公開審査


今回は、57ヶ国1,127本中の64本が選考審査を残り、公開審査として上映されました。


第1日目

この日は、後から考えれば4日間で一番良かったです。 後に国際審査委員特別賞となる「ジェリーズ・ゲーム(Geri's Game)」もこの日でしたが、CG作品としてはかなり有名(Pixarの作品なので)ですが、 老人が椅子に座る仕種の描写の素晴らしさを国際名誉会長のレイ・ハリーハウゼンが誉めていました。公園で一人芝居でチェスの対戦やってる老人の話ですが、老人の迫真の演技に場内は大喝采でした。
その直前に上映されたのが「スイカを買った(A Boy Bought a Watermelon)」という、ちょっとガロ系?な作品だった反動もあったかもしれませんが(笑)

ちなみに、上の写真は一緒に行ったDMFの友達ですが、ジェリーズ・ゲームのディレクターのJan Pinkavaからサインをもらったと喜んでました。ウラヤマシー!!
せっかくこういうところで会えるのですから、恥ずかしがっちゃ損なんですよね。

他には、人間の手を万華鏡のようにぐるぐると大量に回し、華麗なダンスを披露してデビュー賞となる「バズビー(Busby)」、 ヒロシマ賞となるロシアお得意のガラスの上に描いた絵を少しずつ動かす手法の「ザ・マーメイド(The Mermaid)」もこの日でした。

ザ・マーメイドは、あの手法の作品は今までにもいくつか見てますが、それらとはかなり印象が違い、非常に奇麗で躍動感に溢れ、どうやったのか、煙も表現していました。ガラスをレイヤー状に重ねたのでしょうか。

他は、「T.R.A.N.S.I.T」というのが物語の見せ方として優れていました。旅行鞄に貼られた世界のリゾート地のシール1枚1枚から、 持ち主の辿った悲劇的ラブ・ストーリーを順々に展開していくのですが、アダルトな雰囲気といい、良く出来てました。


第2日目

2日目トップは、「トレインスポッター(Trainspotter)」でした。かなり良いキャラクターの作品だったのですが、何故か会場ではあまり受けませんでした。 でも、優秀賞は受賞しましたが。イギリスの鉄道マニアの話で、機関車の番号を記録する為に雨の日もレインコート1枚でプラットフォームに座っているトレインスポッターの主人公の哀れな様子が、その無表情のせいで際立って面白かったです。 終わり方も、また哀れというか...

この日一番キョーレツだったのが、「デ・コントロ―コントラス(The Contr-Contras)」で、はっきり言ってキョーレツ過ぎて何だかわけのわからない作品だったのですが、 制作者がまたキョーレツで、上映後の舞台挨拶で、壇上で突然右手のライターに火をつけて、左手の水鉄砲でその火を消すというパフォーマンスを...

この人、会場のどこに居ても目立つ人で、かなり変な人気があって、持参したビデオもファンに配って無くなってしまったとか(^^;

かなり、常人の理解を超えた人でした。とても口じゃ説明出来ない作品(公式パンフレットの解説でも、何言ってるか分からないのです)な上に、本人もそのままのノリで、 「この人なら、この作品で納得だね」って感じでした。一度、エレベーターで一緒になったのですが、ちょっと恐かったです(^^;;;

まぁ、こんなのばかりではなく、グランプリを受賞した「老婦人とハト(The Old Lady and the Pigeons)」もこの日だったので、 ある意味釣り合いはとれてましたが。老婦人とハトに関しては、個人的には「待ってました!」って感じの作品で、是非もう一度見たいと思っています。 何が凄いって、一見人の良さそうな公園でハトに餌やってるような老婦人が、突然殺人マシーンババァに変貌するんです(^^;;

もちろん、貧乏で食うに困ってる警官が、ハトに化けて老婦人から餌をもらってブクブク太り、幸せそうにキミョーに踊るのも笑わずにいられないのですが、 それを食うために老婦人が殺人マシーンへと変貌するってのが凄い(^^;

これ、もしもどこかでビデオとか入手できるなら、是非買いたいので、情報があったら教えて下さい。

そうそう、忘れちゃならないのが、「プラズモ:キラ・ワミすい星の再来(Plasmo-The Return of the Kila Wami)」です。 今回、かなりファンになった人が多いのではないでしょうか。シリーズものらしく、フレームインでも上映してましたが、クレイのカワイイ宇宙人キャラが良かったです。 子供向けなんですが、ビデオとか持ってたら、ちょっと自慢出来るような作品でした。

日本人の作品では、「快動力 Real(Kaidohryoku Real)」とかも出てましたが、会場の雰囲気的にはかなり引いてました。 好評だった前作を知ってると尚更ですが、アイデアが売りだった作品なのに、それをリアルにしたり蛇足を増やしたりしても、逆効果ではないかと感じました。


第3日目

この日の唯一の日本人作品は、ポリゴン・ピクチャーズの「ポリゴン家族(Polygon Family)」でした。これもCG作品としては有名ですが、こういう会場では初めての人も多いようで、 かなりウケてました。この時、会場のロビーで、続編の話があるらしいという会話を聞きました。本当なら、見てみたいですね。

優秀賞を受賞した「フルムーン(On a Full Moon)」は、ある女性が母の死と子供の出産後の生活の変化にとまどいながらも、旅をしながらその日常に対応して生きる姿を描いた、まるで記録映画のような雰囲気の作品でした。 残念なのが、英語の会話シーンが多く、主人公の女性が具体的に何に悩み、どんな理由で行動しているのかが、自分には聞き取れなかったことです。良い作品だとは雰囲気からも分かりましたが。

木下蓮三賞を受賞した「ラレン」が次の上映だったのですが、落差があって良かったです。雌牛を追い込んで乳搾りしようとする男。実は追い込んだ場所は闘牛場。雌牛を狙って雄牛が登場。雄牛はすかさず雌牛にズッコンバッコン!!哀れな男はその犠牲に...
単純なキャラクターでコミカルで、リズミカルな音楽、そして世界共通の下ネタ(笑)
木下蓮三賞も納得でした。

かなり異色だったのが「バックストップ(Backstop)」。これ、写真を何枚も敷き詰めることで画面を構成していて、動作のあった部分の写真だけを取り替えて動いているように見せるという、究極のリミテッドアニメーションというか...(^^;
アイデアだけの作品ですね。

僅か29秒で、会場を爆笑させたのが「ロコパス(Locopath)」です。日々チェーンソーと友に生活し、チェーンソーを髭剃り、歯ブラシ、櫛の代わりに使っている少年。ところが、チェーンソーで缶を開けるのにちょっと指を切っただけで、彼は泣いてしまうというオチ。優秀賞を受賞してました。


第4日目

コンペ最終日は、ちょっと物足りなかったです。

それでも、入賞しなかったのが残念な作品もあることはあって、「デヴィル・ウェント・ダウン・トゥ・ジョージア(The Devil Went Down to Georgia)」もその一つでした。 ストップモーションの作品ですが、何が凄いって主人公の少年ジョニーのバイオリンです。とにかくリズミカルで、動きもバッチリ合ってました。悪魔とジョニーが、命をかけてバイオリンで対決します。 ジョニーの顔つきが、最初は不安げだったのが、演奏がノッてくる後半では自信に満ちた顔へと変化していくのも良かったですね。

他に、子供向けで優れていると感じた「フェイマス・フレッド(Famous Fred)」もありました。
ペットの猫が死んで悲しんでいる姉と弟。しかし、猫はただの猫ではなかった。鼠のマネージャーを従えた、猫世界のロックスターだった。夜な夜な家を抜け出し、ロックスターの多忙な毎日を過ごした末、流感に倒れてしまったのです。
このキャラクターが、またカワイイんですけどね。最後も、ちゃんと明るい話に持っていく、安心して見られる作品でした。なんと、オスカーのアニメーション部門最優秀賞にノミネートされた作品だそうです。

キャラクターはカワイイのに、ちょっと子供にゃ見せられないだろってのでは、「キャロット(VHX/CarrHot)」でした。
人参の世界で大人気らしい、オルガの最新ビデオを入手。親子の人参がそのビデオを見てみると、おろし金で削られてアヘアヘ言ってる人参の姿が(笑)これはお子様には見せられないっていう(^^;;;


全体の感想としては、前回よりもコンペがおとなしかったのが残念でした。
前のページ
旅の最初のページ
最初のページに戻る
らんぽう君 <ranpou@maruko.to> Send Mail

このページの文責は、全て私こと"らんぽう君"にあります。
苦情のある人は、上記のアドレスまでメール下さい。
もちろん、苦情以外のメールの方が大歓迎ですが(^^;;