http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2666395/4942097
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【11月21日 AFP】イエメンの首都サヌア(Sanaa)北東のアルハブ(Arhab)で日本人男性技術者(63)が地元部族民に拉致された事件で、解放交渉にあたっている部族関係者は21日、男性が20日深夜から21日未明にかけて、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員に身柄を拘束されたと語った。
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http://www.asahi.com/international/update/1122/TKY200911210395.html
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イエメンで日本人技師が地元部族民らに拉致・拘束された事件で、AFP通信は21日、部族関係者の話として、技師の身柄が国際テロ組織アルカイダ系武装組織の手に渡ったと報じた。イエメン当局者や在イエメン日本大使館は否定しており、真偽は不明だ。
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色々と情報が錯綜している。
そもそも、どうしてイエメンでアルカイダ(アル・カエダと表記した方が良いみたいだけど、アルカイダの方が日本じゃ浸透してるので、ここではアルカイダと表記する)が関係するのか、分からない人も少なくないだろう。
実際は異なる可能性もあるが、しかしながら、アルカイダに身柄を拘束されている可能性が、十分にありえる話であることは事実だ。
フォーサイト12月号が、タリバンやアルカイダ関連の記事が多く、かつそれぞれの記事が異なる視点からのもので、相変わらず面白かった(『次なる火薬庫「イエメン」の現在』、『アフガニスタンに移り始めた外国人テロリスト』、『タリバンとアル・カエダ "主敵"を見極められない米国』等)ので、その辺の浅知恵も交えて書いてみよう。
(今月のフォーサイトは、民主党関係や中国関係、JAL関係...どの記事も外れは無かったのだけど、実は『外交・安保を誤った白村江の戦い なぜ中大兄皇子は猪突したのか』がオススメ。外交は難しいw)
・なぜイエメンでアルカイダ?
そもそも、イエメンとはどんな国か。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2378883/2837848
単なるロリコン国家...ではないw
アラビア半島で、唯一共和制をとる立憲国家であり、女性にも参政権が認められ、言論の自由もある(大統領個人への批判を除き(苦笑))。しかし、国民の半数近くが貧困に喘いでおり、豊かではない。だからこそ、JICAの委託で、日本人が教育支援事業に従事していた。そして、テロとの戦いでは、アメリカの同盟国だ。
ところがイエメン政府は、北部のイスラム教シーア派武装組織フーシ派とのサアダ戦争にかかりっきりで、もう5年になり、経済は大打撃を被っている。そんな状況で、政府の管理が及ばない地域で、アルカイダが勢力を拡大しているのだ。(フーシ派とアルカイダは、関係ない。)
昨年9月には、首都サヌアでアメリカ大使館が爆破されたが、今年1月にサウジアラビアとイエメンの組織が合流し、「アラビア半島のアルカイダ」を設立。8月には、サウジ王族の副内相の暗殺未遂事件を起こしている。イエメンが安定しないと、アルカイダが活気付き、アラビア半島全体を不安定にするため、今後の注目地域だ。
そんなところなので、日本人が誘拐されれば、アルカイダが関係している可能性も否定できないわけだ。
・アルカイダってアフガニスタンでは?
でも、アルカイダってのは、アフガニスタンで米軍が戦ってる相手なんじゃないの?という疑問を持つかもしれない。
実は、パキスタン・タリバン運動(TTP)が、アルカイダ系の外国人戦闘員約5千人を抱えており、これを最近もアフガニスタンに送り込み、NATO軍の補給路封鎖に動いていた。そして今、パキスタン軍が、TTPを攻撃している。
http://mainichi.jp/select/world/news/20091119ddm007030069000c.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009111702000079.html
パキスタンとアフガニスタンのタリバンは、一見兄弟関係だが、現状は全然違う。アフガニスタンのタリバンは、パキスタン政府の支援を受けて育ち、決別したとはいえ、今も対立していない。しかしTTPは、パキスタン軍から攻撃されているわけだ。以前は、パキスタン軍もTTPとの対立を避けていたが、最近TTPの過激化が酷く、アメリカの圧力もあったが、ついには掃討作戦に出ることになった。つまり、反米で共通していても、タリバンとて一枚岩ではない。
そして、アルカイダは、タリバンがアフガニスタンの政権を握っていた当時は、その支援を受けていたわけだが、今は特に連携が見られないという。これもTTPとの違いだろう。アフガニスタンでは、タリバンがケシ栽培で資金が豊富なのに対し、アルカイダは資金難で、活動範囲を縮小している。
短絡的に考えるべきではないけれど、アルカイダは、アフガニスタンからイエメンに、活動の場を移しているのかもしれない。まあ、そもそもアルカイダは、組織として明確な団体ではないので、移ったというよりも、アフガニスタンでは廃れ、イエメンで流行しだした、ということかもしれない。だからこそ、TTPの支援で、アフガニスタンに5千人を送り込もうと...
この辺は、想像するしかない。
・アメリカはアフガンで誰と戦ってるの?
すると、テロとの戦いをアフガニスタンで展開する米軍は、誰と戦っているかといえば、アルカイダはメインではない。かつてのアフガニスタン政権を担っていたタリバンが、反政府武装勢力として活発化しているのであり、これを潰すにはゲリラ戦に勝利しなければならない。
ここに、アメリカ政府内でも迷いがあり、アルカイダとの対テロ戦に集中するか、タリバンとの対ゲリラ戦に集中するか、一本化できてない。オバマ大統領は、テロとの戦いと言うが、アフガニスタン駐留米軍司令官が4万人の米軍増派を提案しているのは、ゲリラ戦マニュアルに従った計算だそうだ。テロとゲリラの違いは...(ry
・まとめ
まあ、日本人からすれば、アルカイダだろうがタリバンだろうが、テロリストだろうがゲリラだろうが、そんなの関係ねー!かもしれない。
しかし、イエメンで日本人を拘束しているのが、アルカイダなのか、現地部族民に過ぎないのかは、その結果に大きな差が出そうだ。
仮に、当初は接点が無かったとしても、アルカイダがこれを利用しようとする可能性も否定できない。
犯人側が釈放を求める男は、イラクで対米ゲリラ戦に参加し、イエメンで4年前から裁判を経ずに拘束されている22歳ってことで、何歳で戦闘に参加してたのか興味深い。
日本政府は、テロを根絶する気があるなら、アフガニスタン支援だけではなく、イエメン支援の強化も検討した方が良い。そうじゃなきゃ、単なるモグラ叩きになってしまう。まあ、気がついてないだろうけど(苦笑)
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