2023年4月アーカイブ

堀潤が、とある呼びかけ動画を公開したのを見て、ちょっと書いてみることにする。まずは以下の動画必見。

「【呼びかけ】8bitNews+堀潤のYouTubeチャンネルではメンバーのみなさんを募集中です!想いを込めて9分間お話しました!」

メンバー増えて欲しい。
けど、「市民と一緒に発信する双方向のメディア」と言われても、8bitNewsを今まで知らなかった人にはちょっと補足が必要かなと思った。

10年位前のことから知らないと、お金払ってメンバー登録しようという気にならないのではないかと。(メンバー登録した後に見られる動画では、ちょっと説明されているのだけどw)

■そもそも
NHK入った経緯とか知らない人は、まずは上の動画にちょっと驚くかもしれない。けれど、そういう人なんで、10年前に堀潤がNHKを辞めた時は、結構な話題になったのだ。

「NHK堀潤アナ「脱原発」で退職 上司と「最後の談判」つぶやいていた」
J-CASTニュース:2013年03月21日
https://www.j-cast.com/2013/03/21170563.html?p=all

当時このブログでも取り上げた。
「NHKのジレンマが退職してしまった件」
http://maruko.to/2013/03/post-140.html

ブログの中のリンクは色々と切れているけれど、今もう一度見たらやっぱり面白かった以下の動画はオススメ。まだNHK在籍中の2012年4月、とあるシンポジウムにて、1:26:40あたりからの爆弾発言。

●2011年夏に一度辞表を出していて、慰留され、留学することになった。
●アメリカからパブリックアクセスやSNSのノウハウを持ち帰れば、電波解放やる根拠が生まれる。
●NHKにパブリックアクセスを導入させるのに3年で勝負をかける。できなかったら辞める。
●ダメだったら別の方法でNHKを動かせばいい。

ところが1年後、留学先で原発事故を追ったドキュメンタリー映画を作り、上映しようとしたらNHKに中止を指示される。復帰後にアサインされた番組は、何故か「きょうの料理」だった...というのが、上記J-CASTニュースの話。

3年を待たずに、勝負が見えてしまった訳だ。辞めたの納得でしょ。

■応援したくなる
東日本大震災後、NHK職員としては正直で踏み込み過ぎとも見えるツイートは、当たり前だけれど話題になった。ここでフォロワーが増えたことが、堀潤の背中を後押しした部分もあっただろう。しかし、政治家からはTwitterをやめさせろと圧力がかかり、上司ともめる。当時坂本龍一に心配されたという話も、納得できる。

「追悼・坂本龍一。NHKを辞めた堀潤に託した「大切な言葉」」
Forbes JAPAN:2023年4月10日
https://forbesjapan.com/articles/detail/62313
「負けるな、声をあげよう、諦めるなといった、勇ましい言葉は一つもなかった。ただただ、僕の心と身体を想い「いつでもSOSを出すんだよ、隣にいるから」という優しい言葉が並んでいました。」

これは、色々と頑張った人間でないと、他人にかけられない言葉だ。絶妙なタイミングで、なんと適切な言葉を必要としている人にかけたものだと、坂本龍一に感心してしまう。スゲー。
(対照的に、翌年2012年の上の動画のシンポジウム会場で、堀潤に何年後に電波を解放するのか目標を答えさせた客席の人、ギリギリ頑張ってる人間をよくも追い込みやがって...と思う(苦笑))

そして2013年にNHKを辞めると、フリーになった堀潤を支援しなきゃ的な動きがあり、ブロマガが立ち上がる。この時、ドワンゴに電話してブロマガ開設を手配したのは宇野常寛で、「僕の役割は、堀さんがちゃんと生活して取材もできるようにすることだ」と言ったとか。なんという人徳。
自分も当時早速、これに登録した(遠い目)
https://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar177214
この時の堀潤は、何も仕事が決まっておらず、ニコ生で生活費を稼ぐというところからのスタートだったわけだ。

NHKを辞めた経緯が原発絡みということもあり、使ってくれるメディアなんて無いのだろうと思っていたけれど、約半年後にはTOKYO MXでまさかのレギュラー番組MCに抜擢。更にその半年後には「モーニングCROSS」が始まり、現在の「モーニングFLAG」へとつながる。あっという間に同局の朝の顔となった。(流石「再生工場」MX(笑))

しかも、番組はTwitterとか活用しまくっていて、パブリックアクセス的な堀潤の過去の発言を知っている視聴者からすれば、それが単なる流行りを取り入れただけではないということがよく分かった。
その後の八面六臂の活躍は、本当に敬服する。

もうブロマガ会員で支援しなくても大丈夫と思った頃、自分はブロマガ解約してしまったのだが(^^;;

■さて8bitNewsとは
https://8bitnews.org/?page_id=320
「誰もが一次情報発信者になれる時代。既存のマスメディアによって濾過された情報とは対局にある発信がそこにある。8bitNewsは ニュースルームに革命を起こす。「パブリックアクセス」の実現を掲げ「市民の発信力強化」に貢献する。電波を解放し、だれもが自由にマスメディアを使って 発信できる権利をこの国に根付かせる。」

パブリックアクセスが良く分からない人は、wiki読んで。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9

日本では、一部のケーブルテレビやコミュニティFMで実現している部分もあるけれど、他国と違って法整備されていないことが問題の一つ。だから、NHKではパブリックアクセスが実現していない。堀潤がNHK時代に言っていた電波の解放というのは、NHK内部からパブリックアクセスを実現するという話だったけれど、今はそれを外部から実現するために8bitNewsがある。

他国では、市民がパブリックアクセス出来る能力を学ぶためのアクセスセンターがあったりもするけれど、日本にはそれが無いので、
「一方で市民が発信力を高めるために、演習の場を提供する。取材力、撮影技術、編集能力、制作力、そして発信力。 8bitNewsのグループがこれらを身につけた市民の育成を支援する。」
というのも8bitNewsの使命になっている。

パブリックアクセスの必要性自体が分からない人は、昔書いた以下の投稿をご参照下さい。
http://maruko.to/2013/04/post-141.html

民間の運営会社の不透明な判断基準でいつアカウントを凍結されるか分からない、Twitterでつぶやくのと一緒ではないです。

特に大事なのは、有事の時。
堀潤には、東日本大震災当時の、公共放送としての役割りを果たさなかったNHKへの苦い思いが、今もきっとある。

チャンネルのメンバー登録しても良いけど、胡散臭いなぁ~という人。
東京都で公開されているNPO法人としての情報はこちら。定款、役員名簿、事業報告書も読める。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/list/ledger/0010080.html

正式名称は「特定非営利活動法人8bitNews」
定款第3条に記された目的は以下。
「この法人は、居住地域を特定しない人々(以下市民)に対して、各個人が取材する映像および記事を自ら情報を発信する仕組みを提供し、市民が社会により積極的に関わることができる環境整備を促進させる事業を行い、市民が情報を自由に発信し、かつその情報を取捨選択することができる社会の実現に寄与することを目的とする。」

あと、出来た当時の紹介記事があった。

朝日新聞デジタル:2012年8月10日
「NHK・堀潤アナウンサーが参加 新たな市民ジャーナリズム「8ビット」」
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY201208070168.html

当時と今では変わっている部分もあるだろうけど、これをNHK在職中に立ち上げたということ自体、驚くべきことだ。

■10年経って
先月末、10年前にブログで書いたことを当時Facebookに投稿していたのが、「思い出」としてリマインドされ、堀潤NHK辞めて10年と気付いた。

もう、MX以降の堀潤しか知らない人も多いだろうから、上に書いた経緯のようなことを改めて書いておきたかった。

坂本龍一とか色んな方が亡くなって途方に暮れたくなるのは分かるけど、そういう堀潤自身だって、きっと誰かの希望に違いない。

今後も応援し続けたいので、ご自愛下さい。不摂生で健康害したりしたら、勝手連はきっと許さんです...とか言ってみるテスト(死語)

ということで、早速YouTubeチャンネルのメンバー登録したので、今後も「したたかに、しなやかに。」を是非是非。

■星の王子さまミュージアム閉園
 2023年3月31日、箱根の「星の王子さまミュージアム」が惜しまれつつ閉園となった。

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 サン・テグジュペリ生誕100年の記念事業の一環として、1999年6月29日に開園。当時世界で唯一の、「星の王子さま」とサン・テグジュペリをテーマにしたミュージアムだった。観光地の単なる客寄せ施設に終わらず、「星の王子さま」の背景を深く理解する上で必要な、サン・テグジュペリの生い立ちからその最後までの、人生への理解を深めることが出来る、とてもよくできたミュージアムだった。
 昨年10月、コロナ禍による来園者減少や建物の老朽化を理由に閉園が発表されて以降、連日多くのファンがやってきて賑わっていたとのことだけれど、残念ながら覆ることはなかった。自分も、ここが箱根で一番好きな観光施設だったので、最終日含め3月に2度行き、その世界を堪能し、記憶に刻んだ。膨大な数の貴重な展示資料が、今後どう処分されてしまうのか、非常に気になるところ。

■「星の王子さま」新訳ブーム
 ところで、行く前に読み直そうと、青空文庫で検索した。最初、「星の王子さま」で見つからず、「サン・テグジュペリ」で探したら「あのときの王子くん」というのだけあった。知らなかったので、関連作品かと思ってしまったけれど、正に同じ「Le Petit Prince」の新訳だった。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001265/files/46817_24670.html
 サン・テグジュペリ作品は、国によっては著作権が残ってるけれど、日本では敗戦による戦時加算を考慮しても2005年には権利失効しているので、誰が新訳で出版しても良いし、サン・テグジュペリ自筆のあのイラストも使える。(商標権の問題はあるけれど)
 権利失効した当時は新訳ラッシュがあって、十冊以上の新訳が出版されたとか。正に、パブリックドメイン万歳というか、著作権が切れることで文化の発展が促された好例になっている。「あのときの王子くん」も、こうして生まれた新訳の一つだった。

■「星の王子さま」って合ってるの?
 何故、「星の王子さま」ではなく「あのときの王子くん」なのか。その理由が「青空文庫版『あのときの王子くん』あとがき」に詳細に書かれていて、翻訳した大久保ゆうさんの本気さに感銘を受けてしまった。「この作品がファンタジーであるとは思いませんし、また『星の王子さま』という題名を冠されるような作品であるとは考えていません。」というのだ。

 言われてみると確かに、物語に出てくる例え等が生々しくて、ファンタジーとは違うように思えて来た。例えば以下。

「そのときは、わかんなかった! ことばよりも、してくれたことを、見なくちゃいけなかった。あの子は、いいにおいをさせて、ぼくをはれやかにしてくれた。ぼくはぜったいに、にげちゃいけなかった! へたなけいさんのうらにも、やさしさがあったのに。あの花は、あまのじゃくなだけなんだ! でもぼくはわかすぎたから、あいすることってなんなのか、わかんなかった。」

 自分の星(郷里)のバラの花(女性)との別れについて、こんなことを言う小さな王子って...精神年齢おいくつ?

 それに、たまたまどこかの星(B612)から来たけれど、星から来たことが重要という感じは無いので、「星」は特筆すべきポイントではないかもしれないとも思う。

 「王子」にしても、あくまで語り手である「ぼく」の主観からみた「小さな王子」であって、他の登場人物は、この子供を王子扱いしていない。王様には、家来扱いされている。客観的には、単に星々を旅する子供。「さま」付けすることに違和感があると言われると、確かに...と。

 では何故、原題に無いのに、わざわざ「星の」と邦題が付けられたのか。これまで考えたことも無かったが、要は、最初に翻訳した内藤氏のオリジナリティ溢れる二次創作だったということなのだろう。権利失効後の新訳ブームの時、内藤氏のご子息が、「せっかく新訳されるのですから、新しいタイトルを工夫してほしい。「新しき葡萄酒は新しき革袋へ」です。」と、各出版社に「星の王子さま」というタイトルを使わないでほしいと主張されたとか。それを知ってしまうと、もう安易に「星の王子さま」と呼べない。
 しかし、この邦題が余りにも定着しているせいで、機械翻訳ですら「Le Petit Prince」が「星の王子さま」と翻訳されてしまう。作品から離れて、純粋に言語として「Le Petit Prince」が正しく翻訳されないのは、ちょっと問題な気もする。(世界中で翻訳されているうち、「星の」的な題名で出版されている国は無いのではないか。英語圏では「The Little Prince」、中国では「小王子」。独特の題名なのは、ペルーの「kamachikuq Inkacha」で、意味は「インカの司令官」?...なんじゃそりゃ。)

■小さな王子のニュアンス
 そもそも最初は、しつこくうるさいガキんちょなのだ。「小さな王子」は、中国で一人っ子家庭で育ったわがままな子供を「小皇帝」と呼ぶのと、似たニュアンスかもしれない。少なくとも、童話的なキラキラ「王子さま」ではない。それが、会話を続けるうちに「ぼく」との間に絆が生まれ、かけがえのない友となる。その経緯を考慮すれば、「王子くん」は納得できる。
 更に、死にそうだった自分を救い上げてくれた、6年前のあのかけがえのない出会いの話だから、定冠詞「Le」を無視すべきじゃなくて、「小さな王子」では足りず、「あのときの王子くん」とした大久保訳に納得する。この呼び名、もっと広まれば良いのにと思う。

■蛇足
 児童書の体裁を意識しつつも、サン・テグジュペリは、当時ドイツ占領下のフランスで苦労していたユダヤ系の友人を励ますために、このガキんちょとの6年前の不思議な出会いを捧げた。子供のように自由な想像力を忘れて欲しくない大人に向けて。
 目に見えることが全てではなく、肝心なことは目に見えないということが物語の重要なポイントであることからすれば、王子くんが子供の姿だからというだけで、子供と決めつけるのも間違いだろう。
 砂漠に墜落する描写は、かなり比喩がある。大人社会で孤立し、孤独で心(エンジン)が壊れた「ぼく」が、サハラ砂漠のような誰の助けも得られない場所で、一人で立ち直らなければならないと言ってるようにも読める。その、「ぼく」の心の中の葛藤と、そこからの生還の物語が、目に見えないように描かれているとするなら、王子は「ぼく」自身でもある。
 「星の王子さま」と呼ぶのは、そういう解釈を妨げる気もして、モヤモヤしてしまうのだった。

 ま、自由に読めば良いので、「星の王子さま」と呼び続けたい人は全然構わないけど。

■ミュージアム公式Twitterで紹介されていた3Dデータ
展示ホール
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-IHHn93a23e
園内
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=SS-tIQYvzaLf8
エントランス
https://l-prince.4dkankan.jp/smg/?m=SS-7Ue3p6Ywd5
チケット売り場
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-7XPs9391ab
ショップ
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-gyYg939446
レストラン
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-esOB939cfb
カフェ
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-pu0c9396ec
サン=テグジュペリ教会
https://l-prince.4dkankan.jp/spg/?m=KJ-eur-4uWZ939987

■その他ミュージアム写真
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Paper.liが終わる

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https://blog.paper.li/2023/03/16/saying-goodbye/
4/20でPaper.liのサービス終了がアナウンスされた。

どんなサービスか知らない人は、以下をどうぞ。
https://www.lifehacker.jp/article/110227paperli/

自分は2011年から利用してきて、2015年からはProにアップグレードしていた。
自分の選んだTwitterアカウントやサイトから毎日自動で話題を集めて自分だけの新聞を作り、効率的に自分好みの情報収集をしてきた。RSSも登録できたから、気になるブログとか更新されるとピックアップされる。最初の頃は、引用されたツイ主にいちいち連絡が行ったりして、嫌がる人もいたかもしれないけれど、便利なサービスだった。

キュレーションメディアのような、誰かにニュースを与えてもらうのではなく、自分が選んだ複数ソースから網羅的にチョイスさせるという、少しでも能動的な情報の取り方が出来るのが好きだった。ニュースサイトでは話題になっていない、バズってもいないような出来事も、Twitterに張り付かずともフォロー出来た。

自分の「デイリーなんちゃら」で残っているうち、一番古い紙面は2014/10/01のようだ。
https://paper.li/ranpou/1318937022?edition_id=60b25b90-48f0-11e4-beb5-0025907212f5#/art_entertainment

最初の頃は、収集された記事を精査し、自分の好みでない記事を外したり、ちゃんと編集していた。けれど、別に読者がいるわけでもないだろうから、時間をかけるのが馬鹿らしくなり、いつからか自動収集された記事のまま放置するようになった。要は、興味のある記事を読めれば良いのだ。

去年の地球一周中、忙しくてニュースをチェックしなくなり、帰国してもペースが戻らず、ここ半年ほどは閲覧頻度が減っていた。
最近どうやら、Twtterの仕様変更の影響もあったようで、Paper.liにツイートをピックアップできなくなったりもしていた。もう、そのままサービス終了となる。明らかに、Twitter API有料化の影響だろ。イーロンめ...タヒね。

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