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謹賀新年

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 明けましておめでとうございます。

 今年の画像は、年末にMSCベリッシマのクリスマスクルーズに乗船した際のものからです。洋上のジャグジー、暖かい屋内は人が多かったですが、寒い屋外はガラガラ。温水で入っている限りは快適ですが、一度入るとなかなか出られなくなりました(自爆)
 モバイルプリンターを持ち込み、これを年賀状にせっせと印刷。寄港地の那覇から投函したのでした。

■クルーズ
 一昨年の、クルーズ船や鉄道を駆使した地球一周旅行の後、旅行にホトホト疲れ、昨年は静かにしているつもりでした。が、後半になると徐々に安いクルーズ情報を検索するようになり、日本発着が安くなっているのを見つけてしまったのが運の尽き。一番安い、窓の無い内側キャビンで、2人利用時の1人分クルーズ代がUS$219、諸税がUS$180というのを見てしまいました。この客室を1人利用する場合、割り増しされたクルーズ代はUS$258(自分は会員割引があってUS$245.10)でした。つまり、横浜発着の9泊10日で、神戸、那覇、石垣、基隆(台湾)に寄港するクリスマスクルーズが、諸税込み6万5千円程で乗れてしまう。これは乗らねば...となりました。もちろん、毎日の食事やショーも込みなわけで、陸の旅では考えられない安さです。クリスマス当日のショーは、特に素晴らしかったです。

 ちなみにこれは、アメリカ経由の予約の話ですが、同じクルーズを同時期に日本の旅行代理店経由で申し込むと、2~3倍以上の値段になります。20年前に自分が初めてクルーズ旅行をした時からそうですが、海外では高くないクルーズ旅行が沢山あるのに、日本ではクルーズ旅行=高額というイメージが定着しているため、同じクルーズでも高く売られる市場が出来上がっています。日本の値段しか知らなかった場合、今回の一人旅を同時期に日本の代理店経由で申し込むと諸税込み24万3千円でしたから、絶対に乗らなかったでしょう。

 なお、正月明けのクルーズも安かったので、来週は母を連れての珍道中予定です。6泊7日の二人分で、諸税込みで8万円でお釣りが来ました。安いでしょ?

■仕事とか
 昨年50歳になってしまいましたが、40代最後に韓国の仁川にあるカジノの求人に応募し、ディーリングの実技試験で大ミスをし、当然の結果として不採用となったのは落胆しました。それまで、韓国行く気満々で韓国語の勉強し始めたり準備していたのですが、自分でもガッカリなくらい自分のせい。意気消沈して(予定がガッツリ空いたので)箱根へ。箱根はいつも、オンボロ別荘で世捨て人モードがお決まりなのですが、仕事の予定が消えての滞在というのは初めて。そこで、箱根で面白い仕事無いかなと、職探ししてみました。

 すると...ありました。

 いわゆる、リゾートバイトと呼ばれるジャンルがあるのですが、観光地のホテル等の仕事で、寮費無料で住み込み、光熱費無料、場合によっては食事も無料で、時給もまあまあみたいな、そういう求人情報ばかり集めたサイトがいくつもあるのです。当然、人手不足が有名な箱根の求人もヒット。

 ディーラーという仕事はサービス業なので、どうせならサービス業の範疇でやったことない職種をと思っていたところ、箱根のハイクラスなホテルのフロントやレストランの求人がワンサカ。その中に、寮として紹介されている建物に見覚えがあるホテルがありました。別荘からよく歩いて行っている、箱根園の「ザ・プリンス箱根芦ノ湖」でした。ザ・プリまでバイト募集してるのかと驚きましたが、50歳にしてプリンスに直接雇用されて、ホテルのビュッフェレストランでホールデビューと相成りました。

 いつも、サービスを受ける側として行っていた場所に、サービスを提供する側として勤務するというのは、カジノ通いでミイラ取りがミイラになったディーラーとしては既視感が無くもありません。しかし、今まで全く興味が無かったジャンルのせいか、裏と表のギャップの激しさに驚かされる毎日。詳しくは書けませんが、もうお客として高いお金を払うことは無いかなと。

 ここから、箱根の他のホテルはどうなのかと、新しい興味が湧きました。価値のあるサービスを提供していて、働いている人々もハッピーな職場があったら、そこにこそお客として泊まってみたい。そういうところはあるのかなと。
 丁度この頃、箱根の多くのホテルが「タ〇ミー」という隙間バイトアプリを導入して求人していることを知りました。会員制高級リゾートホテル、老舗旅館、有名ホテルチェーン等々、箱根で高額なサービスを提供している現場に、日雇いバイト(どころか、数時間バイト)が日常化していたのです。そこで、自分もタイ〇ーを使って、箱根中のホテルの仕事を転々と経験してみることにしました。

 驚きました。10以上のホテルを経験しましたが、表ではすました顔でサービスしていても、裏では怒号と罵声(「死ね!」とか)が飛び交う超ブラックな会員制高級リゾートホテルのレストラン等、想像を超える酷いところがあったのです。裏を知ってしまうと、もうお客としても全く行きたくない世界でした。(たまに、従業員同士が仲の良い宿で働けると、ホッとしました。)
 特に残念だったのが、どこのホテルも多くの従業員は箱根に詳しくなくて、箱根が好きでも何でもないという人が少なくない点。休日は小田原や東京に遊びに行ってばかりで、自分のようのように箱根の自然を堪能している人には出会いませんでした。地方から働きに来ているだけで、箱根は何もないと思ってるような人が、沢山働いているのです。そういう人々は、箱根ローカルのイベントとも接点が無く、寮と職場を往復する毎日が、彼らの知る箱根の大半だったりします。物心ついた頃から箱根を知る自分としては、そんな人々が箱根に来る観光客と接していることに、心底ゾッとしました。(恐らく、他の観光地も同様なのでしょうね。)

 海外の学生をインターンシップと称して安く働かせている有名ホテルもいくつかあり、台湾やインドネシアの大学生との出会いは意外なものでした。自分たちが他の日本人と比べてどれだけ安く働かされているか知らずにいて、何かのタイミングで知ってしまってショックを受けている学生もいました。同一労働同一賃金とか、夢のまた夢。インターンシップ学生は、日本人バイトより更に低賃金で、ろくな研修も受けずに現場に投入され、慣れるまで苦労していました。研修無しに、教わらなければ絶対に無理なシフトに投入され、トラブルの原因になってしまった学生とか見ましたが、彼らは本当に悪くない。

 人手不足なのに低賃金で、人材教育にコストをかけない。短期間のバイトも集まらず、日雇いで毎日自転車操業。無理なことを繰り返すシワ寄せは、現場に重くのしかかる。あるホテルでは、何週間も休みが取れないとか、今日も帰れないとか、そういう嘆きの声を従業員から聞きましたが、持続可能性の無い、この国の縮図のようなものを見た思いでした。帰国する学生が、「もう二度とここには来ない」と言っていたのが、忘れられません。

 なお、そうして出会った海外大学生とのつながりは今もあり、大事にしたいと思っています。

■はてさて
 今年は、直近の年明けのクルーズの他に、またクイーン・エリザベスに乗りたいと思っています。横浜からアラスカ経由でバンクーバーへ渡る太平洋横断が、値下がりするのを待っています。が、母と叔母の旅をアテンドせねばならない様子。きっと、自分自身は楽しめない旅となるでしょう...シクシク。

 クルーズ旅行のレビューは、以下の口コミサイトにまとめてますので、興味のある方はご覧ください。
https://cruisemans.com/@ranpou

 安いクルーズについて等、質問を頂ければ可能な範囲でお答えしますよ。

謹賀新年

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 明けましておめでとうございます。

 昨年はついに、ローマで新型コロナ陽性となりました。85日かけて地球を一回りする珍道中の途中で、母が熱を出したのでローマの薬局で1個3.9ユーロの抗原検査キットを買って試したら、親子そろって陽性。色々大変でしたが、幸いイタリアの自己隔離はちょっと不思議で、隔離中もスーパー等へ買い物に行けるので助かりました。短時間で買い物を済ませなければならないのですが、外出して食料を買うことが可能だったお陰で、親子そろっての隔離期間中でも食べ物に困りませんでした。プライベートスペースにシャワーや洗濯機、冷蔵庫もそろった、広いバルコニーのある部屋で民泊していたので、部屋に閉じこもる必要もなく、バルコニーでゆったりと食事を取り、洗濯物を干す毎日でした。宿のオーナーに伝えたところ、共用部分のキッチン等の使用は禁止と言われましたが、それ以外は特に制限なく滞在出来ました。重症化せずに済んだのは、ワクチン接種済み(当時自分は3回、高齢な母は4回)だったお陰と思っています。

 この旅で興味深かったのは、様々な国のコロナ対策の違いです。例えば、スイスは屋内でも誰もマスクしていない国で、列車内など公共交通機関でもノーマスクだったのですが、陸続きのイタリアへ列車で国境を超えると、バスも列車もFFP2の高性能マスク着用が義務。母が座席でドリンクを飲むのにマスクを外したまま着用を忘れていたら、車掌に怒られてしまいました。(シンガポールでも、屋外でマスク外していたまま地下鉄駅に入って改札を通ろうとしてしまった際、駅の係員にマスク着用するようちゃんと止められました。)他のお客は皆、当然にマスク着用が徹底されていました。スイスとイタリアはシェンゲン協定加盟国ですから、国境超えると言っても何もないわけですが、ルールがガラリと変わり、それがちゃんと守られている。
 また、クイーン・エリザベスで2週間かけて大西洋横断した時は、船の屋内でのマスク着用義務と、屋外デッキでのノーマスクへの切り替えを、乗客がしっかり意識して行動していたのが印象的でした。日本人客は我々二人だけで、つい日本の癖で屋外でもマスクを外し忘れていても、他が誰もマスクしていないので、徐々に自然と外すようになりました。クイーン・エリザベスは、そもそもドレスコードの厳しい船で、同じ船内でも時間帯や場所によってフォーマルやカジュアルの指定がはっきり決められており、乗客もそれを守ってオシャレを楽しみます。マスクもドレスコードの一種と言えなくもなく、決められた場所で着用するという行動は、乗客にとっても違和感の無いルールだったのだろうと思います。一度、母がマスクを忘れて自分のキャビンを出てしまった時は、クルーにマスク着用を指摘されても持っていなかったため、FFP2の高性能マスクを無料で渡されました。
 対して、エーゲ海クルーズで乗船したノルウェージャン・ジェイドという船は、クイーン・エリザベスとは違い、船内でのマスク着用義務が守られていませんでした。この船会社は、フリースタイルを売りにしており、ドレスコードが殆ど無いのですが、同様にマスクも自由な感じになってしまっていたわけです。マスクを着用するよう言われたのは乗船時のチェックインでクルーズターミナルに到着した時だけ。以後は、船内でマスクしていなくても全く何も言われないのです。マスク着用を義務とする案内板はありましたが、それを守って船内でマスクをしている乗客は、ほぼゼロでした。
 では、ノルウェージャン・ジェイドは、クイーン・エリザベスより危険だったのかというと、これが全く分からない。ビュッフェの入口では、消毒液を吹きかけて簡単に済ませるのではなく、石鹸でしっかり手洗いすることを求められました。乗客も、クルーの指示に従って手洗いに並ぶ。この光景は、消毒液を使うだけのクイーン・エリザベスには無かった。どちらの船のやり方が乗客として正解なのか、簡単には言えません。しかし、安心感という意味では、クイーン・エリザベスが正しいと思える違いが明確にありました。
 クイーン・エリザベスでは、船内の陽性者率によって4段階に対応が決められていて、レベル4になると母港のサウザンプトンに帰港しなければならないと言われていました。アメリカのフォートローダーデールから私が乗船した時点で、既にレベル2だったそうで、途中でレベル3に上昇。バーカウンターでの対面サービスが停止され、セルフランドリーは使用禁止、シアターは1席空けての着席、ルームサービスは隔離者への対応に忙しいからと、極力使用せずにレストランへ行くようアナウンスがありました。いくつかのデッキに、客室への通路のドアが閉じられた区画が出来ていましたが、そこが陽性者の隔離客室の区画だと聞きました。つまり、マスク着用が徹底されていても、サービスを制限する程船内の新型コロナ陽性者率が上昇していたのがクイーン・エリザベスでした。対してノルウェージャン・ジェイドでは、そういったサービスの制限が全く無く、陽性者が出ているのかどうかすらも分からない。陽性者が全く出ないとは思えませんが、特にアナウンスが無いので、乗客としては分からない。この分からなさは、屋内で誰もマスクせずとも注意されない船内で、不安感を生みました。サービスが制限されたとは言え、決められたルールを徹底して守り、情報を共有するクイーン・エリザベスは、とても誠実に思え、安心できたのです。
 逆に共通しているのは、乗船時にいくら陰性証明書を確認しても、乗ってから陽性になる乗客を防げるはずもなく、海外のクルーズ業界は、陽性者が出ることは当然に織り込み済みで運行しているという事実です。日本ではつい最近も、日本のクルーズ船が出航後に陽性者が数名出たというだけでニュースになっていましたが、そんな程度がまだニュースにされてしまうのは日本だけでしょう。

 一番対策が厳しいなと思ったのは、アブダビでした。Alhosnという健康管理アプリをスマホにインストールし、ワクチン接種証明やPCR検査結果等の条件をクリアーしているとグリーンパスという画面が表示される仕組みがあり、商業施設等の入口でこれを警備スタッフに見せないと入れてもらえないのです。ところが、事前にスマホにインストールした際、SMSで認証が必要なのに、認証コードが届かないという不具合が。当時契約していたキャリアに問い合わせたりしましたが、特に障害は起きていないとのことで、何度も試しましたが諦めました。そこで予約したホテルに問い合わせると、Alhosn無くても空港でPCR検査受けて陰性証明取得すれば良いと言われ安心しました。(チェックイン時点で陰性結果が届いていなくても構わないが、レストランやプール等のエリアを利用する際には提示する必要があるとのことでした。)
 ただ、一筋縄ではいきませんでした。空港で受けたPCR検査の結果は、Email不可で、SMSでのみ送ってくるとのことで、空港到着後直ぐに購入した現地SIMの電話番号で対応は出来たのですが、検査から3時間程で届いた結果のSMSにあった陰性証明書PDFへのリンクが、何度クリックしてもエラー表示に。深夜だったので翌朝まで待ちましたが回復せず、検査を行った業者のホームページを探し、問い合わせフォームからダメもとで問い合わせました。すると、意外にも2時間もかからずに担当者からメールが。本人確認にSMSのスクリーンショットやパスポート画像を送り、更に2時間後には無事PDFの陰性証明書を取得できました。(なんだかんだで半日は行動できず、夕方からの観光となってしまったのは残念でしたが。)
 ショッピングモール等に入る際、毎回これを提示した訳ですが、その都度じっくりと記載内容を確認されるので、面倒ではあるのですが、こういったルールの運用が形式的にならずしっかり守られているというのは、とても好感が持てました。

 どの国でも、屋外ではマスクをしないのが普通だったので、それに慣れて帰国したら、屋外でもマスク着用が多数派の日本が異質だと、やっと気付きました。更に日本だと、バスなら乗車口で運転手からマスク着用を求められることもありますが、地下鉄の駅等でマスクをしていなくても、止めたり注意する駅員を自分は見たこと無いなと。よく考えたら変だなと。
 そもそも、成田の帰国時点で、入国審査より前に煩雑な導線で多数のスタッフとやり取りしなければならなかったのですが、これが異様な光景でした。ワクチン接種証明や健康管理アプリの確認のためだけの非正規雇用の外国人スタッフが多数いて(しかも、特定の国がやたらと多い印象で、私の対応をしたのも外国人でした。)、簡単なタスクがいくつもに細分化され割り振られ、それぞれの場所へ複雑な導線が組まれてグルグルと歩かされる。その為、一つ一つの通路は狭く仕切られ、他人との距離が近い。
 本来少人数で対応可能なタスクを、何故か細かく切り分け複数名に担当させるのは、無駄に人件費を膨らませているように見える。そんな面倒なことをやっている国は、この旅で他に無かったので、強く違和感を覚えました。健康管理アプリをインストールしているか聞いて次の行き先の書かれた紙を渡す人、アプリの画面を見て説明しつつ冊子を渡す人、通路の途中で前のポイントで渡された紙を持ってるかチェックするだけの人等々...無駄な導線減らせば一人で対応できるのでは?という作業分担。
 しかしそこで、ふと気づきました。非正規の多数のスタッフの様子が、私が前年経験した某国際大運動会の現場とそっくりだったのです。これは、どこかのイベント系の人材派遣会社が食い込んで、なるべく人月多くなるように仕事を作っているのではないか...そういえばあの大会も、何故かバングラディッシュ人が多数スタッフとして雇用されていて仲良くなったな。自分が今会話してる相手も、同じように見えるなと。
 なんというか、途端に極東の島国っぽさ満載な歓迎を受けた感じで、帰ってきたんだなと、生暖かい気持ちになりました。まあ、10月下旬の話なので、今はどうなのか知りませんが。

 ちなみに、この時のクルーズ乗船記は、以下に詳しく掲載しておりますので、ご興味のある方は是非。
 https://cruisemans.com/@ranpou
 https://www.cruisebrothers.jp/p/20238.html

 では、本年もよろしくお願い致します。

謹賀新年

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ということで、あけましておめでとうございます。
ブログは何とかしないとダメですね(苦笑)

謹賀新年

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明けましておめでとうございます。
何と、前回の投稿が一昨年の年賀状という酷い状況で、久々の更新です。

昨年は、カジノスクールに通いはじめたのをきっかけに、久々にカジノ通いも復活しました。
最初は、マニラにできた日本資本のカジノ、オカダ・マニラを見てみたいというのがスタート。次は、仁川にできたセガサミー出資のカジノを見てみたいということで、パラダイス・シティへ。
夏は、当初スーパースター・ヴァーゴという船で、横浜から上海へ行って帰ってくるクルーズの予定でしたが、厄介な台風の影響で船会社からクルーズをキャンセルされてんやわんや。急きょ乗れたのが、香港から沖縄へやってくる中国人向けのクルーズで、ゲンティン・ドリームという最新鋭の15万トンの船。船上でのボルダリング、初めて体験しました。
その後、サイパンで仮オープンしてたカジノが、やっと工事が進んで新しい場所で営業開始したというのを知り、何十年ぶりかでサイパンへ。インペリアル・パシフィック・リゾートの宮殿のようなカジノでしたが、まだホテル部分は工事中。ホテルがオープンしたらまた行ってみたい感じでした。
そして、どうせなら、最近の済州島はどうなっているのかと調べてみたら、これまたリニューアルオープンしたカジノを発見。ラマダプラザのカジノが興味深かったので、情報不足でしたが色々回ってみるつもりで久々に済州島へ。最後、カジノからお土産もらってしまいました。
ここまでくると、アジアで行ったことのないカジノを体験してみたいという感じになり、セブ島へ。久々に場末感溢れるカジノに辟易。
この辺で、昨年は打ち止めの予定でしたが、カジノスクールの休みをついて、週末にまた仁川だのマニラだの行ってました。
マニラは、オカダ・マニラ以外にも巨大カジノが3つあり、近場では結構オススメです。
特にそのうちの一つ、リゾート・ワールド・マニラには、フリーベットブラックジャックという面白いテーブルがありました。なんと、9・10・11からのダブルダウンと、20からを除いたスプリットが無料というブラックジャック。高額ベットしてる時にスプリット、スプリット、ダブルとかチャンスが来ると、同時に大ピンチでもあるわけですが、それがノーリスクでできちゃうわけです。こんな素晴らしいルールのブラックジャック、他所のカジノで見たことがありません。ただし、ディーラーが22になっても、バーストではなく引き分け扱いというのが時々痛いのですが(苦笑)

そんな感じで、カジノ法案の行方を横目に、日本にできるはずの統合型リゾートの未来、そこで必要とされるコンテンツとはどんなものか等々、また考え始めました。

年末、古巣のVSLという、今はない会社の忘年会で、デジタル・ハリウッドの杉山校長とか懐かしい人々に会いましたが、思えばラスベガスに通いはじめたのも、デジタル・ハリウッドでSIGGRAPHついでにラスベガスに連れていかれたのがきっかけ。あの時、カジノリゾートとコンテンツの関係を初めて意識しました。
VSL時代の最後、それを引き継いだダイナモピクチャーズ時代と、会社の忘年会でプレゼント交換会をやってましたが、自分はいつも、ラスベガス旅行を誰かにプレゼントしてました。いつか仕事に役立つだろうと。

今年は、カジノスクールの友達とカジノへ行ってみたいです。
そろそろ、筑波宇宙センターでの知財の仕事は終わりにして、カジノとエンタメとコンテンツ分野に軌道修正したいところ。どんな年になるのやら...

前回前々回に続き、旅行の話。
というか、もう3ヶ月前のラスベガスの話(苦笑)
(ここ2ヶ月ほど、そろそろ働こうと情報収集始めたら、結構面倒でブログが後回しになってしまった。)

昔は、会社の納会でマイレージ使ってラスベガス旅行を同僚にプレゼントしていたくらいで、自分でも何度となく訪れていたラスベガス。司法試験の勉強が終わるまでと思って、しばらく行っていなかった。

前回行ったのは、STAR TREK THE EXPERIENCEが終了すると知って駆けつけた2008年8月だから、6年ぶりだ。この間の変貌振りは激しく、新しいホテルや施設がどれくらいあるか調べ、それらを含めて回ろうと計画するだけで、アホみたいに時間がかかってしまった(苦笑)

お初にお目にかかるのは...
CityCenterThe LINQAriaVdaraThe CosmopolitanElaraThe DDowntown GrandSLSThe Cromwell

日本食レストランとして有名なNobuまでがホテルに進出してた。

逆に、SaharaIMPERIAL PALACEといったリーズナブルなホテルは消えた。

つーか、IMPERIAL PALACEがThe QUADになって、The LINQに改装中とか、変化が速すぎてガイドブックにゃ書いてない。
The Quad Starting To Morph Into The Linq Hotel

TropicanaはHiltonになってるし、マイナーチェンジを含めたらワケワカメだ。

無料ショーとして有名だったSirens of TIが終了(左)してたのは知ってたけれど、フォーラムショップスFestival Fountainもなくなっていたのは行って吃驚(右)。
end.jpg

Sirens of TIは次のショーの予定も聞かないし、Festival Fountainの後がどうなるのかも知らないけれど、無料のショーが減り、リーズナブルなホテルが減りゴージャスでオサレに変貌し、カジノ以外も金がかかるようになってきたということなら残念だ。

そして、そういう意味での象徴的な変化が、ホテルの料金体系そのものに表れていた。


■不透明な料金体系
特に今回悩ませられたのが、宿泊料金に追加で徴収されるResort Feeというやつ。最初、ホテルの予約サイトの説明読んだ時は、何か新しい税金かと思った。でも、Resort Fee自身にも税金がかかるというので、なんじゃそりゃ?と。
http://www.lvtaizen.com/_backnum/html/10072main.htm

以前なら、インターネットや電話は、使った人だけが追加料金を請求されていたのだけど、今は使うかどうか関係なく、一泊毎にそれらの代金として強制徴収されるようになったと...まあ、こういうことは他のリゾートでもあるらしいけど、胡散臭いし面倒だ。

こんな一覧まである。
http://www.vegaschatter.com/story/2014/1/19/195044/059/vegas-travel/Las+Vegas+Resort+Fees%3A+The+2014+Guide

2012年と比較するだけでも、Resort Feeが値上げされ続けている変化が分かる。
http://www.vegaschatter.com/story/2012/1/3/211037/0031/vegas-travel/Las+Vegas+Resort+Fees%3A+The+2012+Guide

追加料金なのにオプションではなく、このシステムを導入しているホテルでは必ず徴収される。しかも、ホテルによって金額も内容も違う。エクスペディア等の予約サイトなどで金額でホテルを比較したい場合、宿泊料金だけで比較されるので、ホテル毎に異なるResort Feeを自分で合算して計算し直さないと、本当の比較ができない。何十ものホテルを全日程で比較検討するのは面倒だった。

予約時に予約サイトで支払う金額と別に、現地チェックアウト時にホテルに直接Resort Feeを支払うことになるので、それを理解せずに揉める客がいるらしい。

追加料金なんてたかが知れてるとか思ってはいけない。
ホテルによっては、宿泊料金よりResort Feeの方が高額だったりした。どっちがメインなんだ?と、つっこみたくなる。

以下、今回宿泊したホテルの料金。

9月ホテル名宿泊料金Resort Fee備考予約サイト
2日Hooters4,100円1,793円3人1泊エクスペディア
3日Hooters1,787円1,793円1人1泊エクスペディア
MGM Grand7,005円3,038円2人1泊M life
4日Stratosphere4,613円2,165円3人1泊Hotels.com
5日
6日
Downtown Grand13,065円4,387円3人2泊エクスペディア
7日Hilton Grand Vacations
Suites on the Las Vegas Strip
8,007円なし3人1泊Hotels.com
8日
9日
JOCKEY CLUB
(Jockey Resort Suites Center Strip)
25,220円なし3人2泊エクスペディア
10日Wynn22,066円3,075円3人1泊Red Card
11日RIVIERA2,222円1,832円3人1泊Booking.com
12日
13日
グランドサークルツアー参加ツアー込み205,263円VELTRA
14日RIVIERA2,222円1,833円3人1泊Booking.com

HiltonとJOCKEY CLUBがResort Feeなしなのは、どちらも本来は会員制リゾートなコンドミニアムだからだろう。(カジノのないコンドミニアムなんて、以前は割高な気がしていたけれど、高額なホテルが増えた結果か、印象が変わった。初めて利用してみたら、便利だしとても良かった。特にJOCKEY CLUBは立地も良いのだけど、一般客は常時利用できるわけではないらしいので、タイミングも良かった。)


■合計約11万円
グランドサークル観光を2泊3日したところを除き、3人でラスベガス11泊の合計が約11万円ということで、1泊1万円だったことになる。安いRIVIERAから豪華ホテルなWynnまで含め、地域的にはストリップ南の新フォーコーナー、フォーコーナー、ストリップ北、ダウンタウンと、ラスベガスの主要スポットを網羅した。網羅して、豪華ホテルも入れ、可能な限り安くできる日程を組んだらこうなった。上記リストに含まれない食費は想定外に高くついたけれど、ラスベガスのホテルのコスパが良いのは昔からだ。
(ちなみに、RIVIERAに2回宿泊しているのは、グランドサークルのツアーに参加するのに荷物をホテルに預けたからで、ツアー参加前後で同じホテルにする必要があったからだ。ツアーは早朝から参加で、帰りも遅いし翌日には帰国で早朝出発だし、どうせホテルは楽しめないと思い、ストリップでとにかく安いホテルを探したらこうなった。RIVIERAが好きなわけではない(苦笑))

昔はResort Feeがなかったので、もっと安かったけれど、カジノがあると関連施設が安くできるということ自体は確かだ。にもかかわらず、カジノのない高級ホテルが増えたり、Resort Feeのような宿泊施設の収益を増やそうという動きは、カジノ収益に依存した状態からの脱却ではある。

かつてのギャンブラーの街から、シルク・ド・ソレイユに代表されるショーなどエンターテイメント都市、ビジネストラベルのMICE都市へと変貌発展し、脱カジノ依存(「脱カジノ」ではない)の統合型リゾート(IR)として成長したけれど、まだ現在進行形で変化し続けているわけだ。

バーニングマンじゃあるまいし、こんな砂漠に何故世界中から人が集まるのか。
ラスベガスのスタイルを模倣したショッピングモールなど、お台場でも人気(ヴィーナスフォートとか)だろうけど、観光立国を目指す日本が学ぶべき点は、形式ではなく、その姿勢の違いではないかと思う。


と、話がズレてしまったけれど、旅のお話は年越しで(^^;;

前回に続き、ラスベガス旅行の話。今回はその経由地、ポートランドについて。


イーツアーを使って、デルタ航空の安いチケットの空席状況とにらめっこしながら、出発の一ヶ月前にギリギリ押さえられたのが、成田(NRT)からポートランド(PDX)経由でラスベガス(LAS)へ行くものだった。(本当は、羽田から深夜0:30とかに出発して前日の日付で現地に到着する便にしたかったのだけど。)

ポートランドといえば、自分にとっては鬼門。また引っかからなきゃいいけどと思いつつ、今回は別の問題があった。
NRTからPDX到着は朝9:11で、PDXからLASへの出発が16:50であり、7時間以上も時間があったのだ。これを空港内で待つのは、流石に勿体無い。簡単にポートランドを観光できないかな?

ということで、トランスファーの時間を有効活用するために、ポートランドの情報収集を始めた。

■なんだ、魅力的な街じゃないか...
正直、ラスベガスへの経由地くらいの認識しかなかったポートランド。でも、調べるうちに魅力が理解できてきた。

http://www.travelportland.com/lang/japanese/

コーヒーとビールが美味しくて自転車で観光するのが楽しそうな...いいね!
http://portland.junglecity.com/enjoy/index.htm
なんか、住んでみたい街だな。こんなことなら、7時間といわず、一泊くらいしても良かったかも...と思っても後の祭り。格安航空券はチケットの変更はきかないし、同行者の目的はあくまでラスベガスなので、貴重な時間をどう有効活用して観光するか考えてみた。

初めての街を短時間で効率的に楽しむとなると、自由に散策するよりも、ツアーに参加するのが良い。そこで、travel PORTLANDの観光ツアーのページで紹介されているツアー情報を参考に、参加可能なツアーを絞り込んだ。

個人的には自転車ツアーとか行きたいけれど、同行者は高齢なので無理。
同行者のことを考えると日本語ツアーが良いのだろうけど...
そもそも、この手のツアーはホテル宿泊者を前提に組まれているものばかりで、空港から参加するには時間が読めなかったりで情報不足。だけど、一々問い合わせしてる暇もないな...
オレゴンの自然を満喫するようなツアーも良いけど、どうせラスベガスからグランドサークル行くから、自然を楽しむのはそっちで十分だしな...

コーヒーツアーとかいいよね。
http://www.thirdwavecoffeetours.com/tours-jp.html
でも、ポートランドに9:11到着予定で、10時からのツアーというのは無謀だ。
順調に到着して順調に入国できたとしても、まず間に合わない。
http://www.forktownfoodtoursportland.com/#!our-tours-japanese/c1kpp
こんなのも魅力的だけど、曜日が合わないし...

とかウダウダ考えていたのだけど、最終的にPortland SpiritのDowntown Lunch Cruiseに決めた。
http://www.portlandspirit.com/portlandspirit.php#lunch

11:30から乗船開始の、12:00から14:00までのランチクルーズで、ポートランドの中心部を流れるウィラメット川(コロンビア川の支流)から街を紹介してくれる。到着や入国で多少遅れても、12時には間に合うだろう。日本語ツアーではないけれど、どうせランチは食べなければならないのであり、限られた時間で食事と観光ができれば一石二鳥だ。

結果的に、これで大正解だった。

■荷物の問題
そこで心配になったのが、ポートランド観光中に荷物をどうするかだ。
自分の荷物は大したことないが、同行者の荷物は多そうだ。とても、荷物を全て持って観光するわけにはいかない。

アメリカからの帰国の場合は、アメリカ国内を経由しても、途中の空港で受託手荷物を返却されることなく日本の空港まで運んでくれるが、日本から行く場合は、最終目的地ではなく、アメリカで最初に入国する空港で、受託手荷物を一度引き取らなければならない。つまり、帰りはLASで預けた荷物はPDXで返却されることなくNRTまで届くが、行きにNRTで預けた荷物は、PDXで一度受け取らなければならない。そして、PDXで再度荷物をチェックインしなければならない。

通常なら、乗り換え客には専用の荷物再チェックインカウンターがあり、受託手荷物を受け取ってもすぐに預けられて、身軽になれる。しかし今回は、次の便まで7時間以上あるのが心配だった。乗り継ぎ便はアラスカ航空であり、アラスカ航空は通常7時間も前に荷物を預からない。

そこで、デルタのカスタマーサポート用のTwitter公式アカウントに質問してみた。




すると、営業時間になってから、予約の詳細を確認するのでダイレクトメッセージで予約確認番号とか送ってほしいとの返事があり、それを伝えると迅速に返事がきた。

以下、ダイレクトメッセージでのやり取りはこんな感じだった。

デルタサポート
「PDXで預け荷物を一度受け取っていただき、乗り継ぎカウンターにて再チェックインが必要です。乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。PDXの市内観光をご希望の旨を空港職員へお伝え下さい。」

自分
「乗り継ぎカウンターでアラスカ航空の職員に市内観光希望を伝えれば、7時間前でも荷物をチェックインできるだろうということですね。ちなみに、アラスカは荷物1個から有料ですが、デルタで無料で預けた荷物は、別料金を取られることはないですよね?」

デルタサポート
「この度ご購入いただいている航空券は国際線とアメリカ国内線を1つの旅程として発券している航空券なのでアメリカへ到着する弊社の荷物規定が適用されます。また、今回はお乗り換えカウンターでの再チャックインとなりますので7時間前でも対応しております。」


自分の質問は、空港職員とアラスカ航空職員を混同しているが、最終的には、デルタのこれらの回答がほぼ正しかった。(「乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。」というのを除いて。)

しかし出発当日、成田のチェックインカウンターのデルタ職員が異なる説明をしたせいで、非常に混乱した。

自分
「今、NRTでチェックインしたのですが、PDX乗り換えが7時間あるからアラスカの搭乗券は発券できないと言われ、PDXでアラスカに搭乗券を発券される6時間前まで荷物も預けられないと言われてしまいました。困りましたが仕方ないですね。ご報告まで。」

デルタサポート
「ご報告いただきましてありがとうございます。こちらにて情報が誤っており申し訳ございません。チェックインやお荷物のお預けにつきましては、ポートランドにて再度ご確認いただきますようお願い申し上げます。ラスベガスへの旅、お楽しみ下さい。」


この時点で、既にランチクルーズは予約済みなので、今更荷物を預けられないとか言われても困るのだが、サポートから違う説明を受けていると言っても、成田のデルタ職員の返事はそっけなく、ポートランドで荷物をどこかに預ければ良いと言われてしまった。(結果的に、この職員の説明は間違っていたので助かったが。)

しかも、トランスファー時間で市内観光なんて、到着が遅れる可能性もあるのに、予約するのが悪いと言わんばかりの態度。(そんなの分かってるよ。)というか、何かイラッとすることを言われたが、忘れた(苦笑)

大体、日本のようにそこら中にコインロッカーがあるわけもなく、ポートランドのどこで預かってもらえるのか知ってて言ってるのか聞きたかったが、何か不毛な感じがしたので諦めた。ここでゴネても仕方ない。

事前に以下を見ていたので、
http://portland.junglecity.com/enjoy/basicinfo/airport.htm
「荷物預かり所(storage)」があること自体は分かっていたが、料金とかよく分からないので、利用することにならないことを祈っていた。

サポートからの「ポートランドにて再度ご確認いただきますようお願い申し上げます」という返事には、成田の職員が間違ってるのではないかというニュアンスが読み取れたが、実際にPDXに到着してみたらこうなった。

自分
「PDX、結果的に直ぐに荷物の再チェックインできました。荷物がベルトコンベアで運ばれた後に搭乗券を求められ、まだ発券されてない旨理解されると係員は困った顔してましたが、何も言われませんでした。先に確認されていたらどうなったのか、分かりません(^^;」

デルタ
「PDXでお荷物を直ぐ再チェックインが出来ましたとの事、何よりでございます。市内観光はお楽しみいただけましたでしょうか。ラスベガスの滞在も満喫くださいませ。」

ということで、無事に市内観光を満喫できた。


ちなみに、デルタのサポートとは、もう一つ別の質問もしていた。

自分
「NRTでe搭乗券を使った場合、PDXでアラスカ航空に乗り換えるのに、スマホのe搭乗券はそのまま使えますか?また、帰国の際、LASからPDXへのアラスカ航空について、Fly Deltaを使ってチェックインしてe搭乗券を使うということはできますか?」

デルタ
「スマホのE搭乗券でのご搭乗は、現在の所、弊社便のみでご利用可能と認識しております。恐れ入りますが、ご帰国時もアラスカ航空ご利用区間があります為、スマホのE搭乗券はご利用いただけないかと存じます。ご不便をお掛けし大変申し訳ございません。」

事前にこれを読んでいたので、
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/075/75095/
e搭乗券を使ってみたかったが、他社便が絡む今回は使えなかった。


■ポートランド国際空港の親切な職員さん
ポートランドで受託手荷物を再度預けた際、言われるままに階段を上がったら、すぐにセキュリティのいるゲートがあって、機内でもらったペットボトルの水とか、その場で捨てろと言われた。

「あ、このまま進むとセキュリティチェックポイントで、乗り継ぎ便のゲートまで行ってしまう」と分かったので、荷物を再チェックインしたカウンターで、市内観光希望を伝えなければならなかったのだと気付いた。

先のデルタサポートのツイートでは、
「乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。PDXの市内観光をご希望の旨を空港職員へお伝え下さい。」
と言われていたので、待機場所らしき場所に行ってから伝えるのだと思っていたのだけれど、荷物の再チェックインカウンター周辺にそんな場所はなく、市内に出るのにセキュリティチェックポイントを通る必要はないはずなので、乗り継ぎ便のゲート付近の待機場所まで行くのは間違いだと思った。

そこで、セキュリティの職員に市内観光したい旨を理解してもらうと、ならここを通る必要はないという感じで、言ってることはよく分からないけど((^^;)下に行けという感じだったので、荷物を預けたカウンターに戻って市内観光に出たい旨を伝えた。

すると、外に出る場合の注意事項について説明を受け(たような気がする(自爆))、構わないと応えると、偶然そこに居合わせた初老の職員に何やら説明し、彼について行けと指示された。

で、その職員について行くと、シャトルバスが待っており、どこを通ったか分からないが、国内線のBaggage Claim (lower level)エリアに到着。もう、そのまま外に出られる場所だ。
途中、乗り継ぎに何時間あるのかとか、どこに行くのかとか会話していたのだけど、受託手荷物以外にも同行者がちょっと大きな手荷物(機内持ち込みしていた荷物)を持っていることに気付いて、荷物一つ$10で安いから、市内観光するなら預けた方が良いと、荷物預かり所にも案内してくれて、受け付けに事情を説明してくれた。

CIMG9156.jpg
写真の左側の場所で預けたわけだけど、正直、自分だけなら、ここが預かり所とは気付かなかったかもしれない。国内線のBaggage Claim (lower level)エリアのかなり奥まった場所にあり、しかもパソコンに向かってる兄ちゃんが一人いるだけで、カウンターもないただの事務所だった。でもお陰で、本当に身軽に街に出られた。

ここで荷物を預けるのに時間がかかっている間に、案内してくれた職員さんは他所に行ってしまったのだけど、市内に出るためのマックス・ライトレールのレッドラインの乗り場を探している時に、エスカレーターを昇って行くさっきの職員さんを見つけた。で、思わず軽い気持ちで「レッドラインはあっちですよね?」と確認のために声をかけたら、その職員さんはエスカレーターで遠ざかりながら詳しく説明しようとし始め、無理だと悟ると、他に利用者のいないそのエスカレーターをまさかの逆走!もうビックリ!!
かなり上まで昇っていたエスカレーターから、コーヒー片手にドッカンドッカンと駆け下りてきた(^^;;;;

見てるこっちがハラハラ。あわわわわ!!危ないですよぉ!!!
という感じ。

声かけてしまって申し訳ありませんm(_ _)m
そこまで親切にしてくれるとは、思ってもみませんでした。

エスカレーターを逆走してにこやかに駆けつけると、もう本当に親切に、レッドラインの券売機の前まで連れて行ってくれて、丁寧に教えてくれた。

高齢者を二人連れているせいもあったかもしれないけれど、アメリカ到着早々に不慣れなポートランドで受けた衝撃的な親切に、一同感激してしまった。

で、別れ際に母がチップを渡そうとしてしまい、職員さんがいやいや要らないよとジェスチャーし、自分もこの親切にチップを渡すのは失礼だと思って母を止めた。

爽やかに去っていく初老の職員さんの後姿は眩しかった。


■交通
空港から市内へは、マックス・ライトレールのレッドラインが安く便利だった。

CIMG9026.jpg

http://trimet.org/fares/index.htm
大人の場合、2時間券が$2.50、一日券が$5.00。
65歳以上のシニアだと、Honored Citizenというチケットになり、2時間券が$1.00、一日券が$2.00。
つまり、70代2名を連れて3人でポートランドでかかった交通費は、全部でたった$9.00だった。
まあ、アメリカの公共交通機関の運賃の安さというのは、他の都市でも驚かされるけれど、ポートランドのこのチケットは、他にバスや路面電車(ストリートカー)も乗れるそうで、安いだけではなく、その利便性の高さにも驚かされた。

CIMG9148.jpg

ポートランドは自転車専用レーンが整備されていたり、自転車に優しい街なのだけど、これが車内の自転車置き場。自転車で乗車してくる人は、垂直に自転車を立てて、写真上部の黄色いパイプの下にちょこっと出ているフックに前輪を引っ掛ける。大きな荷物や乳母車のスペースも兼ねている。

たったこれだけで、自転車が他の乗客の邪魔になることなく、スムーズに乗り降りできていた。
日本なら、折りたたんで輪行袋に詰めるのが自転車持ちこみの条件だったりすることが多いので、自転車も特殊だし、持ち込むのも面倒だったりして、一般的ではないと思うのだけど、ポートランドのこの方式は自転車そのままを何も準備なしに迷惑なく持ち込め、誰もが気軽に利用できるというのが、多くの利用者を見ていて分かった。

以下の様子も、利便性が理解しやすい。
CIMG9138.jpg
CIMG9139.jpg

これは、ランチクルーズ船乗り場の近くのマックス・ライトレールの駅。歩道とプラットホームがシームレスで、車内で運賃を払うわけでもないのに改札もない。何もないけど、乗客は自動券売機で切符を買う前提なわけだ。恐らく、キセルがばれた場合の罰金が高いのだろうけど、日本との設計思想の違いが面白い。不正利用者の排除より、正しい利用者の利便性を優先すると、こんなに街に馴染んだ鉄道が生まれるということだろうか。こんなだから、乗ってきた自転車で簡単に乗車できるわけだ。

駅前で駐輪してる自転車まで、街に馴染んでた(^^;
CIMG9141.jpg

■ランチクルーズ
目的のクルーズについて調べた際、ランチを食べないクルーズのみの客も一緒で、時々そういうチケットをアメリカのグルーポンで売ったりしているようだと分かった。クルーズのみの客は、乗せすぎて座る場所もない時があるようで、混んだクルーズに乗った客から低い評価を受けていた。しかし、その不満は、ランチの客が優先されていることへの不満だったので、逆にランチクルーズは安心して予約できた。まあ、$40という料金もリーズナブルだと思ったので。

そして当日、定刻通り9時過ぎに到着したポートランド国際空港から乗船の桟橋に到着したのは、乗船開始の11:30丁度だった。色々心配していたのに、順調過ぎて嬉しくなってしまった。(逆に帰国の際のポートランドは苦労するのだけど、その話はまた後日。)

桟橋では記念写真を撮られ(後で買いたい人だけ買うやつ)、乗船の際に苗字を確認されて予約席に案内されると、出航の12時を待たずにコーヒーやパン類は運ばれてきた。

CIMG9043.jpg

オプションでワインや前菜を注文できるのだけど、飲まないし、どうせメインの量が多いと思って頼まなかった。

そして出航すると、注文を聞きに来ていたサーバーだった船員などが歌ったりし始め、そういやクルーズの説明に「live entertainment」と書かれていたのを思い出した。結構埋まっているランチの客席は、和やかに盛り上がっていた。

CIMG9048.jpg

メインの料理が運ばれてきたのは12:30頃だったけれど、それまではショーだの景色だの眺めていたらあっという間だった。

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メインの選択肢は4種類で、ベジタリアン向け、チキン、ビーフ、ティラピアとあったので、自分はティラピアを頼んでみたが、まあ普通に美味しかった。
CIMG9071.jpg

ゆっくりと食事を終えた後も、しばらくその席から外の景色を眺めていたのだけど、いつの間にか他のランチ客はかなり席を立って移動していた。それで、食後は上のフロアや甲板に自由に移動し、もっと景色を楽しんだ方が良いと気付いた。

CIMG9100.jpg

しかも、ランチのフロアでは聞こえなかった観光案内のアナウンスが、甲板に出たら響いていた。

CIMG9115.jpg

甲板はそれほど広くなかったけれど、強い日差しも気持ちよく、結局最後まで甲板にいた。
CIMG9126.jpg

こうしてクルーズを堪能して14時過ぎに下船すると、何やら鳥の群れが。
CIMG9130.jpg

人から逃げることもなく、通行人と鳥の群れが普通にすれ違う不思議な風景。
CIMG9131.jpg

でも子供は天敵(^^;
CIMG9128.jpg

最後まで、いい街だなぁ~という感じ。
またレッドラインに乗って空港に戻ったのが15時過ぎ。
預けていた荷物を受け取り、16:50のアラスカ航空の便に丁度良い時間で、焦って急いだりすることもなく、最終目的地ラスベガスへと旅立てた。

ということで、ポートランドで乗り換え時間を有効活用した市内観光は、声を大にしてオススメしたい。そのために便の時間を変更しても良いくらい。
もちろん、乗り継ぎに失敗しても知りませんが(笑)


帰国してからこんなの読んで、えらく納得。
http://tripplanner.jp/pickup/planner/eb5e85ee2fba30c914e8712c534d738a/
http://blog.compathy.net/2014/05/26/portland-craftsmanship/
http://blog.compathy.net/2014/05/27/portland-craftsmanship2/
http://www.cos-kyoto.com/soup/soup_vol_sp01.html


では次回、やっとラスベガス。

ご無沙汰

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気がついたら、半年以上も更新してませんでした。

最後の司法試験を三振し、これから何にチャレンジしようかな...という今日この頃。
というか、早く社会復帰せねば(^^;

お勉強のために仕事を辞め、長らく引きこもり生活をしていたので、我慢していたやりたいことというのが色々とあり、第二次モラトリアムというか人生の岐路のようなこのタイミングで、それをやってから次の路へ...とか思っていたけれど、無職のくせになかなか自由にならないものです。

血迷って、山形まで合宿免許取りに行って、40歳の終わりに初自動車免許を取得。
合宿で一緒になった女子大生とFacebookでお友達になってニヤニヤしたとかしないとか。

久々に広島国際アニメーションフェスティバル行って、働いていた会社の特殊映像研究会の部員の面々と飲んだとか。

芦ノ湖でインフレータブルカヤック初挑戦して、そのまま箱根から自転車で杉並の自宅まで帰ってみたとか。(帰宅途中でスマホのバッテリー切れて、トラックデータは自由が丘で終わってます

高校時代の野球部の監督が退職したので、お疲れさま会に参加したら、酔ってヘベレケな監督と抱き合ってしまったり、厳しかった先輩が僕が司法試験チャレンジしてたの知ってて気にしてくれてたのを知ってちょっと嬉しかったとか。

本場のバーニングマン行きたいと思って色々準備したけど行けず、グランドキャニオンの谷底のPhantom Ranchに泊まりたいとか色々調べたりしてたら、何故か母と叔母の70代姉妹のラスベガス旅行のツアコンとなり、久しぶりにラスベガスへ2週間行ってきたとか。

そんなこんなの近況です。

高齢者の旅のお供は、本当に大変で...というのはどうでもいいのですが、元々ラスベガス好きなギャンブラーなので、この2週間の旅の紹介で、ブログ再開してみようと思います。これからラスベガス行きたい人には、少しは役立つかと。まずは、旅の準備段階のSIMのお話を。

■旅の準備:スマホのSIMをどうするか
久々の海外旅行ということで、旅行事情の浦島太郎状態から情報収集せにゃならなかったわけですが、同行者を迷子にするわけにいかないので、まずはメンバー間の通信手段を安価に確保するところから調べてみた。

とはいっても、高城剛氏をこよなく尊敬する身としては、国際ローミングで高額請求されるに任せるなどあり得ない。海外じゃ、スマホのSIMを差し替えるのが当たり前、くらいのことは遠い記憶に残っていた。
幸い、以前からSIMロックフリーなイーモバイルのスマホばかり使って3台目なので、同行者二人には使わなくなった古いスマホを貸せば、端末は足りる。

問題は、どこでアメリカのSIMを入手するか...

●HanaCell
で、SIMだけなら安く入手できるとは思っていたけれど、こんな安さは想定外。
http://www.hanacell.com/jp/tariff/simonly.php

送料込みで1ドル?
は?
こんな会社知らないけど、何か裏があるんじゃないか?

というのが、最初の感想。
-->2015/1/4追記
いつの間にか9ドルに値上げされてた(^^;
<--

月額基本料金のかからない「プリペイドX」の場合
米国内の通話料金:$0.27 /分
データ通信:$0.50 /MB

まあ、データ通信が割高だけど、ラスベガスはホテルでWiFi使えるので、余程のことがなければスマホでデータ通信はしない前提(タブレットにデータ通信専用のSIMを買う予定だった。)で、短期の旅行なら十分安心して使える通話料金。

しかも、「プリペイドX」なんて商品名なのに、チャージする必要なしの「使った分だけ後からお支払い」って、どこがプリペイドなんじゃい!(^^;
と思わずつっこみたくなる明朗会計。次にいつ渡米するか分からない旅行者としては、使わない間は一切費用がかからないのに電話番号が維持できるなんて、本当に助かる。
どうやら、mobellの子会社らしい。

$1ならダメもとで...ということで、とりあえず自分一人契約。
アメリカからじゃなくて、日本に発送元があり、注文からほんの数日で本当にSIMが届いた。

DSC_5177.jpg

IMG_20140817_052626.jpg

これと並行してメールで、SIMに割り当てられる電話番号の案内も届いた。(アメリカでしか使えないSIMは、アメリカで使える状況になるまでスマホに電話番号は表示されないので、出発前に日本で番号を教えてくれると知人に教えたりできるので助かる。)

悪い噂も見当たらないので、これなら大丈夫だろということで、同行者二人それぞれにもHanaCellと契約してもらった。その際、先に契約した自分の電話番号を伝えることで、お友達紹介キャンペーンで$10の無料通話ももらえてしまった。

結果、最初の渡米地ポートランドでスマホの電源を入れ5・6分後、スマホに電話番号が表示され、無事に通話できるようになった。その後、ラスベガスでもちゃんと使えた。ただ、グランドキャニオンでは、Maswik Lodge周辺で一度だけ通話しようとしたが、アンテナが立たず使えなかった。

カバーエリアはAT&Tの基地局により、以下から確認できるが、グランドキャニオンは「Partner」の地域となっていた。
http://support.hanacell.com/jp/myService/documents.php
Partnerでも使えることになっているが、自分が使えなかった時の状況を詳しく調べなかったので、どうして使えなかったのかは分からないが、目的地がカバーエリアかどうかは契約前に確認すべきだろう。

いずれにしても、現地での通話はHanaCellで格安に確保でき、非常に助かった。


ちなみに、GSM方式で850MHzと1900MHzに対応していることが「ケータイ持込み」プランの条件であり、古いS31HWS51SEがそのまま使えた。ただ、事前にHanaCellに問い合わせた際、イーモバイルがSIMロックフリーであることや、S31HWがIDEOSであることをサポート担当が知らなかったりしたので、日本のスマホ事情を詳細に理解されているわけではないかもしれず、自分のスマホが対応しているかどうかは、自分でよく確認した方が良いだろう。SIMロックフリーのスマホだからと、周波数が対応しているとは限らない。

また、アメリカの携帯の電話番号は、日本と違って市外局番が割り振られるので、ケータイ持ちこみプランで申し込むにしても、とりあえずの訪問先のZIPコードが必要になる。ラスベガス旅行なら、宿泊するホテルの住所に「89109」とか5ケタの数字が書いてあれば、それを伝えることでラスベガスの市外局番でSIMに電話番号が割り当てられる。申し込み時、どうして滞在先の郵便番号が必要なのか不思議に思うだろうが、とりあえずそういう仕組みなので、その市外局番で電話番号が割り振られたからと、他の地域で使えないわけではないので、一番滞在時間の長そうな地域の郵便番号を申請すると良いだろう。

●READY SIM
スマホと別に、タブレットのNexus7にデータ通信オンリーのプリペイドSIMを探していて、データ通信はタブレットだけにしようと思っていた。そこで見つけたのがこれ。
http://www.readysim.com/shop/data-only.html

http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=20954
http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=16626
ここで、単発渡米の旅行者にREADY SIMがすすめられていたのがきっかけ。
この商品購入代行で、Dataオンリー14日間500MBのREADY SIMが、送料込みで$19.50で売られていたので、旅行の期日が迫っていたがギリギリ間に合いそうなので申し込んでみた。ところが、READY SIMの入荷がいつもより遅れてしまい、結局旅行に間に合わないので、先方が注文をキャンセルしてくれた。

それでも諦めたわけではなく、現地で買えば良いと思っていた。
http://www.readysim.com/where-to-buy
ここでラスベガスのZIPコードを入れて検索すれば、ディーラーがいくつも表示されたから、不安はあったが買えないことはないと思っていた。

ところが、Tropicanaの「Essentials」や、Excaliburの「Welcome to Las Vegas」に行っても、売ってるのはスマホ用のPhone/Text/DataのSIMばかり。タブレットのDataオンリーのSIMは皆無。たった2軒で諦めるなと言われそうだけど、Excaliburの「Welcome to Las Vegas」はショップを見つけるだけで精根尽き果ててしまった。

最初、ホテル内でちょっと探して見つからなかったので、ホテルの人に聞いたら、「Welcome to Las Vegasはラスベガスブルーバードは南に行って...」とか道順説明が始まった。

待て待て、それはあの有名な看板の話だろ?
http://en.wikipedia.org/wiki/Welcome_to_Fabulous_Las_Vegas_sign
聞きたいのは、観光名所になってる看板のことじゃなくて、このホテル内のショップのことなんだよ。Welcome to Las Vegasってショップ名なの。

すると、知らないからコンシエルジュに聞いてみろと。

仕方ないので、運悪く行列のできてるコンシエルジュのカウンターに並んで待つこと十数分。やっとコンシエルジュに質問した回答が、
「Welcome to Las Vegasはラスベガスブルーバードは南に行って...」
待て待て。おまえもか。

Welcome to Las Vegasはこのホテルのテナントで入ってるショップの名前なんだよ。
何?知らない?
いやいや、だから、READY SIMってSIM業者のホームページで、地図入りでこのホテルのショップがディーラーとして紹介されてんだよ。こういう名前の店が、このホテルにあるはずなの。
知らない?マジですか...

段々こちらも、READY SIM側の情報が間違ってたんじゃないかと不安になったところで、ちょっと待てと。日本人かと聞かれ、待たされた結果、なんと日本語通訳が電話で登場。

えーー
たかが店の場所質問してるだけなのに、通訳さまの登場?
確かに自分の英語は酷かったけど、意思疎通はできてたと思うのだけど...

申し訳ない気分いっぱいで、通訳に状況を説明。コンシエルジュはないと言ってるけど、そういう店を探してるだけなんだと。

ところが、この会話の最中に、コンシエルジュが何か思い出した。
通訳から、2Fにそういう看板を出してる店があるとコンシエルジュが言ってると伝えられる。

だろーーー
あるだろーーー
ないのに理解できないで駄々こねてる日本人じゃなかったろーーー

その後、コンシエルジュ自身がショップまで連れて行ってくれることになったのだけど、店が多すぎて把握できなくて...みたいな言い訳を、恥ずかしそうにしていた。

そうして、ショップに到着するまでに、新たな悩みが生じた。
このコンシエルジュは、自分のホテルのテナントの名前も覚えてないなんて使えないけど、英語の不自由な日本人にわざわざ通訳を呼んでくれたし、お店まで直接案内してくれるとか、親切ではある。この一件だけで、もう30分以上は費やしてる。一応誠実にここまでしてくれてるけど、チップを払うべきか...

いや待て。そもそも、コンシエルジュがテナントの名前を覚えてれば、ものの数分で解決できた問題じゃないか。場所だけ教えてもらえれば、わざわざ店まで連れて行ってもらうほどの問題ではない。通訳だって、いらなかった。親切だけど、時間を浪費された自分は、本当は怒っても良い状況のような...だって、探してるのはたった$15.00の品だぞ。

とかグルグル考えているうちに、店に到着。
確かにその店は実在した。

コンシエルジュには、日本式に頭を下げて、礼を告げた。
チップを待ってる感じで直ぐに立ち去らないコンシエルジュに、にこやかに二度目の頭も下げた。コンシエルジュは、後ずさりしながら二度見して帰っていった。

まあ、そもそもコンシエルジュのサービスにチップが必要かは分からないが、有能なら即答できるレベルの、明らかにチップ不要な容易な要求しかしてないのに、たまたま能力不足な故に時間をかけて親切丁寧にサービスを受けてしまった場合にチップを払うというのも変なので、これで良かったと思う。

で、苦労してたどり着いたそのショップでREADY SIMを探した結果、Dataオンリーはなかったわけだ。これで、能動的にディーラーを探すのは諦めた。旅先の貴重な時間を無駄にできない。

後は、他の買い物でSIMを扱ってる店に入るごとに、READY SIMに限らず適当な商品がないか探していたが、他社製品は割高で、結局買わなかった。

旅先でのデータ通信の必要性は人それぞれだろうが、自分の場合、WiFiの使えるホテルにいる間にほとんど用事が済ませられた。旅先の屋外で一番使うアプリはGoogleマップだと思うが、事前に地図は保存できるので、現地で通信できずとも使える。ホテルの部屋のWiFiで地図を保存し、次の移動先までのルートを検索すれば、初めてのバス停に迷わずたどり着いて、バスに乗って目的地に到着するまで、Data通信は必要なかった。

困ったのは、WiFiのなかったグランドキャニオンの宿くらいだった。事前に読み込んでいた地図より、詳細な拡大地図が見たくなったが、できなかったので夜中に迷った(苦笑)
(その辺の話はまた後で)

まあ必要はなくても、使えれば便利なわけで、次の機会があれば、またREADY SIMを注文したくなるだろうけれど、現地のホテルに届けてもらうという方法を紹介されているのを見つけた。
http://blog.livedoor.jp/rakutk2010/archives/4732560.html
まあ、今回の場合はホテルに届けてもらうにも日程に不安があったので、どうしようもなかったとは思うが、現地のホテルに届けてもらうなら送料かからないとなると、それが一番安い買い方なのだろう。ホテルでチップを払うかどうかは知らないが。

ということで、次回はポートランドについて。
ラスベガスにポートランド経由で行くと、結構楽しいよ、というお話。

一昨年更新が止まった、在コートジボワール大使のブログがあり、読者だったので一本ブログに書いたことがあった。
http://maruko.to/2010/12/post-101.html

その後、大使公邸が襲撃されて、フランス軍に救出されてニュースになった大使だ。
http://www.youtube.com/watch?v=Lwwj3tvTuhY

久々にチェックしたら、4月にエピローグがエントリーされていたのだけど、日本人なら必読って感じの素晴らしい内容だった。
エピローグ(1)
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/4bdcea8fa16bc0adc4c779a9567d1125
エピローグ(2)
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/ce1a0e100abf5ab46a8df5ea88ad4ac1
エピローグ(3)
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/749d800279b229556471b8adcad48c9b
エピローグ(4)
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/2fdb907814f9b03d72f4ff29e92563e6
エピローグ(5終)
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/e8a85e915d3c424ed27f04e8731401fc

軍事的バックボーンなしに、中立を保つことで民主的選挙を支え、厳しい状況下で逃げずに踏みとどまった日本の大使が、フランス、アメリカと並んで、コートジボワールで勲章を授与されていたなんて、全然知らなかった。

大使がフランス軍によって救出された時、他国に守ってもらうなんて恥ずかしいとか、自国で守れるように日本国憲法を改正すべきとか、酷い短絡的な意見をネットでは散見したが、事実はそんな低レベルなものではなかったということだ。それどころか、その踏みとどまった姿を、コートジボワールの人々が高く評価してくれていたわけだ。非軍事的、中立的貢献が、日本の国益となることを、大使は身をもって示してくれたように思える。日本の国際貢献のあるべき姿を考えさせられる。

こういうブログは、是非もっとやって欲しいのだけど...

野田政権の外交

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「米議員、イラン原油18%削減を 輸入国の制裁回避へ基準 2012/01/20 10:57」47NEWS
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012001001430.html
「日本や韓国、欧州諸国などイラン産原油輸入国を対象とした米国独自の制裁法をめぐり、法案起草の中心となったカーク上院議員(共和党)とメネンデス上院議員(民主党)は19日、ガイトナー財務長官に書簡を送り、制裁実施を回避する条件として、イラン産原油の輸入を価格ベース年間18%以上削減することを基準とするよう提案した。」

18%の根拠が不明だし、妥当なのか分からないけれど、アメリカが妥協し始めている感じがする。

しかし、価格ベースで年18%で良いなら、もっと有効な経済制裁手段がある。
原油価格相場を下落させれば良い(オイw

「世界経済のネタ帳」から、グラフを拝借してみる。
http://ecodb.net/
[世] 原油価格(WTI)の推移(年次:1980~2011年)

イランの原油輸出額は、当然に原油価格と連動している。

[世] イランの原油輸出額の推移(1980~2011年)

アメリカのお陰で、イランの原油輸出額が上昇したとも言える。
2003年:アメリカがイラクに侵攻
2007年:アメリカでサブプライムローン問題
2008年の終わりから一時的に下落したのは、リーマンショックによるものだけど、世界が不安定になればなるほど、結果的には資源に金が集まる。

日本は今まで、過去5年でイランからの輸入量を4割削減したのに、全くの焼け石に水だったわけだ。誰のせいとは言わないけど。
(つまり今回、「価格ベース」ということは、今後更に原油価格が高騰すると、輸入としては日本が何割削減しても追いつかない可能性がある。)

今回だって、結果としてイランの原油輸出額が上昇する可能性はある。輸出量が減っても、価格が上昇するのだから、産油国にはむしろ有り難いか(苦笑)

アメリカは、イランに利する投機マネーによる原油価格高騰こそ、規制すべきだ。
それなら、世界が歓迎するかもよ(笑)
(価格が年18%以上下落すれば、どの国も輸入量を減らす必要はないw)


ところで、一連のアメリカからの圧力に対して、昨年末からの野田政権の対応は、ちょっと面白いと感じている。

「イラン制裁、例外要請=玄葉外相「経済に打撃」-米に懸念伝達」(時事ドットコム:2011/12/20-10:23)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011122000224
玄葉外相は、「クリントン米国務長官との会談で、対イラン制裁を強めるためイラン中央銀行と取引がある外国金融機関に制裁を科す法律が近く米国で成立することに関し、「イランからの原油輸入が停止すれば、日本経済、世界経済全体に打撃となる恐れがある」と懸念を伝え、日本の原油調達に悪影響が出ないよう邦銀への適用除外を要請した。」

イランは、日本がアメリカの政策に反発したことを喜んだ。
「日本、対イラン制裁について米に警告」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23706%3A2011-12-17-09-37-04&catid=17%3A2010-09-21-04-36-53&Itemid=116#.Tu8aTwDOeDM.facebook
「日本、イラン産原油の輸入を継続」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23814:2011-12-20-13-13-57&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「なぜ日本はイラン産原油への制裁を実施出来ないのか? 」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23919:2011-12-23-12-31-47&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

しかも、日本だけじゃない。
「韓国、イランからの石油輸入増加」2012年 1月 04日(水曜日) 18:11
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=24258:2012-01-04-13-49-42&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「韓国の政府筋が、「わが国の精油所は、原油購買契約の延長により、今年は、2011年よりも日量1万バレル多い原油を、イランから輸入することになる」と表明しました。」

増やすのは流石にウソ~ンって感じだけど、韓国もアメリカに抵抗しているのは事実だ。
日本と韓国は、多少は足並みをそろえて抵抗しているのかもしれない。

以前は、アメリカがノーと言えばアザデガン油田の権益放棄して終わりだったのだから、ちょっと感慨深い。
http://maruko.to/2009/08/post-61.html


そして、時期を同じくして、ロシアとの関係が急速に親密になってる。
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/02/61374173.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/06/61644216.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62301545.html

鈴木宗男が仮釈放で出てきたのは、ただの偶然か?w

この流れの中で、「プーチン首相 日本との間で大規模鉄道プロジェクトを検討中」
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62302901.html
こんな話も出てきた。ロシア、前のめり過ぎww

更に、対中貿易で、米ドルを経由しない、元と円の直接決済の話も年末に出た。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0104&f=column_0104_002.shtml

アメリカの顔色うかがってたら、こんなの中国から提案されたって、すんなり前向きに検討なんて難しい。まあ、本気かどうか関係なくて、アメリカ外しの動きを見せることが面白い。(ちなみに、イランとの原油取引は、2007年にイランからの要請で米ドルから円建て決済に各社移行しており、イランは円高の恩恵も受けている。)

で、今年に入っても、ロシアは積極的。
「マトヴィエンコ議長の日本訪問 議連発展に向けて 12.01.2012, 13:31」
http://japanese.ruvr.ru/2012/01/12/63714248.html

そこで、ラブロフ外相の来日を目前に、あえてとった玄葉外相の行動がこれ。

玄葉外相 北方領土を洋上視察(01/14 15:25)北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/343415.html
「玄葉光一郎外相は14日午前、根室管内羅臼町の羅臼港から海上保安庁の巡視船「かりば」に乗り、北方領土の国後島などを洋上視察した。」

急接近しつつ、簡単に妥協しない姿勢を示し、ロシアにも揺さぶりをかけているわけだ。
その結果か知らんけど

http://japanese.ruvr.ru/2012/01/18/64119657.html
ロシアは日本のパートナーとなることを望んでおり、地域問題や軍事政治問題などの国際問題に共通のアプローチをとっていくことを期待している。」

こんなのが「ロシアの声」で読めるとは面白いw
是非、イラン問題では行動を共にしたいですな。


アメリカも流石に、日本が抵抗していることが分かってるので、ガイトナー財務長官を送り込んできた。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXNY3K0YHQ0X01.html
「安住淳財務相とガイトナー米財務長官は12日午前、財務省内で会談し、日本の原油輸入の10%を占めるイラン産原油についてシェアを削減することで一致した。日本側が米側の要請を踏まえ、計画的削減に応じる考えを表明した。」

これを聞いたとき、ありゃりゃと思ったのだけど、官房長官が即効で否定(笑)

「イラン原油対応 引き続き検討 1月12日 20時47分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120112/t10015228101000.html(魚拓にリンク)
「藤村官房長官は記者会見で、核開発を進めるイランに対し原油などの輸出入を事実上できなくするアメリカの制裁措置に関連して、安住財務大臣が表明した日本への原油輸入量を段階的に減らしていく方針は意見の1つであり、引き続き政府内で対応を検討していく考えを示しました。」

更に加えて首相も否定(爆笑)

「イラン制裁:野田首相「原油輸入減は財務相の個人的表明」 2012年1月13日 20時7分 更新:1月14日 1時6分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120114k0000m010050000c.html
「野田佳彦首相は13日の記者会見で、核開発を続けるイランへの制裁を巡り、安住淳財務相が12日のガイトナー米財務長官との会談で「(原油輸入量を)早い段階で計画的に減らす」と表明したことについて「これまでの経緯と見通しを個人的に話されたと思う」と述べた。」

そもそも、ガイトナーが来るのに枝野経産相が不在で、安住財務相に代役で対応させるとか、そんな扱いをアメリカ様にするなんて、のっけから面白い。
「安住氏「イラン原油輸入を削減」 日米財務相会談 2012/1/12 10:57 (2012/1/12 13:57更新) 」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E0E2E2958DE3E0E2E3E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
「今回のガイトナー長官の訪日にあたっては、枝野幸男経済産業相らが不在であるため、経済閣僚を代表して安住財務相が会談に臨んだ。会談内容を共同声明として文章化することは見送った。」

日本の国益を考えるなら、これを閣内不一致とか攻撃してはいけない。
 代役対応 -> 共同声明の文書化を見送り -> 直後に訂正
仮に政権が素人だからだろうとKYだからだろうと、この場合、究極の先延ばし外交は結果オーライだ。

なかなか世界が積極的に賛同しないので、イスラエルは、業を煮やしている。
「イスラエル首相 一層の制裁強化を 1月17日 9時36分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120117/k10015320401000.html(魚拓にリンク)
「核開発を進めるイランに対して欧米諸国が制裁を強めようとするなかで、イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は、今の制裁措置でも十分ではないとして一層の強化を国際社会に求めました。」


で、本当に驚いたのがこれ。

「イラン制裁の日米実務者協議、邦銀の制裁回避条件は結論持ち越し 2012年 01月 19日 18:04 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE80I04P20120119
「グレーザー次官補は協議終了後、記者団に対し「今後も協議は継続する」と答えたのみで、協議内容についてのコメントを控えた。邦銀への制裁を回避するために必要な原油輸入の削減幅などの詳細については、来週以降に引き続き協議する見通し。」
「外務省によると18日と19日の2日にわたりのべ4時間弱協議。日本側は原発稼働停止で火力発電への依存度が高まっており原油調達を簡単に削減しにくい日本の状況や、イラン産原油の輸入量を過去5年間で4割削減した実績などを説明。イラン中央銀行と取引を持つ金融機関に対して米金融機関とのドル取引を禁じる米国のイラン制裁法で、邦銀に対して例外規定を適用するよう要請した。」

「親日国・イラン制裁で官民異論百出、日米協議は結論持ち越しへ 2012年 01月 19日 21:20 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTJE80I00020120119
「18、19日の2日間にわたり都内で開かれていたイラン制裁をめぐる日米政府の実務者協議は、焦点となっていた日本の原油輸入削減幅や邦銀制裁の回避の是非について具体的な結論を出さず持ち越した形となった。」
「イラン制裁については中国、ロシアのみならずトルコも反発を表明。米制裁法の発動でイランが対抗措置としてホルムズ海峡を封鎖すれば、原油価格が急騰しかねず、米国が強硬措置を取りにくい可能性もあるなかで、日本として微妙なかじ取りを迫られそうだ。」


圧力に屈せず結論を出さなかったのは、正直吃驚。
中国が制裁に反対している以上、日本がイランから原油輸入を大幅に減らせば、その分を中国が安値で買い叩けるようになるだけで、アザデガン油田の屈辱を繰り返すことになる。どう考えても、結論先延ばしが正解なんで、本当にこの粘り腰は評価されるべきだ。

そして、この流れで、冒頭のアメリカの18%という数字が出てくる。
野田政権は、内政は最悪な感じがするが、外交はなかなか興味深い。

そういや、こんな話もあったしね。
「資源輸入:国を特定、集中交渉する新戦略...政府指針案 2012年1月5日 15時0分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120105k0000e020164000c.html
「政府が今後5年間の資源、エネルギーの安定調達の指針として4月に初めてまとめる「資源獲得戦略」の原案が明らかになった。産業ごとに必要な資源の種類や量を精査した上で、集中的に働きかける国を特定。首脳や閣僚の交流と、民間の技術協力との連動で、権益確保を図る。自動車など資源を使う側の民間企業が、積極的に権益確保に関与する必要性も明記した。ただ、戦略実現には世界の資源争奪戦を勝ち抜く交渉力が必要で、日本外交の実力が問われることになる。」

単なる偶然ではなさそうだ。
(でも、支持するかどうかはまた別の話だけど(自爆))

■蛇足
ところが、産経が書くとこうなる。
「イラン制裁、戦略なき日本 外務省、対話重視で米と溝」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120119-00000085-san-pol
「米側は対日不信をさらに深めたに違いない。」
「日本側から色よい返事は得られなかったとみられ、グレーザー氏は記者団に「日本が適切な措置を取ると確信している」と不満そうな表情を浮かべた。」
「これで米側が納得するはずもない。」
「米国はイラン制裁の足並みがそろわないことにいら立ちを募らせる。」

アメリカ様の顔色うかがい過ぎwww
どこの国の国益を考えると、こういう記事が書けるのかね?

ブータン的幸福

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国王帰った今更だけど、一応書いておく。

GNHってのは、確かに良いと思うよ。

だけど、民族の伝統を重んじているとか、日本人に似てるとか、統治が優れているとか、ブータンをヨイショばっかする風潮には、疑問を感じる。そりゃ、発展に貢献した日本人がいて、感謝されてるとか、耳障りの良い美談だろうけどね。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol79/index.html
米中露と外交関係がない国連加盟国で、日本の常任理事国入りを支持してくれる国なんて、超貴重なのも分かる。

でも、そんなに素晴らしい国なら、なんで国民の1/5もが、難民として流出したのかね?
http://www.ne.jp/asahi/jun/icons/bhutan/
あんな多民族混在地域で、どうやって特定の民族の伝統を重んじる国を実現したのか、その手段も知るべきだ。GNHの判断要素には、文化の多様性も含まれるのだから、どうして文化の押し付けで大量の国民を難民化させてしまったのか、矛盾を感じるのが自然だ。

経緯を知った上で、97%が幸せと答えたという国勢調査の結果を見ると、怖くもある。


え?酷かったのは、過去のことだって?

どうかね(苦笑)
http://www.unhcr.or.jp/html/2011/08/ws110817.html
http://www.japanforunhcr.org/jessica/nanmin/
もしもそんなに褒めたいなら、まず先に、まだ何万人もネパールにいるブータン難民のために、日本も第三国定住先として名乗り出て、ブータンの尻拭いを世界各国と共に手伝ってあげたらどうだ?
ついでに、難民に、幸せか聞いてみたら良い。


もちろん、以前と比べれば、劇的に状況が改善しているし、今の国王はカッコイイよね。東日本大震災にも、義捐金を100万ドルくれたし、本当に有り難い。でも、今の国王が素晴らしいからと、現状だけ強調して賞賛するなんて、不合理にも程がある。

非難されるべきブータンの姿も知り、それでもGNHという思想自体は素晴らしいというなら理解できる。そうすれば、GNHを高めるために、何故か多様性を排除してしまうような矛盾した手法は、当然に否定されるだろう。

だから、ネガティブ情報は、ほんの少し触れるだけでも良い。でも、いくらなんでも、ネガティブ情報が皆無ってのはキモイ。(まあ自分には、今もブータン難民が何万人もネパールにいることを思えば、現状を美化すること自体理解が難しいけどね。)

親日的に思える国なら、何でも美化するという日本の風潮は、トルコへの対応と同じかもしれない(苦笑)


で、更に理解できないのは、ブータンを無批判に賞賛するTVなんかの情報を鵜呑みした上、小国で中国の侵略を受けたとか、一方的に同情のネタにする輩だ。国王が来日したのは、日本が核武装して中国を抑えてくれることを望んでいるからだとかいう寝言も、ネットにはある。

世の中の全ての事象を、中国や民主党政権への批判ネタに直結できる、ある種の妄想壁を持つ人々がいるのは分かるが、ブータンもそのネタに取り込まれてしまっている。そういうことができる人は、さぞかし頭の中で幸せなのかもしれないが、そんなGNHはお断りします。


ところで、97%が幸福と答えたという数字自体、実は単純ではない。
先代の国王は、人は知れば知るほど不幸に感じるとか言っていたそうで、つまり、情報を与えないことが幸せに資する、大海を知らない井の中の蛙は幸せ、という側面がある。
それが読み取れるのが、以下の調査だ。
http://www.sri.or.jp/sri_database/backnumber_kiji/documents/99/99report2_2.pdf
--
ブータンの集計結果を都市部と農村部に分類してみると、満足度の傾向に大きな違いが見られた。純粋に「満足している」と回答した人の割合を見てみると農村部では94.3%であったのに対し、都市部では44.1%と低くなっている
--

1999年にTVとインターネットを解禁し、都市部で情報に接することができるようになったブータン人の満足度は、所詮こんなもんなわけだ。(もちろん、「まあ満足している」まで含めたら都市部だって凄いけど、それなら日本だって...というか、「満足」と「幸福」はそもそも別なので、日本人の多くも、かなり幸せな気がする。)


そもそも、SFネタじゃあるまいし、完璧なユートビアなんて存在しない。
これ、常識だよね?

誰もが幸せだと思っている社会なんて、むしろ非人間的であって、実はその意味の方がユートピア本来の意味に近いかもしれない。異なる文化を排除することで成立した今のブータンは、その本来の意味でのユートピアかもしれないと言ったら、ブラック過ぎかな。

■蛇足
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111128-OYT1T00999.htm
--
政府は28日、ブータンに2億円の無償資金協力を行うことを決め、ブータン政府と交換公文を締結した。
--

こういうあからさまな事は、止めたほうが良い。昭和天皇が崩御した時、大喪の礼に参列した先代のブータン国王は、弔問外交はしなかったというのが美談なんでしょ。普通に、JICA経由の支援を強化すりゃーいいじゃないか。

え?今回はハネムーンだからご祝儀か(笑)


●参考
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bhutan/kankei.html
--
ブータンにおける外交上の主要な懸案事項は,ネパール系ブータン難民問題である。1980年代,ブータン政府は,ゾンカ語の普及やブータン式の服 (「ゴ」,「キラ」とよばれる)の公式の場での着用義務付け等国家のアイデンティティー強化のための施策を進めた。これに反発して,1990年秋,南部 ブータンにおいて一部ネパール系住民による反政府デモが展開され,反政府活動グループと警官隊との衝突で死傷者が出る事件も発生した。1991年に入り事 態は一応沈静化したものの,ネパール系ブータン難民がネパール国内に流入した。2007年11月より第三国定住プロセスが開始され,2011年8月まで に,約5万人の移住が完了した(内訳:米約4万2千人,カナダ約2400人,豪約2千人等)。難民の第三国定住プログラムとしては世界最大規模となってい る。キャンプ内には,約6万2千人の難民が残っており,このうち約4万7千人が第三国定住を希望している。2011年4月にティンレイ首相がネパールを訪 問し,2003年から中断していた両国政府による難民帰還に関する協議再開に合意した。
--
 ブータンは国防政策の柱として,国境保全,空港警備,治安維持以外にインドとの防衛協力関係維持を掲げており,ブータンの全国防予算をインドが負担してい る他,インドから資金・装備・訓練の支援を受ける等インドとは特殊な関係にある。また,ブータンには1個大隊規模(約700名)のインド陸軍将兵が常駐し ており,主要なインド陸軍部隊として,インド軍事訓練チーム(IMTRAT)がティンプーに,軍事訓練学校と陸軍病院がハに所在している。また,パロにも インド軍駐屯地が存在し,夏季にはインド本国から派遣された部隊が山岳地訓練を行っている。将校の教育は全てインドで行われており,下士官・兵の教育 も,IMTRATが管理運営するブータン内の軍学校で行われている。この他,部隊訓練もIMTRATの指導を受けている。さらに,ブータン軍は,年に 3~4回,インド陸軍部隊と共同訓練を行っている。
 山岳地形のブータンは意図的に部隊を中隊毎に分屯させており,そのほとんどは,ブータン・中国国境沿い及び重要防護施設の哨所に配置されている。各哨所には,インド陸軍兵士も5~6名ずつ配置されており,ブータン軍を指導している。
--

トルコ地震に対する各国からの救援隊を、トルコ政府が断っている。
この件に対し、ネット上にはいい加減な言説が出回っている。

トルコが親日国家だから支援しろとか、東日本大震災後の支援への恩返しもすべきとの思いが強い人やらが、日本の支援が断られたことを曲解している書き込みも目にする。

そこで、少しおさらいしよう。

まず今、現在進行形で、トルコ軍は震源地から百キロチョイのところで、絶賛戦闘中である。相手は、クルディスタン労働者党(PKK)だ。

震源から百キロくらいのところに、Hakkari県てのがあって、その先はイラク国境で、震源からイラク国境までは130キロくらいな位置。

つい先週、こういうニュースが流れた。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-23724920111020
「イラクとの国境に接するトルコ南東部ハッカリ県で、トルコからの独立を目指すクルド人労働者党(PKK)による攻撃が相次ぎ、19日までにトルコ軍兵士24人が死亡した。」

で、直後からトルコ軍は、Hakkari県の山岳地帯とか、隣のイラク領内にまで越境攻撃して、PKKを100人オーダーで殺している最中。
http://www.todayszaman.com/news-260772-turkey-kills-almost-100-terrorists-in-offensives-led-by-top-commanders.html
http://www.todayszaman.com/news-260874-turkey-moves-into-iraq-near-pkk-camp.html

イラク北部への越境攻撃なんて国際法違反して、イラクともめないのか?と思う人もいるだろうが、これは別に今回が初めてではない。
http://www.global-news.net/ency/naito/daily/071226/01.html
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2354542/2666257
PKKは、アメリカ様がテロ組織と認めているし、クルド人だし、イラク政府も了承済みという...

イラク北部のクルドがよく分からない人でも、フセイン時代に散々な迫害に遭った人々だと言えば、思い出すのではないか?

そうそう、化学兵器で殺されまくった人たち。

実は、クルド人が最も多く住んでいるのがトルコであり、トルコも建国の時から、クルド人の迫害という問題を長らく抱えてきた。EUに加盟しようとしたら、クルド人迫害を先に止めろと言われ、やっと徐々に状況が好転してきたとはいえ、そういう時代背景を忘れてPKKを単純にテロ組織と思ってはいけない。まあ今では、国際的にも立派なテロ組織認定されてるので、殺しても大丈夫ってことにされてるけど、ハリウッド映画じゃないので、勧善懲悪なお話なんて存在しない。(別に、PKKを擁護しているわけではないので、誤解しないように。)

これは、日本人にとっても他人事じゃなくて、トルコがこの辺で戦闘すると、日本にやってくるクルド人難民も増える可能性が高まる。でも、日本政府はトルコを親日国家と位置付けているので、トルコが人権侵害していないという建て前から、クルド人を難民とは認めないという差別的な対応を続けていることも、周知の事実。過去にもブログで取り上げた。
http://maruko.to/2009/03/post-10.html

まあ、そんなことやってる最中に、今回の地震が起こったわけだ。
あんな、クルド人の多い地域で...

http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102501000896.html
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/mideast/532930/
ということで各メディアでは、各国の救援隊を断るトルコ政府の不可解な対応について、クルド人差別とか、もしくは逆に、クルド人に政府に助けられたと良い印象を与えようとしているとか、諸説出ている。何故か、隣の県で絶賛戦闘中なことを理由に上げる記事は、自分は目にしていない。戦闘終了して撤退したという確実なニュースもない。
-->追記
http://www.reuters.com/article/2011/10/25/us-turkey-iraq-pkk-idUSTRE79O2WZ20111025
まだまだ越境攻撃エスカレート中ですね。
<--

そんな状況なので、震源のヴァン県は戦地ではないとはいえ、
http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2011/10/post-747.html
こんな思い入れで、簡単に他国の公的な医療チームが受け入れられるか疑問。

http://amda.or.jp/articlelist/index.php?page=article&storyid=191
AMDAのように、現地のNGOと連携できる実績のあるNGOでなければ、現地入りは難しいのではないだろうか。
http://www.aarjapan.gr.jp/about/news/2011/1024_790.html
難民を助ける会というのも、名乗り出ている。
http://www.jrc.or.jp/foreignrescue/l3/Vcms3_00002578.html
日本赤十字は、トルコ赤新月社の活動を書いてるだけで、今度の対応は不明。

では、現地入りは難しくてもトルコを支援したい人は、やはり金銭的支援がメインということになろう。が、ここで疑問なのが、トルコ大使館を通じての義援金送付だ。果たしてトルコ政府は、クルド人被災者らに義援金を公平に分配してくれるのだろうか?

正直、トルコ政府には本当に申し訳ないのだけど、差別がないのか、個人的には不安が残る。なんせ、今の政府対応だって差別なのではないかと、報道されている最中なわけだ。

いや、ダメだと言っているわけではない。今回の地震で、差別してるという証拠があるわけでもないしね。きっと、ちゃんとやってくれるとは思いたい。信じる人は、以下へ。
http://tokyo.be.mfa.gov.tr/ShowAnnouncement.aspx?ID=134011


しかし、信じる信じないは別にしても、日本人は東日本大震災で学んだはずだ。義援金の分配は、なかなか難しく、時間のかかる話だと。トルコ政府の対応を信用するにしても、今にも凍え死にそうな被災者には、政府経由の義援金など先の先の話でしかない。

ならば、現地入りするNGOに直接寄付する方が、遥かに効果的ではないか?

少なくとも、
http://www.youtube.com/watch?v=LscQ1QAS3hQ
この動画の説明にあるような美談で支援するのではなく、もう少し具体的に、被災しているクルド人に届く支援を考えた方が良いと、個人的には思う。

エルトゥールル号とか邦人救出とか、そりゃいい話だけど、それがなかったら支援しないわけじゃないでしょ?

もちろん、大使館経由で義援金を渡せば、トルコ"政府"とは親密度アップできるだろうけどね...


ところで、これは余り知られていないだろうが、トルコ政府から迫害を受けたと主張して、日本で難民申請しているクルド人らも、東日本大震災の後、ボランティアとして東北で支援活動をしてくれていた。彼等と一緒に、瓦礫撤去した自分が言うのだから、嘘ではない。

日本人ボランティアが諦めるような、巨大な瓦礫や丸太も、「オスマン帝国ではこうやって運んだんだよ」と、見事に運び出してくれる頼もしい人々だった。彼等が持参した手作りのお菓子は、「こんな外国のお菓子食べたことないわぁ(笑)」と、被災者の方にも大好評だった。

彼等難民申請中のクルド人は、日本政府が、いずれ自らの難民申請を却下するであろうことは、うすうす気付いていた。でも、東北の状況を見て、手を貸してくれた。恐らく、彼等のような日本にいるクルド人は、今回の地震のニュースに祈る思いで接していることだろう。

日本人が、トルコへの支援を通じて、もう少し日本にいるクルド人の問題を知る機会になると良いのだけど。

-->追記10/27
http://mainichi.jp/select/today/news/20111027k0000e030011000c.html
AMDAの活躍が伝えられてますね。

相変わらず、他国の救援隊は入ってないですが、今のところ各メディアは、もうそこには触れない形で、物資と一部のNGOが入ったことをもって、「トルコが世界からの支援を受け入れた」という部分を強調する報道で、丸くおさめるようですね。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111027/k10013536051000.html

ロシア系のメディアなどは、人か物かにも触れずに、世界に支援要請したという風にぼかして書いてますね。日付とか間違ってるイイカゲンな記事ですが、分かりやすい対応ですね(苦笑)
http://japanese.ruvr.ru/2011/10/26/59358108.html

トルコは、よっぽど人を入れたくないのでしょうが、国としては内政干渉するわけにもいきませんから、一応これで物資だけでも「支援した」という形式を満たし各国は満足し、外交的にトルコ政府の面子は保たれたのでしょう。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20111027k0000m030065000c.html
助けを待つ現場からすれば、たまらない話でしょうが。
<--
-->追記10/31
難民を助ける会の現地での活動報告が出ました。
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1031_795.html
<--
-->追記11/12
「トルコ:宮崎淳さんの訃報」
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1110_812.html
「11月10日のトルコ地震での当会職員の状況に関するお知らせ(11日21時半現在)」
http://www.aarjapan.gr.jp/about/news/2011/1111_814.html
http://aarjapan.blogspot.com/2011/11/turkey-passing-of-mr-atsushi-miyazaki.html
「トルコ語でのお悔やみのツイート」
http://togetter.com/li/212501

http://www.smh.com.au/world/miyuki-daughter-of-disaster-survives-another-horror-20111111-1nb37.html
最後のところ
>Angry about a shortage of aid, more than 200 people rioted amid the debris. Police fired tear gas at protesters.
>"Police and residents are fighting now. They feel desperate, angry and abandoned," said a witness, Neman Kara, 35.
援助不足に抗議する被災者と、警察が催涙ガス使って戦ってる被災地...やりきれない。

まだまだ、非政府組織だからこそ可能な支援があるのだろう。
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1109_805.html
昨日予定されていた活動報告会は、中止になったそうだけど、今後トルコでの活動はどうするのだろう?
<--

■蛇足
本文と関係ありませんが、またしばらくブログの更新が滞る予定です。お勉強に時間を...

リーダー不在

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相変わらずカイロは凄いね。アルジャジーラの、ちょっと扇動的とも言えるライブ放送に流されないように注意しつつ眺めていても、一連の騒動が、極めて平和的に進行している新しいタイプの革命であることに気が付く。(もちろん、既に100人以上亡くなっているけれど。)

http://salamuna.exblog.jp/15855798/
こういう現地にいた人のブログというのは、大変興味深い。
>*携帯電話ネットワークをまる一日止めたこと
>*インターネットを現在まで四日間以上止めていること
>*四日間続いている夜間外出禁止令
これが、今回のデモ拡大の要因というのは、思わず頷いてしまう。

既に発達したネットワークが存在していたのに、突然禁止されたものだから、逆に国民に、事態の重大性を気付かせてしまったのではないか。
http://asert.arbornetworks.com/2011/01/egypt-loses-the-internet/
いくらなんでも極端過ぎた(苦笑)


それにしても、エジプト女性は勇ましいね。
http://ow.ly/i/7JT4

飛び火したヨルダン女性も、勇ましい。
http://english.aljazeera.net/news/middleeast/2011/02/20112113957115258.html

どこまで行くのか分からんけど、中東における女性の地位が、ちょっと変わったりする切っ掛けになったりして。

でも、チュニジアにしてもエジプトにしても、多分ヨルダンも、既存の政治体制に対する不満はあっても、その先が見えない。反体制のリーダーが不在なのが、共通する特徴だろう。長期独裁政権を倒しても、新政権が結果を出せなければ、日本のように、「前の方が良かった」とか言い出すことは、容易に想像できる。特に、民主主義が未成熟な国では。

しかし、反体制のリーダーが不在だからこそ、既存政権側も、効果的に叩く相手を見つけられない。これが、市民に有利に事が進んでいる最大の理由ではないだろうか。誰かに扇動されずに、宗教や政治的野心なしに、本当に自発的に市民が立ち上がっている。まるでだ。

もちろん、軍隊が国民を攻撃しないというのも、特筆すべきポイントだが、それも、自発的に市民が立ち上がっていることと、無関係ではないのではないか。祭の警備員に徹している?

今までムバラクは、ムスリム同胞団(エジプト最大野党)を攻撃してきたけれど、今回のデモは、ムスリム同胞団が指揮してるわけではない。エジプトの市民が、アメリカのメディアのインタビューに対し、自分たちはイランのようにはならないと訴えていた(だからアメリカも、自分たちを危険視しないでくれと)のも印象的。帰国したエルバラダイも、国内で政治力があるわけじゃないらしい。

それを心配してるのが、トルコだ。
イスラム原理主義勢力の付け入る隙を与えないように、ムバラクはとっとと決着つけろと。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE0E0E4E4EAE4E2E2E2E3E2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2


そろそろ日本も、ムバラク後を見越して、積極的に発言すべきではないだろうか。
何しろ今、一連の動向に対し、自国への影響を恐れる中国は、超腰が引けているように見える。もちろん、中国は軍隊が国民に味方することなんてないので、同様のことが直ぐに起こったりはしないのだけど、とにかく、我が国が中東でプレゼンスを向上させるチャンスだ(苦笑)

え?我が国もリーダー不在だから、将来の国益を見越した行動なんて、無理?
外務大臣は、アメリカの顔色をうかがうのに必死で、中東なんて見えない?
まあ、「前の方が良かった」とは全然思わないけど、もう少しなんとかして(ry

せめてTVも、韓流ドラマばっか放送してないで、アルジャジーラのライブを中継でもすりゃいいのに。
http://english.aljazeera.net/watch_now/

相撲協会も、どうでもいいよ。
今、相撲協会の記者会見を、NHKも、テレ東除いた全民放も、横並びで生中継してるのだけど、バカなの?


>追記1
突然、ムバラク支持派というのが現れて、今、タハリール広場は修羅場と化している。
非常に残念だ。アルジャジーラのライブから、目が離せない。

しかし、ムバラク支持派とは、ムバラクの放った刺客とも、傭兵とも言われている。いわゆる工作員だ。銃やナイフで武装しており、アルジャジーラも欧米メディアも、記者が襲撃を受けて逃げている。

エジプト人には、もちろん純粋にムバラク支持の人も存在するだろうが、少なくとも今言えるのは、支持派は暴力で反ムバラク派を潰そうという意図が明確であり、とても民主主義的観点から、擁護に値しないということ。

http://ameblo.jp/fifi2121/entry-10787594709.html

これを読んで、尚更、流血の事態が作り出されてしまったことを、残念に思う。

>追記2
今夜は、アルジャジーラをニコ生で中継する人や、Ustで同時通訳する人など、リアルタイムで進行中の殺戮劇を伝えようと、個人が頑張っている。対してTVは、何やってんの?

BBCの真似しろとは言わないけどさ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-12307698

高齢化の進んだムスリム同胞団は、ネットとか使えているのか知らんけど、主導権も何も握ってないくせに、KYなこと言って足を引っ張るなって感じ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011020200547

>追記3
http://www.asahi.com/international/update/0204/TKY201102040404.html
-->
前原氏は「欧米はムバラク大統領の即時の退陣を求めているが、もっと現実的に物事を考えるべきだ。新たな元首を選ぶにも、国民が納得する選挙のあり方も検証されないといけない」と述べ、公正な選挙制度の整備といった政権移行準備が整わないままムバラク大統領が即時辞任すれば混乱が拡大しかねないとの見方を示した。
<--

我らが外務大臣は、独裁者と同じ主張をすることに、何の躊躇もないらしい(苦笑)
それ、丸々、ムバラクが言っていることと同じではないか。
そんなことなら、口を開かない方が良かった。国益を損ねる。

恐らく、現地の状況が把握できておらず、把握できている欧米の言う現実的な主張が、非現実的に見えてしまっているのだろう。即時退陣を求めている欧米は、最早、その段階になってしまったことを、把握しているだけだ。前原氏のような、悠長なことを言っている段階ではないと。

本当に、中東が見えていないらしい。

現実的というのは、こういうことだろう。
「ムバラクが辞任する前にすべきこと」
http://www.twitlonger.com/show/8krdi2

大使のブログ

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「筆を擱く」
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/635242cf53180a6d1f1a90f5800fcb91

大統領選挙後の混乱の続くコートジボワールの緊迫した状況を、日々大使自ら伝えてきた貴重なブログが、更新を停止した。

コートジボワール大統領選は、選挙管理員会の発表では過半数以上の支持を得た新大統領ウワタラが誕生したはずだったが、これを認めない現職のバグボ大統領の影響下にある憲法院が、ウワタラの得票の一部を無効にして、バグボが当選したと発表したことが、この混乱の始まりだ。

これに対し、国連や欧米だけでなく、アフリカ諸国も一致して、バグボを非難しているが、国内メディアを押さえて情報統制をしているバグボは、国連を内政干渉と強気で非難し、自らの正当性を国民に信じ込ませようとしている。

民主主義の根幹に関わる大問題であり、海外メディアの注目度は低くない。

そんな中、この岡村大使のブログは、どのメディアも伝えられない、日本語の貴重な情報源だった。なんせ、各国の大使や、国連コートジボワール活動(UNOCI)のチョイ特別代表と交わした会話を通じて、国際社会がコートジボワールにどう関わろうとしているか、日々リアルに語られていたからだ。

例えば、国民に悪影響を与えず、バグボにだけ圧力をかけるにはどうするか。
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/b99df09f93381ba5b8b296f77021c2bb

海外メディアでも、バグボ一派に各国がビザ発給停止したことに対し、そんなところに行かなければ良いから意味がない、というバグボ側の反論が流されている。しかし、上記を見れば、そんな単純な話ではないことが分かるし、岡村大使がフランス大使にしたアドバイスなど、大変面白い。

こういう情報発信の仕方は、画期的だった。
隠れてやっているわけでなく、外務省としても大使のブログの存在は認められていたことが、下記にリンクが示されていることからも分かる。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/annai/cote_d.html

一連の混乱以前の内容にしても、一般人には知りえない大使の仕事、日本のコートジボワールへの関わり方がリアルに分かる、本当に価値のあるブログだったので、とても残念だ。

こういう時こそ、ブログを続けることに価値があると思うが、価値があるからこそ、継続に何かしらの圧力でもあったのかと、疑ってしまう。注目が集まると、自由がきかなくなるものだが、国民が日本の外交をリアルに知る貴重なニュースソースを失ったことは、残念としか言いようがない。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/12/1220_06.html
今はお忙しいでしょうが、またいつか、ブログを再開してください。

以前、中国(上海)に帰国できずに成田で篭城生活して話題になった、馮正虎氏のツイートは、時々日本語に訳されていて面白い。

http://twitter.com/fzhenghu/status/21126110686
http://twitter.com/fzhenghu/status/21126135718
http://twitter.com/fzhenghu/status/21126147827
http://twitter.com/fzhenghu/status/21126176477

今なんか、自宅に軟禁状態なんだけど、この物腰の柔らかいツイートときたら(^^;

http://twitter.com/fzhenghu/status/21075144163
http://twitter.com/fzhenghu/status/21075172980

暑い日には、自分を軟禁してる警察官らに、ウーロン茶配ってねぎらいまでw

馮正虎氏曰く、中央政府はまともなのに、法を無視して馬鹿をやってるのは上海のトップで、警察の下っ端は上司の命令に従わざるを得ない、馮正虎氏同様の被害者、という流れ。

ある意味、上海閥v.s.共青団(江沢民v.s.胡錦濤)という分かりやすい構図。

パソコン買っては上海警察に押収されてる馮正虎氏は、PayPal経由で支援を得ているのだけど
http://twitter.com/fzhenghu/status/21075075345
http://twitter.com/fzhenghu/status/21045248984
変な感じ(^^;

http://twitter.com/fzhenghu/status/21045191128

この調子で頑張ってくださいw
もう、ある種の人徳です。

TVや新聞は取り上げないだろうけど、ネットが使える自分としては、馮正虎氏の日々のつぶやきに興味を持ち続けたい。


蛇足:全く関係ないけどおもしろ動画

http://mainichi.jp/select/biz/news/20100406k0000m020077000c.html?inb=fe
-->
経済産業省は5日、産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業競争力部会に「文化産業大国戦略」案を提示した。「クール・ジャパン」と呼ばれ、海外で人気のアニメやゲーム、ファッションなどの輸出テコ入れを官民一体で進めるのが狙い。政府が6月にまとめる新成長戦略に反映させる方針だ。

日本のアニメやファッションなどは海外での評価は高いが、輸出比率が低く、戦略案でも「海外で稼げていない」と指摘。そのうえで、映画などのコンテンツを海外で販売するのに不可欠な資金を提供する官民出資の「コンテンツ海外展開ファンド」を創設する。
<--

だそうで...

経産省は、何のためにアイディアボックスやったのさ?
アイディアボックスで、賛成が最多で最も盛り上がった意見が、無視されてるじゃないか。
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」
http://201002.after-ideabox.net/ja/idea/00131/

映像を制作している現場は、日本はハリウッドと比べてノウハウが足りないから、ハリウッドの下請けをしてでも質の向上を目指すべきだ、という切実な提案をした。もちろん、この意見には賛否両論あるだろうが、少なくともアイディアボックスでは、多数の支持を得た。しかし、それを受けた産業構造審議会は、「日本の作品はクールで優れてるけど、海外への売り込みに失敗してるだけだ」という真逆の戦略を打ち出したわけだ。

これが、大本営発表ってやつか?
前線の兵士は、圧倒的な火力の差を実感して現実的な戦略を提案したのに、大本営から「我々は優れているのだ!」「あとは神風が吹けば勝てる!」と言われて、「突撃命令」待ちだろうか?

産業構造審議会で、アイディアボックスの意見が無視された理由は、産業構造審議会情報経済分科会で配布された資料を見れば分かる。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100402aj.html
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」の意見については、以下の資料の20ページ目で触れられている。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100402a062j.pdf
-->
日本は、CGに関する優れた技術・人材を有するものの高い人件費のため、ハリウッドなどの海外からのVFX等の映画製作の受注が行われていない。海外からの受注を呼び込むため、政府が税優遇措置、助成金、ハリウッド・プロダクション誘致等の支援を行うもの。
実際にCG業界等で活躍される方々を中心に、映画業界などの現状と課題などを踏まえ、活発な議論が行われ、アイディアボックスで最も多くの投票数を獲得した。

<--

1文目から、提案の大前提の理解を、間違って紹介している。

「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」の提案者は、日本は潜在的能力はあるが、「クオリティが低い」から、ハリウッドから受注して、仕事を通じてノウハウを学ぶ機会が必要だ、と主張していた。そして、ハリウッド作品に関わる中で、VFXだけでなく、ハリウッド映画の製作手法全体を学ぼうと。

ところが、それをまとめた上記資料では、「日本は、CGに関する優れた技術・人材を有する」という、真逆の前提で、提案の説明がされているのだ。

資料まとめた官僚さんは、日本語力に問題があるのですか?
誰かに「クール・ジャパン」のバイアスをかけられて、冷静さを失っているのですか?
もっとクールに考えてくださいよ。

まあ、提案されたご本人は、この結果でも前進と、前向きに受け止めておられるようなのが、唯一の救いだろうか。
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/04/blog-post.html


そもそも、クール・ジャパンは、クール・ブリタニアのパクリみたいなものだ。

かつてイギリスは、国家そのものをブランドとして海外に売り込む政策をとり、その中心には、1997年に出版された「登録商標ブリテン」というレポートが存在する。どういうことがなされたかの詳細は、以下をどうぞ。
http://www.mskj.or.jp/getsurei/ninoyu0201.html

こういう話は以前から、高城剛氏が政府の審議会や書籍などで何度も紹介し、真似るべきだと絶賛していた。まったくその通り、流石トリックスターだと、自分も思っていた。そして、外務省は以前から、ポップカルチャー外交を唱えていた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/h18_sokai/05hokoku.html

ポップカルチャーと言うより、サブカルじゃん?という疑問はおいといて、まだこの頃は、クール・ジャパンを自称する程の驕りはなかったし、その手法が「登録商標ブリテン」からのパクリであることが、認識可能だった。外務省は頑張って、各国で日本文化を紹介するイベントを開催したりしてきたし、そこには経産省も関わってきた部分があったはずだ。

すると、クール・ジャパンとやらは、外務省のポップカルチャー外交の成果なのだろうか?

残念ながら、否である。

ダグラス・マッグレイが、「Japan's Gross National Cool」と論文を発表したのが2002年。

フランスのジャパンエキスポは、1999年から始まっているが、Cool Japanというキーワードがル・モンド紙に出たのは2003年だろうか。
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E382880148/index.html

日本では、「COOL JAPAN THE EXPLODING JAPANESE CONTEMPORARY ARTS」が出版されたのが2004年。

米国でのクール・ジャパンの仕掛け人の一人、アレクサンドラ・モンローが、グッゲンハイムのアジア担当シニア・キュレーターに就任したのが2006年。


つまり、このキーワードは古く、今更言い出す奴は時代遅れで、かなりクールじゃない。
クール・ジャパンの前は、ジャパニメーションとか言ってたのも似たようなものだ。

しかも、このキーワードが通じた国々は、既にこれから成長の見込めない、欧米である点に留意すべきだ。

経産省が昨年まとめた報告書でも、今後の国際展開先としてはアジアに注目していた。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/movie.pdf

上記報告書では、アメリカ市場への進出に失敗する最大の理由として、人材不足を挙げていた。アメリカ市場へ進出するための日本映画業界に必要な人材の要件として以下を示し、そういった人材は育成するには時間がかかるから、諦めてアジアを開拓しようという悲しい論理だが、しかしまだ冷静だった。
-->
 【専門知識】
・英語力(脚本や契約書の読解力)
・知的財産権の知識
・映画業界特有の会計の知識
・制作に関する知識(アメリカの大学、大学院での履修経験。しかも業界内での評価から、映画関連大学は、トップクラス校である必要性)

 【教養、素養面】
・業界特有の慣習、文化の把握力
・業界への同化力
・歴史、文化やトレンドなどの知識
・配偶者の社交性
・交渉における機転やジョークのノウハウ
<--

どうしてそれが今年になって、「コンテンツ海外展開ファンド」を創設すれば海外で稼げる、なんて無謀な戦略につながる?
俺たちクールだから?

寝言は寝てる時に言ってくれ。


アジアでは、哈日族(ハーリー族)はいるから、彼らを増やすような戦略は重要だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%93%88%E6%97%A5%E6%97%8F
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1694

しかし、既に哈日族な人々には、クール・ジャパンなどと言う必要は今更ない。

この点、以下のブログ(この方も経産省ですが必読)の「クールジャパンはインナーシンキングだ」という意見に、自分も賛成する。
http://d.hatena.ne.jp/masays/20100406
アニメージュの読者なら30年前から知ってる、という意見も同感(苦笑)

これから成長市場のアジアを主戦場とし、そこでまだ哈日族でない人々に訴えるには、クール・ジャパンなんて自画自賛が漏れ伝わるのはマズイ。

しかも、どうして「コンテンツ海外展開ファンド」なんだ?
どうせコピーするなら、クール・ブリタニアをもっと精巧に分析して、本家以上にしてくれ。なんで、劣化コピー以下の粗悪品な政策になってるのさ?
「登録商標ブリテン」をちゃんと分析したかい?

冷静な情報分析ができず、俺たちはスゴイ的な誤信に基づいて宣戦布告みたいな、いつか来た道と同じではないか。

アバターと竹槍で戦えと?


今、CG制作現場で使われている主要ツールで、国産のものなどないに等しい。
AutodeskAdobeの2社の製品抜きでは、何も作れないと言っても言い過ぎではない。
実際、国産ツールなんて、竹槍程度のものしかないのだ。

にもかかわらず、何でこんなに自信を持っているのか、さっぱり理解できない。


もちろん、制作現場の人間は、負けてることをよく理解している。
だからこそ、ハリウッドの下請けでもやってみたいという意見に、賛成が集まる。

フルCGで映画を作る時、最初に検討するのは、どのソフトウェアを使うかだ。
高いけど、PixarからRenderManを買うか?とか、とっても悩むのだ。

しかし、その選択肢に国産ツールなど、一つもない。選択したツールに深刻なバグがあって、制作に支障が生じても、海外のメーカーはほとんど対応してくれないと分かっていても、それを買うしかない。

道具を海外依存しておいて、ファンドがあれば勝てると思うような妄想は、制作現場で苦労してる人間からは、出てこないだろう。かなりマヌケだ。

その辺の詳細は以前、以下に書いたので繰り返さないが...日本の映像制作は、映画産業以外の仕事で食いつないでる点を理解して、効果のある産業支援を検討して欲しい。
http://maruko.to/2010/03/post-81.html

先月、円谷プロダクションデジタル・フロンティアフィールズに買収されたのも、必然の流れだ。
http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=201189
http://www.p-world.co.jp/news2/2010/3/29/news3894.htm


ところで、これから開拓すべき市場は、本当にアジアなのだろうか?

日本作品に好意的でありながら、ハリウッド作品を素直に受け入れられない、資金の豊富な国々と言えば、中東のイスラームな国々だ。経産省の資料等では、中東に関しては一言程度しか触れられていないが、民間のアニメ・CG制作会社は、既に中東へ関わり始めている。
http://animeanime.jp/biz/archives/2009/04/cg_4.html

上記サウジアラビアでのプロジェクトは、最近やっと動き始めたが、自分も在職中に見積もりに少し関わったこともあり、今後に注目している。なお当時、社長から冗談半分に「サウジ行く?」と聞かれたが、退職したのはそのせいではない(苦笑)

http://riyadh.exblog.jp/13433802/
いやはや、デッサンから始めてるとは、頭が下がります。

冗談抜きで、石油依存から脱却しようとしている中東諸国への文化的な関わり方というのは、今後の日本にとっても重要だろう。

例えば、日本の家電は、既に韓国等に負けており、挽回の兆しはない。今まで、アジア市場で負けているのは、安価な製品じゃないと売れないからで、日本製品は性能が上だけど高いから売れない、と説明されてきた。しかし、ドバイでも日本の家電が韓国製品に負けているそうで、値段は問題じゃないことが分かる。
http://blogs.yahoo.co.jp/dubai1428/31697357.html
(上記ブログのコメント欄で日本擁護してる人が、正に自称クール・ジャパンと同じニオイがする(苦笑))

今後、技術分野での優位は、益々失われると考えるのが順当だ。そういう意味でも、クール・ジャパンなんて今頃言ってるのは、かなり恥ずかしい。
サウジじゃまだ、一応尊敬を得られている日本人というブランドは、今後は何によって維持できるだろうか。

かつて中東諸国では、ポケモンがハラームだと、ファトワーが出た。イスラームの教えに反するとして、サウジでも禁止になった。逆に言えば、それほど大人気で、社会問題になっていたのだろう。
http://www.cafeglobe.com/news/dailynews/dn20010424-02.html

しかし、それでも日本のアニメは、今も受け入れられている。なんという素晴らしいお得意様だろう。イスラーム圏での日本のアニメの人気は、単なるブームではなさそうだ。中東から先進国を眺めた時、日本だけ違って見えるのかもしれない。

そんな中、超保守なサウジで日本人がCGを教えるということは、広く中東地域の将来の文化に、確実に影響を与えるだろう。

そのうち、サウジで一定規模のCG制作が可能となれば、オイルマネーで日本に下請け仕事、くれるかもよ...え?違う!?(苦笑)

蛇足:
ついに某試験まで1ヶ月を切り、ブログ書いてる暇がなくなるので、試験後に確実に失っているであろう気力を回復するまで、しばらくこのブログの新規エントリは控えます。

追記:5/24
「あなたが思う"クール・ジャパン"コンテンツは?」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1005/18/news098.html
うーむ、酷い調査&記事だ。
「最近、注目されるようになっている」とか、2行目から嘘ではないか。
一体、この記者の考える「最近」とは、何十年前までを含むのだろうか?
しかも、ドラゴンボールやドラえもんがクールとは、東京工芸大学はどんな質問したんだ?
質問する前提として、「クール」の意味を定義しないで、質問したんじゃあるまいな?
2ページ目に載ってる「宮崎駿映画で世界の子どもたちに見せてあげたいと思う作品」なんて質問自体、押し売りクール・ジャパンそのもの。
せめて、「見てもらいたい作品」というなら、まだ分かる。何で、質問からして上から目線なんだよ。


ところで最近、コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会の報告書が出た。
http://www.meti.go.jp/press/20100514006/20100514006.html

産業構造審議会情報経済分科会みたいには、クールジャパンを盲信せず、ちゃんと日本が負けてることを真摯に受け止めてるところから考えてるのは、素晴らしいと思う。

でもやっぱり、パチ産業は無視してるけど(苦笑)

http://www.meti.go.jp/press/20100514006/20100514006-3.pdf
上記報告書の、表記上のP16にある
「② 大規模CG映像製作分野への参入」に出てくる
「アジア域内でのCGアニメ共同制作のためのインフラ構築構想(Creative Asian Pipeline 構想)」ってのが気になる。

概念的な話なのか、物理的にインターネット経由で共同作業とかいう無謀な話だろうか?

海外と仕事って、結局先方の国のインターネット普及状況に左右されてしまう。ヨーロッパにしろアジアにしろ帯域が狭くて、どこも光回線は皆無だから、連番画像とか大きいデータは、結局HDDをDHLで直送ってのが、まだまだ現実なんだよね。

追記:5/25
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」の提案者さんのブログで、「コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会」の報告書についてのフォローがされてましたので、リンクしておきます。(このエントリーにリンクしていただいていることに、遅ればせながら今気づきました。)
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx.html
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx_20.html
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx3.html
先週、今回の報告書を読んだ時、アイディアボックスを反映しているのかな?とは思ったのですが、審議会と研究会の関係に詳しくないので、ぬか喜びしたエントリーは控えようと思っていました。しかし、上記3つめのエントリーによると、やはり意見が反映された報告書なのだということです。あとは、6月の新成長戦略にどうつながるか、注視したいです。

なお、上記を読んで、経産省のイメージの話がありましたので、このエントリーでも批判的に書いているため、念のため付言しておきます。

私の在籍したロースクールは、社会人のための夜間ローでしたから、クラスメイトは皆、仕事と二足のわらじでした。そして、様々な職種の様々な年齢層のクラスメイトの中に、経産省の現役官僚もおりました。共に勉強するうちに、職場の苦労話も自然と耳に入ってきましたから、その大変さも少しは理解しているつもりです。

また、今までもアニメ業界の下請け問題等の健全化のため、経産省が様々な取り組みをしていることも理解しており、私の中では、「経産省GJ!」と思うことも多いです。そういう、ある種の期待の高い役所でもあり、アイディアボックスを始めたことも、私は高評価しておりました。

それだけに、当初の産業構造審議会にガッカリしたのです。

そして、コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会が、アイディアボックスの意見を反映しているのであれば、その報告書を公開した時点で、
http://twitter.com/openmeti
http://d.hatena.ne.jp/ideaboxFU/
これらで報告してくれても良いではないか、と思うのです。
せっかくTwitterやブログがあるのにアナウンスされなかったので、「アイディアボックスと無関係なのだろうか?」と、迷いました。私が報告書の公開を知ったのは、偶然他人のツイートからです。

そんなこんなで、経産省そのものをダメだとか言う気は全くなく、個々の人々が頑張ってることも知ってますが、問題点は問題点として指摘する、というスタンスです。

と、追記が長くなってしまいましたが、今年の新司法試験が終了ということで、今週は上記経産省のクラスメイトとも久々に飲むので、「メディアコンテンツ課」ってどうよ?とか聞いてみようかなw

追記:5/30
と、上の追記をしたところ、5/27にアナウンスされました。
http://twitter.com/openmeti/status/14798079247
http://d.hatena.ne.jp/ideaboxFU/20100527/1274919221
書いてみるものです。
って、単なる偶然か、ここを見ていただけているのかは、分かりませんが(^^;

ちなみに飲み会は、諸事情で急遽中止に。残念!

追記:6/10
「経済産業省にクール・ジャパン室設置」
http://www.animeanime.biz/all/2010060803/
言葉を失った...
今からでも遅くないから、「実はソレ、温暖化対策室の間違いでした」と言ってくれ!

日本の国際緊急援助隊(通称JDR)25名は、ハイチ地震から5日以上たって、やっと現地入りした。阪神淡路から15年の1月17日、TVで特番が流されていた時点では、まだハイチに到着していなかったので、TVを見ると複雑な思いがした。
「緊急」って意味、なんだっけ...

残念過ぎる対応の遅さに、疑問を持つのが当たり前だ。
四川の時は、あんなに対応が速かったじゃないか。

それが、外務省のカリブ室の担当一人の資質が原因なら、残念を通り越して、情けなさ過ぎる。
http://blog.asaikuniomi.com/?day=20100115
上記ブログには驚いた。


しかし、昨日の外務大臣の会見現場からのある記者のTweetによるとこうだ。
http://twitter.com/kamematsu/status/7938044491
つまり、元々PKO部隊が行ってる治安の悪い国だから、武器を持っていけない現行法で丸腰でいきなり救援に行かせられなかったから、ということだ。これは問題だ。

すると、他国の救助隊等は皆、武器を携帯していたのか?

アイスランド外務省の広報官は「我々は日本と同じ地震国で経験がある。財政が厳しくても、助けを求める声に応じるのは当たり前だ。」と言ってるそうだが、今回地震から24時間足らずで現地入りした彼らの救助隊は、武器を携帯していたのだろうか。是非聞いてみたいものだ。

しかもJDRは、ハイチに直行せず、JALのチャーター機でマイアミまで行って、アメリカで訓練中だったとかいう自衛隊機に乗り換えてハイチ入りしている。"偶然"自衛隊機を使えて良かったね。TV的には、良い宣伝になった?

でも、マイアミで時間無駄にしないで、直行便チャーターしなさいな。
出発までに時間かかったのに、まだマイアミで、ハイチでの治安状況、安全確保対策等を確認していたなんて説明、誰が信じますかいな。
あ、例の外務省のカリブ室の一人が、ここでも手際が悪かったのですか?(苦笑)

アイスランドの救助隊を運んだのは、アイスランド航空のチャーター機で、帰りには80人の外国人をパナマに脱出させている。他国は民間機ですよ?

あ、まさか、我が国のナショナル・フラッグ・キャリアは、債務超過でハイチまで飛べませんでしたか?
アイスランドなんて、国全体が債務超過なのに(苦笑)

そりゃJALといえば、かつてイランなどからの在外邦人救出ですら、危険だからとフライトを拒んだ会社として有名だけど...まさか今回も断りましたか?


我が国の外務大臣の発言が問題だと感じるのは、現行法を諸悪の根源にしている点だ。
法律があるから、人命救助できなかったとなれば、法律を改正しろという世論が形成される。では、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」で可能なこととは何だろう。同法3条2項によれば、自衛隊が派遣できるのだが...

JDRには本来、救助チーム、医療チーム、専門家チーム、自衛隊部隊の4構成があり、その役割の違いは、以下のJICAのサイトに説明がある。
http://www.jica.go.jp/jdr/about.html

ところが今回派遣されたのは、現時点でまだ医療チームのみだ。
その医療チームは今、現地でスリランカ軍に護衛してもらっている
http://www.jica.go.jp/information/jdrt/2009/100119.html
スリランカ軍も、護衛なんて頼まれなけりゃ、救援活動手伝えるだろうに...なんだか申し訳ない気持ちになる。

他国の軍隊に護衛を依頼するほど危険なら、そもそも自衛隊部隊も一緒に送りなさいな。たとえ武器が携帯できなくとも、自衛隊部隊がこの場面で無用という第一判断は、どうやって導き出されたのさ。法律を非難する前に、法律で最大限可能な活動を最初からしなさいな。何日も何日も検討時間を費やしたのだろ?


そして、自衛隊部隊派遣の話がやっと出たのは、18日になってのことだ。
「【毎日jp】ハイチ大地震:自衛隊派遣準備を指示 防衛相」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100119k0000m010066000c.html
この対応の遅さは、最早人災。法律のせいにしなさんな。


さて、整理してみよう。

1、異常なまでのJDR派遣の遅れ
2、パフォーマンス的な自衛隊機の使用
3、それに続く自衛隊派遣の決定
4、法律で可能な最大限の選択をせず、武器を携帯できない法律のせいで対応に時間がかかったかの発言をする外務大臣


この状況で逆算的に、迅速な対応を可能とするにはどうしたら良いかと考えれば、「自衛隊に武器を持たせて海外派遣できるようにすべきだ」、ということになる。

なんのことはない。これは、自衛隊法改正の議論だ。まさかこの場面で使われるとはな...

かつては、邦人救出に手間取って政府が批判される場面で、「だから自衛隊法改正を」という世論が形成され、2006年の改正で緊急時の在外邦人輸送が本来の任務になったばかり。対応が遅れた事実+法律が悪い、となると、法改正は楽なのだ。

まさかと思いたいけれど、外国人の人命を政治に使いなさんなよ...


しかし、外務大臣の説明が信用できないのは、訳がある。
http://twitter.com/uesugitakashi/status/7937782751
http://twitter.com/uesugitakashi/status/7937836417
自衛隊派遣を選択した後なのに、外務大臣自身は、駐日ハイチ大使と支援について確認してないってのは...

外務大臣は、自衛隊派遣の前に、駐日ハイチ大使と直に会うことくらい、すべきなのではないか?その必要もないの?

追記:
「【毎日jp】ハイチ大地震:治安の悪さ、自由な救出活動阻む」
http://mainichi.jp/select/today/news/20100121k0000m030039000c.html?inb=fa
他国の救助隊も、PKO部隊の警護を受けていることが分かった。つまり、自衛の手段など、他国の救助隊も準備していなかったということだ。それでも、迅速に現地入りしたのだ。我が国が無駄に時間を浪費している間に、後から治安が悪化したというのが、実際のところだろう。

言うまでもないけれど、現地で頑張ってるJDRの医療チームの方々や、これから派遣される自衛隊部隊の方々も、個人的には何も非難する気は無い。問題は政治。

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2666395/4942097
-->
【11月21日 AFP】イエメンの首都サヌア(Sanaa)北東のアルハブ(Arhab)で日本人男性技術者(63)が地元部族民に拉致された事件で、解放交渉にあたっている部族関係者は21日、男性が20日深夜から21日未明にかけて、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員に身柄を拘束されたと語った。
<--
http://www.asahi.com/international/update/1122/TKY200911210395.html
-->
イエメンで日本人技師が地元部族民らに拉致・拘束された事件で、AFP通信は21日、部族関係者の話として、技師の身柄が国際テロ組織アルカイダ系武装組織の手に渡ったと報じた。イエメン当局者や在イエメン日本大使館は否定しており、真偽は不明だ。
<--

色々と情報が錯綜している。

そもそも、どうしてイエメンでアルカイダ(アル・カエダと表記した方が良いみたいだけど、アルカイダの方が日本じゃ浸透してるので、ここではアルカイダと表記する)が関係するのか、分からない人も少なくないだろう。

実際は異なる可能性もあるが、しかしながら、アルカイダに身柄を拘束されている可能性が、十分にありえる話であることは事実だ。

フォーサイト12月号が、タリバンやアルカイダ関連の記事が多く、かつそれぞれの記事が異なる視点からのもので、相変わらず面白かった(『次なる火薬庫「イエメン」の現在』、『アフガニスタンに移り始めた外国人テロリスト』、『タリバンとアル・カエダ "主敵"を見極められない米国』等)ので、その辺の浅知恵も交えて書いてみよう。
(今月のフォーサイトは、民主党関係や中国関係、JAL関係...どの記事も外れは無かったのだけど、実は外交・安保を誤った白村江の戦い  なぜ中大兄皇子は猪突したのかがオススメ。外交は難しいw)

・なぜイエメンでアルカイダ?
そもそも、イエメンとはどんな国か。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2378883/2837848
単なるロリコン国家...ではないw
アラビア半島で、唯一共和制をとる立憲国家であり、女性にも参政権が認められ、言論の自由もある(大統領個人への批判を除き(苦笑))。しかし、国民の半数近くが貧困に喘いでおり、豊かではない。だからこそ、JICAの委託で、日本人が教育支援事業に従事していた。そして、テロとの戦いでは、アメリカの同盟国だ。

ところがイエメン政府は、北部のイスラム教シーア派武装組織フーシ派とのサアダ戦争にかかりっきりで、もう5年になり、経済は大打撃を被っている。そんな状況で、政府の管理が及ばない地域で、アルカイダが勢力を拡大しているのだ。(フーシ派とアルカイダは、関係ない。)
昨年9月には、首都サヌアでアメリカ大使館が爆破されたが、今年1月にサウジアラビアとイエメンの組織が合流し、「アラビア半島のアルカイダ」を設立。8月には、サウジ王族の副内相の暗殺未遂事件を起こしている。イエメンが安定しないと、アルカイダが活気付き、アラビア半島全体を不安定にするため、今後の注目地域だ。

そんなところなので、日本人が誘拐されれば、アルカイダが関係している可能性も否定できないわけだ。

・アルカイダってアフガニスタンでは?
でも、アルカイダってのは、アフガニスタンで米軍が戦ってる相手なんじゃないの?という疑問を持つかもしれない。

実は、パキスタン・タリバン運動(TTP)が、アルカイダ系の外国人戦闘員約5千人を抱えており、これを最近もアフガニスタンに送り込み、NATO軍の補給路封鎖に動いていた。そして今、パキスタン軍が、TTPを攻撃している。
http://mainichi.jp/select/world/news/20091119ddm007030069000c.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009111702000079.html
パキスタンとアフガニスタンのタリバンは、一見兄弟関係だが、現状は全然違う。アフガニスタンのタリバンは、パキスタン政府の支援を受けて育ち、決別したとはいえ、今も対立していない。しかしTTPは、パキスタン軍から攻撃されているわけだ。以前は、パキスタン軍もTTPとの対立を避けていたが、最近TTPの過激化が酷く、アメリカの圧力もあったが、ついには掃討作戦に出ることになった。つまり、反米で共通していても、タリバンとて一枚岩ではない。

そして、アルカイダは、タリバンがアフガニスタンの政権を握っていた当時は、その支援を受けていたわけだが、今は特に連携が見られないという。これもTTPとの違いだろう。アフガニスタンでは、タリバンがケシ栽培で資金が豊富なのに対し、アルカイダは資金難で、活動範囲を縮小している。

短絡的に考えるべきではないけれど、アルカイダは、アフガニスタンからイエメンに、活動の場を移しているのかもしれない。まあ、そもそもアルカイダは、組織として明確な団体ではないので、移ったというよりも、アフガニスタンでは廃れ、イエメンで流行しだした、ということかもしれない。だからこそ、TTPの支援で、アフガニスタンに5千人を送り込もうと...
この辺は、想像するしかない。

・アメリカはアフガンで誰と戦ってるの?
すると、テロとの戦いをアフガニスタンで展開する米軍は、誰と戦っているかといえば、アルカイダはメインではない。かつてのアフガニスタン政権を担っていたタリバンが、反政府武装勢力として活発化しているのであり、これを潰すにはゲリラ戦に勝利しなければならない。

ここに、アメリカ政府内でも迷いがあり、アルカイダとの対テロ戦に集中するか、タリバンとの対ゲリラ戦に集中するか、一本化できてない。オバマ大統領は、テロとの戦いと言うが、アフガニスタン駐留米軍司令官が4万人の米軍増派を提案しているのは、ゲリラ戦マニュアルに従った計算だそうだ。テロとゲリラの違いは...(ry

・まとめ
まあ、日本人からすれば、アルカイダだろうがタリバンだろうが、テロリストだろうがゲリラだろうが、そんなの関係ねー!かもしれない。

しかし、イエメンで日本人を拘束しているのが、アルカイダなのか、現地部族民に過ぎないのかは、その結果に大きな差が出そうだ。

仮に、当初は接点が無かったとしても、アルカイダがこれを利用しようとする可能性も否定できない。

犯人側が釈放を求める男は、イラクで対米ゲリラ戦に参加し、イエメンで4年前から裁判を経ずに拘束されている22歳ってことで、何歳で戦闘に参加してたのか興味深い。

日本政府は、テロを根絶する気があるなら、アフガニスタン支援だけではなく、イエメン支援の強化も検討した方が良い。そうじゃなきゃ、単なるモグラ叩きになってしまう。まあ、気がついてないだろうけど(苦笑)

フォーサイト11月号に、『民主党が抱えこんだ「JAL再生」という地雷』という記事と、『「ジャンボ機の後輪」北海道経済が示す先』という記事があった。

http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/10/0911cont.html

別個の記事なのに、実は関連性があって面白い。

前者の記事は、今月24日から公開の映画「沈まぬ太陽」の話から始まる。
http://shizumanu-taiyo.jp/

原作はフィクション小説なのだが、そこに出てくる国民航空という航空会社はJALそのもので、あからさまにJALの問題だと分かる内容のため、JALが映画化に何度も抗議文を送っているという、いわくつきの映画だ。ナショナルフラッグ・キャリアの腐敗と、日航機墜落事故を主題とした作品が、JAL再生が問われている今、絶妙のタイミングで公開するそうだ。

記事では、今回JALが経営危機に至った構造は、この小説の物語と、よく似ているというのだ。映画を物凄く見たくなったw

で、記事の趣旨としては、JALの再建計画が一蹴される経緯や、前原大臣が設立したタスクフォースの面子、大臣の目指す方向性を論じつつ、その手法に疑問を呈する。

オープンスカイ政策に唯一乗れない先進国となってしまった日本で、ぬくぬくと保護されて腐敗したJALは、資本注入やリストラで復活などしない。年率4.5%の運用利回りを前提とした、JALの企業年金の重みを、市場の実勢に近い水準に引き下げ、給付を減額しなければ、財務内容は改善しないが、OBがこれに反対する。

更に、JALにとっての経済効率を優先した、路線集約、不採算路線の廃止は、民主党のマニュフェストに反し、地域主権の確立とは矛盾する。地方経済の衰退を、食い止めるのではなかったのか?という感じの論調だ。

もっともそれは、数ある自民党政権の尻拭い(地雷)の一つで、その処理と市場の現実のはざまで、これから長いドラマが始まるというまとめ方。読みながら頷いてしまった。

特に、記事中の、「航空会社の収益力の国際比較」という図表は、JALの情けない立ち位置が驚くくらい分かりすぎて良かった。

同じ執筆者の、フォーサイト2007年7月号の記事が、丁度ピックアップされてホームページで公開されてるので、これも必見だ。今読むと感慨深い(^^;
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/10/76.html
http://www.fsight.jp/article/3496

で、後者の記事が、見事に前者の記事とリンクする。
後者は、北海道経済が「ジャンボ機の後輪」と揶揄される所以を紹介して始まる。景気が上向いても、北海道が上向くのは最後、景気が下降する時は、全国に先駆けて北海道が着地する。今、その北海道が、景気の底板を踏み抜こうとしており、これに遅れて全国経済のハードランディングがやってくるか?と。

北海道の観光産業の状況を紹介しながら、阿寒湖のとあるホテルの状況に触れる中で、釧路空港からJALが撤退を検討している話が出てくる。
http://www.newakanhotel.co.jp/access.html
阿寒湖への本州からの入口は、釧路空港だが、女満別、帯広の3空港とも、既に関西便が全面運休だと。

この記事自体は、北海道経済の抱える問題点を取り上げる中で、上記に少し触れるだけなのだが、これを前者の記事とリンクすれば、とても興味深いのだ。

地方経済の衰退と、JALの経済効率を優先した路線撤退との関連の、具体例という感じ。

このブログでも、JALの救済は、国交省の観光立国政策と矛盾するということを書いてきたので、上記二つの記事は、大変興味深く読めた。

こういうレベルの記事を読むと、改めて、以下のような新聞の酷さに苦笑せざるをえない。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20091007-OYT8T00359.htm
-->
日本航空の国内151路線のうち約9割が、今年4~7月の平均搭乗率で採算割れの状態にあることが、6日わかった。全体の3分の1を超える52路線が50%を割り込んでいる。経営基盤であるはずの国内線で深刻な赤字体質が明らかになり、日航が路線リストラの上積みを迫られるのは必至だ。空港整備のための特別会計の見直し論議にも拍車がかかりそうだ。
<--

上記読売の記事は、このブログの2つ前の記事でも批判的に取り上げた。ところが今日は、朝日が同様の記事を大々的に取り上げてる。

http://www.asahi.com/national/update/1023/TKY200910220558.html
-->
日本航空、全日本空輸グループの国内線計274路線のうち、7割超の193路線が損益分岐の目安とされる搭乗率60%を割り込み、「赤字」状態に陥っていることが、4~8月の輸送実績などから分かった。
<--

読売と朝日で、雁首そろえてこのレベルだ。
君らは、新型インフルエンザで観光需要もビジネス需要もズタボロだったこと、知らないのか?
しかも、前年比で何%悪化って、リーマン・ショック前との比較だろ?

この時期を基準に、不採算な事業は撤退すべきというなら、日本の観光産業はみんな店じまいだ。

もし、「JAL再生タスクフォース」とやらが、読売や朝日と同じレベルの思考能力しかなかったら、「観光産業破壊タスクフォース」に改名すべきだが、まさかそんなことはないと、信じている。

やっと生き残っている地方の観光地は、JAL、ANAの安易な撤退を肯定するかの君らの恣意的な記事で、戦々恐々としてることだろう。君らが、JALやANA、国交省とどういう関係か知らんけど、少しは頭使って取材しなさいな、と言いたい。

前原大臣の言う羽田HUB化は、上記2つの記事の言うような基準で路線撤退を認めたら、成立しない。もちろん、同じく前原大臣の言う、観光立国だって無理だ。

観光立国で地方経済を活性化させるには、今、観光産業を苦しめない政策が必要で、安易な路線リストラを避けなければならない。しかし、JALやANAの高コスト体質では、観光立国のインフラは支えられないのだ。このアンビバレンツをどう解消するかという視点からの、まともな考察に基づく記事を書いてみたら?


前原大臣は、韓国の仁川のHUB空港の座を奪いたくて、羽田をHUBにすると言ってるわけだが、成田とWinWinとか言っている。これは、リップサービスでなければ、問題点を理解していない証拠になってしまう。中心軸が二つあるような変形HUBでは、中心軸周辺に住む者にだけ、利便性が増す。スポークの末端である地方からすれば、そんなHUBは不良品だ。

確かに今まで、「成田は要らない子」だった。羽田を活用するのは、正しい。それだけでも大前進とも言える。しかし、仮に現状で、JALやANAに国内の地方空港から羽田に路線を就航させ、HUBの形式が整ったとしても、利用者は仁川経由を好んで使い続けるだろう。

何故なら、問題の根本は路線の存否ではなく、JAL等の国内線運賃が高すぎ点にあり、JALで国内移動するより韓国の航空会社で仁川経由で他国へ旅行した方が安いのなら、結局誰も羽田になど行きたがらない。加えて、一般的な感覚でも分かるだろうが、目的地と違う経由地であっても、外国の空港を短時間でも味わうのは、旅の楽しみでもある。何より、アジア各国の新しい空港は共通して、羽田や成田のような古い空港とは異なり、華やかさ、快適さがある。

つまり、競争相手に勝てるだけの利便性がなければHUBにならないが、JALを生かすなら到底無理な要求なのだ。JALが、LCCとして再建し、安価な運賃を実現するなら話は別だ。しかし、それなら新しいLCCを育成した方が早い。また、成田が国際線で残る以上、地方在住者は、羽田→成田の無駄な移動を強制するのが当たり前と考えていることになる。バスだろうと、高速な鉄道が完備されようと、旅行者の立場なら、その交通費を負担するのもバカバカしいし、旅行の荷物を運ぶ手間は、シャレにならない。HUBにしたいなら、常に旅行者の目線でのサービス構築が必須だが、これが圧倒的に欠けている。

羽田と成田をWinWinにしたいなら、最低限、地方-羽田の空の運賃、羽田-成田の地上の運賃の合計が、地方-仁川より安くなければならない。利便性で負けるのだから、コストくらい勝たなければ話にならない。

JAL救済+羽田HUB化+成田国際線存続=観光立国

ということには、絶対にならない。


ただし、羽田と成田を合わせても、需要を満たさないことは確かだ。というか、それで足りてしまうなら、観光立国にはなれない。将来、茨城空港などの活用は、必須のはずだ。
茨城空港の利活用に関する調査研究

首都圏に空港が複数あること自体は、決して悪ではない。そんな国は、いくらでもあって、成功している例も沢山ある。多少不便でも、安価に利用できれば、十分に需要は喚起される。

ところが、TVなど見ていると、「今」需要が無いなら、地方空港は無駄だと決め付ける、低レベルな情報番組が堂々と朝から放送されていて呆れる。物事を偏った側面からしか見ることができないキャスターたちは、見ていて痛々しい。安易に地方空港が無駄だと報道し、経営努力をせずに怠慢で撤退するJALに有利な情報ばかり流してはいけない。観光立国を目指す日本の「将来」に、本当に必要な空港の重要性を、伝えるべきだ。

この点は、実は前原大臣も分かってないのではないか。HUB AND SPOKE型の路線構築しか知らないのではないかと、最近感じる。HUB化しか選択肢が無いと、誰かに嘘を吹き込まれたのではないか?

LCCの手本といわれるアメリカのサウスウエスト航空は、POINT TO POINT型の航空網で、アメリカの地方空港間を結んで成功している。

日本は、空路などなくとも、鉄道などで東京へインフラが集まっている。だからこそ、鉄道と競合する空路が、存在意義が問われるのだ。対して、地方から地方へのアクセスは最悪で、空路の存在意義はそこにある。つまり、POINT TO POINT型だ。

羽田がHUBになるのは構わないが、POINT TO POINT型のLCCが必要だと、早く気付いた方が良い。地方空港と利用者のWinWinこそ、必須なのだ。


ちなみに蛇足だが、このブログで何度も取り上げてきたカボタージュ問題が、やっと議論に上がってきたのは、興味深い動きだ。

http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=42680

前回、「JALは潰れるべきだった」というのを書いたけれど、別の場所で、以下の件の補足を受けた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/273834

ここ10年ほどの改革が、本当にここ1・2ヶ月で、信じられないくらいに逆行した。
財務官僚は、本当にやりたい放題で、無能な麻生政権を自由にコントロールし、自分たちの、かつて失われた利権を、大幅に回復したわけだ。中川昭一のあのG8での失態も、彼らにとっては、さぞ好都合だったことだろう。

大・大蔵省の、王政復古の大号令とでも言おうか。

誰か、改革の逆行した例を、リストにして欲しい(苦笑)


それから前回、JALの件と、観光立国の件を補足なしに書いてしまったので、関連性を少し補足する。(他で質問が出たので)

日本というのは、この狭い国土に、空港だらけだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%A9%BA%E6%B8%AF

これは、かつての一県一空港政策なるトンデモ政策の結果で、国交省はもっと非難されても良い...「かんぽの宿」と同じようなものだ。赤字の地方空港は、地方財政の大きな負担になっている。この点、ダイレクトに地元が被害を被っている点で、「かんぽの宿」とは違うとも言える。被害が各都道府県に分散しているので、国会で問題になることはないのだろう。

作ったゼネコンだけは、さぞ潤ったことだろう。

地方空港は、作った以上は航空会社に運行してもらわなければならないので、韓国の航空会社等にお願いして、乗り入れてもらうのに出血大サービスが当たり前だ。何千万円も県が補助する条件だったり、向こうからも着陸料だの施設利用料全額免除を条件に提示されて、足元みられたりして、ほとんど丸呑み。まあ、お陰で、日本に来る外国人観光客のトップは、ダントツで韓国人ではある。増えるのは良いけど、他の国からも増えて欲しい。

先月も、富士山静岡空港が開港した。
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/flight/international/index.html
この国際線、JALもANAも存在しない。こうして地方空港に、韓国・中国の航空会社にお願いして、定期便飛ばしてもらっているわけだ。
(注:富士山静岡空港が、上記の大サービスをしているかは、知りませんよ)

JAL、ANAは、国内線を少し飛ばしているけれど、JALは不採算路線をどんどん廃止してきたので、ここも採算次第だろう。まあ、不思議なことに、JALが赤字で撤退した後に、他社が飛ばしてみたら、全然黒字になったという話もあるそうだ(苦笑)

この辺が、前回の、JALは潰れるべきだったという話につながる。

地方空港は、トンデモ政策のせいで無数に存在する。ところが、JALの高コスト体質では、なかなか地方空港間を黒字で飛べず、運賃は高いし、路線はどんどん廃止される。一県一空港なんてトンデモ政策の無計画性は非難されるべきだけど、これら無数の地方空港間をダイレクトに結ぶ便の需要は、本来はある。東京に住んでいると分からないが、地方にとっては、一々東京を経由せずに他の地方に行けるというのは、価値がある。

JALでも黒字になるところは良い。しかし、JALが撤退した路線に、需要が無いわけではないだろう。他社で黒字になるなら尚更だが、LCC並に安価であれば、JALでは不可能だった需要が喚起される。停滞している地方経済への経済効果を考えれば、これがどれだけ重要か、想像に容易い。

海外のLCCも、この多数の地方空港の活用に、大きな興味を持っている。
成田や関空は、空港使用料が高すぎ(関空は最近半額キャンペーンとか話が出てる?)、LCCには利用し辛い。対して地方空港は安く、しかも成田くらいの不便さを基準に考えれば、十分に実用的な立地だったりする。茨城空港とか。

LCCの乗り入れを認めるかどうかも、国交省の規制緩和で、やっとボチボチ認められてきたけれど、佐賀みたいに、LCCが興味を示したのに滑走路が短かったなんてのは、凄く勿体無い。
http://www.saga-chiji.jp/teian/goiken_new/entry.html?eid=1487

成功例はフランスにある。
http://mediasabor.jp/2007/08/lcc.html
フランスは、外国人観光客受入れ世界最大の観光立国で、LCCと地方空港の組み合わせの成功例でもある。良いところは真似するのが日本のお家芸なのだから、よくよく参考にすべきだろう。

日本人は、海外旅行で海外に金をばらまいてばかりで、海外からの観光客を増やすことの重要性を理解してなかった。
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=38273
観光客ってのは、短期間で大金を使って去っていく、有難い人々なのだw
こないだ、中国からの観光自由化で、高額所得者に限定したのも、その意味で正しい。
http://www.recordchina.co.jp/group/g33338.html


観光立国を目指した小泉政権は、地方の活性化の観点からも、正しかった。

しかし、LCCの躍進という航空業界の世界的な変化までは、小泉政権時代には織り込まれていなかったかもしれない。だが、時代の変化に合わせて、政策実現に向けて軌道修正するのは、後の政権の役目ではないか?

観光庁まで作ったのは、何のためさ!?


観光立国の実現には、JALの体質改善は重要だった。ところが、高コストで競争力もなく、地方空港間のインフラを堅持することもできないJALに、公的資金が投入されてしまった。単に潰れるべき会社を無駄に助けただけでなく、地方の活性化の妨げを、財務省と国交省がやってしまったことを、麻生政権は指を加えて見過ごしたことになる。

被害は、国民の潜在的・長期的・将来的利益だから、指摘されなければ気が付かない。
マスメディアは、近視眼的に短期の既存の利益の損失でないと、報道する能力が無いようで、非常に残念だ。


さて、JALの改善が見込めない現状で、今後の争点はカボタージュだろう。

地方空港は多数ある。
 ↓
しかしJALはどんどん赤字で撤退するし、高い。
 ↓
カボタージュのせいで、黒字で飛べる海外の航空会社が地方空港間を飛べない。
 ↓
地方空港運営の赤字拡大による地方財政の圧迫。

この、最悪の未来は、絶対に避けるべきだ。

カボタージュが必要なのは、国内の航空会社を守るためなので、それらが運行しないのなら、規制を部分的に緩和し、黒字で飛べる海外勢に飛んでもらうことが、国民のためってものだ。

しかし、JALに金を出してしまった国が、JALの競争相手を資する(=国民の利益に資する)ようなカボタージュの規制緩和をどの程度できるだろうか?

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200902/2009020200698
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20090202ke04.htm
-->
国土交通省が関西国際空港の発着便に限定して、海外の航空会社による国内路線の運航を認める方針を固めたことが2日、明らかになった。景気後退などで国内路線を中心とした路線の廃止や減便が相次ぐ関空を支援する狙いがある。
<--
このニュースの続報が気になる。

これは、地方分権の重要な論点として、同時に、観光立国政策の要として、霞ヶ関が私利私欲に走らないように、次の政権が重視すべきだ。間違っても、私利私欲を愛国心に置き換えて、「日本の空は日本人の手で」なんて島国根性な世論操作には、耳を貸してはいけない。もう、十分に日本の航空会社は、反省する時間を与えられてきたのだから。

-->追記
JALの話がホットなのか、このページのみアクセスが増えてますが、もっと新しい、補足記事もあるので、そちらも合わせてお読みいただけると幸いです。

7月26日
JALの件の補足
8月7日
焼け石に水なJALの経営再建方針
<--


以前、LCCの激安航空チケットの話題と共に、JALの西松社長のことなどを取り上げた。
http://maruko.to/2009/04/post-28.html

この時、「2010年10月の羽田拡張が、日本の航空行政のターニングポイントだろう。」と書いた。

ところが、先月末、とんでもないことが起き、日本の空は、お先真っ暗になった。
皆既日食どころじゃない。真っ暗だ。

官僚が利権を守るために、JALの経営難につけ込み、機能不全の麻生政権のどさくさに紛れて、最悪の支援策を決めた。

フォーサイト8月号「麻生政権の置き土産「官営日本航空」のデタラメ」
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/07/41.html
http://www.fsight.jp/article/5089

小泉改革で完全民営化が決まっていた日本政策投資銀行を、財務省が天下り先を守るために民営化を阻止した話が出ていた。JALの救済と、日本政策投資銀行法の改正の時期が近かったのは、偶然ではないというのだ。

http://news.livedoor.com/article/detail/4209799/
本来、↑こういう疑問が出るのが当たり前だけど、麻生政権で官僚支配国家に逆戻りしたから、こうなってしまった。なんだかんだ言って、小泉は偉大だった...

JALは、実は緊急支援が必要という程ではなかったけれど、日本政策投資銀行の民営化阻止したい財務省と、航空利権を確保したい国交省がタッグを組んで、直ぐにでもJALを国が支援する必要があるとふれ回り、情報操作成功ってわけだ。

はっきり言おう。

そもそもJALは、潰れた方が、日本のためだった。

仮にJALの経営難が事実だったとしても、国が助ける必要なんて、一切なかったはずだ。自力で再生できないほど最悪な体質なら、むしろ無くなった方が、国民の利益になった。

その理由は、冒頭にリンクした、LCCを取り上げたかつてのブログを読み返してもらえば、理解できるだろう。世界はLCCの時代だ。それに、JALが無くなっても、経営がマシなANAが残れば、十分ではないか。西松社長は、残念ながら失敗したのだ。

ANAは、三菱のMRJを発注し、ローンチカスタマーになってくれた。経産省が推進する、YS-11以来の国産旅客機だ。だけどJALは、発注しなかった。仮に国策として、どちらかの会社に日本の空を委ねるとしたって、間違いなくANAだろ。

国産旅客機を発注もせず、放漫経営で赤字になった民間会社なんて、助ける価値がどこにある?

しかも、そんなダメ会社が、親方日の丸になってしまった以上、もうJALの経営が効率化されることもあるまい。

これは、エルピーダの件と全く同じだ。
http://diamond.jp/series/yamazaki/10086/

この国は、官僚天国の、高コスト・非効率・サービス最低会社を税金で支える国民無視の時代に、逆戻りしようとしている。ここは一体、どこの共産主義国家だ?
麻生政権てのは、一体どれだけマヌケだったのさ?

財務官僚は、民主党政権が成立する前にと、無能な麻生政権の間に駆け込みで悪行の限りをつくそうと、ここ何年もの改革を一機に逆行させたわけだ。協力した国交省共々、最低にずる賢い連中だ。


空路の公正な価格競争がもたらされない結果、日本の国内旅行は高額なままで、海外の航空会社使って海外旅行した方が安いなんて状況が、どうして許されるんだ?

国内旅行が高額な結果、当然日本人も海外ばかり行って、金を落としてくる。

どんなトンデモ経済政策だよ?!


ポップカルチャー外交、地方空港のLCCへの解放、LCCとの公正な価格競争による安価な国内空路の確保は、観光立国政策の観点から、全てリンクしなければならない。最近では、国営マンガ喫茶と揶揄されたアレの件、加えて、いつになっても不安定な政権のせいで実現しない、カジノ合法化の件も、お台場ではなく、ちゃんと立地を考えれば、全て観光資源につながる。

魅力的な文化の海外への売り込みと、その文化を生み出すアニメ産業等の健全な育成はセットだし、一箇所に集中しない豊富な観光資源の構築と、それらを結ぶ国内の安価な交通インフラの整備もセットで、初めて、海外からのリピーターを増やそうという観光立国政策の目標に近づく。

縦割り利権行政では、永遠に解決できないよ!

なんか最近、経済産業省だけは、孤軍奮闘している気がするけど...


とりあえず個人的には、JALのマイレージは解約することにする。無意味な抵抗だけど(涙)
ま、どのみち日本の航空会社のマイレージサービスは最低なので、JALにはほとんど貯めてないけど(苦笑)

そして今後、可能な限り、JALには乗らないように、心がけようと思う。

写真素材のピクスタ

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