2009年1月アーカイブ

ちょっと古いけれど、去年、法と経済学の授業で提出したレポートが出てきた。まあ、授業のレポートなので、用語の誤用や、授業内容そのものに触れる内容でもあって、あまりブログに掲載するようなものではないかもしれない。でも、ちょっと公の目にさらしておきたい内容でもある。ちなみに、成績はAだったw

偶然ここを訪れた人は、もちろん、以下の内容を鵜呑みにせず、批判的に検討する材料にしてもらえればうれしい。

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1 近年、デジタル及びインターネット等の技術の発展に伴い、音楽の著作物、映画の著作物等の著作権侵害が増加したとされている。同時に、権利を 侵害されたとする著作権者は、訴訟提起に限らず、積極的なロビー活動による立法への働きかけによって、厳罰化や、保護期間の延長、更には権利侵害を前提に した私的録音録画補償金制度などの導入に成功した。更に最近は、技術による著作権保護システムとして、DRM、B-CAS、ダビング10等が、ハードウェ アにアーキテクチャとして埋め込まれるようになった。
 著作権保護システムは、従来は困難とされた遠隔地での個人認証や、個別のコンテンツ管理といったが手法を、技術の発展によって、安価に著作権 者に提供することになり、インターネットを通じての音楽の著作物の販売(利用権の許諾も含む)等の機会を増加させ、取引費用の大幅な低下を実現した。法 は、著作物に限らず、あらゆる商品のインターネットを通じた取引の増加を重視し、消費者保護のための各種立法を通じ、情報の非対称性に関連する私的交渉の 障害を取り除いた。これは正に、規範的なコースの定理に従っていると言えよう。
 技術による保護も、法律による保護も、そのためのコストは無償ではないが、技術による保護は安価であるのに対し、法律による保護は高くつく可 能性がある。著作権侵害した者を捕まえるよりも、著作権侵害できないシステムを広める方が、安価であろう。そして、この二種類の方法を、追加の単位保護あ たりの限界費用が限界便益と等しくなるような割合で混合することが、最も効率的となるだろう。すると、技術による安価な保護の割合が高くなるのであって、 つまりは商業的な要求に基づく民間独自の技術を活用すべきという結論になる。

2 ところが、当の著作権者は、複製権侵害を防ぐためのダビング10等の技術による著作権侵害防止には、反対している。ダビング10の運用開始が 遅れたのも、これら権利者団体が非協力的だったからで、決して技術的な問題があったわけではない。経済学的にも、法学的にも、著作権を保護することは、創 作活動へのインセンティブとなると考えられていたはずである。では何故、このような乖離が生じるのであろうか。以下、状況は少々異なるが、本件の参考とな る事例を取り上げる。

3 本講義において、独禁法に関連して、マイクロソフトによるNetscape排除のための、Internet ExplorerのOSとの抱き合わせ販売の事例が取り上げられていた。マイクロソフトは、アメリカだけでなく、ヨーロッパにおいても訴えられ、一時は追 い込まれたかに見えた。こういったマイクロソフトの苦境から学び、独禁法に引っかからない方法で市場支配に成功した、とあるソフトウェアメーカーがある。 ここでは、仮にA社としておく。
 A社は、コンピュータグラフィックス分野での、特殊映像や、画像加工の技術に特化した、プロフェッショナル向けのソフトウェアを数種類販売し ていた。映像、画像制作を生業とする商用ユーザーの中で、アップル社のMacintoshを使用しているユーザーの間では評価が高く、同分野のシェアを独 占していた。ところが、Windowsの流行により、MacintoshのPC市場全体でのシェアが低下した。A社も、Windows版の同ソフトウェア を販売していたが、Windows市場にはA社のソフトウェアと競合する、より安いソフトウェアが多数存在し、Macintosh市場のような競争相手の 少ない独占的な市場を前提とした高額な価格設定のままでは、Windows市場でシェアを得ることは難しかった。
 そこでA社は、Windows版のソフトウェアには、Macintosh版では搭載していた、不正使用を防止する技術を一部除外した。更に、 最も高額なソフトウェアで、不正使用を禁じるために用いていたハードウェアキー1を、代替する不正使用防止策を一切講じずに、ソフトウェアのバージョン アップの段階で廃止した。これらによって、A社のソフトウェアは、不正コピーによる使用を防ぐ機能がなくなり、不正使用が横行した。
 本来高額な製品が、不正使用し放題となったため、正規価格には支払い意欲額が全く達しないユーザーまで、圧倒的なシェアを獲得した。結果、A 社と競合していた、より安価なソフトウェアメーカーは、市場から姿を消した。この間、A社はあくまで、著作権侵害の被害者として振舞った。市場の独占に よって、映像、画像制作の業界は、A社のソフトウェアを使った業務スタイルが定着し、A社のソフトウェアでなければ業務遂行が不可能なユーザーばかりとな り、完全にA社に依存するようになった。その後A社は、新規バージョンから新たな不正使用防止策を講じた。
 当初は不正使用ユーザーだった者も、既に他社の選択肢がないため、A社のソフトウェアでなければ業務遂行が不可能であり、当該業界で業務を受 注するには最新バージョンでのデータ納品が必要であり、新規バージョンから正規ユーザーとならざるを得なくなった。A社は、高額な価格設定を維持したま ま、市場の独占に成功し、かつ、正規ユーザーを大量に獲得した。
 この事例は、実質的にはダンピングと類似である。しかし、A社は自らが被害者となるので、絶対に独禁法には抵触しない。もちろん、不正使用をしたユーザーは、非難されるべき存在ではある。しかし、不正使用を拡大することは、A社の方針であった。

4 A社の振る舞いによって、他社が排除され、独占を許したのは、市場の失敗と言えるはずであるが、現行法でA社を非難することはできない。コー スの定理によっても、政府の新たな介入が必要とされるケースであろう。本講義では、ソフトウェアについて、同時に複数人が利用できるが、料金を支払った者 だけが使えるように排除できるとして、非競合性と排除性のある人為的希少財として取り上げられた。しかし同時に、ソフトウェアの違法コピーに関連して、ア イデアの伝達を排除することは非常に高い費用がかかるとして、非競合性と非排除性があるとして、公共財的な側面もあるとされた。この排除性の有無が、著作 権者のさじ加減に任せられていることに、大きな問題がある。
 著作権は、著作物の創作者に対して、創作の見返りに与えるものだ。一定の時間がたてば、権利は失われ、公共が自由に利用できるようになる。こ れは、知的財産保護の核心にある、共産主義的側面であると言われることもある。通常の有体物の財産なら、法は生産するインセンティブと、所有権保護を提供 しなければならない。しかし、知的財産の場合は、法は生産するインセンティブさえ生み出せば良い。後は社会全体の利益を優先する。アメリカでは、フェア ユースとファーストセール(消尽)にその思想が色濃く認められるが、現在フェアユースを認めていない日本でも、同様の方向での著作権法改正の議論が進んで いる。創作者に生産物の利用についてコントロールを認めるけれど、完全には認めない。公共にある程度のアクセスを認めるけれど、完全なアクセスは認めな い。このバランスは、自然に生まれるものではないので、社会全体の功利を意識しながら、国家が法律で定めなければならない。2

5 著作権法は、もちろんバランスを考慮して規定されていた。しかし、A社のような振る舞いが可能となることは、想定されていない。何故ならかつ ては、著作権を保護するのは圧倒的に国家・法律の役目であり、著作権者自らが自衛することなど、不可能に近かったからである。ところがA社は、自らの著作 物を、自らの技術で、著作権侵害の発生をコントロールすることが可能となった。極端な話、仮に著作権法が存在せず、国家による権利保護が一切与えられてい ない世界であっても、ソフトウェアに自衛のためのコードを埋め込むことで、自らの意思で著作物をコントロールできる。これは、冒頭に記した、技術の発展に よってもたらされた著作権保護システムの登場と同じ話である。著作権者は、国家の保護に預からずとも、自ら強力に、安価に、著作物をコントロール可能な技 術を手に入れたのである。これが、著作権法の想定していたバランスを崩し、独占を可能とした。従来は、コントロールを徹底するには高いコストが生ずるた め、不完全なコントロールは、著作権者側からの効率性の観点からも支持されていた。この、前提条件が覆ったのである。

6 ここで、ダビング10に反対した、権利者団体の話に戻ってみる。現在、デジタル技術の発達によって、容易なデジタルコピーが横行し、彼らの権 利は常に侵害される側であるという前提で、私的録音録画補償金制度が存在する。音楽や映画の著作権者は、自らの著作物の被害を立証せずとも、著作権侵害を 全くしていないデジタル機器・記録メディアの購入者から、損害賠償目的の補償金を得ている。もしも、私的録音録画補償金制度が存在しなければ、真の著作権 侵害者を探索する費用だけでも高額になる。高額な取引費用は、交渉を困難とする。これはつまり、コースの定理に従い、法的な権利を単純明確化して、私的交 渉の障害を取り除いたのが、私的録音録画補償金制度であるとも言える。権利者団体は、補償金制度の拡充を望んでいる。
 この制度が特殊なのは、単に法的な権利を定めただけでなく、検索、交渉を要せずに執行まで自動化している点にある。これに対し、デジタル機 器・記録メディアの購入者が、著作権侵害を否定し、勝手に徴収された補償金の返還を求めることも可能であるが、こちらは逆に、返還される補償金よりも、取 引費用が高くなる仕組みであり、実質は返還を諦めるしかないのが現状である。よって、権利者団体は、実質的には不当利得を返還せずとも良い仕組みとなって いる。能動的に何の取引もせずに、権利者は利得を得られる。

7 ダビング10は、著作権侵害を生じさせないための技術である。著作権侵害が防がれると、私的録音録画補償金制度の前提が崩れるので、この技術 を開発したメーカー業界団体は、補償金の廃止を求めている。そうすれば、デジタル機器や記録メディアに上乗せしていた補償金の分だけ、価格を抑えられる。 現在、デジタル機器や記録メディアの販売には、税の効果によって生じる死荷重と同じ効果が、私的録音録画補償金によって生じているのである。しかし、これ が廃止されては、取引費用をかけずに補償金を得られていた権利者団体は、単純に利得を失う。
 本来、補償金制度が正当化される論理は、権利者の逸失利益の存在を前提としている。よって、権利侵害が防がれれば、利益は逸失せず、正当な対 価を支払う消費者が増加するのであるから、権利者団体がこれに反対する理由はない。しかし実際は、権利者の設定する価格は、大半の消費者の支払い意欲額を 超えており、権利侵害が防がれたからといって、それまで権利侵害していた消費者との間に取引が成立する可能性は、極めて低い。
 例えば、DVDのセル市場は、作品に対価を支払って購入する消費者層は、非常に偏った需要曲線を描く。1割弱のヘビーユーザーによる支出が市 場全体の7~8割を支えており3、この層が、映画の著作物を大量に、頻繁に、繰り返し購入していることが判明している。この1割弱は、支払い意欲額が高額 なので、権利者はこの消費者層のみをターゲットに絞り、価格設定をすることが効率的と言える。ある程度価格設定を下げても、それが大半の消費者の低額な支 払い意欲額に達しなければ、1割弱のヘビーユーザーの消費者余剰ばかりが拡大してしまう。権利者は、大半の消費者の支払い意欲額まで価格を下げることは、 限界収入をマイナスにする危険があると、予測しているのかもしれない。

8 そもそも、無料放送のTV番組は、放送によって非競合性と非排除性が生じるので、公共財と言える。ダビング10は、ここから非排除性を制限 し、排除性を与え、人為的希少財とするための技術的アーキテクチャである。権利者団体は、自らの著作物が、自動的に人為的希少財とされてしまうことを望ま ない。A社の事例と同様、権利者は、自らが被害者の立場に自由に立てることに、価値があると考えている。これは、著作権侵害が、親告罪であるそもそもの理 由と同じである。権利侵害が、権利者の利益につながる場合は多々あるのであって、利益につながる権利侵害かどうかは、個別に権利者が判断したいのだ。
 最近の事例とすれば、インターネットの動画共有サイトに不法にアップロードされるMAD作品4による権利侵害は、一律に禁じる権利者ばかりで はない。自社の著作物の利益となるMAD作品は、自社の定めたルールで公式に存在を許可する、角川デジックスのような権利者も存在する。権利者自らが、権 利侵害が新たな利益を生む場合があることを理解しているのである。

9 ここで、現代の技術水準に基づいた、著作権保護のための法律と技術のバランスを検討する。国家によらず、権利者自らで著作権侵害をコントロー ル可能となることは、著作権法の想定を超えていたため、A社のような独占を防げなかった。私的録音録画補償金制度は、著作権者は著作権侵害をコントロール できないという、過去の技術水準を前提とした著作権法によって、定められている。A社は、作為的に著作権侵害を発生させたが、ダビング10に反対して私的 録音録画補償金制度の拡充を目指す権利者団体は、不作為によって著作権侵害を発生させようとしている。前者はその後、作為的に著作権侵害を防止して利益を 拡大したが、後者は、不作為によって、引き続き権利侵害していない者からも不当利得を得ようとしている。どちらがより信義則に反する行為か、にわかに判別 し難いが、どちらも、権利濫用という点で一致しているのではないだろうか。安価な技術によって、容易に権利者自ら著作権侵害をコントロールできるように なった今、国家は、かつての弱い権利者の保護ではなく、強い権利者からの公益保護の観点から、新たな立法をすべき時代に到達している。冒頭で示した、「追 加の単位保護あたりの限界費用が限界便益と等しくなるような割合で混合することが、最も効率的」というのも、保護すべき便益の対象が、権利者から公益にシ フトしつつあるのではないか。

10 不完全なコントロールを前提とした私的録論録画補償金制度という法律による保護と、完全なコントロールを目的とするダビング10という技術 による保護とでは、権利者は後者によって利得を失うのに対し、消費者は前者で損失を被り、後者で便益を失う。消費者の損失と便益を数値的に比較することは 難しいが、失う便益の方が大きいという権利者の言い分(言い訳)は、間違っていないように感じる。しかし、だからと言って、私的録音録画補償金制度が正当 化されるとは言えない。
 安価な技術で、権利侵害をコントロール可能となったということは、取引費用が低下したことに他ならない。コースの定理に従えば、法的な権利分配に関わらず、効率性が実現する。つまり、私的録音録画補償金制度そのものも、無用なのだ。
 必要なのは、冒頭に記した、情報の非対称性による私的交渉の障害を取り除くための消費者保護と類似の観点からの立法であり、権利者の権利制限の 立法であろう。フェアユースの導入、拡大もその一つである。しかし、もっと具体的に、権利侵害防止が可能であるのに権利侵害を誘発して市場支配を目指すよ うな手法そのものも、独禁法の観点からも制限されるべきだろう。民間が独自に、完全なコントロールを可能とする技術は、ある程度、法律によって制限されな ければならない。完全なコントロール技術を取引の一方当事者の自由に任せていては、市場は失敗するだろう。自由と公平は、時に背反するが、そのどちらを維 持するのも、国家の役割である。
 つまり、現代に合った著作権保護のための法律と技術のバランスとは、民間の突出した技術を、公共性の観点から法律で制限するという関係の実現であり、公共性とは何かという、非常に判断の難しい利益配分の決定を、立法が求められていると言えよう。

                                          以上

注釈について:
1 ソフトウェアを起動する際、PCに、ドングルと呼ばれるハードウェアを接続していないと、起動できなくする仕組みで、物理的に不正コピーを排除する。
2 ローレンス・レッシング、『CODE インターネットの合法・違法・プライバシー』、翔泳社
3 社団法人 日本映像ソフト協会、『DVD ユーザー調査 2007』サマリー
4 既存の音声・ゲーム画像・動画・アニメーションなどを個人が編集・合成し、再構成したもの。

かんぽの宿

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いたって正論だと思うが、鳩山総務大臣は多分、そこまですら考えてないんじゃない?

Cam with me

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何気にスゴイ気がする。



是非、息子バージョンも作って欲しい。
どうも、このブログにコメントする場合、「確認」を選択すると投稿できないっぽい。
いきなり「投稿」すると、投稿できる...

MTOS使い始めたばかりで、まだよく分かってないかも。

以下は、14日に某所にアップした書き込み。最後に追記あり。

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http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2557838/3682679

ロシアから移民した連中が、教育レベルが低く、好戦的で、彼らの割合が増したことが、現在のイスラエルに影響しているという話はある。シャロンが居ない今、オルメルトには彼らを抑えられないみたいだ。

そもそも、2006年にレバノンに侵攻してヒズボラに撃退された後、オルメルトの支持率は地に落ちた。汚職も明るみに出て、カディマ党首の地位をリヴニに譲った。で、オルメルトは、現役首相でありながら汚職で起訴されることが、年末に決まっていた。

まあ、レバノンの時も、別にオルメルトが積極的に侵攻を支持したわけじゃない。カディマだから、脳卒中で倒れたとはいえ、シャロンの路線を引き継 いだ政権だったわけだけど、シャロンのように軍部を抑えられなかった(軍人として英雄だったシャロンのようには、軍部の支持が無かった)結果だったとも言 われている。

パレスチナ側は、やはり軍事的英雄だったアラファトの死後、力不足のアッバスが議長になったけれど、アラファト亡き後のファタハに民衆の支持はな かった。2006年初頭のパレスチナ評議会選挙は、民主的な選挙によって、ハマスが過半数の議席を得たわけだ。ところが、民主的にハマスが政権に加わった ことが気に食わない西側諸国(日本含む)は、パレスチナへの支援を打ち切った。これによって、パレスチナの公的機関は職員への給与支払いもままならなくな り、政府の統率力はジリ貧に。
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2120494/946800

http://www.afpbb.com/article/politics/2116131/917863
当時のこんなのも、国際社会からの支援を再開してもらいたい一心だったのかもしれない。

ハマスは、西側の民主的なルールに則ったのに、何故?という気持ちだったろうね。政権に加わったハマスは、ちゃんと自制して停戦を守ろうとしてたしね。
http://electronicintifada.net/v2/article5951.shtml
上記の文中の数字を信じるなら、ハマスが政権参加した2006年は、圧倒的に、イスラエルとパレスチナの死者数の比率が変わった。ハマス がやり返さなかった結果、イスラエル人1人殺害に対して、パレスチナ人は76.2人イスラエルに殺されるようになったわけだ。それまでは、やられたらやり 返したから、命の価値が10倍以上も開いたことはなかったのに、我慢したからやられっぱなしになったわけだ。

まあ、時々酷い挑発に、堪えられなかったこともあったけどね。
http://blog.livedoor.jp/soliton_xyz/archives/50436931.html

で、2007年中ごろ、ついにハマスは政権に居ても無意味だと悟り、ガザの武力占拠に至るわけだ。その後のことは、言わずもがな...ハマスもたがが外れた。


ハマスとイスラエルとの停戦は何度かあったけど、今回の侵攻直前に最低のやり方で停戦を破ったのはイスラエルだ。停戦を信じて集会を開いていたハマスの施設に、効果的に攻撃を仕掛け、ハマスを大量に殺したって言われてるな。

イスラエルは、効率的にパレスチナ人を殺すの好きだな(苦笑)
http://0000000000.net/p-navi/info/news/200901100445.htm

そんな嘘ばかりつかれて殺されてる最中に、再度ハマスが停戦を受け入れるなんて、常識的に困難だ。どうせ、また騙されて殺されると思うのが普通であって、余程の安全が確保されなければ、拒否するのは当然だと思う。


国連が何を決議しようと、イスラエルが国連を軽視していることなんて、誰だって知っている。2006年のレバノン侵攻の時、国連レバノン暫定駐留軍の施設は、イスラエル軍に集中的に狙われた。暫定駐留軍は、攻撃に対する反撃すら禁じられてるのに...残虐だった。

6時間に渡ってイスラエル軍の標的にされた時、当時のアナン事務総長の攻撃停止の呼びかけも、無視しつづけたわな。で、自国から派遣していた監視 要員をイスラエルに殺された中国は、猛烈にイスラエルに抗議して、安保理の非難決議を提案したのに、反対したのがアメリカだったな(苦笑)

オルメルトは、国連安全保障理事会の停戦決議を「役に立たない」と拒否したそうだけど、本心は「そんなの関係ねー」ってのが、そもそものイスラエルの立場なわけだ。ただ、2006年と異なるのは、冒頭に書いた通り、オルメルトの立ち位置だ。

レバノン侵攻は、オルメルトは軍部を抑えられなかった。今回も、基本的にはカディマは攻撃に否定的だったのではないかと思うのだが、2006年以 上にオルメルトは軍部に押さえがきかない。かつ、汚職まみれで支持率がない。次期首相候補のリヴニと共に、カディマの支持率をアップせにゃならない。

レバノン侵攻失敗後は、イスラエルの世論も反戦が増え、兵役拒否する若者が増加したことが話題にもなっていた。

ところが、今は9割超が戦闘を支持しているというのだ。9割が戦争を支持する民主主義国家で、支持率がジリ貧の汚職まみれの首相が、戦争を止めようと考える理由があるだろうか?

しかも、カディマが支持率を失ったら、控えているのは極右のもっと酷い政党ばかりだ。

レバノン側からの攻撃も確認されてるけれど、ヒズボラが否定していようと、イスラエル国民は信じないだろうよ。また、ヒズボラに負ける...と恐怖が増してるかもね。

少なくとも、9割の支持なんてのが大嘘でない限り、民主主義国家が、戦争を止められるとは思わない。ハマスも、戦闘することで民衆の支持を得てい るのだから、尚更だ。民主主義的政権からは降りたけれど、評議会の過半数はハマスの議席のままだから、ファタハは評議会自体を開かない。

これ、宗教なんて関係なくて、単に、民主主義勢力同士の、民衆の支持を得た戦争なんだよな...

どちらかが反撃できなくなるまで疲弊すること以外に、停戦の目安なんて無いような気がする。つーか、もしも今回、国連の力で停戦させられるなら、それは、国連自身がスゴイ進歩したってことだと思う。しかし、潘基文事務総長って、アナンより指導力あんのかね?
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090113-OYT1T00426.htm

原油価格が下落した今、中東が騒がしくなって再度の価格上昇が望ましい資源大国とか、居るしね...


しかし、冒頭の、ハマスを日本の二の舞にしようなんて言ってる連中を擁護せにゃならん日本てのは、笑ってしまうな。国連人権理事会のイスラエル非難決議に、日本は棄権してやんの。
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011201000421.html


最後に、「イスラエル軍ガザ侵攻 写真特集」にリンクしておく。
http://www.jiji.com/jc/d2?p=gaz00101-07612270&d=004so

--以上

で、現在、オバマの登場と、イスラエルが2月10日が総選挙というタイミングに合わせ、支持率アップのためのカディマの戦争も、とりあえず収束なわけだ。総選挙を延期するかって話もあったけど、今の状況なら、実施するのだろうね。兵士も帰還させれば、本人も家族も投票してくれるって?(苦笑)

今度の1000人以上の殺戮で、カディマがイスラエル国民の支持を回復し、選挙に勝てるなら、しばらく戦闘は収まるかもしれない。カディマが、もっと右派な政党に負けた場合、すぐに戦闘再開かもしれない。

あ、ちなみに、今度の選挙じゃ、今まで立候補できていたイスラム系イスラエル人による政党は、立候補禁止になってます...もう、イスラエルって、民主主義国家じゃなくなってきたんじゃねーか?


インフルエンザ

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IMG_1090s.jpg 金曜に体調を崩し、夜、38度を超え、翌朝38.5度。
自宅近所の医者で検査し、A型インフルエンザでした。

上記は、その薬のリレンザ。
リボルバーの吸引式...ちょっとカッコイイ(自爆)

熱が下がって本人は直ったつもりでも、2日は菌をばら撒くとのことで、昨日まで会社休んでました。
つまり、このブログは、インフルエンザ回復後、出社できない状態で、時間をもてあましたので立ち上げた...(自爆)
MTOS初めて触ったので、これからちょっと勉強していじってみたいです。

この時期、熱があるなど体調悪いと思ってる人は、念のため、医者へ行きましょう。
マジで。

adobe.JPG
アドビの過去の四半期毎の売上げ、営業利益、純利益などを、報道資料を基に表にしてみた。
http://www.adobe.com/jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases.html

1998年第3四半期に、営業利益が赤字(-610万ドル)だったというのが感慨深い。純利益が、15万2千ドルだったとか。まあ、通年で見れば、その1998年だって、純利益が1億ドル超えてるのだが。

その後の上昇する数年とは、アドビがアップルからMS市場にシフトし始めた頃ではないか。

しかし、同時にアドビは、不正使用を簡単に可能とするかのように、この頃から、何故かドングルの廃止などを始めた。結果、不正使用ユーザーで圧倒的な支持を得て、写真だけでなく、映像業界の標準ツールとしての地位を強固にしていった。すると、シェアは伸びるが、売上げが振わない年が続いたのだろう。2001年末に、247人のリストラを行っている。

で、 売上げがグッと上がる2004年とは、CSシリーズを発売し、アクティベーション機能を搭載し、再び不正使用を排除し始めた年だ。それまでコピー し放題という状況に、まんまと不正使用でアドビ製品に慣れ親しまされた(?)大半のプロユーザーは、業務遂行のためにCSから正規ユーザーにならざ るを得 ず、大幅に売上げに貢献する。業務では、常に他社などから最新版のデータが届くので、不正使用できる旧バージョンでは仕事が立ち行かなくなるのだ。
アドビは、不正使用を誘引して、業界標準ツールとしての地位を独占した後、不正使用を禁じて完全独占体制を確立したのではないか、という見方は映像業界ではよく聞く。

で、独占が完成した後は、売上げがうなぎ上り。毎年記録更新だ。
マクロメディア買収後の2006年は、利益は減ってるけれど、売上げは止まらない。
そして、2007年は、売上げ31億5800万ドル、純利益7億2380万ドルに達する。

そんなアドビが、先月上旬に、売上げ不振を根拠とした600人のリストラを発表した。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20384723,00.htm

市場を独占しといて、ユーザーの望まないバージョンアップまで半ば強制する制度を押し付けておいて、不振なんて馬鹿な話があるかと、疑問ではあった。

まあ、この時点で出ている数字を足しても、どう計算しても不振ではなかったのだが、約2週間後に発表された2008年第4四半期の正式な売上げ発表の存在に気づいたので、それを加えたのが今回作成したグラフだ。

なんと、2008年の総売り上げは、35億8000万ドル...またまた過去最高じゃねーか!

売り上げ不振報道では

同社は当初、最大9億5500万ドルの売上高を予想していた。現四半期の業績はさらに下落し、同社は現在、8億~8億5000万ドルの売上高になると見込んでいるという。
としていた。

しかし、営業利益なんて、創業以来初の、10億ドル突破だ。金融危機の始まった第4四半期だけで見ても、悪くもなんともない。結局第4四半期は、9億1530万ドルの売上げだった。
これで目標に届かなかったから600人リストラなんて、とても真実とは思えない。

アドビは、CS4の発売で、かなりのユーザーから無駄なバージョンアップだと非難されている。売上げ不振報道は、"市場を独占し、ユーザーの意見を無視する巨人"という現在のアドビのイメージを、少しでも和らげようとしたイメージ戦略だったのだろうか?


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