旅行の最近のブログ記事

 前の投稿にも予告していた、今年の年明けに乗ったクルーズ旅行の際、
https://cruisemans.com/@ranpou/4338
クルーズターミナルに到着する前に転倒して圧迫骨折等してしまった母について、最近やっと海外旅行保険の保険会社とのやり取りが終わりました。
そのやり取りの厄介さについて、せっかくなので書いてみます。

 自分は、クレジットカードの付帯保険があれば基本OK派なのですが、母はいつの間にか一人だけ任意保険に加入していました。加えて母も海外旅行保険が付帯したクレジットカードを複数枚(なんと6枚)持っていたため、最終的にこの任意保険と複数の付帯保険の保険会社との調整が必要となり、時間を要しました。以下、順を追って説明してみます。

■まずは任意保険
●1月7日(横浜乗船)
 大黒ふ頭に到着したバスを降りる際、母が転倒。痛みがあるけれど、いずれ治まるだろうと思ったのと、船社のスタッフが船にもメディカルセンターがあるから大丈夫ですよと、親切に車椅子を手配して乗船サポートをしてくれたので、そのまま乗船。ところが、いつになっても痛みは治まらず...

●1月8日(怪我翌日:終日航海日)
 船のメディカルセンターで骨折の可能性を指摘された後、終日航海日でしたが陸が目視出来たので、外に出たらスマホが電波を拾えました。任意保険は、保険代理店をやっている親戚を介していたので、まずはそこに電話。この直前まで、加入していたことすら教えられていなかったのと、母が持参していた書類では保険内容がイマイチ分かり辛かったのとで、まずはどんな保険なのか分かる資料をメールして欲しいと依頼。また、よく見たら名前のローマ字表記が間違って契約されていて(親戚なのに(笑))、契約の訂正を依頼。同時に、事故が発生したことを保険会社に伝えてもらいました。
 電話を切ってすぐ電波を拾えなくなり、頻繁にやり取りが必要になりそうだったので、船のWi-Fiを仕方なく契約。スマホは楽天モバイルだったので、Wi-Fiがあれば国内同様に無料通話可能で、内側客室でも問題無く電話できるようになりました。(後にこのWi-Fi料金$47.50は、任意保険の「旅行事故緊急費用補償特約」でカバーされました。)

●1月9日(終日航海日)
 保険会社からメールが届き、具体的な事故や怪我の状況確認と、基隆での病院受診について(保険会社の提携病院は基隆に無いので台北まで移動可能か、もし基隆で受診希望なら現地の協力会社に手配するのに時間を要する等)の希望確認があり返答。
 実はこの時点で既に、基隆に到着したら病院で検査することが船のメディカルセンターで決められており、もう保険会社のサポートを受けられる選択肢はありませんでした。メディカルセンターの医師が、病院受診をサポートする現地エージェントを手配する旨了承する書類のサインを求めてきて、これを断って保険会社のサポートを受けるなら、船内での治療を一切拒否する書類にサインしろと迫られ、検討の余地なく了承せざるを得ませんでした。
 後日、無関係な現地エージェントを利用した費用($100.00現金払い)は払えないと保険会社に言われ、少し厄介に。「医療通訳、病院通院のための送迎交通費、治療のため当初の旅行行程を離脱した場合のホテル・空港等への送迎交通費以外の現地エージェント手数料は補償の対象外」と。しかし幸いなことに、エージェントの領収書に「日本語通訳」の記述があり、最終的には全額カバーされました。
 このように、クルーズ特有の事情で、保険でカバーできない出費を強いられる可能性があるというのは、勉強になりました。

●1月10日(基隆)
 朝メディカルセンターにて、これまでの受診料や痛み止め等の薬代の領収書をゲット。
 同時に、ここでクルーズを終了して飛行機で帰国すべきか、クルーズを継続して良いのか、これから受診する病院の医師の診断結果を船のメディカルセンターに提出するよう、そのフォーマットを受領。医師のクルーズ継続の許可が無ければ、もう乗船は許されないと言われました。(そこまで考えてなかったので、荷物等まとめておらず、ちょっと焦りました。前日夜にはレセプションで、仮にここでクルーズ終了となっても、旅行代金の返還や損害賠償等は求めない旨約束する書類にもサインを求められており、結果次第で本当に厳しい状況で異国に放り出されるところでした。)
 下船すると現地エージェントが待っており、付き添われタクシーで病院へ。病院にも他のエージェントがおり、既に受診の順番待ちをしていてくれました。受診に立ち会ったエージェントが通訳をしてくれ、レントゲンにて背骨の圧迫骨折は確定。足の打撲部分は物凄い内出血で血がたまっており、注射器で皮膚の表面を刺して、たまっていた血を放出し消毒して包帯されました。(最終的に、この足の怪我が一番長引きました。というか、今も完治していません。)
 船には戻って良いとのことで、メディカルセンター提出用の書類に記入依頼。(実はこの際、保険会社からも、車移動の場合にどんなタイプ(普通車、セダン等)で移動するべきか、飛行機はアップグレードが必要であるか等、一番安全に移動する手段を医師に指示してもらう書面を渡されており、クルーズ継続の場合も下船する那覇から東京の自宅までの移動に関して特別な指示があるかもしれないとのことで、極力注意事項等を書いてもらうよう言われていました。しかし、この書類は医師から「私が書くべき書類ではない」と記入を拒否されてしまいました。保険会社が書いてくれと言ってると伝えても、エージェントですら「今回のケースでこの書類は医師が書くべき項目がほとんど無い」と不思議がられる始末。「自分で書くのではないのか?」と、取り合ってもらえませんでした。困りましたが、後に保険会社に事情を説明し、問題にはなりませんでした。)処方箋が出されると、薬もエージェントが取ってきてくれ、最後にクレジットカードで支払い。
 タクシーで船に戻ると、交通費、受診料、処方された薬代、診断書発行手数料等、全て領収書をそろえ、エージェントがまとめて渡してくれました。もちろん、全て任意保険でカバーされました。エージェント自身の手数料の領収書は、翌日客室に届けられました。
 なお、診断書を翻訳してみたところ、背骨の圧迫骨折についてしか書いておらず、足の怪我について病院で受けた治療や、事故後一度も便が出ておらずお腹が膨れ気味で食事があまり食べられなくなっていて、便秘薬等を処方された事などについて、一切触れられていませんでした。仕方ないので、事情を保険会社に伝え、担当者への申し送り事項として記録に残してもらいました。

●1月11日(基隆)
 このクルーズは那覇下船で、東京まで帰らなければならないので、下船後について保険会社に問い合わせました。圧迫骨折にも関わらず、船のメディカルセンターも基隆の病院からもコルセットの提供が無く、安静な体制を保つのが大変だったので、無理に一度に東京まで帰るより、那覇で適切に治療を受けた方が良いかもしれないと思ったのです。ところが、那覇で医療機関を紹介してもらえないかと聞いたところ、帰国後の国内医療機関の紹介等はサポートに含まれないので、自力でインターネット等で検索して下さいとの返事。これは、もう早く東京に戻るしかないと諦めました。
 なお、コルセットの提供が無かった原因は、船のメディカルセンターにサイズの合うコルセットが無く、提供されなかったにも関わらず、船から病院に提供された書類にはコルセット提供済みと誤った情報が記載されており、病院は追加の提供は必要無いと判断したのだろうということが、後日書類を翻訳して分かりました。酷い話です。

●1月12日(石垣島)
 特に石垣島に下船せず、翌日の那覇下船後について検討。医師からの移動に関する指示も無かったことで、特別な移動手段は選べないのですが、那覇から羽田へのJAL便は、車椅子等のサポートが必要な乗客向けの無償のアシストについての窓口があり、ここに電話。那覇空港で車椅子を提供してもらい、狭い機内まで入れる特殊な車椅子で搭乗サポートしてもったり、羽田到着後も空港のタクシー乗り場まで車椅子で運んでもらえる予約が出来ました。これでやっと、自力で帰宅できる目途が立ちました。
 なお、航空券の変更費用は「行程離脱費用」として補償可能と保険会社に言われていましたが、この少し前、羽田空港で大変な航空機接触事故が起きた影響で、この頃JALは全ての便での予約変更が無償とされており、追加料金無く便を早めることが出来ました。

●1月13日(那覇下船)
 下船後、那覇空港までのタクシー代(2,400円)、羽田空港から自宅までのタクシー代(10,670円)については、元々予定していた交通手段の費用を差し引いた金額が、保険で補償されました。

●帰宅後の通院
 まずは、旅行中に発生した支払いの書類を整理し保険会社に送付。自宅近所の整形外科へ通院を始めると、安静にするしかない圧迫骨折よりも、足の打撲の治療がメインとなっていきました。内出血から内部で広範に壊死した細胞を取り除く簡易な手術を行い、その傷口がなかなか塞がらず、感染症を防ぎながら傷口が塞がるまで治療が続いた結果、6月19日までに47回通院し、治療費や処方薬の領収書や明細書、歩けなかった頃に利用したタクシーの領収書等が、計170枚にも及びました。(この間、クイーンエリザベスで太平洋横断とかもしてるのですが(オイ!)、医師の指示通りに、旅行中も消毒や包帯の交換等を行いました。)
 これらの書類を保険会社に送付し、全てが認められて7月には保険金が振り込まれました。クレジットカード付帯保険は使わず、任意保険のみで処理し、この時はこれで終わりだと思っていました...

●まさかの後遺障害保険金
 8月になって、任意保険会社より、怪我から180日が経過したけれど後遺障害保険金の請求はありませんかと、わざわざメールが届きました。私自身は、6月で完治したと思っていたのですが、念のため母に現在の状況を確認。すると、それ後遺障害ではないの?という状況が分かってきました。

  • 実は怪我をしてからずっと、毎回美容室で髪を洗う時に仰向けに反らす姿勢が痛くてできなくなってしまったままで、もう年のせいだと諦めてる。
  • 毎朝起きる時、実は今も痛くてしばらく動けないのも治ってない。
  • 骨折が治ったというのも、骨折部分が盛り上がった形になっていて、以前の形に戻った訳ではない。
  • 歩行が以前のようには出来なくなり、ちょっとした距離でもタクシーを使うようになった。

 転倒前は問題無く出来たことが出来なくなっているとか、私からすると後遺障害なのではと思える症状が今でも続いているのに、本人は年のせいと勝手に諦めており、医者にもちゃんと言っていないということが判明しました。聞いてみるものです。
 状況を伝えると、保険会社から「圧迫骨折の診断名より脊柱の変形障害が発生している可能性は高いと考えております」との返事。請求はまだ間に合うので、後遺障害診断書と検査画像を手配して下さいとの有難い申し出がありました。また、足の打撲部分について、この時点でも傷が目立ち、かさぶたも取れない状況で、内出血で広範に変色した皮膚の色も戻っていなかったのですが、「手のひら大(指の部分は含まない)の人目に付く痕が永久的に残る場合に認定対象」とのことで、そこまで大きいとは言えなかったのですが、こちらも一応写真と診断書を提出という話になりました。
 ただし、何故か醜状痕の後遺障害の認定は、皮膚科または形成外科の医師による診断書の提出が必要と言われてしまいます。通院していた整形外科の医師の診断書では、ダメだというのです。そのため、この診断書のためだけに、新たに皮膚科の医療機関を探すことになりました。整形外科の先生からは、今までも保険用の診断書何度も書いてるけど、そんなこと要求してくるケース初めてだし、今まで治療を診てない先生に診断書だけ書いて欲しいとか、失礼だから紹介状も書けないと断られてしまいました。

■任意保険とクレジットカード付帯保険の重複
 ここでふと気付きます。そういえば、母は6枚も付帯保険のあるクレジットカードがあったけれど、今までは自身の出費を補ってもらう以上に保険金が出ることは無かったので、任意保険を使うか付帯保険を使うかの選択だったけれど、後遺障害保険金は扱いが違うのではないか。色々検索してみると、以下の2つのポイントが判明しました。

  • 後遺障害保険金は、任意保険とクレジットカード付帯保険が両方支払われる
  • クレジットカードが複数ある場合は、その中で最も保険金額が高額なものを上限に、各クレジットカードの保険金額の上限によって各社が按分して保険金を支払う

 つまりこれは、クレジットカードの保険会社全てに連絡を取る必要がありそうだぞと...ゾッとしました。事故に関する資料は全て任意保険会社に提出してしまっており、手元に原本は残っていない。どうやって証明するのだろうか。

●各保険会社の最初の対応
 まずは、任意保険会社に確認。すると、付帯保険の会社には、自分で連絡するようにとのこと。そこで、高額な上位3社に電話してみました。

  • A社の回答:書類無いのに後遺障害だけの申請を受けることは無く、任意保険の会社から連絡を受けるのが通常のはず。任意保険会社は調整する気が無いのか、問いただして。
  • B社C社の回答:後遺障害だけで受け付けはする。任意保険会社が後遺障害認定した後連絡くれれば良い。でも、そもそもクルーズ旅行の場合、出国スタンプ押される前の怪我は補償期間ではない。原則的には払えない。

 待て待て。B社C社おかしいだろ。B社は、事案によってはスタンプ押印24時間前から認めるので、対象になることもあるとのこと。しかしC社は、スタンプ押印前の事故は対象外と言い張る。そこで、そんなことどこに書いてあるのかと問い質すと、「内部で決まっている」と。カードと一緒に届く冊子等に書いてある「海外旅行目的で家を出発&出国前日午前0時から」補償期間というのは、あくまで飛行機の場合の話で、クルーズは違うのだと言うのです。冊子はカード会社が作っているのであって、保険会社側の実際のルールとは異なると。そんなバカな...
 それ、どこかで公開しているのですかと問うと、答えられない。「A社は補償期間だと認めている」「業界で解釈がバラバラなのか?」等と問い詰めると、確認して後日回答するという言葉をやっと引き出せました。
 そして後日、クルーズでも「海外旅行目的で家を出発&出国前日午前0時から」補償期間との当たり前の結論の電話を受けました。最初に問い合わせた相手は、いかにもサポートセンターのマニュアル回答という感じでしたが、改めて電話してきた方は、権限のある社員さんという感じ。普通、サポートセンターの言うことを信じて諦めてしまう人が多いと思うのですが、B社C社と複数の会社がクルーズ旅行を例外扱いしていることから、これは単なる勘違いというより、業界的な慣習に問題があるのではないかと感じました。
 思うに、日本の港を転々とした後に海外に寄港するクルーズの場合に、このスタンプ前対象外問題が存在するのはある程度理解できるので、そういったケースへの対処ルールが、今回のように最初の寄港地が海外というケースにまで、誤って当てはめられる状況が放置されてきたのではないか。しかし、門前払いするための悪意のあるマニュアルが存在するのではないかという疑念も残りました。ということで、イザとなったら皆さん、諦めてはいけません。食い下がれば道は開けます。

●結果的にC社様々
 後日C社から、複数あるカード会社の中でうちが一番保険金額が高額なら、カード会社側の窓口になって、任意保険会社とも連携を取りますとの心強い申し出がありました。診断書等は任意保険会社に全て送ってもらえれば、C社が必要な書類は任意保険会社から提供してもらうように調整しますと。

 ですよねー
 一社一社こちらが書類送る必要なんて、あり得ないですよねー
 その申し出待ってました。是非お願いします。御社が最高額です!

 その翌日A社から、やっぱり後遺障害保険だけでも受け付けますとの連絡。残りの金額が少ない3社には連絡していませんが、C社から届いた保険金請求書に全てのクレジットカード情報を記載し、お任せすることが出来ました。

●後遺障害認定
 8月下旬に診断書をそろえて任意保険会社に送付。9月下旬、醜状痕は大きさが満たないため対象外だけれど、圧迫骨折の部分については「脊柱に変形を残す場合」に該当するとの結果が伝えられ、後遺障害保険金が一定のパーセンテージで無事振り込まれました。任意保険会社の担当者が連絡をくれなければ、請求する気が無かったお金ですから、本当に感謝の気持ちでした。タクシー利用が増えてしまった母にとって、とても助かるものとなりました。
 10月中旬になると、C社からも同じパーセンテージで保険金が振り込まれたのですが、任意保険の10倍の保険金額のクレジットカード付帯保険だったので、振り込み額も10倍。驚きました。最初の門前払いで諦めなくて良かったと思いました。ただ、ここで一つ後悔が。実は、B社もC社と同じ上限額だったのですが、これは自動付帯での話。利用付帯であれば、その倍額だったのです。B社のクレジットカードを使って、公共交通乗用具(今回であればクルーズ代金等)の支払いをしていれば、受け取れる後遺障害保険金は倍額だったのです。加入していた任意保険の20倍... ご利用は計画的に。

■任意保険と付帯保険どっち?
 今回、もし母が任意保険に加入していなくとも、帰国して治療を終えた6月下旬までに発生した費用は、母所有のクレジットカードの付帯保険でも同じく支払われるものでした。その後の後遺障害保険の額も、任意保険は付帯保険の10分の1しか想定していない低額なもので、そこまでの大怪我は想定していませんでした。ですから、今回に限って言えば、任意保険に入るよりB社の利用付帯の条件を満たすことの方が、本当は重要だったと言えます。
 母は、無駄に年会費を払ってろくに使わないクレジットカードを何枚も所持しているような人で、そこに付帯する保険の内容も一切把握していません。正直、解約すべきカードがいくつもありますが、いくら言っても放置です。こういう人にとっては、加入した任意保険が無駄だったとしても、大した意味はないのでしょう。ただの安心感目的です。
 対して私は無駄が嫌いで、充実した付帯保険のクレジットカードがあれば、任意保険は要らないと考えていますし、利用付帯も忘れません。母のように、付帯保険としても重複していて意味が無いようなクレジットカードを、何かのステイタス(大したものではない)として持ち続け年会費を無駄にするようなことは大嫌いです。
 とはいえ、人様に任意保険に入るなとは言いません。能動的に働きかけなければ何も得られない付帯保険より、わざわざ後遺障害保険のお伺いをしてくれた任意保険の方がサポートは手厚いということも、今回実感出来ました。加えて、付帯保険で門前払いされそうになったことで、クルーズ旅行においては、確かに任意保険でしかカバーされない航程があるということも認識できました。日本の港を転々とした後に海外に寄港するような航程の場合、付帯の海外旅行保険は、例の出国スタンプ前問題が生じるのです。そのため、国内旅行保険も付帯してないと、国内段階での事故が保険期間外になりかねません。しかも、付帯の国内旅行保険は、利用付帯で当該公共交通乗用具に乗っている間の事故だけが補償対象だったりして、国内寄港地を観光中に怪我をすると、カバーされないことが容易に想像出来ます。これが任意保険であれば、旅行期間=保険期間に設定出来るので、国内を転々と寄港している段階でもカバー出来ます。この差は決定的です。
 結論としては、ごちゃごちゃ考えずに無駄な出費も気にしない人は、付帯保険があっても任意保険も入れば良い。無駄が耐えられない私のような人は、自らのクレジットカードの付帯保険の内容をきちんと把握し、それで本当に足りるなら任意保険に入らない。ただし航程によっては、任意保険も入るべき必要性がある。それに、付帯保険でカバーされるような事故でも、後遺障害保険が適用されるような大怪我なら、任意保険に加入していれば両方保険金がもらえるので、無駄にもならない。
 これらを考慮し、後悔しない選択をしたいと思うようになりました。

■蛇足
 もしも海外寄港地で下船させられるような深刻な事態に陥った場合、具体的にどんな出費が生じて、それがどこまで補償されるかとか、洋上からヘリコプター等で緊急搬送となった場合、いくらまで補償されるかとか、クルーズ特有の危機的状況を考慮しないと、一般的な任意保険では足りないという場面も想定できます。
 任意保険派の方も、任意保険だけで全部OKという訳でもなく、付帯保険との併用で欠点を補うのというのは悪くないでしょう。逆の発想で、付帯保険に任意保険を追加するような商品も存在します。(キャンセルの場合のクルーズ特約的なものは、流石に付帯保険では太刀打ちできませんが。)
 任意保険だけで完璧を目指と高額になる。長期間のクルーズともなれば、最長90日間が自動で保険期間となるクレジットカード付帯保険の方が、仮に年会費が高額でもコスパが良いかもしれない。片道クルーズと陸路の旅を組み合わせ、多数の国を巡る場合もそう。
 私が持っているクレジットカードで言えば、利用付帯の条件を満たせば、1万円以上の年会費のものより年会費無料のカードの方が優れた海外旅行保険が付帯していたりもする。
 まあ、旅行前にそんなことばかり考えていると、流石に疲れてしまいますけどね...
 以上、長々とお付き合いありがとうございました。
 書いたらスッキリしました!

謹賀新年

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2024年賀状_blog.jpg

 明けましておめでとうございます。

 今年の画像は、年末にMSCベリッシマのクリスマスクルーズに乗船した際のものからです。洋上のジャグジー、暖かい屋内は人が多かったですが、寒い屋外はガラガラ。温水で入っている限りは快適ですが、一度入るとなかなか出られなくなりました(自爆)
 モバイルプリンターを持ち込み、これを年賀状にせっせと印刷。寄港地の那覇から投函したのでした。

■クルーズ
 一昨年の、クルーズ船や鉄道を駆使した地球一周旅行の後、旅行にホトホト疲れ、昨年は静かにしているつもりでした。が、後半になると徐々に安いクルーズ情報を検索するようになり、日本発着が安くなっているのを見つけてしまったのが運の尽き。一番安い、窓の無い内側キャビンで、2人利用時の1人分クルーズ代がUS$219、諸税がUS$180というのを見てしまいました。この客室を1人利用する場合、割り増しされたクルーズ代はUS$258(自分は会員割引があってUS$245.10)でした。つまり、横浜発着の9泊10日で、神戸、那覇、石垣、基隆(台湾)に寄港するクリスマスクルーズが、諸税込み6万5千円程で乗れてしまう。これは乗らねば...となりました。もちろん、毎日の食事やショーも込みなわけで、陸の旅では考えられない安さです。クリスマス当日のショーは、特に素晴らしかったです。

 ちなみにこれは、アメリカ経由の予約の話ですが、同じクルーズを同時期に日本の旅行代理店経由で申し込むと、2~3倍以上の値段になります。20年前に自分が初めてクルーズ旅行をした時からそうですが、海外では高くないクルーズ旅行が沢山あるのに、日本ではクルーズ旅行=高額というイメージが定着しているため、同じクルーズでも高く売られる市場が出来上がっています。日本の値段しか知らなかった場合、今回の一人旅を同時期に日本の代理店経由で申し込むと諸税込み24万3千円でしたから、絶対に乗らなかったでしょう。

 なお、正月明けのクルーズも安かったので、来週は母を連れての珍道中予定です。6泊7日の二人分で、諸税込みで8万円でお釣りが来ました。安いでしょ?

■仕事とか
 昨年50歳になってしまいましたが、40代最後に韓国の仁川にあるカジノの求人に応募し、ディーリングの実技試験で大ミスをし、当然の結果として不採用となったのは落胆しました。それまで、韓国行く気満々で韓国語の勉強し始めたり準備していたのですが、自分でもガッカリなくらい自分のせい。意気消沈して(予定がガッツリ空いたので)箱根へ。箱根はいつも、オンボロ別荘で世捨て人モードがお決まりなのですが、仕事の予定が消えての滞在というのは初めて。そこで、箱根で面白い仕事無いかなと、職探ししてみました。

 すると...ありました。

 いわゆる、リゾートバイトと呼ばれるジャンルがあるのですが、観光地のホテル等の仕事で、寮費無料で住み込み、光熱費無料、場合によっては食事も無料で、時給もまあまあみたいな、そういう求人情報ばかり集めたサイトがいくつもあるのです。当然、人手不足が有名な箱根の求人もヒット。

 ディーラーという仕事はサービス業なので、どうせならサービス業の範疇でやったことない職種をと思っていたところ、箱根のハイクラスなホテルのフロントやレストランの求人がワンサカ。その中に、寮として紹介されている建物に見覚えがあるホテルがありました。別荘からよく歩いて行っている、箱根園の「ザ・プリンス箱根芦ノ湖」でした。ザ・プリまでバイト募集してるのかと驚きましたが、50歳にしてプリンスに直接雇用されて、ホテルのビュッフェレストランでホールデビューと相成りました。

 いつも、サービスを受ける側として行っていた場所に、サービスを提供する側として勤務するというのは、カジノ通いでミイラ取りがミイラになったディーラーとしては既視感が無くもありません。しかし、今まで全く興味が無かったジャンルのせいか、裏と表のギャップの激しさに驚かされる毎日。詳しくは書けませんが、もうお客として高いお金を払うことは無いかなと。

 ここから、箱根の他のホテルはどうなのかと、新しい興味が湧きました。価値のあるサービスを提供していて、働いている人々もハッピーな職場があったら、そこにこそお客として泊まってみたい。そういうところはあるのかなと。
 丁度この頃、箱根の多くのホテルが「タ〇ミー」という隙間バイトアプリを導入して求人していることを知りました。会員制高級リゾートホテル、老舗旅館、有名ホテルチェーン等々、箱根で高額なサービスを提供している現場に、日雇いバイト(どころか、数時間バイト)が日常化していたのです。そこで、自分もタイ〇ーを使って、箱根中のホテルの仕事を転々と経験してみることにしました。

 驚きました。10以上のホテルを経験しましたが、表ではすました顔でサービスしていても、裏では怒号と罵声(「死ね!」とか)が飛び交う超ブラックな会員制高級リゾートホテルのレストラン等、想像を超える酷いところがあったのです。裏を知ってしまうと、もうお客としても全く行きたくない世界でした。(たまに、従業員同士が仲の良い宿で働けると、ホッとしました。)
 特に残念だったのが、どこのホテルも多くの従業員は箱根に詳しくなくて、箱根が好きでも何でもないという人が少なくない点。休日は小田原や東京に遊びに行ってばかりで、自分のようのように箱根の自然を堪能している人には出会いませんでした。地方から働きに来ているだけで、箱根は何もないと思ってるような人が、沢山働いているのです。そういう人々は、箱根ローカルのイベントとも接点が無く、寮と職場を往復する毎日が、彼らの知る箱根の大半だったりします。物心ついた頃から箱根を知る自分としては、そんな人々が箱根に来る観光客と接していることに、心底ゾッとしました。(恐らく、他の観光地も同様なのでしょうね。)

 海外の学生をインターンシップと称して安く働かせている有名ホテルもいくつかあり、台湾やインドネシアの大学生との出会いは意外なものでした。自分たちが他の日本人と比べてどれだけ安く働かされているか知らずにいて、何かのタイミングで知ってしまってショックを受けている学生もいました。同一労働同一賃金とか、夢のまた夢。インターンシップ学生は、日本人バイトより更に低賃金で、ろくな研修も受けずに現場に投入され、慣れるまで苦労していました。研修無しに、教わらなければ絶対に無理なシフトに投入され、トラブルの原因になってしまった学生とか見ましたが、彼らは本当に悪くない。

 人手不足なのに低賃金で、人材教育にコストをかけない。短期間のバイトも集まらず、日雇いで毎日自転車操業。無理なことを繰り返すシワ寄せは、現場に重くのしかかる。あるホテルでは、何週間も休みが取れないとか、今日も帰れないとか、そういう嘆きの声を従業員から聞きましたが、持続可能性の無い、この国の縮図のようなものを見た思いでした。帰国する学生が、「もう二度とここには来ない」と言っていたのが、忘れられません。

 なお、そうして出会った海外大学生とのつながりは今もあり、大事にしたいと思っています。

■はてさて
 今年は、直近の年明けのクルーズの他に、またクイーン・エリザベスに乗りたいと思っています。横浜からアラスカ経由でバンクーバーへ渡る太平洋横断が、値下がりするのを待っています。が、母と叔母の旅をアテンドせねばならない様子。きっと、自分自身は楽しめない旅となるでしょう...シクシク。

 クルーズ旅行のレビューは、以下の口コミサイトにまとめてますので、興味のある方はご覧ください。
https://cruisemans.com/@ranpou

 安いクルーズについて等、質問を頂ければ可能な範囲でお答えしますよ。

謹賀新年

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2023年賀状_blog.jpg

 明けましておめでとうございます。

 昨年はついに、ローマで新型コロナ陽性となりました。85日かけて地球を一回りする珍道中の途中で、母が熱を出したのでローマの薬局で1個3.9ユーロの抗原検査キットを買って試したら、親子そろって陽性。色々大変でしたが、幸いイタリアの自己隔離はちょっと不思議で、隔離中もスーパー等へ買い物に行けるので助かりました。短時間で買い物を済ませなければならないのですが、外出して食料を買うことが可能だったお陰で、親子そろっての隔離期間中でも食べ物に困りませんでした。プライベートスペースにシャワーや洗濯機、冷蔵庫もそろった、広いバルコニーのある部屋で民泊していたので、部屋に閉じこもる必要もなく、バルコニーでゆったりと食事を取り、洗濯物を干す毎日でした。宿のオーナーに伝えたところ、共用部分のキッチン等の使用は禁止と言われましたが、それ以外は特に制限なく滞在出来ました。重症化せずに済んだのは、ワクチン接種済み(当時自分は3回、高齢な母は4回)だったお陰と思っています。

 この旅で興味深かったのは、様々な国のコロナ対策の違いです。例えば、スイスは屋内でも誰もマスクしていない国で、列車内など公共交通機関でもノーマスクだったのですが、陸続きのイタリアへ列車で国境を超えると、バスも列車もFFP2の高性能マスク着用が義務。母が座席でドリンクを飲むのにマスクを外したまま着用を忘れていたら、車掌に怒られてしまいました。(シンガポールでも、屋外でマスク外していたまま地下鉄駅に入って改札を通ろうとしてしまった際、駅の係員にマスク着用するようちゃんと止められました。)他のお客は皆、当然にマスク着用が徹底されていました。スイスとイタリアはシェンゲン協定加盟国ですから、国境超えると言っても何もないわけですが、ルールがガラリと変わり、それがちゃんと守られている。
 また、クイーン・エリザベスで2週間かけて大西洋横断した時は、船の屋内でのマスク着用義務と、屋外デッキでのノーマスクへの切り替えを、乗客がしっかり意識して行動していたのが印象的でした。日本人客は我々二人だけで、つい日本の癖で屋外でもマスクを外し忘れていても、他が誰もマスクしていないので、徐々に自然と外すようになりました。クイーン・エリザベスは、そもそもドレスコードの厳しい船で、同じ船内でも時間帯や場所によってフォーマルやカジュアルの指定がはっきり決められており、乗客もそれを守ってオシャレを楽しみます。マスクもドレスコードの一種と言えなくもなく、決められた場所で着用するという行動は、乗客にとっても違和感の無いルールだったのだろうと思います。一度、母がマスクを忘れて自分のキャビンを出てしまった時は、クルーにマスク着用を指摘されても持っていなかったため、FFP2の高性能マスクを無料で渡されました。
 対して、エーゲ海クルーズで乗船したノルウェージャン・ジェイドという船は、クイーン・エリザベスとは違い、船内でのマスク着用義務が守られていませんでした。この船会社は、フリースタイルを売りにしており、ドレスコードが殆ど無いのですが、同様にマスクも自由な感じになってしまっていたわけです。マスクを着用するよう言われたのは乗船時のチェックインでクルーズターミナルに到着した時だけ。以後は、船内でマスクしていなくても全く何も言われないのです。マスク着用を義務とする案内板はありましたが、それを守って船内でマスクをしている乗客は、ほぼゼロでした。
 では、ノルウェージャン・ジェイドは、クイーン・エリザベスより危険だったのかというと、これが全く分からない。ビュッフェの入口では、消毒液を吹きかけて簡単に済ませるのではなく、石鹸でしっかり手洗いすることを求められました。乗客も、クルーの指示に従って手洗いに並ぶ。この光景は、消毒液を使うだけのクイーン・エリザベスには無かった。どちらの船のやり方が乗客として正解なのか、簡単には言えません。しかし、安心感という意味では、クイーン・エリザベスが正しいと思える違いが明確にありました。
 クイーン・エリザベスでは、船内の陽性者率によって4段階に対応が決められていて、レベル4になると母港のサウザンプトンに帰港しなければならないと言われていました。アメリカのフォートローダーデールから私が乗船した時点で、既にレベル2だったそうで、途中でレベル3に上昇。バーカウンターでの対面サービスが停止され、セルフランドリーは使用禁止、シアターは1席空けての着席、ルームサービスは隔離者への対応に忙しいからと、極力使用せずにレストランへ行くようアナウンスがありました。いくつかのデッキに、客室への通路のドアが閉じられた区画が出来ていましたが、そこが陽性者の隔離客室の区画だと聞きました。つまり、マスク着用が徹底されていても、サービスを制限する程船内の新型コロナ陽性者率が上昇していたのがクイーン・エリザベスでした。対してノルウェージャン・ジェイドでは、そういったサービスの制限が全く無く、陽性者が出ているのかどうかすらも分からない。陽性者が全く出ないとは思えませんが、特にアナウンスが無いので、乗客としては分からない。この分からなさは、屋内で誰もマスクせずとも注意されない船内で、不安感を生みました。サービスが制限されたとは言え、決められたルールを徹底して守り、情報を共有するクイーン・エリザベスは、とても誠実に思え、安心できたのです。
 逆に共通しているのは、乗船時にいくら陰性証明書を確認しても、乗ってから陽性になる乗客を防げるはずもなく、海外のクルーズ業界は、陽性者が出ることは当然に織り込み済みで運行しているという事実です。日本ではつい最近も、日本のクルーズ船が出航後に陽性者が数名出たというだけでニュースになっていましたが、そんな程度がまだニュースにされてしまうのは日本だけでしょう。

 一番対策が厳しいなと思ったのは、アブダビでした。Alhosnという健康管理アプリをスマホにインストールし、ワクチン接種証明やPCR検査結果等の条件をクリアーしているとグリーンパスという画面が表示される仕組みがあり、商業施設等の入口でこれを警備スタッフに見せないと入れてもらえないのです。ところが、事前にスマホにインストールした際、SMSで認証が必要なのに、認証コードが届かないという不具合が。当時契約していたキャリアに問い合わせたりしましたが、特に障害は起きていないとのことで、何度も試しましたが諦めました。そこで予約したホテルに問い合わせると、Alhosn無くても空港でPCR検査受けて陰性証明取得すれば良いと言われ安心しました。(チェックイン時点で陰性結果が届いていなくても構わないが、レストランやプール等のエリアを利用する際には提示する必要があるとのことでした。)
 ただ、一筋縄ではいきませんでした。空港で受けたPCR検査の結果は、Email不可で、SMSでのみ送ってくるとのことで、空港到着後直ぐに購入した現地SIMの電話番号で対応は出来たのですが、検査から3時間程で届いた結果のSMSにあった陰性証明書PDFへのリンクが、何度クリックしてもエラー表示に。深夜だったので翌朝まで待ちましたが回復せず、検査を行った業者のホームページを探し、問い合わせフォームからダメもとで問い合わせました。すると、意外にも2時間もかからずに担当者からメールが。本人確認にSMSのスクリーンショットやパスポート画像を送り、更に2時間後には無事PDFの陰性証明書を取得できました。(なんだかんだで半日は行動できず、夕方からの観光となってしまったのは残念でしたが。)
 ショッピングモール等に入る際、毎回これを提示した訳ですが、その都度じっくりと記載内容を確認されるので、面倒ではあるのですが、こういったルールの運用が形式的にならずしっかり守られているというのは、とても好感が持てました。

 どの国でも、屋外ではマスクをしないのが普通だったので、それに慣れて帰国したら、屋外でもマスク着用が多数派の日本が異質だと、やっと気付きました。更に日本だと、バスなら乗車口で運転手からマスク着用を求められることもありますが、地下鉄の駅等でマスクをしていなくても、止めたり注意する駅員を自分は見たこと無いなと。よく考えたら変だなと。
 そもそも、成田の帰国時点で、入国審査より前に煩雑な導線で多数のスタッフとやり取りしなければならなかったのですが、これが異様な光景でした。ワクチン接種証明や健康管理アプリの確認のためだけの非正規雇用の外国人スタッフが多数いて(しかも、特定の国がやたらと多い印象で、私の対応をしたのも外国人でした。)、簡単なタスクがいくつもに細分化され割り振られ、それぞれの場所へ複雑な導線が組まれてグルグルと歩かされる。その為、一つ一つの通路は狭く仕切られ、他人との距離が近い。
 本来少人数で対応可能なタスクを、何故か細かく切り分け複数名に担当させるのは、無駄に人件費を膨らませているように見える。そんな面倒なことをやっている国は、この旅で他に無かったので、強く違和感を覚えました。健康管理アプリをインストールしているか聞いて次の行き先の書かれた紙を渡す人、アプリの画面を見て説明しつつ冊子を渡す人、通路の途中で前のポイントで渡された紙を持ってるかチェックするだけの人等々...無駄な導線減らせば一人で対応できるのでは?という作業分担。
 しかしそこで、ふと気づきました。非正規の多数のスタッフの様子が、私が前年経験した某国際大運動会の現場とそっくりだったのです。これは、どこかのイベント系の人材派遣会社が食い込んで、なるべく人月多くなるように仕事を作っているのではないか...そういえばあの大会も、何故かバングラディッシュ人が多数スタッフとして雇用されていて仲良くなったな。自分が今会話してる相手も、同じように見えるなと。
 なんというか、途端に極東の島国っぽさ満載な歓迎を受けた感じで、帰ってきたんだなと、生暖かい気持ちになりました。まあ、10月下旬の話なので、今はどうなのか知りませんが。

 ちなみに、この時のクルーズ乗船記は、以下に詳しく掲載しておりますので、ご興味のある方は是非。
 https://cruisemans.com/@ranpou
 https://www.cruisebrothers.jp/p/20238.html

 では、本年もよろしくお願い致します。

謹賀新年

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2021年賀状.jpg
あけましておめでとうございます。
今年の年賀状は、GoTo先の屋久島は宮之浦岳山頂での360度写真です。

昨年は、横浜からバンクーバーへ太平洋横断片道クルーズをしようと、一昨年末から散々検討していたのですが、COVID-19のためにクルーズがキャンセルされてしまいました。途中でロシアを経由し、2週間でバンクーバーへ到着するこのクルーズ、プレミアム客船で当然に食事もショーも込みで、安い内側船室なら一人400ドル程度にまで値下がりします。ずっと値動きを追っていましたが、全て徒労に終わりました。

カジノツーリズムは諦め、仕事も無いので、ほぼ箱根に引き籠るようになりました。ヤフオクで安いプロジェクターを落札すると、延々とFallout76オープンワールドを大画面で旅する毎日。その合間、たまに最寄りのスーパーまで食料補給で片道7・8km歩けば、鹿と猪に遭遇。感染症より猪が怖いという生活でした。

■オンラインとか映画祭とか
そういった中でも、様々なイベントがオンライン開催となったお陰で、通常なら参加が困難な映画祭やイベントにオンラインで参加出来たというのは、とても有難かった。アヌシー国際アニメーション映画祭も、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭も、そして何よりバーニングマンも、オンラインで堪能しました。特に、VRを活用するバーニングマンは凄かった。通常なら、現地に行かなければ参加できなかったし、そもそもバーニングマンなどチケット入手すら大変なわけで、COVID-19のお陰でローコストにこれらへ参加出来たというのは、リアルとはまた違った価値ある体験となりました。

対照的に残念だったのは、広島国際アニメーションフェスティバルです。
https://hiroanim.org/
なんと、その存在価値を理解できない広島市の方針転換で、昨年が最後の開催でした。他の映画祭のようなオンライン対応がほとんど出来ず、世界中から寄せられた作品を審査員がオンライン会議で検討し、受賞作品名等がホームページに公表されるだけでした。歴史も重みもある映画祭が、こんな終わり方になるとは、本当に残念でした。
以前は理解があり、広島市長も舞台に上がって流暢な英語でながーい挨拶されてたのに感銘を受けたこともあったので、この方針転換は本当に驚きです。)
https://cgworld.jp/interview/202010-hranm18th.html

自分は学生の頃から行きはじめ、CG制作会社に入社してからは会社の部活動として、同僚と共に参加させてもらっていました。フレームインという、事前審査も何もなく持込上映させてもらえる枠があり、そこにまだプロ・アマの垣根もなかった頃、自社の仕事をVHSで持参し上映させてもらい、その場で批評を受けたり、叱られたり、全ては良い思い出です。行きの飛行機で、当時審査委員だった海外の著名なアニメーション作家と親しくなり、会場でその人の特集プログラムに参加し、自社のデモリールを手渡ししたことも。映画祭は色々行きますが、そんなことが容易に実現する権威ある映画祭、他に国内に無いですよ。

国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)公認で、アヌシー、オタワ、ザグレブと並ぶ世界4大アニメーションフェスティバルの1つだった訳ですが、それがどうやって成立してきたのか現在の広島市は理解していないのではないでしょうか。博報堂や中国新聞と組んで、名声を掠め取るような後続イベントを計画しているとか。米国アカデミー賞公認でもあり、広島のグランプリ作品はアカデミー賞ノミネート候補にもなっていたわけですが、ASIFAを足蹴にしてそんな真似は不可能。そういった意味で、価値のない後続の商業主義イベントを、さも歴史も権威もある以前の映画祭と関係があるかと世界に誤解させて作品を集めるような恥ずべき行為だけは、やめてもらいたいものです。
https://www.cartoonbrew.com/events/hiroshima-city-says-it-plans-to-hold-animation-festival-in-2022-asifa-protests-198499.html

ASIFAは、まだ広島市に再考を促そうとしています。
http://asifa.net/news/petition-to-save-hiroshima-festival

Change.orgで署名も集めています。
https://www.change.org/p/mayor-of-hiroshima-keep-the-hiroshima-international-animation-festival-going

一度決めたことは、どんなに間違いでも殆ど変更できないこの国ですから、それが恥ずべき行為でも、広島市が再考することは無いだろうとは思います。が、自分も一応署名しました。長年広島に通ってきたのに、もう広島に行く理由が無くなってしまったのは、非常に残念です。とうか、こんな不義理をやらかす広島市には、行きたくなくなってしまいました。

昨年は、GoToと併用できる各地方自治体の助成制度が色々とあり、それらを活用して旅しましたが、広島も大変安く旅行できる制度がありました。しかし、全く広島には興味が湧きませんでした。商業主義に踊らされる広島市の今後は、期待しないで生暖かく見守ります。

■その他GoToとか
世間では、GoToで豪華な宿をお得に、みたいなのばかりが話題でしたが、自分の場合は3泊で1万円くらいの格安ゲストハウスに使ったり、せいぜい1泊1万円程度のホテルでよく利用しました。じゃらん等の予約サイトでは、各地方自治体が助成する観光促進のための割引きクーポンが多数配布され、GoToとこれを併用するというのがお得でした。10,000円以上の宿泊費に対し5,000円助成される地域だと、GoToで3,500円引かれ、支払い1,500円に対して地域共通クーポンが2,000円もらえるというケースもザラ。こんなことに税金ばらまくなんて酷い国だと思いながら、活用しました(苦笑)
鹿児島県の屋久島や種子島、山梨県の富士吉田、静岡県は下田や熱海、東京だと伊豆大島等を長めに回りました。カジノの無い国内旅行は久々。種子島なんて、筑波宇宙センターに勤務していた頃だって行ってないのですが、南種子町の助成金が素晴らしく、初めて種子島宇宙センターも見学できました。屋久島は、感染症対策で山小屋(避難小屋)での宿泊はなるべく避けるようアナウンスがされてたので、テント持参で山中泊(ここにGoToは関係無いですが)。3泊4日かけて宮之浦岳等縦走しました。
様々な地域を回ると、感染症対策の温度差のようなものも実感でき、非常に興味深かったです。例えば箱根では、温泉にサウナが併設されていても、感染症対策を理由に使用中止が当たり前。これが、鹿児島の某砂風呂施設の温泉にあるサウナでは、入れる人数を減らしただけで、かなり密で使用させていて驚きました。狭いサウナ内は向かい合う席の配置で、流石に正面は空席にされてますが、ひな壇でその1段上がった位置は使用しており、そこのおじさんの荒い鼻息が丁度自分に当たってるんじゃねーかと気付いた時は、サウナなのに寒気が(苦笑)
また別のサウナでは、敷いてあるタオルがそのままなのに、そこに直に座らせるというのはどうかと思いました。誰かが座ったタオルの上にそのまま裸で座るとか、以前はそれほど気にしなかったと覆いますが、今となっては軽くホラーです。(サウナの温度でウィルス死ぬんだよと笑い話にする人もいましたが、もちろんそうとは限りません。)
マシな施設だと、一人一人入口で消毒したシートを持ってサウナに入り、座布団のように敷いて座り、出る時に持って出て消毒して返却とかさせていて、利用する側としても安心でした。(そういえば、以前ドイツのバーデンバーデンのスパに行った時は、サウナは自分用のシーツみたいのを敷いて座るのがマナーで、気付かずに直に座ったら、他のお客から静かに指摘されました。感染症対策云々じゃなくても、それがサウナの正解な気はしますね。)
その他、宿のチェックイン時の検温と身分証の確認とかは、もう本当にバラバラ。ちゃんとやっている施設が多いですが、感染症対策と称して無人チェックインを実施してますなんて宿もあり、宿泊中一度もスタッフに会わずにチェックアウトしたこともありました。そんなところは、検温やってないわけです。チェックイン時、書類に健康状態を自己申告で書いて、レセプションのポストに投函するだけ。そこに体温計があるわけでもなく、測りもせずに「37.5度以上はありません」とチェックするだけ。こんなの、いくらでも嘘ついて泊まれます。この宿は都内でしたが、年末に東京に久々に戻って実感したのは、東京は感染症対策杜撰なところ多いなということ。新宿のそれなりの商業施設でもエレベーターの人数制限をしておらず、人が沢山乗ってたりする光景、GoToで行った他所の県では見なかったので、ゾッとしました。ここに戻ってしまった以上、安易に他所の県には行けないと思いました。まあ、この年明け早々、某ワクチンの治験に参加予定で、しばらく待機せざるを得ないとうのもあります。初回健診で対象外と言われたら終わりですが、1年後まで通院予定が決まってたり、色々面倒ですし、プラセボだったりするかもしれません...が、どんな1年になるのやら。

謹賀新年

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2020年賀状.jpg

明けましておめでとうございます。
もう、年に一度の更新となってしまいました。

今年は、360度写真から切り出した画角を年賀状に使ってみました。令和とか元旦の文字を岩の角度が伝わるように張り付けてみましたが、崖っぷち感が伝わらないなぁ。なんか中途半端で、今年の年賀状は納得いってないのですが、集中力が続かないお年頃でしょうか。

昨年は、旅の合間にアミューズメントカジノでディーラーやったりしてましたが、今年は早速年明け2日、ホテルニューオータニ東京のカジノイベントでディーラーやります。
でも、ディーラーで食べてく気は無いし、格安クルーズ旅行とかカジノツーリズムも続けたいし、働き方改革でも必要ですかね。

なお、クルーズ旅行については、以下のクルーズマンズに乗船レビューを書いてますので、興味ある方はご覧ください。
https://cruisemans.com/@ranpou
クルーズに興味がある方には、参考になる口コミサイトだと思います。

では、本年も更新するか分かりませんが、どうぞよろしくお願い致します。

謹賀新年

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2019年賀状.jpg

ということで、あけましておめでとうございます。
ブログは何とかしないとダメですね(苦笑)

謹賀新年

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2018ranpou_blog.jpg
明けましておめでとうございます。
何と、前回の投稿が一昨年の年賀状という酷い状況で、久々の更新です。

昨年は、カジノスクールに通いはじめたのをきっかけに、久々にカジノ通いも復活しました。
最初は、マニラにできた日本資本のカジノ、オカダ・マニラを見てみたいというのがスタート。次は、仁川にできたセガサミー出資のカジノを見てみたいということで、パラダイス・シティへ。
夏は、当初スーパースター・ヴァーゴという船で、横浜から上海へ行って帰ってくるクルーズの予定でしたが、厄介な台風の影響で船会社からクルーズをキャンセルされてんやわんや。急きょ乗れたのが、香港から沖縄へやってくる中国人向けのクルーズで、ゲンティン・ドリームという最新鋭の15万トンの船。船上でのボルダリング、初めて体験しました。
その後、サイパンで仮オープンしてたカジノが、やっと工事が進んで新しい場所で営業開始したというのを知り、何十年ぶりかでサイパンへ。インペリアル・パシフィック・リゾートの宮殿のようなカジノでしたが、まだホテル部分は工事中。ホテルがオープンしたらまた行ってみたい感じでした。
そして、どうせなら、最近の済州島はどうなっているのかと調べてみたら、これまたリニューアルオープンしたカジノを発見。ラマダプラザのカジノが興味深かったので、情報不足でしたが色々回ってみるつもりで久々に済州島へ。最後、カジノからお土産もらってしまいました。
ここまでくると、アジアで行ったことのないカジノを体験してみたいという感じになり、セブ島へ。久々に場末感溢れるカジノに辟易。
この辺で、昨年は打ち止めの予定でしたが、カジノスクールの休みをついて、週末にまた仁川だのマニラだの行ってました。
マニラは、オカダ・マニラ以外にも巨大カジノが3つあり、近場では結構オススメです。
特にそのうちの一つ、リゾート・ワールド・マニラには、フリーベットブラックジャックという面白いテーブルがありました。なんと、9・10・11からのダブルダウンと、20からを除いたスプリットが無料というブラックジャック。高額ベットしてる時にスプリット、スプリット、ダブルとかチャンスが来ると、同時に大ピンチでもあるわけですが、それがノーリスクでできちゃうわけです。こんな素晴らしいルールのブラックジャック、他所のカジノで見たことがありません。ただし、ディーラーが22になっても、バーストではなく引き分け扱いというのが時々痛いのですが(苦笑)

そんな感じで、カジノ法案の行方を横目に、日本にできるはずの統合型リゾートの未来、そこで必要とされるコンテンツとはどんなものか等々、また考え始めました。

年末、古巣のVSLという、今はない会社の忘年会で、デジタル・ハリウッドの杉山校長とか懐かしい人々に会いましたが、思えばラスベガスに通いはじめたのも、デジタル・ハリウッドでSIGGRAPHついでにラスベガスに連れていかれたのがきっかけ。あの時、カジノリゾートとコンテンツの関係を初めて意識しました。
VSL時代の最後、それを引き継いだダイナモピクチャーズ時代と、会社の忘年会でプレゼント交換会をやってましたが、自分はいつも、ラスベガス旅行を誰かにプレゼントしてました。いつか仕事に役立つだろうと。

今年は、カジノスクールの友達とカジノへ行ってみたいです。
そろそろ、筑波宇宙センターでの知財の仕事は終わりにして、カジノとエンタメとコンテンツ分野に軌道修正したいところ。どんな年になるのやら...

前回前々回に続き、旅行の話。
というか、もう3ヶ月前のラスベガスの話(苦笑)
(ここ2ヶ月ほど、そろそろ働こうと情報収集始めたら、結構面倒でブログが後回しになってしまった。)

昔は、会社の納会でマイレージ使ってラスベガス旅行を同僚にプレゼントしていたくらいで、自分でも何度となく訪れていたラスベガス。司法試験の勉強が終わるまでと思って、しばらく行っていなかった。

前回行ったのは、STAR TREK THE EXPERIENCEが終了すると知って駆けつけた2008年8月だから、6年ぶりだ。この間の変貌振りは激しく、新しいホテルや施設がどれくらいあるか調べ、それらを含めて回ろうと計画するだけで、アホみたいに時間がかかってしまった(苦笑)

お初にお目にかかるのは...
CityCenterThe LINQAriaVdaraThe CosmopolitanElaraThe DDowntown GrandSLSThe Cromwell

日本食レストランとして有名なNobuまでがホテルに進出してた。

逆に、SaharaIMPERIAL PALACEといったリーズナブルなホテルは消えた。

つーか、IMPERIAL PALACEがThe QUADになって、The LINQに改装中とか、変化が速すぎてガイドブックにゃ書いてない。
The Quad Starting To Morph Into The Linq Hotel

TropicanaはHiltonになってるし、マイナーチェンジを含めたらワケワカメだ。

無料ショーとして有名だったSirens of TIが終了(左)してたのは知ってたけれど、フォーラムショップスFestival Fountainもなくなっていたのは行って吃驚(右)。
end.jpg

Sirens of TIは次のショーの予定も聞かないし、Festival Fountainの後がどうなるのかも知らないけれど、無料のショーが減り、リーズナブルなホテルが減りゴージャスでオサレに変貌し、カジノ以外も金がかかるようになってきたということなら残念だ。

そして、そういう意味での象徴的な変化が、ホテルの料金体系そのものに表れていた。


■不透明な料金体系
特に今回悩ませられたのが、宿泊料金に追加で徴収されるResort Feeというやつ。最初、ホテルの予約サイトの説明読んだ時は、何か新しい税金かと思った。でも、Resort Fee自身にも税金がかかるというので、なんじゃそりゃ?と。
http://www.lvtaizen.com/_backnum/html/10072main.htm

以前なら、インターネットや電話は、使った人だけが追加料金を請求されていたのだけど、今は使うかどうか関係なく、一泊毎にそれらの代金として強制徴収されるようになったと...まあ、こういうことは他のリゾートでもあるらしいけど、胡散臭いし面倒だ。

こんな一覧まである。
http://www.vegaschatter.com/story/2014/1/19/195044/059/vegas-travel/Las+Vegas+Resort+Fees%3A+The+2014+Guide

2012年と比較するだけでも、Resort Feeが値上げされ続けている変化が分かる。
http://www.vegaschatter.com/story/2012/1/3/211037/0031/vegas-travel/Las+Vegas+Resort+Fees%3A+The+2012+Guide

追加料金なのにオプションではなく、このシステムを導入しているホテルでは必ず徴収される。しかも、ホテルによって金額も内容も違う。エクスペディア等の予約サイトなどで金額でホテルを比較したい場合、宿泊料金だけで比較されるので、ホテル毎に異なるResort Feeを自分で合算して計算し直さないと、本当の比較ができない。何十ものホテルを全日程で比較検討するのは面倒だった。

予約時に予約サイトで支払う金額と別に、現地チェックアウト時にホテルに直接Resort Feeを支払うことになるので、それを理解せずに揉める客がいるらしい。

追加料金なんてたかが知れてるとか思ってはいけない。
ホテルによっては、宿泊料金よりResort Feeの方が高額だったりした。どっちがメインなんだ?と、つっこみたくなる。

以下、今回宿泊したホテルの料金。

9月ホテル名宿泊料金Resort Fee備考予約サイト
2日Hooters4,100円1,793円3人1泊エクスペディア
3日Hooters1,787円1,793円1人1泊エクスペディア
MGM Grand7,005円3,038円2人1泊M life
4日Stratosphere4,613円2,165円3人1泊Hotels.com
5日
6日
Downtown Grand13,065円4,387円3人2泊エクスペディア
7日Hilton Grand Vacations
Suites on the Las Vegas Strip
8,007円なし3人1泊Hotels.com
8日
9日
JOCKEY CLUB
(Jockey Resort Suites Center Strip)
25,220円なし3人2泊エクスペディア
10日Wynn22,066円3,075円3人1泊Red Card
11日RIVIERA2,222円1,832円3人1泊Booking.com
12日
13日
グランドサークルツアー参加ツアー込み205,263円VELTRA
14日RIVIERA2,222円1,833円3人1泊Booking.com

HiltonとJOCKEY CLUBがResort Feeなしなのは、どちらも本来は会員制リゾートなコンドミニアムだからだろう。(カジノのないコンドミニアムなんて、以前は割高な気がしていたけれど、高額なホテルが増えた結果か、印象が変わった。初めて利用してみたら、便利だしとても良かった。特にJOCKEY CLUBは立地も良いのだけど、一般客は常時利用できるわけではないらしいので、タイミングも良かった。)


■合計約11万円
グランドサークル観光を2泊3日したところを除き、3人でラスベガス11泊の合計が約11万円ということで、1泊1万円だったことになる。安いRIVIERAから豪華ホテルなWynnまで含め、地域的にはストリップ南の新フォーコーナー、フォーコーナー、ストリップ北、ダウンタウンと、ラスベガスの主要スポットを網羅した。網羅して、豪華ホテルも入れ、可能な限り安くできる日程を組んだらこうなった。上記リストに含まれない食費は想定外に高くついたけれど、ラスベガスのホテルのコスパが良いのは昔からだ。
(ちなみに、RIVIERAに2回宿泊しているのは、グランドサークルのツアーに参加するのに荷物をホテルに預けたからで、ツアー参加前後で同じホテルにする必要があったからだ。ツアーは早朝から参加で、帰りも遅いし翌日には帰国で早朝出発だし、どうせホテルは楽しめないと思い、ストリップでとにかく安いホテルを探したらこうなった。RIVIERAが好きなわけではない(苦笑))

昔はResort Feeがなかったので、もっと安かったけれど、カジノがあると関連施設が安くできるということ自体は確かだ。にもかかわらず、カジノのない高級ホテルが増えたり、Resort Feeのような宿泊施設の収益を増やそうという動きは、カジノ収益に依存した状態からの脱却ではある。

かつてのギャンブラーの街から、シルク・ド・ソレイユに代表されるショーなどエンターテイメント都市、ビジネストラベルのMICE都市へと変貌発展し、脱カジノ依存(「脱カジノ」ではない)の統合型リゾート(IR)として成長したけれど、まだ現在進行形で変化し続けているわけだ。

バーニングマンじゃあるまいし、こんな砂漠に何故世界中から人が集まるのか。
ラスベガスのスタイルを模倣したショッピングモールなど、お台場でも人気(ヴィーナスフォートとか)だろうけど、観光立国を目指す日本が学ぶべき点は、形式ではなく、その姿勢の違いではないかと思う。


と、話がズレてしまったけれど、旅のお話は年越しで(^^;;

前回に続き、ラスベガス旅行の話。今回はその経由地、ポートランドについて。


イーツアーを使って、デルタ航空の安いチケットの空席状況とにらめっこしながら、出発の一ヶ月前にギリギリ押さえられたのが、成田(NRT)からポートランド(PDX)経由でラスベガス(LAS)へ行くものだった。(本当は、羽田から深夜0:30とかに出発して前日の日付で現地に到着する便にしたかったのだけど。)

ポートランドといえば、自分にとっては鬼門。また引っかからなきゃいいけどと思いつつ、今回は別の問題があった。
NRTからPDX到着は朝9:11で、PDXからLASへの出発が16:50であり、7時間以上も時間があったのだ。これを空港内で待つのは、流石に勿体無い。簡単にポートランドを観光できないかな?

ということで、トランスファーの時間を有効活用するために、ポートランドの情報収集を始めた。

■なんだ、魅力的な街じゃないか...
正直、ラスベガスへの経由地くらいの認識しかなかったポートランド。でも、調べるうちに魅力が理解できてきた。

http://www.travelportland.com/lang/japanese/

コーヒーとビールが美味しくて自転車で観光するのが楽しそうな...いいね!
http://portland.junglecity.com/enjoy/index.htm
なんか、住んでみたい街だな。こんなことなら、7時間といわず、一泊くらいしても良かったかも...と思っても後の祭り。格安航空券はチケットの変更はきかないし、同行者の目的はあくまでラスベガスなので、貴重な時間をどう有効活用して観光するか考えてみた。

初めての街を短時間で効率的に楽しむとなると、自由に散策するよりも、ツアーに参加するのが良い。そこで、travel PORTLANDの観光ツアーのページで紹介されているツアー情報を参考に、参加可能なツアーを絞り込んだ。

個人的には自転車ツアーとか行きたいけれど、同行者は高齢なので無理。
同行者のことを考えると日本語ツアーが良いのだろうけど...
そもそも、この手のツアーはホテル宿泊者を前提に組まれているものばかりで、空港から参加するには時間が読めなかったりで情報不足。だけど、一々問い合わせしてる暇もないな...
オレゴンの自然を満喫するようなツアーも良いけど、どうせラスベガスからグランドサークル行くから、自然を楽しむのはそっちで十分だしな...

コーヒーツアーとかいいよね。
http://www.thirdwavecoffeetours.com/tours-jp.html
でも、ポートランドに9:11到着予定で、10時からのツアーというのは無謀だ。
順調に到着して順調に入国できたとしても、まず間に合わない。
http://www.forktownfoodtoursportland.com/#!our-tours-japanese/c1kpp
こんなのも魅力的だけど、曜日が合わないし...

とかウダウダ考えていたのだけど、最終的にPortland SpiritのDowntown Lunch Cruiseに決めた。
http://www.portlandspirit.com/portlandspirit.php#lunch

11:30から乗船開始の、12:00から14:00までのランチクルーズで、ポートランドの中心部を流れるウィラメット川(コロンビア川の支流)から街を紹介してくれる。到着や入国で多少遅れても、12時には間に合うだろう。日本語ツアーではないけれど、どうせランチは食べなければならないのであり、限られた時間で食事と観光ができれば一石二鳥だ。

結果的に、これで大正解だった。

■荷物の問題
そこで心配になったのが、ポートランド観光中に荷物をどうするかだ。
自分の荷物は大したことないが、同行者の荷物は多そうだ。とても、荷物を全て持って観光するわけにはいかない。

アメリカからの帰国の場合は、アメリカ国内を経由しても、途中の空港で受託手荷物を返却されることなく日本の空港まで運んでくれるが、日本から行く場合は、最終目的地ではなく、アメリカで最初に入国する空港で、受託手荷物を一度引き取らなければならない。つまり、帰りはLASで預けた荷物はPDXで返却されることなくNRTまで届くが、行きにNRTで預けた荷物は、PDXで一度受け取らなければならない。そして、PDXで再度荷物をチェックインしなければならない。

通常なら、乗り換え客には専用の荷物再チェックインカウンターがあり、受託手荷物を受け取ってもすぐに預けられて、身軽になれる。しかし今回は、次の便まで7時間以上あるのが心配だった。乗り継ぎ便はアラスカ航空であり、アラスカ航空は通常7時間も前に荷物を預からない。

そこで、デルタのカスタマーサポート用のTwitter公式アカウントに質問してみた。




すると、営業時間になってから、予約の詳細を確認するのでダイレクトメッセージで予約確認番号とか送ってほしいとの返事があり、それを伝えると迅速に返事がきた。

以下、ダイレクトメッセージでのやり取りはこんな感じだった。

デルタサポート
「PDXで預け荷物を一度受け取っていただき、乗り継ぎカウンターにて再チェックインが必要です。乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。PDXの市内観光をご希望の旨を空港職員へお伝え下さい。」

自分
「乗り継ぎカウンターでアラスカ航空の職員に市内観光希望を伝えれば、7時間前でも荷物をチェックインできるだろうということですね。ちなみに、アラスカは荷物1個から有料ですが、デルタで無料で預けた荷物は、別料金を取られることはないですよね?」

デルタサポート
「この度ご購入いただいている航空券は国際線とアメリカ国内線を1つの旅程として発券している航空券なのでアメリカへ到着する弊社の荷物規定が適用されます。また、今回はお乗り換えカウンターでの再チャックインとなりますので7時間前でも対応しております。」


自分の質問は、空港職員とアラスカ航空職員を混同しているが、最終的には、デルタのこれらの回答がほぼ正しかった。(「乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。」というのを除いて。)

しかし出発当日、成田のチェックインカウンターのデルタ職員が異なる説明をしたせいで、非常に混乱した。

自分
「今、NRTでチェックインしたのですが、PDX乗り換えが7時間あるからアラスカの搭乗券は発券できないと言われ、PDXでアラスカに搭乗券を発券される6時間前まで荷物も預けられないと言われてしまいました。困りましたが仕方ないですね。ご報告まで。」

デルタサポート
「ご報告いただきましてありがとうございます。こちらにて情報が誤っており申し訳ございません。チェックインやお荷物のお預けにつきましては、ポートランドにて再度ご確認いただきますようお願い申し上げます。ラスベガスへの旅、お楽しみ下さい。」


この時点で、既にランチクルーズは予約済みなので、今更荷物を預けられないとか言われても困るのだが、サポートから違う説明を受けていると言っても、成田のデルタ職員の返事はそっけなく、ポートランドで荷物をどこかに預ければ良いと言われてしまった。(結果的に、この職員の説明は間違っていたので助かったが。)

しかも、トランスファー時間で市内観光なんて、到着が遅れる可能性もあるのに、予約するのが悪いと言わんばかりの態度。(そんなの分かってるよ。)というか、何かイラッとすることを言われたが、忘れた(苦笑)

大体、日本のようにそこら中にコインロッカーがあるわけもなく、ポートランドのどこで預かってもらえるのか知ってて言ってるのか聞きたかったが、何か不毛な感じがしたので諦めた。ここでゴネても仕方ない。

事前に以下を見ていたので、
http://portland.junglecity.com/enjoy/basicinfo/airport.htm
「荷物預かり所(storage)」があること自体は分かっていたが、料金とかよく分からないので、利用することにならないことを祈っていた。

サポートからの「ポートランドにて再度ご確認いただきますようお願い申し上げます」という返事には、成田の職員が間違ってるのではないかというニュアンスが読み取れたが、実際にPDXに到着してみたらこうなった。

自分
「PDX、結果的に直ぐに荷物の再チェックインできました。荷物がベルトコンベアで運ばれた後に搭乗券を求められ、まだ発券されてない旨理解されると係員は困った顔してましたが、何も言われませんでした。先に確認されていたらどうなったのか、分かりません(^^;」

デルタ
「PDXでお荷物を直ぐ再チェックインが出来ましたとの事、何よりでございます。市内観光はお楽しみいただけましたでしょうか。ラスベガスの滞在も満喫くださいませ。」

ということで、無事に市内観光を満喫できた。


ちなみに、デルタのサポートとは、もう一つ別の質問もしていた。

自分
「NRTでe搭乗券を使った場合、PDXでアラスカ航空に乗り換えるのに、スマホのe搭乗券はそのまま使えますか?また、帰国の際、LASからPDXへのアラスカ航空について、Fly Deltaを使ってチェックインしてe搭乗券を使うということはできますか?」

デルタ
「スマホのE搭乗券でのご搭乗は、現在の所、弊社便のみでご利用可能と認識しております。恐れ入りますが、ご帰国時もアラスカ航空ご利用区間があります為、スマホのE搭乗券はご利用いただけないかと存じます。ご不便をお掛けし大変申し訳ございません。」

事前にこれを読んでいたので、
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/075/75095/
e搭乗券を使ってみたかったが、他社便が絡む今回は使えなかった。


■ポートランド国際空港の親切な職員さん
ポートランドで受託手荷物を再度預けた際、言われるままに階段を上がったら、すぐにセキュリティのいるゲートがあって、機内でもらったペットボトルの水とか、その場で捨てろと言われた。

「あ、このまま進むとセキュリティチェックポイントで、乗り継ぎ便のゲートまで行ってしまう」と分かったので、荷物を再チェックインしたカウンターで、市内観光希望を伝えなければならなかったのだと気付いた。

先のデルタサポートのツイートでは、
「乗り継ぎカウンターへお進みいただきますと、乗り継ぎ待ちのお客様の待機場所となります。PDXの市内観光をご希望の旨を空港職員へお伝え下さい。」
と言われていたので、待機場所らしき場所に行ってから伝えるのだと思っていたのだけれど、荷物の再チェックインカウンター周辺にそんな場所はなく、市内に出るのにセキュリティチェックポイントを通る必要はないはずなので、乗り継ぎ便のゲート付近の待機場所まで行くのは間違いだと思った。

そこで、セキュリティの職員に市内観光したい旨を理解してもらうと、ならここを通る必要はないという感じで、言ってることはよく分からないけど((^^;)下に行けという感じだったので、荷物を預けたカウンターに戻って市内観光に出たい旨を伝えた。

すると、外に出る場合の注意事項について説明を受け(たような気がする(自爆))、構わないと応えると、偶然そこに居合わせた初老の職員に何やら説明し、彼について行けと指示された。

で、その職員について行くと、シャトルバスが待っており、どこを通ったか分からないが、国内線のBaggage Claim (lower level)エリアに到着。もう、そのまま外に出られる場所だ。
途中、乗り継ぎに何時間あるのかとか、どこに行くのかとか会話していたのだけど、受託手荷物以外にも同行者がちょっと大きな手荷物(機内持ち込みしていた荷物)を持っていることに気付いて、荷物一つ$10で安いから、市内観光するなら預けた方が良いと、荷物預かり所にも案内してくれて、受け付けに事情を説明してくれた。

CIMG9156.jpg
写真の左側の場所で預けたわけだけど、正直、自分だけなら、ここが預かり所とは気付かなかったかもしれない。国内線のBaggage Claim (lower level)エリアのかなり奥まった場所にあり、しかもパソコンに向かってる兄ちゃんが一人いるだけで、カウンターもないただの事務所だった。でもお陰で、本当に身軽に街に出られた。

ここで荷物を預けるのに時間がかかっている間に、案内してくれた職員さんは他所に行ってしまったのだけど、市内に出るためのマックス・ライトレールのレッドラインの乗り場を探している時に、エスカレーターを昇って行くさっきの職員さんを見つけた。で、思わず軽い気持ちで「レッドラインはあっちですよね?」と確認のために声をかけたら、その職員さんはエスカレーターで遠ざかりながら詳しく説明しようとし始め、無理だと悟ると、他に利用者のいないそのエスカレーターをまさかの逆走!もうビックリ!!
かなり上まで昇っていたエスカレーターから、コーヒー片手にドッカンドッカンと駆け下りてきた(^^;;;;

見てるこっちがハラハラ。あわわわわ!!危ないですよぉ!!!
という感じ。

声かけてしまって申し訳ありませんm(_ _)m
そこまで親切にしてくれるとは、思ってもみませんでした。

エスカレーターを逆走してにこやかに駆けつけると、もう本当に親切に、レッドラインの券売機の前まで連れて行ってくれて、丁寧に教えてくれた。

高齢者を二人連れているせいもあったかもしれないけれど、アメリカ到着早々に不慣れなポートランドで受けた衝撃的な親切に、一同感激してしまった。

で、別れ際に母がチップを渡そうとしてしまい、職員さんがいやいや要らないよとジェスチャーし、自分もこの親切にチップを渡すのは失礼だと思って母を止めた。

爽やかに去っていく初老の職員さんの後姿は眩しかった。


■交通
空港から市内へは、マックス・ライトレールのレッドラインが安く便利だった。

CIMG9026.jpg

http://trimet.org/fares/index.htm
大人の場合、2時間券が$2.50、一日券が$5.00。
65歳以上のシニアだと、Honored Citizenというチケットになり、2時間券が$1.00、一日券が$2.00。
つまり、70代2名を連れて3人でポートランドでかかった交通費は、全部でたった$9.00だった。
まあ、アメリカの公共交通機関の運賃の安さというのは、他の都市でも驚かされるけれど、ポートランドのこのチケットは、他にバスや路面電車(ストリートカー)も乗れるそうで、安いだけではなく、その利便性の高さにも驚かされた。

CIMG9148.jpg

ポートランドは自転車専用レーンが整備されていたり、自転車に優しい街なのだけど、これが車内の自転車置き場。自転車で乗車してくる人は、垂直に自転車を立てて、写真上部の黄色いパイプの下にちょこっと出ているフックに前輪を引っ掛ける。大きな荷物や乳母車のスペースも兼ねている。

たったこれだけで、自転車が他の乗客の邪魔になることなく、スムーズに乗り降りできていた。
日本なら、折りたたんで輪行袋に詰めるのが自転車持ちこみの条件だったりすることが多いので、自転車も特殊だし、持ち込むのも面倒だったりして、一般的ではないと思うのだけど、ポートランドのこの方式は自転車そのままを何も準備なしに迷惑なく持ち込め、誰もが気軽に利用できるというのが、多くの利用者を見ていて分かった。

以下の様子も、利便性が理解しやすい。
CIMG9138.jpg
CIMG9139.jpg

これは、ランチクルーズ船乗り場の近くのマックス・ライトレールの駅。歩道とプラットホームがシームレスで、車内で運賃を払うわけでもないのに改札もない。何もないけど、乗客は自動券売機で切符を買う前提なわけだ。恐らく、キセルがばれた場合の罰金が高いのだろうけど、日本との設計思想の違いが面白い。不正利用者の排除より、正しい利用者の利便性を優先すると、こんなに街に馴染んだ鉄道が生まれるということだろうか。こんなだから、乗ってきた自転車で簡単に乗車できるわけだ。

駅前で駐輪してる自転車まで、街に馴染んでた(^^;
CIMG9141.jpg

■ランチクルーズ
目的のクルーズについて調べた際、ランチを食べないクルーズのみの客も一緒で、時々そういうチケットをアメリカのグルーポンで売ったりしているようだと分かった。クルーズのみの客は、乗せすぎて座る場所もない時があるようで、混んだクルーズに乗った客から低い評価を受けていた。しかし、その不満は、ランチの客が優先されていることへの不満だったので、逆にランチクルーズは安心して予約できた。まあ、$40という料金もリーズナブルだと思ったので。

そして当日、定刻通り9時過ぎに到着したポートランド国際空港から乗船の桟橋に到着したのは、乗船開始の11:30丁度だった。色々心配していたのに、順調過ぎて嬉しくなってしまった。(逆に帰国の際のポートランドは苦労するのだけど、その話はまた後日。)

桟橋では記念写真を撮られ(後で買いたい人だけ買うやつ)、乗船の際に苗字を確認されて予約席に案内されると、出航の12時を待たずにコーヒーやパン類は運ばれてきた。

CIMG9043.jpg

オプションでワインや前菜を注文できるのだけど、飲まないし、どうせメインの量が多いと思って頼まなかった。

そして出航すると、注文を聞きに来ていたサーバーだった船員などが歌ったりし始め、そういやクルーズの説明に「live entertainment」と書かれていたのを思い出した。結構埋まっているランチの客席は、和やかに盛り上がっていた。

CIMG9048.jpg

メインの料理が運ばれてきたのは12:30頃だったけれど、それまではショーだの景色だの眺めていたらあっという間だった。

CIMG9064.jpg

メインの選択肢は4種類で、ベジタリアン向け、チキン、ビーフ、ティラピアとあったので、自分はティラピアを頼んでみたが、まあ普通に美味しかった。
CIMG9071.jpg

ゆっくりと食事を終えた後も、しばらくその席から外の景色を眺めていたのだけど、いつの間にか他のランチ客はかなり席を立って移動していた。それで、食後は上のフロアや甲板に自由に移動し、もっと景色を楽しんだ方が良いと気付いた。

CIMG9100.jpg

しかも、ランチのフロアでは聞こえなかった観光案内のアナウンスが、甲板に出たら響いていた。

CIMG9115.jpg

甲板はそれほど広くなかったけれど、強い日差しも気持ちよく、結局最後まで甲板にいた。
CIMG9126.jpg

こうしてクルーズを堪能して14時過ぎに下船すると、何やら鳥の群れが。
CIMG9130.jpg

人から逃げることもなく、通行人と鳥の群れが普通にすれ違う不思議な風景。
CIMG9131.jpg

でも子供は天敵(^^;
CIMG9128.jpg

最後まで、いい街だなぁ~という感じ。
またレッドラインに乗って空港に戻ったのが15時過ぎ。
預けていた荷物を受け取り、16:50のアラスカ航空の便に丁度良い時間で、焦って急いだりすることもなく、最終目的地ラスベガスへと旅立てた。

ということで、ポートランドで乗り換え時間を有効活用した市内観光は、声を大にしてオススメしたい。そのために便の時間を変更しても良いくらい。
もちろん、乗り継ぎに失敗しても知りませんが(笑)


帰国してからこんなの読んで、えらく納得。
http://tripplanner.jp/pickup/planner/eb5e85ee2fba30c914e8712c534d738a/
http://blog.compathy.net/2014/05/26/portland-craftsmanship/
http://blog.compathy.net/2014/05/27/portland-craftsmanship2/
http://www.cos-kyoto.com/soup/soup_vol_sp01.html


では次回、やっとラスベガス。

ご無沙汰

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気がついたら、半年以上も更新してませんでした。

最後の司法試験を三振し、これから何にチャレンジしようかな...という今日この頃。
というか、早く社会復帰せねば(^^;

お勉強のために仕事を辞め、長らく引きこもり生活をしていたので、我慢していたやりたいことというのが色々とあり、第二次モラトリアムというか人生の岐路のようなこのタイミングで、それをやってから次の路へ...とか思っていたけれど、無職のくせになかなか自由にならないものです。

血迷って、山形まで合宿免許取りに行って、40歳の終わりに初自動車免許を取得。
合宿で一緒になった女子大生とFacebookでお友達になってニヤニヤしたとかしないとか。

久々に広島国際アニメーションフェスティバル行って、働いていた会社の特殊映像研究会の部員の面々と飲んだとか。

芦ノ湖でインフレータブルカヤック初挑戦して、そのまま箱根から自転車で杉並の自宅まで帰ってみたとか。(帰宅途中でスマホのバッテリー切れて、トラックデータは自由が丘で終わってます

高校時代の野球部の監督が退職したので、お疲れさま会に参加したら、酔ってヘベレケな監督と抱き合ってしまったり、厳しかった先輩が僕が司法試験チャレンジしてたの知ってて気にしてくれてたのを知ってちょっと嬉しかったとか。

本場のバーニングマン行きたいと思って色々準備したけど行けず、グランドキャニオンの谷底のPhantom Ranchに泊まりたいとか色々調べたりしてたら、何故か母と叔母の70代姉妹のラスベガス旅行のツアコンとなり、久しぶりにラスベガスへ2週間行ってきたとか。

そんなこんなの近況です。

高齢者の旅のお供は、本当に大変で...というのはどうでもいいのですが、元々ラスベガス好きなギャンブラーなので、この2週間の旅の紹介で、ブログ再開してみようと思います。これからラスベガス行きたい人には、少しは役立つかと。まずは、旅の準備段階のSIMのお話を。

■旅の準備:スマホのSIMをどうするか
久々の海外旅行ということで、旅行事情の浦島太郎状態から情報収集せにゃならなかったわけですが、同行者を迷子にするわけにいかないので、まずはメンバー間の通信手段を安価に確保するところから調べてみた。

とはいっても、高城剛氏をこよなく尊敬する身としては、国際ローミングで高額請求されるに任せるなどあり得ない。海外じゃ、スマホのSIMを差し替えるのが当たり前、くらいのことは遠い記憶に残っていた。
幸い、以前からSIMロックフリーなイーモバイルのスマホばかり使って3台目なので、同行者二人には使わなくなった古いスマホを貸せば、端末は足りる。

問題は、どこでアメリカのSIMを入手するか...

●HanaCell
で、SIMだけなら安く入手できるとは思っていたけれど、こんな安さは想定外。
http://www.hanacell.com/jp/tariff/simonly.php

送料込みで1ドル?
は?
こんな会社知らないけど、何か裏があるんじゃないか?

というのが、最初の感想。
-->2015/1/4追記
いつの間にか9ドルに値上げされてた(^^;
<--

月額基本料金のかからない「プリペイドX」の場合
米国内の通話料金:$0.27 /分
データ通信:$0.50 /MB

まあ、データ通信が割高だけど、ラスベガスはホテルでWiFi使えるので、余程のことがなければスマホでデータ通信はしない前提(タブレットにデータ通信専用のSIMを買う予定だった。)で、短期の旅行なら十分安心して使える通話料金。

しかも、「プリペイドX」なんて商品名なのに、チャージする必要なしの「使った分だけ後からお支払い」って、どこがプリペイドなんじゃい!(^^;
と思わずつっこみたくなる明朗会計。次にいつ渡米するか分からない旅行者としては、使わない間は一切費用がかからないのに電話番号が維持できるなんて、本当に助かる。
どうやら、mobellの子会社らしい。

$1ならダメもとで...ということで、とりあえず自分一人契約。
アメリカからじゃなくて、日本に発送元があり、注文からほんの数日で本当にSIMが届いた。

DSC_5177.jpg

IMG_20140817_052626.jpg

これと並行してメールで、SIMに割り当てられる電話番号の案内も届いた。(アメリカでしか使えないSIMは、アメリカで使える状況になるまでスマホに電話番号は表示されないので、出発前に日本で番号を教えてくれると知人に教えたりできるので助かる。)

悪い噂も見当たらないので、これなら大丈夫だろということで、同行者二人それぞれにもHanaCellと契約してもらった。その際、先に契約した自分の電話番号を伝えることで、お友達紹介キャンペーンで$10の無料通話ももらえてしまった。

結果、最初の渡米地ポートランドでスマホの電源を入れ5・6分後、スマホに電話番号が表示され、無事に通話できるようになった。その後、ラスベガスでもちゃんと使えた。ただ、グランドキャニオンでは、Maswik Lodge周辺で一度だけ通話しようとしたが、アンテナが立たず使えなかった。

カバーエリアはAT&Tの基地局により、以下から確認できるが、グランドキャニオンは「Partner」の地域となっていた。
http://support.hanacell.com/jp/myService/documents.php
Partnerでも使えることになっているが、自分が使えなかった時の状況を詳しく調べなかったので、どうして使えなかったのかは分からないが、目的地がカバーエリアかどうかは契約前に確認すべきだろう。

いずれにしても、現地での通話はHanaCellで格安に確保でき、非常に助かった。


ちなみに、GSM方式で850MHzと1900MHzに対応していることが「ケータイ持込み」プランの条件であり、古いS31HWS51SEがそのまま使えた。ただ、事前にHanaCellに問い合わせた際、イーモバイルがSIMロックフリーであることや、S31HWがIDEOSであることをサポート担当が知らなかったりしたので、日本のスマホ事情を詳細に理解されているわけではないかもしれず、自分のスマホが対応しているかどうかは、自分でよく確認した方が良いだろう。SIMロックフリーのスマホだからと、周波数が対応しているとは限らない。

また、アメリカの携帯の電話番号は、日本と違って市外局番が割り振られるので、ケータイ持ちこみプランで申し込むにしても、とりあえずの訪問先のZIPコードが必要になる。ラスベガス旅行なら、宿泊するホテルの住所に「89109」とか5ケタの数字が書いてあれば、それを伝えることでラスベガスの市外局番でSIMに電話番号が割り当てられる。申し込み時、どうして滞在先の郵便番号が必要なのか不思議に思うだろうが、とりあえずそういう仕組みなので、その市外局番で電話番号が割り振られたからと、他の地域で使えないわけではないので、一番滞在時間の長そうな地域の郵便番号を申請すると良いだろう。

●READY SIM
スマホと別に、タブレットのNexus7にデータ通信オンリーのプリペイドSIMを探していて、データ通信はタブレットだけにしようと思っていた。そこで見つけたのがこれ。
http://www.readysim.com/shop/data-only.html

http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=20954
http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=16626
ここで、単発渡米の旅行者にREADY SIMがすすめられていたのがきっかけ。
この商品購入代行で、Dataオンリー14日間500MBのREADY SIMが、送料込みで$19.50で売られていたので、旅行の期日が迫っていたがギリギリ間に合いそうなので申し込んでみた。ところが、READY SIMの入荷がいつもより遅れてしまい、結局旅行に間に合わないので、先方が注文をキャンセルしてくれた。

それでも諦めたわけではなく、現地で買えば良いと思っていた。
http://www.readysim.com/where-to-buy
ここでラスベガスのZIPコードを入れて検索すれば、ディーラーがいくつも表示されたから、不安はあったが買えないことはないと思っていた。

ところが、Tropicanaの「Essentials」や、Excaliburの「Welcome to Las Vegas」に行っても、売ってるのはスマホ用のPhone/Text/DataのSIMばかり。タブレットのDataオンリーのSIMは皆無。たった2軒で諦めるなと言われそうだけど、Excaliburの「Welcome to Las Vegas」はショップを見つけるだけで精根尽き果ててしまった。

最初、ホテル内でちょっと探して見つからなかったので、ホテルの人に聞いたら、「Welcome to Las Vegasはラスベガスブルーバードは南に行って...」とか道順説明が始まった。

待て待て、それはあの有名な看板の話だろ?
http://en.wikipedia.org/wiki/Welcome_to_Fabulous_Las_Vegas_sign
聞きたいのは、観光名所になってる看板のことじゃなくて、このホテル内のショップのことなんだよ。Welcome to Las Vegasってショップ名なの。

すると、知らないからコンシエルジュに聞いてみろと。

仕方ないので、運悪く行列のできてるコンシエルジュのカウンターに並んで待つこと十数分。やっとコンシエルジュに質問した回答が、
「Welcome to Las Vegasはラスベガスブルーバードは南に行って...」
待て待て。おまえもか。

Welcome to Las Vegasはこのホテルのテナントで入ってるショップの名前なんだよ。
何?知らない?
いやいや、だから、READY SIMってSIM業者のホームページで、地図入りでこのホテルのショップがディーラーとして紹介されてんだよ。こういう名前の店が、このホテルにあるはずなの。
知らない?マジですか...

段々こちらも、READY SIM側の情報が間違ってたんじゃないかと不安になったところで、ちょっと待てと。日本人かと聞かれ、待たされた結果、なんと日本語通訳が電話で登場。

えーー
たかが店の場所質問してるだけなのに、通訳さまの登場?
確かに自分の英語は酷かったけど、意思疎通はできてたと思うのだけど...

申し訳ない気分いっぱいで、通訳に状況を説明。コンシエルジュはないと言ってるけど、そういう店を探してるだけなんだと。

ところが、この会話の最中に、コンシエルジュが何か思い出した。
通訳から、2Fにそういう看板を出してる店があるとコンシエルジュが言ってると伝えられる。

だろーーー
あるだろーーー
ないのに理解できないで駄々こねてる日本人じゃなかったろーーー

その後、コンシエルジュ自身がショップまで連れて行ってくれることになったのだけど、店が多すぎて把握できなくて...みたいな言い訳を、恥ずかしそうにしていた。

そうして、ショップに到着するまでに、新たな悩みが生じた。
このコンシエルジュは、自分のホテルのテナントの名前も覚えてないなんて使えないけど、英語の不自由な日本人にわざわざ通訳を呼んでくれたし、お店まで直接案内してくれるとか、親切ではある。この一件だけで、もう30分以上は費やしてる。一応誠実にここまでしてくれてるけど、チップを払うべきか...

いや待て。そもそも、コンシエルジュがテナントの名前を覚えてれば、ものの数分で解決できた問題じゃないか。場所だけ教えてもらえれば、わざわざ店まで連れて行ってもらうほどの問題ではない。通訳だって、いらなかった。親切だけど、時間を浪費された自分は、本当は怒っても良い状況のような...だって、探してるのはたった$15.00の品だぞ。

とかグルグル考えているうちに、店に到着。
確かにその店は実在した。

コンシエルジュには、日本式に頭を下げて、礼を告げた。
チップを待ってる感じで直ぐに立ち去らないコンシエルジュに、にこやかに二度目の頭も下げた。コンシエルジュは、後ずさりしながら二度見して帰っていった。

まあ、そもそもコンシエルジュのサービスにチップが必要かは分からないが、有能なら即答できるレベルの、明らかにチップ不要な容易な要求しかしてないのに、たまたま能力不足な故に時間をかけて親切丁寧にサービスを受けてしまった場合にチップを払うというのも変なので、これで良かったと思う。

で、苦労してたどり着いたそのショップでREADY SIMを探した結果、Dataオンリーはなかったわけだ。これで、能動的にディーラーを探すのは諦めた。旅先の貴重な時間を無駄にできない。

後は、他の買い物でSIMを扱ってる店に入るごとに、READY SIMに限らず適当な商品がないか探していたが、他社製品は割高で、結局買わなかった。

旅先でのデータ通信の必要性は人それぞれだろうが、自分の場合、WiFiの使えるホテルにいる間にほとんど用事が済ませられた。旅先の屋外で一番使うアプリはGoogleマップだと思うが、事前に地図は保存できるので、現地で通信できずとも使える。ホテルの部屋のWiFiで地図を保存し、次の移動先までのルートを検索すれば、初めてのバス停に迷わずたどり着いて、バスに乗って目的地に到着するまで、Data通信は必要なかった。

困ったのは、WiFiのなかったグランドキャニオンの宿くらいだった。事前に読み込んでいた地図より、詳細な拡大地図が見たくなったが、できなかったので夜中に迷った(苦笑)
(その辺の話はまた後で)

まあ必要はなくても、使えれば便利なわけで、次の機会があれば、またREADY SIMを注文したくなるだろうけれど、現地のホテルに届けてもらうという方法を紹介されているのを見つけた。
http://blog.livedoor.jp/rakutk2010/archives/4732560.html
まあ、今回の場合はホテルに届けてもらうにも日程に不安があったので、どうしようもなかったとは思うが、現地のホテルに届けてもらうなら送料かからないとなると、それが一番安い買い方なのだろう。ホテルでチップを払うかどうかは知らないが。

ということで、次回はポートランドについて。
ラスベガスにポートランド経由で行くと、結構楽しいよ、というお話。

「羽田新滑走路、五輪前の建設困難 かわりに都心飛行検討」(朝日新聞デジタル:2014年1月31日19時11分)
http://www.asahi.com/articles/ASG104Q3MG10ULFA012.html
「2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、羽田空港に5本目の滑走路建設を検討していた国土交通省が、五輪前の建設を断念する見通しになった。国交省の有識者会議が31日、埋め立てなどが間に合わないとの見方を示した。都心上空の飛行を認めたり、効率的な管制方式を採り入れたりして、別の形での発着能力増強をめざす。」

驚くことに、いまだに国交省は、オリンピックで東京一極集中を強化しようと考えていたわけだ。で、工事が間に合わないからと次に検討しているのがこれ。

「滑走路を新設しなくても、現在認められていない都心上空の航路を使えば効率的に離着陸できるようになり、発着枠は増えるとされる。」

こんなこと、都民が望んでいるかね?

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のサイトには、こんな資料も上がっている。
http://tokyo2020.jp/jp/plan/applicant/dl/TOKYO2020_05_jp.pdf

「5.2 空港」によると、大会で利用する主要国際空港は、成田と羽田しか考えられていない。主要でないその他の空港としては、東京以外で開催される2箇所のサッカーの会場に関して、新千歳空港と仙台空港の名前があるのみ。

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あのね、まずは茨城空港を最大限活用すべきなんじゃないの?
茨城空港と東京のアクセスは、バスなら、成田空港の場合と数十分の差で運行できる。

オリンピックのみで、東京以外に外国人を行かせるつもりがないなんて人はいないはずで、訪日客の視点で考えて当たり前に富士山観光も考慮すれば、富士山静岡空港だってもっと活用できる。

民主党政権のはじめ、JALを潰すことが話題になった頃、地方空港が無駄に多いという短絡的な世論が形成されたけれど、オリンピックに関係なく、そもそも観光立国として外国人観光客を今の3倍に増やす計画なわけで、羽田と成田じゃ足りないことなんて最初から分かっている話だ。無駄と言われた地方空港が賑わうような状況にならなければ、計画なんて達成できない。

少し不便でも空港の施設使用料が安い地方空港に、LCCがもっと何倍も就航し、地方が活性化されなければ、観光立国になれないどころか、オリンピック需要の東京一極集中は(建設業界の一部を除いて)誰の幸せにもならない。都民の多くだって、そんなことは望んでいないのでは?

霞ヶ関的な、旧態依然とした一極集中思考の人々が集まって議論し決めているなら、このオリンピックは最悪だ。

"オリンピックの果実を味わうのは東京だけ"という結果にならないためにも、今のうちから、東京一極集中を前提としない訪日客の輸送ルートの増強こそ、検討されるべきだ。そのためには、周辺他県の首長も、東京オリンピックについてもっと積極的に関与し発言して欲しい。

そして、次の都知事には、周辺他県と連携してオリンピックを成功させる思考を持った人になって欲しいし、そのためには国交省を説得できる(国交省に説得されない)人でなければ困る。東京が稼げばOKとか言ってる候補者もいるけれど、そういうのはマジ勘弁て感じで。

今年の司法試験も終わり、オワタオワタ...ということで、自暴自棄になって旅立った...ではなく、母親が東北を旅したいというので、ツアコンしてきました。
先月GW前に、陸前高田の戸羽市長がfacebookで書かれていたのだけど、6月になると、津波被害を受けた旧市役所などの公共の建物、ホテル、スーパーなどが、順次解体されることになっており、津波被害を直接見ていない人など興味本位でも構わないから、陸前高田に来てくださいという話があった。それを母に伝えたら、そういうことなら行きたいと。じゃあ、東北六魂祭もあるから、試験終わった翌週に...ということで、試験後、出発のわずか数日前に調べて旅程を組んだ。もちろん、平泉も観光したいとの要望があった。
で、そのうち陸前高田に関する部分は、これから行こうという人の参考になる部分もあると思うので、少し細かく紹介することにした。


■陸前高田の宿の予約
ボランティアや簡単なバスツアーなどではなく、しっかりと陸前高田を歩いて見るため、まずは宿の確保から始めた。自分一人なら、夜行高速バスで早朝到着し、午後のバスで一ノ関に戻って宿泊という強行軍も可能だが、今回はそうはいかない。悪天候なども想定し、確実に、無理のない行程を組むには、陸前高田で宿泊するのがベストと考えたからだ。

参考にしたのは、まず市のサイト。
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/kategorie/kanko-event/syukuhaku/syukuhaku.html

この中から、長距離バスのバス停のある市役所仮庁舎や、広田湾との距離など考慮し、徒歩で活動可能な地域の宿を検討した。
もちろん、市中心部から遠い宿も、タクシーを活用するなどで交通手段が確実に確保できれば構わないだろうが、路線バスの本数は震災後は極端に少なくなっており、場所によっては1日1往復しか走っていなかったりするので注意が必要。
やはり市のサイトにある、バスの時刻表と路線図は、とても参考になる。
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/kategorie/kurashi/bus/bus.html
で、時刻表とにらめっこしながら、中心部から遠い広田町の宿にも電話してみたが(以前この辺でも作業したことがあるので)、自家用車で来るのが普通の場所だから、バスを当てにするようなことはせずに、もっと市中心部に近い宿にした方が良いとアドバイスされた。

ということで、
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/shisei/access/access.html
市役所周辺で探した結果、
http://takata.si-dsg.com/camp/contents/04.html
陸前高田ドライビングスクールの宿泊施設(ユニウス)のお世話になることに。

DSC_0659.jpg

ここは、ボランティアも多く利用する宿で、どうやら普段からかなり混んでいる感じで、直前なのに予約できたのは運が良かったのかもしれない。徒歩数分圏内にコンビニ、ドラッグストア、スーパー、銀行、郵便局等が集中しており、被災した主要施設がこの周辺で営業再開し、市の新しい中心地の一つを形成している感じになっている。もちろん、市役所の仮庁舎も近い。

しかし、まあ専門のホテルではないので、色々とルーズな部分があり、実際にチェックインしようとしたら宿の管理人に予約の話が一切伝えられておらず、フロントに人はいないし、部屋も準備されておらず、常識的に考えれば色々と問題があった。

そもそも、予約の電話をした際の予約担当の男性の対応はかなり変で、宿から徒歩圏内にコンビニがありますよね?と念のため質問したら、何か勘違いされてしまい、来たら何とかなるとか東京のつもりで来ても何ともならない、とか、陸前高田に来たことはあるのか、とか言われてしまった。ボランティアで行ってるし、その宿の前も何度も通ったことがあるし、その目と鼻の先でも作業したことがあるのだけど、質問の仕方が悪かったのか何か気に障ってしまったようで、嘘を言われてしまったのだ。徒歩3分で、ローソンもファミマもドラッグストアも、スーパーマーケットのマイヤも、100円ショップのキャン・ドゥも既に営業再開している宿で、どうにもならない訳がない。どうにもならない広範な地域があることはもちろんだが、少なくともこの辺はもうそうではない。

更に、本当は素泊まりにして、食事はコンテナの店舗で頑張ってオープンした付近の飲食店を探し、お金を使おうとも思っていたのだけど、そういう考えを伝えたのがまた気に障ったのか、自分たちも被災しているのだから、食事もうちで食べてくれと言われてしまい、じゃあ食事付きでお願いしますと相成った。二食付きで追加1500円なんて格安な宿の食事で終わらせるつもりはなかったけれど、夕方になれば仮設の飲食店なども閉めてしまい、夜は食べる場所などないとも言われたので、それに従って食事付きにしてもらった。結果、夜コンビニに行こうとしたら、居酒屋のような店がやっていたように見えたのは、きっと気のせい...

陸前高田市内の各種店舗マップのサイトが存在することは、帰ってきてから知った。先に見ておけば...
http://www.rikuzentakatatenpomap.com/
なお、このマップにまだ反映されていない店も多いので注意。

で、その予約担当者が管理人に予約を伝えなかったため(ゲフンゲフン)、15時前には宿に着いたのに、部屋に入れたのは約40分後になってしまった(しかも、どうやらダブルブッキングもやらかしていた。)のは、きっと言葉足らずな自らの不徳の致すところに違いない。まあ、自分は旅行のトラブルは慣れているので、基本的に気にしないのだけど、今回は時間が貴重だったので残念ではあった。しかしそれ以上に、管理人のおばさんの親切が対照的で有り難く、また当日電話での問い合わせに応じてくれたドライビングスクールの方から、後からお詫びの電話をいただいたのも驚いた。最終的には、ここにして正解だったと感じた。終わりよければすべてよし。


■陸前高田への公共交通
陸前高田は、今も鉄道(ドラゴンレール大船渡線)は復旧していないので、バスでしか行けない。

ボランティア目的のバスや、素通りするだけの復興支援バスツアーならいくつもあるけれど、今回の目的にはそぐわないので除外すると、東京方面から陸前高田入りする際に使えるバスの選択肢は、基本的に2択しかない。

まず、池袋からの夜行高速バス(けせんライナー)で、直接に陸前高田入りできる。
http://5931bus.com/kosoku/tono-kesen.html
しかし、これは到着が早朝過ぎ、前記の通り今回は適当でない。
そこで、一ノ関まで新幹線を使い、一ノ関駅から陸前高田市役所仮庁舎前に1600円で行ける大船渡一関線という路線バスへの乗り換えを検討。
(JRは「一ノ関」と表記するが、バスは「一関」と表記している)
http://www.iwatekenkotsu.co.jp/rosen-jikoku/morioka/110314pdf/engann/20120317/ofunato-ichinoseki(20120317).pdf
これで、14:29に陸前高田市役所仮庁舎前に着けるので、15時チェックインの宿に丁度良いと考えた。(ちなみに、震災以前は1時間に1本はあったそうだが、今は1日2本しか走っていないので、1本逃すと大変なことになる。)

が、新幹線で一ノ関、バスで陸前高田というのがシンプルだが、実は一ノ関から気仙沼までは、ドラゴンレール大船渡線が再開している。これを組み合わせて、気仙沼で大船渡一関線のバスに乗り換えるというのが、ちょっと魅力的。

ということで、出発した5月24日当日は、こうなった。
09:06 大宮
  ↓ 新幹線やまびこ53号
11:13 一ノ関
12:21 一ノ関
  ↓ ドラゴンレール大船渡線
13:40 気仙沼
13:49 気仙沼駅前
  ↓ 大船渡一関線(岩手県交通)
14:29 陸前高田市役所(仮庁舎)前

気仙沼駅前のバス停は、ちょっと注意が必要。駅前にあるバス停は別のバスのもので、実は駅が見えない位置まで移動しないと、大船渡一関線のバス停はない。分からなければ、駅前の観光案内所で質問すればすぐに教えてくれる。

なお、逆の盛岡方面から陸前高田に行けるバスもあるが、そういった路線も詳しく比較したい人は、岩手県交通のサイトを参考にされると良い。
http://www.iwatekenkotsu.co.jp/

ちなみに、陸前高田市役所仮庁舎前は、今ではこんな感じでATMがずらりと並んでいる。
DSC_0649.jpg


■高田町
チェックイン後、16時頃に竹駒町の宿を出た。そして、20分も歩けば、高田町の広大な、津波で流されてまっ平らになった風景に出くわす。
1年前この辺に来た時の、凄い量の瓦礫が、確実に減ったことが分かる。

例えば、1年前こんな風景だった場所が、
IMG_3832.jpg今はこんな感じだ。DSC_0685.jpgそして、この残っている建物も、もうすぐ取り壊される予定というのが、今回の旅のきっかけ。

1年前、少し高い地域では、取り壊し待ちの家屋も多く、家財道具の運び出し等を手伝った家などは、業者の予約が混んでいて年内に取り壊せるかどうかも分からないとお婆さんが嘆いていたものだが、今回はそういう家がさっぱりと消え去っていた。


何もないのに、かろうじて道路だけある風景。家があったであろう場所には、いくつも供養の花が枯れていた。ここに初めて来た母は、当初は被害の規模の大きさがよく分かっていない様子だったが、見渡す限り広大な平地となってしまった風景を直に見て、TVで見ていたものとは違う現実がここにあることを、少なからずやっと理解したようだった。(被災者の方はまさかと思うかもしれないが、TVでしか震災を知らない人というのは、本当に被害規模を理解できていない。理解できていないから、酷いことを言う人もいる。でも、現地を見ないで想像できるような被害ではないのも事実で、理解できない人が特別に悪いわけでもないとも思う。想像を遥かに超える被害というのは、やはり現実に見てもらうしか、理解を得られない。)

マイヤから市民体育館に向かう途中、旧市役所前の簡易な祭壇で手を合わせた。
DSC_0698.jpg
高田松原第一球場近くから引き返し、キャピタルホテル、奇跡の一本松のよく見える場所まで歩き、国道340号沿いに宿まで戻って、丁度3時間たっていた。
自分としては、翌日も使って(もし初日雨だったら、翌日の夕方までを陸前高田で使えるように、フレキシブルな旅程を組んでいた)、かつてお手伝いした広田町くらいまで行きたい気持ちはあったけれど、高齢な母はもう十分よく分かったという感じだったので、翌日は早朝に陸前高田を発つことにした。(もちろん、高田町だけ見て陸前高田を全部見たなどというのは甘い話で、帰宅後、Googleマップとストリートビュー見せながら、歩いた場所がどんなに一部分に過ぎないか説明することになった。)

ちなみに、以前は壊れた自動車の山だった場所が駐車場になっていたり、少し坂を上った辺りに理髪店が営業していたり、お菓子屋さん等がオープンしていることに、一々感心してしまったが、行きに気になったお店で、帰りにお菓子を買った。

DSC_0675.jpg
IMG_20120528_115446.jpgIMG_20120528_115508.jpg
これを買った「おかし工房木村屋」さんは、後で調べたら、
http://okashitsukasa-kimuraya.com/
元は気仙ゆべしの老舗で、被災地応援ファンドで再建されたばかりだった。
http://www.musicsecurities.com/communityfund/details.php?st=a&fid=200
何も知らずに訪れ、奇跡の一本松をモチーフにした「夢の樹バウム」も偶然買ったのだけど、とても美味しくて、デカいの一本丸々買えば良かったと、ちょっと後悔。
http://www.musicsecurities.com/blog/community_news.php?st=cal&bl=120&cg=25
被災前のサイトは、オンラインショップのリンクが切れており、更新されてないようで、買う手段はないのかと諦めかけたら、こんなの発見。
http://www.i-wa-i.jp/article/14399034.html
あぁ、ここは入らなかったけど、隣のお店だ!
ということで、隣のお店経由なら「夢の樹バウム」が通販で買えるので、おススメです(笑)


■平泉へ
翌25日は、早朝からバスで陸前高田を去った。

06:01 陸前高田市役所(仮庁舎)前
  ↓ 大船渡一関線(岩手県交通) ←行きの逆のバス
07:55 一関

鳴石団地前を過ぎたあたりから、広田湾に下っていくバスからの風景

通過した気仙沼の風景

09:00 一ノ関
  ↓ 東北本線
09:08 平泉

ここからは通常の観光モード。平泉では、駅前で電動アシストサイクルをレンタルで借り(ゴールドレンタ平泉:1日1300円)、効率的に観光した。
借りたのが9時30分頃で、柳之御所遺跡柳之御所資料館無量光院跡高館義経堂中尊寺と順調に回り、中尊寺の奥のかんざん亭で、絶景の中、自然薯そばを美味しくいただいた。

DSC_0964.jpg

かんざん亭を出た時には、既に14時だったので、ここまでじっくりと観光できた。しかし、段々と天候が怪しくなり、次の平泉文化遺産センターにたどり着いた頃には、雨が降り出していた。
旧観自在王院庭園を横目に見ながら、雨が激しくなりそうなのでスルーし、毛越寺へ。他の団体客のガイドの説明に耳を傾けながら回り、15時過ぎに最終目的地の達谷窟毘沙門堂へ向かうも、とうとう雨が本降りとなり、途中で諦めて平泉駅に戻ることになった。達谷窟毘沙門堂は、征夷大将軍の坂上田村麻呂が創建したというのが興味津々で、実はかなり行きたかった。が、雨は激しくなるばかり...16時前に自転車を返却し、平泉観光終了。無念なり...

で、東北本線で花巻に移動し、この日は花巻台温泉の松田屋旅館に宿泊。
http://www.show-un.com/
花巻は、温泉街がいくつもあって、どれがどうなのかよく分からないのだけど、台温泉は古い温泉街で、松田屋も結構古い。でも、温泉がいくつも楽しめ、ロビーではセルフサービスのコーヒーが無料で、食後にくつろげたり、自室用のアロマのお香も置かれていて自由に使え、他にも無料のちょっといいサービスがあって、コストパフォーマンスが高かった。


ところで、実は宿に着く前、花巻駅でトラブルが。なんと、着替えなどを入れた大きいウエストポーチを、車内の網棚に置き忘れて降りてしまったのだ。情けなや...
駅員に聞いてみたが、その電車は盛岡で折り返し前で止まってるということで、盛岡駅のインフォメーションセンターの電話番号を教えられ、自分でかけろと。
電話すると、その電車は一ノ関で車庫入りするまで忘れ物を調べることはできないと断られ、夜8~9時くらいになれば、忘れ物の情報が端末に登録されるので、盗まれてなければ忘れ物の問い合わせ番号に電話して確認できると...ワァーオ、ザ・たらい回し(笑)

折り返してくる電車の、花巻でのわずかな停車時間に乗り込んで探すという選択肢もあったけれど、直ぐに発見できるか分からないし、次の駅までに見つけるにしても、戻りの電車も本数が少ないので、宿へのチェックインが何時になるか分からない。それでは、せっかくの温泉宿への宿泊が台無しだ。
着替え以外は、スマホの充電器や髭剃りを入れていたけれど、もうそこで自分で探すのは諦めることにした。(ここは日本だから、きっと誰も盗まないさ!と自分に言い聞かせて。)

夜9時過ぎに電話してみたら、見事に一ノ関駅で荷物が見つかり、翌日の帰りに立ち寄って受け取ることにできて、ヤレヤレ一安心。

■花巻から盛岡
26日は、朝から宮沢賢治記念館宮沢賢治童話村花巻市博物館と回った。
宮沢賢治記念館は、あれは時間があればいくらでも過ごせる危険遅滞で、童話村のイマイチ感とは対照的だった。
花巻市博物館を見終えたのが13:30頃で、そこで初めて、盛岡の東北六魂祭に行くには丁度良いかもという話に。実はここまで、東北六魂祭は行けたらいいねくらいの話になっており、あまりまともにスケジュールを考えていなかった。しかし、博物館の方に新花巻駅までの歩き方を質問したついでにその話になったら、東北六魂祭のイベントスケジュールの掲載された新聞をコピーしてくれて、盛岡に15:34に到着できる電車の乗り継ぎ方まで教えてくれた。パレードは15時からなので、まだまだ祭りが楽しめる時間に到着できることが判明。

博物館の方に感謝しつつ、新花巻→花巻→盛岡と乗り継ぎ、お陰で東北六魂祭を楽しめた。

その後、盛岡冷麺を食べ、一ノ関に東北本線で向かおうとしたら、祭りの帰りの客で一杯の盛岡駅は、東北本線の改札を入場制限。長蛇の列に並んでいては、とてもその日のうちに東京に帰れない...ということで、新幹線Wきっぷを購入。

18:46 盛岡
  ↓ やまびこ66号
19:28 一ノ関

受付時間に結構ギリギリで、忘れ物を無事回収。
お土産買ったりしながら、次の新幹線に乗車。

20:22 一ノ関
  ↓ やまびこ68号
22:34 大宮

で、新宿経由で無事帰宅。
ハードな3日間だった...


さて、次のボランティアはどうすべか。

Fly to Japan

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「外国人1万人、旅費無料で日本招待...観光庁方針」(2011年10月10日03時00分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111009-OYT1T00814.htm
「観光庁は、東日本大震災後に激減している外国人観光客の回復を狙い、2012年度に全世界から、旅費無料で1万人の一般観光客を日本に招待する方針を固めた。」

ふむふむ。

「事業費として、観光庁は12年度予算の概算要求に11億円を盛り込んだ。」

げ!?と思った。

この記事に関するmixi日記だの、Twitter上の反応は、案の定だった。無駄使いだのバラマキだのと。

正直、この記事は酷い。まるで、11億単純に増やしたとしか読めない。他の情報を削って、読者に誤解を生じさせる、クソな記事だと思う。こういう場合は、業界紙に限る。
週刊観光経済新聞(第2628号《2011年10月8日(土)発行》)
http://www.kankoukeizai-shinbun.co.jp/backnumber/11/backnumber/kanko_gyosei.html#01
「12年度の概算要求は、政策的経費を今年度当初予算比で1割削減することが要件で厳しい編成となった。ただ、成長分野や地域活性化分野に充てる重点化枠は、削減額の1.5倍を上限に要求できる措置がとられた。
 観光庁の概算要求は、通常枠と重点化枠を合わせた要求額が今年度当初予算比5%増の106億5700万円。このほかに別枠として要求できる震災の復旧・復興枠で3億3400万円を計上。
 インバウンド関係の予算にあたる「訪日外国人3千万人プログラム」の要求額は2%増の88億900万円。内訳は、訪日旅行促進(ビジット・ジャパン)事業が16%減の50億8800万円重点化枠を活用したフライ・トゥ・ジャパン事業に11億8600万円、日中国交正常化40周年記念青少年招請事業に1億円など。」

つまり、通常枠(ビジット・ジャパン)と重点化枠(フライ・トゥ・ジャパン)とで、予算にメリハリをつけたというところだ。
つっこむならここだろう?

「それは、単なる予算の付け替えじゃねーの?」と。

つまり、このニュースに価値を持たせるには、本当にフライ・トゥ・ジャパン事業への重点化は、既存のビジット・ジャパン事業よりも、インバウンド(海外から日本へ来る観光客)回復の手段として適切なのか?という、議論喚起の切っ掛けになるような情報を読者に与えるべきなわけだ。それが欠けるなら、単なる政権批判の材料にしかならない。

旅行業界の現状に興味を持っている人間としては、これは単なる付け替えではなく、かなり面白い試みだと評価できるのではないかなと思っているが、是非とも業界関係者の感想も聞いてみたいところだ。

現在、震災で減少したインバウンドの回復は急務であり、観光地を抱える地方自治体は苦労している。
「京都府、外国人団体旅行に助成金 10月末まで受付」
http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1109060948.html

個人的にも、観光地の外国人観光客の減少は実感しているが、出国日本人ばかり増加しているのは、なんとも皮肉だ。
http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1109161607.html

観光立国を目指す日本としては、外国人が日本に金を落としてくれなければ意味がない。

この手の助成金というのは、実は各観光地で多種多様なものがあるのだけど、普通は旅行会社に対するものだったり、特定の旅行商品(パッケージツアーとか)から割引きするような形式をとっている。ところが、今回のフライ・トゥ・ジャパン事業は、一般観光客を招待するというダイレクトな手法である点が面白い。しかも、ブロガーに期待している。

「世界からの震災復興への支援に感謝を伝え、震災で傷ついた訪日観光のイメージ回復を促す。希望者を募集し1万人に往復航空券を提供する。ブログを開設するなどクチコミの発信力が高い応募者を重点的に招待。「自国民の発信する情報への信頼度が高いことから、クチコミで早期に需要を回復させる」(国際交流推進課)。」

もちろん、ブロガーに宣伝してもらうといっても、招待すること自体も感謝の一環として宣伝するのだから、ステルスマーケティングではないだろう。(まあ、同じことを隣の国がやれば、ステルスマーケティングだと騒ぐオッチョコチョイはいるだろうが(苦笑))

先日の旅博でのJATAのシンポジウムでは、こんな議論があったそうだ。
http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1110031600.html

FIT(Free Individual Travel=個人手配旅行)は回復しつつあるが、団体旅行やMICEが遅れていると。

団体旅行やMICEの誘致は、ビジット・ジャパン事業の対象なわけで、これの回復が遅れているのに、フライ・トゥ・ジャパンでFITを対象に予算の重点化策をとったというのは、ちょっと面白いと思う。FITな1万人のブロガー等を招待して、口コミで各国に宣伝してもらうことが、最終的には団体旅行やMICE誘致につながると考えているのかもしれない。

まあ、ネットの口コミを宣伝に使うというのは、これが私企業であれば当たり前っちゃー当たり前な話だけど、それを観光庁がやるというのは画期的なわけだ(笑)
(俺ってカッコイイでしょ?的な自称クール・ジャパンの経産省も、少しはこういう手法を身に付けるべきだ(苦笑))

シンポジウムでも指摘されてるが、旧態依然としてインバウンド対策が後手後手な国内の旅行業界の現実もあり、業界への直接的なバラマキ支援で効果を期待するより、遥かに合理的な発想に思える。(なお、往復航空券を提供するということは、日本の航空会社が使われるような配慮は必要だろうが、いずれにしても直接金銭を受け取るのは航空会社であり、招待される外国人へのバラマキであるかの批判は完全に間違っている。)

フライ・トゥ・ジャパン事業が成立した暁には、是非とも、最終的な効果をキッチリと評価して欲しい。そして、各メディアは、ちゃんと結果まで報道して欲しい。無理かねぇ...

■追記10/14
観光庁は、3ヵ月単位で訪日外国人消費動向調査というのを発表しており、これが結構面白い。現在、6月分まで公開されている。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

・訪日外国人の旅行中支出額(日本までの往復運賃やパッケージツアー代を除く)の平均が、11万円を超えている
・FITは、ツアー客より旅行中支出額の平均がほぼ倍も高く、13万円を超えている
・国籍別では、ロシア人やフランス人の旅行中支出額が高く、特にロシア人は20万円をよく超えている(彼等は、滞在日数が2・3週間というのも珍しくなく、1週間未満が大半のツアー客とは、消費行動が異なる)

さて、Fly to Japan事業は、その仕組みから恐らくFITが対象となるのだろう。すると、長期滞在で旅行中支出が高額な人々が招待されるのではないか。(というか、そういうプランこそ選ばれるべきだ。)

1万人に対する予算が11億円ということは、1人平均は11万円のコストをかけて招待するわけだが、訪日外国人全体の平均でも彼らは国内で純粋に11万円以お金を落としていく。そこから、旅行中支出の更に高額なFITを招待するということは...

最終的な口コミ効果を別にしても、面白い事業じゃないか?

朝日のGLOBEで、JALに関する特集がかなり良くできてる。

実家は朝日を取っていて、ちょっと前に折込版のGLOBEを偶然手にしたのだけれど、そこのJALの特集がよくできていた。そしたら、Webだけの記事もあると書いてあって、紙面からWebに読者を誘導する上手い企画だなと思った。

「第28号 日本航空 再び翔べるか」
http://globe.asahi.com/feature/091123/

紙面の記事と同じものに加え、Webのみのインタビューがいくつもアップされてる。

で、このインタビューの載せ方がまた良い。
色んな立場の専門家に、大体似た質問をぶつけているから、それぞれの答えを比較できる。誰かの意見だけを正論とするのではなく、相互に反対のことを言ってる専門家のインタビューをそのまま掲載している。

これは、限られた紙面ではできない、Webならではのリッチな掲載方法だ。情報を選別せず、素材を列挙し、読者が比較判断できるようになっている。

短絡的になりがちな新聞の欠点を、雑誌的な編集方針をWebで実現することで補っている。(JAL以外の記事は、まだ読んでないけど)

ということで、早速RSSをブックマークしたのだけど...結局これで、Webだけで全部読めちゃう。これじゃ、最終的に新聞の読者拡大にはつながらないように思う。やはり、最終的にはWebを有料化していくための布石だろうか?

まあ正直、これだけの記事なら、金を出しても良いと感じた。


ちなみに、Webだけのインタビュー記事で、自分の意見と完全一致したのはこれ。
『第5回「必要なのは消費者利益に資する航空会社。日本の会社である必要はない」』
(塩谷さやか 桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授)
http://globe.asahi.com/feature/091123/side1/05.html
キレイな人だからじゃありません(自爆)


更に言うと、リンクに関する方針も良い(著作権法的観点を含め)。

現在、「ヨミウリ・オンライン」は、個別記事へのダイレクトリンクを認めていない。
「毎日jp」は、記事の掲載期間が原則1ヶ月しかないから、リンクしても...
「asahi.com」は、リンクは原則自由でも、リンクしたことを連絡しろという無茶振りだった。

しかし、このGLOBEは太っ腹だ。やっと、実情にあったリンクポリシーが示された。

「リンクについて」
http://globe.asahi.com/siteinfo/link.html

これで安心してリンクできるw
「記事見出しから当該記事ページへリンクを設ける場合も同様」ってことで、記事見出しの複製を認めている点は、著作権法的には一応論点だったりする。

あ、そういえば先月、
http://maruko.to/2009/10/hub.html
「読売と朝日で、雁首そろえてこのレベルだ。」と批判してしまったけれど、GLOBEのような報道姿勢もあると知ったので、ちょっと認識を改めます(^^;

フォーサイト11月号に、『民主党が抱えこんだ「JAL再生」という地雷』という記事と、『「ジャンボ機の後輪」北海道経済が示す先』という記事があった。

http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/10/0911cont.html

別個の記事なのに、実は関連性があって面白い。

前者の記事は、今月24日から公開の映画「沈まぬ太陽」の話から始まる。
http://shizumanu-taiyo.jp/

原作はフィクション小説なのだが、そこに出てくる国民航空という航空会社はJALそのもので、あからさまにJALの問題だと分かる内容のため、JALが映画化に何度も抗議文を送っているという、いわくつきの映画だ。ナショナルフラッグ・キャリアの腐敗と、日航機墜落事故を主題とした作品が、JAL再生が問われている今、絶妙のタイミングで公開するそうだ。

記事では、今回JALが経営危機に至った構造は、この小説の物語と、よく似ているというのだ。映画を物凄く見たくなったw

で、記事の趣旨としては、JALの再建計画が一蹴される経緯や、前原大臣が設立したタスクフォースの面子、大臣の目指す方向性を論じつつ、その手法に疑問を呈する。

オープンスカイ政策に唯一乗れない先進国となってしまった日本で、ぬくぬくと保護されて腐敗したJALは、資本注入やリストラで復活などしない。年率4.5%の運用利回りを前提とした、JALの企業年金の重みを、市場の実勢に近い水準に引き下げ、給付を減額しなければ、財務内容は改善しないが、OBがこれに反対する。

更に、JALにとっての経済効率を優先した、路線集約、不採算路線の廃止は、民主党のマニュフェストに反し、地域主権の確立とは矛盾する。地方経済の衰退を、食い止めるのではなかったのか?という感じの論調だ。

もっともそれは、数ある自民党政権の尻拭い(地雷)の一つで、その処理と市場の現実のはざまで、これから長いドラマが始まるというまとめ方。読みながら頷いてしまった。

特に、記事中の、「航空会社の収益力の国際比較」という図表は、JALの情けない立ち位置が驚くくらい分かりすぎて良かった。

同じ執筆者の、フォーサイト2007年7月号の記事が、丁度ピックアップされてホームページで公開されてるので、これも必見だ。今読むと感慨深い(^^;
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/10/76.html
http://www.fsight.jp/article/3496

で、後者の記事が、見事に前者の記事とリンクする。
後者は、北海道経済が「ジャンボ機の後輪」と揶揄される所以を紹介して始まる。景気が上向いても、北海道が上向くのは最後、景気が下降する時は、全国に先駆けて北海道が着地する。今、その北海道が、景気の底板を踏み抜こうとしており、これに遅れて全国経済のハードランディングがやってくるか?と。

北海道の観光産業の状況を紹介しながら、阿寒湖のとあるホテルの状況に触れる中で、釧路空港からJALが撤退を検討している話が出てくる。
http://www.newakanhotel.co.jp/access.html
阿寒湖への本州からの入口は、釧路空港だが、女満別、帯広の3空港とも、既に関西便が全面運休だと。

この記事自体は、北海道経済の抱える問題点を取り上げる中で、上記に少し触れるだけなのだが、これを前者の記事とリンクすれば、とても興味深いのだ。

地方経済の衰退と、JALの経済効率を優先した路線撤退との関連の、具体例という感じ。

このブログでも、JALの救済は、国交省の観光立国政策と矛盾するということを書いてきたので、上記二つの記事は、大変興味深く読めた。

こういうレベルの記事を読むと、改めて、以下のような新聞の酷さに苦笑せざるをえない。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20091007-OYT8T00359.htm
-->
日本航空の国内151路線のうち約9割が、今年4~7月の平均搭乗率で採算割れの状態にあることが、6日わかった。全体の3分の1を超える52路線が50%を割り込んでいる。経営基盤であるはずの国内線で深刻な赤字体質が明らかになり、日航が路線リストラの上積みを迫られるのは必至だ。空港整備のための特別会計の見直し論議にも拍車がかかりそうだ。
<--

上記読売の記事は、このブログの2つ前の記事でも批判的に取り上げた。ところが今日は、朝日が同様の記事を大々的に取り上げてる。

http://www.asahi.com/national/update/1023/TKY200910220558.html
-->
日本航空、全日本空輸グループの国内線計274路線のうち、7割超の193路線が損益分岐の目安とされる搭乗率60%を割り込み、「赤字」状態に陥っていることが、4~8月の輸送実績などから分かった。
<--

読売と朝日で、雁首そろえてこのレベルだ。
君らは、新型インフルエンザで観光需要もビジネス需要もズタボロだったこと、知らないのか?
しかも、前年比で何%悪化って、リーマン・ショック前との比較だろ?

この時期を基準に、不採算な事業は撤退すべきというなら、日本の観光産業はみんな店じまいだ。

もし、「JAL再生タスクフォース」とやらが、読売や朝日と同じレベルの思考能力しかなかったら、「観光産業破壊タスクフォース」に改名すべきだが、まさかそんなことはないと、信じている。

やっと生き残っている地方の観光地は、JAL、ANAの安易な撤退を肯定するかの君らの恣意的な記事で、戦々恐々としてることだろう。君らが、JALやANA、国交省とどういう関係か知らんけど、少しは頭使って取材しなさいな、と言いたい。

前原大臣の言う羽田HUB化は、上記2つの記事の言うような基準で路線撤退を認めたら、成立しない。もちろん、同じく前原大臣の言う、観光立国だって無理だ。

観光立国で地方経済を活性化させるには、今、観光産業を苦しめない政策が必要で、安易な路線リストラを避けなければならない。しかし、JALやANAの高コスト体質では、観光立国のインフラは支えられないのだ。このアンビバレンツをどう解消するかという視点からの、まともな考察に基づく記事を書いてみたら?


前原大臣は、韓国の仁川のHUB空港の座を奪いたくて、羽田をHUBにすると言ってるわけだが、成田とWinWinとか言っている。これは、リップサービスでなければ、問題点を理解していない証拠になってしまう。中心軸が二つあるような変形HUBでは、中心軸周辺に住む者にだけ、利便性が増す。スポークの末端である地方からすれば、そんなHUBは不良品だ。

確かに今まで、「成田は要らない子」だった。羽田を活用するのは、正しい。それだけでも大前進とも言える。しかし、仮に現状で、JALやANAに国内の地方空港から羽田に路線を就航させ、HUBの形式が整ったとしても、利用者は仁川経由を好んで使い続けるだろう。

何故なら、問題の根本は路線の存否ではなく、JAL等の国内線運賃が高すぎ点にあり、JALで国内移動するより韓国の航空会社で仁川経由で他国へ旅行した方が安いのなら、結局誰も羽田になど行きたがらない。加えて、一般的な感覚でも分かるだろうが、目的地と違う経由地であっても、外国の空港を短時間でも味わうのは、旅の楽しみでもある。何より、アジア各国の新しい空港は共通して、羽田や成田のような古い空港とは異なり、華やかさ、快適さがある。

つまり、競争相手に勝てるだけの利便性がなければHUBにならないが、JALを生かすなら到底無理な要求なのだ。JALが、LCCとして再建し、安価な運賃を実現するなら話は別だ。しかし、それなら新しいLCCを育成した方が早い。また、成田が国際線で残る以上、地方在住者は、羽田→成田の無駄な移動を強制するのが当たり前と考えていることになる。バスだろうと、高速な鉄道が完備されようと、旅行者の立場なら、その交通費を負担するのもバカバカしいし、旅行の荷物を運ぶ手間は、シャレにならない。HUBにしたいなら、常に旅行者の目線でのサービス構築が必須だが、これが圧倒的に欠けている。

羽田と成田をWinWinにしたいなら、最低限、地方-羽田の空の運賃、羽田-成田の地上の運賃の合計が、地方-仁川より安くなければならない。利便性で負けるのだから、コストくらい勝たなければ話にならない。

JAL救済+羽田HUB化+成田国際線存続=観光立国

ということには、絶対にならない。


ただし、羽田と成田を合わせても、需要を満たさないことは確かだ。というか、それで足りてしまうなら、観光立国にはなれない。将来、茨城空港などの活用は、必須のはずだ。
茨城空港の利活用に関する調査研究

首都圏に空港が複数あること自体は、決して悪ではない。そんな国は、いくらでもあって、成功している例も沢山ある。多少不便でも、安価に利用できれば、十分に需要は喚起される。

ところが、TVなど見ていると、「今」需要が無いなら、地方空港は無駄だと決め付ける、低レベルな情報番組が堂々と朝から放送されていて呆れる。物事を偏った側面からしか見ることができないキャスターたちは、見ていて痛々しい。安易に地方空港が無駄だと報道し、経営努力をせずに怠慢で撤退するJALに有利な情報ばかり流してはいけない。観光立国を目指す日本の「将来」に、本当に必要な空港の重要性を、伝えるべきだ。

この点は、実は前原大臣も分かってないのではないか。HUB AND SPOKE型の路線構築しか知らないのではないかと、最近感じる。HUB化しか選択肢が無いと、誰かに嘘を吹き込まれたのではないか?

LCCの手本といわれるアメリカのサウスウエスト航空は、POINT TO POINT型の航空網で、アメリカの地方空港間を結んで成功している。

日本は、空路などなくとも、鉄道などで東京へインフラが集まっている。だからこそ、鉄道と競合する空路が、存在意義が問われるのだ。対して、地方から地方へのアクセスは最悪で、空路の存在意義はそこにある。つまり、POINT TO POINT型だ。

羽田がHUBになるのは構わないが、POINT TO POINT型のLCCが必要だと、早く気付いた方が良い。地方空港と利用者のWinWinこそ、必須なのだ。


ちなみに蛇足だが、このブログで何度も取り上げてきたカボタージュ問題が、やっと議論に上がってきたのは、興味深い動きだ。

http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=42680

前原大臣は、国交省の役人から、どんな説明を受けているのだろうか?
どうも、自分が矛盾したことを言わされていることに、気付いてないようだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090927/fnc0909272327003-n1.htm

一県一空港政策のカラクリに気付いた点は、素晴らしいのだが、解決策の方向性がおかしい。

-->
日本航空が地方空港を拠点にした不採算路線の運航を強いられ、それが深刻な業績悪化につながったことを考慮し、空港整備のあり方を改革する。
<--
-->
日本航空も地方空港路線の赤字が経営の足を引っ張る構図となっている。前原国交相はこうした旧空整特会を見直すことで、採算の合わない地方空港の整備を中止する。空港使用料や着陸料の引き下げなどにもつながりそうだ。
<--

なんか、まるで地方空港が悪者みたいな、怪しい風向きの情報操作を感じる。確かに無駄に空港が作られた。だが、地方空港の立場を代弁するとこうだ。
JALじゃなくてもいいんだよ!

飛んでくれそうな航空会社だってあるのに、カボタージュ規制を緩和しようとしないのは、国交省じゃんか!

TVや新聞等の旧メディアの連中は、カボタージュ問題を何故取り上げない?
相変わらず、役人のリークする情報操作をそのまま垂れ流しか?

確かに、JALを基準に考えたら、黒字路線なんてほとんど成立しないだろう。
だけど、LCCが一般化し、バス運賃みたいな航空運賃も珍しくない世界の常識じゃ、JALが赤字という路線でも、黒字にできる可能性大の航空会社はある。LCCで運賃が安くなれば、当然、利用者も増える。

「新幹線や高速道路網の整備などに伴い、国内航空路線の利用者は伸び悩んでいる」とか、平気でそういう無知な記事を書くメディアは、信じてはいけない。伸び悩んでいるのは、JALやANAが高いからだ。そして、世界の航空業界を無視して、高コストな国内の空を守ってきたのが国交省だろ。

東京など、交通機関がHUBのように集中するポイントに生活していると、確かに新幹線や高速道路で、どこにでも行きやすいイメージを持つ。しかし、地方から地方へ移動する場合、一々東京を経由させることを、当たり前だと思ってはいけない。地方分権なんでしょ?

航空路線は、point to pointで地方から地方に移動する時、十分に効率的な交通手段なのだ。少なくとも国交相は、JALの肩を持って、地方空港を赤字の根本のように言うのは、「私は航空政策に無知です」と言ってるようなものだ。そして見事に、JALを守るというのだから、洒落になってない。JALを守るなら、地方にも自由に航空会社を選ばせろ。

7月の記事で、カボタージュの件は触れた。
「JALの件の補足」

その後、
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090202/plc0902021110003-n1.htm
-->
路線の廃止や減便が相次ぐ関西空港を支援するため、国土交通省が海外航空会社に対し、関空発着便に限って国内線の運航を認める方向で検討していることが2日、明らかになった。すでに海外航空各社に打診を開始しており、前向きな姿勢を示す会社もあるという。
具体的には、関空発着の海外航空会社に同じ機材で国内の他の地方へ向かう路線を新設することを認め、国内部分だけ利用することを可能にする。

<--
↑この報道自体が、誤報だったことも、8月の記事に書いた。
「焼け石に水なJALの経営再建方針」

地方の赤字空港を抱える自治体は、国内路線を撤退するJALらの代わりに、海外の航空会社に、国内を経由してもらいたいのだ。例えばこんな感じ。

国内のどこかの空港 → 関空 → 海外

しかし、これをカボタージュ規制が阻む。守るべき日本の航空会社が撤退した路線も、無意味に規制を維持して、海外の航空会社に頼みたい地方の声を無視する。

もちろん、この問題は、国交省だけの問題ではない。以下のブログにも書かれているように、問題は複雑。(上で書いてきたカボタージュとは、正確には以下のブログの「タグエンド・カボタージュ」(シカゴ条約では第8の自由)のこと。)
http://ishikawasanzou.iza.ne.jp/blog/entry/855530/

しかし、JALを守って、日本に本当のLCCが育たないのなら、この先はどうなる?

地方空港は、韓国、中国からの国際線が圧倒的に多い。JALの国内線が撤退した後、例えばその県からアメリカに行こうとしたら、韓国の仁川経由で旅行するのがベストかもしれない。前原大臣は、上海や仁川に、日本の地方空港のHUBになってもらうつもりか?


さて我が国は、小泉政権時代から観光立国を目指すようになり、観光庁を作った。外務省は、ポップカルチャー外交を展開し、海外で日本関連のイベントを展開し、外国人観光客を増やそうと頑張ってきた。2010年に外国人観光客を1000万人、2020年に2000万人に増やそうという目標を掲げてきた。

地方空港が活用され、外国人観光客が地方の観光資源に安価にアクセスできるようになることは、観光立国という政策の観点からも、大大大重要。短期間で高額な金を消費する外国人観光客が地方を訪れることは、地方経済の活性化にダイレクトにつながる。

カボタージュの件で触れた
「JALの件の補足」
にも、その辺のことは書いたけれど、LCCと地方空港がセットになれば、安価な国内旅行の選択肢も増え、安い海外旅行で海外にばかり金をばら撒いてくる日本人の行動様式も変わるかもしれない。小泉政権が、どこまで考えてたのか知らないが、無駄に作られた地方空港は、観光立国では生きてくる。

で、前原大臣は?

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091002k0000m020086000c.html
-->
前原誠司国交相は会見で、2020年に訪日外国人旅行者数2000万人を目指す観光庁の目標について「あまりにもぬるい」と述べ、観光を成長産業の核とするために、旅行者数を上乗せする新たな目標を立てる考えを表明した。
<--

えーとですね、この目標を阻んでることの一因は、JALとかの高コストな航空運賃にあると思いますよ。JALを潰して、日本がLCCの適切な価格競争にさらされる国になれば、海外から安く来られる国になって、きっと観光客増えますよ。高速道路無料にしても、外国人観光客には無意味なの、分かりますよね?

だから、大臣がJALを守ると発表した結果、目標達成は遠のいたのです。
全然、ぬるくない(失笑)

-->
前原国交相は「パリやローマは年に6000万~7000万人が訪れている。日本には観光地が多いのに寂しい限りだ」と指摘。現在ある観光に関する審議会を改組して今月中にも初会合を開き、他省庁と連携して観光政策をさまざまな角度から再検討する意向を示した。
<--

外国人観光客受入れ世界最大のフランスを例えに出すなら、LCCと地方空港のセットで地方経済を活性化させた、その国の政策も、勉強して欲しい。フランスは、150空港があって、何割かをLCCに解放している。

また、観光資源を増やすべきという議論の中に、地方のカジノ合法化の議論も存在する。
日本は、外人に魅力的な観光資源が少ないから、目標達成するには、観光資源作って増やさないと!というのが今までの流れ。
あんまり、不勉強のボロが出るような発言は、繰り返さない方が良い。

外人が、どういう場所に魅力を感じるのかから、事実を教えてくれる側近を増やした方が良い。
http://www.tripadvisor.jp/HotSpotsJapan

大臣の想像する観光地は、ランキング上位ですか?

何でもかんでも前政権の政策を批判すれば良いかの姿勢は、野党のクセが抜けてないように見える。公約に掲げてないことまで、よく調べる前に結論を出す必要無いですよ!

http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=42454

マジで、縦割りや過去の常識を崩さないと観光立国無理なんで、小泉政権が嫌いだったろうと関係なく、良い政策は引き継いで伸ばして欲しい。

日航、旅客事業10%縮小へ...人件費も1割減(2009年8月5日14時39分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090805-OYT1T00578.htm

でたよ...
今回示された案で、政府の支援が決まってから新たに出てきた部分て、一体どこの部分だ?

小型機への切り替えも、不採算路線の廃止・減便も以前からだけど、「上積み」って部分のことか?

>社員数も減らし、人件費の1割削減を目指す。

そんなパフォーマンス、焼け石に水だろ。
もっと他に、効果的に削るところあるだろうに...

去年のこの給与水準から、今どうなってんの?
http://nensyu-labo.com/syokugyou_kyabin_atendant.htm
主な航空会社の客室乗務員の平均年収
 JAL(日本航空) 676万円
 ANA(全日空)  463万円
 スカイマーク     314万円
http://nensyu-labo.com/syokugyou_pairotto.htm
主な航空会社のパイロットの平均年収
 ANA(全日本空輸) 2,199万円
 JAL(日本航空)  1,964万円
 スカイマーク       619万円

資金難で政府8割補償の公的資金を一千億円も投入(年末に更に一千億円予定)されといて、給与削減に触れないっての、変でしょ。社員減らして人件費1割削減なんて、詐欺みたいな方針だ。職種ごとに他社を見習って、水準下げる余地大有りだろう。別に、スカイマークまで下げろとは言わないけれど。

まさかとは思うが、事実に反するとはいえ、形式上は経営破綻しそうって理由で国から支援受けたことになってるのだから、ボーナスとか出てないよね?え?どうなの??

え?あんな支援、財務省と国交省の利権拡大を手伝うために受け入れただけで、自分たちは危機感無いから、給与水準下げるなんて、労組は断固反対ですか?

これで、削減対象の社員が、給与の安い契約社員だらけだったりしたら笑える。

07年の中期再生プランで話題になっていた、西松社長の年収960万円てのは、きっと今も据え置きだろうけど、いい加減、腐った労組も反省してくださいね。公的資金が投入されるのは、あなたたちの特権でも何でもないですから。

少なくとも、国民の税金で助けられたなら、安易に不採算路線廃止じゃなくて、採算取れる給与水準に下げて、路線を極力残す努力をしてくださいよ。路線廃止された地方が、どんな損害受けるか、想像できないですか?

公的支援を受けたら、公共性のあるサービスを縮小するって、どんなトンデモ方針か分かります?

発想が真逆だろ!

低い給与で頑張ってる航空会社が居るのに、高額な人件費で自滅してるJALを、税金で助けてサービス低下なんて、本当に最低最悪な気分だ。


国交省さん、マジで、カボタージュ規制緩和してくださいよ。

2月にカボタージュの規制緩和っぽいニュースがあった件は、先日も以下の最後に触れたけど
http://maruko.to/2009/07/post-57.html
その後どうなってんの?

2月当時は、カボタージュ撤廃かってくらい、期待があった。
http://metro-ibaraki.blogspot.com/2009/02/blog-post.html

だけど、以下を読めば分かるけど、2月のニュースは、ほぼ誤報だった。
http://www.mlit.go.jp/report/interview/jikan090202.html
-->
(問)機材はカタールなりエミレーツの機材ではないということですか。
(答)外国の企業でその機材がコードシェア出来ればそのまま使える。つまり両方の便名が載るということです。
(航空局)両方の便名が載るのはその通りですが、機材はこの場合は本邦企業の機材を使うということです。

(問)どっちなんですか。
(航空局)カタールとアラブ首長国連邦については、関空から本邦企業の国内線に外国企業のコードが載るという意味です。

(問)すごくびっくりしたのですが、今のお話し聞いてて。
(答)結局、便としては先方の航空会社の便名とこちらの航空企業の便名が重なって載るということです。失礼しました。
(航空局)機材は本邦企業を使うということです。

<--

-->
(問)繰り返しになりますが、国内だけで乗り降り出来るということも視野に本当に検討に入っているのですか。
(答)ですから、国内のみでの運航は、先程の関係で言ったらカボタージュとの関係でやはり問題になるので。

(問)誤報ですか。
(答)独立で輸送するということになると、カボタージュの問題はクリアしなければならないという問題になります。

(問)クリア出来るのですか、出来ないのですか。
(答)色んな意味で検討をしないといけないと思っています。どういう条件の下で問題がないかということは検討出来るのではないかと思います。特に、独立に運ぶという話になると形式的にはカボタージュになります。

<--

-->
(問)それとこれとは別の話です。関西国際空港と地方空港の間を外国の航空会社の機材で乗り降り出来るような仕組みを作るのかということを聞いているのです。
(答)それは検討の課題に入っています。どういった形で出来るのかということは検討次第です。

(問)検討課題に入っていると言って宜しいのですか。
(答)勿論「検討しています」とはどういうことですかと言えば、そういったことを含めて色々と検討をしているところです。実際それがどのように上手く整理出来るかということはあります。

<--

なんてことはない。カボタージュ規制はそのまま、単に国内の航空会社の機材に、海外の航空会社がコードシェアできるってだけの話だったわけだ。

それが、余りにも無意味で、驚くぐらい役に立たない内容だったので、航空関係に詳しい人々は常識的に解釈し、海外の航空会社の機材に、国内の航空会社の便名を付けて、国内を飛べるようにするのだと誤解した(苦笑)

だって、路線の廃止や減便が相次ぐ関西国際空港を支援する目的と、大々的に報道されたにも関わらず、増便や路線開拓に全くつながらない政策なんて、想像つかないじゃないか。

海外の航空会社が仮にコードシェアしたくとも、赤字体質の国内の航空会社は、国内の路線を廃止や減便してしまっているのだから。JALなんぞが廃止した路線を復活させなけりゃ、空港支援にならないけれど、冒頭に書いた通り、更に便を減らそうとしている現状だ。

飛びたい会社に飛ばせてあげたらいいじゃんかぁ(´-`)

前回、「JALは潰れるべきだった」というのを書いたけれど、別の場所で、以下の件の補足を受けた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/273834

ここ10年ほどの改革が、本当にここ1・2ヶ月で、信じられないくらいに逆行した。
財務官僚は、本当にやりたい放題で、無能な麻生政権を自由にコントロールし、自分たちの、かつて失われた利権を、大幅に回復したわけだ。中川昭一のあのG8での失態も、彼らにとっては、さぞ好都合だったことだろう。

大・大蔵省の、王政復古の大号令とでも言おうか。

誰か、改革の逆行した例を、リストにして欲しい(苦笑)


それから前回、JALの件と、観光立国の件を補足なしに書いてしまったので、関連性を少し補足する。(他で質問が出たので)

日本というのは、この狭い国土に、空港だらけだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%A9%BA%E6%B8%AF

これは、かつての一県一空港政策なるトンデモ政策の結果で、国交省はもっと非難されても良い...「かんぽの宿」と同じようなものだ。赤字の地方空港は、地方財政の大きな負担になっている。この点、ダイレクトに地元が被害を被っている点で、「かんぽの宿」とは違うとも言える。被害が各都道府県に分散しているので、国会で問題になることはないのだろう。

作ったゼネコンだけは、さぞ潤ったことだろう。

地方空港は、作った以上は航空会社に運行してもらわなければならないので、韓国の航空会社等にお願いして、乗り入れてもらうのに出血大サービスが当たり前だ。何千万円も県が補助する条件だったり、向こうからも着陸料だの施設利用料全額免除を条件に提示されて、足元みられたりして、ほとんど丸呑み。まあ、お陰で、日本に来る外国人観光客のトップは、ダントツで韓国人ではある。増えるのは良いけど、他の国からも増えて欲しい。

先月も、富士山静岡空港が開港した。
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/flight/international/index.html
この国際線、JALもANAも存在しない。こうして地方空港に、韓国・中国の航空会社にお願いして、定期便飛ばしてもらっているわけだ。
(注:富士山静岡空港が、上記の大サービスをしているかは、知りませんよ)

JAL、ANAは、国内線を少し飛ばしているけれど、JALは不採算路線をどんどん廃止してきたので、ここも採算次第だろう。まあ、不思議なことに、JALが赤字で撤退した後に、他社が飛ばしてみたら、全然黒字になったという話もあるそうだ(苦笑)

この辺が、前回の、JALは潰れるべきだったという話につながる。

地方空港は、トンデモ政策のせいで無数に存在する。ところが、JALの高コスト体質では、なかなか地方空港間を黒字で飛べず、運賃は高いし、路線はどんどん廃止される。一県一空港なんてトンデモ政策の無計画性は非難されるべきだけど、これら無数の地方空港間をダイレクトに結ぶ便の需要は、本来はある。東京に住んでいると分からないが、地方にとっては、一々東京を経由せずに他の地方に行けるというのは、価値がある。

JALでも黒字になるところは良い。しかし、JALが撤退した路線に、需要が無いわけではないだろう。他社で黒字になるなら尚更だが、LCC並に安価であれば、JALでは不可能だった需要が喚起される。停滞している地方経済への経済効果を考えれば、これがどれだけ重要か、想像に容易い。

海外のLCCも、この多数の地方空港の活用に、大きな興味を持っている。
成田や関空は、空港使用料が高すぎ(関空は最近半額キャンペーンとか話が出てる?)、LCCには利用し辛い。対して地方空港は安く、しかも成田くらいの不便さを基準に考えれば、十分に実用的な立地だったりする。茨城空港とか。

LCCの乗り入れを認めるかどうかも、国交省の規制緩和で、やっとボチボチ認められてきたけれど、佐賀みたいに、LCCが興味を示したのに滑走路が短かったなんてのは、凄く勿体無い。
http://www.saga-chiji.jp/teian/goiken_new/entry.html?eid=1487

成功例はフランスにある。
http://mediasabor.jp/2007/08/lcc.html
フランスは、外国人観光客受入れ世界最大の観光立国で、LCCと地方空港の組み合わせの成功例でもある。良いところは真似するのが日本のお家芸なのだから、よくよく参考にすべきだろう。

日本人は、海外旅行で海外に金をばらまいてばかりで、海外からの観光客を増やすことの重要性を理解してなかった。
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=38273
観光客ってのは、短期間で大金を使って去っていく、有難い人々なのだw
こないだ、中国からの観光自由化で、高額所得者に限定したのも、その意味で正しい。
http://www.recordchina.co.jp/group/g33338.html


観光立国を目指した小泉政権は、地方の活性化の観点からも、正しかった。

しかし、LCCの躍進という航空業界の世界的な変化までは、小泉政権時代には織り込まれていなかったかもしれない。だが、時代の変化に合わせて、政策実現に向けて軌道修正するのは、後の政権の役目ではないか?

観光庁まで作ったのは、何のためさ!?


観光立国の実現には、JALの体質改善は重要だった。ところが、高コストで競争力もなく、地方空港間のインフラを堅持することもできないJALに、公的資金が投入されてしまった。単に潰れるべき会社を無駄に助けただけでなく、地方の活性化の妨げを、財務省と国交省がやってしまったことを、麻生政権は指を加えて見過ごしたことになる。

被害は、国民の潜在的・長期的・将来的利益だから、指摘されなければ気が付かない。
マスメディアは、近視眼的に短期の既存の利益の損失でないと、報道する能力が無いようで、非常に残念だ。


さて、JALの改善が見込めない現状で、今後の争点はカボタージュだろう。

地方空港は多数ある。
 ↓
しかしJALはどんどん赤字で撤退するし、高い。
 ↓
カボタージュのせいで、黒字で飛べる海外の航空会社が地方空港間を飛べない。
 ↓
地方空港運営の赤字拡大による地方財政の圧迫。

この、最悪の未来は、絶対に避けるべきだ。

カボタージュが必要なのは、国内の航空会社を守るためなので、それらが運行しないのなら、規制を部分的に緩和し、黒字で飛べる海外勢に飛んでもらうことが、国民のためってものだ。

しかし、JALに金を出してしまった国が、JALの競争相手を資する(=国民の利益に資する)ようなカボタージュの規制緩和をどの程度できるだろうか?

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200902/2009020200698
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20090202ke04.htm
-->
国土交通省が関西国際空港の発着便に限定して、海外の航空会社による国内路線の運航を認める方針を固めたことが2日、明らかになった。景気後退などで国内路線を中心とした路線の廃止や減便が相次ぐ関空を支援する狙いがある。
<--
このニュースの続報が気になる。

これは、地方分権の重要な論点として、同時に、観光立国政策の要として、霞ヶ関が私利私欲に走らないように、次の政権が重視すべきだ。間違っても、私利私欲を愛国心に置き換えて、「日本の空は日本人の手で」なんて島国根性な世論操作には、耳を貸してはいけない。もう、十分に日本の航空会社は、反省する時間を与えられてきたのだから。

-->追記
JALの話がホットなのか、このページのみアクセスが増えてますが、もっと新しい、補足記事もあるので、そちらも合わせてお読みいただけると幸いです。

7月26日
JALの件の補足
8月7日
焼け石に水なJALの経営再建方針
<--


以前、LCCの激安航空チケットの話題と共に、JALの西松社長のことなどを取り上げた。
http://maruko.to/2009/04/post-28.html

この時、「2010年10月の羽田拡張が、日本の航空行政のターニングポイントだろう。」と書いた。

ところが、先月末、とんでもないことが起き、日本の空は、お先真っ暗になった。
皆既日食どころじゃない。真っ暗だ。

官僚が利権を守るために、JALの経営難につけ込み、機能不全の麻生政権のどさくさに紛れて、最悪の支援策を決めた。

フォーサイト8月号「麻生政権の置き土産「官営日本航空」のデタラメ」
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/07/41.html
http://www.fsight.jp/article/5089

小泉改革で完全民営化が決まっていた日本政策投資銀行を、財務省が天下り先を守るために民営化を阻止した話が出ていた。JALの救済と、日本政策投資銀行法の改正の時期が近かったのは、偶然ではないというのだ。

http://news.livedoor.com/article/detail/4209799/
本来、↑こういう疑問が出るのが当たり前だけど、麻生政権で官僚支配国家に逆戻りしたから、こうなってしまった。なんだかんだ言って、小泉は偉大だった...

JALは、実は緊急支援が必要という程ではなかったけれど、日本政策投資銀行の民営化阻止したい財務省と、航空利権を確保したい国交省がタッグを組んで、直ぐにでもJALを国が支援する必要があるとふれ回り、情報操作成功ってわけだ。

はっきり言おう。

そもそもJALは、潰れた方が、日本のためだった。

仮にJALの経営難が事実だったとしても、国が助ける必要なんて、一切なかったはずだ。自力で再生できないほど最悪な体質なら、むしろ無くなった方が、国民の利益になった。

その理由は、冒頭にリンクした、LCCを取り上げたかつてのブログを読み返してもらえば、理解できるだろう。世界はLCCの時代だ。それに、JALが無くなっても、経営がマシなANAが残れば、十分ではないか。西松社長は、残念ながら失敗したのだ。

ANAは、三菱のMRJを発注し、ローンチカスタマーになってくれた。経産省が推進する、YS-11以来の国産旅客機だ。だけどJALは、発注しなかった。仮に国策として、どちらかの会社に日本の空を委ねるとしたって、間違いなくANAだろ。

国産旅客機を発注もせず、放漫経営で赤字になった民間会社なんて、助ける価値がどこにある?

しかも、そんなダメ会社が、親方日の丸になってしまった以上、もうJALの経営が効率化されることもあるまい。

これは、エルピーダの件と全く同じだ。
http://diamond.jp/series/yamazaki/10086/

この国は、官僚天国の、高コスト・非効率・サービス最低会社を税金で支える国民無視の時代に、逆戻りしようとしている。ここは一体、どこの共産主義国家だ?
麻生政権てのは、一体どれだけマヌケだったのさ?

財務官僚は、民主党政権が成立する前にと、無能な麻生政権の間に駆け込みで悪行の限りをつくそうと、ここ何年もの改革を一機に逆行させたわけだ。協力した国交省共々、最低にずる賢い連中だ。


空路の公正な価格競争がもたらされない結果、日本の国内旅行は高額なままで、海外の航空会社使って海外旅行した方が安いなんて状況が、どうして許されるんだ?

国内旅行が高額な結果、当然日本人も海外ばかり行って、金を落としてくる。

どんなトンデモ経済政策だよ?!


ポップカルチャー外交、地方空港のLCCへの解放、LCCとの公正な価格競争による安価な国内空路の確保は、観光立国政策の観点から、全てリンクしなければならない。最近では、国営マンガ喫茶と揶揄されたアレの件、加えて、いつになっても不安定な政権のせいで実現しない、カジノ合法化の件も、お台場ではなく、ちゃんと立地を考えれば、全て観光資源につながる。

魅力的な文化の海外への売り込みと、その文化を生み出すアニメ産業等の健全な育成はセットだし、一箇所に集中しない豊富な観光資源の構築と、それらを結ぶ国内の安価な交通インフラの整備もセットで、初めて、海外からのリピーターを増やそうという観光立国政策の目標に近づく。

縦割り利権行政では、永遠に解決できないよ!

なんか最近、経済産業省だけは、孤軍奮闘している気がするけど...


とりあえず個人的には、JALのマイレージは解約することにする。無意味な抵抗だけど(涙)
ま、どのみち日本の航空会社のマイレージサービスは最低なので、JALにはほとんど貯めてないけど(苦笑)

そして今後、可能な限り、JALには乗らないように、心がけようと思う。

河野太郎GJ

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「殿堂」という箱モノ
国産比率と法令遵守を条件に
レンタル倉庫でも借りろ

↑今まで何度も取り上げてきた、例の「殿堂」という文化庁天下り国営マンガ喫茶の件、河野太郎氏が反対してくれた。

http://www.taro.org/blog/index.php/archives/1066
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/1067
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/1070

素晴らしい。前に、国籍法改正の時も、一番正しく理解して改正に賛成していたが故に、無知なネトウヨ酷士様から総攻撃を食らってたけど、今回も一番よく理解して反対したが故に、賛成派の文化を創ってない人々からの反論が、氏のmixiの日記版に連なってる模様。

間違いなく、河野さん、あなた正しいですよ。
アニメ、CGの制作側の人間として、応援します。
自分らの仕事が、文化庁の役人の天下りのネタに利用されるなんて、真っ平です。

文化庁は、作った箱に、誰が作品を提供するのか、考えてないでしょ。
117億円には、作品を買い取る金は含まれず、当然に徴収でもできると思っているのだ。そうなら、応じる作家や作品のリストでも見せてみろ。

例えば、手塚作品なら手塚治虫記念館、長谷川町子なら長谷川町子記念館と、既に著名な漫画家は、それぞれ記念館があり、町おこし的な要素もある。にもかかわらず、殿堂に著名作家の目玉作品を集められるとは思えない。

運営は民間に委託を想定してるそうだけど、どこの会社?信用できるの?

しかも、映画が殿堂の対象から除外されている以上、日本の有名な劇場アニメなどは、所蔵されない。映画抜きのメディア芸術なんて、詐欺みたいなものだ。


今、観光庁が、ポップカルチャー戦略の外務省と、産業育成側の経産省と連携して、パリでこんなことをやってる。
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=41245
縦割りの壁を越えての連携は、素晴らしい。

で、何で文化庁の名前が無いの?
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000021.html

観光立国を目指す日本にとって、地方の観光資源は重要だ。地方都市に漫画家等の記念館が点在することは、外国人観光客の足を運ばせるネタになる。しかし、お台場に殿堂を作れば、逆効果でしょ。

ヲタクな外人は、そんなものが無くとも、アキバ目当てに東京には来る。
なので、殿堂を地方に作るなら、まだ国家戦略として一貫性を感じる。
一貫性が無いのは、文化庁だけ縦割り維持してるから?と聞きたくなる。

外国人へのアピールなら、見るべき観光資源を近くに集めてはならない。一度の来日で、観光資源を消化させないことが重要だ。また日本へ行きたい、次はあっちの地方都市へ行ってみよう、と思わせることができるかどうかだ。

お台場なんて、呼ばなくたってヲタク外人はコミケで来るって...orz

写真素材のピクスタ

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