トルコ地震への支援の仕方に思うこと

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トルコ地震に対する各国からの救援隊を、トルコ政府が断っている。
この件に対し、ネット上にはいい加減な言説が出回っている。

トルコが親日国家だから支援しろとか、東日本大震災後の支援への恩返しもすべきとの思いが強い人やらが、日本の支援が断られたことを曲解している書き込みも目にする。

そこで、少しおさらいしよう。

まず今、現在進行形で、トルコ軍は震源地から百キロチョイのところで、絶賛戦闘中である。相手は、クルディスタン労働者党(PKK)だ。

震源から百キロくらいのところに、Hakkari県てのがあって、その先はイラク国境で、震源からイラク国境までは130キロくらいな位置。

つい先週、こういうニュースが流れた。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-23724920111020
「イラクとの国境に接するトルコ南東部ハッカリ県で、トルコからの独立を目指すクルド人労働者党(PKK)による攻撃が相次ぎ、19日までにトルコ軍兵士24人が死亡した。」

で、直後からトルコ軍は、Hakkari県の山岳地帯とか、隣のイラク領内にまで越境攻撃して、PKKを100人オーダーで殺している最中。
http://www.todayszaman.com/news-260772-turkey-kills-almost-100-terrorists-in-offensives-led-by-top-commanders.html
http://www.todayszaman.com/news-260874-turkey-moves-into-iraq-near-pkk-camp.html

イラク北部への越境攻撃なんて国際法違反して、イラクともめないのか?と思う人もいるだろうが、これは別に今回が初めてではない。
http://www.global-news.net/ency/naito/daily/071226/01.html
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2354542/2666257
PKKは、アメリカ様がテロ組織と認めているし、クルド人だし、イラク政府も了承済みという...

イラク北部のクルドがよく分からない人でも、フセイン時代に散々な迫害に遭った人々だと言えば、思い出すのではないか?

そうそう、化学兵器で殺されまくった人たち。

実は、クルド人が最も多く住んでいるのがトルコであり、トルコも建国の時から、クルド人の迫害という問題を長らく抱えてきた。EUに加盟しようとしたら、クルド人迫害を先に止めろと言われ、やっと徐々に状況が好転してきたとはいえ、そういう時代背景を忘れてPKKを単純にテロ組織と思ってはいけない。まあ今では、国際的にも立派なテロ組織認定されてるので、殺しても大丈夫ってことにされてるけど、ハリウッド映画じゃないので、勧善懲悪なお話なんて存在しない。(別に、PKKを擁護しているわけではないので、誤解しないように。)

これは、日本人にとっても他人事じゃなくて、トルコがこの辺で戦闘すると、日本にやってくるクルド人難民も増える可能性が高まる。でも、日本政府はトルコを親日国家と位置付けているので、トルコが人権侵害していないという建て前から、クルド人を難民とは認めないという差別的な対応を続けていることも、周知の事実。過去にもブログで取り上げた。
http://maruko.to/2009/03/post-10.html

まあ、そんなことやってる最中に、今回の地震が起こったわけだ。
あんな、クルド人の多い地域で...

http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102501000896.html
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/mideast/532930/
ということで各メディアでは、各国の救援隊を断るトルコ政府の不可解な対応について、クルド人差別とか、もしくは逆に、クルド人に政府に助けられたと良い印象を与えようとしているとか、諸説出ている。何故か、隣の県で絶賛戦闘中なことを理由に上げる記事は、自分は目にしていない。戦闘終了して撤退したという確実なニュースもない。
-->追記
http://www.reuters.com/article/2011/10/25/us-turkey-iraq-pkk-idUSTRE79O2WZ20111025
まだまだ越境攻撃エスカレート中ですね。
<--

そんな状況なので、震源のヴァン県は戦地ではないとはいえ、
http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2011/10/post-747.html
こんな思い入れで、簡単に他国の公的な医療チームが受け入れられるか疑問。

http://amda.or.jp/articlelist/index.php?page=article&storyid=191
AMDAのように、現地のNGOと連携できる実績のあるNGOでなければ、現地入りは難しいのではないだろうか。
http://www.aarjapan.gr.jp/about/news/2011/1024_790.html
難民を助ける会というのも、名乗り出ている。
http://www.jrc.or.jp/foreignrescue/l3/Vcms3_00002578.html
日本赤十字は、トルコ赤新月社の活動を書いてるだけで、今度の対応は不明。

では、現地入りは難しくてもトルコを支援したい人は、やはり金銭的支援がメインということになろう。が、ここで疑問なのが、トルコ大使館を通じての義援金送付だ。果たしてトルコ政府は、クルド人被災者らに義援金を公平に分配してくれるのだろうか?

正直、トルコ政府には本当に申し訳ないのだけど、差別がないのか、個人的には不安が残る。なんせ、今の政府対応だって差別なのではないかと、報道されている最中なわけだ。

いや、ダメだと言っているわけではない。今回の地震で、差別してるという証拠があるわけでもないしね。きっと、ちゃんとやってくれるとは思いたい。信じる人は、以下へ。
http://tokyo.be.mfa.gov.tr/ShowAnnouncement.aspx?ID=134011


しかし、信じる信じないは別にしても、日本人は東日本大震災で学んだはずだ。義援金の分配は、なかなか難しく、時間のかかる話だと。トルコ政府の対応を信用するにしても、今にも凍え死にそうな被災者には、政府経由の義援金など先の先の話でしかない。

ならば、現地入りするNGOに直接寄付する方が、遥かに効果的ではないか?

少なくとも、
http://www.youtube.com/watch?v=LscQ1QAS3hQ
この動画の説明にあるような美談で支援するのではなく、もう少し具体的に、被災しているクルド人に届く支援を考えた方が良いと、個人的には思う。

エルトゥールル号とか邦人救出とか、そりゃいい話だけど、それがなかったら支援しないわけじゃないでしょ?

もちろん、大使館経由で義援金を渡せば、トルコ"政府"とは親密度アップできるだろうけどね...


ところで、これは余り知られていないだろうが、トルコ政府から迫害を受けたと主張して、日本で難民申請しているクルド人らも、東日本大震災の後、ボランティアとして東北で支援活動をしてくれていた。彼等と一緒に、瓦礫撤去した自分が言うのだから、嘘ではない。

日本人ボランティアが諦めるような、巨大な瓦礫や丸太も、「オスマン帝国ではこうやって運んだんだよ」と、見事に運び出してくれる頼もしい人々だった。彼等が持参した手作りのお菓子は、「こんな外国のお菓子食べたことないわぁ(笑)」と、被災者の方にも大好評だった。

彼等難民申請中のクルド人は、日本政府が、いずれ自らの難民申請を却下するであろうことは、うすうす気付いていた。でも、東北の状況を見て、手を貸してくれた。恐らく、彼等のような日本にいるクルド人は、今回の地震のニュースに祈る思いで接していることだろう。

日本人が、トルコへの支援を通じて、もう少し日本にいるクルド人の問題を知る機会になると良いのだけど。

-->追記10/27
http://mainichi.jp/select/today/news/20111027k0000e030011000c.html
AMDAの活躍が伝えられてますね。

相変わらず、他国の救援隊は入ってないですが、今のところ各メディアは、もうそこには触れない形で、物資と一部のNGOが入ったことをもって、「トルコが世界からの支援を受け入れた」という部分を強調する報道で、丸くおさめるようですね。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111027/k10013536051000.html

ロシア系のメディアなどは、人か物かにも触れずに、世界に支援要請したという風にぼかして書いてますね。日付とか間違ってるイイカゲンな記事ですが、分かりやすい対応ですね(苦笑)
http://japanese.ruvr.ru/2011/10/26/59358108.html

トルコは、よっぽど人を入れたくないのでしょうが、国としては内政干渉するわけにもいきませんから、一応これで物資だけでも「支援した」という形式を満たし各国は満足し、外交的にトルコ政府の面子は保たれたのでしょう。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20111027k0000m030065000c.html
助けを待つ現場からすれば、たまらない話でしょうが。
<--
-->追記10/31
難民を助ける会の現地での活動報告が出ました。
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1031_795.html
<--
-->追記11/12
「トルコ:宮崎淳さんの訃報」
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1110_812.html
「11月10日のトルコ地震での当会職員の状況に関するお知らせ(11日21時半現在)」
http://www.aarjapan.gr.jp/about/news/2011/1111_814.html
http://aarjapan.blogspot.com/2011/11/turkey-passing-of-mr-atsushi-miyazaki.html
「トルコ語でのお悔やみのツイート」
http://togetter.com/li/212501

http://www.smh.com.au/world/miyuki-daughter-of-disaster-survives-another-horror-20111111-1nb37.html
最後のところ
>Angry about a shortage of aid, more than 200 people rioted amid the debris. Police fired tear gas at protesters.
>"Police and residents are fighting now. They feel desperate, angry and abandoned," said a witness, Neman Kara, 35.
援助不足に抗議する被災者と、警察が催涙ガス使って戦ってる被災地...やりきれない。

まだまだ、非政府組織だからこそ可能な支援があるのだろう。
http://www.aarjapan.gr.jp/activity/report/2011/1109_805.html
昨日予定されていた活動報告会は、中止になったそうだけど、今後トルコでの活動はどうするのだろう?
<--

■蛇足
本文と関係ありませんが、またしばらくブログの更新が滞る予定です。お勉強に時間を...

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このページは、ranpouが2011年10月26日 06:47に書いたブログ記事です。

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