違法ダウンロード刑事罰化について

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http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1206/05/news069.html
この後もMIAUは、違法ダウンロード刑事罰化に反対するロビイングを、諦めずに続けている。
http://miau.jp/1339159103.phtml
消費税や原発問題に隠れてしまっているけれど、これもとっても重要な問題。著作権侵害コンテンツのダウンロードが違法になって、まだ2年ちょいで、世間にそれが浸透すらしてないのに、もう「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」という刑事罰を加えようという法改正が迫っている。現状だと、国民の多くが犯罪者として処罰対象にされてしまう。特に、この行為が違法行為だと認識すらしていない中高生が罪を負うことになることも、MIAUは問題視しているようだ。

そもそも、この手の著作権侵害は、アップロード者を処罰するのが本筋で、現在の法律で十分に対処できる。例えば、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードした100人を逮捕するより、アップロードした1人を逮捕することは、遥かに容易で実効性が高い。しかし、この法改正をロビイングしている音楽業界などの権利者団体は、何故かダウンロードした側をしきりに処罰したがっている。刑事罰化を訴える議員の発言などからすると、国民への啓蒙のためとか言っているようだが、だとすると大問題だ。これから啓蒙しなければならないような、国民に規範意識のない行為に刑事罰を設けるという意味であり、法律を小学校の道徳の時間の教科書か何かと勘違いしている。道徳的にそうあるべきなら、それに反する多くの国民に刑事罰を課しても良いとなると、刑事罰とは、一般的でない特定の価値観を持つ者が、その価値観を世間に広めるために使える道具ということになる。それが、専門の学者の意見や、憲法の掲げる理想に則ったものならまだしも、2010年の法改正の時点でそれは認められなかったのだから、質が悪い。当時、それまで違法でなかった行為を違法とするにあたり、文化庁の審議会の分科会等でも多くの議論が重ねられた。そして、著作権法の専門家を交えた議論で、元々著作権法は私的目的の複製は処罰対象ではないので、私的目的のダウンロードを違法としても、罰則は付けないことにされた。この議論の結果、自らの意見が通らなかった特定の利益団体が、専門家のコンセンサスを得るのを諦め、専門家でない議員にロビイングして法改正を果たそうというのが、今回の動きだ。

http://togetter.com/li/317556
しかも、政府提出の閣法に、自公が修正案を提出する形で、ろくに議論せずにこっそり刑事罰を盛り込んでしまおうというのだから、姑息過ぎる。まともに議論したら、反対意見に論破されると自覚しているのかもしれない。

「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」とは、モラル向上のために路上喫煙禁止条例でたばこのポイ捨てに過料を課すのとは訳が違う。何より、厳しい刑事罰を設ければ国民のモラルが向上できるという発想自体、犯罪社会学の分野では当然でもない。

大体、憲法で保障された「通信の秘密」を侵害せずにダウンロード者をどうやって捕捉するのかよく分からないが、仮にサーバのログなどからIPアドレスでダウンロード者を総当たりでしょっ引けるとか考えているなら、恐ろしいことだ。何故なら、違法コンテンツと知りながらダウンロードしたかどうかの故意は、とりあえず嫌疑をかけて自白させるか、とりあえずPCを差し押さえるなどしてHDDを分析し、故意があったと言えるくらいの情況証拠を集めるしかない。
社会人であれば、嫌疑を晴らすまでに職を失うだろう。中高生なら、酷いイジメにあうだろう。もちろん政治家は、議員活動を停止する...かどうかは知らないが(苦笑)

家族の共有PCだったりしたら、一家丸ごと共謀共同正犯で逮捕されたりして(^^;;

とにかく、これが原発問題や消費税問題に隠れ、またはその引き換えに通ってしまいそうなことが、本当に最悪だと思っている。著作権法とは、その国の文化の発展の仕組みを支える法律であり、何かとバーターで改悪して構わないようなものではない。
衆議院で通ってしまうと、改悪賛成の野党が多数派な参議院ではどうにもならない。
今、そういう危機的な段階にある。

>追記:6/16
「DVDリッピング違法化+私的違法ダウンロード刑罰化法案、衆議院で可決」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120615_540420.html

残念な結果だ。

http://hakubun.jp/2012/06/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E6%B3%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%B3%AA%E7%96%91%E3%81%99%E3%82%8B/

冗談みたいだが、こんな浅い理解で、専門家が散々議論してきた事実を無視して、特定の利益団体の意見で、我が国の文化発展を支える法律が改悪されるのだ。こんな罰則ができたところで、音楽CDの売り上げが回復しないことなど、一般的な常識があれば想像できるはずなのだが。

おまけに、この自民党議員によれば

>明らかに故意犯だけが対象であり、その立証は、捜査当局が個々のパソコンを押収して無理矢理行うものではない。

とのことだが、明らかな故意犯なのか、捜査機関がどうやって判別するのか、是非とも教えて欲しいものだ。我が国の捜査機関は、パソコンを押収せずに、誰かの頭の中を透視でもして故意を立証する方法でも開発したのだろうか?

基礎的な知識や、簡単な想像力のない大人が、この国の創造力をどんどん奪っていく様を目の当たりにするのは、本当に悲しいことだ。

レコードやCDという、音楽の著作物の劣化コピーを売る商売が、金銭的魅力を失いつつある現在、音楽ビジネスは複製できないライブという本来の姿に回帰しているように思える。そもそも、劣化コピーが高額で売れるのが当然だと思ってきたのが、根本的な間違いだったのではないかとも、自分などは最近考えてしまうのだが...

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俺は愚か者の作った法に従うつもりは微塵もない。
何も知らぬ、本来の目的すら測れぬ凡愚は滅びてしまえ。

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このページは、ranpouが2012年6月10日 21:00に書いたブログ記事です。

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