中東の最近のブログ記事

情報の偏り

| コメント(0) | トラックバック(0)

http://matome.naver.jp/odai/2138031252292837401
凄い時代だ。
このニュースが世界を駆け巡ったお陰で、うちの国の首相のビッグマウス演説が世界(日本除き)にスルーされたのは幸い。
が、安倍首相もロウハニ大統領と20分も会談したわけで、せめて日本のメディアはその内容をしっかりと報道すべきなのに、その薄っぺらさに驚かされる。日本とイランの首脳会談5年ぶりなのに、基本、核開発問題とシリア対策について、日本側から注文をつけたというスタンスの報道ばかり。んなバカな。

仕方ないのでイランのメディアを見てみる。
「イラン大統領が安倍総理と会談」
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/40420
ロウハニ大統領から、個別具体的な分野での協力拡大の申し出があったことが分かる。イランへの日本からの投資を促されたり、環境問題、麻薬対策なんかで協力を促されたなんて話は、日本のメディアは1ミリも伝えていない。
それに対して安倍首相は、『「日本は国際関係の枠内で、イランとのあらゆる方面での関係拡大を歓迎している」と強調』したそうな...ちょっと酷すぎる。

ロウハニ大統領が『両国の歴史的な関係を指摘し、「日本企業がイランに投資する為の適切な下地は整っている」』と言ったのに対して、安倍首相が「国際関係の枠内で」と消極的に答えたということは、つまりは先方の申し出を断ったということだ。個別具体的な申し出に対して「あらゆる方面で」というのも、歯切れが悪い。

「国際関係の枠内で、イランとのあらゆる方面での関係拡大を歓迎」
というのは、後半だけなら積極的発言に聞こえるかもしれないが、前半の前提条件が消極的過ぎる。加えて、ロウハニ大統領側の具体的な申し出に対する発言だとすると、全体が消極的だ。先方は、経済制裁に苦労しているからこそ、日本が関与しやすい環境問題なんかの口実を提案したのに。

せっかく親日な産油国から伝統的な二国間の信頼を取り戻そうと言われたのに、いやいや今はまだ国際関係の枠内で勘弁してくださいというのが本音だとしても、なにもその場で即答で断らなくともいいじゃないか。一体、どこの国に配慮しているのだろうか?

以前、アメリカからの圧力をしたたかに受け流してイランとの関係を温存した野田政権の努力を、
http://maruko.to/2012/01/post-126.html
今こそ生かすべき時なのに。これのどこが積極的平和主義なのか。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130927/t10014874551000.html
『安倍総理大臣は、日本時間の27日未明に、国連総会で行った一般討論演説について、「わが国の21世紀の看板とも呼ぶべき『積極的平和主義』への決意を示し、シリア問題への新たな貢献やイランの核問題の平和的解決に向けた独自の働きかけなど世界の平和と安定、そして繁栄に、よりいっそう積極的な役割を担っていく決意を発信できた」と述べ、成果を強調しました。』
『安倍総理大臣は、イランの核開発問題に関連し、イランのロウハニ大統領との会談で「率直な印象として、国際社会と協調しようとしているという前向きな姿勢を感じた」と述べたうえで、「今後、イランが具体的な行動で国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)し、信頼を回復していくことを強く期待している。核問題の平和的解決に向けて、日本としてもイランとの伝統的な友好関係を生かして、可能なかぎりの貢献を行っていく考えだ」と述べ、平和的な解決に向けて日本としても積極的に取り組む考えを強調しました。』

日本のメディアを前にすると、「国際関係の枠内で」という前提条件をつけた話はしたくないのだろうか。その結果、日本で伝わる安倍首相のマッチョな主張と、イランのメディアが伝える首脳会談でのやり取りは、それぞれの国のバイアスを差し引いても印象が合わない。相手の要望に耳を傾けず、自分が言いたいことを言って国内の内輪ウケが良ければOKというのは困る。

というか、イランのメディアの記事通りのやり取りが実際にあったなら、この点はもっと注目されるべきであり、少なくともロウハニ大統領という世界が大注目してる相手との首脳会談だったのだから、日本のメディアはもっと時間を割いて取り上げて議論すべきだと思うのだ。そういうことスルーしちゃって一方当事者の主張ばかり報道してると、大本営発表とか言われちゃうのだよ。

野田政権の外交

| コメント(0) | トラックバック(0)

「米議員、イラン原油18%削減を 輸入国の制裁回避へ基準 2012/01/20 10:57」47NEWS
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012001001430.html
「日本や韓国、欧州諸国などイラン産原油輸入国を対象とした米国独自の制裁法をめぐり、法案起草の中心となったカーク上院議員(共和党)とメネンデス上院議員(民主党)は19日、ガイトナー財務長官に書簡を送り、制裁実施を回避する条件として、イラン産原油の輸入を価格ベース年間18%以上削減することを基準とするよう提案した。」

18%の根拠が不明だし、妥当なのか分からないけれど、アメリカが妥協し始めている感じがする。

しかし、価格ベースで年18%で良いなら、もっと有効な経済制裁手段がある。
原油価格相場を下落させれば良い(オイw

「世界経済のネタ帳」から、グラフを拝借してみる。
http://ecodb.net/
[世] 原油価格(WTI)の推移(年次:1980~2011年)

イランの原油輸出額は、当然に原油価格と連動している。

[世] イランの原油輸出額の推移(1980~2011年)

アメリカのお陰で、イランの原油輸出額が上昇したとも言える。
2003年:アメリカがイラクに侵攻
2007年:アメリカでサブプライムローン問題
2008年の終わりから一時的に下落したのは、リーマンショックによるものだけど、世界が不安定になればなるほど、結果的には資源に金が集まる。

日本は今まで、過去5年でイランからの輸入量を4割削減したのに、全くの焼け石に水だったわけだ。誰のせいとは言わないけど。
(つまり今回、「価格ベース」ということは、今後更に原油価格が高騰すると、輸入としては日本が何割削減しても追いつかない可能性がある。)

今回だって、結果としてイランの原油輸出額が上昇する可能性はある。輸出量が減っても、価格が上昇するのだから、産油国にはむしろ有り難いか(苦笑)

アメリカは、イランに利する投機マネーによる原油価格高騰こそ、規制すべきだ。
それなら、世界が歓迎するかもよ(笑)
(価格が年18%以上下落すれば、どの国も輸入量を減らす必要はないw)


ところで、一連のアメリカからの圧力に対して、昨年末からの野田政権の対応は、ちょっと面白いと感じている。

「イラン制裁、例外要請=玄葉外相「経済に打撃」-米に懸念伝達」(時事ドットコム:2011/12/20-10:23)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011122000224
玄葉外相は、「クリントン米国務長官との会談で、対イラン制裁を強めるためイラン中央銀行と取引がある外国金融機関に制裁を科す法律が近く米国で成立することに関し、「イランからの原油輸入が停止すれば、日本経済、世界経済全体に打撃となる恐れがある」と懸念を伝え、日本の原油調達に悪影響が出ないよう邦銀への適用除外を要請した。」

イランは、日本がアメリカの政策に反発したことを喜んだ。
「日本、対イラン制裁について米に警告」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23706%3A2011-12-17-09-37-04&catid=17%3A2010-09-21-04-36-53&Itemid=116#.Tu8aTwDOeDM.facebook
「日本、イラン産原油の輸入を継続」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23814:2011-12-20-13-13-57&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「なぜ日本はイラン産原油への制裁を実施出来ないのか? 」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23919:2011-12-23-12-31-47&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

しかも、日本だけじゃない。
「韓国、イランからの石油輸入増加」2012年 1月 04日(水曜日) 18:11
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=24258:2012-01-04-13-49-42&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「韓国の政府筋が、「わが国の精油所は、原油購買契約の延長により、今年は、2011年よりも日量1万バレル多い原油を、イランから輸入することになる」と表明しました。」

増やすのは流石にウソ~ンって感じだけど、韓国もアメリカに抵抗しているのは事実だ。
日本と韓国は、多少は足並みをそろえて抵抗しているのかもしれない。

以前は、アメリカがノーと言えばアザデガン油田の権益放棄して終わりだったのだから、ちょっと感慨深い。
http://maruko.to/2009/08/post-61.html


そして、時期を同じくして、ロシアとの関係が急速に親密になってる。
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/02/61374173.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/06/61644216.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62301545.html

鈴木宗男が仮釈放で出てきたのは、ただの偶然か?w

この流れの中で、「プーチン首相 日本との間で大規模鉄道プロジェクトを検討中」
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62302901.html
こんな話も出てきた。ロシア、前のめり過ぎww

更に、対中貿易で、米ドルを経由しない、元と円の直接決済の話も年末に出た。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0104&f=column_0104_002.shtml

アメリカの顔色うかがってたら、こんなの中国から提案されたって、すんなり前向きに検討なんて難しい。まあ、本気かどうか関係なくて、アメリカ外しの動きを見せることが面白い。(ちなみに、イランとの原油取引は、2007年にイランからの要請で米ドルから円建て決済に各社移行しており、イランは円高の恩恵も受けている。)

で、今年に入っても、ロシアは積極的。
「マトヴィエンコ議長の日本訪問 議連発展に向けて 12.01.2012, 13:31」
http://japanese.ruvr.ru/2012/01/12/63714248.html

そこで、ラブロフ外相の来日を目前に、あえてとった玄葉外相の行動がこれ。

玄葉外相 北方領土を洋上視察(01/14 15:25)北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/343415.html
「玄葉光一郎外相は14日午前、根室管内羅臼町の羅臼港から海上保安庁の巡視船「かりば」に乗り、北方領土の国後島などを洋上視察した。」

急接近しつつ、簡単に妥協しない姿勢を示し、ロシアにも揺さぶりをかけているわけだ。
その結果か知らんけど

http://japanese.ruvr.ru/2012/01/18/64119657.html
ロシアは日本のパートナーとなることを望んでおり、地域問題や軍事政治問題などの国際問題に共通のアプローチをとっていくことを期待している。」

こんなのが「ロシアの声」で読めるとは面白いw
是非、イラン問題では行動を共にしたいですな。


アメリカも流石に、日本が抵抗していることが分かってるので、ガイトナー財務長官を送り込んできた。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXNY3K0YHQ0X01.html
「安住淳財務相とガイトナー米財務長官は12日午前、財務省内で会談し、日本の原油輸入の10%を占めるイラン産原油についてシェアを削減することで一致した。日本側が米側の要請を踏まえ、計画的削減に応じる考えを表明した。」

これを聞いたとき、ありゃりゃと思ったのだけど、官房長官が即効で否定(笑)

「イラン原油対応 引き続き検討 1月12日 20時47分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120112/t10015228101000.html(魚拓にリンク)
「藤村官房長官は記者会見で、核開発を進めるイランに対し原油などの輸出入を事実上できなくするアメリカの制裁措置に関連して、安住財務大臣が表明した日本への原油輸入量を段階的に減らしていく方針は意見の1つであり、引き続き政府内で対応を検討していく考えを示しました。」

更に加えて首相も否定(爆笑)

「イラン制裁:野田首相「原油輸入減は財務相の個人的表明」 2012年1月13日 20時7分 更新:1月14日 1時6分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120114k0000m010050000c.html
「野田佳彦首相は13日の記者会見で、核開発を続けるイランへの制裁を巡り、安住淳財務相が12日のガイトナー米財務長官との会談で「(原油輸入量を)早い段階で計画的に減らす」と表明したことについて「これまでの経緯と見通しを個人的に話されたと思う」と述べた。」

そもそも、ガイトナーが来るのに枝野経産相が不在で、安住財務相に代役で対応させるとか、そんな扱いをアメリカ様にするなんて、のっけから面白い。
「安住氏「イラン原油輸入を削減」 日米財務相会談 2012/1/12 10:57 (2012/1/12 13:57更新) 」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E0E2E2958DE3E0E2E3E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
「今回のガイトナー長官の訪日にあたっては、枝野幸男経済産業相らが不在であるため、経済閣僚を代表して安住財務相が会談に臨んだ。会談内容を共同声明として文章化することは見送った。」

日本の国益を考えるなら、これを閣内不一致とか攻撃してはいけない。
 代役対応 -> 共同声明の文書化を見送り -> 直後に訂正
仮に政権が素人だからだろうとKYだからだろうと、この場合、究極の先延ばし外交は結果オーライだ。

なかなか世界が積極的に賛同しないので、イスラエルは、業を煮やしている。
「イスラエル首相 一層の制裁強化を 1月17日 9時36分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120117/k10015320401000.html(魚拓にリンク)
「核開発を進めるイランに対して欧米諸国が制裁を強めようとするなかで、イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は、今の制裁措置でも十分ではないとして一層の強化を国際社会に求めました。」


で、本当に驚いたのがこれ。

「イラン制裁の日米実務者協議、邦銀の制裁回避条件は結論持ち越し 2012年 01月 19日 18:04 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE80I04P20120119
「グレーザー次官補は協議終了後、記者団に対し「今後も協議は継続する」と答えたのみで、協議内容についてのコメントを控えた。邦銀への制裁を回避するために必要な原油輸入の削減幅などの詳細については、来週以降に引き続き協議する見通し。」
「外務省によると18日と19日の2日にわたりのべ4時間弱協議。日本側は原発稼働停止で火力発電への依存度が高まっており原油調達を簡単に削減しにくい日本の状況や、イラン産原油の輸入量を過去5年間で4割削減した実績などを説明。イラン中央銀行と取引を持つ金融機関に対して米金融機関とのドル取引を禁じる米国のイラン制裁法で、邦銀に対して例外規定を適用するよう要請した。」

「親日国・イラン制裁で官民異論百出、日米協議は結論持ち越しへ 2012年 01月 19日 21:20 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTJE80I00020120119
「18、19日の2日間にわたり都内で開かれていたイラン制裁をめぐる日米政府の実務者協議は、焦点となっていた日本の原油輸入削減幅や邦銀制裁の回避の是非について具体的な結論を出さず持ち越した形となった。」
「イラン制裁については中国、ロシアのみならずトルコも反発を表明。米制裁法の発動でイランが対抗措置としてホルムズ海峡を封鎖すれば、原油価格が急騰しかねず、米国が強硬措置を取りにくい可能性もあるなかで、日本として微妙なかじ取りを迫られそうだ。」


圧力に屈せず結論を出さなかったのは、正直吃驚。
中国が制裁に反対している以上、日本がイランから原油輸入を大幅に減らせば、その分を中国が安値で買い叩けるようになるだけで、アザデガン油田の屈辱を繰り返すことになる。どう考えても、結論先延ばしが正解なんで、本当にこの粘り腰は評価されるべきだ。

そして、この流れで、冒頭のアメリカの18%という数字が出てくる。
野田政権は、内政は最悪な感じがするが、外交はなかなか興味深い。

そういや、こんな話もあったしね。
「資源輸入:国を特定、集中交渉する新戦略...政府指針案 2012年1月5日 15時0分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120105k0000e020164000c.html
「政府が今後5年間の資源、エネルギーの安定調達の指針として4月に初めてまとめる「資源獲得戦略」の原案が明らかになった。産業ごとに必要な資源の種類や量を精査した上で、集中的に働きかける国を特定。首脳や閣僚の交流と、民間の技術協力との連動で、権益確保を図る。自動車など資源を使う側の民間企業が、積極的に権益確保に関与する必要性も明記した。ただ、戦略実現には世界の資源争奪戦を勝ち抜く交渉力が必要で、日本外交の実力が問われることになる。」

単なる偶然ではなさそうだ。
(でも、支持するかどうかはまた別の話だけど(自爆))

■蛇足
ところが、産経が書くとこうなる。
「イラン制裁、戦略なき日本 外務省、対話重視で米と溝」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120119-00000085-san-pol
「米側は対日不信をさらに深めたに違いない。」
「日本側から色よい返事は得られなかったとみられ、グレーザー氏は記者団に「日本が適切な措置を取ると確信している」と不満そうな表情を浮かべた。」
「これで米側が納得するはずもない。」
「米国はイラン制裁の足並みがそろわないことにいら立ちを募らせる。」

アメリカ様の顔色うかがい過ぎwww
どこの国の国益を考えると、こういう記事が書けるのかね?

トルコ地震に対する各国からの救援隊を、トルコ政府が断っている。
この件に対し、ネット上にはいい加減な言説が出回っている。

トルコが親日国家だから支援しろとか、東日本大震災後の支援への恩返しもすべきとの思いが強い人やらが、日本の支援が断られたことを曲解している書き込みも目にする。

そこで、少しおさらいしよう。

まず今、現在進行形で、トルコ軍は震源地から百キロチョイのところで、絶賛戦闘中である。相手は、クルディスタン労働者党(PKK)だ。

震源から百キロくらいのところに、Hakkari県てのがあって、その先はイラク国境で、震源からイラク国境までは130キロくらいな位置。

つい先週、こういうニュースが流れた。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-23724920111020
「イラクとの国境に接するトルコ南東部ハッカリ県で、トルコからの独立を目指すクルド人労働者党(PKK)による攻撃が相次ぎ、19日までにトルコ軍兵士24人が死亡した。」

で、直後からトルコ軍は、Hakkari県の山岳地帯とか、隣のイラク領内にまで越境攻撃して、PKKを100人オーダーで殺している最中。
http://www.todayszaman.com/news-260772-turkey-kills-almost-100-terrorists-in-offensives-led-by-top-commanders.html
http://www.todayszaman.com/news-260874-turkey-moves-into-iraq-near-pkk-camp.html

イラク北部への越境攻撃なんて国際法違反して、イラクともめないのか?と思う人もいるだろうが、これは別に今回が初めてではない。
http://www.global-news.net/ency/naito/daily/071226/01.html
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2354542/2666257
PKKは、アメリカ様がテロ組織と認めているし、クルド人だし、イラク政府も了承済みという...

イラク北部のクルドがよく分からない人でも、フセイン時代に散々な迫害に遭った人々だと言えば、思い出すのではないか?

そうそう、化学兵器で殺されまくった人たち。

実は、クルド人が最も多く住んでいるのがトルコであり、トルコも建国の時から、クルド人の迫害という問題を長らく抱えてきた。EUに加盟しようとしたら、クルド人迫害を先に止めろと言われ、やっと徐々に状況が好転してきたとはいえ、そういう時代背景を忘れてPKKを単純にテロ組織と思ってはいけない。まあ今では、国際的にも立派なテロ組織認定されてるので、殺しても大丈夫ってことにされてるけど、ハリウッド映画じゃないので、勧善懲悪なお話なんて存在しない。(別に、PKKを擁護しているわけではないので、誤解しないように。)

これは、日本人にとっても他人事じゃなくて、トルコがこの辺で戦闘すると、日本にやってくるクルド人難民も増える可能性が高まる。でも、日本政府はトルコを親日国家と位置付けているので、トルコが人権侵害していないという建て前から、クルド人を難民とは認めないという差別的な対応を続けていることも、周知の事実。過去にもブログで取り上げた。
http://maruko.to/2009/03/post-10.html

まあ、そんなことやってる最中に、今回の地震が起こったわけだ。
あんな、クルド人の多い地域で...

http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102501000896.html
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/mideast/532930/
ということで各メディアでは、各国の救援隊を断るトルコ政府の不可解な対応について、クルド人差別とか、もしくは逆に、クルド人に政府に助けられたと良い印象を与えようとしているとか、諸説出ている。何故か、隣の県で絶賛戦闘中なことを理由に上げる記事は、自分は目にしていない。戦闘終了して撤退したという確実なニュースもない。
-->追記
http://www.reuters.com/article/2011/10/25/us-turkey-iraq-pkk-idUSTRE79O2WZ20111025
まだまだ越境攻撃エスカレート中ですね。
<--

そんな状況なので、震源のヴァン県は戦地ではないとはいえ、
http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2011/10/post-747.html
こんな思い入れで、簡単に他国の公的な医療チームが受け入れられるか疑問。

http://amda.or.jp/articlelist/index.php?page=article&storyid=191
AMDAのように、現地のNGOと連携できる実績のあるNGOでなければ、現地入りは難しいのではないだろうか。
http://www.aarjapan.gr.jp/about/news/2011/1024_790.html
難民を助ける会というのも、名乗り出ている。
http://www.jrc.or.jp/foreignrescue/l3/Vcms3_00002578.html
日本赤十字は、トルコ赤新月社の活動を書いてるだけで、今度の対応は不明。

では、現地入りは難しくてもトルコを支援したい人は、やはり金銭的支援がメインということになろう。が、ここで疑問なのが、トルコ大使館を通じての義援金送付だ。果たしてトルコ政府は、クルド人被災者らに義援金を公平に分配してくれるのだろうか?

正直、トルコ政府には本当に申し訳ないのだけど、差別がないのか、個人的には不安が残る。なんせ、今の政府対応だって差別なのではないかと、報道されている最中なわけだ。

いや、ダメだと言っているわけではない。今回の地震で、差別してるという証拠があるわけでもないしね。きっと、ちゃんとやってくれるとは思いたい。信じる人は、以下へ。
http://tokyo.be.mfa.gov.tr/ShowAnnouncement.aspx?ID=134011


しかし、信じる信じないは別にしても、日本人は東日本大震災で学んだはずだ。義援金の分配は、なかなか難しく、時間のかかる話だと。トルコ政府の対応を信用するにしても、今にも凍え死にそうな被災者には、政府経由の義援金など先の先の話でしかない。

ならば、現地入りするNGOに直接寄付する方が、遥かに効果的ではないか?

少なくとも、
http://www.youtube.com/watch?v=LscQ1QAS3hQ
この動画の説明にあるような美談で支援するのではなく、もう少し具体的に、被災しているクルド人に届く支援を考えた方が良いと、個人的には思う。

エルトゥールル号とか邦人救出とか、そりゃいい話だけど、それがなかったら支援しないわけじゃないでしょ?

もちろん、大使館経由で義援金を渡せば、トルコ"政府"とは親密度アップできるだろうけどね...


ところで、これは余り知られていないだろうが、トルコ政府から迫害を受けたと主張して、日本で難民申請しているクルド人らも、東日本大震災の後、ボランティアとして東北で支援活動をしてくれていた。彼等と一緒に、瓦礫撤去した自分が言うのだから、嘘ではない。

日本人ボランティアが諦めるような、巨大な瓦礫や丸太も、「オスマン帝国ではこうやって運んだんだよ」と、見事に運び出してくれる頼もしい人々だった。彼等が持参した手作りのお菓子は、「こんな外国のお菓子食べたことないわぁ(笑)」と、被災者の方にも大好評だった。

彼等難民申請中のクルド人は、日本政府が、いずれ自らの難民申請を却下するであろうことは、うすうす気付いていた。でも、東北の状況を見て、手を貸してくれた。恐らく、彼等のような日本にいるクルド人は、今回の地震のニュースに祈る思いで接していることだろう。

日本人が、トルコへの支援を通じて、もう少し日本にいるクルド人の問題を知る機会になると良いのだけど。

-->追記10/27
http://mainichi.jp/select/today/news/20111027k0000e030011000c.html
AMDAの活躍が伝えられてますね。

相変わらず、他国の救援隊は入ってないですが、今のところ各メディアは、もうそこには触れない形で、物資と一部のNGOが入ったことをもって、「トルコが世界からの支援を受け入れた」という部分を強調する報道で、丸くおさめるようですね。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111027/k10013536051000.html

ロシア系のメディアなどは、人か物かにも触れずに、世界に支援要請したという風にぼかして書いてますね。日付とか間違ってるイイカゲンな記事ですが、分かりやすい対応ですね(苦笑)
http://japanese.ruvr.ru/2011/10/26/59358108.html

トルコは、よっぽど人を入れたくないのでしょうが、国としては内政干渉するわけにもいきませんから、一応これで物資だけでも「支援した」という形式を満たし各国は満足し、外交的にトルコ政府の面子は保たれたのでしょう。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20111027k0000m030065000c.html
助けを待つ現場からすれば、たまらない話でしょうが。
<--
-->追記10/31
難民を助ける会の現地での活動報告が出ました。
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1031_795.html
<--
-->追記11/12
「トルコ:宮崎淳さんの訃報」
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1110_812.html
「11月10日のトルコ地震での当会職員の状況に関するお知らせ(11日21時半現在)」
http://www.aarjapan.gr.jp/about/news/2011/1111_814.html
http://aarjapan.blogspot.com/2011/11/turkey-passing-of-mr-atsushi-miyazaki.html
「トルコ語でのお悔やみのツイート」
http://togetter.com/li/212501

http://www.smh.com.au/world/miyuki-daughter-of-disaster-survives-another-horror-20111111-1nb37.html
最後のところ
>Angry about a shortage of aid, more than 200 people rioted amid the debris. Police fired tear gas at protesters.
>"Police and residents are fighting now. They feel desperate, angry and abandoned," said a witness, Neman Kara, 35.
援助不足に抗議する被災者と、警察が催涙ガス使って戦ってる被災地...やりきれない。

まだまだ、非政府組織だからこそ可能な支援があるのだろう。
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1109_805.html
昨日予定されていた活動報告会は、中止になったそうだけど、今後トルコでの活動はどうするのだろう?
<--

■蛇足
本文と関係ありませんが、またしばらくブログの更新が滞る予定です。お勉強に時間を...

外務大臣は、エジプトに関する前回の発言がコレで
http://www.asahi.com/international/update/0204/TKY201102040404.html
(アサヒ・コム:2011年2月4日20時12分)
「欧米はムバラク大統領の即時の退陣を求めているが、もっと現実的に物事を考えるべきだ。新たな元首を選ぶにも、国民が納得する選挙のあり方も検証されないといけない」

当時の時点で、民主主義国家で唯一と言っても良いと思うけど、明確にムバラク即時辞任に反対というKYっぷりに驚かされたのだけど、今度は辞任後の談話がコレって...
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2011021200088
(時事ドットコム:2011/02/12-09:07)

KYにも程があろうにぃ。

「今後の事態の展開を高い関心を持って注視していくとともに、速やかに民主的政府の樹立に向けての具体的な道程が示され、憲法からの逸脱状態が回復されることを期待する」

憲法が酷いから改正せにゃならんのに、革命の成功が違憲状態で悪いみたいじゃないか。
この期に及んで、ムバラク辞任を喜んでない唯一の民主主義国家なんて称号、いらないんだけど。

今日くらい、リップサービスでも良いからエジプトにエールを送るべきだよー
(追記:リンク先の記事が、アドレスそのままで内容が追加されて、首相のまともな発言が出た。遅すぎるとは思うけど、外務大臣より全然良い。)

「エジプトが早期に民主的政府の下で安定することを願う。エジプトが穏健安定勢力として地域の平和と安定のため今後も建設的な役割を果たしていくことを期待する」

しかも上から目線だし。
今日は、エジプト人の平和的革命を素晴らしいと、敬意を示している国だらけなのに。

前の発言も、今回の発言も、それが中国政府の談話だったら、えらく納得できるような内容に聞こえるのは自分だけか?(^^;;

でもって、外務省幹部は「円滑な政権移行が進まずに政情不安が続けば、エジプトや周辺地域で過激なイスラム主義が台頭しかねない」と指摘(苦笑)

誰だか知らんが、そんな分かりきった、何の足しにもならない指摘は、今イランだろうに。まるで、外務省全体が、ムバラク辞任を迷惑に思ってるのが、伝わってくるようだ...orz

(今まで、どんな投資をし、権益を確保してきたのか知らないが、欧米がムバラク即時辞任を求めた時が損切りのタイミングだったのに、一人逆張りを続け、気が付いたら民事再生手続開始決定で、悪態ついてるだけ、みたいな(苦笑)
反ムバラク運動の始まりを予測できなかったのは仕方ないとしても、その後の情報収集分析能力の欠如は、反省しなさいな。)


ちなみに自分は、心からこう思っているぞ。

エジプトの人々、おめでとう!

なんか、超うらやましい!
こんな平和的に成し遂げたなんて、超カッコいい!

エジプト市民革命の日は、日本の建国記念日と同じになったし、この感動は忘れないぜぇ!

今後、軍部とスレイマンの動向が気になるし、これからが大変だけど、とにかく今は、おめでとう!!!

リーダー不在

| コメント(0) | トラックバック(0)

相変わらずカイロは凄いね。アルジャジーラの、ちょっと扇動的とも言えるライブ放送に流されないように注意しつつ眺めていても、一連の騒動が、極めて平和的に進行している新しいタイプの革命であることに気が付く。(もちろん、既に100人以上亡くなっているけれど。)

http://salamuna.exblog.jp/15855798/
こういう現地にいた人のブログというのは、大変興味深い。
>*携帯電話ネットワークをまる一日止めたこと
>*インターネットを現在まで四日間以上止めていること
>*四日間続いている夜間外出禁止令
これが、今回のデモ拡大の要因というのは、思わず頷いてしまう。

既に発達したネットワークが存在していたのに、突然禁止されたものだから、逆に国民に、事態の重大性を気付かせてしまったのではないか。
http://asert.arbornetworks.com/2011/01/egypt-loses-the-internet/
いくらなんでも極端過ぎた(苦笑)


それにしても、エジプト女性は勇ましいね。
http://ow.ly/i/7JT4

飛び火したヨルダン女性も、勇ましい。
http://english.aljazeera.net/news/middleeast/2011/02/20112113957115258.html

どこまで行くのか分からんけど、中東における女性の地位が、ちょっと変わったりする切っ掛けになったりして。

でも、チュニジアにしてもエジプトにしても、多分ヨルダンも、既存の政治体制に対する不満はあっても、その先が見えない。反体制のリーダーが不在なのが、共通する特徴だろう。長期独裁政権を倒しても、新政権が結果を出せなければ、日本のように、「前の方が良かった」とか言い出すことは、容易に想像できる。特に、民主主義が未成熟な国では。

しかし、反体制のリーダーが不在だからこそ、既存政権側も、効果的に叩く相手を見つけられない。これが、市民に有利に事が進んでいる最大の理由ではないだろうか。誰かに扇動されずに、宗教や政治的野心なしに、本当に自発的に市民が立ち上がっている。まるでだ。

もちろん、軍隊が国民を攻撃しないというのも、特筆すべきポイントだが、それも、自発的に市民が立ち上がっていることと、無関係ではないのではないか。祭の警備員に徹している?

今までムバラクは、ムスリム同胞団(エジプト最大野党)を攻撃してきたけれど、今回のデモは、ムスリム同胞団が指揮してるわけではない。エジプトの市民が、アメリカのメディアのインタビューに対し、自分たちはイランのようにはならないと訴えていた(だからアメリカも、自分たちを危険視しないでくれと)のも印象的。帰国したエルバラダイも、国内で政治力があるわけじゃないらしい。

それを心配してるのが、トルコだ。
イスラム原理主義勢力の付け入る隙を与えないように、ムバラクはとっとと決着つけろと。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE0E0E4E4EAE4E2E2E2E3E2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2


そろそろ日本も、ムバラク後を見越して、積極的に発言すべきではないだろうか。
何しろ今、一連の動向に対し、自国への影響を恐れる中国は、超腰が引けているように見える。もちろん、中国は軍隊が国民に味方することなんてないので、同様のことが直ぐに起こったりはしないのだけど、とにかく、我が国が中東でプレゼンスを向上させるチャンスだ(苦笑)

え?我が国もリーダー不在だから、将来の国益を見越した行動なんて、無理?
外務大臣は、アメリカの顔色をうかがうのに必死で、中東なんて見えない?
まあ、「前の方が良かった」とは全然思わないけど、もう少しなんとかして(ry

せめてTVも、韓流ドラマばっか放送してないで、アルジャジーラのライブを中継でもすりゃいいのに。
http://english.aljazeera.net/watch_now/

相撲協会も、どうでもいいよ。
今、相撲協会の記者会見を、NHKも、テレ東除いた全民放も、横並びで生中継してるのだけど、バカなの?


>追記1
突然、ムバラク支持派というのが現れて、今、タハリール広場は修羅場と化している。
非常に残念だ。アルジャジーラのライブから、目が離せない。

しかし、ムバラク支持派とは、ムバラクの放った刺客とも、傭兵とも言われている。いわゆる工作員だ。銃やナイフで武装しており、アルジャジーラも欧米メディアも、記者が襲撃を受けて逃げている。

エジプト人には、もちろん純粋にムバラク支持の人も存在するだろうが、少なくとも今言えるのは、支持派は暴力で反ムバラク派を潰そうという意図が明確であり、とても民主主義的観点から、擁護に値しないということ。

http://ameblo.jp/fifi2121/entry-10787594709.html

これを読んで、尚更、流血の事態が作り出されてしまったことを、残念に思う。

>追記2
今夜は、アルジャジーラをニコ生で中継する人や、Ustで同時通訳する人など、リアルタイムで進行中の殺戮劇を伝えようと、個人が頑張っている。対してTVは、何やってんの?

BBCの真似しろとは言わないけどさ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-12307698

高齢化の進んだムスリム同胞団は、ネットとか使えているのか知らんけど、主導権も何も握ってないくせに、KYなこと言って足を引っ張るなって感じ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011020200547

>追記3
http://www.asahi.com/international/update/0204/TKY201102040404.html
-->
前原氏は「欧米はムバラク大統領の即時の退陣を求めているが、もっと現実的に物事を考えるべきだ。新たな元首を選ぶにも、国民が納得する選挙のあり方も検証されないといけない」と述べ、公正な選挙制度の整備といった政権移行準備が整わないままムバラク大統領が即時辞任すれば混乱が拡大しかねないとの見方を示した。
<--

我らが外務大臣は、独裁者と同じ主張をすることに、何の躊躇もないらしい(苦笑)
それ、丸々、ムバラクが言っていることと同じではないか。
そんなことなら、口を開かない方が良かった。国益を損ねる。

恐らく、現地の状況が把握できておらず、把握できている欧米の言う現実的な主張が、非現実的に見えてしまっているのだろう。即時退陣を求めている欧米は、最早、その段階になってしまったことを、把握しているだけだ。前原氏のような、悠長なことを言っている段階ではないと。

本当に、中東が見えていないらしい。

現実的というのは、こういうことだろう。
「ムバラクが辞任する前にすべきこと」
http://www.twitlonger.com/show/8krdi2

アルジャジーラは、以前からCCライセンスで番組を提供している。
http://creativecommons.jp/features/2009/10/701/

CC BY3.0なので、アルジャジーラの名前をクレジットすれば、複製・頒布、二次的著作物を作ってもOK。

大した不利益もないのに著作権を主張すれば、報道機関として、世界の人々の知る権利に資することができないと、自らの存在意義を理解しているのだろう。見てもらってナンボだ。

ライブでストリーミングもしており、最近のエジプト情勢など、見始めると目が離せなくなるから困る。
http://english.aljazeera.net/watch_now/

恐らく今、世界中のエジプト人は、アルジャジーラのライブストリーミングに釘付けだろう。

日本の放送事業者のように、在外邦人がネット経由で番組を見ることを裁判で訴えるような、無益な権利濫用は、彼らからしたら馬鹿に見えるかもしれない。(娯楽番組も含まれるから、日本の場合をアルジャジーラと一緒にするなと言いたい人もいるだろうが、上記ライブを見ていれば分かるが、アルジャジーラも報道番組ばかりではない。)

「番組のネット配信にルールを 」(日本経済新聞 電子版 2011/1/31付)
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E0E7E4E5EAEBE2E1E3E2E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
<--
日本は地域ごとに放送局があり、広告の入った番組がどこでも見られるようになれば営業にも支障を来す。
-->

いやいや、それ、もっともらしい説明だけど、訴えた放送事業者には、NHKが含まれてますから(笑)

NHKに受信料払う側の意思としては、NHKがこの訴えを提起したこと自体、受け入れ難い。


ところが、
http://wiredvision.jp/news/201101/2011013121.html
-->
収益の多くを海外メディアからの「映像使用料」が占め、特にNHKが払う金額が一番大きく、同局の大きな助けとなっているとされる(NHK-BSが世界のニュースのひとつとして枠を設けて日本語同時翻訳放送を行なっている)。
<--

回りまわって、NHKがアルジャジーラの最大の援助者というのが、なんとも皮肉だ。
BS1が連日伝える、アルジャジーラの翻訳報道は、確かに価値がある。このこと自体は、NHKナイス!

しかし、公共放送たるNHKの中の人は、CCライセンスやライブストリーミングと、ビジネスをどう線引きすべきなのか、アルジャジーラから学ぶべき点が大きいのではないか?

http://english.aljazeera.net/

予定が少し遅れたが、9月1日から運営開始となったWeb版フォーサイト。
http://www.fsight.jp/

自分としては、
http://maruko.to/2009/12/foresight.html
http://maruko.to/2010/02/web.html
こういう経緯で、まずはとても嬉しい。

まだまだ新しい記事は少なく(雑誌時代含め過去の記事は見られる)、月額800円がペイするかは1ヶ月にどれくらい記事が賑わうか次第だろうか。

とは言っても個人的には、中東研究の池内氏の連載の続きが見られただけで、既にペイしていると言ってもいい。しかも、なんと驚いたことに、1日2日と連続で連載がアップされてる!

休刊の間の欠落した情報を補完するがごとしだ。
また、Web版の即時性をも実感させる内容だ。

でも、この喜びを他者と共有したいにも、まだ有料会員は多くないだろうし、会員でないと見られない記事にリンクして言及しても...

また、本来合法な、記事の一部引用すら事前承諾を要すると読める会員利用規約17条1項の以下の文言も、ブログで取り上げることを激しく躊躇させていた。
--
会員は、本サービスにより提 供されるコンテンツの全部または一部を、当社または当該コンテンツの提供元の事前の承諾なしに、転載、複製、出版、放送、公衆送信等その他著作権等を侵害 する行為を、自ら行うことはできず、また第三者に行わせることはできません。
--
この点は、追々編集部に質問してみたい。


ところが、昨日の池内氏の記事は有料会員向けだったが、2日のは無料公開に設定されていた!(だからと言って、有料会員の価値が損なわれるものではない)

これなら外部でリンクして話題にできる。
岐路に差し掛かる米・イスラエルの「特別な関係」
http://fsight.jp/article/5694

とりあえず、フォーサイトを知らない人は、上記記事を一読すれば、有料情報の価値というものを少しは理解できるかもしれない。記事を鵜呑みするかは別にして、これを知っているかどうかで、TVや新聞の見方すら、大きく変わるだろう。


ということで、記事の前に、まずはイスラエルについて自分が最後に触れた過去のものを...
http://maruko.to/2009/01/post-2.html
この時に言及した選挙で、中道政党カディマは、世俗的右派のリクードに1議席差に迫られた結果、リクードのネタニヤフが右派をまとめ(極右の「イスラエル我が家」、右派・宗教政党の集合体「国家統一党」等がネタニヤフ支持)、ネタニヤフが首相に返り咲いてしまった。結局、支持率がジリ貧の汚職まみれのオルメルトでは、戦争をしてもカディマは政権を維持できなかったのだ(一応第一党ではあるけど)。

やはり、あの国は、元軍人でなければ首相が務まらないらしい(苦笑)
その後の状況は、言わずもがな。パレスチナとの関係が改善するはずはない。

フォーサイトの記事に出てくる、米バイデン副大統領がイスラエルを訪問した際の「侮辱」事件が起こってしまった背景とは、極右や宗教政党に支えられたネタニヤフ政権の危うさそのものを理解できる出来事だろう。

成功したはずの会談の晩餐会で、会談相手から非難されるような失態を自ら招くとは考えられないので、ネタニヤフも極右に手を焼いているのではないかと、想像できる。

更に記事によれば、オバマ大統領との6月の会談の訪米前日に、あの事件が起こって、訪米をキャンセルしたというのだから、増々想像に真実味がわく。

あの事件とは、ガザ地区に向かっていた支援船団をイスラエル軍が急襲し、9人の死者を出した事件だ。

オバマのアメリカと距離を置きたがっている極右の連中に、ネタニヤフは足を引っ張られているように見える。

ついでに時系列で整理するなら、NPT再検討会議でイスラエルのNPT加盟を求め、中東非核化構想の国際会議開催が記された最終文書にアメリカが賛成したのが、事件の2日前だ。いやはや...分かりやすい(苦笑)


2006年に、志半ばで脳卒中に倒れたシャロンは、意識不明のままだそうで...

かつての軍事的英雄が、指導者となってから和平を望むという千載一遇のチャンスが、ラビン、シャロンと失われたことの損失を噛みしめつつ、また新たな暗殺や病変が起こらないことを祈るしかないのだけど、オバマの手腕に僅かな期待を抱かずにはいられない、そんな池内氏の記事だった。


ということで、そんな想像を掻き立てる記事が読めるWeb版フォーサイトには、是非とも成功して欲しいのであーる。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20100406k0000m020077000c.html?inb=fe
-->
経済産業省は5日、産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業競争力部会に「文化産業大国戦略」案を提示した。「クール・ジャパン」と呼ばれ、海外で人気のアニメやゲーム、ファッションなどの輸出テコ入れを官民一体で進めるのが狙い。政府が6月にまとめる新成長戦略に反映させる方針だ。

日本のアニメやファッションなどは海外での評価は高いが、輸出比率が低く、戦略案でも「海外で稼げていない」と指摘。そのうえで、映画などのコンテンツを海外で販売するのに不可欠な資金を提供する官民出資の「コンテンツ海外展開ファンド」を創設する。
<--

だそうで...

経産省は、何のためにアイディアボックスやったのさ?
アイディアボックスで、賛成が最多で最も盛り上がった意見が、無視されてるじゃないか。
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」
http://201002.after-ideabox.net/ja/idea/00131/

映像を制作している現場は、日本はハリウッドと比べてノウハウが足りないから、ハリウッドの下請けをしてでも質の向上を目指すべきだ、という切実な提案をした。もちろん、この意見には賛否両論あるだろうが、少なくともアイディアボックスでは、多数の支持を得た。しかし、それを受けた産業構造審議会は、「日本の作品はクールで優れてるけど、海外への売り込みに失敗してるだけだ」という真逆の戦略を打ち出したわけだ。

これが、大本営発表ってやつか?
前線の兵士は、圧倒的な火力の差を実感して現実的な戦略を提案したのに、大本営から「我々は優れているのだ!」「あとは神風が吹けば勝てる!」と言われて、「突撃命令」待ちだろうか?

産業構造審議会で、アイディアボックスの意見が無視された理由は、産業構造審議会情報経済分科会で配布された資料を見れば分かる。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100402aj.html
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」の意見については、以下の資料の20ページ目で触れられている。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100402a062j.pdf
-->
日本は、CGに関する優れた技術・人材を有するものの高い人件費のため、ハリウッドなどの海外からのVFX等の映画製作の受注が行われていない。海外からの受注を呼び込むため、政府が税優遇措置、助成金、ハリウッド・プロダクション誘致等の支援を行うもの。
実際にCG業界等で活躍される方々を中心に、映画業界などの現状と課題などを踏まえ、活発な議論が行われ、アイディアボックスで最も多くの投票数を獲得した。

<--

1文目から、提案の大前提の理解を、間違って紹介している。

「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」の提案者は、日本は潜在的能力はあるが、「クオリティが低い」から、ハリウッドから受注して、仕事を通じてノウハウを学ぶ機会が必要だ、と主張していた。そして、ハリウッド作品に関わる中で、VFXだけでなく、ハリウッド映画の製作手法全体を学ぼうと。

ところが、それをまとめた上記資料では、「日本は、CGに関する優れた技術・人材を有する」という、真逆の前提で、提案の説明がされているのだ。

資料まとめた官僚さんは、日本語力に問題があるのですか?
誰かに「クール・ジャパン」のバイアスをかけられて、冷静さを失っているのですか?
もっとクールに考えてくださいよ。

まあ、提案されたご本人は、この結果でも前進と、前向きに受け止めておられるようなのが、唯一の救いだろうか。
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/04/blog-post.html


そもそも、クール・ジャパンは、クール・ブリタニアのパクリみたいなものだ。

かつてイギリスは、国家そのものをブランドとして海外に売り込む政策をとり、その中心には、1997年に出版された「登録商標ブリテン」というレポートが存在する。どういうことがなされたかの詳細は、以下をどうぞ。
http://www.mskj.or.jp/getsurei/ninoyu0201.html

こういう話は以前から、高城剛氏が政府の審議会や書籍などで何度も紹介し、真似るべきだと絶賛していた。まったくその通り、流石トリックスターだと、自分も思っていた。そして、外務省は以前から、ポップカルチャー外交を唱えていた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/h18_sokai/05hokoku.html

ポップカルチャーと言うより、サブカルじゃん?という疑問はおいといて、まだこの頃は、クール・ジャパンを自称する程の驕りはなかったし、その手法が「登録商標ブリテン」からのパクリであることが、認識可能だった。外務省は頑張って、各国で日本文化を紹介するイベントを開催したりしてきたし、そこには経産省も関わってきた部分があったはずだ。

すると、クール・ジャパンとやらは、外務省のポップカルチャー外交の成果なのだろうか?

残念ながら、否である。

ダグラス・マッグレイが、「Japan's Gross National Cool」と論文を発表したのが2002年。

フランスのジャパンエキスポは、1999年から始まっているが、Cool Japanというキーワードがル・モンド紙に出たのは2003年だろうか。
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E382880148/index.html

日本では、「COOL JAPAN THE EXPLODING JAPANESE CONTEMPORARY ARTS」が出版されたのが2004年。

米国でのクール・ジャパンの仕掛け人の一人、アレクサンドラ・モンローが、グッゲンハイムのアジア担当シニア・キュレーターに就任したのが2006年。


つまり、このキーワードは古く、今更言い出す奴は時代遅れで、かなりクールじゃない。
クール・ジャパンの前は、ジャパニメーションとか言ってたのも似たようなものだ。

しかも、このキーワードが通じた国々は、既にこれから成長の見込めない、欧米である点に留意すべきだ。

経産省が昨年まとめた報告書でも、今後の国際展開先としてはアジアに注目していた。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/movie.pdf

上記報告書では、アメリカ市場への進出に失敗する最大の理由として、人材不足を挙げていた。アメリカ市場へ進出するための日本映画業界に必要な人材の要件として以下を示し、そういった人材は育成するには時間がかかるから、諦めてアジアを開拓しようという悲しい論理だが、しかしまだ冷静だった。
-->
 【専門知識】
・英語力(脚本や契約書の読解力)
・知的財産権の知識
・映画業界特有の会計の知識
・制作に関する知識(アメリカの大学、大学院での履修経験。しかも業界内での評価から、映画関連大学は、トップクラス校である必要性)

 【教養、素養面】
・業界特有の慣習、文化の把握力
・業界への同化力
・歴史、文化やトレンドなどの知識
・配偶者の社交性
・交渉における機転やジョークのノウハウ
<--

どうしてそれが今年になって、「コンテンツ海外展開ファンド」を創設すれば海外で稼げる、なんて無謀な戦略につながる?
俺たちクールだから?

寝言は寝てる時に言ってくれ。


アジアでは、哈日族(ハーリー族)はいるから、彼らを増やすような戦略は重要だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%93%88%E6%97%A5%E6%97%8F
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1694

しかし、既に哈日族な人々には、クール・ジャパンなどと言う必要は今更ない。

この点、以下のブログ(この方も経産省ですが必読)の「クールジャパンはインナーシンキングだ」という意見に、自分も賛成する。
http://d.hatena.ne.jp/masays/20100406
アニメージュの読者なら30年前から知ってる、という意見も同感(苦笑)

これから成長市場のアジアを主戦場とし、そこでまだ哈日族でない人々に訴えるには、クール・ジャパンなんて自画自賛が漏れ伝わるのはマズイ。

しかも、どうして「コンテンツ海外展開ファンド」なんだ?
どうせコピーするなら、クール・ブリタニアをもっと精巧に分析して、本家以上にしてくれ。なんで、劣化コピー以下の粗悪品な政策になってるのさ?
「登録商標ブリテン」をちゃんと分析したかい?

冷静な情報分析ができず、俺たちはスゴイ的な誤信に基づいて宣戦布告みたいな、いつか来た道と同じではないか。

アバターと竹槍で戦えと?


今、CG制作現場で使われている主要ツールで、国産のものなどないに等しい。
AutodeskAdobeの2社の製品抜きでは、何も作れないと言っても言い過ぎではない。
実際、国産ツールなんて、竹槍程度のものしかないのだ。

にもかかわらず、何でこんなに自信を持っているのか、さっぱり理解できない。


もちろん、制作現場の人間は、負けてることをよく理解している。
だからこそ、ハリウッドの下請けでもやってみたいという意見に、賛成が集まる。

フルCGで映画を作る時、最初に検討するのは、どのソフトウェアを使うかだ。
高いけど、PixarからRenderManを買うか?とか、とっても悩むのだ。

しかし、その選択肢に国産ツールなど、一つもない。選択したツールに深刻なバグがあって、制作に支障が生じても、海外のメーカーはほとんど対応してくれないと分かっていても、それを買うしかない。

道具を海外依存しておいて、ファンドがあれば勝てると思うような妄想は、制作現場で苦労してる人間からは、出てこないだろう。かなりマヌケだ。

その辺の詳細は以前、以下に書いたので繰り返さないが...日本の映像制作は、映画産業以外の仕事で食いつないでる点を理解して、効果のある産業支援を検討して欲しい。
http://maruko.to/2010/03/post-81.html

先月、円谷プロダクションデジタル・フロンティアフィールズに買収されたのも、必然の流れだ。
http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=201189
http://www.p-world.co.jp/news2/2010/3/29/news3894.htm


ところで、これから開拓すべき市場は、本当にアジアなのだろうか?

日本作品に好意的でありながら、ハリウッド作品を素直に受け入れられない、資金の豊富な国々と言えば、中東のイスラームな国々だ。経産省の資料等では、中東に関しては一言程度しか触れられていないが、民間のアニメ・CG制作会社は、既に中東へ関わり始めている。
http://animeanime.jp/biz/archives/2009/04/cg_4.html

上記サウジアラビアでのプロジェクトは、最近やっと動き始めたが、自分も在職中に見積もりに少し関わったこともあり、今後に注目している。なお当時、社長から冗談半分に「サウジ行く?」と聞かれたが、退職したのはそのせいではない(苦笑)

http://riyadh.exblog.jp/13433802/
いやはや、デッサンから始めてるとは、頭が下がります。

冗談抜きで、石油依存から脱却しようとしている中東諸国への文化的な関わり方というのは、今後の日本にとっても重要だろう。

例えば、日本の家電は、既に韓国等に負けており、挽回の兆しはない。今まで、アジア市場で負けているのは、安価な製品じゃないと売れないからで、日本製品は性能が上だけど高いから売れない、と説明されてきた。しかし、ドバイでも日本の家電が韓国製品に負けているそうで、値段は問題じゃないことが分かる。
http://blogs.yahoo.co.jp/dubai1428/31697357.html
(上記ブログのコメント欄で日本擁護してる人が、正に自称クール・ジャパンと同じニオイがする(苦笑))

今後、技術分野での優位は、益々失われると考えるのが順当だ。そういう意味でも、クール・ジャパンなんて今頃言ってるのは、かなり恥ずかしい。
サウジじゃまだ、一応尊敬を得られている日本人というブランドは、今後は何によって維持できるだろうか。

かつて中東諸国では、ポケモンがハラームだと、ファトワーが出た。イスラームの教えに反するとして、サウジでも禁止になった。逆に言えば、それほど大人気で、社会問題になっていたのだろう。
http://www.cafeglobe.com/news/dailynews/dn20010424-02.html

しかし、それでも日本のアニメは、今も受け入れられている。なんという素晴らしいお得意様だろう。イスラーム圏での日本のアニメの人気は、単なるブームではなさそうだ。中東から先進国を眺めた時、日本だけ違って見えるのかもしれない。

そんな中、超保守なサウジで日本人がCGを教えるということは、広く中東地域の将来の文化に、確実に影響を与えるだろう。

そのうち、サウジで一定規模のCG制作が可能となれば、オイルマネーで日本に下請け仕事、くれるかもよ...え?違う!?(苦笑)

蛇足:
ついに某試験まで1ヶ月を切り、ブログ書いてる暇がなくなるので、試験後に確実に失っているであろう気力を回復するまで、しばらくこのブログの新規エントリは控えます。

追記:5/24
「あなたが思う"クール・ジャパン"コンテンツは?」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1005/18/news098.html
うーむ、酷い調査&記事だ。
「最近、注目されるようになっている」とか、2行目から嘘ではないか。
一体、この記者の考える「最近」とは、何十年前までを含むのだろうか?
しかも、ドラゴンボールやドラえもんがクールとは、東京工芸大学はどんな質問したんだ?
質問する前提として、「クール」の意味を定義しないで、質問したんじゃあるまいな?
2ページ目に載ってる「宮崎駿映画で世界の子どもたちに見せてあげたいと思う作品」なんて質問自体、押し売りクール・ジャパンそのもの。
せめて、「見てもらいたい作品」というなら、まだ分かる。何で、質問からして上から目線なんだよ。


ところで最近、コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会の報告書が出た。
http://www.meti.go.jp/press/20100514006/20100514006.html

産業構造審議会情報経済分科会みたいには、クールジャパンを盲信せず、ちゃんと日本が負けてることを真摯に受け止めてるところから考えてるのは、素晴らしいと思う。

でもやっぱり、パチ産業は無視してるけど(苦笑)

http://www.meti.go.jp/press/20100514006/20100514006-3.pdf
上記報告書の、表記上のP16にある
「② 大規模CG映像製作分野への参入」に出てくる
「アジア域内でのCGアニメ共同制作のためのインフラ構築構想(Creative Asian Pipeline 構想)」ってのが気になる。

概念的な話なのか、物理的にインターネット経由で共同作業とかいう無謀な話だろうか?

海外と仕事って、結局先方の国のインターネット普及状況に左右されてしまう。ヨーロッパにしろアジアにしろ帯域が狭くて、どこも光回線は皆無だから、連番画像とか大きいデータは、結局HDDをDHLで直送ってのが、まだまだ現実なんだよね。

追記:5/25
「ハリウッドVFXの仕事を日本で受注するための支援」の提案者さんのブログで、「コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会」の報告書についてのフォローがされてましたので、リンクしておきます。(このエントリーにリンクしていただいていることに、遅ればせながら今気づきました。)
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx.html
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx_20.html
http://shikatanaku.blogspot.com/2010/05/vfx3.html
先週、今回の報告書を読んだ時、アイディアボックスを反映しているのかな?とは思ったのですが、審議会と研究会の関係に詳しくないので、ぬか喜びしたエントリーは控えようと思っていました。しかし、上記3つめのエントリーによると、やはり意見が反映された報告書なのだということです。あとは、6月の新成長戦略にどうつながるか、注視したいです。

なお、上記を読んで、経産省のイメージの話がありましたので、このエントリーでも批判的に書いているため、念のため付言しておきます。

私の在籍したロースクールは、社会人のための夜間ローでしたから、クラスメイトは皆、仕事と二足のわらじでした。そして、様々な職種の様々な年齢層のクラスメイトの中に、経産省の現役官僚もおりました。共に勉強するうちに、職場の苦労話も自然と耳に入ってきましたから、その大変さも少しは理解しているつもりです。

また、今までもアニメ業界の下請け問題等の健全化のため、経産省が様々な取り組みをしていることも理解しており、私の中では、「経産省GJ!」と思うことも多いです。そういう、ある種の期待の高い役所でもあり、アイディアボックスを始めたことも、私は高評価しておりました。

それだけに、当初の産業構造審議会にガッカリしたのです。

そして、コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会が、アイディアボックスの意見を反映しているのであれば、その報告書を公開した時点で、
http://twitter.com/openmeti
http://d.hatena.ne.jp/ideaboxFU/
これらで報告してくれても良いではないか、と思うのです。
せっかくTwitterやブログがあるのにアナウンスされなかったので、「アイディアボックスと無関係なのだろうか?」と、迷いました。私が報告書の公開を知ったのは、偶然他人のツイートからです。

そんなこんなで、経産省そのものをダメだとか言う気は全くなく、個々の人々が頑張ってることも知ってますが、問題点は問題点として指摘する、というスタンスです。

と、追記が長くなってしまいましたが、今年の新司法試験が終了ということで、今週は上記経産省のクラスメイトとも久々に飲むので、「メディアコンテンツ課」ってどうよ?とか聞いてみようかなw

追記:5/30
と、上の追記をしたところ、5/27にアナウンスされました。
http://twitter.com/openmeti/status/14798079247
http://d.hatena.ne.jp/ideaboxFU/20100527/1274919221
書いてみるものです。
って、単なる偶然か、ここを見ていただけているのかは、分かりませんが(^^;

ちなみに飲み会は、諸事情で急遽中止に。残念!

追記:6/10
「経済産業省にクール・ジャパン室設置」
http://www.animeanime.biz/all/2010060803/
言葉を失った...
今からでも遅くないから、「実はソレ、温暖化対策室の間違いでした」と言ってくれ!

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2666395/4942097
-->
【11月21日 AFP】イエメンの首都サヌア(Sanaa)北東のアルハブ(Arhab)で日本人男性技術者(63)が地元部族民に拉致された事件で、解放交渉にあたっている部族関係者は21日、男性が20日深夜から21日未明にかけて、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員に身柄を拘束されたと語った。
<--
http://www.asahi.com/international/update/1122/TKY200911210395.html
-->
イエメンで日本人技師が地元部族民らに拉致・拘束された事件で、AFP通信は21日、部族関係者の話として、技師の身柄が国際テロ組織アルカイダ系武装組織の手に渡ったと報じた。イエメン当局者や在イエメン日本大使館は否定しており、真偽は不明だ。
<--

色々と情報が錯綜している。

そもそも、どうしてイエメンでアルカイダ(アル・カエダと表記した方が良いみたいだけど、アルカイダの方が日本じゃ浸透してるので、ここではアルカイダと表記する)が関係するのか、分からない人も少なくないだろう。

実際は異なる可能性もあるが、しかしながら、アルカイダに身柄を拘束されている可能性が、十分にありえる話であることは事実だ。

フォーサイト12月号が、タリバンやアルカイダ関連の記事が多く、かつそれぞれの記事が異なる視点からのもので、相変わらず面白かった(『次なる火薬庫「イエメン」の現在』、『アフガニスタンに移り始めた外国人テロリスト』、『タリバンとアル・カエダ "主敵"を見極められない米国』等)ので、その辺の浅知恵も交えて書いてみよう。
(今月のフォーサイトは、民主党関係や中国関係、JAL関係...どの記事も外れは無かったのだけど、実は外交・安保を誤った白村江の戦い  なぜ中大兄皇子は猪突したのかがオススメ。外交は難しいw)

・なぜイエメンでアルカイダ?
そもそも、イエメンとはどんな国か。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2378883/2837848
単なるロリコン国家...ではないw
アラビア半島で、唯一共和制をとる立憲国家であり、女性にも参政権が認められ、言論の自由もある(大統領個人への批判を除き(苦笑))。しかし、国民の半数近くが貧困に喘いでおり、豊かではない。だからこそ、JICAの委託で、日本人が教育支援事業に従事していた。そして、テロとの戦いでは、アメリカの同盟国だ。

ところがイエメン政府は、北部のイスラム教シーア派武装組織フーシ派とのサアダ戦争にかかりっきりで、もう5年になり、経済は大打撃を被っている。そんな状況で、政府の管理が及ばない地域で、アルカイダが勢力を拡大しているのだ。(フーシ派とアルカイダは、関係ない。)
昨年9月には、首都サヌアでアメリカ大使館が爆破されたが、今年1月にサウジアラビアとイエメンの組織が合流し、「アラビア半島のアルカイダ」を設立。8月には、サウジ王族の副内相の暗殺未遂事件を起こしている。イエメンが安定しないと、アルカイダが活気付き、アラビア半島全体を不安定にするため、今後の注目地域だ。

そんなところなので、日本人が誘拐されれば、アルカイダが関係している可能性も否定できないわけだ。

・アルカイダってアフガニスタンでは?
でも、アルカイダってのは、アフガニスタンで米軍が戦ってる相手なんじゃないの?という疑問を持つかもしれない。

実は、パキスタン・タリバン運動(TTP)が、アルカイダ系の外国人戦闘員約5千人を抱えており、これを最近もアフガニスタンに送り込み、NATO軍の補給路封鎖に動いていた。そして今、パキスタン軍が、TTPを攻撃している。
http://mainichi.jp/select/world/news/20091119ddm007030069000c.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009111702000079.html
パキスタンとアフガニスタンのタリバンは、一見兄弟関係だが、現状は全然違う。アフガニスタンのタリバンは、パキスタン政府の支援を受けて育ち、決別したとはいえ、今も対立していない。しかしTTPは、パキスタン軍から攻撃されているわけだ。以前は、パキスタン軍もTTPとの対立を避けていたが、最近TTPの過激化が酷く、アメリカの圧力もあったが、ついには掃討作戦に出ることになった。つまり、反米で共通していても、タリバンとて一枚岩ではない。

そして、アルカイダは、タリバンがアフガニスタンの政権を握っていた当時は、その支援を受けていたわけだが、今は特に連携が見られないという。これもTTPとの違いだろう。アフガニスタンでは、タリバンがケシ栽培で資金が豊富なのに対し、アルカイダは資金難で、活動範囲を縮小している。

短絡的に考えるべきではないけれど、アルカイダは、アフガニスタンからイエメンに、活動の場を移しているのかもしれない。まあ、そもそもアルカイダは、組織として明確な団体ではないので、移ったというよりも、アフガニスタンでは廃れ、イエメンで流行しだした、ということかもしれない。だからこそ、TTPの支援で、アフガニスタンに5千人を送り込もうと...
この辺は、想像するしかない。

・アメリカはアフガンで誰と戦ってるの?
すると、テロとの戦いをアフガニスタンで展開する米軍は、誰と戦っているかといえば、アルカイダはメインではない。かつてのアフガニスタン政権を担っていたタリバンが、反政府武装勢力として活発化しているのであり、これを潰すにはゲリラ戦に勝利しなければならない。

ここに、アメリカ政府内でも迷いがあり、アルカイダとの対テロ戦に集中するか、タリバンとの対ゲリラ戦に集中するか、一本化できてない。オバマ大統領は、テロとの戦いと言うが、アフガニスタン駐留米軍司令官が4万人の米軍増派を提案しているのは、ゲリラ戦マニュアルに従った計算だそうだ。テロとゲリラの違いは...(ry

・まとめ
まあ、日本人からすれば、アルカイダだろうがタリバンだろうが、テロリストだろうがゲリラだろうが、そんなの関係ねー!かもしれない。

しかし、イエメンで日本人を拘束しているのが、アルカイダなのか、現地部族民に過ぎないのかは、その結果に大きな差が出そうだ。

仮に、当初は接点が無かったとしても、アルカイダがこれを利用しようとする可能性も否定できない。

犯人側が釈放を求める男は、イラクで対米ゲリラ戦に参加し、イエメンで4年前から裁判を経ずに拘束されている22歳ってことで、何歳で戦闘に参加してたのか興味深い。

日本政府は、テロを根絶する気があるなら、アフガニスタン支援だけではなく、イエメン支援の強化も検討した方が良い。そうじゃなきゃ、単なるモグラ叩きになってしまう。まあ、気がついてないだろうけど(苦笑)

http://blog.goo.ne.jp/dongyingwenren/e/439171d6f1f2f59d6668ea2ee634499d

この話は、これはこれで重大で、一応広めるべき問題として紹介。

しかし、その問題と別に、上記のブログのコメント欄を見て思ったことを少々。

平和ボケ」を肯定する意見を、非難する意見が出ていることが、なんとも情けない。

自分でも、何かを書く時に「平和ボケ」をバカにするキーワードに使うことはある。しかし実は、「平和ボケ」の存在そのものは、とても素晴らしいことだと思っている。平和ボケの視点で、平和でない他国の紛争を解釈してはいけないだけだ。

ところが、平和ボケが素晴らしいということは、平和の中で暮らしていると、なかなか理解できない。平和ボケし、娯楽文化ばかり発展させる日本を、戦争ばかりしている国の人々が羨ましがっていることなど、正に平和ボケしていると想像できない。

http://b.hatena.ne.jp/entry/alfalfa.livedoor.biz/archives/51504437.html

戦争体験世代が減少し、平和ボケした世代のみになると、実はその状態こそが最も尊い価値があるということに鈍感となり、普通に戦争できる国になるべきだ等と、振り子が戻される。

例えば、「平和のために軍隊が必要」というのは、単純に言えば論理破綻している。しかし、これが正当化されるのは、「外敵」という要因がプラスされるからだ。「外敵」があって、初めて一定程度正当化される、限定解釈付きの理論だ。

なので、本来は程度の問題なのだけど、限定解釈付きの理論であることに気付かないと、限定の程度を超えて修復不可能に論理破綻しても気付かない。

もちろん、「外敵」が存在しない世界なんて有り得ないのだから、原則として論理破綻は無いという主張も可能だ。つまり、一国平和主義は不可能。世界が平和でないのだから、軍隊無しに平和は成立しない。これは、現状認識としては正しい。

これらを前提とすれば、「平和のために軍隊が必要」となる。


そこで、その前提を取っ払うために、自国の平和のために世界平和が必要、なんて言うと、頭がお花畑だと非難される。これがそのまま、憲法9条批判につながる。

ところが憲法は、前文と98条2項で、国際協調主義の精神を掲げている。これを否定するのは、いかに改憲派でも難しい。そこで改憲派は、国際協調主義を肯定しつつ、平和は訪れない前提で、9条を否定することになる。

9条が前提とする平和は夢物語で、現実の平和のためには、邪魔だと。
国際協調主義のため、現実の世界平和のため、軍隊を海外に出せるようにすべきだと。

ところが現実には、国際協調主義自体が夢物語であり、理想に過ぎない。国際協調主義とは、パワーポリティクスを現実主義と言う時の理想主義のことだし、覇権主義の対義語であり、先日まで与党であった自民党が、ひたすら追従してきた、ブッシュ政権時代のアメリカの外交政策の正反対でもある。

つまり、9条という夢物語を否定しつつ、国際協調主義という大夢物語を前提とする点に、改憲派の大きな矛盾がある。これが特に、アメリカを中心とした国際協調主義だったりすると、胡散臭さが倍増する。というか、それは国際協調主義ではない(苦笑)

本来の意味での国際協調主義という夢物語を肯定するなら、9条を肯定したところで、実は大差ない。憲法は元々、国際協調主義という夢物語を前提にするから、9条が存在できるのだ。

憲法は、実現していない理想が沢山詰まった、夢絵巻として存在価値があるので、よく読むととても楽しいのだ。憲法が現実的である必要は、そもそも無い。書いておかないと達成できないことを、忘れないようにメモ書きしているような条文が、努力目標として存在したりする。

過去に実現していない夢だから、今後も有り得ないというのは、人類は進歩しないという前提の理論なので、悲しい。夢が無い理論に、積極的に加担するのは、生きる価値を見失いそうなので、お断りしたい。憲法は、理想であるから、理想は高い方が良いのだ。容易に実現可能な理想なんて、真っ平御免である。

夢物語を長年憲法に掲げられるなんて、素晴らしい平和ボケだ。この平和ボケの素晴らしさを理解できずに非難する、平和ボケした人々の考えは、戦争ばかりの地域の人々からしたら不思議に思われるかもしれない。スゲー、羨ましいよとw

でも、それを「友愛」とか言われると、途端に、理想を掲げること自体が胡散臭くなるからヤメレ...と思う今日この頃。

イランの油田争奪戦、中国が日本を大幅リード―仏メディア(レコードチャイナ)
http://www.recordchina.co.jp/group/g34031.html
イラン・南アザデガン油田、中国が権益70%獲得へ(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/0801/TKY200908010214.html
-->
イランの核開発問題を受け、日本企業が自ら権益を縮小したイラン南西部の大規模油田「南アザデガン油田」について、中国石油天然ガス集団(CNPC)が権益の70%を獲得する見通しになった。イラン石油省傘下のシャナ通信などが報じた。日本が開発主導権を手放した後、資金不足のイランは中国に接近していた。
<--

結局、アメリカの圧力で日本が手放した油田の権益は、中国が獲得するわけだけど、この件で中国がアメリカから非難されたという話は、一切聞かない。

資源外交という国民生活に直結する問題の、政府の大失点を、「日本企業が自ら権益を縮小した」なんて報道するアサヒは、何に配慮してるのか疑問。選挙が近いから、麻生政権の大失策を指摘するのに、躊躇しているかな?

エネルギー外交能力が無いということは、日本という資源不足な国の政府として、かなり深刻。アメリカ追従した結果、ロシアに依存度高めるって...理解不能。
サハリン1
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/229583/
サハリン2
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/239823/

機能不全の麻生政権の合間に、日本の選択肢がどんどん無くなっていく。

凄い大問題のハズなのに...

のりPとか、もうどうでもいいから、ちゃんとこの国の政策の問題に関する出来事は、メディアは大きく取り上げるべきだ。

以下は、14日に某所にアップした書き込み。最後に追記あり。

--
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2557838/3682679

ロシアから移民した連中が、教育レベルが低く、好戦的で、彼らの割合が増したことが、現在のイスラエルに影響しているという話はある。シャロンが居ない今、オルメルトには彼らを抑えられないみたいだ。

そもそも、2006年にレバノンに侵攻してヒズボラに撃退された後、オルメルトの支持率は地に落ちた。汚職も明るみに出て、カディマ党首の地位をリヴニに譲った。で、オルメルトは、現役首相でありながら汚職で起訴されることが、年末に決まっていた。

まあ、レバノンの時も、別にオルメルトが積極的に侵攻を支持したわけじゃない。カディマだから、脳卒中で倒れたとはいえ、シャロンの路線を引き継 いだ政権だったわけだけど、シャロンのように軍部を抑えられなかった(軍人として英雄だったシャロンのようには、軍部の支持が無かった)結果だったとも言 われている。

パレスチナ側は、やはり軍事的英雄だったアラファトの死後、力不足のアッバスが議長になったけれど、アラファト亡き後のファタハに民衆の支持はな かった。2006年初頭のパレスチナ評議会選挙は、民主的な選挙によって、ハマスが過半数の議席を得たわけだ。ところが、民主的にハマスが政権に加わった ことが気に食わない西側諸国(日本含む)は、パレスチナへの支援を打ち切った。これによって、パレスチナの公的機関は職員への給与支払いもままならなくな り、政府の統率力はジリ貧に。
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2120494/946800

http://www.afpbb.com/article/politics/2116131/917863
当時のこんなのも、国際社会からの支援を再開してもらいたい一心だったのかもしれない。

ハマスは、西側の民主的なルールに則ったのに、何故?という気持ちだったろうね。政権に加わったハマスは、ちゃんと自制して停戦を守ろうとしてたしね。
http://electronicintifada.net/v2/article5951.shtml
上記の文中の数字を信じるなら、ハマスが政権参加した2006年は、圧倒的に、イスラエルとパレスチナの死者数の比率が変わった。ハマス がやり返さなかった結果、イスラエル人1人殺害に対して、パレスチナ人は76.2人イスラエルに殺されるようになったわけだ。それまでは、やられたらやり 返したから、命の価値が10倍以上も開いたことはなかったのに、我慢したからやられっぱなしになったわけだ。

まあ、時々酷い挑発に、堪えられなかったこともあったけどね。
http://blog.livedoor.jp/soliton_xyz/archives/50436931.html

で、2007年中ごろ、ついにハマスは政権に居ても無意味だと悟り、ガザの武力占拠に至るわけだ。その後のことは、言わずもがな...ハマスもたがが外れた。


ハマスとイスラエルとの停戦は何度かあったけど、今回の侵攻直前に最低のやり方で停戦を破ったのはイスラエルだ。停戦を信じて集会を開いていたハマスの施設に、効果的に攻撃を仕掛け、ハマスを大量に殺したって言われてるな。

イスラエルは、効率的にパレスチナ人を殺すの好きだな(苦笑)
http://0000000000.net/p-navi/info/news/200901100445.htm

そんな嘘ばかりつかれて殺されてる最中に、再度ハマスが停戦を受け入れるなんて、常識的に困難だ。どうせ、また騙されて殺されると思うのが普通であって、余程の安全が確保されなければ、拒否するのは当然だと思う。


国連が何を決議しようと、イスラエルが国連を軽視していることなんて、誰だって知っている。2006年のレバノン侵攻の時、国連レバノン暫定駐留軍の施設は、イスラエル軍に集中的に狙われた。暫定駐留軍は、攻撃に対する反撃すら禁じられてるのに...残虐だった。

6時間に渡ってイスラエル軍の標的にされた時、当時のアナン事務総長の攻撃停止の呼びかけも、無視しつづけたわな。で、自国から派遣していた監視 要員をイスラエルに殺された中国は、猛烈にイスラエルに抗議して、安保理の非難決議を提案したのに、反対したのがアメリカだったな(苦笑)

オルメルトは、国連安全保障理事会の停戦決議を「役に立たない」と拒否したそうだけど、本心は「そんなの関係ねー」ってのが、そもそものイスラエルの立場なわけだ。ただ、2006年と異なるのは、冒頭に書いた通り、オルメルトの立ち位置だ。

レバノン侵攻は、オルメルトは軍部を抑えられなかった。今回も、基本的にはカディマは攻撃に否定的だったのではないかと思うのだが、2006年以 上にオルメルトは軍部に押さえがきかない。かつ、汚職まみれで支持率がない。次期首相候補のリヴニと共に、カディマの支持率をアップせにゃならない。

レバノン侵攻失敗後は、イスラエルの世論も反戦が増え、兵役拒否する若者が増加したことが話題にもなっていた。

ところが、今は9割超が戦闘を支持しているというのだ。9割が戦争を支持する民主主義国家で、支持率がジリ貧の汚職まみれの首相が、戦争を止めようと考える理由があるだろうか?

しかも、カディマが支持率を失ったら、控えているのは極右のもっと酷い政党ばかりだ。

レバノン側からの攻撃も確認されてるけれど、ヒズボラが否定していようと、イスラエル国民は信じないだろうよ。また、ヒズボラに負ける...と恐怖が増してるかもね。

少なくとも、9割の支持なんてのが大嘘でない限り、民主主義国家が、戦争を止められるとは思わない。ハマスも、戦闘することで民衆の支持を得てい るのだから、尚更だ。民主主義的政権からは降りたけれど、評議会の過半数はハマスの議席のままだから、ファタハは評議会自体を開かない。

これ、宗教なんて関係なくて、単に、民主主義勢力同士の、民衆の支持を得た戦争なんだよな...

どちらかが反撃できなくなるまで疲弊すること以外に、停戦の目安なんて無いような気がする。つーか、もしも今回、国連の力で停戦させられるなら、それは、国連自身がスゴイ進歩したってことだと思う。しかし、潘基文事務総長って、アナンより指導力あんのかね?
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090113-OYT1T00426.htm

原油価格が下落した今、中東が騒がしくなって再度の価格上昇が望ましい資源大国とか、居るしね...


しかし、冒頭の、ハマスを日本の二の舞にしようなんて言ってる連中を擁護せにゃならん日本てのは、笑ってしまうな。国連人権理事会のイスラエル非難決議に、日本は棄権してやんの。
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011201000421.html


最後に、「イスラエル軍ガザ侵攻 写真特集」にリンクしておく。
http://www.jiji.com/jc/d2?p=gaz00101-07612270&d=004so

--以上

で、現在、オバマの登場と、イスラエルが2月10日が総選挙というタイミングに合わせ、支持率アップのためのカディマの戦争も、とりあえず収束なわけだ。総選挙を延期するかって話もあったけど、今の状況なら、実施するのだろうね。兵士も帰還させれば、本人も家族も投票してくれるって?(苦笑)

今度の1000人以上の殺戮で、カディマがイスラエル国民の支持を回復し、選挙に勝てるなら、しばらく戦闘は収まるかもしれない。カディマが、もっと右派な政党に負けた場合、すぐに戦闘再開かもしれない。

あ、ちなみに、今度の選挙じゃ、今まで立候補できていたイスラム系イスラエル人による政党は、立候補禁止になってます...もう、イスラエルって、民主主義国家じゃなくなってきたんじゃねーか?


写真素材のピクスタ

アーカイブ

Las Vegas

Lights for Rights

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち中東カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリは中国です。

次のカテゴリは国家戦略です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.23-ja