野田政権の外交

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「米議員、イラン原油18%削減を 輸入国の制裁回避へ基準 2012/01/20 10:57」47NEWS
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012001001430.html
「日本や韓国、欧州諸国などイラン産原油輸入国を対象とした米国独自の制裁法をめぐり、法案起草の中心となったカーク上院議員(共和党)とメネンデス上院議員(民主党)は19日、ガイトナー財務長官に書簡を送り、制裁実施を回避する条件として、イラン産原油の輸入を価格ベース年間18%以上削減することを基準とするよう提案した。」

18%の根拠が不明だし、妥当なのか分からないけれど、アメリカが妥協し始めている感じがする。

しかし、価格ベースで年18%で良いなら、もっと有効な経済制裁手段がある。
原油価格相場を下落させれば良い(オイw

「世界経済のネタ帳」から、グラフを拝借してみる。
http://ecodb.net/
[世] 原油価格(WTI)の推移(年次:1980~2011年)

イランの原油輸出額は、当然に原油価格と連動している。

[世] イランの原油輸出額の推移(1980~2011年)

アメリカのお陰で、イランの原油輸出額が上昇したとも言える。
2003年:アメリカがイラクに侵攻
2007年:アメリカでサブプライムローン問題
2008年の終わりから一時的に下落したのは、リーマンショックによるものだけど、世界が不安定になればなるほど、結果的には資源に金が集まる。

日本は今まで、過去5年でイランからの輸入量を4割削減したのに、全くの焼け石に水だったわけだ。誰のせいとは言わないけど。
(つまり今回、「価格ベース」ということは、今後更に原油価格が高騰すると、輸入としては日本が何割削減しても追いつかない可能性がある。)

今回だって、結果としてイランの原油輸出額が上昇する可能性はある。輸出量が減っても、価格が上昇するのだから、産油国にはむしろ有り難いか(苦笑)

アメリカは、イランに利する投機マネーによる原油価格高騰こそ、規制すべきだ。
それなら、世界が歓迎するかもよ(笑)
(価格が年18%以上下落すれば、どの国も輸入量を減らす必要はないw)


ところで、一連のアメリカからの圧力に対して、昨年末からの野田政権の対応は、ちょっと面白いと感じている。

「イラン制裁、例外要請=玄葉外相「経済に打撃」-米に懸念伝達」(時事ドットコム:2011/12/20-10:23)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011122000224
玄葉外相は、「クリントン米国務長官との会談で、対イラン制裁を強めるためイラン中央銀行と取引がある外国金融機関に制裁を科す法律が近く米国で成立することに関し、「イランからの原油輸入が停止すれば、日本経済、世界経済全体に打撃となる恐れがある」と懸念を伝え、日本の原油調達に悪影響が出ないよう邦銀への適用除外を要請した。」

イランは、日本がアメリカの政策に反発したことを喜んだ。
「日本、対イラン制裁について米に警告」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23706%3A2011-12-17-09-37-04&catid=17%3A2010-09-21-04-36-53&Itemid=116#.Tu8aTwDOeDM.facebook
「日本、イラン産原油の輸入を継続」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23814:2011-12-20-13-13-57&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「なぜ日本はイラン産原油への制裁を実施出来ないのか? 」
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23919:2011-12-23-12-31-47&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

しかも、日本だけじゃない。
「韓国、イランからの石油輸入増加」2012年 1月 04日(水曜日) 18:11
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=24258:2012-01-04-13-49-42&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116
「韓国の政府筋が、「わが国の精油所は、原油購買契約の延長により、今年は、2011年よりも日量1万バレル多い原油を、イランから輸入することになる」と表明しました。」

増やすのは流石にウソ~ンって感じだけど、韓国もアメリカに抵抗しているのは事実だ。
日本と韓国は、多少は足並みをそろえて抵抗しているのかもしれない。

以前は、アメリカがノーと言えばアザデガン油田の権益放棄して終わりだったのだから、ちょっと感慨深い。
http://maruko.to/2009/08/post-61.html


そして、時期を同じくして、ロシアとの関係が急速に親密になってる。
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/02/61374173.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/06/61644216.html
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62301545.html

鈴木宗男が仮釈放で出てきたのは、ただの偶然か?w

この流れの中で、「プーチン首相 日本との間で大規模鉄道プロジェクトを検討中」
http://japanese.ruvr.ru/2011/12/15/62302901.html
こんな話も出てきた。ロシア、前のめり過ぎww

更に、対中貿易で、米ドルを経由しない、元と円の直接決済の話も年末に出た。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0104&f=column_0104_002.shtml

アメリカの顔色うかがってたら、こんなの中国から提案されたって、すんなり前向きに検討なんて難しい。まあ、本気かどうか関係なくて、アメリカ外しの動きを見せることが面白い。(ちなみに、イランとの原油取引は、2007年にイランからの要請で米ドルから円建て決済に各社移行しており、イランは円高の恩恵も受けている。)

で、今年に入っても、ロシアは積極的。
「マトヴィエンコ議長の日本訪問 議連発展に向けて 12.01.2012, 13:31」
http://japanese.ruvr.ru/2012/01/12/63714248.html

そこで、ラブロフ外相の来日を目前に、あえてとった玄葉外相の行動がこれ。

玄葉外相 北方領土を洋上視察(01/14 15:25)北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/343415.html
「玄葉光一郎外相は14日午前、根室管内羅臼町の羅臼港から海上保安庁の巡視船「かりば」に乗り、北方領土の国後島などを洋上視察した。」

急接近しつつ、簡単に妥協しない姿勢を示し、ロシアにも揺さぶりをかけているわけだ。
その結果か知らんけど

http://japanese.ruvr.ru/2012/01/18/64119657.html
ロシアは日本のパートナーとなることを望んでおり、地域問題や軍事政治問題などの国際問題に共通のアプローチをとっていくことを期待している。」

こんなのが「ロシアの声」で読めるとは面白いw
是非、イラン問題では行動を共にしたいですな。


アメリカも流石に、日本が抵抗していることが分かってるので、ガイトナー財務長官を送り込んできた。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXNY3K0YHQ0X01.html
「安住淳財務相とガイトナー米財務長官は12日午前、財務省内で会談し、日本の原油輸入の10%を占めるイラン産原油についてシェアを削減することで一致した。日本側が米側の要請を踏まえ、計画的削減に応じる考えを表明した。」

これを聞いたとき、ありゃりゃと思ったのだけど、官房長官が即効で否定(笑)

「イラン原油対応 引き続き検討 1月12日 20時47分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120112/t10015228101000.html(魚拓にリンク)
「藤村官房長官は記者会見で、核開発を進めるイランに対し原油などの輸出入を事実上できなくするアメリカの制裁措置に関連して、安住財務大臣が表明した日本への原油輸入量を段階的に減らしていく方針は意見の1つであり、引き続き政府内で対応を検討していく考えを示しました。」

更に加えて首相も否定(爆笑)

「イラン制裁:野田首相「原油輸入減は財務相の個人的表明」 2012年1月13日 20時7分 更新:1月14日 1時6分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120114k0000m010050000c.html
「野田佳彦首相は13日の記者会見で、核開発を続けるイランへの制裁を巡り、安住淳財務相が12日のガイトナー米財務長官との会談で「(原油輸入量を)早い段階で計画的に減らす」と表明したことについて「これまでの経緯と見通しを個人的に話されたと思う」と述べた。」

そもそも、ガイトナーが来るのに枝野経産相が不在で、安住財務相に代役で対応させるとか、そんな扱いをアメリカ様にするなんて、のっけから面白い。
「安住氏「イラン原油輸入を削減」 日米財務相会談 2012/1/12 10:57 (2012/1/12 13:57更新) 」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E0E2E2958DE3E0E2E3E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
「今回のガイトナー長官の訪日にあたっては、枝野幸男経済産業相らが不在であるため、経済閣僚を代表して安住財務相が会談に臨んだ。会談内容を共同声明として文章化することは見送った。」

日本の国益を考えるなら、これを閣内不一致とか攻撃してはいけない。
 代役対応 -> 共同声明の文書化を見送り -> 直後に訂正
仮に政権が素人だからだろうとKYだからだろうと、この場合、究極の先延ばし外交は結果オーライだ。

なかなか世界が積極的に賛同しないので、イスラエルは、業を煮やしている。
「イスラエル首相 一層の制裁強化を 1月17日 9時36分」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120117/k10015320401000.html(魚拓にリンク)
「核開発を進めるイランに対して欧米諸国が制裁を強めようとするなかで、イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は、今の制裁措置でも十分ではないとして一層の強化を国際社会に求めました。」


で、本当に驚いたのがこれ。

「イラン制裁の日米実務者協議、邦銀の制裁回避条件は結論持ち越し 2012年 01月 19日 18:04 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE80I04P20120119
「グレーザー次官補は協議終了後、記者団に対し「今後も協議は継続する」と答えたのみで、協議内容についてのコメントを控えた。邦銀への制裁を回避するために必要な原油輸入の削減幅などの詳細については、来週以降に引き続き協議する見通し。」
「外務省によると18日と19日の2日にわたりのべ4時間弱協議。日本側は原発稼働停止で火力発電への依存度が高まっており原油調達を簡単に削減しにくい日本の状況や、イラン産原油の輸入量を過去5年間で4割削減した実績などを説明。イラン中央銀行と取引を持つ金融機関に対して米金融機関とのドル取引を禁じる米国のイラン制裁法で、邦銀に対して例外規定を適用するよう要請した。」

「親日国・イラン制裁で官民異論百出、日米協議は結論持ち越しへ 2012年 01月 19日 21:20 JST」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTJE80I00020120119
「18、19日の2日間にわたり都内で開かれていたイラン制裁をめぐる日米政府の実務者協議は、焦点となっていた日本の原油輸入削減幅や邦銀制裁の回避の是非について具体的な結論を出さず持ち越した形となった。」
「イラン制裁については中国、ロシアのみならずトルコも反発を表明。米制裁法の発動でイランが対抗措置としてホルムズ海峡を封鎖すれば、原油価格が急騰しかねず、米国が強硬措置を取りにくい可能性もあるなかで、日本として微妙なかじ取りを迫られそうだ。」


圧力に屈せず結論を出さなかったのは、正直吃驚。
中国が制裁に反対している以上、日本がイランから原油輸入を大幅に減らせば、その分を中国が安値で買い叩けるようになるだけで、アザデガン油田の屈辱を繰り返すことになる。どう考えても、結論先延ばしが正解なんで、本当にこの粘り腰は評価されるべきだ。

そして、この流れで、冒頭のアメリカの18%という数字が出てくる。
野田政権は、内政は最悪な感じがするが、外交はなかなか興味深い。

そういや、こんな話もあったしね。
「資源輸入:国を特定、集中交渉する新戦略...政府指針案 2012年1月5日 15時0分」
http://mainichi.jp/select/today/news/20120105k0000e020164000c.html
「政府が今後5年間の資源、エネルギーの安定調達の指針として4月に初めてまとめる「資源獲得戦略」の原案が明らかになった。産業ごとに必要な資源の種類や量を精査した上で、集中的に働きかける国を特定。首脳や閣僚の交流と、民間の技術協力との連動で、権益確保を図る。自動車など資源を使う側の民間企業が、積極的に権益確保に関与する必要性も明記した。ただ、戦略実現には世界の資源争奪戦を勝ち抜く交渉力が必要で、日本外交の実力が問われることになる。」

単なる偶然ではなさそうだ。
(でも、支持するかどうかはまた別の話だけど(自爆))

■蛇足
ところが、産経が書くとこうなる。
「イラン制裁、戦略なき日本 外務省、対話重視で米と溝」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120119-00000085-san-pol
「米側は対日不信をさらに深めたに違いない。」
「日本側から色よい返事は得られなかったとみられ、グレーザー氏は記者団に「日本が適切な措置を取ると確信している」と不満そうな表情を浮かべた。」
「これで米側が納得するはずもない。」
「米国はイラン制裁の足並みがそろわないことにいら立ちを募らせる。」

アメリカ様の顔色うかがい過ぎwww
どこの国の国益を考えると、こういう記事が書けるのかね?

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このページは、ranpouが2012年1月21日 23:17に書いたブログ記事です。

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