イスラエルとパレスチナの民主主義

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以下は、14日に某所にアップした書き込み。最後に追記あり。

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http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2557838/3682679

ロシアから移民した連中が、教育レベルが低く、好戦的で、彼らの割合が増したことが、現在のイスラエルに影響しているという話はある。シャロンが居ない今、オルメルトには彼らを抑えられないみたいだ。

そもそも、2006年にレバノンに侵攻してヒズボラに撃退された後、オルメルトの支持率は地に落ちた。汚職も明るみに出て、カディマ党首の地位をリヴニに譲った。で、オルメルトは、現役首相でありながら汚職で起訴されることが、年末に決まっていた。

まあ、レバノンの時も、別にオルメルトが積極的に侵攻を支持したわけじゃない。カディマだから、脳卒中で倒れたとはいえ、シャロンの路線を引き継 いだ政権だったわけだけど、シャロンのように軍部を抑えられなかった(軍人として英雄だったシャロンのようには、軍部の支持が無かった)結果だったとも言 われている。

パレスチナ側は、やはり軍事的英雄だったアラファトの死後、力不足のアッバスが議長になったけれど、アラファト亡き後のファタハに民衆の支持はな かった。2006年初頭のパレスチナ評議会選挙は、民主的な選挙によって、ハマスが過半数の議席を得たわけだ。ところが、民主的にハマスが政権に加わった ことが気に食わない西側諸国(日本含む)は、パレスチナへの支援を打ち切った。これによって、パレスチナの公的機関は職員への給与支払いもままならなくな り、政府の統率力はジリ貧に。
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2120494/946800

http://www.afpbb.com/article/politics/2116131/917863
当時のこんなのも、国際社会からの支援を再開してもらいたい一心だったのかもしれない。

ハマスは、西側の民主的なルールに則ったのに、何故?という気持ちだったろうね。政権に加わったハマスは、ちゃんと自制して停戦を守ろうとしてたしね。
http://electronicintifada.net/v2/article5951.shtml
上記の文中の数字を信じるなら、ハマスが政権参加した2006年は、圧倒的に、イスラエルとパレスチナの死者数の比率が変わった。ハマス がやり返さなかった結果、イスラエル人1人殺害に対して、パレスチナ人は76.2人イスラエルに殺されるようになったわけだ。それまでは、やられたらやり 返したから、命の価値が10倍以上も開いたことはなかったのに、我慢したからやられっぱなしになったわけだ。

まあ、時々酷い挑発に、堪えられなかったこともあったけどね。
http://blog.livedoor.jp/soliton_xyz/archives/50436931.html

で、2007年中ごろ、ついにハマスは政権に居ても無意味だと悟り、ガザの武力占拠に至るわけだ。その後のことは、言わずもがな...ハマスもたがが外れた。


ハマスとイスラエルとの停戦は何度かあったけど、今回の侵攻直前に最低のやり方で停戦を破ったのはイスラエルだ。停戦を信じて集会を開いていたハマスの施設に、効果的に攻撃を仕掛け、ハマスを大量に殺したって言われてるな。

イスラエルは、効率的にパレスチナ人を殺すの好きだな(苦笑)
http://0000000000.net/p-navi/info/news/200901100445.htm

そんな嘘ばかりつかれて殺されてる最中に、再度ハマスが停戦を受け入れるなんて、常識的に困難だ。どうせ、また騙されて殺されると思うのが普通であって、余程の安全が確保されなければ、拒否するのは当然だと思う。


国連が何を決議しようと、イスラエルが国連を軽視していることなんて、誰だって知っている。2006年のレバノン侵攻の時、国連レバノン暫定駐留軍の施設は、イスラエル軍に集中的に狙われた。暫定駐留軍は、攻撃に対する反撃すら禁じられてるのに...残虐だった。

6時間に渡ってイスラエル軍の標的にされた時、当時のアナン事務総長の攻撃停止の呼びかけも、無視しつづけたわな。で、自国から派遣していた監視 要員をイスラエルに殺された中国は、猛烈にイスラエルに抗議して、安保理の非難決議を提案したのに、反対したのがアメリカだったな(苦笑)

オルメルトは、国連安全保障理事会の停戦決議を「役に立たない」と拒否したそうだけど、本心は「そんなの関係ねー」ってのが、そもそものイスラエルの立場なわけだ。ただ、2006年と異なるのは、冒頭に書いた通り、オルメルトの立ち位置だ。

レバノン侵攻は、オルメルトは軍部を抑えられなかった。今回も、基本的にはカディマは攻撃に否定的だったのではないかと思うのだが、2006年以 上にオルメルトは軍部に押さえがきかない。かつ、汚職まみれで支持率がない。次期首相候補のリヴニと共に、カディマの支持率をアップせにゃならない。

レバノン侵攻失敗後は、イスラエルの世論も反戦が増え、兵役拒否する若者が増加したことが話題にもなっていた。

ところが、今は9割超が戦闘を支持しているというのだ。9割が戦争を支持する民主主義国家で、支持率がジリ貧の汚職まみれの首相が、戦争を止めようと考える理由があるだろうか?

しかも、カディマが支持率を失ったら、控えているのは極右のもっと酷い政党ばかりだ。

レバノン側からの攻撃も確認されてるけれど、ヒズボラが否定していようと、イスラエル国民は信じないだろうよ。また、ヒズボラに負ける...と恐怖が増してるかもね。

少なくとも、9割の支持なんてのが大嘘でない限り、民主主義国家が、戦争を止められるとは思わない。ハマスも、戦闘することで民衆の支持を得てい るのだから、尚更だ。民主主義的政権からは降りたけれど、評議会の過半数はハマスの議席のままだから、ファタハは評議会自体を開かない。

これ、宗教なんて関係なくて、単に、民主主義勢力同士の、民衆の支持を得た戦争なんだよな...

どちらかが反撃できなくなるまで疲弊すること以外に、停戦の目安なんて無いような気がする。つーか、もしも今回、国連の力で停戦させられるなら、それは、国連自身がスゴイ進歩したってことだと思う。しかし、潘基文事務総長って、アナンより指導力あんのかね?
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090113-OYT1T00426.htm

原油価格が下落した今、中東が騒がしくなって再度の価格上昇が望ましい資源大国とか、居るしね...


しかし、冒頭の、ハマスを日本の二の舞にしようなんて言ってる連中を擁護せにゃならん日本てのは、笑ってしまうな。国連人権理事会のイスラエル非難決議に、日本は棄権してやんの。
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011201000421.html


最後に、「イスラエル軍ガザ侵攻 写真特集」にリンクしておく。
http://www.jiji.com/jc/d2?p=gaz00101-07612270&d=004so

--以上

で、現在、オバマの登場と、イスラエルが2月10日が総選挙というタイミングに合わせ、支持率アップのためのカディマの戦争も、とりあえず収束なわけだ。総選挙を延期するかって話もあったけど、今の状況なら、実施するのだろうね。兵士も帰還させれば、本人も家族も投票してくれるって?(苦笑)

今度の1000人以上の殺戮で、カディマがイスラエル国民の支持を回復し、選挙に勝てるなら、しばらく戦闘は収まるかもしれない。カディマが、もっと右派な政党に負けた場合、すぐに戦闘再開かもしれない。

あ、ちなみに、今度の選挙じゃ、今まで立候補できていたイスラム系イスラエル人による政党は、立候補禁止になってます...もう、イスラエルって、民主主義国家じゃなくなってきたんじゃねーか?


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このページは、ranpouが2009年1月23日 18:21に書いたブログ記事です。

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