからといって本来適法な行為が違法に転化する余地はなく,もとよりこれにより被控訴人らの正当な利益が侵害されるものでもない。」

これが、社会的、経済的側面を含めた総合的観察でないというなら、一体どんな考察をしろと言うのか疑問だ。


まねきTV、ロクラクそれぞれの法廷の裁判官の平均年齢は約65歳だが、皆さんがインターネットを使っているのか、とても気になる。(ちなみにうちの母は74歳だが、用事があるといつもSkypeで呼び出してくるので、ご高齢だからと馬鹿にしているわけではありません。)

当たり前の話
先日、以下の記事を読んで、何をアホな話をしているのかと、ある意味驚いた。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1007/26/news010.html

先祖帰りとか、何言ってんの?

「それならば、作品に関連したおもちゃを買ってもらう代わりに映像はタダですよ、で僕はいいと思っています。」って、それ当たり前の話ではないか。

アートアニメじゃあるまいし、マーチャンダイジングとセットでビジネスを考えるのは、商業アニメとして何も珍しい話じゃない。

今までそれが当然と思っていなかったなら、根本的に、権利をクリエイトするという発想が抜けてる、典型例だろ。


で、ネット社会の弊害?
ジブリのやり方に付いていく?
10人程度の会社で?

言ってることが滅茶苦茶。

ネットの力に屈して作画クオリティを上げて失敗したとか、この人が言うとギャグみたいだが、クオリティを諦めてブランド力を上げるとか、何の夢物語だろう?


ヲタク市場
確かに、ヲタク市場のパイの奪い合いには限界がある。

そもそも、DVD のセル市場は、少数のヘビーユーザー(年間購入金額3万円以上)によって買い支えられてきた。5年前の日本映像ソフト協会の調査では、国民(16~69歳対象)の6%のヘビーユーザーの購入金額が、セル市場全体の77.7%を占めていたが、昨年の調査では、ヘビーユーザーが5.1%に減り、金額はセル市場の57.5%に減少した。5年前のセル市場は、3,124億円で、昨年は2,674億円だ。

敢えて言うなら、DVD、ブルーレイのヲタク市場そのものが縮小してるのだ。

だから、ヲタク市場の外へ、ブランド力を上げて打って出ようという考え自体は正しい。内輪受けビジネスには限界があって当然で、そんなことは何年も前から、言われていたことだけどね。

だけど、その手法がまた、「浮動票みたいなところで争うのではなくて、組織票でがっちり固めてしまうという。」のはどうか?

また囲い込みかいな(苦笑)
逆に、浮動票の広大な市場を相手にすべきなんじゃないの?


■「Cat Shit One」
そんなことを思っていたら、市場拡大を具体的に目指している、とある作品に出会った。インターネットをネガティブに捉えず、本編全て(22分)をYouTubeで無料配信(公開期間:2010年7月17日~9月20日)している、「Cat Shit One」だ。
http://www.catshitone.jp/

そして、そのプロデューサーが、大変良いことを話している動画を見つけた。

こういう手法を選択したプロデューサーが、どんな考え方なのか興味があったのだけれど、 元ビルドアップの岡部氏で、いつの間にか円谷プロを辞職して、新会社を作っていたようだ。時期的に考えれば、円谷がパチンコメーカーのフィールズの子会社になる直前だから、それを嫌っての辞職なのかもしれない。まあ、想像の域をでないが。

以下、面白い発言を抜粋してみる。
-->
オンラインで映像を輸出することがテーマにある。
日本の市場が冷え込んでる。お子様が減ってますから。
だから、やっぱりコンテンツは、海外に対して売っていかなきゃいけない。色んなところで唱えてるけど、ほとんどシカトされてるんですけど。

そういうところでインターネットのインフラを使えば、まずは単純に売れる。
じゃあそのお金どうするのというところがあるはある。
僕から言わせれば、海外と、じゃあパートナーシップどっかと契約して、どっかの放送局とやってどうこうやる形よりは、自分たちで海外に向けて発信して売っていく方が、最終的には利益がデカイだろうと。

あとは、ジャパンなんとかクールとかおっしゃってるけど、あれはでも、なんでしょうねぇ。例えば、アメリカのアニメエキスポとかコンベンションで、そういう人が取材にきて、ほらアメリカではこんなに凄い、日本のコンテンツがウケてるんですよと、そこだけ切り取って全米とか見ちゃうのヤバいでしょうと、僕5年住んでたから分かるんですよ。そんなにはウケてないんで。

自分たちで売っていくってところで、インターネットをフル活用して動いていけば、僕はもう活路が出ると。

なんでハリウッド映画が、凄く巨額のお金をかけるかとすれば、それはマーケットが広いからであって、だからマーケットを広げるってところを、僕らも模索していかない限りは、いくらクリエイティブで凝ったモン作るとか、もっと愛情がどうこうとか、そんなもの、全然お金って裏付けがなければ表現できませんから。

それをじゃあ、僕は実はずっと、そういう座布団を用意してくれるプロデューサーが現れると思っていたんです。作っていたから。
だけど、そんな人一生現れない。僕は40過ぎた時に分かったんです。ああ、もうない。そんな人現れないから、じゃもう自分でやろうと。
<--以上、抜粋終わり


なんつーか、成功して欲しいですな。

通常、短編作品を単館上映しても、赤字。でも、劇場公開で認知度上げて、DVDとか売る。今回は、赤字の劇場公開の部分が、YouTubeに置き換わった。

今のところ、国内のアドレスからのアクセスしか、YouTubeは見られない設定だそうな。

今後、DVDとブルーレイに加え、Amazonでフィギュア売って、そういうマーチャンダイジングを全部、製作元で仕切るそうな。(日本て、製作委員会で権利を細分化するから、ダメなんだよね。)

あと、3D版も作ってるとか。


ということで、公開されてる本編。(追記:既に公開は終了しており、見られません。)


感想としては、よくできてると思うけど、原作がベトナムなのに、現代風に中東を舞台にしてしまったのは、どうなんだろう?という気がする。

アメリカを中心とする中東での戦争の不正義が叫ばれてる昨今、砂漠で駱駝を殺しまくるって、世界的にはKYかも(^^;

可愛いウサギがリアルなことをするギャップが、効果的な演出なのは分かる。しかし、普通に見たら、中東に悪意のある作品てことになるだろう。これが、サウスパークみたいな意図が明確な作品ならまだしも、これは多分そうじゃないだろうな。 単に、配慮が足りない感じがする。

(もし、サムライの格好したサルが悪役で、殺されまくるアニメがあったら、日本人としては素直に見られないだろうと思うと、中東の人々に謝りたいくらい下品だ。)

平和な国のミリタリーマニアは、これでOKな感想なのだろうか?

作品としては成功して欲しいけど、中東向けには絶対に配信しないで欲しい。
うちのブログは、中東関係のエントリーも多いので分かると思うが、冗談じゃなくてね。


蛇足
ところで、エンディングに「Contents Cloud Creation Society for Producing "Cool Japan"」というのが出てきて、デジハリやボーンデジタル、HPなんかの企業名が出てくる。(IBMの名前がないのにIBMの園田氏の名前だけ出てくるのは謎。まさか、またHPに出戻りました?)

恐らく、ソフトとハード各社をデジハリで協力させ、クラウドのレンダーファームを試験運用でもしたのだろう。

かつて、ある劇場作品のレンダリングでIBMの世話になったが、あれで苦労した成果が、こういう作品に少しでも生かされてるなら、ちょっと嬉しい。

しかし、ジャパンなんとかクールを疑ってるプロデューサーが、Cool Japanと冠するレンダーファームの世話になっているとしたら、ちょっと皮肉だ。

まあ、Cool Japanは、僕もヤバイと思ってるので、話は合いそうだけど。
クール・ジャパンのマヌケ

■追記
http://www.ida-shop.com/category/12.html
注文した。微力ながら支援。

フォーサイト3月号が届いた。気になったのは、「危機に瀕する日本の知的発信力」という中東研究で有名な池内恵氏の記事で、相次ぐ外交・国際政治分野の雑誌の休刊が、研究者の発表の場を奪い、研究機関の水準が保てなくなり、国際的な発言力を維持できなくなる、という趣旨の問題提起をしていた。権威の高い雑誌を作り上げ維持していくことの大変さと重要さを訴えていた。

外交フォーラム」は外務省が一定部数を買い上げて採算を取っていたが、「事業仕分け」で予算が打ち切られ、3月号で終刊。

アジア経済研究所の学術誌「現代の中東」も1月号で停刊。

日本国際研究所の学術誌「国際問題」も予算カットで紙版の発行を止め、賛助会員だけのWeb版に。(ただしこれは、印刷製本版配本サービスが始まるようだ。)

そして、「フォーサイト」も4月号で休刊。

これだけ立て続けに、外交・国際政治分野の雑誌が消えれば、そりゃ心配になるのは当たり前だ。

しかし、紙媒体にこだわらずに、紙媒体以上の発表の場として、Web化を模索することは、最早避けられない話だろうと、読みながら思った。


そしたら、何とその3月号に、4月号で休刊が決まっていたフォーサイトが、夏からWeb版でスタートすることが決定したとのお知らせが!

http://www.shinchosha.co.jp/info/emergency/foresight2.html
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/201003/monthly.html

超ウレシイですw

散々嘆いた甲斐があったか?
http://maruko.to/2009/12/foresight.html

Web版についてのアンケートが始まったので、早速答えた。
http://www.shinchosha.co.jp/ssl/foresight/enquete/

-->
Q13. ウェブ版「フォーサイト」にどんな機能・サービスを期待しますか?
  PCでWeb上で記事を見る分には、過去記事検索は当然に必須だろう。しかし、単に過去記事を検索できるというより、異なる号同士、異なる筆者の記事でも、関連性のある記事をジャンル・時系列で体系的に表示して欲しい。単なる検索では、Googleでキーワードで検索するのと同じになってしまう。記事の体系的な見せ方こそ、雑誌の編集の視点であり、それは過去記事の見せ方にも必要な視点だと思う。
 号単位の編集ではなく、サイト全体で過去記事も時系列で編集し、その視点を読者に提供するようなイメージだ。フォーサイトで提供される記事を受け身で読むことと、Googleで検索して情報を能動的に探して読むことは、情報に対する接し方が全く異なる。
 例えば「中東」の情報を得たいという場合に、Googleで自分の見識の範囲で思いつくキーワードで検索し、たどり着けるサイトというのは、自分の能力に依存した限られた結果であり、自分の興味の範囲内の情報しか得られない。それに対し、フォーサイトで「中東」のページを見る場合に期待するのは、フォーサイトの視点で提供された情報に受け身で接する機会を得ることであり、自分の検索能力では辿り着けない記事を読めることに、金銭的価値を見出す。
 ただし、一度契約したら、それ以前からのユーザーと全て等しく記事に接することができるのは、継続的に契約する意欲を失わせる。そこで、そういったサイトの利便性は共通に確保するとしても、継続的に契約する者へのインセンティブとして、少なくとも読者契約期間内の記事に関しては、 eBookJapan等の専用ソフト上でも良いので、ダウンロード保存可能にして欲しい。

 また、やはり継続的契約のインセンティブとして、フォーサイトクラブセミナーの在り方を考え直して欲しい。契約中の読者のみ、セミナー会場からの Ustream生中継を見れるようにし、Twitterでハッシュタグを使い、セミナーを同時に遠隔地から見ている読者同士のつぶやきを共有できると面白い。
 読者のつぶやきをフォローしている、読者でないTwitter利用者は、何の中継を見ているのか興味を持つだろうから、フォーサイトの宣伝にもつながるだろう。
 類似のサービスとして、記事もしくはジャンル毎に、ハッシュタグを決め、契約者からしか見えていない記事に関するTwitter上での読者同士のつぶやきを推奨すると面白い。つぶやきに興味を持った人が、元記事を読みたくて読者契約するかもしれない。読者同士としても、他人がどう感じているか知ることも、また、関連した情報を持つ読者のつぶやきから新しい情報に接する機会を得ることも、面白い。

 携帯や電子書籍端末への対応は、特定の端末に限定せず、広くやって欲しいが、端末によって選択的に価格設定をしても良いのではないか。

 なお、有料サイトとして、ある程度の閲覧制限は必要だろうが、完全制限ではなく、個人の外部ブログ等から、記事の一部引用、トラックバックを可能にしてもらえると、ブロガーとしては有り難いです。
-->

という感じで。

期待してます!!

フォーサイトが、20周年の節目となる来年4月号で、休刊が決まった。
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/
編集長が語る今月のフォーサイト
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/201001/monthly.html

とてもショックだ。


(1)厳しい出版状況に直面する中で、全社的な事業の再編、特に雑誌部門の見直しが避けられなくなったこと
(2)二十年間の健闘はあったものの、今後の収支改善の見通しが立たないこと
(3)インターネットの普及で、国際政治経済情報を扱う月刊誌の役割が大きく変化したこと

この3点が、休刊理由だそうだ。
http://www.shinchosha.co.jp/info/emergency/foresight.html

かつて、「ウェブ進化論」の梅田望夫が「シリコンバレーからの手紙」を連載していた雑誌であることを思い起こしても、ひとつの時代が終わるかのように、感慨深い。進化に追いつけなかったわけだ。

我が家では、母親が創刊号からの読者だった。
その影響で、自分も読者になった。

社会人になってから、他に定期購読していた雑誌といえば、「エイビーロード」しかなかった(オイ!)自分にとって、フォーサイトによってもたらされる情報は、常に貴重だった。

一人暮らしを始めてからは、たまに実家に帰った時に目を通す感じだったが、今年は公式の読者ブロガーとなり、毎月献本してもらって、記事をブログで取り上げてきた。しかし、結局読者増加には貢献できなかったわけだ。


どうやら、現在の読者数は約2万2千人程度だとか、某所で目にした。

値上げしてでも存続してほしかった読者も、少なくないだろう。
存続のために必要であったなら、一冊千円が二千円になったって、自分は買っただろう。
店頭販売のない雑誌を定期購読する読者なのだから、普通の雑誌の読者とは思い入れが違ったのではないだろうか。

印刷と配本にコストがかかるなら、PDFでダウンロード販売でも良かった。同じ編集部で、有料でWeb化してくれれば良かったのに...
(ちなみにエイビーロードも、インターネットの普及によって情報の即時性が求められるようになり、月刊誌の存在意義が問われ、無料でWeb化した。)

冗談みたいだが、今月号に「米既存メディアに吹きすさぶ寒風」という記事があった。この2年で、米メディア界では4万7千人が職を失ったという話だ。ここに書かれている、メディアが経営を悪化させた3つの理由は、恐らくフォーサイトの休刊理由の(1)と(3)にも関係する。自戒の念を込めての掲載だろうか?(苦笑)

1、不況による広告収入の激減
2、収入源になっていた求人広告や不動産情報が無料のネットサイトに奪われた
 (既存メディアよりも、広告効果が分かりやすいため重用される)
3、読者の生活習慣の変化

特に「3」が重要だ。
携帯電話などで短いニュースを「見る」ことに慣れた人々は、新聞で深く「読む」ことをしなくなったというのだ。

記事は、その結果として、地方紙の衰退で記者の減った各地の州都で、既に州政府の腐敗が目立つようになったという。そして、権力の監視という、民主主義の存立に必須の伝統的メディアの役割をどう守るか、様々な事例が紹介されていた。


しかし思うに、日本での「3」の変化は、ちょっと違うのではないか?
例えば、政治的なニュースに興味すら示さなかった層が、短くとも、ネットでニュースに「触れる」ようになったとも見える。mixiなど利用していると、興味がなくともニュースが目に入るようにサイトが作られているから、言葉足らずのニュースを鵜呑みしたり誤解したりして日記を書いている人々を多々見かける。そして、2ちゃんであれ、まとめサイトであれ、興味を持った個別の事案について、日本のネット利用者は、「読む」ことを嫌っていない気がする。少なくとも、twitterで政治家と直接つぶやける現在、一方通行の伝統的情報メディアのみの時代より、民主主義が進歩してる気がする。mixiも2ちゃんもtwitterも利用しない人は、既存メディアに依存したままだろうから、「3」は該当しないかもしれない。

問題は、「チラシの裏の落書き」と、「価値ある情報」の違いを、見分けられない人が少なくないだけだ。世の中には、買うべきニュースソースがあることを知らない層が、増えたかもしれない。そういう意味で、日本にも「3」が該当すると思うし、そういう意味で、フォーサイト休刊理由の(3)も正しいとは思うが、解釈は逆だ。インターネットの普及で、国際政治経済情報を扱う月刊誌の役割が大きく変化したが、だからこそ「重要度が増した」と思っている。

インターネットの普及で、有象無象の情報が氾濫している今こそ、フォーサイトの視点で、月刊誌ペースで深みのある情報を提供するメディアが必要だと感じる。しかしそれが、紙媒体である必要は無い。


ちなみに今月号では、アフガニスタン、イラン、イラク、アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮といったいつもの記事もさることながら、以下の記事を集めた『「王室」の研究』という特集が良かった。
-->
女性が担う欧州王室の未来 三井美奈
二つの民族間で揺れるベルギー王室の挑戦 大野ゆり子
「王制論議」が示すタイ社会の地殻変動 樋泉克夫
ハシム家とサウド家「二人のアブドラ」 三井美奈
両陛下カナダご訪問に見る「皇室外交」の意味 西川恵
-->

加えて、歴史作家が連載する「国際人のための日本古代史」では、『遷都1300年「平城京」で起きた聖武天皇と藤原氏の暗闘』だ。

こうして、現代における各国の王室の状況と、皇室外交のあり方を特集しつつ、はるか昔の政治の道具そのものだった天皇に関する史実も読んだ上で、小沢の問題発言についての記事も読める。

いやはや面白すぎる。こんな雑誌が休刊とは、本当に残念だ。

世の中、即時性を要する情報と、そうでない、短絡的では困る情報があるのであって、インターネット時代であろうと、月刊誌のペースで情報発信する媒体の存在意義は、十分にあると思う。ネットは、読者の情報収集能力に依存した情報を得るには適しているが、自ら日常的な興味の範囲外について、多重的かつ多様な情報を吸収するには、信頼できる編集部の視点に一定程度依存できる雑誌は、大変有り難い。Googleの検索結果とは違う。

また、そういう情報は、毎日大量に得られることは望まない。一ヶ月に一度、フォーサイトが届くのは楽しみだったし、届くと興味の有無に関係なく、一気に読破した。ネットでは、毎日情報が氾濫していて、そこから取捨選択し、無駄な情報を排除するのに必死だが、月刊誌に接する場合、情報への自分の接し方は、180度異なる。

民主主義には、両者が必要なんじゃないか?


ところで、フォーサイトの場合がどうだか知らないが、大半の出版社には、「紙」の流通に関する異常なピンハネ構造があって、出版コスト削減を阻んでいる。もしかすると、ピンハネだけではなく、Web化で「紙」が無用となること自体に抵抗してたり...と想像したくなる。

旧態依然とした二重三重の「卸」が、仕入れや納入の実態なくして、利益だけ取っている場合が多いそうだ。出版社は、印刷会社から紙を購入すれば、効率的で安価にできる。ところが、そうしている出版社はごく少数派。大半は、製紙会社から二次三次卸を経由させた紙を、印刷会社に納入して使う。そして卸は、実は出版社自らが設立していたり、何故か出版社毎に特定の「卸」が独占していたりして、そこには出版社の創業者一族が名を連ねていたりする。営業努力なしに常に黒字の、優良企業だ。

どこの世界にも、かつては存在意義があったのに、今は無用な長物と化してしまった既得権益団体のようなものがあるものだ。そういう仕組みの効率化こそ、先に着手されるべきだ。しかし現実は、淘汰されてはならない情報誌から、インターネットの影響を言い訳に、淘汰されてしまう。インターネットは悪くないのに...


さて問題は、今後だ。
読者数の多い雑誌は、買う価値を感じない。
学生時代、サブカル雑誌と化したガロをレジに持っていった時の心理に似ているw

あ...だから、自分の買う雑誌は、軒並み消えていくのか?(自爆)


フォーサイトと多少近い雑誌に、「選択」がある。上記の紙流通の問題は、実家になぜか届けられた、「選択」の試供本に掲載されていた。興味深い雑誌だ。しかし、フォーサイトと違って、各記事の執筆者が無記名なのが気持ち悪い。


困ったな...

朝日のGLOBEで、JALに関する特集がかなり良くできてる。

実家は朝日を取っていて、ちょっと前に折込版のGLOBEを偶然手にしたのだけれど、そこのJALの特集がよくできていた。そしたら、Webだけの記事もあると書いてあって、紙面からWebに読者を誘導する上手い企画だなと思った。

「第28号 日本航空 再び翔べるか」
http://globe.asahi.com/feature/091123/

紙面の記事と同じものに加え、Webのみのインタビューがいくつもアップされてる。

で、このインタビューの載せ方がまた良い。
色んな立場の専門家に、大体似た質問をぶつけているから、それぞれの答えを比較できる。誰かの意見だけを正論とするのではなく、相互に反対のことを言ってる専門家のインタビューをそのまま掲載している。

これは、限られた紙面ではできない、Webならではのリッチな掲載方法だ。情報を選別せず、素材を列挙し、読者が比較判断できるようになっている。

短絡的になりがちな新聞の欠点を、雑誌的な編集方針をWebで実現することで補っている。(JAL以外の記事は、まだ読んでないけど)

ということで、早速RSSをブックマークしたのだけど...結局これで、Webだけで全部読めちゃう。これじゃ、最終的に新聞の読者拡大にはつながらないように思う。やはり、最終的にはWebを有料化していくための布石だろうか?

まあ正直、これだけの記事なら、金を出しても良いと感じた。


ちなみに、Webだけのインタビュー記事で、自分の意見と完全一致したのはこれ。
『第5回「必要なのは消費者利益に資する航空会社。日本の会社である必要はない」』
(塩谷さやか 桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授)
http://globe.asahi.com/feature/091123/side1/05.html
キレイな人だからじゃありません(自爆)


更に言うと、リンクに関する方針も良い(著作権法的観点を含め)。

現在、「ヨミウリ・オンライン」は、個別記事へのダイレクトリンクを認めていない。
「毎日jp」は、記事の掲載期間が原則1ヶ月しかないから、リンクしても...
「asahi.com」は、リンクは原則自由でも、リンクしたことを連絡しろという無茶振りだった。

しかし、このGLOBEは太っ腹だ。やっと、実情にあったリンクポリシーが示された。

「リンクについて」
http://globe.asahi.com/siteinfo/link.html

これで安心してリンクできるw
「記事見出しから当該記事ページへリンクを設ける場合も同様」ってことで、記事見出しの複製を認めている点は、著作権法的には一応論点だったりする。

あ、そういえば先月、
http://maruko.to/2009/10/hub.html
「読売と朝日で、雁首そろえてこのレベルだ。」と批判してしまったけれど、GLOBEのような報道姿勢もあると知ったので、ちょっと認識を改めます(^^;

先月、「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会」なる団体が、活動を開始した。頭文字から、CCIFと呼ぶ。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090817_309042.html

Winnyのネットワークを監視し、ダウンロードされているファイルを調べ、それがアップロードされると著作権侵害となる可能性のある人物に対し、ISP経由で警告を始めているそうだ。現在まだ、著作権法は違法なアップロードのみ禁じ、私的使用目的でのダウンロードは違法でないので、違法なアップロードに加担させられる可能性を根拠に、ISP経由の警告にとどめているようだ。

しかし、来年1月1日から施行される改正著作権法では、違法なインターネット配信による音楽・映像を違法と知りながらダウンロードすることが、私的使用目的であっても権利侵害となる。いわゆる、ダウンロード違法化である。よって、来年からは警告などという迂遠な方法をとらずに、ダイレクトに訴えることが可能となる。CCIFのオブザーバには、警察庁がいる。改正著作権法をフル活用するための、準備万端といったところだろうか?

著作権法に追加される30条1項3号には、違法なダウンロード行為そのものに罰則規定がない。しかし、行為が違法となった以上、不法行為に基づく損害賠償請求や、不当利得返還請求が可能となるのであって、権利者団体には大きな価値がある。

ところで、FAQの記述が引っかかる。
http://www.ccif-j.jp/activity.html
-->
Q.私が何のファイルを持っているのかを調べることは、盗聴ではないのか。

A.調査では、Winnyのネットワーク上に流通している「キーファイル」(ファイルの要約情報)を収集し、ユーザーが保持するファイルの名称やIPアドレス、接続時刻などを検索・保存できる技術が利用されています。調査に使用されているツールは、Winnyネットワーク上を、通常に流通している情報を取得するだけで、ユーザー間の個別の通信を傍受するような機能はなく、通信の秘密を侵害しません。
<--

はて?
通信の秘密は、いつから、ユーザー間の個別の通信の傍受に限定されるようになったのだ?

通信の秘密の法的性格に関する通説は、表現の自由の保護とともに、私生活の自由ないしプライバシー保護をもその趣旨とする。だから、保障の範囲は通信の内容だけでなく、通信の存在自体に関する事柄も含む。誰が通信しているか、などもそうだ。

例えば、内容が公になっていても、送信者の身元を明かすことまで想定されていないのなら、そこに保護法益が存在するはずだ。言うまでも無く、憲法制定当時、今のネットワーク社会を想定していたはずもなく、条文を文言のみから現代に当てはめて良いわけがない。

「通信」に関する解釈は、「特定人から特定人にあてた意思の表示」=会話を含むという立場から、「遠隔地に存在する特定の発信者と特定または不特定受信者が、特定のチャネルを利用してなすコミュニケーション行為をいう」という立場まで、学説は様々存在する。以下のP6など。
http://www.jaipa.or.jp/info/2005/iw2005.pdf

そして、通信の秘密における侵害行為態様とは、送信者の意思に反した利用が含まれる。

ネットワーク上の、物理的な位置づけから、論理的にはCCIFが受信者だと言いたいのだろう。しかし法的には、送信者の想定していない受信者は、当事者ではないと言うべきで、その解釈は理系的な技術認識とは、別次元の議論だろう。送信者からすれば、CCIFのような団体に受信されるとは、知らないのだ。

ネットワーク上に流通していれば、誰がどんな通信をしているか把握するために、受信者を装って通信を取得することが構わないというなら、本末転倒である。それこそが、通信の秘密が想定している法益(表現の自由や、プライバシー)を侵すのだから、脱法的ではないか。

こんな解釈で構わないのなら、アマチュア無線など誰でも聞ける無線通信には、「通信の秘密」は存在しないことになってしまう。

「通信の秘密」とは、「秘密の通信」ではない。

憲法は、第三者が、受信者を装って、不特定多数の送信者の通信を一挙に解析できる時代が来ることなど、想定していなかっただけだ。そういう場合は、法の趣旨に立ち返って、時代に合わせて解釈するのが、憲法である。現代における通信の秘密の侵害に該当すると、法律構成は可能なはずだ。

そんな危惧をしていたら、こんなブログを見つけた。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090830.html
このブログ主に、粘着的な気持ち悪さを感じる人は、少なくないはずだ。
これで、産業技術総合研究所情報セキュリティ研究センター主任研究員だそうだ。

単純な話、この人と何かやり取りしたら、何の犯罪もしていなくても、コッソリと調べ上げられて、プライバシーを侵害される可能性があるってことだ。幸い自分は、P2Pに興味は無いし、ブログ主にIPアドレスを知られる関係(例えばメールをやり取りするとか)でもない。しかしそれでも、抽象的な恐怖を感じる。

普通、誰かの自宅のIPアドレスを知ったとしても、それ以上に行動を調べたりしない。Winnypだからできたとしても、相手が他人に知られたくないであろう私生活に関わる部分まで、まともな倫理観があれば調べたりしない。

現実世界で考えれば当然だが、誰かのリアルな住所を知っているからと、その家からの出入りに関する情報に、興味など持たない。そんなことを調べるのは、それを仕事にしている興信所や捜査機関などを除けば、ストーカーくらいなものだ。

仮に、当初は統計的な目的で、公道を走る車をカメラを多数設置してカウントしていたとして、そこに車のナンバーが写っていたとする。ある日、意見の合わない相手の車のナンバーを知ったからと、それを統計目的で所持していたデータに照らして、相手の私生活の行動パターンをグラフにして弱点を暴き、ネットで公開なんぞするか?

現実の世界では、そういう作業はとても手間と費用がかかるし、完全な情報収集は困難なので、個人じゃ限界がある。ところがインターネットでは、一定の技術を持つ者であれば、通常では考えられないような膨大なデータを収集し、フィルタリングし、特定個人の行動を監視できてしまったという現実が、ブログで示されたわけだ。CCIFのような団体ではなく、一個人でも、同じことが可能なのだ。

恐らく、ここで非難されている「ダウンロード違法化反対家」なる人物は、このブログを見て自分であることに気付いて、今頃恐怖に陥っているだろう。また、そこまで計算して、このブログが書かれているかもしれない。

もっと言えば、無関係の人物であっても、ダウンロード違法化に反対の意見表明をすると、ここで書かれているように児童ポルノをダウンロードしたいからだろうと思われる可能性が生じてしまった。

たった1人の行動をストーカー的に調査した結果のみから、著作権法に関する正当な議論が矮小化されてしまった。言論の自由に対する脅威だし、当該人物に至っては、脅迫されたようなものではないか?

もし、1人ではなく、実はもっと大量にサンプルがあって、ダウンロード違法化に反対する人々の大半が同様であるという証拠を持っているのだとしたら、こういうブログの書き方もアリかもしれない。しかしその時は、同時に、そのように大量のプライバシーを侵害する行為者の倫理観が、ずば抜けてオカシイことを公言するのと同じになるだろう。

というか、最初から、ダウンロード違法化に反対の、ある程度発言力のある特定人物を個人攻撃する目的がなければ、Winnyノード観測システムの接続ログとIPを突き合わせたりしないだろ。

さも偶然、ダウンロード違法化反対家が児童ポルノをダウンロードしていたことを発見したかの書きっぷりで、公共性のある情報を発信しているかの装いだが、当人の行動自体が常軌を逸している。


そもそもブログ主は、「Winnyネットワーク観測システム」なるもので、何故監視しているのか。当初は、純粋にWinnyがネットワークにもたらす弊害に対する、技術的興味だったようではある。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20060716.html

しかし、3年も情報を蓄積し続けた結果、「データから利用者ひとりひとりがどんな行動をしているか、直感的に読み取れるよう視覚化」してしまう。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090816.html

注釈で、「通信の秘密」について言及している部分はこうだ。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090816.html#f01
-->
こうした調査は(プライバシーに関わるものにはなり得ても)通信の秘密に抵触するものではないと認識している。ISPなどの通信インフラ上で調査しているわけではなく、通信の当事者である私のコンピュータで行っているものであり、(ユーザ単位のアクセス制限があるわけではない)ファイル共有ソフトは不特定多数に向けた公開サービスであって、Webのクローラが(無断リンク禁止の隠しページも含めて)全てのページを拾っていくのと同列だからである。
<--

自らは通信の一方当事者であり、当該通信も秘密でない、と言いたいのだろう。
自らの正当化理由も、この日付も、そして攻撃対象までが、CCIFと足並みがそろいすぎているのは、偶然の一致なのか?


ついでに、比較に出している事例から推測してみる。ブログ主は、無断リンク禁止の隠しページは、クローラに拾われても良いと考えているようだ。鍵がかかっていない家は、出入り自由とでも言いたいのだろうか?
鍵のかけ方に詳しそうな、このブログ主には、常識なのかもしれない。しかし、隠したいけれど隠れてないというケースは、単にコンピュータやネットワークに関する知識の存否によって生じ得る。知識の無い人間の秘密は、法的保護に値しないのだろうか。アメリカでこんな事件があったのを思い出した(苦笑)
http://wiredvision.jp/news/200806/2008061621.html

こういった例の示し方から、技術的に保護された通信のみが、通信の秘密の対象だと思っているのではないかと、勘ぐってしまう。


まあ、とにもかくにも問題は、自らと対立する言論を攻撃する道具に、使っている点だろう。CCIFの言い分が正しいと、特定個人の行動を調べ上げるような、この様な監視行為も、誰もが許されることになる。IPアドレスは、「偶然知った」と言えば、許されるようだ(苦笑)

できることと、やってはいけないことという線引きは、既に失われている。

問題は、著作権保護の要請の範囲を、遥かに超えていると言えよう。


ところで、もしも同じ行為を、捜査機関が行うとしたらどうだろう?
つまり、何の嫌疑も無い状態から、個人のIPアドレスを手掛かりに、その人物の通信に関わるプライバシーをどこまで侵害できるかだ。

CCIFや、上記ブログ主が言うように、これが通信の秘密の侵害に該当しないとなると、捜査機関が同じ手段を用いることも障害がなくなり、何も嫌疑のない国民であっても、Winnyなど利用していれば日常的に監視が可能となってしまう。令状無しにだ。そんな未来が、来年1月1日から始まるのか?
あ、もうとっくに監視されてるのかな(^^;;;


かつてレッシグが「CODE」で案じた、規制を必要とするインターネットの未来そのものに出会った、と感じた。あの本の後半には、確かこんな趣旨のことが書かれていた。
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インターネットは、放っておけば、どんどん規制しやすくなる。それは、過去の仕組みの不完全さがもたらした欠陥の穴を塞ぐのだが、その不完全さとは、実は憲法が保証する欠陥、自由でもある。
だから、ネットの匿名性に価値があるなら、不完全な認証を組み込むべきだし、情報のフィルタリングも不完全となるように、政府の規制によって実現しなければならない。

技術が進めば、不完全なシステムは、どんどん完全に近づく。
不完全(=自由)の価値を守るのが、憲法や法律であって、政府の役目だ。
政府の規制を弱めたからと、自由が実現されるというのは妄想だ。
自由を守るには、適切な政府の規制が要る。

不完全なシステムこそ、多様な価値観を生む。不快な現実が、規制によって全く目にすることがない世界では、何が不快か知ることもないし、現実から目を背けるだけだ。人は、好きなものだけを見ていては、成長しないのだ。

民主主義の根本は、知る権利と、表現の自由だ。フィルタリングは、これを奪う。
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政府ではなく、コードを書く個人によって、インターネットの自由が失われるなんて、昔はなかなか想像できなかったんだけどなぁ...

改訂版のVERSION 2.0は、まだ読んでないが、今こそ買うべきかもしれない。

-->追記
偶然、先日の衆議院選挙で落選してしまった元議員のブログの、2006年時点の興味深い記述を見つけた。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/fcacf197b9bd5659faaf21124aa6ef9e
この人の心配した通りの社会になってますね。結局、著作物の権利者団体という、ごく一部の人々の経済的利益を保護するために、多くの国民のプライバシーが危険にさらされることが正当化されるという、不思議な国ですね。この時点ではまだ、「容疑が浮上した段階でプロバイダーに「サーバーの保全要請」をかける」とか書かれてますが、最早そんな必要もなく、日常的に監視できるようになってしまうなんて、この人も驚きでしょう。残念な人が落選したものです。
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-->追記2
間違ってた綴りを修正(苦笑)
ちなみに私は、上にも書いてますが、P2Pとか全然興味無いので、もちろんWinnyとか使ったことありません。なので、Winnyで実際に権利侵害してる人を、擁護する気は全く無いです。プロフにも書いてますが、10年以上、著作物の制作現場で働いていた側です。DVDを年に100枚買ったりするくらい、著作物に金を払うことが大好きです(自爆)
しかし、それとこれは、全然別の話。
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http://jp.techcrunch.com/archives/20090720youtube-experimenting-with-3d-web-videos/
http://japanese.engadget.com/2009/07/22/youtube-3d/

ちょっと話題になってる。

HD立体もOK
http://www.youtube.com/watch?v=UTOwV5IJq48&fmt=22
ここに動画を埋め込むと分からないので、リンク先の動画の下を見て欲しい。
3Dの表示方式を選べるようになった。

Googleの「20%の自由時間」を利用して開発したというのが、面白い。

今後は、3Dシアター向けのCG作品をYouTubeでプロモーションするのは、ありかもしれない時代だ。

なお、一般人に3Dの需要があるかといえば、実はYouTubeに限らず、こんなWebCamも存在する。

http://wiredvision.jp/blog/takamori/200907/200907281520.html

ちょっと高いかな...

日本なら、こんなウォーリーみたいなカメラじゃなくて、せっかく目が2つあるのだから、「萌えキャラ」や「ゆるキャラ」の大きめなフィギュアにでもして、PCの上にキャラが座っているように見える製品でも作った方が、売れる気がするw

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0905/31/news004.html
http://event.rakuten.co.jp/medicine/net_signature/

これの悪影響の一つが、早くも明らかに...

http://www.its-kenpo.or.jp/news/2009/news17.html

まあ、僕はもう、会社人でないので、健康保険組合からの薬はもらえないけど、今まではいつも便利だったよ。社員の皆さん、今年薬がもらえないのは、世論を無視した厚生労働省のせいです。

悪いのは、改正薬事法ではないですよ。
改正薬事法第36条の6は、第2類医薬品に関して
「適正な使用のために必要な情報を提供させなければならない」
とあるだけ。

これを勝手に厚生労働省が解釈すると、対面販売が必要になって、ネット販売が禁止される。で、健康保険組合が、会員に薬を配ることも、できなくなる...

こうして、社会に浸透していた有益なサービスを潰して、ウハウハになってる奴ってさ、本当にクソだよ。

写真素材のピクスタ

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