計画停電を楽しもう

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日本人というのは、奇妙なもので、計画通り停電にならないと、怒る人が出てくる。本来なら、停電をせずに済んだのだから、ラッキーと考えるものだと思うのだけど、とかく目的と手段を選別できずに手段が目的化する国民性が、ここでも威力を発揮しているようだ。

つまり、計画という手段が達成されないと、突発停電防止という目的が達成されても評価されない。

東京電力は、そういう国民性を前提に、「計画」から「予報」へと、名称を改めると良いかもしれない。気象庁の「天気予報」と同様だ。あれが外れても、怒る人は稀で、せいぜい「傘持ってきたのに邪魔になった」くらいの話で済む。だから、東京電力も「停電予報」もしくは「電気予報」と言えば、「予報なら外れても仕方ない」、「予報外れて停電にならなくてラッキー」と、少なくとも一般市民は柔軟に思考できるだろう。

何しろ、計画停電というのは、停電の計画ではなく、停電の"可能性"の計画なのだ。可能性まで計画的につきつめようと努力するなんて、日本人らしくて泣ける。しかしそれは、本質的に予報に過ぎない。


考えてみれば、普段から、近所で電気関係の工事が予定されていれば、電信柱や回覧板、チラシ等で「停電のお知らせ」がアナウンスされるが、あれだって、必ず停電になるとは限らない。

ビルの定期検査などがあれば、事前に管理会社から停電のお知らせが来るが、あれも必ず停電になるものではない。

しかしユーザーは、一応心の準備をし、PCをシャットダウンしたりと、それなりに振り回され、かつ、ある程度仕方ないと理解する。そして、停電が生じなければ、「な~んだ」程度の話だ。

もちろん、某都知事の言うように、
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/eq2011_tomin5.htm
工場などは操業停止を余儀なくされる問題が生じるので、「予報じゃ仕事にならん!」だろうが、そこは、東京電力とそのユーザーである個々の法人顧客との契約の問題ではなかろうか。

仮に、法的に国がアクションを示すとしても、せいぜい、国が認めた特定の産業への電力供給を"優先"することを義務付ける程度で、その他のユーザーは、「電気予報」の範囲で自主的に節電を意識して生活すれば良いのではないか。(もちろん、生命に関わるような場合は別にして)

間違っても、都知事の望むような、
「強制力をもってネオンサインを使用禁止にする」
ようなことがあってはならない。

都知事は、何かベクトルの方向がオカシイ。

ネオンサインを使用禁止にすることが「合理的な「電力使用制限」」というのだけど、国家権力で強制することと自主的な判断に任せることの間には、超えてはいけない大きな壁がある。インフラとは言え、東京電力とユーザーとの間の契約に、国家は第三者だ。

基本的に、物作りをする産業は優先で、それ以外は優先度の低い産業だという、職業差別が発想の根底にあるのかもしれない。非常時だから許されると思っているのだろうけどね。(まあ、自分の経験から言うと、CG制作会社だって停電はかなり困るけど、都知事は興味ないだろう。)

国民を信用せず、何でもかんでも規制しようとするのは、彼のお決まりのパターンだが、とにかく目に付いたものから、よく考えずに強制的に規制しようというのは、本当に老害でござる。

現代版「欲しがりません勝つまでは」に、血が騒いでいるのなら、ちょっと落ち着こう。戦時下の灯火管制が無意識に懐かしいのかもしれないが、そんなノスタル爺じゃ困る。

これからの復興のために、日本の経済活動を停滞させてはならないのであって、可能な限り日常を続けることこそが重用なはずだ。(もちろん、日常を続けるという意味には、非常識に無駄な買い占めをしないことも含む。)

確かに、ネオンサインの必要性は高くないかもしれないが、そもそも自粛している店は多いし、自粛しなければKYとして客足が離れるだろうから、それで十分ではないか。

先日、都知事は東京国際アニメフェアを中止と決めた。国際的に、東京が危機的状況にあると宣伝してしまったようなものだが、これは確かに安全面からの問題もあるので、まあまあ理解できる。しかし、加えてネオンサインを禁じることは、まったく次元の異なる問題であることを、よく考えて認識すべきだ。

ネオンサインを統制したら、次は何?
ネオンサインだけじゃ、済まないでしょ?

しかし、そんなことを言うと、被災者の方々が苦労しているのに「不謹慎」だ、と言い出す輩が出てくるかもしれないが、これほど忌むべき、負の同調圧力はない。

何しろ、東京電力が計画停電をしなければならないのは、被災者の方々への配慮とは無関係だ。福島で事故っている原発は、福島に電力供給するものではなく、正に東京等の関東のための施設であって、それが原因で関東の電力が不足するのは、自らの問題に過ぎない。だから当初、関東の被災地までが停電対象に含まれていて、後から問題視されて除外された。

つまり、家を失って避難していなくとも、関東は津波の被災地であって、被災者自身の行動に「不謹慎」ということの不毛さといったらない。東京電力にとって、外形的に被災していようといまいと、同じ原発の電力を利用していたユーザーであり、ユーザーである以上、当事者なのだ。原発に反対していたかどうかは、関係ない。

ところが、当事者意識が欠如しているのは、東京都自身という問題がある。統一地方選は、被災によって困難な地域は延期できることになったが、東京都は選挙やる気満々なのだ。
http://www.h23tochijisen.metro.tokyo.jp/

4月10日って...もう直ぐじゃん!
こんな非常時に、まともな選択なんて出来ませんがな!!

国は、国難だと思っているなら、そもそも全国一律に延期すべきだったし、少なくとも当事者の東京は、延期を求めて名乗り出るべきだ。

今は、避難する人々を受け入れ、救援することで精一杯で、選挙どころじゃありません!てね。
全力で支援するなら、選挙の余裕なんて、ないんじゃないの?

え?選挙なんて不謹慎?(爆)

いずれにしても、こんな状況で選挙やったって、非常時にリーダー交代なんてすべきじゃないという理由だけで、現職有利やんけ!

...それか!!!(自爆)


今後、長期的な復興を成功させるためには、メンタルがダークサイドに落ちないように、計画停電を明るく楽しむべきだから、ヤシマ作戦が盛り上がったことはとても良いことだと思っている。アニメで難局を楽しんで乗り越えるなんて、クール・ジャパンじゃないの?

都知事は、アニメや漫画は規制の対象としか思ってないのだろうから興味ないだろうけど、ネオンサインの節電まで規制の対象にしちゃったら、せっかく国民が自主的に節電している団結心のようなものが、単に強制された結果になってしまう。それで良いの?

都民としては、危機感を煽って国民の自由を制限するのではなく、21世紀の日本を楽しく盛り上げるビジョンを提示してくれる、若いリーダーを、もっと後でゆっくり選択したいのだけどなぁ。


ま、困難な状況ではあるけれど、計画停電に限らず、支援も復興も楽しもうよ。


>追記3/23
「計画停電地域は3月26日から25グループに細分化--東京電力」
http://japan.cnet.com/sp/eq2011/35000753/(cnet Japan 2011/03/22 22:45)
予報マークが導入されるとのこと。
やはり、自分と同じ発想の人がいたようだ(^^;

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このページは、ranpouが2011年3月20日 05:00に書いたブログ記事です。

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