2013年9月アーカイブ

情報の偏り

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http://matome.naver.jp/odai/2138031252292837401
凄い時代だ。
このニュースが世界を駆け巡ったお陰で、うちの国の首相のビッグマウス演説が世界(日本除き)にスルーされたのは幸い。
が、安倍首相もロウハニ大統領と20分も会談したわけで、せめて日本のメディアはその内容をしっかりと報道すべきなのに、その薄っぺらさに驚かされる。日本とイランの首脳会談5年ぶりなのに、基本、核開発問題とシリア対策について、日本側から注文をつけたというスタンスの報道ばかり。んなバカな。

仕方ないのでイランのメディアを見てみる。
「イラン大統領が安倍総理と会談」
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/40420
ロウハニ大統領から、個別具体的な分野での協力拡大の申し出があったことが分かる。イランへの日本からの投資を促されたり、環境問題、麻薬対策なんかで協力を促されたなんて話は、日本のメディアは1ミリも伝えていない。
それに対して安倍首相は、『「日本は国際関係の枠内で、イランとのあらゆる方面での関係拡大を歓迎している」と強調』したそうな...ちょっと酷すぎる。

ロウハニ大統領が『両国の歴史的な関係を指摘し、「日本企業がイランに投資する為の適切な下地は整っている」』と言ったのに対して、安倍首相が「国際関係の枠内で」と消極的に答えたということは、つまりは先方の申し出を断ったということだ。個別具体的な申し出に対して「あらゆる方面で」というのも、歯切れが悪い。

「国際関係の枠内で、イランとのあらゆる方面での関係拡大を歓迎」
というのは、後半だけなら積極的発言に聞こえるかもしれないが、前半の前提条件が消極的過ぎる。加えて、ロウハニ大統領側の具体的な申し出に対する発言だとすると、全体が消極的だ。先方は、経済制裁に苦労しているからこそ、日本が関与しやすい環境問題なんかの口実を提案したのに。

せっかく親日な産油国から伝統的な二国間の信頼を取り戻そうと言われたのに、いやいや今はまだ国際関係の枠内で勘弁してくださいというのが本音だとしても、なにもその場で即答で断らなくともいいじゃないか。一体、どこの国に配慮しているのだろうか?

以前、アメリカからの圧力をしたたかに受け流してイランとの関係を温存した野田政権の努力を、
http://maruko.to/2012/01/post-126.html
今こそ生かすべき時なのに。これのどこが積極的平和主義なのか。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130927/t10014874551000.html
『安倍総理大臣は、日本時間の27日未明に、国連総会で行った一般討論演説について、「わが国の21世紀の看板とも呼ぶべき『積極的平和主義』への決意を示し、シリア問題への新たな貢献やイランの核問題の平和的解決に向けた独自の働きかけなど世界の平和と安定、そして繁栄に、よりいっそう積極的な役割を担っていく決意を発信できた」と述べ、成果を強調しました。』
『安倍総理大臣は、イランの核開発問題に関連し、イランのロウハニ大統領との会談で「率直な印象として、国際社会と協調しようとしているという前向きな姿勢を感じた」と述べたうえで、「今後、イランが具体的な行動で国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)し、信頼を回復していくことを強く期待している。核問題の平和的解決に向けて、日本としてもイランとの伝統的な友好関係を生かして、可能なかぎりの貢献を行っていく考えだ」と述べ、平和的な解決に向けて日本としても積極的に取り組む考えを強調しました。』

日本のメディアを前にすると、「国際関係の枠内で」という前提条件をつけた話はしたくないのだろうか。その結果、日本で伝わる安倍首相のマッチョな主張と、イランのメディアが伝える首脳会談でのやり取りは、それぞれの国のバイアスを差し引いても印象が合わない。相手の要望に耳を傾けず、自分が言いたいことを言って国内の内輪ウケが良ければOKというのは困る。

というか、イランのメディアの記事通りのやり取りが実際にあったなら、この点はもっと注目されるべきであり、少なくともロウハニ大統領という世界が大注目してる相手との首脳会談だったのだから、日本のメディアはもっと時間を割いて取り上げて議論すべきだと思うのだ。そういうことスルーしちゃって一方当事者の主張ばかり報道してると、大本営発表とか言われちゃうのだよ。

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