難民支援と思考停止

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ロヒンギャ族:「難民と認めて」...日本に200人 - 毎日jp(2009年3月1日)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090302k0000m040040000c.html
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 ミャンマー軍事政権による差別や迫害を受け、周辺各国への流出が続いている「ロヒンギャ族」。ミャンマーは自国民と認めず、タイやマレーシアなども受け入れに難色を示す。日本国内でも約200人が暮らすが、日本政府は大半を難民認定せず、一方でミャンマーが自国民と認めないため強制送還もできない「宙に浮いた」存在だ。経済危機で生活困窮に拍車がかかり、正式に就労が可能になる難民認定を強く求めている。
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 「食費を減らしても、もうお金がない。(マレーシアで暮らす)家族に電話できるのは週1回だけ。心が痛い」。約160人のロヒンギャ族が集まって暮らす群馬県館林市。05年12月に来日したモハマド・アユーブさん(35)は肩を落とす。
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 ロヒンギャ族の故郷は、ミャンマー西部ヤカイン州。ロヒンギャであることを理由に移動の自由や教育、仕事が制限され、軍による強制労働もあるという。アユーブさんは88年のヤンゴンでの大規模民主化デモに参加。友人4人が軍の銃撃を受け死亡、多くの仲間が逮捕された。タイからマレーシアに逃げたが、不法滞在として繰り返し拘束された。
 05年12月、中国人ブローカーに約30万円払い来日。成田空港で難民申請したが「仮滞在」のまま3年以上過ぎた。
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そういや先々週、難民支援協会の講座受けた。

一昨年末から昨年にかけて、ミャンマーやトルコが不穏な状況だったから、昨年の難民申請は増えるとは思っていた。しかし、増えるどころじゃなかった。激増していたことを知った。

2007年は816人だった難民申請者数が、昨年は1599人になった。
内訳は、ミャンマーからが979人、トルコからが156人、スリランカからが90人...
http://www.refugee.or.jp/jar/topics/other/2009/01/30-1100.shtml

案の定、ミャンマーとトルコからの難民が増えた。
ミャンマーからは、少数民族は沢山いるけれど、有名どころはカレンとロヒンギャだろうか。トルコからってのは、つまりはクルド人だ。

そのうち、難民認定されたのは57人で、内54人がミャンマー人。
(本当は、申請した年に認定される人は少ないので、前年以前の申請者が含まれる。特に、申請者が増加した現在、認定に要する期間はどんどん延びて、平均は2年らしい。これ、行政手続法を知ってる人なら、おかしいと思うかもしれないが、難民関係は適用除外なのだ(苦笑))
で、トルコとの関係を悪化させたくない日本政府は、トルコはクルドを迫害していないという立場を貫いているので、クルド人を難民と認めることはほとんどない。つか、全然ないかな?

ミャンマー人だけ優遇しているわけだけど、それはそれで、ミャンマー人の難民も複雑な心境のようだ。自分たちが認められるのは有難いが、何故日本 政府は他国の迫害は擁護するのかと。入管で何ヶ月~何年も収容(ほとんど刑務所と同じ)されていると、難民同士で世界中の迫害状況を知ることになるので、 難民認定された後になって、何故自分たちだけ...という気持ちになる人も居るらしい。


ちなみにロヒンギャ人は、周辺国からも迫害されてるので、ミャンマーの外でも殺される。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2559564/3697350
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009021402000085.html

しかし、大半の日本人は、そんなこと想像できないので、島国日本に辿り着く外国人=金目当て、と思い込んで思考停止する。

日本で難民なんて言うと、ネットカフェ難民と同レベルくらいの認識だったりして、流石村社会としか言いようがない。

ま、今回の記事になってる人物が、具体的にどうなのかは知らないけれど。


そして、よく出てくる意見が、不法滞在は犯罪だから、犯罪者は出て行け、みたいな思考停止パターンだ。難民が、合法的に他国に入国できることなんて、まずないわけだが、日本で平和ボケしてると、違法=悪人としか考えられない人が居るらしい。

まず、自国を出国する時点で、合法的なパスポートとビザを持っているような人間は、余程運が良い難民だ。今回の記事では
>05年12月、中国人ブローカーに約30万円払い来日。
となっているが、そういう手段を使わないと、普通は逃げて来れない。

次に、
>成田空港で難民申請したが「仮滞在」のまま3年以上過ぎた。
成田で難民申請できる難民は、かなり珍しい。そもそも、自分が難民だと認識している人自体、少ない。とりあえず不法にでも外国に逃れてきただけ で、自分が国際的に条約難民として地位を得る条件をクリアーしているとか、考えたこともないわけだ。迫害されてきた国の中では、情報が限られているので、 そういう条約の存在自体を知らなかったりする。とにかく、帰国したら殺されるかもしれない、としか思ってなかったりする。

すると、不法入国のまま不法滞在に直結する。そういう中で、難民支援協会に辿り着くのは、運が良いとしか言えない(アフリカ系の難民の場合は、現 地でUNHCRが活動していることが知られていることが多いので、国連に電話する人は居るらしい。すると、最終的に難民支援協会を紹介される。)。

不法入国、不法滞在の認識があると、余計に公的機関に相談することなど怖くてできず、不法就労して生き延びるうちに、何年も経過してしまう。もし くは、何らかのコミュニティに辿り着いたとしても、同様の境遇の仲間が難民申請したら収容された、なんて話を聞いて、余計に難民申請そのものを恐れるよう になったりもする。裏街道まっしぐら。

そういう状況になるべくして日本にやってくる者こそが、難民なわけだ。
せめて、外国人の玄関となる全国の空港や港には、難民に関する相談窓口でも作るべきだが、そんな金はどこからも出ないので、他国のようにはいかない。

ついでに言うと、出国する時点で行き先が決まっていない難民も多い。とりあえず、自国に居ると危険なので、外国へ行く船の船員として潜り込んだり して、とにかく出国する(これも運が良いパターンかな)。日本を選んだのではなく、日本に寄港したから下船しただけということもある。

ま、そんな程度だから、今の難民申請数で済んでいる、という見方もできるかもしれない。


日本に辿り着く難民は、難民キャンプに押し込められる大半の難民より、一見運が良いように見える。でも、実例を聞けば聞くほど、「日本に来ちゃって残念だったね」、「こんな国ですまんね」と思ってしまう。


そして、最も解かなければならない誤解は、難民を保護すべき理由は、難民がカワイソウだから、ではないということだ。日本は難民条約を批准し、国 内法を整備した以上、そのルールに従って難民を受け入れるのが、法を尊重する先進国として当たり前なだけだ。作ったルールの運用基準を曖昧にして、出身国 によって差別的な扱いをしたり、非人道的な扱いをして良いとは、どこにも書かれてないってことだ。


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ミャンマーとかネパールが不穏な動きになるのはマオイストの活動によるもの?もっと複雑?シリアスなアニメでトーキョーが不法地帯になっている近未来が描かれてたけど、ちょっと池袋がそうなりそうな。。【キョウハココマデヨンダ】

この頃の「一昨年末から昨年にかけて」の不穏な状況とは、ミャンマーは2007年に日本人ジャーナリストが流れ弾で亡くなった、反政府デモ後の一連の動きのことです。トルコは、イラクへの越境攻撃のことです。
http://www.global-news.net/ency/naito/daily/071226/01.html
ちなみに、シリアスなアニメというと、攻殻機動隊のSTAND ALONE COMPLEX Solid State Societyは好きです(^^;

結局アニメの名前は思い出せなかったけどバズーって言う兵士とか女刑事とかロボットが出てくるアニメです。「隣の柿が道路に落ちて、食べたトコ近所の子に見つかったらどうなる」って考えると、法律って難しそうですねぇ

そのアニメ、益々、攻殻機動隊のような気がします。
なお、柿の話は、所有権の帰属が問題だったりしますが、似たような話では、ごみ集積所に出されたゴミの所有権というのが、実は結構な問題だったりします。
今年の新司法試験の刑事訴訟法の問題も、そこから出ました。警察が勝手に、出されたゴミをあさり、令状なしに証拠を収集するいくつかのシチュエーションで、違法収集証拠となるかどうか等です。
DNA鑑定で話題となった
http://maruko.to/2009/05/post-33.html
この事件も、そうして証拠収集されました。

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このページは、ranpouが2009年3月 2日 12:40に書いたブログ記事です。

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