前回に続き、ラスベガス旅行の話。今回はその経由地、ポートランドについて。
イーツアーを使って、デルタ航空の安いチケットの空席状況とにらめっこしながら、出発の一ヶ月前にギリギリ押さえられたのが、成田(NRT)からポートランド(PDX)経由でラスベガス(LAS)へ行くものだった。(本当は、羽田から深夜0:30とかに出発して前日の日付で現地に到着する便にしたかったのだけど。)
ポートランドといえば、自分にとっては鬼門。また引っかからなきゃいいけどと思いつつ、今回は別の問題があった。
NRTからPDX到着は朝9:11で、PDXからLASへの出発が16:50であり、7時間以上も時間があったのだ。これを空港内で待つのは、流石に勿体無い。簡単にポートランドを観光できないかな?
ということで、トランスファーの時間を有効活用するために、ポートランドの情報収集を始めた。
■なんだ、魅力的な街じゃないか...
正直、ラスベガスへの経由地くらいの認識しかなかったポートランド。でも、調べるうちに魅力が理解できてきた。
http://www.travelportland.com/lang/japanese/
コーヒーとビールが美味しくて自転車で観光するのが楽しそうな...いいね!
http://portland.junglecity.com/enjoy/index.htm
なんか、住んでみたい街だな。こんなことなら、7時間といわず、一泊くらいしても良かったかも...と思っても後の祭り。格安航空券はチケットの変更はきかないし、同行者の目的はあくまでラスベガスなので、貴重な時間をどう有効活用して観光するか考えてみた。
初めての街を短時間で効率的に楽しむとなると、自由に散策するよりも、ツアーに参加するのが良い。そこで、travel PORTLANDの観光ツアーのページで紹介されているツアー情報を参考に、参加可能なツアーを絞り込んだ。
個人的には自転車ツアーとか行きたいけれど、同行者は高齢なので無理。
同行者のことを考えると日本語ツアーが良いのだろうけど...
そもそも、この手のツアーはホテル宿泊者を前提に組まれているものばかりで、空港から参加するには時間が読めなかったりで情報不足。だけど、一々問い合わせしてる暇もないな...
オレゴンの自然を満喫するようなツアーも良いけど、どうせラスベガスからグランドサークル行くから、自然を楽しむのはそっちで十分だしな...
コーヒーツアーとかいいよね。
http://www.thirdwavecoffeetours.com/tours-jp.html
でも、ポートランドに9:11到着予定で、10時からのツアーというのは無謀だ。
順調に到着して順調に入国できたとしても、まず間に合わない。
http://www.forktownfoodtoursportland.com/#!our-tours-japanese/c1kpp
こんなのも魅力的だけど、曜日が合わないし...
とかウダウダ考えていたのだけど、最終的にPortland SpiritのDowntown Lunch Cruiseに決めた。
http://www.portlandspirit.com/portlandspirit.php#lunch
11:30から乗船開始の、12:00から14:00までのランチクルーズで、ポートランドの中心部を流れるウィラメット川(コロンビア川の支流)から街を紹介してくれる。到着や入国で多少遅れても、12時には間に合うだろう。日本語ツアーではないけれど、どうせランチは食べなければならないのであり、限られた時間で食事と観光ができれば一石二鳥だ。
結果的に、これで大正解だった。
■荷物の問題
そこで心配になったのが、ポートランド観光中に荷物をどうするかだ。
自分の荷物は大したことないが、同行者の荷物は多そうだ。とても、荷物を全て持って観光するわけにはいかない。
アメリカからの帰国の場合は、アメリカ国内を経由しても、途中の空港で受託手荷物を返却されることなく日本の空港まで運んでくれるが、日本から行く場合は、最終目的地ではなく、アメリカで最初に入国する空港で、受託手荷物を一度引き取らなければならない。つまり、帰りはLASで預けた荷物はPDXで返却されることなくNRTまで届くが、行きにNRTで預けた荷物は、PDXで一度受け取らなければならない。そして、PDXで再度荷物をチェックインしなければならない。
通常なら、乗り換え客には専用の荷物再チェックインカウンターがあり、受託手荷物を受け取ってもすぐに預けられて、身軽になれる。しかし今回は、次の便まで7時間以上あるのが心配だった。乗り継ぎ便はアラスカ航空であり、アラスカ航空は通常7時間も前に荷物を預からない。
そこで、デルタのカスタマーサポート用のTwitter公式アカウントに質問してみた。
すると、営業時間になってから、予約の詳細を確認するのでダイレクトメッセージで予約確認番号とか送ってほしいとの返事があり、それを伝えると迅速に返事がきた。
以下、ダイレクトメッセージでのやり取りはこんな感じだった。
デルタサポート
「PDXで預け荷物を一度受け取っていただき、乗り継ぎカウンターにて再チェックインが必要です。乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。PDXの市内観光をご希望の旨を空港職員へお伝え下さい。」
自分
「乗り継ぎカウンターでアラスカ航空の職員に市内観光希望を伝えれば、7時間前でも荷物をチェックインできるだろうということですね。ちなみに、アラスカは荷物1個から有料ですが、デルタで無料で預けた荷物は、別料金を取られることはないですよね?」
デルタサポート
「この度ご購入いただいている航空券は国際線とアメリカ国内線を1つの旅程として発券している航空券なのでアメリカへ到着する弊社の荷物規定が適用されます。また、今回はお乗り換えカウンターでの再チャックインとなりますので7時間前でも対応しております。」
自分の質問は、空港職員とアラスカ航空職員を混同しているが、最終的には、デルタのこれらの回答がほぼ正しかった。(「乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。」というのを除いて。)
しかし出発当日、成田のチェックインカウンターのデルタ職員が異なる説明をしたせいで、非常に混乱した。
自分
「今、NRTでチェックインしたのですが、PDX乗り換えが7時間あるからアラスカの搭乗券は発券できないと言われ、PDXでアラスカに搭乗券を発券される6時間前まで荷物も預けられないと言われてしまいました。困りましたが仕方ないですね。ご報告まで。」
デルタサポート
「ご報告いただきましてありがとうございます。こちらにて情報が誤っており申し訳ございません。チェックインやお荷物のお預けにつきましては、ポートランドにて再度ご確認いただきますようお願い申し上げます。ラスベガスへの旅、お楽しみ下さい。」
この時点で、既にランチクルーズは予約済みなので、今更荷物を預けられないとか言われても困るのだが、サポートから違う説明を受けていると言っても、成田のデルタ職員の返事はそっけなく、ポートランドで荷物をどこかに預ければ良いと言われてしまった。(結果的に、この職員の説明は間違っていたので助かったが。)
しかも、トランスファー時間で市内観光なんて、到着が遅れる可能性もあるのに、予約するのが悪いと言わんばかりの態度。(そんなの分かってるよ。)というか、何かイラッとすることを言われたが、忘れた(苦笑)
大体、日本のようにそこら中にコインロッカーがあるわけもなく、ポートランドのどこで預かってもらえるのか知ってて言ってるのか聞きたかったが、何か不毛な感じがしたので諦めた。ここでゴネても仕方ない。
事前に以下を見ていたので、
http://portland.junglecity.com/enjoy/basicinfo/airport.htm
「荷物預かり所(storage)」があること自体は分かっていたが、料金とかよく分からないので、利用することにならないことを祈っていた。
サポートからの「ポートランドにて再度ご確認いただきますようお願い申し上げます」という返事には、成田の職員が間違ってるのではないかというニュアンスが読み取れたが、実際にPDXに到着してみたらこうなった。
自分
「PDX、結果的に直ぐに荷物の再チェックインできました。荷物がベルトコンベアで運ばれた後に搭乗券を求められ、まだ発券されてない旨理解されると係員は困った顔してましたが、何も言われませんでした。先に確認されていたらどうなったのか、分かりません(^^;」
デルタ
「PDXでお荷物を直ぐ再チェックインが出来ましたとの事、何よりでございます。市内観光はお楽しみいただけましたでしょうか。ラスベガスの滞在も満喫くださいませ。」
ということで、無事に市内観光を満喫できた。
ちなみに、デルタのサポートとは、もう一つ別の質問もしていた。
自分
「NRTでe搭乗券を使った場合、PDXでアラスカ航空に乗り換えるのに、スマホのe搭乗券はそのまま使えますか?また、帰国の際、LASからPDXへのアラスカ航空について、Fly Deltaを使ってチェックインしてe搭乗券を使うということはできますか?」
デルタ
「スマホのE搭乗券でのご搭乗は、現在の所、弊社便のみでご利用可能と認識しております。恐れ入りますが、ご帰国時もアラスカ航空ご利用区間があります為、スマホのE搭乗券はご利用いただけないかと存じます。ご不便をお掛けし大変申し訳ございません。」
事前にこれを読んでいたので、
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/075/75095/
e搭乗券を使ってみたかったが、他社便が絡む今回は使えなかった。
■ポートランド国際空港の親切な職員さん
ポートランドで受託手荷物を再度預けた際、言われるままに階段を上がったら、すぐにセキュリティのいるゲートがあって、機内でもらったペットボトルの水とか、その場で捨てろと言われた。
「あ、このまま進むとセキュリティチェックポイントで、乗り継ぎ便のゲートまで行ってしまう」と分かったので、荷物を再チェックインしたカウンターで、市内観光希望を伝えなければならなかったのだと気付いた。
先のデルタサポートのツイートでは、
「乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。PDXの市内観光をご希望の旨を空港職員へお伝え下さい。」
と言われていたので、待機場所らしき場所に行ってから伝えるのだと思っていたのだけれど、荷物の再チェックインカウンター周辺にそんな場所はなく、市内に出るのにセキュリティチェックポイントを通る必要はないはずなので、乗り継ぎ便のゲート付近の待機場所まで行くのは間違いだと思った。
そこで、セキュリティの職員に市内観光したい旨を理解してもらうと、ならここを通る必要はないという感じで、言ってることはよく分からないけど((^^;)下に行けという感じだったので、荷物を預けたカウンターに戻って市内観光に出たい旨を伝えた。
すると、外に出る場合の注意事項について説明を受け(たような気がする(自爆))、構わないと応えると、偶然そこに居合わせた初老の職員に何やら説明し、彼について行けと指示された。
で、その職員について行くと、シャトルバスが待っており、どこを通ったか分からないが、国内線のBaggage Claim (lower level)エリアに到着。もう、そのまま外に出られる場所だ。
途中、乗り継ぎに何時間あるのかとか、どこに行くのかとか会話していたのだけど、受託手荷物以外にも同行者がちょっと大きな手荷物(機内持ち込みしていた荷物)を持っていることに気付いて、荷物一つ$10で安いから、市内観光するなら預けた方が良いと、荷物預かり所にも案内してくれて、受け付けに事情を説明してくれた。
写真の左側の場所で預けたわけだけど、正直、自分だけなら、ここが預かり所とは気付かなかったかもしれない。国内線のBaggage Claim (lower level)エリアのかなり奥まった場所にあり、しかもパソコンに向かってる兄ちゃんが一人いるだけで、カウンターもないただの事務所だった。でもお陰で、本当に身軽に街に出られた。
ここで荷物を預けるのに時間がかかっている間に、案内してくれた職員さんは他所に行ってしまったのだけど、市内に出るためのマックス・ライトレールのレッドラインの乗り場を探している時に、エスカレーターを昇って行くさっきの職員さんを見つけた。で、思わず軽い気持ちで「レッドラインはあっちですよね?」と確認のために声をかけたら、その職員さんはエスカレーターで遠ざかりながら詳しく説明しようとし始め、無理だと悟ると、他に利用者のいないそのエスカレーターをまさかの逆走!もうビックリ!!
かなり上まで昇っていたエスカレーターから、コーヒー片手にドッカンドッカンと駆け下りてきた(^^;;;;
見てるこっちがハラハラ。あわわわわ!!危ないですよぉ!!!
という感じ。
声かけてしまって申し訳ありませんm(_ _)m
そこまで親切にしてくれるとは、思ってもみませんでした。
エスカレーターを逆走してにこやかに駆けつけると、もう本当に親切に、レッドラインの券売機の前まで連れて行ってくれて、丁寧に教えてくれた。
高齢者を二人連れているせいもあったかもしれないけれど、アメリカ到着早々に不慣れなポートランドで受けた衝撃的な親切に、一同感激してしまった。
で、別れ際に母がチップを渡そうとしてしまい、職員さんがいやいや要らないよとジェスチャーし、自分もこの親切にチップを渡すのは失礼だと思って母を止めた。
爽やかに去っていく初老の職員さんの後姿は眩しかった。
■交通
空港から市内へは、マックス・ライトレールのレッドラインが安く便利だった。
http://trimet.org/fares/index.htm
大人の場合、2時間券が$2.50、一日券が$5.00。
65歳以上のシニアだと、Honored Citizenというチケットになり、2時間券が$1.00、一日券が$2.00。
つまり、70代2名を連れて3人でポートランドでかかった交通費は、全部でたった$9.00だった。
まあ、アメリカの公共交通機関の運賃の安さというのは、他の都市でも驚かされるけれど、ポートランドのこのチケットは、他にバスや路面電車(ストリートカー)も乗れるそうで、安いだけではなく、その利便性の高さにも驚かされた。
ポートランドは自転車専用レーンが整備されていたり、自転車に優しい街なのだけど、これが車内の自転車置き場。自転車で乗車してくる人は、垂直に自転車を立てて、写真上部の黄色いパイプの下にちょこっと出ているフックに前輪を引っ掛ける。大きな荷物や乳母車のスペースも兼ねている。
たったこれだけで、自転車が他の乗客の邪魔になることなく、スムーズに乗り降りできていた。
日本なら、折りたたんで輪行袋に詰めるのが自転車持ちこみの条件だったりすることが多いので、自転車も特殊だし、持ち込むのも面倒だったりして、一般的ではないと思うのだけど、ポートランドのこの方式は自転車そのままを何も準備なしに迷惑なく持ち込め、誰もが気軽に利用できるというのが、多くの利用者を見ていて分かった。
以下の様子も、利便性が理解しやすい。
これは、ランチクルーズ船乗り場の近くのマックス・ライトレールの駅。歩道とプラットホームがシームレスで、車内で運賃を払うわけでもないのに改札もない。何もないけど、乗客は自動券売機で切符を買う前提なわけだ。恐らく、キセルがばれた場合の罰金が高いのだろうけど、日本との設計思想の違いが面白い。不正利用者の排除より、正しい利用者の利便性を優先すると、こんなに街に馴染んだ鉄道が生まれるということだろうか。こんなだから、乗ってきた自転車で簡単に乗車できるわけだ。
駅前で駐輪してる自転車まで、街に馴染んでた(^^;
■ランチクルーズ
目的のクルーズについて調べた際、ランチを食べないクルーズのみの客も一緒で、時々そういうチケットをアメリカのグルーポンで売ったりしているようだと分かった。クルーズのみの客は、乗せすぎて座る場所もない時があるようで、混んだクルーズに乗った客から低い評価を受けていた。しかし、その不満は、ランチの客が優先されていることへの不満だったので、逆にランチクルーズは安心して予約できた。まあ、$40という料金もリーズナブルだと思ったので。
そして当日、定刻通り9時過ぎに到着したポートランド国際空港から乗船の桟橋に到着したのは、乗船開始の11:30丁度だった。色々心配していたのに、順調過ぎて嬉しくなってしまった。(逆に帰国の際のポートランドは苦労するのだけど、その話はまた後日。)
桟橋では記念写真を撮られ(後で買いたい人だけ買うやつ)、乗船の際に苗字を確認されて予約席に案内されると、出航の12時を待たずにコーヒーやパン類は運ばれてきた。
オプションでワインや前菜を注文できるのだけど、飲まないし、どうせメインの量が多いと思って頼まなかった。
そして出航すると、注文を聞きに来ていたサーバーだった船員などが歌ったりし始め、そういやクルーズの説明に「live entertainment」と書かれていたのを思い出した。結構埋まっているランチの客席は、和やかに盛り上がっていた。
メインの料理が運ばれてきたのは12:30頃だったけれど、それまではショーだの景色だの眺めていたらあっという間だった。
メインの選択肢は4種類で、ベジタリアン向け、チキン、ビーフ、ティラピアとあったので、自分はティラピアを頼んでみたが、まあ普通に美味しかった。
ゆっくりと食事を終えた後も、しばらくその席から外の景色を眺めていたのだけど、いつの間にか他のランチ客はかなり席を立って移動していた。それで、食後は上のフロアや甲板に自由に移動し、もっと景色を楽しんだ方が良いと気付いた。
しかも、ランチのフロアでは聞こえなかった観光案内のアナウンスが、甲板に出たら響いていた。
甲板はそれほど広くなかったけれど、強い日差しも気持ちよく、結局最後まで甲板にいた。
こうしてクルーズを堪能して14時過ぎに下船すると、何やら鳥の群れが。
人から逃げることもなく、通行人と鳥の群れが普通にすれ違う不思議な風景。
でも子供は天敵(^^;
最後まで、いい街だなぁ~という感じ。
またレッドラインに乗って空港に戻ったのが15時過ぎ。
預けていた荷物を受け取り、16:50のアラスカ航空の便に丁度良い時間で、焦って急いだりすることもなく、最終目的地ラスベガスへと旅立てた。
ということで、ポートランドで乗り換え時間を有効活用した市内観光は、声を大にしてオススメしたい。そのために便の時間を変更しても良いくらい。
もちろん、乗り継ぎに失敗しても知りませんが(笑)
帰国してからこんなの読んで、えらく納得。
http://tripplanner.jp/pickup/planner/eb5e85ee2fba30c914e8712c534d738a/
http://blog.compathy.net/2014/05/26/portland-craftsmanship/
http://blog.compathy.net/2014/05/27/portland-craftsmanship2/
http://www.cos-kyoto.com/soup/soup_vol_sp01.html
では次回、やっとラスベガス。