JALの件の補足

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前回、「JALは潰れるべきだった」というのを書いたけれど、別の場所で、以下の件の補足を受けた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/273834

ここ10年ほどの改革が、本当にここ1・2ヶ月で、信じられないくらいに逆行した。
財務官僚は、本当にやりたい放題で、無能な麻生政権を自由にコントロールし、自分たちの、かつて失われた利権を、大幅に回復したわけだ。中川昭一のあのG8での失態も、彼らにとっては、さぞ好都合だったことだろう。

大・大蔵省の、王政復古の大号令とでも言おうか。

誰か、改革の逆行した例を、リストにして欲しい(苦笑)


それから前回、JALの件と、観光立国の件を補足なしに書いてしまったので、関連性を少し補足する。(他で質問が出たので)

日本というのは、この狭い国土に、空港だらけだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%A9%BA%E6%B8%AF

これは、かつての一県一空港政策なるトンデモ政策の結果で、国交省はもっと非難されても良い...「かんぽの宿」と同じようなものだ。赤字の地方空港は、地方財政の大きな負担になっている。この点、ダイレクトに地元が被害を被っている点で、「かんぽの宿」とは違うとも言える。被害が各都道府県に分散しているので、国会で問題になることはないのだろう。

作ったゼネコンだけは、さぞ潤ったことだろう。

地方空港は、作った以上は航空会社に運行してもらわなければならないので、韓国の航空会社等にお願いして、乗り入れてもらうのに出血大サービスが当たり前だ。何千万円も県が補助する条件だったり、向こうからも着陸料だの施設利用料全額免除を条件に提示されて、足元みられたりして、ほとんど丸呑み。まあ、お陰で、日本に来る外国人観光客のトップは、ダントツで韓国人ではある。増えるのは良いけど、他の国からも増えて欲しい。

先月も、富士山静岡空港が開港した。
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/flight/international/index.html
この国際線、JALもANAも存在しない。こうして地方空港に、韓国・中国の航空会社にお願いして、定期便飛ばしてもらっているわけだ。
(注:富士山静岡空港が、上記の大サービスをしているかは、知りませんよ)

JAL、ANAは、国内線を少し飛ばしているけれど、JALは不採算路線をどんどん廃止してきたので、ここも採算次第だろう。まあ、不思議なことに、JALが赤字で撤退した後に、他社が飛ばしてみたら、全然黒字になったという話もあるそうだ(苦笑)

この辺が、前回の、JALは潰れるべきだったという話につながる。

地方空港は、トンデモ政策のせいで無数に存在する。ところが、JALの高コスト体質では、なかなか地方空港間を黒字で飛べず、運賃は高いし、路線はどんどん廃止される。一県一空港なんてトンデモ政策の無計画性は非難されるべきだけど、これら無数の地方空港間をダイレクトに結ぶ便の需要は、本来はある。東京に住んでいると分からないが、地方にとっては、一々東京を経由せずに他の地方に行けるというのは、価値がある。

JALでも黒字になるところは良い。しかし、JALが撤退した路線に、需要が無いわけではないだろう。他社で黒字になるなら尚更だが、LCC並に安価であれば、JALでは不可能だった需要が喚起される。停滞している地方経済への経済効果を考えれば、これがどれだけ重要か、想像に容易い。

海外のLCCも、この多数の地方空港の活用に、大きな興味を持っている。
成田や関空は、空港使用料が高すぎ(関空は最近半額キャンペーンとか話が出てる?)、LCCには利用し辛い。対して地方空港は安く、しかも成田くらいの不便さを基準に考えれば、十分に実用的な立地だったりする。茨城空港とか。

LCCの乗り入れを認めるかどうかも、国交省の規制緩和で、やっとボチボチ認められてきたけれど、佐賀みたいに、LCCが興味を示したのに滑走路が短かったなんてのは、凄く勿体無い。
http://www.saga-chiji.jp/teian/goiken_new/entry.html?eid=1487

成功例はフランスにある。
http://mediasabor.jp/2007/08/lcc.html
フランスは、外国人観光客受入れ世界最大の観光立国で、LCCと地方空港の組み合わせの成功例でもある。良いところは真似するのが日本のお家芸なのだから、よくよく参考にすべきだろう。

日本人は、海外旅行で海外に金をばらまいてばかりで、海外からの観光客を増やすことの重要性を理解してなかった。
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=38273
観光客ってのは、短期間で大金を使って去っていく、有難い人々なのだw
こないだ、中国からの観光自由化で、高額所得者に限定したのも、その意味で正しい。
http://www.recordchina.co.jp/group/g33338.html


観光立国を目指した小泉政権は、地方の活性化の観点からも、正しかった。

しかし、LCCの躍進という航空業界の世界的な変化までは、小泉政権時代には織り込まれていなかったかもしれない。だが、時代の変化に合わせて、政策実現に向けて軌道修正するのは、後の政権の役目ではないか?

観光庁まで作ったのは、何のためさ!?


観光立国の実現には、JALの体質改善は重要だった。ところが、高コストで競争力もなく、地方空港間のインフラを堅持することもできないJALに、公的資金が投入されてしまった。単に潰れるべき会社を無駄に助けただけでなく、地方の活性化の妨げを、財務省と国交省がやってしまったことを、麻生政権は指を加えて見過ごしたことになる。

被害は、国民の潜在的・長期的・将来的利益だから、指摘されなければ気が付かない。
マスメディアは、近視眼的に短期の既存の利益の損失でないと、報道する能力が無いようで、非常に残念だ。


さて、JALの改善が見込めない現状で、今後の争点はカボタージュだろう。

地方空港は多数ある。
 ↓
しかしJALはどんどん赤字で撤退するし、高い。
 ↓
カボタージュのせいで、黒字で飛べる海外の航空会社が地方空港間を飛べない。
 ↓
地方空港運営の赤字拡大による地方財政の圧迫。

この、最悪の未来は、絶対に避けるべきだ。

カボタージュが必要なのは、国内の航空会社を守るためなので、それらが運行しないのなら、規制を部分的に緩和し、黒字で飛べる海外勢に飛んでもらうことが、国民のためってものだ。

しかし、JALに金を出してしまった国が、JALの競争相手を資する(=国民の利益に資する)ようなカボタージュの規制緩和をどの程度できるだろうか?

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200902/2009020200698
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20090202ke04.htm
-->
国土交通省が関西国際空港の発着便に限定して、海外の航空会社による国内路線の運航を認める方針を固めたことが2日、明らかになった。景気後退などで国内路線を中心とした路線の廃止や減便が相次ぐ関空を支援する狙いがある。
<--
このニュースの続報が気になる。

これは、地方分権の重要な論点として、同時に、観光立国政策の要として、霞ヶ関が私利私欲に走らないように、次の政権が重視すべきだ。間違っても、私利私欲を愛国心に置き換えて、「日本の空は日本人の手で」なんて島国根性な世論操作には、耳を貸してはいけない。もう、十分に日本の航空会社は、反省する時間を与えられてきたのだから。

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このページは、ranpouが2009年7月26日 05:57に書いたブログ記事です。

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