明けましておめでとうございます。
今年の画像は、年末にMSCベリッシマのクリスマスクルーズに乗船した際のものからです。洋上のジャグジー、暖かい屋内は人が多かったですが、寒い屋外はガラガラ。温水で入っている限りは快適ですが、一度入るとなかなか出られなくなりました(自爆)
モバイルプリンターを持ち込み、これを年賀状にせっせと印刷。寄港地の那覇から投函したのでした。
■クルーズ
一昨年の、クルーズ船や鉄道を駆使した地球一周旅行の後、旅行にホトホト疲れ、昨年は静かにしているつもりでした。が、後半になると徐々に安いクルーズ情報を検索するようになり、日本発着が安くなっているのを見つけてしまったのが運の尽き。一番安い、窓の無い内側キャビンで、2人利用時の1人分クルーズ代がUS$219、諸税がUS$180というのを見てしまいました。この客室を1人利用する場合、割り増しされたクルーズ代はUS$258(自分は会員割引があってUS$245.10)でした。つまり、横浜発着の9泊10日で、神戸、那覇、石垣、基隆(台湾)に寄港するクリスマスクルーズが、諸税込み6万5千円程で乗れてしまう。これは乗らねば...となりました。もちろん、毎日の食事やショーも込みなわけで、陸の旅では考えられない安さです。クリスマス当日のショーは、特に素晴らしかったです。
ちなみにこれは、アメリカ経由の予約の話ですが、同じクルーズを同時期に日本の旅行代理店経由で申し込むと、2~3倍以上の値段になります。20年前に自分が初めてクルーズ旅行をした時からそうですが、海外では高くないクルーズ旅行が沢山あるのに、日本ではクルーズ旅行=高額というイメージが定着しているため、同じクルーズでも高く売られる市場が出来上がっています。日本の値段しか知らなかった場合、今回の一人旅を同時期に日本の代理店経由で申し込むと諸税込み24万3千円でしたから、絶対に乗らなかったでしょう。
なお、正月明けのクルーズも安かったので、来週は母を連れての珍道中予定です。6泊7日の二人分で、諸税込みで8万円でお釣りが来ました。安いでしょ?
■仕事とか
昨年50歳になってしまいましたが、40代最後に韓国の仁川にあるカジノの求人に応募し、ディーリングの実技試験で大ミスをし、当然の結果として不採用となったのは落胆しました。それまで、韓国行く気満々で韓国語の勉強し始めたり準備していたのですが、自分でもガッカリなくらい自分のせい。意気消沈して(予定がガッツリ空いたので)箱根へ。箱根はいつも、オンボロ別荘で世捨て人モードがお決まりなのですが、仕事の予定が消えての滞在というのは初めて。そこで、箱根で面白い仕事無いかなと、職探ししてみました。
すると...ありました。
いわゆる、リゾートバイトと呼ばれるジャンルがあるのですが、観光地のホテル等の仕事で、寮費無料で住み込み、光熱費無料、場合によっては食事も無料で、時給もまあまあみたいな、そういう求人情報ばかり集めたサイトがいくつもあるのです。当然、人手不足が有名な箱根の求人もヒット。
ディーラーという仕事はサービス業なので、どうせならサービス業の範疇でやったことない職種をと思っていたところ、箱根のハイクラスなホテルのフロントやレストランの求人がワンサカ。その中に、寮として紹介されている建物に見覚えがあるホテルがありました。別荘からよく歩いて行っている、箱根園の「ザ・プリンス箱根芦ノ湖」でした。ザ・プリまでバイト募集してるのかと驚きましたが、50歳にしてプリンスに直接雇用されて、ホテルのビュッフェレストランでホールデビューと相成りました。
いつも、サービスを受ける側として行っていた場所に、サービスを提供する側として勤務するというのは、カジノ通いでミイラ取りがミイラになったディーラーとしては既視感が無くもありません。しかし、今まで全く興味が無かったジャンルのせいか、裏と表のギャップの激しさに驚かされる毎日。詳しくは書けませんが、もうお客として高いお金を払うことは無いかなと。
ここから、箱根の他のホテルはどうなのかと、新しい興味が湧きました。価値のあるサービスを提供していて、働いている人々もハッピーな職場があったら、そこにこそお客として泊まってみたい。そういうところはあるのかなと。
丁度この頃、箱根の多くのホテルが「タ〇ミー」という隙間バイトアプリを導入して求人していることを知りました。会員制高級リゾートホテル、老舗旅館、有名ホテルチェーン等々、箱根で高額なサービスを提供している現場に、日雇いバイト(どころか、数時間バイト)が日常化していたのです。そこで、自分もタイ〇ーを使って、箱根中のホテルの仕事を転々と経験してみることにしました。
驚きました。10以上のホテルを経験しましたが、表ではすました顔でサービスしていても、裏では怒号と罵声(「死ね!」とか)が飛び交う超ブラックな会員制高級リゾートホテルのレストラン等、想像を超える酷いところがあったのです。裏を知ってしまうと、もうお客としても全く行きたくない世界でした。(たまに、従業員同士が仲の良い宿で働けると、ホッとしました。)
特に残念だったのが、どこのホテルも多くの従業員は箱根に詳しくなくて、箱根が好きでも何でもないという人が少なくない点。休日は小田原や東京に遊びに行ってばかりで、自分のようのように箱根の自然を堪能している人には出会いませんでした。地方から働きに来ているだけで、箱根は何もないと思ってるような人が、沢山働いているのです。そういう人々は、箱根ローカルのイベントとも接点が無く、寮と職場を往復する毎日が、彼らの知る箱根の大半だったりします。物心ついた頃から箱根を知る自分としては、そんな人々が箱根に来る観光客と接していることに、心底ゾッとしました。(恐らく、他の観光地も同様なのでしょうね。)
海外の学生をインターンシップと称して安く働かせている有名ホテルもいくつかあり、台湾やインドネシアの大学生との出会いは意外なものでした。自分たちが他の日本人と比べてどれだけ安く働かされているか知らずにいて、何かのタイミングで知ってしまってショックを受けている学生もいました。同一労働同一賃金とか、夢のまた夢。インターンシップ学生は、日本人バイトより更に低賃金で、ろくな研修も受けずに現場に投入され、慣れるまで苦労していました。研修無しに、教わらなければ絶対に無理なシフトに投入され、トラブルの原因になってしまった学生とか見ましたが、彼らは本当に悪くない。
人手不足なのに低賃金で、人材教育にコストをかけない。短期間のバイトも集まらず、日雇いで毎日自転車操業。無理なことを繰り返すシワ寄せは、現場に重くのしかかる。あるホテルでは、何週間も休みが取れないとか、今日も帰れないとか、そういう嘆きの声を従業員から聞きましたが、持続可能性の無い、この国の縮図のようなものを見た思いでした。帰国する学生が、「もう二度とここには来ない」と言っていたのが、忘れられません。
なお、そうして出会った海外大学生とのつながりは今もあり、大事にしたいと思っています。
■はてさて
今年は、直近の年明けのクルーズの他に、またクイーン・エリザベスに乗りたいと思っています。横浜からアラスカ経由でバンクーバーへ渡る太平洋横断が、値下がりするのを待っています。が、母と叔母の旅をアテンドせねばならない様子。きっと、自分自身は楽しめない旅となるでしょう...シクシク。
クルーズ旅行のレビューは、以下の口コミサイトにまとめてますので、興味のある方はご覧ください。
https://cruisemans.com/@ranpou
安いクルーズについて等、質問を頂ければ可能な範囲でお答えしますよ。
]]>子供への声かけや公然わいせつ、詐欺や侵入窃盗から、強盗、殺人、不審者情報等、毎日起こっている様々な事案についての個別具体的な案内が届く。自分は2008年から登録しているが、最近多いのは「アポ電入電中」とか。
で先月末、15年利用してきて初めて「出入国管理及び難民認定法違反被疑者逃走事件の発生について(重要)」というメールが届いて、正直違和感を覚えた。衆議院での入管法改悪の議論が話題になっていた時期であり、タイムリー過ぎたからだ。
15年も利用していると、初めて見る事案というのはもう殆ど無いというレア度に加え、過去5400件以上受け取っているうち件名に「(重要)」が付いた事件は20件程度しか無いという意味でも超レア。それまで、緊縛強盗、殺人未遂容疑者の逃走、無差別傷害事件の犯人逃走中、不審者情報(包丁を所持した男が徘徊)等、被害拡大防止のため注意を促す必要がある事案で「(重要)」が使われているのだなと思っていたこともあり、全然そういう被害者が出る事案ではない入管法違反被疑者逃走に「(重要)」が使われたという点も異質だった。
「逃走中の者:アジア系外国人、身長175センチメートルくらい、黒色シャツ、中肉、黒髪長め、20歳くらいの男」「防犯のため、戸締りをしましょう。」という本文の記述もそうだ。過去、戸締りを促す内容が含まれていた具体的事案は、強盗や傷害事件くらいだ。そういう事案と全く傾向が異なるのであって、不必要に不安を煽る必要は無い。
なんというか、そこまで(忖度?)して、入管法改悪に賛成する世論作りに必死なのかと、姑息だなと思ってしまった。が、あんまバズってないので、ご愁傷様というところ(苦笑)
「【呼びかけ】8bitNews+堀潤のYouTubeチャンネルではメンバーのみなさんを募集中です!想いを込めて9分間お話しました!」
メンバー増えて欲しい。
けど、「市民と一緒に発信する双方向のメディア」と言われても、8bitNewsを今まで知らなかった人にはちょっと補足が必要かなと思った。
10年位前のことから知らないと、お金払ってメンバー登録しようという気にならないのではないかと。(メンバー登録した後に見られる動画では、ちょっと説明されているのだけどw)
■そもそも
NHK入った経緯とか知らない人は、まずは上の動画にちょっと驚くかもしれない。けれど、そういう人なんで、10年前に堀潤がNHKを辞めた時は、結構な話題になったのだ。
「NHK堀潤アナ「脱原発」で退職 上司と「最後の談判」つぶやいていた」
J-CASTニュース:2013年03月21日
https://www.j-cast.com/2013/03/21170563.html?p=all
当時このブログでも取り上げた。
「NHKのジレンマが退職してしまった件」
http://maruko.to/2013/03/post-140.html
ブログの中のリンクは色々と切れているけれど、今もう一度見たらやっぱり面白かった以下の動画はオススメ。まだNHK在籍中の2012年4月、とあるシンポジウムにて、1:26:40あたりからの爆弾発言。
●2011年夏に一度辞表を出していて、慰留され、留学することになった。
●アメリカからパブリックアクセスやSNSのノウハウを持ち帰れば、電波解放やる根拠が生まれる。
●NHKにパブリックアクセスを導入させるのに3年で勝負をかける。できなかったら辞める。
●ダメだったら別の方法でNHKを動かせばいい。
ところが1年後、留学先で原発事故を追ったドキュメンタリー映画を作り、上映しようとしたらNHKに中止を指示される。復帰後にアサインされた番組は、何故か「きょうの料理」だった...というのが、上記J-CASTニュースの話。
3年を待たずに、勝負が見えてしまった訳だ。辞めたの納得でしょ。
■応援したくなる
東日本大震災後、NHK職員としては正直で踏み込み過ぎとも見えるツイートは、当たり前だけれど話題になった。ここでフォロワーが増えたことが、堀潤の背中を後押しした部分もあっただろう。しかし、政治家からはTwitterをやめさせろと圧力がかかり、上司ともめる。当時坂本龍一に心配されたという話も、納得できる。
「追悼・坂本龍一。NHKを辞めた堀潤に託した「大切な言葉」」
Forbes JAPAN:2023年4月10日
https://forbesjapan.com/articles/detail/62313
「負けるな、声をあげよう、諦めるなといった、勇ましい言葉は一つもなかった。ただただ、僕の心と身体を想い「いつでもSOSを出すんだよ、隣にいるから」という優しい言葉が並んでいました。」
これは、色々と頑張った人間でないと、他人にかけられない言葉だ。絶妙なタイミングで、なんと適切な言葉を必要としている人にかけたものだと、坂本龍一に感心してしまう。スゲー。
(対照的に、翌年2012年の上の動画のシンポジウム会場で、堀潤に何年後に電波を解放するのか目標を答えさせた客席の人、ギリギリ頑張ってる人間をよくも追い込みやがって...と思う(苦笑))
そして2013年にNHKを辞めると、フリーになった堀潤を支援しなきゃ的な動きがあり、ブロマガが立ち上がる。この時、ドワンゴに電話してブロマガ開設を手配したのは宇野常寛で、「僕の役割は、堀さんがちゃんと生活して取材もできるようにすることだ」と言ったとか。なんという人徳。
自分も当時早速、これに登録した(遠い目)
https://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar177214
この時の堀潤は、何も仕事が決まっておらず、ニコ生で生活費を稼ぐというところからのスタートだったわけだ。
NHKを辞めた経緯が原発絡みということもあり、使ってくれるメディアなんて無いのだろうと思っていたけれど、約半年後にはTOKYO MXでまさかのレギュラー番組MCに抜擢。更にその半年後には「モーニングCROSS」が始まり、現在の「モーニングFLAG」へとつながる。あっという間に同局の朝の顔となった。(流石「再生工場」MX(笑))
しかも、番組はTwitterとか活用しまくっていて、パブリックアクセス的な堀潤の過去の発言を知っている視聴者からすれば、それが単なる流行りを取り入れただけではないということがよく分かった。
その後の八面六臂の活躍は、本当に敬服する。
もうブロマガ会員で支援しなくても大丈夫と思った頃、自分はブロマガ解約してしまったのだが(^^;;
■さて8bitNewsとは
https://8bitnews.org/?page_id=320
「誰もが一次情報発信者になれる時代。既存のマスメディアによって濾過された情報とは対局にある発信がそこにある。8bitNewsは ニュースルームに革命を起こす。「パブリックアクセス」の実現を掲げ「市民の発信力強化」に貢献する。電波を解放し、だれもが自由にマスメディアを使って 発信できる権利をこの国に根付かせる。」
パブリックアクセスが良く分からない人は、wiki読んで。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9
日本では、一部のケーブルテレビやコミュニティFMで実現している部分もあるけれど、他国と違って法整備されていないことが問題の一つ。だから、NHKではパブリックアクセスが実現していない。堀潤がNHK時代に言っていた電波の解放というのは、NHK内部からパブリックアクセスを実現するという話だったけれど、今はそれを外部から実現するために8bitNewsがある。
他国では、市民がパブリックアクセス出来る能力を学ぶためのアクセスセンターがあったりもするけれど、日本にはそれが無いので、
「一方で市民が発信力を高めるために、演習の場を提供する。取材力、撮影技術、編集能力、制作力、そして発信力。 8bitNewsのグループがこれらを身につけた市民の育成を支援する。」
というのも8bitNewsの使命になっている。
パブリックアクセスの必要性自体が分からない人は、昔書いた以下の投稿をご参照下さい。
http://maruko.to/2013/04/post-141.html
民間の運営会社の不透明な判断基準でいつアカウントを凍結されるか分からない、Twitterでつぶやくのと一緒ではないです。
特に大事なのは、有事の時。
堀潤には、東日本大震災当時の、公共放送としての役割りを果たさなかったNHKへの苦い思いが、今もきっとある。
チャンネルのメンバー登録しても良いけど、胡散臭いなぁ~という人。
東京都で公開されているNPO法人としての情報はこちら。定款、役員名簿、事業報告書も読める。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/list/ledger/0010080.html
正式名称は「特定非営利活動法人8bitNews」
定款第3条に記された目的は以下。
「この法人は、居住地域を特定しない人々(以下市民)に対して、各個人が取材する映像および記事を自ら情報を発信する仕組みを提供し、市民が社会により積極的に関わることができる環境整備を促進させる事業を行い、市民が情報を自由に発信し、かつその情報を取捨選択することができる社会の実現に寄与することを目的とする。」
あと、出来た当時の紹介記事があった。
朝日新聞デジタル:2012年8月10日
「NHK・堀潤アナウンサーが参加 新たな市民ジャーナリズム「8ビット」」
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY201208070168.html
当時と今では変わっている部分もあるだろうけど、これをNHK在職中に立ち上げたということ自体、驚くべきことだ。
■10年経って
先月末、10年前にブログで書いたことを当時Facebookに投稿していたのが、「思い出」としてリマインドされ、堀潤NHK辞めて10年と気付いた。
もう、MX以降の堀潤しか知らない人も多いだろうから、上に書いた経緯のようなことを改めて書いておきたかった。
坂本龍一とか色んな方が亡くなって途方に暮れたくなるのは分かるけど、そういう堀潤自身だって、きっと誰かの希望に違いない。
今後も応援し続けたいので、ご自愛下さい。不摂生で健康害したりしたら、勝手連はきっと許さんです...とか言ってみるテスト(死語)
ということで、早速YouTubeチャンネルのメンバー登録したので、今後も「したたかに、しなやかに。」を是非是非。
]]>
サン・テグジュペリ生誕100年の記念事業の一環として、1999年6月29日に開園。当時世界で唯一の、「星の王子さま」とサン・テグジュペリをテーマにしたミュージアムだった。観光地の単なる客寄せ施設に終わらず、「星の王子さま」の背景を深く理解する上で必要な、サン・テグジュペリの生い立ちからその最後までの、人生への理解を深めることが出来る、とてもよくできたミュージアムだった。
昨年10月、コロナ禍による来園者減少や建物の老朽化を理由に閉園が発表されて以降、連日多くのファンがやってきて賑わっていたとのことだけれど、残念ながら覆ることはなかった。自分も、ここが箱根で一番好きな観光施設だったので、最終日含め3月に2度行き、その世界を堪能し、記憶に刻んだ。膨大な数の貴重な展示資料が、今後どう処分されてしまうのか、非常に気になるところ。
■「星の王子さま」新訳ブーム
ところで、行く前に読み直そうと、青空文庫で検索した。最初、「星の王子さま」で見つからず、「サン・テグジュペリ」で探したら「あのときの王子くん」というのだけあった。知らなかったので、関連作品かと思ってしまったけれど、正に同じ「Le Petit Prince」の新訳だった。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001265/files/46817_24670.html
サン・テグジュペリ作品は、国によっては著作権が残ってるけれど、日本では敗戦による戦時加算を考慮しても2005年には権利失効しているので、誰が新訳で出版しても良いし、サン・テグジュペリ自筆のあのイラストも使える。(商標権の問題はあるけれど)
権利失効した当時は新訳ラッシュがあって、十冊以上の新訳が出版されたとか。正に、パブリックドメイン万歳というか、著作権が切れることで文化の発展が促された好例になっている。「あのときの王子くん」も、こうして生まれた新訳の一つだった。
■「星の王子さま」って合ってるの?
何故、「星の王子さま」ではなく「あのときの王子くん」なのか。その理由が「青空文庫版『あのときの王子くん』あとがき」に詳細に書かれていて、翻訳した大久保ゆうさんの本気さに感銘を受けてしまった。「この作品がファンタジーであるとは思いませんし、また『星の王子さま』という題名を冠されるような作品であるとは考えていません。」というのだ。
言われてみると確かに、物語に出てくる例え等が生々しくて、ファンタジーとは違うように思えて来た。例えば以下。
「そのときは、わかんなかった! ことばよりも、してくれたことを、見なくちゃいけなかった。あの子は、いいにおいをさせて、ぼくをはれやかにしてくれた。ぼくはぜったいに、にげちゃいけなかった! へたなけいさんのうらにも、やさしさがあったのに。あの花は、あまのじゃくなだけなんだ! でもぼくはわかすぎたから、あいすることってなんなのか、わかんなかった。」
自分の星(郷里)のバラの花(女性)との別れについて、こんなことを言う小さな王子って...精神年齢おいくつ?
それに、たまたまどこかの星(B612)から来たけれど、星から来たことが重要という感じは無いので、「星」は特筆すべきポイントではないかもしれないとも思う。
「王子」にしても、あくまで語り手である「ぼく」の主観からみた「小さな王子」であって、他の登場人物は、この子供を王子扱いしていない。王様には、家来扱いされている。客観的には、単に星々を旅する子供。「さま」付けすることに違和感があると言われると、確かに...と。
では何故、原題に無いのに、わざわざ「星の」と邦題が付けられたのか。これまで考えたことも無かったが、要は、最初に翻訳した内藤氏のオリジナリティ溢れる二次創作だったということなのだろう。権利失効後の新訳ブームの時、内藤氏のご子息が、「せっかく新訳されるのですから、新しいタイトルを工夫してほしい。「新しき葡萄酒は新しき革袋へ」です。」と、各出版社に「星の王子さま」というタイトルを使わないでほしいと主張されたとか。それを知ってしまうと、もう安易に「星の王子さま」と呼べない。
しかし、この邦題が余りにも定着しているせいで、機械翻訳ですら「Le Petit Prince」が「星の王子さま」と翻訳されてしまう。作品から離れて、純粋に言語として「Le Petit Prince」が正しく翻訳されないのは、ちょっと問題な気もする。(世界中で翻訳されているうち、「星の」的な題名で出版されている国は無いのではないか。英語圏では「The Little Prince」、中国では「小王子」。独特の題名なのは、ペルーの「kamachikuq Inkacha」で、意味は「インカの司令官」?...なんじゃそりゃ。)
■小さな王子のニュアンス
そもそも最初は、しつこくうるさいガキんちょなのだ。「小さな王子」は、中国で一人っ子家庭で育ったわがままな子供を「小皇帝」と呼ぶのと、似たニュアンスかもしれない。少なくとも、童話的なキラキラ「王子さま」ではない。それが、会話を続けるうちに「ぼく」との間に絆が生まれ、かけがえのない友となる。その経緯を考慮すれば、「王子くん」は納得できる。
更に、死にそうだった自分を救い上げてくれた、6年前のあのかけがえのない出会いの話だから、定冠詞「Le」を無視すべきじゃなくて、「小さな王子」では足りず、「あのときの王子くん」とした大久保訳に納得する。この呼び名、もっと広まれば良いのにと思う。
■蛇足
児童書の体裁を意識しつつも、サン・テグジュペリは、当時ドイツ占領下のフランスで苦労していたユダヤ系の友人を励ますために、このガキんちょとの6年前の不思議な出会いを捧げた。子供のように自由な想像力を忘れて欲しくない大人に向けて。
目に見えることが全てではなく、肝心なことは目に見えないということが物語の重要なポイントであることからすれば、王子くんが子供の姿だからというだけで、子供と決めつけるのも間違いだろう。
砂漠に墜落する描写は、かなり比喩がある。大人社会で孤立し、孤独で心(エンジン)が壊れた「ぼく」が、サハラ砂漠のような誰の助けも得られない場所で、一人で立ち直らなければならないと言ってるようにも読める。その、「ぼく」の心の中の葛藤と、そこからの生還の物語が、目に見えないように描かれているとするなら、王子は「ぼく」自身でもある。
「星の王子さま」と呼ぶのは、そういう解釈を妨げる気もして、モヤモヤしてしまうのだった。
ま、自由に読めば良いので、「星の王子さま」と呼び続けたい人は全然構わないけど。
■ミュージアム公式Twitterで紹介されていた3Dデータ
展示ホール
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-IHHn93a23e
園内
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=SS-tIQYvzaLf8
エントランス
https://l-prince.4dkankan.jp/smg/?m=SS-7Ue3p6Ywd5
チケット売り場
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-7XPs9391ab
ショップ
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-gyYg939446
レストラン
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-esOB939cfb
カフェ
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-pu0c9396ec
サン=テグジュペリ教会
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-4uWZ939987
■その他ミュージアム写真
どんなサービスか知らない人は、以下をどうぞ。
https://www.lifehacker.jp/article/110227paperli/
自分は2011年から利用してきて、2015年からはProにアップグレードしていた。
自分の選んだTwitterアカウントやサイトから毎日自動で話題を集めて自分だけの新聞を作り、効率的に自分好みの情報収集をしてきた。RSSも登録できたから、気になるブログとか更新されるとピックアップされる。最初の頃は、引用されたツイ主にいちいち連絡が行ったりして、嫌がる人もいたかもしれないけれど、便利なサービスだった。
キュレーションメディアのような、誰かにニュースを与えてもらうのではなく、自分が選んだ複数ソースから網羅的にチョイスさせるという、少しでも能動的な情報の取り方が出来るのが好きだった。ニュースサイトでは話題になっていない、バズってもいないような出来事も、Twitterに張り付かずともフォロー出来た。
自分の「デイリーなんちゃら」で残っているうち、一番古い紙面は2014/10/01のようだ。
https://paper.li/ranpou/1318937022?edition_id=60b25b90-48f0-11e4-beb5-0025907212f5#/art_entertainment
最初の頃は、収集された記事を精査し、自分の好みでない記事を外したり、ちゃんと編集していた。けれど、別に読者がいるわけでもないだろうから、時間をかけるのが馬鹿らしくなり、いつからか自動収集された記事のまま放置するようになった。要は、興味のある記事を読めれば良いのだ。
去年の地球一周中、忙しくてニュースをチェックしなくなり、帰国してもペースが戻らず、ここ半年ほどは閲覧頻度が減っていた。
最近どうやら、Twtterの仕様変更の影響もあったようで、Paper.liにツイートをピックアップできなくなったりもしていた。もう、そのままサービス終了となる。明らかに、Twitter API有料化の影響だろ。イーロンめ...タヒね。
明けましておめでとうございます。
昨年はついに、ローマで新型コロナ陽性となりました。85日かけて地球を一回りする珍道中の途中で、母が熱を出したのでローマの薬局で1個3.9ユーロの抗原検査キットを買って試したら、親子そろって陽性。色々大変でしたが、幸いイタリアの自己隔離はちょっと不思議で、隔離中もスーパー等へ買い物に行けるので助かりました。短時間で買い物を済ませなければならないのですが、外出して食料を買うことが可能だったお陰で、親子そろっての隔離期間中でも食べ物に困りませんでした。プライベートスペースにシャワーや洗濯機、冷蔵庫もそろった、広いバルコニーのある部屋で民泊していたので、部屋に閉じこもる必要もなく、バルコニーでゆったりと食事を取り、洗濯物を干す毎日でした。宿のオーナーに伝えたところ、共用部分のキッチン等の使用は禁止と言われましたが、それ以外は特に制限なく滞在出来ました。重症化せずに済んだのは、ワクチン接種済み(当時自分は3回、高齢な母は4回)だったお陰と思っています。
この旅で興味深かったのは、様々な国のコロナ対策の違いです。例えば、スイスは屋内でも誰もマスクしていない国で、列車内など公共交通機関でもノーマスクだったのですが、陸続きのイタリアへ列車で国境を超えると、バスも列車もFFP2の高性能マスク着用が義務。母が座席でドリンクを飲むのにマスクを外したまま着用を忘れていたら、車掌に怒られてしまいました。(シンガポールでも、屋外でマスク外していたまま地下鉄駅に入って改札を通ろうとしてしまった際、駅の係員にマスク着用するようちゃんと止められました。)他のお客は皆、当然にマスク着用が徹底されていました。スイスとイタリアはシェンゲン協定加盟国ですから、国境超えると言っても何もないわけですが、ルールがガラリと変わり、それがちゃんと守られている。
また、クイーン・エリザベスで2週間かけて大西洋横断した時は、船の屋内でのマスク着用義務と、屋外デッキでのノーマスクへの切り替えを、乗客がしっかり意識して行動していたのが印象的でした。日本人客は我々二人だけで、つい日本の癖で屋外でもマスクを外し忘れていても、他が誰もマスクしていないので、徐々に自然と外すようになりました。クイーン・エリザベスは、そもそもドレスコードの厳しい船で、同じ船内でも時間帯や場所によってフォーマルやカジュアルの指定がはっきり決められており、乗客もそれを守ってオシャレを楽しみます。マスクもドレスコードの一種と言えなくもなく、決められた場所で着用するという行動は、乗客にとっても違和感の無いルールだったのだろうと思います。一度、母がマスクを忘れて自分のキャビンを出てしまった時は、クルーにマスク着用を指摘されても持っていなかったため、FFP2の高性能マスクを無料で渡されました。
対して、エーゲ海クルーズで乗船したノルウェージャン・ジェイドという船は、クイーン・エリザベスとは違い、船内でのマスク着用義務が守られていませんでした。この船会社は、フリースタイルを売りにしており、ドレスコードが殆ど無いのですが、同様にマスクも自由な感じになってしまっていたわけです。マスクを着用するよう言われたのは乗船時のチェックインでクルーズターミナルに到着した時だけ。以後は、船内でマスクしていなくても全く何も言われないのです。マスク着用を義務とする案内板はありましたが、それを守って船内でマスクをしている乗客は、ほぼゼロでした。
では、ノルウェージャン・ジェイドは、クイーン・エリザベスより危険だったのかというと、これが全く分からない。ビュッフェの入口では、消毒液を吹きかけて簡単に済ませるのではなく、石鹸でしっかり手洗いすることを求められました。乗客も、クルーの指示に従って手洗いに並ぶ。この光景は、消毒液を使うだけのクイーン・エリザベスには無かった。どちらの船のやり方が乗客として正解なのか、簡単には言えません。しかし、安心感という意味では、クイーン・エリザベスが正しいと思える違いが明確にありました。
クイーン・エリザベスでは、船内の陽性者率によって4段階に対応が決められていて、レベル4になると母港のサウザンプトンに帰港しなければならないと言われていました。アメリカのフォートローダーデールから私が乗船した時点で、既にレベル2だったそうで、途中でレベル3に上昇。バーカウンターでの対面サービスが停止され、セルフランドリーは使用禁止、シアターは1席空けての着席、ルームサービスは隔離者への対応に忙しいからと、極力使用せずにレストランへ行くようアナウンスがありました。いくつかのデッキに、客室への通路のドアが閉じられた区画が出来ていましたが、そこが陽性者の隔離客室の区画だと聞きました。つまり、マスク着用が徹底されていても、サービスを制限する程船内の新型コロナ陽性者率が上昇していたのがクイーン・エリザベスでした。対してノルウェージャン・ジェイドでは、そういったサービスの制限が全く無く、陽性者が出ているのかどうかすらも分からない。陽性者が全く出ないとは思えませんが、特にアナウンスが無いので、乗客としては分からない。この分からなさは、屋内で誰もマスクせずとも注意されない船内で、不安感を生みました。サービスが制限されたとは言え、決められたルールを徹底して守り、情報を共有するクイーン・エリザベスは、とても誠実に思え、安心できたのです。
逆に共通しているのは、乗船時にいくら陰性証明書を確認しても、乗ってから陽性になる乗客を防げるはずもなく、海外のクルーズ業界は、陽性者が出ることは当然に織り込み済みで運行しているという事実です。日本ではつい最近も、日本のクルーズ船が出航後に陽性者が数名出たというだけでニュースになっていましたが、そんな程度がまだニュースにされてしまうのは日本だけでしょう。
一番対策が厳しいなと思ったのは、アブダビでした。Alhosnという健康管理アプリをスマホにインストールし、ワクチン接種証明やPCR検査結果等の条件をクリアーしているとグリーンパスという画面が表示される仕組みがあり、商業施設等の入口でこれを警備スタッフに見せないと入れてもらえないのです。ところが、事前にスマホにインストールした際、SMSで認証が必要なのに、認証コードが届かないという不具合が。当時契約していたキャリアに問い合わせたりしましたが、特に障害は起きていないとのことで、何度も試しましたが諦めました。そこで予約したホテルに問い合わせると、Alhosn無くても空港でPCR検査受けて陰性証明取得すれば良いと言われ安心しました。(チェックイン時点で陰性結果が届いていなくても構わないが、レストランやプール等のエリアを利用する際には提示する必要があるとのことでした。)
ただ、一筋縄ではいきませんでした。空港で受けたPCR検査の結果は、Email不可で、SMSでのみ送ってくるとのことで、空港到着後直ぐに購入した現地SIMの電話番号で対応は出来たのですが、検査から3時間程で届いた結果のSMSにあった陰性証明書PDFへのリンクが、何度クリックしてもエラー表示に。深夜だったので翌朝まで待ちましたが回復せず、検査を行った業者のホームページを探し、問い合わせフォームからダメもとで問い合わせました。すると、意外にも2時間もかからずに担当者からメールが。本人確認にSMSのスクリーンショットやパスポート画像を送り、更に2時間後には無事PDFの陰性証明書を取得できました。(なんだかんだで半日は行動できず、夕方からの観光となってしまったのは残念でしたが。)
ショッピングモール等に入る際、毎回これを提示した訳ですが、その都度じっくりと記載内容を確認されるので、面倒ではあるのですが、こういったルールの運用が形式的にならずしっかり守られているというのは、とても好感が持てました。
どの国でも、屋外ではマスクをしないのが普通だったので、それに慣れて帰国したら、屋外でもマスク着用が多数派の日本が異質だと、やっと気付きました。更に日本だと、バスなら乗車口で運転手からマスク着用を求められることもありますが、地下鉄の駅等でマスクをしていなくても、止めたり注意する駅員を自分は見たこと無いなと。よく考えたら変だなと。
そもそも、成田の帰国時点で、入国審査より前に煩雑な導線で多数のスタッフとやり取りしなければならなかったのですが、これが異様な光景でした。ワクチン接種証明や健康管理アプリの確認のためだけの非正規雇用の外国人スタッフが多数いて(しかも、特定の国がやたらと多い印象で、私の対応をしたのも外国人でした。)、簡単なタスクがいくつもに細分化され割り振られ、それぞれの場所へ複雑な導線が組まれてグルグルと歩かされる。その為、一つ一つの通路は狭く仕切られ、他人との距離が近い。
本来少人数で対応可能なタスクを、何故か細かく切り分け複数名に担当させるのは、無駄に人件費を膨らませているように見える。そんな面倒なことをやっている国は、この旅で他に無かったので、強く違和感を覚えました。健康管理アプリをインストールしているか聞いて次の行き先の書かれた紙を渡す人、アプリの画面を見て説明しつつ冊子を渡す人、通路の途中で前のポイントで渡された紙を持ってるかチェックするだけの人等々...無駄な導線減らせば一人で対応できるのでは?という作業分担。
しかしそこで、ふと気づきました。非正規の多数のスタッフの様子が、私が前年経験した某国際大運動会の現場とそっくりだったのです。これは、どこかのイベント系の人材派遣会社が食い込んで、なるべく人月多くなるように仕事を作っているのではないか...そういえばあの大会も、何故かバングラディッシュ人が多数スタッフとして雇用されていて仲良くなったな。自分が今会話してる相手も、同じように見えるなと。
なんというか、途端に極東の島国っぽさ満載な歓迎を受けた感じで、帰ってきたんだなと、生暖かい気持ちになりました。まあ、10月下旬の話なので、今はどうなのか知りませんが。
ちなみに、この時のクルーズ乗船記は、以下に詳しく掲載しておりますので、ご興味のある方は是非。
https://cruisemans.com/@ranpou
https://www.cruisebrothers.jp/p/20238.html
では、本年もよろしくお願い致します。
]]>この記事に書かれていることはもっともだと思うのだけれど、同じ記事が転載されたYahooニュースのコメント欄を見ると、アホな論理で記事に否定的な意見が多く、例によって暗澹たる思いがする。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0fd3c6b891281bda5ebd8f8d6cb01d8e1621914
そこで、このまま日本政府が、「ウクライナ人は難民ではなくて避難民だ」と言い続けると、近い将来大変困る事態に直面するというお話を。
■その前に、まず難民の定義について
・出入国在留管理庁(法務省)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/nanmin.html
「難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し,それは,人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」
・UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)
https://www.unhcr.org/jp/what_is_refugee
「1951年の「難民の地位に関する条約」では、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた」人々と定義されています。
今日、「難民」とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指すようになっています。」
上記から分かるように、難民に関するUNHCRと日本政府との見解の差は、「武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々」を含めるか否かだ。
つまり、日本政府の見解では、侵略を受けた国の人々がいくら逃げてきても"難民"とは呼べないので、苦肉の策として"避難民"と呼んでいる。←イマココ
■侵略した側の国民は?
ウクライナ人を難民と呼ばずに避難民と呼ぶことを支持している人々は、それが日本政府の今までのスタンスと合致したもので、ここで難民と呼んでしまったら、整合性が取れないではないかと言う。
では、その整合性を保つ場合、ロシア人を難民と呼ぶことには、抵抗を感じないのだろうか。
何故なら、侵略した側の国民が、自国政府の侵略行為に異を唱え(政治的意見)、迫害を受け、日本に逃げて来たら、日本政府の狭い難民の定義でも、"難民"に合致するからだ。
ロシア国内で、プーチンや侵略を批判したロシア人が迫害されているということは、周知の事実だ。
もしここで日本政府が、侵略国の国民は難民と認めないような見解に至ったら、それこそ、整合性が取れなくなる。
ロシア人は難民と認め地位を保障するけれど、ウクライナ人は難民と認めず、難民より不安定な地位の避難民として扱う。それでOKと思っている人でなければ、現在の日本政府のスタンスを支持できないはずだ。
それってぶっちゃけ、倫理観がぶっ壊れてるのでは。
■整合性のある解釈とは:逆・裏・対偶
高校の数学を思い出してみよう。
命題「AならばB」に対し、対偶「BでないならAでない」は真である。
しかし、逆「BならばA」、裏「AでないならBでない」は、必ずしも真ではない(逆は必ずしも真ならず)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E5%81%B6_(%E8%AB%96%E7%90%86%E5%AD%A6)
これに
A「人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」
B「難民」
として、当てはめてみよう。
命題『「人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」なら「難民」』に対し、
『「人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」でないなら「難民」でない』という日本政府の見解は、「AでないならBでない」と言ってるわけで、裏が真であるという主張だ。
原則としての命題に、特段の事情を例外として含めることで、ウクライナ人を難民と認めることに論理的整合性を担保する方法はあっただろう。ところが、原則をつらぬいて例外を認めない結果、裏が真であるという論理の飛躍で、ウクライナ人を"避難民"にしてしまった。
(避難民として認めること自体が例外だという主張は、論点のすり替えなので論外。)
「武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々」をAに含めない結果、被侵略国の国民を侵略国の国民より劣後した扱いをせざるを得ないのなら、それは命題からして間違っているということだろう。
あ、背理法の方が良かったか...
■政府見解を修正しないということは
・侵略国の国民は難民に成り得る
・被侵略国の国民は難民に成り得ない
どんな侵略戦争においても、上記のような関係は常に生じ得るのであって、こんな矛盾が容易に生じ得る見解は、とても擁護できる代物ではない。自国政府の侵略行為を非難して迫害を受け他国へ逃れる人々も、侵略を受け国境を越え他国に庇護を求めた人々も、等しく難民としての地位を認めなければ、制度として整合性が取れないのは明らかだ。
このままでは、プーチンを批判してロシアに帰国したら迫害を受けるかもしれない在日ロシア人が難民申請した途端、直ぐに矛盾が露顕する。UNHCRが「武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々」を難民に含めるのは、とても当たり前のことだったと、今更ながらに思う。
日本人、ウクライナ人、ロシア人のいずれの立場で考えても、ロシア人だけが難民として認められる事態が生じた場合、それを当然とは思えないだろう。難民として認められたロシア人だって、きっとウクライナ人に申し訳ないと思うだろう。
わざわざ、無用な争いの種をまく必要は無い。
■もう一つ
ウクライナは、ロシアの侵略にとてもよく抵抗しているけれど、仮に最終的にロシアが勝利し、ウクライナにロシアの傀儡政権が樹立されたり、ロシアに編入されてしまった場合、避難民として受け入れていたウクライナ人は、決して、一時的な存在ではなくなる。しかし、その時になって避難民が難民申請したとしても、この国が難民と認定するかどうかは、過去の政策との整合性を考えると...分からないとしか言えない。帰国を促しかねない。
3/18の官房長官記者会見では、
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202203/18_a.html
9:40くらいからの、在留資格についての記者の質問への回答
「在留資格をどのようなものにするかについても、避難された方の状況に応じて、法務省において適切に対応するものと承知しております。」ということで、ゼロ回答。まあ予測困難。
今できないことが、直近の未来にできると思うに足りる根拠は、見当たらないなぁという感じ。
内閣官房のウクライナ避難民対策連絡調整会議は、議事録見当たらないし。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ukraine_hinanmin_taisaku/index.html
グラスノスチ!
]]>「自然が豊かで真っ青な海に三宅村で、仕事もプライベートも充実させてみませんか?」
魚拓
三宅村役場がオンラインカジノに協力するとは思えないので、調べてみた。
こちらが現在の三宅村の公式ホームページ
https://www.vill.miyake.tokyo.jp/
やっぱチゲー
でも
https://www.miyakemura.com/
これが完全にニセモノかと言うと、ちょっとヤヤコシイ。
2017-3-24
この頃まではホンモノだった。新着情報も更新されてる。
http://web.archive.org/web/20170324103954/www.miyakemura.com/
2017-5-25
抹消され、リニューアルされた現在のURLへ転送されるように。
http://web.archive.org/web/20170525214145/www.miyakemura.com/
2018-10-17
までは残っていたが、その後恐らくドメインが期限切れ。
2018-12-19
miyakemura.comはドロップキャッチされ、第三者の手に。
(三宅村に更新する気があったのかどうかは知らんけど。)
2019-1-12
この時点で、リダイレクトされるように。
http://web.archive.org/web/20190112222546/www.miyakemura.com/
どうやら、オンラインカジノ事業者に、ゲームのプログラムを提供する会社の模様。
2019-3-3
消えた。
http://web.archive.org/web/20190303000902/www.miyakemura.com/
2019-5-6
なんと、2017年に抹消されたはずの旧ホームページが復活ww
http://web.archive.org/web/20190506153809/www.miyakemura.com/
以後、時々404 Not Foundになったりしながらも、現在に至る。
サーバはイギリスにある様子。すげーな三宅村...じゃなくて。
この、謎に復活した三宅村旧ホームページに、最初に紹介した、オンラインカジノ業者と三宅村が提携したという記事や、三宅村にオフィスを作るというオンラインカジノ業者のライター募集の求人情報とかが、掲載されているわけ。
三宅村役場の人、知ってましたか?
そちらの旧ホームページ、丸ごとコピられた上に、旧ドメインで中身追加されて悪用されてませんか?
提携の記事の中身も吃驚。
「オンラインカジノ上ではこの三宅村を舞台にオンラインカジノのスロットゲームやブラックジャック などが組み込まれています。さらにオンライン宝くじやビンゴゲームもあり、買った場合には勝ち金として出金できることはもちろん、三宅村からの栄養満点な食材が選べる豪華なチョイスなども存在します。某有名ECサイトが行っているふるさと納税をオンラインカジノで行い、三宅村をモデルに使わせていただくかわりに、そのよう形で村に貢献をしたいと思いました。」
ふるさと納税をオンラインカジノで?
どこのECサイト??ww
求人情報の「どうしてIT企業のカジ旅が三宅村に注目をしたのか?」という段落に、「tabicasi casino mix(旅カジカジノミックス)は2020年に創立された日本人向けのオンラインカジノサイトです。」ってあるから、完全に本家が運用停止した後に追加された記事と分かる。
ちなみにジョイカジノ、既に運営終了とか。
こういうことやってる業者が、オンラインカジノは違法じゃないとか言うわけで、へそで茶が沸きますな!
■3/29追記
その後、三宅村役場に確認したところ、
「旧三宅村役場のHPについては、当村と提携等は一切なく無関係となります。既に警察等に連絡し相談はしておりますが、削除されないのが現状ではあります。」
とのご返答を頂いた。そりゃ、警察に相談しても削除されないだろうと思ったのだけど、これは明らかな著作権侵害でもあるので、Google先生に検索結果からの削除を申請すれば、第三者が偶然辿り着いてしまう機会をグッと減らせ、騙されて違法な業者を信じる被害者を発生させない一助になる旨申し上げた。
それに対し、「申請等行っていこうと思います」とのご返答を頂いたけれど、一カ月以上過ぎた今でも、まだ検索結果に出てくる。申請しても削除されなかったのか、まだ申請してないのかは、分かりません。
あけましておめでとうございます。
昨年はカジノ管理員会規則案へのパブコメのことしか書いてないですが、夏は反対していた運動会の仕事に入ってみて、報道されない裏側の杜撰なところを色々と自分の目で確かめたりしました。まあ、ネットに書いたら訴える、監視してると連日脅されたので、コワイので書きませんけど、酷くて吃驚しました(苦笑)
元々反対していても、終ったらやって良かったとか言う人がいるみたいですが、その現実から目をそむけられる能力、幸せな人だなぁと、ある意味羨ましく思います。
ちなみに、カジノ管理委員会へのパブコメの結果は、自分の意見が一つ認められ、ブラックジャックのディーリングのルールが修正されました。が、自分は二十数個の問題点を指摘していたわけで、そのうちの1つしか問題が解消されなかったというのは、本当に深刻な問題だと思ってます。
ただ、もっと問題なのは、将来カジノに関わる当事者たるディーラー界隈の人々が、この問題を全く認識していないということ。Twitterでつぶやいても、反応薄かったなぁ。
自分がどれだけヤバいルールのカジノで働くことになるのか、もう少し興味持った方が良いです。
カジノ管理委員会に関わりたいなぁ...
]]>この一カ月、暇を見ては赤ペン片手に計264頁ある案文に目を通していた。我ながらアナログ過ぎて泣けたけど、かつて司法試験の勉強してた頃を思い出し、この程度楽勝だろ?と自ら鼓舞。しかし、老眼と集中力不足...寄る年波には勝てず。結局最後の3日間で山奥に一人籠り、ギリ1分前にヒーヒー言いながら提出。夏休みの宿題を最初の週に終わらせてたような子供時代だったのが懐かしい...(遠い目)
Twitter見てると、カジノ界隈の人々があんまりパブコメのことを話題にしてなくて、こんなヤッベー内容なのに、みんな意見しないと後悔するよ?と思ってた。でも、この分量の条文とか普通の人が見たら、そりゃ諦めるか...とも。
言いたいことが山ほどあって、最後の何時間かで上限の6000文字に削るのに苦労した。本当は、カジノ文化舐めんな的な、意見書の体裁をちゃんと整えて訴えたかったのだけど、余りにも個々の規定に欠陥が多すぎて、箇条書きで問題点を指摘しただけで軽く6000文字をオーバーしてしまい、ただの添削文になってしまった。
こんなんで読んでもらえるのか心配。
ゲームの種類にしても、ハンドヘルドなブラックジャック入れて欲しいとか、クイックペイブラックジャックとかおもろいでーとか、こんな厳格にルール決めてカジノ事業者の裁量を奪ってる国無いよ的な苦言も呈したかったけど、全部諦めた。
下に提出したパブコメをコピペしたので、条文解釈とか間違いあったらご指摘頂けると幸い。主義主張の違いはご勘弁下さい。
案文別表第一の、第二の1というのは、ブラックジャックのルールなんかを規定しており、こんなんじゃお客と喧嘩になるよ的な、つっこみ処満載。時間と文字数の関係で、自分はブラックジャックしか詳細にチェックしてないけど、きっと他のゲームも悲惨なのではないかな。まあでも、自分が経験不足なだけで、どっかにこんなルールのカジノがあるのかな...
疲れたのでもう寝る。
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■案文本則
●第八条6項十号
施設土地権利者について申請者が廉潔性を証明するように見えるが、当該土地は誘致する自治体が選定しているはずであり、カジノ事業者にとって施設土地権利者を選ぶ自由は無い。区域整備計画審査の時点で検討されるべき施設土地権利者の欠格事由を、免許申請時にチェックするのは遅すぎる。少なくとも、区域整備計画の認定から免許審査までの間、融資契約や着工が進む中で段階的な事前審査をすべきである。最後の最後に問題が発覚した場合、取り返しがつかない。
●第十二条一号ヲ
入場料等納付後に入場禁止対象者と判明した場合の返金について規定すべき。
●第十二条一号ヲ(3)、(5)
チップ換金のためケージの行列に並んでいる間に、再賦課基準時(再々賦課基準時)に達するケースが想定される。遅滞なく退去するための行動を起こしている場合、再納付(再々納付)を免除すべきである。ここで入場料を徴収された当該納付者は、退去する理由を失い、追加の入場料が惜しいので、再びゲームに戻る恐れがある。入場料が、ギャンブル依存を増加させる原因となってしまう場面では、これを免除することに制度上の合理性がある。
●第十二条二号ロ(1)
ディーラー等への心付け禁止は、当該従業者に対してではなく、一度カジノ事業者に心付けを供与する形をとり、カジノ事業者がこれを従業者に公平に分配する場合は許されると解する意見がある。実際、心付けを集計し同じ時間帯に勤務するディーラー全員に公平に分配するカジノはあり、特定のディーラーが顧客と癒着する心配が無いので禁ずる必要が無い。本規定が、カジノ事業者を介した心付けまでは禁じていないという解釈は可能か、見解を示すべきである。
●第五十四条1項四号
入場禁止対象者を「直ちに」退去させるべきではない。当該入場禁止対象者が、カジノ行為区画に24時間以上滞在することにより入場等回数制限対象者に該当することとなった者である場合、所持するチップを換金する必要がある。猶予を与えるため「遅滞なく」退去させる規定を設けるべきである。チップ換金のためケージの行列に並んでいる間に入場等回数制限対象者に該当することとなる日時に達することも想定される。
●第五十六条1項
五号ロは、ブラックジャックにおけるカウント行為等を機器若しくは装置をもって行うことを防止する措置と解するが、五号トによれば、機器若しくは装置を使用せずに顧客自身が行うカウント行為も防止する措置を講じることとなるか。口頭の指示等で措置を講じた場合、従わない顧客に対し、三号ハ該当としてカジノ行為を行わせないこととなるか。また、「必要な措置」には、退場乃至入場禁止対象とする等まで含まれるか。
●第九十三条二号
「カジノ事業又はカジノ施設に関する広告又は勧誘に係る業務」に、カジノ事業者以外の事業者がカジノ行為関連景品類(法第二条13項二号)を提供する業務は該当するか。該当しない場合、1年未満かつ3億円未満の契約(第九十六条)であれば認可不要で、法第九十九条二号に該当しなければ事後届出も不要か。チップと交換可能な金銭その他の経済上の利益であるカジノ行為関連景品類を提供できるカジノ事業者以外の事業者とは、反社会的勢力にとって魅力的であり、背面調査等の対象たり得るか心配である。
●第百三条1項
チップ譲渡禁止の例外と言える関係の判別に苦労するだろう。同性の事実婚なども例外に該当する。自己申告を信じるしかないのか。
また、ブラックジャックのスプリット等の場面では、チップが足りない顧客にチップを融通する顧客がいる。勝てば借りたチップはその場で返却されたりする。譲渡と貸与の線引きが難しい。仲間で訪れ、チップの換金を一人に任せることもあろう。第百三条1項二号の措置をカジノ事業者に課す以上、限界事例を列挙し現実的な落としどころを示すべきである。カジノ事業者が義務違反を問われることを恐れ、曖昧なケースに過剰に同号の措置を講じる事態は避けるべきだ。
●第百三条2項
バウチャーもチップに含まれるため、紙であるバウチャーの持ち出しを阻止しなければならないが、第百三条2項各号の措置及び同条3項の努力義務は全く効果的ではない。空港のセキュリティよりも厳格な身体検査が必要だが、それは現実的ではない。
幸いバウチャーは30万円までである。この持ち出しを許しても、マネーロンダリング規制としては十分だ。
カジノの常識からすればチップの意義にバウチャーは含まないが、法第七十三条6項のせいでそう解釈するのは困難ではある。しかし、法第二条13項二号のカジノ行為関連景品類が金銭その他の経済上の利益であってチップと交換可能にも関わらず、カジノ事業者以外の事業者が提供できることから、カジノ行為区画外での存在が前提とされている。当該カジノ行為関連景品類は、クーポンのような形で提供されるのであれば実質的にバウチャーであり、制度として整合性が取れていない。ここはバランスを取り、バウチャーをチップと別に定義し、持ち出しを制限しない規則に改めるべきである。
24時間あれば、カジノ行為区画と外部を何度も行き来するだろうが、その都度バウチャーやチップと現金の交換を繰り返し、無駄に1営業日当たりの取引金額(別記表第三十一号様式4(1))が100万円を超えれば、それだけで「現金取引の届出」(第百十一条)の対象となってしまうのではないか。監視対象とすべきでない大量の顧客が、職業や勤務先情報を含めカジノ管理委員会に届出られるのは不適切である。また、悪意無くバウチャーや少額チップを持ち出そうとした顧客が退場時に自己申告(第百三条2項二号)したとして、ケージやバウチャー払戻機へ換金に向かう間に、当該顧客が入場料の再賦課基準時に達したり、入場等回数制限対象者に該当することとなる日時に達することが十分にあり得るのは、第十二条一号ヲ(3)、(5)及び第五十四条1項四号について上記したのと同様である。
●第百二十二条1項
顧客がディーラー等の氏名を容易に知りカジノ行為区画外で接触する危険を排除すべきという場合、但書によって、氏名等が記された証明書を見えない方法で携帯することが許されるという解釈でよろしいか、見解を伺いたい。
●その他
顧客のカジノ所得は、確定申告ベースでの課税となると思われるが、その際参考となる情報提供を、カジノ事業者に求める規則を設けるべきである。米国等のカジノ事業者の顧客向けサイトでは、5・6年前まで遡って勝ち負けの金額を本人が閲覧できるものもある。但し、不正確な情報も多く、これのみを確定申告の添付書類とするようなことまでは期待すべきでないが、自身の勝敗を容易に閲覧できる仕組みは、依存症対策にも役立つ。
■案文別表第一
●第一の2(準用含む)
ディーラー自身のリフルシャッフル等でスタックを初期化することも許すべきである。トランプシャッフラーのブラックボックスの中でシャッフルされるより、目の前でディーラーがシャッフルするテーブルを好んで選ぶ顧客もいる。カジノ事業者の裁量に任せるべきである。
●第二の1
・五のイ
アップカードは、裏面を上面として配布し、ノーホールカードルールなら主たる区画に2枚目を配布した後に表面へ、ホールカードルールならホールカード配布後に、アップカード表面を上面にひっくり返すことが一般的だと思われる。顧客は、自身の2枚を確認した後にアップカードが判明する方が盛り上がるし、ディーラーはアップカードを後からゆっくり表面にすることで顧客を楽しませることができる。単に表にするタイミングの違いだが、これがエンターテインメントの余地を生む。
・九ニ(1)の(二)
スプリットしない決定権者以外の顧客が、「当初の掛金が対応することとするものを選択する」とある。複数名いると意思確認とチップの移動が煩雑になるので、最初に配られたトランプを含む手札に固定されても良いのではないか。決定権者がリスプリットを繰り返した最後の手札にのみ、決定権者以外は賭けることが可能となるというのは、決定権者よりも自由度が高く思え疑問だ。今まで、選択している場面に出会ったことがない。
・十
顧客が全員バーストしている場合でも、ディーラーは一人でハード17やソフト18以上となるまでトランプを自身に配布し続けなければならないように読める。追加配布せず、ラウンドを終了する規定を明確に置くべきだ。
・十六イの(4)(準用含む)
ディーリングシューにトランプが無い場合、バカラの第一11のニでは「当該ラウンドにおけるカジノ行為の結果は発生しなかったものとする」のに、トゥエンティワンでは使用済みトランプを「初期化して当該ラウンドを継続」しなければならないのは不合理である。
・十六イの(7)
主たる区画に2枚のトラプが配布されなかった場合、「当該手札に対する賭けに係るカジノ行為」のみ「結果は発生しなかった」とするのは不適切である。他の顧客は、本来自分に来るはずではないトランプでラウンドを継続しなければならない。誤ってトランプが次の顧客の主たる区画に配布されることは多々あるが、その場合は本来配布されるべき主たる区画にトランプを移動することで責任者が顧客の同意を得て、全ての主たる区画でラウンドは通常通り継続されるべきである。
・十六イの(8)
規定に従わずに引かれたトランプが表向きとなっていても、最初の2枚等、それが予め表向きとされるトランプで、かつ、配布順序に選択肢が無く、本来配布されるべき主たる区画が定まっている場合、「既に使用されたトランプ」とせずに、バカラ(第一11一のハ)の「順番が特定できる場合は当該順番に従って使用」と同様にすべきである。顧客に対し、本来と異なるトランプを配布することとなる対応は、トラブルの元となる。
・十六イの(9)
「当該トランプが表向きにされた後」は「当該ラウンドにおけるカジノ行為の結果は発生しなかったものとする」のは、大変問題がある。ディーラーにブラックジャックが成立していないのに誤って2枚目を表向きにした場合は、イーブンマネーの選択をし損ねた顧客にブラックジャックの配当をすべきである。また、インシュランスのみ意思確認しイーブンマネーの意思確認を怠っていた場合でブラックジャックが成立していた場合、イーブンマネーに関係無い手札の顧客の結果は、正当なものである。
・十六イの(10)
インシュランス及びダブルダウンでは、掛金の「上限」(六のイ、九ニの(2))を定めているのであり、「少ない場合は当該定める額との差額」を追加で置かせるというのは、スプリット(九ニの(1))の場合のみであり、本規定は誤解を生む。
・十六イの(11)
顧客の選択が終わる前にディーラー手札が明らかになってしまった場合、選択を終えていないプレイヤー手札のみ、結果は発生しなかったものとするのは、必ずしも適当ではない。これによって、選択を終えていない顧客が本来ヒットしたであろうトランプがディーラーに渡り、バーストするはずだったディーラーが21になってしまうと、この結果を有効とされる顧客に納得させるのは困難である。
・十六イの(12)
ダブルダウンやヒットの意思表示をしている顧客をステイと勘違いし、次の顧客のヒットにトランプを配布してしまった場合、配布されなかった顧客の手札に対する賭けの結果を一律に発生しなかったものとするのは問題がある。1枚配布ミスをした時点で顧客に指摘される場面が最も多いであろうが、その1枚が、配布されなかった顧客にとって最適なトランプ(11でダブルダウン時の10等)で、誤って配布されてしまった隣の顧客にとっては最悪でバーストするトランプであった場合、いずれの顧客も結果に納得しない。本来の順序に配布し直すことが不合理でない限り、配布されなかったプレイヤー手札にトランプを移動し、本来の賭けの結果を発生させるべきである。
・十六ロの(6)
インシュランス及びダブルダウンでは、掛金の「上限」(六のイ、九ニの(2))を定めているのであり、「少ない額」という場合が当てはまらない。また、スプリット(九ニの(1))で「少ない額」を賭けていることに気付かずに勝った顧客に対し、本来の掛金との差額に係る勝金まで支払うというのは、適当ではない。少ない額と同額のみを勝金として支払うことが、最も倫理的である。掛金が不足するケースとは、顧客がそれ以上のチップを所持していないケースも多く、本来の掛金は現実的に支払えなかったのに、その差額の勝金を得られるというのは、道理に合わない。また、少ない額でも本来の勝金が得られるとなれば、顧客が意図的に不足する額を賭け、勝った場合のみ自己申告するという行動を誘発する。
・十七のロ
ディーラー操作式電子テーブルゲームにおいて、トランプの配布は、テーブルゲームと同様と解しているようだが、トランプの配布方法が異なるシステムの存在を考慮していない。ディーラー1人に対し、50~100人等多数の顧客が同時にブラックジャックに賭けられるディーラー操作式電子テーブルゲームでは、顧客の2枚目までは全顧客に共通で、3枚目以降はコミュニティカードとしてテーブル中ほどに配布する。顧客により、2枚でステイなら3枚目以降は関係無いが、ヒット等する顧客がいれば配られる。その同じ3枚目の意味は、人によってはスプリットだったりもする。ダブルダウンした人はそこで終わりでも、まだヒット等する人がいれば4枚目以降のコミュニティカードがテーブル中ほどに配布され続ける。
ディーラー操作式電子テーブルゲームシステムを導入する最大の利点は、少額しか賭けない顧客を多人数同時に、少ないディーラーで相手にすることが出来る点にあると思われるが、その場合のコミュニティカードの取り扱いに対応した規定に改めなければ、多人数向けのディーラー操作式電子テーブルゲームは導入出来ないこととなる。
なお、テーブルゲームのように少数の顧客を相手に、テーブルゲーム同様にトランプをディーラーが配布し、顧客が掛金を置いたりする部分のみを操作画面から行うディーラー操作式電子テーブルゲームも存在するが、ディーラーによる通常のテーブルゲームが存在するカジノにおいては、このタイプのシステムに需要はほぼ無いと思われる。よって、コミュニティカードを用いるディーラー操作式電子テーブルゲームシステムに適用できる規定を、新たに設けるべきである。
昨年は、横浜からバンクーバーへ太平洋横断片道クルーズをしようと、一昨年末から散々検討していたのですが、COVID-19のためにクルーズがキャンセルされてしまいました。途中でロシアを経由し、2週間でバンクーバーへ到着するこのクルーズ、プレミアム客船で当然に食事もショーも込みで、安い内側船室なら一人400ドル程度にまで値下がりします。ずっと値動きを追っていましたが、全て徒労に終わりました。
カジノツーリズムは諦め、仕事も無いので、ほぼ箱根に引き籠るようになりました。ヤフオクで安いプロジェクターを落札すると、延々とFallout76のオープンワールドを大画面で旅する毎日。その合間、たまに最寄りのスーパーまで食料補給で片道7・8km歩けば、鹿と猪に遭遇。感染症より猪が怖いという生活でした。
■オンラインとか映画祭とか
そういった中でも、様々なイベントがオンライン開催となったお陰で、通常なら参加が困難な映画祭やイベントにオンラインで参加出来たというのは、とても有難かった。アヌシー国際アニメーション映画祭も、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭も、そして何よりバーニングマンも、オンラインで堪能しました。特に、VRを活用するバーニングマンは凄かった。通常なら、現地に行かなければ参加できなかったし、そもそもバーニングマンなどチケット入手すら大変なわけで、COVID-19のお陰でローコストにこれらへ参加出来たというのは、リアルとはまた違った価値ある体験となりました。
対照的に残念だったのは、広島国際アニメーションフェスティバルです。
https://hiroanim.org/
なんと、その存在価値を理解できない広島市の方針転換で、昨年が最後の開催でした。他の映画祭のようなオンライン対応がほとんど出来ず、世界中から寄せられた作品を審査員がオンライン会議で検討し、受賞作品名等がホームページに公表されるだけでした。歴史も重みもある映画祭が、こんな終わり方になるとは、本当に残念でした。
(以前は理解があり、広島市長も舞台に上がって流暢な英語でながーい挨拶されてたのに感銘を受けたこともあったので、この方針転換は本当に驚きです。)
https://cgworld.jp/interview/202010-hranm18th.html
自分は学生の頃から行きはじめ、CG制作会社に入社してからは会社の部活動として、同僚と共に参加させてもらっていました。フレームインという、事前審査も何もなく持込上映させてもらえる枠があり、そこにまだプロ・アマの垣根もなかった頃、自社の仕事をVHSで持参し上映させてもらい、その場で批評を受けたり、叱られたり、全ては良い思い出です。行きの飛行機で、当時審査委員だった海外の著名なアニメーション作家と親しくなり、会場でその人の特集プログラムに参加し、自社のデモリールを手渡ししたことも。映画祭は色々行きますが、そんなことが容易に実現する権威ある映画祭、他に国内に無いですよ。
国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)公認で、アヌシー、オタワ、ザグレブと並ぶ世界4大アニメーションフェスティバルの1つだった訳ですが、それがどうやって成立してきたのか現在の広島市は理解していないのではないでしょうか。博報堂や中国新聞と組んで、名声を掠め取るような後続イベントを計画しているとか。米国アカデミー賞公認でもあり、広島のグランプリ作品はアカデミー賞ノミネート候補にもなっていたわけですが、ASIFAを足蹴にしてそんな真似は不可能。そういった意味で、価値のない後続の商業主義イベントを、さも歴史も権威もある以前の映画祭と関係があるかと世界に誤解させて作品を集めるような恥ずべき行為だけは、やめてもらいたいものです。
https://www.cartoonbrew.com/events/hiroshima-city-says-it-plans-to-hold-animation-festival-in-2022-asifa-protests-198499.html
ASIFAは、まだ広島市に再考を促そうとしています。
http://asifa.net/news/petition-to-save-hiroshima-festival
Change.orgで署名も集めています。
https://www.change.org/p/mayor-of-hiroshima-keep-the-hiroshima-international-animation-festival-going
一度決めたことは、どんなに間違いでも殆ど変更できないこの国ですから、それが恥ずべき行為でも、広島市が再考することは無いだろうとは思います。が、自分も一応署名しました。長年広島に通ってきたのに、もう広島に行く理由が無くなってしまったのは、非常に残念です。とうか、こんな不義理をやらかす広島市には、行きたくなくなってしまいました。
昨年は、GoToと併用できる各地方自治体の助成制度が色々とあり、それらを活用して旅しましたが、広島も大変安く旅行できる制度がありました。しかし、全く広島には興味が湧きませんでした。商業主義に踊らされる広島市の今後は、期待しないで生暖かく見守ります。
■その他GoToとか
世間では、GoToで豪華な宿をお得に、みたいなのばかりが話題でしたが、自分の場合は3泊で1万円くらいの格安ゲストハウスに使ったり、せいぜい1泊1万円程度のホテルでよく利用しました。じゃらん等の予約サイトでは、各地方自治体が助成する観光促進のための割引きクーポンが多数配布され、GoToとこれを併用するというのがお得でした。10,000円以上の宿泊費に対し5,000円助成される地域だと、GoToで3,500円引かれ、支払い1,500円に対して地域共通クーポンが2,000円もらえるというケースもザラ。こんなことに税金ばらまくなんて酷い国だと思いながら、活用しました(苦笑)
鹿児島県の屋久島や種子島、山梨県の富士吉田、静岡県は下田や熱海、東京だと伊豆大島等を長めに回りました。カジノの無い国内旅行は久々。種子島なんて、筑波宇宙センターに勤務していた頃だって行ってないのですが、南種子町の助成金が素晴らしく、初めて種子島宇宙センターも見学できました。屋久島は、感染症対策で山小屋(避難小屋)での宿泊はなるべく避けるようアナウンスがされてたので、テント持参で山中泊(ここにGoToは関係無いですが)。3泊4日かけて宮之浦岳等縦走しました。
様々な地域を回ると、感染症対策の温度差のようなものも実感でき、非常に興味深かったです。例えば箱根では、温泉にサウナが併設されていても、感染症対策を理由に使用中止が当たり前。これが、鹿児島の某砂風呂施設の温泉にあるサウナでは、入れる人数を減らしただけで、かなり密で使用させていて驚きました。狭いサウナ内は向かい合う席の配置で、流石に正面は空席にされてますが、ひな壇でその1段上がった位置は使用しており、そこのおじさんの荒い鼻息が丁度自分に当たってるんじゃねーかと気付いた時は、サウナなのに寒気が(苦笑)
また別のサウナでは、敷いてあるタオルがそのままなのに、そこに直に座らせるというのはどうかと思いました。誰かが座ったタオルの上にそのまま裸で座るとか、以前はそれほど気にしなかったと覆いますが、今となっては軽くホラーです。(サウナの温度でウィルス死ぬんだよと笑い話にする人もいましたが、もちろんそうとは限りません。)
マシな施設だと、一人一人入口で消毒したシートを持ってサウナに入り、座布団のように敷いて座り、出る時に持って出て消毒して返却とかさせていて、利用する側としても安心でした。(そういえば、以前ドイツのバーデンバーデンのスパに行った時は、サウナは自分用のシーツみたいのを敷いて座るのがマナーで、気付かずに直に座ったら、他のお客から静かに指摘されました。感染症対策云々じゃなくても、それがサウナの正解な気はしますね。)
その他、宿のチェックイン時の検温と身分証の確認とかは、もう本当にバラバラ。ちゃんとやっている施設が多いですが、感染症対策と称して無人チェックインを実施してますなんて宿もあり、宿泊中一度もスタッフに会わずにチェックアウトしたこともありました。そんなところは、検温やってないわけです。チェックイン時、書類に健康状態を自己申告で書いて、レセプションのポストに投函するだけ。そこに体温計があるわけでもなく、測りもせずに「37.5度以上はありません」とチェックするだけ。こんなの、いくらでも嘘ついて泊まれます。この宿は都内でしたが、年末に東京に久々に戻って実感したのは、東京は感染症対策杜撰なところ多いなということ。新宿のそれなりの商業施設でもエレベーターの人数制限をしておらず、人が沢山乗ってたりする光景、GoToで行った他所の県では見なかったので、ゾッとしました。ここに戻ってしまった以上、安易に他所の県には行けないと思いました。まあ、この年明け早々、某ワクチンの治験に参加予定で、しばらく待機せざるを得ないとうのもあります。初回健診で対象外と言われたら終わりですが、1年後まで通院予定が決まってたり、色々面倒ですし、プラセボだったりするかもしれません...が、どんな1年になるのやら。
ANEWについては、設立当初から自分も興味を持ってこのブログで取り上げていたけれど、いつになってもガイキングは完成せず、あの会社どうなってんの?と思ってきた。しかし、著者のように情報公開請求したり、関係者の発言や発表を時系列で追ってその矛盾を発見したりすることは無かった。ジャーナリストでもない著者が、このような不正義を長年追及してきたのは、ご自身が映画産業関係者であり、国の無策に苦々しい思いをさせられてきたからだろう。しかも、無策なだけじゃなく、クールジャパンと称して税金を私物化している連中がいる。許せないという気持ちに違いない。自分は以前CG制作会社で働き、映画制作を受注する現場側として興味を持ったのが最初なので、著者にはとても共感しながら読ませてもらった。
ただし、ANEWのような官製映画会社が作られた経緯について、本書で触れられていないことがある。著者はご存じ無いのかもしれない。本書巻末のANEW年表は、経産省が産業革新機構に対しANEW設立を打診した2010年前半から始まっているのだが、実はこの前がある。
■ANEW設立の前段階
2010年初頭、民主党政権下の経産省は、民間から誰もが自由に国策等を提案できるアイデアボックスというサイトを運営していた。ここで多くの支持を得た「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」という映画制作現場からの意見があり、自分はこれが、ANEWを正当化する民意として経産省に利用されたと、現在では理解している。
経済産業省アイディアボックス
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」
https://web.archive.org/web/20100523203033/http://201002.after-ideabox.net/ja/idea/00131/
この直後の2010年4月、「経済産業省は5日、産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業競争力部会に「文化産業大国戦略」案を提示した。」として、「映画などのコンテンツを海外で販売するのに不可欠な資金を提供する官民出資の「コンテンツ海外展開ファンド」を創設する。」と毎日新聞が記事にしていた。
アイデアボックスに意見を投じたご本人は、コンテンツ海外展開ファンドの創設を前進と評価されていたが、
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/04/blog-post.html
自分は意見が歪められたと感じていた。
「クール・ジャパンのマヌケ」
http://maruko.to/2010/04/post-83.html
それでも、2011年にANEWの設立がニュースとなった頃は、
「国策会社とクール・ジャパン」
http://maruko.to/2011/11/post-123.html
「ハリウッドのノウハウを学ぼうという姿勢」に変わったと感じ、「単なる資金提供目的のファンドとは全然違う。人材育成を明確に目的にしただけでも、大きな進歩。」と考えていた。
しかし、そもそも2009年の麻生政権下で、産業革新機構から資金調達して「コンテンツ海外展開ファンド」を創設するという話は、既にニュースになっていた。
「国産比率と法令遵守を条件に」
http://maruko.to/2009/05/post-31.html
2009年5月4日の時事通信の記事では、「国内の制作会社や作家からコンテンツの海外ライセンス(使用許諾)を取得するとともに、海外の制作会社に出資し、国際展開を後押しする。」と説明されており、正に、後のANEWそのものと言える。産業革新機構とコンテンツ海外展開ファンドを駆使した税金私物化の不正の概要は、自民党政権時代に出来上がっていたのだ。
■政権交代の影響
2009年当時の自分は、制作現場が潤わない新たな利権を生むだけの麻生政権の愚策に批判的だったのだが、政権交代と2010年のアイデアボックスを経て、多少はマシになったのではないかと、期待してしまっていた。民主党政権とは、はてブにオープンガバメント推進ブログを経産省が作っていた、そういう時代だった。
https://ideaboxfu.hatenadiary.org/entry/20100527/1274919221
けれど、野田政権の最後にANEWがガイキングについて発表したのを最後に、クールジャパンはブラックボックス化してしまう。
「民主党政権の残したクール・ジャパン」
http://maruko.to/2012/12/post-135.html
オープンガバメントな手法を駆使し、親しみすら感じていた経産省が、自民党への政権復帰と共に、遠い存在に戻ったという気がした。
著者は、様々な情報公開請求、不誠実な経産省の対応で苦労されるわけだが、これは単に経産省が悪いというより、それを許すようになった現政権に最大の問題があるのではないかと思う。公文書管理や情報公開への姿勢に問題があるというのは、経産省というよりも、現政権の顕著な特徴なのだから。現政権の不正のオンパレードの中に、本件は埋もれてしまったという気がする。
まあ、ガイキングにしてもいかなる契約も存在していなかったというのだから、民主党政権下で自分が「多少はマシになった」と当時思ったのも、ただの虚構だったのかもしれないが。
■当時における官製映画会社の必要性
第4章「官製映画会社構想のそもそもの過ち」には、「国による「ANEW設立の打診」には、産業政策上の「事実」に当てはまらない致命的な思い違いが、大きく分けて2つ存在します。1つは個人レベルで解決できる課題に焦点を当てていたこと、もう1つは「ビロー・ザ・ライン」へ支援が向いていなかったことです。」とある。自分は、後者には賛成で、アイデアボックスの議論の後に骨抜きにされたのが、正にこの部分だと感じている。しかし、前者については異論がある。
著者はここで、「リング」が契約に失敗し、ハリウッドリメイクから配当を得られなかった事例について、プロデューサーら個人の問題と捉えている。そして、「映画化権の交渉における契約法務に長けた弁護士やエージェントなどを利用するという、簡単な手段で解決できます。」と。リメイクを通じてハリウッドのノウハウを蓄積し還元するような官製映画会社は、前提とした必要性がそもそも無かったと。
しかし、映画化権のハリウッドとの交渉に長けた弁護士にアクセスすることは、この国で本当にそんな簡単なことだろうか。著者は、ANEWが支援したのが東映アニメーションや日本テレビという資金力のある大企業であったことから、そのような会社が国の支援がないとリスクをとることが難しいわけがないと論じている。しかし、その様な大企業のみを支援するのが、ANEW設立の前提だったわけでもないだろう。
第1章「株式会社ANEWと消えた22億円」では、「官製会社の民業圧迫行為」と題し、漫画「銃夢」がハリウッド映画化された「アリータ:バトル・エンジェル」の契約法務の事例を引き合いにしている。「銃夢」のように、日本の法律事務所が代理人としてハリウッドと交渉した事例があるではないかと。ANEWのような官製映画会社が無くとも民間で対応できるのに、対価を求めずに同様のサービスをANEWが提供することは、民業圧迫だったと。しかし、原作者のインタビュー記事を読むと、「アリータ:バトル・エンジェル」こそが契約法務に不備があったと疑われても仕方のない問題ケースだと思えてくる。
「銃夢」の作者・木城ゆきと氏にインタビュー、「アリータ:バトル・エンジェル」映画化の経緯から「銃夢」の奇想天外なストーリーの秘訣まで聞いてきました - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20190221-alita-battle-angel-yukito-kishiro-interview/
「当時集英社でも前例がまったくありませんでしたから。きちんとマネジメントをしてくれる代理人契約を電通さんと結んで、ちゃんとした体制でこっちも向かわないといけないという風になりました。」と原作者の木城氏が語っており、そもそも弁護士に直接アクセスしていないことが分かる。加えて、最も問題があると考えるべきなのは、次の部分だ。
「タフな交渉だったので2年ぐらいは色々ともめたんですが、最終的に2000年の暮れごろに僕が契約書にサインして、契約が成立しました。」
「2016年になってプロデューサーのジョン・ランドーが来日して、「『アリータ』を作ることになりました。監督はロバート・ロドリゲスが担当します」と。」
つまり、契約から16年もの間、「銃夢」の映画化は動かなかった。元々、他にも映画化を交渉していた競合プロデューサーが存在したような人気コンテンツで、2年も交渉して締結した契約が、そこから更に16年も塩漬けにされることが許されるような内容だったことになる。
本書では、「海外映画化権の契約では、製作を実現できないプロデューサーの元に映画化権が半永久的にとどまることで知的財産が活用できなくなるのを防ぐために、条項を取り決めることもできます。」として、「権利の復帰条項」(Reversion)が解説されている。にもかかわらず「アリータ」を引き合いに出されると、こういった条項が欠けていた事例に思え、むしろ民間にハリウッドとの契約法務のノウハウが無かったことの証拠に思えてくる。電通経由で、どこの法律事務所が関係したのかは知らないし、実際にどのような契約が締結されたのかは確認しようがないが、確認しようがない失敗のノウハウは、共有されることもない。
そんな状況で、国策として海外へコンテンツを売り込もうというなら、(その国策自体の是非は別にしても、)国がサポートするというのは、そんなにおかしなことだとは思わない。ただし、結果として何の役にも立たないANEWが作られ、投入された税金が雲散霧消したことは、まったく酷い話だと著者に同意する。
自分の経験で言うと、映像制作の現場に法的知識のある人間が必要という観点から、かつて弁護士を目指しロースクールに通った。エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークの理事などの弁護士から、直接学んだ。しかし、実務家(弁護士)が映像制作現場の状況を理解しているとは思えなかった。それから10年経ち、今なら状況が変わっているのだろうが。
■驚いた話
ANEWの件は長年興味のあった問題であり、著者のSNS等の情報発信をフォローしていた身なので、ほとんどの内容は想定内ではあった。しかし、第4章の「労働搾取を推奨する日本の代表」はぶったまげた。2012年の東京国際映画祭に併設されていたTIFFCOM(テレビ、映画の見本市)にて開催された「日本のインセンティブの未来を考える」というセミナーでのこと。「ジャパン・フィルムコミッションの副理事で、その後2019年10月まで理事長を務めた」人物が、海外の映画製作者に向け、「日本のロケ誘致のインセンティブとなる特典要素」として次のような発言をしていたという。
・外国と違い、日本で撮影を行う場合、日本のクルーは週末、深夜、長時間労働に対応が可能
・日本のクルーは残業代がかからない
・エキストラを無償で用意することができるところもある
著者は、このセミナー以前から、複数の映画産業関係者より、ジャパン・フィルムコミッションがロサンゼルス等海外でのプロモーション事業においても無償残業の提供を吹聴していると聞いていたそうで、それを自分の耳で確認することになり、怒りを覚えたという。この人物は現在、内閣府知的財産戦略本部が組織した映画産業振興のためのタスクフォースや、「ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議」のメンバーだそうだ。
ぶっちゃければ、確かにそういうこともあるかもしれないが、少なくともそれは悪しき慣行であり、ロケ誘致のインセンティブとして宣伝材料になるような要素ではない。海外の映画製作者が、違法な労働力の提供を魅力に感じると思っている点でアホだし、それを公の場で公言してしまう感覚も理解できない。本書で紹介されている、世界各国がどのようなインセンティブ政策でロケ地やプロダクションの誘致に成功しているかの事例と比較し、驚きを通り越して悲しくなった。
皮肉なことに、「ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議」が公開している2018年4月の中間取りまとめの報告書には、真逆の記述がある。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/location_renrakukaigi/pdf/h3004_houkoku.pdf
ロケ撮影を巡る現状認識等について、関係団体・企業の委員から、次のような指摘が出たというのだ。
「制作部のスタッフの多くはフリーだが、昨今人材そのものが減少。制作現場としてもコンプライアンス遵守や、働き方改革を意識していかないといけないが、一方で、その皺寄せがフリーのスタッフに行かないよう業界全体として考えていく必要がある。米国やフランスのようなユニオンのような仕組も含め、映像産業全体として、魅力的・理想的な体制を目指すべき。」
「ロケ現場におけるコンプライアンスの確立と強化が重要。日本の製作現場においてコンプライアンスが確立されれば、すなわちそれが海外作品誘致のアピールにもつながる。」
このコンプライアンスの重要性に関する今更の指摘は、同年3月の第3回会議において出たものだ。同会議には、2012年に労働搾取をインセンティブとして海外にアピールしていた件のジャパン・フィルムコミッション理事長も出席している。自らの過去の問題発言の重大性を自覚してくれたと期待するしかない。
■プロダクションインセンティブとか
著者は2017年、知的財産戦略本部へ「日本におけるプロダクションインセンティブ制度設置についての提言」を提出している。
https://hiromasudanet.wordpress.com/2017/02/19/production_incentive_for_japan/
この内容は、本書とも重なるのだが、この後に設置された「ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議」では、プロダクションインセンティブについての検討がされた。そして昨年、実証調査事業としての「外国映像作品ロケ誘致プロジェクト」を映像産業振興機構(VIPO)が運営事務局となり、支援対象の募集がされた。
https://www.vipo.or.jp/project/locationuchi/
採択案件2作品については、今年1月に公表された。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/location/20200110.html
この重大性について、期待する声も業界にはあるようだ。
https://cinefil.tokyo/_ct/17357929
しかし、これについても本書は、具体的根拠を示して厳しい指摘をしている。
ただ、自分が気になった点は別で、VIPOの示していた当該事業の事業期間は「受給資格通知日から2020年1月31日」とされ、事業終了報告書の提出期限も1月31日とされていたのに、「G.I.ジョー: 漆黒のスネークアイズ」の日本での撮影が終わったのは、2月に入ってからのようなのだ。
https://theriver.jp/snake-eyes-wrapped/
大丈夫か?
尚、今年の募集については、新型コロナの影響で受付開始時期が未定だが、事業期間は2021年2月1日までとされており、もう無理だろうと思わざるを得ない。
https://www.vipo.or.jp/project/location-project/
■蛇足
本書の扱うクールジャパン絡みの問題は範囲が広い上に、映画に関しては特に専門的であり、読み物として面白いわけではない。しかし、最近も新型コロナを大義名分として、何故かクールジャパンに巨額の予算が計上される事案も発生しており、これらの動向を継続的に検証するメディアの必要性が増しているように思う。本書のような問題意識は、もっと共有されるべきだと思う。しかし、こういう本がバカ売れするはずもなく、なんとも難しいですね。
明けましておめでとうございます。
もう、年に一度の更新となってしまいました。
今年は、360度写真から切り出した画角を年賀状に使ってみました。令和とか元旦の文字を岩の角度が伝わるように張り付けてみましたが、崖っぷち感が伝わらないなぁ。なんか中途半端で、今年の年賀状は納得いってないのですが、集中力が続かないお年頃でしょうか。
昨年は、旅の合間にアミューズメントカジノでディーラーやったりしてましたが、今年は早速年明け2日、ホテルニューオータニ東京のカジノイベントでディーラーやります。
でも、ディーラーで食べてく気は無いし、格安クルーズ旅行とかカジノツーリズムも続けたいし、働き方改革でも必要ですかね。
なお、クルーズ旅行については、以下のクルーズマンズに乗船レビューを書いてますので、興味ある方はご覧ください。
https://cruisemans.com/@ranpou
クルーズに興味がある方には、参考になる口コミサイトだと思います。
では、本年も更新するか分かりませんが、どうぞよろしくお願い致します。
]]>ということで、あけましておめでとうございます。
ブログは何とかしないとダメですね(苦笑)
昨年は、カジノスクールに通いはじめたのをきっかけに、久々にカジノ通いも復活しました。
最初は、マニラにできた日本資本のカジノ、オカダ・マニラを見てみたいというのがスタート。次は、仁川にできたセガサミー出資のカジノを見てみたいということで、パラダイス・シティへ。
夏は、当初スーパースター・ヴァーゴという船で、横浜から上海へ行って帰ってくるクルーズの予定でしたが、厄介な台風の影響で船会社からクルーズをキャンセルされてんやわんや。急きょ乗れたのが、香港から沖縄へやってくる中国人向けのクルーズで、ゲンティン・ドリームという最新鋭の15万トンの船。船上でのボルダリング、初めて体験しました。
その後、サイパンで仮オープンしてたカジノが、やっと工事が進んで新しい場所で営業開始したというのを知り、何十年ぶりかでサイパンへ。インペリアル・パシフィック・リゾートの宮殿のようなカジノでしたが、まだホテル部分は工事中。ホテルがオープンしたらまた行ってみたい感じでした。
そして、どうせなら、最近の済州島はどうなっているのかと調べてみたら、これまたリニューアルオープンしたカジノを発見。ラマダプラザのカジノが興味深かったので、情報不足でしたが色々回ってみるつもりで久々に済州島へ。最後、カジノからお土産もらってしまいました。
ここまでくると、アジアで行ったことのないカジノを体験してみたいという感じになり、セブ島へ。久々に場末感溢れるカジノに辟易。
この辺で、昨年は打ち止めの予定でしたが、カジノスクールの休みをついて、週末にまた仁川だのマニラだの行ってました。
マニラは、オカダ・マニラ以外にも巨大カジノが3つあり、近場では結構オススメです。
特にそのうちの一つ、リゾート・ワールド・マニラには、フリーベットブラックジャックという面白いテーブルがありました。なんと、9・10・11からのダブルダウンと、20からを除いたスプリットが無料というブラックジャック。高額ベットしてる時にスプリット、スプリット、ダブルとかチャンスが来ると、同時に大ピンチでもあるわけですが、それがノーリスクでできちゃうわけです。こんな素晴らしいルールのブラックジャック、他所のカジノで見たことがありません。ただし、ディーラーが22になっても、バーストではなく引き分け扱いというのが時々痛いのですが(苦笑)
そんな感じで、カジノ法案の行方を横目に、日本にできるはずの統合型リゾートの未来、そこで必要とされるコンテンツとはどんなものか等々、また考え始めました。
年末、古巣のVSLという、今はない会社の忘年会で、デジタル・ハリウッドの杉山校長とか懐かしい人々に会いましたが、思えばラスベガスに通いはじめたのも、デジタル・ハリウッドでSIGGRAPHついでにラスベガスに連れていかれたのがきっかけ。あの時、カジノリゾートとコンテンツの関係を初めて意識しました。
VSL時代の最後、それを引き継いだダイナモピクチャーズ時代と、会社の忘年会でプレゼント交換会をやってましたが、自分はいつも、ラスベガス旅行を誰かにプレゼントしてました。いつか仕事に役立つだろうと。
今年は、カジノスクールの友達とカジノへ行ってみたいです。
そろそろ、筑波宇宙センターでの知財の仕事は終わりにして、カジノとエンタメとコンテンツ分野に軌道修正したいところ。どんな年になるのやら...