アドビの過去の四半期毎の売上げ、営業利益、純利益などを、報道資料を基に表にしてみた。
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1998年第3四半期に、営業利益が赤字(-610万ドル)だったというのが感慨深い。純利益が、15万2千ドルだったとか。まあ、通年で見れば、その1998年だって、純利益が1億ドル超えてるのだが。
その後の上昇する数年とは、アドビがアップルからMS市場にシフトし始めた頃ではないか。
しかし、同時にアドビは、不正使用を簡単に可能とするかのように、この頃から、何故かドングルの廃止などを始めた。結果、不正使用ユーザーで圧倒的な支持を得て、写真だけでなく、映像業界の標準ツールとしての地位を強固にしていった。すると、シェアは伸びるが、売上げが振わない年が続いたのだろう。2001年末に、247人のリストラを行っている。
で、 売上げがグッと上がる2004年とは、CSシリーズを発売し、アクティベーション機能を搭載し、再び不正使用を排除し始めた年だ。それまでコピー し放題という状況に、まんまと不正使用でアドビ製品に慣れ親しまされた(?)大半のプロユーザーは、業務遂行のためにCSから正規ユーザーにならざ るを得 ず、大幅に売上げに貢献する。業務では、常に他社などから最新版のデータが届くので、不正使用できる旧バージョンでは仕事が立ち行かなくなるのだ。
アドビは、不正使用を誘引して、業界標準ツールとしての地位を独占した後、不正使用を禁じて完全独占体制を確立したのではないか、という見方は映像業界ではよく聞く。
で、独占が完成した後は、売上げがうなぎ上り。毎年記録更新だ。
マクロメディア買収後の2006年は、利益は減ってるけれど、売上げは止まらない。
そして、2007年は、売上げ31億5800万ドル、純利益7億2380万ドルに達する。
そんなアドビが、先月上旬に、売上げ不振を根拠とした600人のリストラを発表した。
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市場を独占しといて、ユーザーの望まないバージョンアップまで半ば強制する制度を押し付けておいて、不振なんて馬鹿な話があるかと、疑問ではあった。
まあ、この時点で出ている数字を足しても、どう計算しても不振ではなかったのだが、約2週間後に発表された2008年第4四半期の正式な売上げ発表の存在に気づいたので、それを加えたのが今回作成したグラフだ。
なんと、2008年の総売り上げは、35億8000万ドル...またまた過去最高じゃねーか!
売り上げ不振報道では
同社は当初、最大9億5500万ドルの売上高を予想していた。現四半期の業績はさらに下落し、同社は現在、8億~8億5000万ドルの売上高になると見込んでいるという。としていた。
しかし、営業利益なんて、創業以来初の、10億ドル突破だ。金融危機の始まった第4四半期だけで見ても、悪くもなんともない。結局第4四半期は、9億1530万ドルの売上げだった。
これで目標に届かなかったから600人リストラなんて、とても真実とは思えない。
アドビは、CS4の発売で、かなりのユーザーから無駄なバージョンアップだと非難されている。売上げ不振報道は、"市場を独占し、ユーザーの意見を無視する巨人"という現在のアドビのイメージを、少しでも和らげようとしたイメージ戦略だったのだろうか?
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