検察は批判されるべきだけど...

| コメント(0) | トラックバック(0)

最近、小沢問題関連で、検察批判の声が増えてる。

これに関して、数日前にTweetしたけれど、無反応だったので、ちょっとまともに書き起こしてみる(苦笑)

確かに捜査機関の捜査手法には、問題が多い。従来から弁護士会などが問題視している点は、今後も改善を強く働きかけるべきだろう。しかし、全てを「検察権力の暴走」などと単純化して非難する人々は、重要なことを忘れてる。

令状主義の我が国では、逮捕状も勾留状も、発布するのは裁判所である。

例えば、石川議員の逮捕や勾留を非難してる人は、その必要があると認めた裁判所については、どう思ってるのだろう?

本当に、理由らしい理由が無いのに勾留されてるなら、悪いのは、勾留請求などをした検察よりも、それを認めた裁判所だろう。検察がいくら暴走しようと、裁判所がまともなら、根拠なく国民を逮捕・勾留なんてできない仕組みになってるのが、刑事司法のタテマエ。元々、権力は暴走するのが当たり前だから、それを防止する仕組みが制度に埋め込まれているのだ。

弁護人は、逮捕・勾留中の依頼者の釈放のため、勾留理由開示請求や勾留取消のための準抗告を申し立てることができる。しかし、それが認められるかどうかだって裁判所次第だ。


ところが、この国の刑事司法の問題点は、検察と裁判所が仲良しってところにある。
刑事訴訟は99%以上の有罪率。だからこそ、裁判員制度への期待も大きいわけだ。


だから、捜査手法を非難したい人は、検察の暴走を非難するより、暴走させないためにある裁判所の機能不全こそ非難すべきだろう。(ま、今回の件で実際に機能不全なのかは、知らない(^^;)


更に、捜査情報リークの問題に関しては、刑事事件だけの問題じゃない。記者クラブ問題など、マスコミが元々抱える、情報操作一般の問題だ。政治や政策の問題なんかでも、官僚等が意図的に情報リークして、マスコミを操って世論を操作するのは、日常茶飯事ではないか。記者は、提供された情報と異なる記事を書けば、以後締め出され、その会社全体が干されたりする可能性もあるわけだ。

そういう、日本の報道全般の問題を、今回たまたま検察だけ狙い撃ちするのは、「木を見て森を見ず」ではないか?

要はマスコミは、情報戦の一方の道具に成り下がらない手法を確立すべきだ。刑事事件に限らず、政治や政策の話題でも、「関係者」のリーク情報を垂れ流さずに済むように、自己批判すべきだ。


個人的には、多少行き過ぎた世論の力で、今までの刑事司法の問題点の一部(取調べの可視化とか)でも解消できちゃったら、それはそれで望ましいとも思ってる。きっと、刑事訴訟専門の弁護士などは、シメシメと思ってるかもしれないw

しかし、過度の検察不信が裁判員裁判に与える影響なども、気になる。
捜査機関の権威が必要以上に失墜することは、それはそれで望ましくないだろう。

間違っても、今後一切検察が政治家を起訴できなくなるような事態は、非常に困る。検察の高い鼻をへし折るくらいは構わないが、彼らが再起不能になるまで殴り続けてはいけない。権力と権力の均衡は、絶妙なバランス感覚が求められるだろう。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://maruko.to/mt-tb.cgi/92

コメントする

アーカイブ

Las Vegas

Lights for Rights

このブログ記事について

このページは、ranpouが2010年1月22日 15:22に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「国際緊急援助隊が遅れた理由の言い訳」です。

次のブログ記事は「アドビが下取りキャンペーンて...」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.23-ja